基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造
【構成】 基礎貫通孔形成型10は管部20を有し、管部20には切れ目28が成形される。これを用いて施工する場合、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型10を配置し、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、乾燥後切れ目28から管部20を切断して取り除き、基礎内に基礎貫通孔を形成する。
【効果】 基礎貫通孔に排水管を直接挿通すると、挿通可能な排水管の外径を基礎貫通孔の内径と等しい大きさまで大きくすることができる。また、排水管を基礎貫通孔内に抜き差しすることにより、基礎14、16を傷つけることなく、排水管を維持管理することができる。また、管部20に切れ目28を予め設けておくことにより、コンクリートの乾燥後でも基礎貫通孔形成型10を簡単に取り除くことができる。
【効果】 基礎貫通孔に排水管を直接挿通すると、挿通可能な排水管の外径を基礎貫通孔の内径と等しい大きさまで大きくすることができる。また、排水管を基礎貫通孔内に抜き差しすることにより、基礎14、16を傷つけることなく、排水管を維持管理することができる。また、管部20に切れ目28を予め設けておくことにより、コンクリートの乾燥後でも基礎貫通孔形成型10を簡単に取り除くことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造に関し、特にたとえば、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基礎貫通孔形成型の一例が、特許文献1および2に開示されている。
【0003】
この特許文献1の排水路では、べた基礎にベント管が埋設され、ベント管内にフレキシブル管が挿通されている。
【0004】
また、特許文献2の建物の排水管配管構造では、建物の基礎部であるコンクリートスラブに鞘管が埋設され、鞘管内に排水管が挿通されている。
【特許文献1】特許第3592658号公報[E03C 1−122、E03F 3/04、E03F 3/06]
【特許文献2】特許第3595761号公報[E03C 1−122、E03F 3/04、E03F 3/06]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2の従来技術では、排水管などは鞘管などに挿通されているため、これらは住宅の品質確保促進法における維持管理の容易性に関して等級2以上に適合される。
【0006】
しかしながら、排水管などの外径を鞘管などの内径以下にしなくてはならないため、排水管などの外径は、最大でも鞘管の内径、つまり基礎に形成された貫通孔の内径より鞘管の肉厚分だけ小さくなってしまう。
【0007】
そして、この貫通孔の内径は基礎内に埋設される配筋により制限される。つまり、基礎内に配筋が格子状に組まれて埋設されており、貫通孔は各配筋から所定の間隔を取って形成されなければならない。このため、貫通孔の最大内径は配筋間の距離により決まる。そうすると、鞘管の肉厚を考慮した外径の小さな排水管を選ばなければならず、排水管が満水になりやすくなることにより、排水器具の封水破壊などの問題が起こる恐れが生じる。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、排水管の維持管理の容易性を確保しながら、排水管の径を大きくすることができる、基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、外径が排水管の外径以上に大きく形成された管部、および管部に形成された切断部を備える、基礎貫通孔形成型である。
【0010】
請求項1の発明では、基礎貫通孔形成型は管部を備え、管部に切断部が形成される。
【0011】
この基礎貫通孔形成型を用いる場合、たとえば、建物の基礎を作るための基礎型枠を形成し、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型を配置する。そして、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後に切断部から管部を切断して基礎貫通孔形成型を取り除く。これにより、内径が管部の外径と同じ大きさの基礎貫通孔が基礎に形成される。そして、その基礎貫通孔に排水管を挿通する。
【0012】
このように、基礎貫通孔形成型を取り除いて基礎に基礎貫通孔を形成することにより、基礎貫通孔の大きさを最大限使用することができる。このため、基礎貫通孔に排水管を直接挿通すると、排水管に、外径が最大で基礎貫通孔の内径と等しい大きさのものを選ぶことができる。
【0013】
また、管部に予め切断部を設けておくと、コンクリートの固化後でも小さな力で基礎貫通孔形成型を取り除くことができる。
【0014】
さらに、基礎貫通孔内に排水管を挿通することにより、排水管を交換などする場合でも、基礎を傷つけることなく排水管を基礎貫通孔に容易に抜き差しすることができるため、住宅の品質確保促進法における維持管理の容易性に関して等級2以上に適合される。
【0015】
請求項2の発明は、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、外径が排水管の外径以上に大きく形成された管部、管部の両端開口をそれぞれ塞ぐ端面部、および端面部に形成された吸排気口を備え、吸排気口から空気を注入すると一定形状を維持し、吸排気口から空気を抜くと収縮する、基礎貫通孔形成型である。
【0016】
請求項2の発明では、基礎貫通孔形成型は両端開口が端面部で塞がれた管部を備え、端面部に吸排気口が設けられている。
【0017】
この基礎貫通孔形成型を用いる場合、たとえばコンクリートを基礎型枠に流し込む前に吸排気口から基礎貫通孔形成型内に空気を注入して、基礎貫通孔形成型を一定形状に予め形作っておく。そして、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型を配置して、コンクリートを基礎型枠内に流し込む。コンクリートが乾燥したら、吸排気口から空気を抜いて基礎貫通孔形成型を収縮させて、基礎内から基礎貫通孔形成型を取り除く。取り除いた後に形成された基礎貫通孔に排水管を挿入する。
【0018】
このように、請求項1の発明と同様に、基礎貫通孔の大きさを最大限使用することができ、また、排水管を容易に維持管理することができる。
【0019】
また、基礎貫通孔形成型に空気を注入したり、抜いたりすることにより、基礎貫通孔形成型を使い回しすることができ、使用後の基礎貫通孔形成型はごみにならず、環境問題に対応することができる。
【0020】
請求項3の発明は、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、外径が前記排水管の外径以上に大きく形成されたボイド管、およびボイド管に接続される鞘管を備える、基礎貫通孔形成型である。
【0021】
請求項3の発明では、基礎貫通孔形成型は鞘管およびボイド管を備え、ボイド管の端部は鞘管の端部内に挿入されて、ボイド管は鞘管に接続される。
【0022】
たとえば、建物の基礎を作るための基礎型枠を形成し、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型の全部またはボイド管を含む基礎貫通孔形成型の一部を配置する。次に、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後にボイド管を基礎から取り除いて、基礎貫通孔を形成する。そして、その基礎貫通孔および鞘管に排水管を挿通する。
【0023】
このように、ボイド管を基礎から取り除くと、取り除いた位置に基礎貫通孔が形成され、その内径はボイド管の外径と同じ大きさになる。また、ボイド管の端部は鞘管の端部内に挿入され、ボイド管は鞘管に接続されることにより、ボイド管の外径が鞘管の内径に等しく設定される。このため、基礎貫通孔の内径は鞘管の内径に等しくなる。よって、最大で外径が基礎貫通孔および鞘管の内径に等しい大きさの排水管を基礎貫通孔および鞘管内に挿入することができる。
【0024】
また、鞘管に曲管を用いると、従来使用されている直管形状のボイド管を用いて、曲がった基礎貫通孔を形成することができるため、材料コストを抑えられ、経済的に優れる。
【0025】
さらに、基礎貫通孔および鞘管内に排水管を挿通することにより、排水管を交換などする場合でも、基礎を傷つけることなく排水管を基礎貫通孔に容易に抜き差しすることができる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1または2の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、基礎型枠を形成し、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型を配置し、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後に基礎貫通孔形成型を取り除き、そして基礎貫通孔に排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法である。
【0027】
請求項4の発明では、請求項1または2の発明と同様の作用を示す。
【0028】
請求項5の発明は、請求項3の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、 基礎型枠を形成し、基礎型枠内にボイド管を含む基礎貫通孔形成型の少なくとも一部を配置し、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後にボイド管を取り除き、そして基礎貫通孔および鞘管に排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法である。
【0029】
請求項5の発明では、請求項3の発明と同様の作用を示す。
【0030】
請求項6の発明は、コンクリートで形成され、中に配筋が埋設された基礎、配筋から被り厚さ以上の間隔を隔てて設けられ、かつ基礎を貫通する基礎貫通孔、および基礎貫通孔の周囲の配筋を結んで形成される面と基礎貫通孔とが交わる位置に鞘管を備えていない、基礎構造である。
【0031】
請求項6の発明では、基礎に基礎貫通孔が形成され、基礎貫通孔の周囲の配筋を結んで形成される面と基礎貫通孔とが交わる位置に鞘管を備えていない。このため、基礎貫通孔の中に排水管を通す場合、鞘管の肉厚を考慮する必要がないため、排水管の外径を基礎貫通孔の内径まで大きく設定することができる。
【0032】
このように、排水管の径を大きくすることにより、排水管が満水になりにくく、排水器具の封水破壊などの問題が生じにくい。
【0033】
また、基礎貫通孔に排水管を抜き差しすると、基礎を傷つけることなく排水管を容易に維持管理することができる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、基礎貫通孔形成型を取り除いて基礎に基礎貫通孔を形成し、その中に排水管を直接挿通することにより、排水管の径を大きくすることができ、しかも、排水管を基礎貫通孔に抜き差しすることにより、排水管の維持管理の容易性を確保することができる。
【0035】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1に示すこの発明の一実施例である基礎貫通孔形成型(以下、形成型と言う。)10は、図2に示すように、中に配筋12が埋設されたコンクリートの基礎14、16などに排水管を挿通するための図3に示す基礎貫通孔18を形成するために用いられる。
【0037】
形成型10は、図1および図2に示す管部20を備える。管部20はポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂やボール紙などで形成される。断面形状が円形の筒状で、両端は開口する。管部20の一部に湾曲部22を有する。つまり、管部20は第1端面24に対して直角に直線状に延び、湾曲して斜めに立ち上がる。そして、第2端面26が第1端面24に対して直角に設けられる。このため、第1端面24を垂直に配置すると、第2端面26は水平に配置される。
【0038】
管部20の外径dは、排水管の外径以上に大きく形成され、かつ配筋12のピッチpから配筋12の半径rの2倍および被り厚さkの2倍を引いた長さ以下に設定される。なお、被り厚さkは、配筋12の品質や強度などを維持するコンクリートの厚みとして、コンクリート基礎型枠の設置状況などにより予め定められている。また、配筋12のピッチpは、隣り合う配筋12の中心間の距離を示す。
【0039】
管部20には切断部が形成される。切断部は、管部20を切断するものであって、たとえば、管部20の管壁を貫通するミシン目状の切れ目28である。切れ目28は、ひとつながりで、管部20に対して螺旋状に形成される。
【0040】
この形成型10を用いる場合、まず建物の基礎14、16などを作るための基礎型枠(図示せず)を形成して、図2に示すように基礎型枠内に配筋12を配置する。次に、第1端面24を垂直にして、各配筋12の中心から配筋12の半径rと被り厚さkとを足した距離以上を隔てた位置が外面になるように形成型10を配置する。そして、基礎型枠内にコンクリートを流し込んで基礎14、16を形成し、コンクリートが乾いた後に基礎型枠および形成型10を取り除く。このとき、図3に示すように管部20の端を切れ目28に沿って少し切断した後に切断した先を引っ張ると、切れ目28が端から順番に裂けて、管部20は帯状に連続的に切断される。そして、切断した管部20を取り除けば、取り除いた位置に基礎貫通孔18が形成される。この基礎貫通孔18は、その内径が管部20の外径と同じ大きさで、管部20の外形とほぼ同一形状に形成される。基礎貫通孔18の下端開口18aは基礎の鉛直部16の外側面に設けられ、上端開口18bは基礎の水平部14の上面に設けられる。
【0041】
そして、図4(A)および図4(B)に示すように、上端開口18bから基礎貫通孔18内へコルゲート管など可撓性を有する排水管30を挿通すると、排水管30を基礎貫通孔18内に容易に挿入することができる。また、外径が基礎貫通孔18の内径と等しい排水管30を基礎貫通孔18に挿入すると、排水管30は、その外面全体が基礎貫通孔18の内面と接した状態で基礎貫通孔18内に挿通される。一方、図4(C)に示すように、外径が基礎貫通孔18の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔18に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔18の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔18の内面から隙間31を隔てて、排水管30は基礎貫通孔18内に挿通される。
【0042】
このように、形成型10を取り除いて基礎貫通孔18を形成し、基礎貫通孔18の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔18とが交わる位置に鞘管を備えていないことにより、鞘管の肉厚による基礎貫通孔18の断面積の縮小がないため、基礎貫通孔18の大きさを最大限使用することができる。このため、基礎貫通孔18に排水管30を直接挿通すると、挿通可能な排水管30の外径を基礎貫通孔18の内径と同じ大きさまで大きくすることができる。そして、排水管30の大きさを大きくすれば、排水管30が満水になりにくくなり、排水管30に接続される排水器具(図示せず)の封水破壊などの問題が抑えられる。
【0043】
また、管部20に予め連続する螺旋状の切れ目28を設けておくと、コンクリートの固化後でも管部20の端を引っ張るだけで形成型10を基礎14、16内から簡単に取り除くことができる。
【0044】
さらに、基礎貫通孔18内に排水管30を挿通することにより、排水管30を交換などする場合でも、基礎14、16を傷つけることなく排水管30を基礎貫通孔18に容易に抜き差しすることができるため、住宅の品質確保促進法における維持管理の容易性に関して等級2以上に適合される。
【0045】
なお、管部20に湾曲部22を設けたが、図5(A)に示すように管部32に屈曲部34を設けることもできる。また、管部20の一部を湾曲し、その他の部分を直線状にしたが、図5(B)に示すように管部36の全体を湾曲させることもできる。
【0046】
また、管部20に切れ目28を予め形成したが、管部を組み立て可能に分割することもできる。この場合、管部を組み立てて基礎貫通孔18の形成型10として用い、基礎貫通孔18の形成後に管部を分割して基礎内から形成型10を取り出す。
【0047】
図6に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、管部38およびその両端開口のそれぞれを塞ぐ第1端面部40および第2端面部42を備える。
【0048】
管部38、第1端面部40および第2端面部42は、柔軟性を有するが、空気を通さず、弾性の少ないゴムや合成樹脂などで形成される。また、これらは一体的に形成され、形成型10は気密性を有する。第2端面部42に吸排気口44が設けられる。吸排気口44から形成型10内に空気を注入すると、形成型10は変形せずに一定形状を維持する。一方、吸排気口44から形成型10内の空気を抜くと、形成型10は収縮する。そして、再び、形成型10内に空気を注入すると、先の形状を維持する。
【0049】
空気を注入して膨らませた管部38は断面形状が円形の筒状で、管部38の一部に湾曲部38aを有する。つまり、管部38は第1端面部40に対して直角に直線状に延びて、湾曲し、そこから斜めに立ち上がって、第2端面部42が第1端面部40に対して直角に設けられる。管部38の外径は、排水管30の外径以上に大きく、かつ配筋12のピッチから配筋12の半径の2倍および被り厚さの2倍を引いた長さ以下に設定される。
【0050】
この形成型10を用いる場合、コンクリートを基礎型枠(図示せず)に流し込む前に吸排気口44から形成型10内に空気を注入して、形成型10を一定形状に形作る。そして、図7に示すように基礎型枠内に配筋12を配置してから、配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔てて形成型10を配置し、コンクリートを基礎型枠内に流し込む。コンクリートが乾燥したら、図8に示すように吸排気口44から空気を抜いて形成型10を収縮させ、基礎14、16内から形成型10を取り除く。図4(A)および図4(B)に示すように取り除いた後にできた基礎貫通孔18に可撓性を有する排水管30を挿入する。この排水管30に外径が基礎貫通孔18の内径と等しい排水管30を用いると、外面全体が基礎貫通孔18の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔18に挿通される。また、図4(C)に示すように排水管30に外径が基礎貫通孔18の内径より小さな排水管30を用いると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔18の内面に接し、下部以外の外面が基礎貫通孔18の内面から隙間31を隔てた状態で排水管30は基礎貫通孔18に挿通される。
【0051】
このように、基礎貫通孔18の形成後に形成型10を取り除き、基礎貫通孔18の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔18とが交わる位置に鞘管を備えていない。これにより、鞘管の肉厚による基礎貫通孔18の断面積の縮小がないため、最大で外径が基礎貫通孔18の内径と等しい大きさの排水管30を基礎貫通孔18に挿入することができる。
【0052】
また、基礎を傷つけることなく基礎貫通構内に排水管30を差し入れすることができるため、排水管30を容易に維持管理することができる。
【0053】
さらに、形成型10に空気を注入したり、抜いたりすることにより、形成型10を使い回しすることができ、使用後の形成型10はごみにならず、環境問題に対応することができる。
【0054】
なお、管部38に湾曲部22を設けたが、管部38に屈曲部を設けることもできる。また、管部38の一部を湾曲し、その他の部分を直線状にしたが、管部38の全部を湾曲させることもできる。
【0055】
また、管部38の表面に離型剤を塗布する、あるいは離型紙を貼り付けるなど、コンクリートとの離型性を良くする処理を管部38の表面に施すこともできる。
【0056】
図9に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、内管部46を覆う外管部48を備える。
【0057】
内管部46は、一部に湾曲部を有する合成樹脂管などであり、排水管として利用される。
【0058】
外管部48は、内管部46の外表面の全体を覆い、耐圧性を有して一定形状を維持するが、破壊可能な発泡ウレタンなどで形成される。外管部48は第3端面50に対して直角に直線状に延びて、湾曲し、そこから斜めに立ち上がって、第4端面52が第3端面50に対して直角に設けられる。外管部48の内径は内管部46の外径と等しく、外管部48の外径は配筋12のピッチから配筋12の半径の2倍および被り厚さの2倍を引いた長さに設定される。
【0059】
この形成型10を用いて施工する場合、図10に示すように配筋12が配置された基礎型枠(図示せず)内に、第3端面50を垂直にした状態で、各配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した間隔を隔てた位置に外面がなるように形成型10を配置する。そして、基礎型枠内にコンクリートを流し込む。これにより、内管部46および外管部48が基礎14、16内の基礎貫通孔18に嵌まった状態で基礎14、16が形成される。この内管部46の両端に排水管を接続すると、内管部46は排水管の一部として利用される。
【0060】
そして、内管部46を交換する場合、図11に示すように外管部48を破壊して基礎14、16内から取り除くと、基礎貫通孔18の内面と内管部46の外面との間に隙間54ができ、それを利用して内管部46を基礎貫通孔18の中から取り出す。次に、図4(A)および図4(B)に示すように排水管30が取り出された基礎貫通孔18に新たな可撓性を有する排水管30を挿入する。この排水管30に外径が基礎貫通孔18の内径と等しい排水管30を用いると、外面全体が基礎貫通孔18の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔18に挿通される。また、図4(C)に示すように外径が基礎貫通孔18の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔18に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔18の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔18の内面から隙間31を隔てて、排水管30は基礎貫通孔18内に挿通される。
【0061】
このように、内管部46の外面に外管部48を設け、外管部48を破壊できるようにしておけば、基礎を傷つけることなく外管部48を除去して内管部46を容易に取り出すことができる。
【0062】
また、形成型10を取り除いて基礎貫通孔18を形成することにより、基礎貫通孔18の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔18とが交わる位置に鞘管を備えていない。よって、鞘管の肉厚による基礎貫通孔18の断面積の縮小がないため、新たな排水管30に最大外径が基礎貫通孔18の内径に等しい排水管30を用いることができる。
【0063】
なお、外管部48に湾曲部を設けたが、外管部48に屈曲部を設けることもできる。また、外管部48の一部を湾曲し、その他の部分を直線状にしたが、外管部48の全部を湾曲させることもできる。
【0064】
図12に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、鞘管およびその両端にそれぞれ接続される、たとえば2つのボイド管56を備える。
【0065】
鞘管は樹脂で形成される。鞘管は、断面形状が円形の筒状で、管軸方向に湾曲する曲管であって、鞘管に、たとえば45°ベント58が用いられる。その内径は、ボイド管56の外径と等しく設定される。
【0066】
ボイド管56は、その端部が45°ベント58の端部内に挿入されて、45°ベント58に接続される。ボイド管56は、紙で形成された直管である。その外径は排水管30の外径以上に大きく、かつ配筋12のピッチから配筋12の半径の2倍および被り厚さの2倍を引いた長さ以下に設定される。設定される。
【0067】
この形成型10を用いる場合、基礎型枠(図示せず)内に配筋12を配置してから、配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔てて形成型10を配置し、コンクリートを基礎型枠内に流し込む。コンクリートが乾燥した後、基礎型枠を解体してから、図13に示すように2つのボイド管56を基礎14、16の中から取り除く。取り除くと、その位置に基礎貫通孔59が設けられ、2つの基礎貫通孔59と45°ベント58とが連通される。基礎貫通孔59は、その内径がボイド管56の外径および45°ベント58の内径と等しい大きさで、ボイド管56と同じく直管状に形成される。基礎貫通孔59の下端開口59aは基礎の水平部16の外側面に設けられ、上端開口59bは基礎の水平部14の上面に設けられる。
【0068】
そして、図14(A)および図14(B)に示すように上端開口59bから基礎貫通孔59および45°ベント58の中に可撓性を有する排水管30を挿入する。このとき、外径が基礎貫通孔59の内径と等しい排水管30を用いると、外面が基礎貫通孔59および45°ベント58の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔59および45°ベント58に挿通される。また、一方、図14(C)に示すように、外径が基礎貫通孔59の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔59に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔59および45°ベント58の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔59および45°ベント58の内面から間隔を隔てて、排水管30は基礎貫通孔59および45°ベント58内に挿通される。
【0069】
このように、端部が45°ベント58の端部内に挿入されたボイド管56を基礎から取り除き、内径が45°ベント58の内径に等しい基礎貫通孔59が基礎内に形成される。これにより、基礎貫通孔59の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔59とが交わる位置に鞘管を備えておらず、鞘管の肉厚による基礎貫通孔59の断面積の縮小がない。このため、最大外径が基礎貫通孔59および45°ベント58の内径に等しい大きさの排水管30を基礎貫通孔59および45°ベント58内に挿入することができる。
【0070】
また、ボイド管56を45°ベント58に接続すると、市販品を使用して曲がった基礎貫通孔59を形成することができるため、材料コストを抑えられ、経済的に優れる。
【0071】
なお、45°ベント58内にボイド管56の端部を挿入したが、45°ベント58の端とボイド管56の端とを付き合わせたり、ボイド管56内に45°ベント58の端部を挿入したりすることもできる。
【0072】
図15に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、鞘管およびその両端にそれぞれ接続される、たとえば2つのボイド管56を備える。なお、図12の形成型10の共通する部分については同じ番号を付して、その番号の説明は省略している。
【0073】
鞘管は、樹脂で形成され、曲管および受口付直管60を有する。曲管には、たとえば90°ベント62が用いられ、その外面に突起64が装着される。90°ベント62の端から突起64の位置までの長さは基礎の鉛直部16の幅より短く設定される。90°ベント62の一端62が受口付直管60の受口60aに挿入されて、90°ベント62は受口付直管60に接続される。90°ベント62および受口付直管60の内径は、ボイド管56の外径と等しく設定される。
【0074】
2つのボイド管56の一方のボイド管56は、その端部が90°ベント62の他端62bに挿入されて、鞘管に接続される。他方のボイド管56は、その端部が受口付直管60の管部60bに挿入されて、鞘管に接続される。
【0075】
この形成型10を用いる場合、まず基礎の水平部14の下方に基礎の鉛直部16が延びる基礎型枠(図示せず)を形成し、基礎型枠内に配筋12を配置する。そして、90°ベント62の突起64が基礎の鉛直部16の基礎型枠の内側に係止されるように、90°ベント62に接続されるボイド管56を基礎の鉛直部16の基礎型枠内に配置する。この突起64の位置は90°ベント62の端から基礎の鉛直部16の幅より短く設定されているため、90°ベント62は基礎の鉛直部16を貫通せずに、90°ベント62の端は基礎の鉛直部16内に位置する。また、受口付直管60に接続されるボイド管56を基礎の水平部14の基礎型枠内に配置する。2つのボイド管56をそれぞれ基礎型枠内に配置する際、配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔ててボイド管56を配置する。
【0076】
それから、図16に示すようにコンクリートを基礎型枠内に流し込み、コンクリートが乾燥した後、基礎型枠を解体して、2つのボイド管56を基礎14、16内から取り除く。最後に、ボイド管56を取り除いた位置に形成された基礎貫通孔59および90°ベント62の中に可撓性を有する排水管30を挿入する。このとき、外径が基礎貫通孔59の内径と等しい排水管30を用いると、外面全体が基礎貫通孔59および90°ベント62の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔59および90°ベント62に挿通される。また、外径が基礎貫通孔59の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔59および90°ベント62に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔59および90°ベント62の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔59および90°ベント62の内面から間隔を隔てて、排水管30は基礎貫通孔59内に挿通される。
【0077】
このように、基礎貫通孔59の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔59とが交わる位置に鞘管を備えておらず、鞘管の肉厚による基礎貫通孔59の断面積の縮小がない。このため、基礎貫通孔59内に排水管30を直接挿通することにより、排水管30の外径を基礎貫通孔59の内径と同じ大きさまで大きくすることができる。
【0078】
なお、90°ベント62および受口付直管60内にボイド管56の端部を挿入したが、90°ベント62などの端とボイド管56の端とを付き合わせたり、ボイド管56内に90°ベント62などの端部を挿入したりすることもできる。
【0079】
また、図16では、鞘管に90°ベント62および受口付直管60を用い、2つのボイド管56を鞘管の両端にそれぞれ接続して、ボイド管56により基礎の水平部14および基礎の鉛直部16内にそれぞれ基礎貫通孔59を形成した。これに対して、図17に示すように、鞘管に、たとえば45°ベント66および受口付直管60を用い、この鞘管の端部内にたとえば1つのボイド管56を接続して、基礎の鉛直部16内に基礎貫通孔59を形成することもできる。この場合、水平面に土間コンクリート68を設けるが、土間コンクリート68は、その中に配筋12が含まれず、建物の基礎を構成しない。
【0080】
排水管30を施工する際、中に配筋12が配置された基礎の鉛直部16の基礎型枠を形成し、45°ベント66の突起64が基礎型枠の内側に係止されるようにしながら、外面が配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔ててボイド管56を配置する。それから、コンクリートを基礎型枠内に流し込み、コンクリートの乾燥後、基礎型枠を解体して、2つのボイド管56を基礎内から取り除く。そして、図18に示すように、基礎貫通孔59および45°ベント66の中に可撓性を有する排水管30を挿入する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の一実施例の形成型を示す平面図である。
【図2】図1の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図3】図1の形成型を切断している状態を示す断面図である。
【図4】(A)は基礎貫通孔に外径が基礎貫通孔の内径と等しい排水管を挿通した状態を示す断面図であり、(B)は(A)の基礎貫通孔および排水管を示す断面図であり、(C)は基礎貫通孔に外径が基礎貫通孔の内径より小さな排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【図5】(A)はこの発明の別の実施例の形成型を示す平面図であり、(B)はこの発明のさらに別の実施例の形成型を示す平面図である。
【図6】この発明のさらに別の実施例の形成型を示す平面図である。
【図7】図6の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図8】図6の形成型を収縮した状態を示す断面図である。
【図9】この発明のさらに別の実施例の形成型を示す平面図である。
【図10】図9の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図11】図9の形成型を壊して取り除いた状態を示す断面図である。
【図12】この発明のさらに別の実施例の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図13】図12の形成型からボイド管を取り除いて、基礎内に基礎貫通孔を形成した状態を示す断面図である。
【図14】(A)は図13の基礎貫通孔および45°ベント内に外径が基礎貫通孔の内径と等しい排水管を挿通した状態を示す断面図であり、(B)は(A)の基礎貫通孔および排水管を示す断面図であり、(C)は基礎貫通孔に外径が基礎貫通孔の内径より小さな排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【図15】この発明のさらに別の実施例の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図16】図15の形成型からボイド管を取り除いて、基礎内に基礎貫通孔を形成し、その基礎貫通孔、90°ベントおよび受口付直管内に排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【図17】この発明のさらに別の実施例の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図18】図17の形成型からボイド管を取り除いて、基礎内に基礎貫通孔を形成し、その基礎貫通孔、45°ベントおよび受口付直管内に排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
10…形成型
14…基礎の水平部
16…基礎の鉛直部
18、59…基礎貫通孔
20、36、38、48…管部
30…排水管
40…第1端面部
42…第2端面部
44…吸排気口
58、66…45°ベント
56…ボイド管
60…受口付直管
62…90°ベント
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造に関し、特にたとえば、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基礎貫通孔形成型の一例が、特許文献1および2に開示されている。
【0003】
この特許文献1の排水路では、べた基礎にベント管が埋設され、ベント管内にフレキシブル管が挿通されている。
【0004】
また、特許文献2の建物の排水管配管構造では、建物の基礎部であるコンクリートスラブに鞘管が埋設され、鞘管内に排水管が挿通されている。
【特許文献1】特許第3592658号公報[E03C 1−122、E03F 3/04、E03F 3/06]
【特許文献2】特許第3595761号公報[E03C 1−122、E03F 3/04、E03F 3/06]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2の従来技術では、排水管などは鞘管などに挿通されているため、これらは住宅の品質確保促進法における維持管理の容易性に関して等級2以上に適合される。
【0006】
しかしながら、排水管などの外径を鞘管などの内径以下にしなくてはならないため、排水管などの外径は、最大でも鞘管の内径、つまり基礎に形成された貫通孔の内径より鞘管の肉厚分だけ小さくなってしまう。
【0007】
そして、この貫通孔の内径は基礎内に埋設される配筋により制限される。つまり、基礎内に配筋が格子状に組まれて埋設されており、貫通孔は各配筋から所定の間隔を取って形成されなければならない。このため、貫通孔の最大内径は配筋間の距離により決まる。そうすると、鞘管の肉厚を考慮した外径の小さな排水管を選ばなければならず、排水管が満水になりやすくなることにより、排水器具の封水破壊などの問題が起こる恐れが生じる。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、排水管の維持管理の容易性を確保しながら、排水管の径を大きくすることができる、基礎貫通孔形成型、それを用いた排水管の施工方法および基礎構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、外径が排水管の外径以上に大きく形成された管部、および管部に形成された切断部を備える、基礎貫通孔形成型である。
【0010】
請求項1の発明では、基礎貫通孔形成型は管部を備え、管部に切断部が形成される。
【0011】
この基礎貫通孔形成型を用いる場合、たとえば、建物の基礎を作るための基礎型枠を形成し、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型を配置する。そして、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後に切断部から管部を切断して基礎貫通孔形成型を取り除く。これにより、内径が管部の外径と同じ大きさの基礎貫通孔が基礎に形成される。そして、その基礎貫通孔に排水管を挿通する。
【0012】
このように、基礎貫通孔形成型を取り除いて基礎に基礎貫通孔を形成することにより、基礎貫通孔の大きさを最大限使用することができる。このため、基礎貫通孔に排水管を直接挿通すると、排水管に、外径が最大で基礎貫通孔の内径と等しい大きさのものを選ぶことができる。
【0013】
また、管部に予め切断部を設けておくと、コンクリートの固化後でも小さな力で基礎貫通孔形成型を取り除くことができる。
【0014】
さらに、基礎貫通孔内に排水管を挿通することにより、排水管を交換などする場合でも、基礎を傷つけることなく排水管を基礎貫通孔に容易に抜き差しすることができるため、住宅の品質確保促進法における維持管理の容易性に関して等級2以上に適合される。
【0015】
請求項2の発明は、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、外径が排水管の外径以上に大きく形成された管部、管部の両端開口をそれぞれ塞ぐ端面部、および端面部に形成された吸排気口を備え、吸排気口から空気を注入すると一定形状を維持し、吸排気口から空気を抜くと収縮する、基礎貫通孔形成型である。
【0016】
請求項2の発明では、基礎貫通孔形成型は両端開口が端面部で塞がれた管部を備え、端面部に吸排気口が設けられている。
【0017】
この基礎貫通孔形成型を用いる場合、たとえばコンクリートを基礎型枠に流し込む前に吸排気口から基礎貫通孔形成型内に空気を注入して、基礎貫通孔形成型を一定形状に予め形作っておく。そして、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型を配置して、コンクリートを基礎型枠内に流し込む。コンクリートが乾燥したら、吸排気口から空気を抜いて基礎貫通孔形成型を収縮させて、基礎内から基礎貫通孔形成型を取り除く。取り除いた後に形成された基礎貫通孔に排水管を挿入する。
【0018】
このように、請求項1の発明と同様に、基礎貫通孔の大きさを最大限使用することができ、また、排水管を容易に維持管理することができる。
【0019】
また、基礎貫通孔形成型に空気を注入したり、抜いたりすることにより、基礎貫通孔形成型を使い回しすることができ、使用後の基礎貫通孔形成型はごみにならず、環境問題に対応することができる。
【0020】
請求項3の発明は、建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、外径が前記排水管の外径以上に大きく形成されたボイド管、およびボイド管に接続される鞘管を備える、基礎貫通孔形成型である。
【0021】
請求項3の発明では、基礎貫通孔形成型は鞘管およびボイド管を備え、ボイド管の端部は鞘管の端部内に挿入されて、ボイド管は鞘管に接続される。
【0022】
たとえば、建物の基礎を作るための基礎型枠を形成し、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型の全部またはボイド管を含む基礎貫通孔形成型の一部を配置する。次に、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後にボイド管を基礎から取り除いて、基礎貫通孔を形成する。そして、その基礎貫通孔および鞘管に排水管を挿通する。
【0023】
このように、ボイド管を基礎から取り除くと、取り除いた位置に基礎貫通孔が形成され、その内径はボイド管の外径と同じ大きさになる。また、ボイド管の端部は鞘管の端部内に挿入され、ボイド管は鞘管に接続されることにより、ボイド管の外径が鞘管の内径に等しく設定される。このため、基礎貫通孔の内径は鞘管の内径に等しくなる。よって、最大で外径が基礎貫通孔および鞘管の内径に等しい大きさの排水管を基礎貫通孔および鞘管内に挿入することができる。
【0024】
また、鞘管に曲管を用いると、従来使用されている直管形状のボイド管を用いて、曲がった基礎貫通孔を形成することができるため、材料コストを抑えられ、経済的に優れる。
【0025】
さらに、基礎貫通孔および鞘管内に排水管を挿通することにより、排水管を交換などする場合でも、基礎を傷つけることなく排水管を基礎貫通孔に容易に抜き差しすることができる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1または2の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、基礎型枠を形成し、基礎型枠内に基礎貫通孔形成型を配置し、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後に基礎貫通孔形成型を取り除き、そして基礎貫通孔に排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法である。
【0027】
請求項4の発明では、請求項1または2の発明と同様の作用を示す。
【0028】
請求項5の発明は、請求項3の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、 基礎型枠を形成し、基礎型枠内にボイド管を含む基礎貫通孔形成型の少なくとも一部を配置し、基礎型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートが乾いた後にボイド管を取り除き、そして基礎貫通孔および鞘管に排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法である。
【0029】
請求項5の発明では、請求項3の発明と同様の作用を示す。
【0030】
請求項6の発明は、コンクリートで形成され、中に配筋が埋設された基礎、配筋から被り厚さ以上の間隔を隔てて設けられ、かつ基礎を貫通する基礎貫通孔、および基礎貫通孔の周囲の配筋を結んで形成される面と基礎貫通孔とが交わる位置に鞘管を備えていない、基礎構造である。
【0031】
請求項6の発明では、基礎に基礎貫通孔が形成され、基礎貫通孔の周囲の配筋を結んで形成される面と基礎貫通孔とが交わる位置に鞘管を備えていない。このため、基礎貫通孔の中に排水管を通す場合、鞘管の肉厚を考慮する必要がないため、排水管の外径を基礎貫通孔の内径まで大きく設定することができる。
【0032】
このように、排水管の径を大きくすることにより、排水管が満水になりにくく、排水器具の封水破壊などの問題が生じにくい。
【0033】
また、基礎貫通孔に排水管を抜き差しすると、基礎を傷つけることなく排水管を容易に維持管理することができる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、基礎貫通孔形成型を取り除いて基礎に基礎貫通孔を形成し、その中に排水管を直接挿通することにより、排水管の径を大きくすることができ、しかも、排水管を基礎貫通孔に抜き差しすることにより、排水管の維持管理の容易性を確保することができる。
【0035】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1に示すこの発明の一実施例である基礎貫通孔形成型(以下、形成型と言う。)10は、図2に示すように、中に配筋12が埋設されたコンクリートの基礎14、16などに排水管を挿通するための図3に示す基礎貫通孔18を形成するために用いられる。
【0037】
形成型10は、図1および図2に示す管部20を備える。管部20はポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂やボール紙などで形成される。断面形状が円形の筒状で、両端は開口する。管部20の一部に湾曲部22を有する。つまり、管部20は第1端面24に対して直角に直線状に延び、湾曲して斜めに立ち上がる。そして、第2端面26が第1端面24に対して直角に設けられる。このため、第1端面24を垂直に配置すると、第2端面26は水平に配置される。
【0038】
管部20の外径dは、排水管の外径以上に大きく形成され、かつ配筋12のピッチpから配筋12の半径rの2倍および被り厚さkの2倍を引いた長さ以下に設定される。なお、被り厚さkは、配筋12の品質や強度などを維持するコンクリートの厚みとして、コンクリート基礎型枠の設置状況などにより予め定められている。また、配筋12のピッチpは、隣り合う配筋12の中心間の距離を示す。
【0039】
管部20には切断部が形成される。切断部は、管部20を切断するものであって、たとえば、管部20の管壁を貫通するミシン目状の切れ目28である。切れ目28は、ひとつながりで、管部20に対して螺旋状に形成される。
【0040】
この形成型10を用いる場合、まず建物の基礎14、16などを作るための基礎型枠(図示せず)を形成して、図2に示すように基礎型枠内に配筋12を配置する。次に、第1端面24を垂直にして、各配筋12の中心から配筋12の半径rと被り厚さkとを足した距離以上を隔てた位置が外面になるように形成型10を配置する。そして、基礎型枠内にコンクリートを流し込んで基礎14、16を形成し、コンクリートが乾いた後に基礎型枠および形成型10を取り除く。このとき、図3に示すように管部20の端を切れ目28に沿って少し切断した後に切断した先を引っ張ると、切れ目28が端から順番に裂けて、管部20は帯状に連続的に切断される。そして、切断した管部20を取り除けば、取り除いた位置に基礎貫通孔18が形成される。この基礎貫通孔18は、その内径が管部20の外径と同じ大きさで、管部20の外形とほぼ同一形状に形成される。基礎貫通孔18の下端開口18aは基礎の鉛直部16の外側面に設けられ、上端開口18bは基礎の水平部14の上面に設けられる。
【0041】
そして、図4(A)および図4(B)に示すように、上端開口18bから基礎貫通孔18内へコルゲート管など可撓性を有する排水管30を挿通すると、排水管30を基礎貫通孔18内に容易に挿入することができる。また、外径が基礎貫通孔18の内径と等しい排水管30を基礎貫通孔18に挿入すると、排水管30は、その外面全体が基礎貫通孔18の内面と接した状態で基礎貫通孔18内に挿通される。一方、図4(C)に示すように、外径が基礎貫通孔18の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔18に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔18の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔18の内面から隙間31を隔てて、排水管30は基礎貫通孔18内に挿通される。
【0042】
このように、形成型10を取り除いて基礎貫通孔18を形成し、基礎貫通孔18の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔18とが交わる位置に鞘管を備えていないことにより、鞘管の肉厚による基礎貫通孔18の断面積の縮小がないため、基礎貫通孔18の大きさを最大限使用することができる。このため、基礎貫通孔18に排水管30を直接挿通すると、挿通可能な排水管30の外径を基礎貫通孔18の内径と同じ大きさまで大きくすることができる。そして、排水管30の大きさを大きくすれば、排水管30が満水になりにくくなり、排水管30に接続される排水器具(図示せず)の封水破壊などの問題が抑えられる。
【0043】
また、管部20に予め連続する螺旋状の切れ目28を設けておくと、コンクリートの固化後でも管部20の端を引っ張るだけで形成型10を基礎14、16内から簡単に取り除くことができる。
【0044】
さらに、基礎貫通孔18内に排水管30を挿通することにより、排水管30を交換などする場合でも、基礎14、16を傷つけることなく排水管30を基礎貫通孔18に容易に抜き差しすることができるため、住宅の品質確保促進法における維持管理の容易性に関して等級2以上に適合される。
【0045】
なお、管部20に湾曲部22を設けたが、図5(A)に示すように管部32に屈曲部34を設けることもできる。また、管部20の一部を湾曲し、その他の部分を直線状にしたが、図5(B)に示すように管部36の全体を湾曲させることもできる。
【0046】
また、管部20に切れ目28を予め形成したが、管部を組み立て可能に分割することもできる。この場合、管部を組み立てて基礎貫通孔18の形成型10として用い、基礎貫通孔18の形成後に管部を分割して基礎内から形成型10を取り出す。
【0047】
図6に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、管部38およびその両端開口のそれぞれを塞ぐ第1端面部40および第2端面部42を備える。
【0048】
管部38、第1端面部40および第2端面部42は、柔軟性を有するが、空気を通さず、弾性の少ないゴムや合成樹脂などで形成される。また、これらは一体的に形成され、形成型10は気密性を有する。第2端面部42に吸排気口44が設けられる。吸排気口44から形成型10内に空気を注入すると、形成型10は変形せずに一定形状を維持する。一方、吸排気口44から形成型10内の空気を抜くと、形成型10は収縮する。そして、再び、形成型10内に空気を注入すると、先の形状を維持する。
【0049】
空気を注入して膨らませた管部38は断面形状が円形の筒状で、管部38の一部に湾曲部38aを有する。つまり、管部38は第1端面部40に対して直角に直線状に延びて、湾曲し、そこから斜めに立ち上がって、第2端面部42が第1端面部40に対して直角に設けられる。管部38の外径は、排水管30の外径以上に大きく、かつ配筋12のピッチから配筋12の半径の2倍および被り厚さの2倍を引いた長さ以下に設定される。
【0050】
この形成型10を用いる場合、コンクリートを基礎型枠(図示せず)に流し込む前に吸排気口44から形成型10内に空気を注入して、形成型10を一定形状に形作る。そして、図7に示すように基礎型枠内に配筋12を配置してから、配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔てて形成型10を配置し、コンクリートを基礎型枠内に流し込む。コンクリートが乾燥したら、図8に示すように吸排気口44から空気を抜いて形成型10を収縮させ、基礎14、16内から形成型10を取り除く。図4(A)および図4(B)に示すように取り除いた後にできた基礎貫通孔18に可撓性を有する排水管30を挿入する。この排水管30に外径が基礎貫通孔18の内径と等しい排水管30を用いると、外面全体が基礎貫通孔18の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔18に挿通される。また、図4(C)に示すように排水管30に外径が基礎貫通孔18の内径より小さな排水管30を用いると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔18の内面に接し、下部以外の外面が基礎貫通孔18の内面から隙間31を隔てた状態で排水管30は基礎貫通孔18に挿通される。
【0051】
このように、基礎貫通孔18の形成後に形成型10を取り除き、基礎貫通孔18の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔18とが交わる位置に鞘管を備えていない。これにより、鞘管の肉厚による基礎貫通孔18の断面積の縮小がないため、最大で外径が基礎貫通孔18の内径と等しい大きさの排水管30を基礎貫通孔18に挿入することができる。
【0052】
また、基礎を傷つけることなく基礎貫通構内に排水管30を差し入れすることができるため、排水管30を容易に維持管理することができる。
【0053】
さらに、形成型10に空気を注入したり、抜いたりすることにより、形成型10を使い回しすることができ、使用後の形成型10はごみにならず、環境問題に対応することができる。
【0054】
なお、管部38に湾曲部22を設けたが、管部38に屈曲部を設けることもできる。また、管部38の一部を湾曲し、その他の部分を直線状にしたが、管部38の全部を湾曲させることもできる。
【0055】
また、管部38の表面に離型剤を塗布する、あるいは離型紙を貼り付けるなど、コンクリートとの離型性を良くする処理を管部38の表面に施すこともできる。
【0056】
図9に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、内管部46を覆う外管部48を備える。
【0057】
内管部46は、一部に湾曲部を有する合成樹脂管などであり、排水管として利用される。
【0058】
外管部48は、内管部46の外表面の全体を覆い、耐圧性を有して一定形状を維持するが、破壊可能な発泡ウレタンなどで形成される。外管部48は第3端面50に対して直角に直線状に延びて、湾曲し、そこから斜めに立ち上がって、第4端面52が第3端面50に対して直角に設けられる。外管部48の内径は内管部46の外径と等しく、外管部48の外径は配筋12のピッチから配筋12の半径の2倍および被り厚さの2倍を引いた長さに設定される。
【0059】
この形成型10を用いて施工する場合、図10に示すように配筋12が配置された基礎型枠(図示せず)内に、第3端面50を垂直にした状態で、各配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した間隔を隔てた位置に外面がなるように形成型10を配置する。そして、基礎型枠内にコンクリートを流し込む。これにより、内管部46および外管部48が基礎14、16内の基礎貫通孔18に嵌まった状態で基礎14、16が形成される。この内管部46の両端に排水管を接続すると、内管部46は排水管の一部として利用される。
【0060】
そして、内管部46を交換する場合、図11に示すように外管部48を破壊して基礎14、16内から取り除くと、基礎貫通孔18の内面と内管部46の外面との間に隙間54ができ、それを利用して内管部46を基礎貫通孔18の中から取り出す。次に、図4(A)および図4(B)に示すように排水管30が取り出された基礎貫通孔18に新たな可撓性を有する排水管30を挿入する。この排水管30に外径が基礎貫通孔18の内径と等しい排水管30を用いると、外面全体が基礎貫通孔18の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔18に挿通される。また、図4(C)に示すように外径が基礎貫通孔18の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔18に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔18の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔18の内面から隙間31を隔てて、排水管30は基礎貫通孔18内に挿通される。
【0061】
このように、内管部46の外面に外管部48を設け、外管部48を破壊できるようにしておけば、基礎を傷つけることなく外管部48を除去して内管部46を容易に取り出すことができる。
【0062】
また、形成型10を取り除いて基礎貫通孔18を形成することにより、基礎貫通孔18の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔18とが交わる位置に鞘管を備えていない。よって、鞘管の肉厚による基礎貫通孔18の断面積の縮小がないため、新たな排水管30に最大外径が基礎貫通孔18の内径に等しい排水管30を用いることができる。
【0063】
なお、外管部48に湾曲部を設けたが、外管部48に屈曲部を設けることもできる。また、外管部48の一部を湾曲し、その他の部分を直線状にしたが、外管部48の全部を湾曲させることもできる。
【0064】
図12に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、鞘管およびその両端にそれぞれ接続される、たとえば2つのボイド管56を備える。
【0065】
鞘管は樹脂で形成される。鞘管は、断面形状が円形の筒状で、管軸方向に湾曲する曲管であって、鞘管に、たとえば45°ベント58が用いられる。その内径は、ボイド管56の外径と等しく設定される。
【0066】
ボイド管56は、その端部が45°ベント58の端部内に挿入されて、45°ベント58に接続される。ボイド管56は、紙で形成された直管である。その外径は排水管30の外径以上に大きく、かつ配筋12のピッチから配筋12の半径の2倍および被り厚さの2倍を引いた長さ以下に設定される。設定される。
【0067】
この形成型10を用いる場合、基礎型枠(図示せず)内に配筋12を配置してから、配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔てて形成型10を配置し、コンクリートを基礎型枠内に流し込む。コンクリートが乾燥した後、基礎型枠を解体してから、図13に示すように2つのボイド管56を基礎14、16の中から取り除く。取り除くと、その位置に基礎貫通孔59が設けられ、2つの基礎貫通孔59と45°ベント58とが連通される。基礎貫通孔59は、その内径がボイド管56の外径および45°ベント58の内径と等しい大きさで、ボイド管56と同じく直管状に形成される。基礎貫通孔59の下端開口59aは基礎の水平部16の外側面に設けられ、上端開口59bは基礎の水平部14の上面に設けられる。
【0068】
そして、図14(A)および図14(B)に示すように上端開口59bから基礎貫通孔59および45°ベント58の中に可撓性を有する排水管30を挿入する。このとき、外径が基礎貫通孔59の内径と等しい排水管30を用いると、外面が基礎貫通孔59および45°ベント58の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔59および45°ベント58に挿通される。また、一方、図14(C)に示すように、外径が基礎貫通孔59の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔59に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔59および45°ベント58の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔59および45°ベント58の内面から間隔を隔てて、排水管30は基礎貫通孔59および45°ベント58内に挿通される。
【0069】
このように、端部が45°ベント58の端部内に挿入されたボイド管56を基礎から取り除き、内径が45°ベント58の内径に等しい基礎貫通孔59が基礎内に形成される。これにより、基礎貫通孔59の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔59とが交わる位置に鞘管を備えておらず、鞘管の肉厚による基礎貫通孔59の断面積の縮小がない。このため、最大外径が基礎貫通孔59および45°ベント58の内径に等しい大きさの排水管30を基礎貫通孔59および45°ベント58内に挿入することができる。
【0070】
また、ボイド管56を45°ベント58に接続すると、市販品を使用して曲がった基礎貫通孔59を形成することができるため、材料コストを抑えられ、経済的に優れる。
【0071】
なお、45°ベント58内にボイド管56の端部を挿入したが、45°ベント58の端とボイド管56の端とを付き合わせたり、ボイド管56内に45°ベント58の端部を挿入したりすることもできる。
【0072】
図15に示すこの発明の他の実施例である形成型10は、鞘管およびその両端にそれぞれ接続される、たとえば2つのボイド管56を備える。なお、図12の形成型10の共通する部分については同じ番号を付して、その番号の説明は省略している。
【0073】
鞘管は、樹脂で形成され、曲管および受口付直管60を有する。曲管には、たとえば90°ベント62が用いられ、その外面に突起64が装着される。90°ベント62の端から突起64の位置までの長さは基礎の鉛直部16の幅より短く設定される。90°ベント62の一端62が受口付直管60の受口60aに挿入されて、90°ベント62は受口付直管60に接続される。90°ベント62および受口付直管60の内径は、ボイド管56の外径と等しく設定される。
【0074】
2つのボイド管56の一方のボイド管56は、その端部が90°ベント62の他端62bに挿入されて、鞘管に接続される。他方のボイド管56は、その端部が受口付直管60の管部60bに挿入されて、鞘管に接続される。
【0075】
この形成型10を用いる場合、まず基礎の水平部14の下方に基礎の鉛直部16が延びる基礎型枠(図示せず)を形成し、基礎型枠内に配筋12を配置する。そして、90°ベント62の突起64が基礎の鉛直部16の基礎型枠の内側に係止されるように、90°ベント62に接続されるボイド管56を基礎の鉛直部16の基礎型枠内に配置する。この突起64の位置は90°ベント62の端から基礎の鉛直部16の幅より短く設定されているため、90°ベント62は基礎の鉛直部16を貫通せずに、90°ベント62の端は基礎の鉛直部16内に位置する。また、受口付直管60に接続されるボイド管56を基礎の水平部14の基礎型枠内に配置する。2つのボイド管56をそれぞれ基礎型枠内に配置する際、配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔ててボイド管56を配置する。
【0076】
それから、図16に示すようにコンクリートを基礎型枠内に流し込み、コンクリートが乾燥した後、基礎型枠を解体して、2つのボイド管56を基礎14、16内から取り除く。最後に、ボイド管56を取り除いた位置に形成された基礎貫通孔59および90°ベント62の中に可撓性を有する排水管30を挿入する。このとき、外径が基礎貫通孔59の内径と等しい排水管30を用いると、外面全体が基礎貫通孔59および90°ベント62の内面に接した状態で排水管30は基礎貫通孔59および90°ベント62に挿通される。また、外径が基礎貫通孔59の内径より小さな排水管30を基礎貫通孔59および90°ベント62に挿入すると、排水管30の下部の外面が基礎貫通孔59および90°ベント62の内面に接し、排水管30の下部以外の外面が基礎貫通孔59および90°ベント62の内面から間隔を隔てて、排水管30は基礎貫通孔59内に挿通される。
【0077】
このように、基礎貫通孔59の周囲の配筋12を結んで形成される面と基礎貫通孔59とが交わる位置に鞘管を備えておらず、鞘管の肉厚による基礎貫通孔59の断面積の縮小がない。このため、基礎貫通孔59内に排水管30を直接挿通することにより、排水管30の外径を基礎貫通孔59の内径と同じ大きさまで大きくすることができる。
【0078】
なお、90°ベント62および受口付直管60内にボイド管56の端部を挿入したが、90°ベント62などの端とボイド管56の端とを付き合わせたり、ボイド管56内に90°ベント62などの端部を挿入したりすることもできる。
【0079】
また、図16では、鞘管に90°ベント62および受口付直管60を用い、2つのボイド管56を鞘管の両端にそれぞれ接続して、ボイド管56により基礎の水平部14および基礎の鉛直部16内にそれぞれ基礎貫通孔59を形成した。これに対して、図17に示すように、鞘管に、たとえば45°ベント66および受口付直管60を用い、この鞘管の端部内にたとえば1つのボイド管56を接続して、基礎の鉛直部16内に基礎貫通孔59を形成することもできる。この場合、水平面に土間コンクリート68を設けるが、土間コンクリート68は、その中に配筋12が含まれず、建物の基礎を構成しない。
【0080】
排水管30を施工する際、中に配筋12が配置された基礎の鉛直部16の基礎型枠を形成し、45°ベント66の突起64が基礎型枠の内側に係止されるようにしながら、外面が配筋12の中心から配筋12の半径と被り厚さとを足した距離以上を隔ててボイド管56を配置する。それから、コンクリートを基礎型枠内に流し込み、コンクリートの乾燥後、基礎型枠を解体して、2つのボイド管56を基礎内から取り除く。そして、図18に示すように、基礎貫通孔59および45°ベント66の中に可撓性を有する排水管30を挿入する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の一実施例の形成型を示す平面図である。
【図2】図1の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図3】図1の形成型を切断している状態を示す断面図である。
【図4】(A)は基礎貫通孔に外径が基礎貫通孔の内径と等しい排水管を挿通した状態を示す断面図であり、(B)は(A)の基礎貫通孔および排水管を示す断面図であり、(C)は基礎貫通孔に外径が基礎貫通孔の内径より小さな排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【図5】(A)はこの発明の別の実施例の形成型を示す平面図であり、(B)はこの発明のさらに別の実施例の形成型を示す平面図である。
【図6】この発明のさらに別の実施例の形成型を示す平面図である。
【図7】図6の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図8】図6の形成型を収縮した状態を示す断面図である。
【図9】この発明のさらに別の実施例の形成型を示す平面図である。
【図10】図9の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図11】図9の形成型を壊して取り除いた状態を示す断面図である。
【図12】この発明のさらに別の実施例の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図13】図12の形成型からボイド管を取り除いて、基礎内に基礎貫通孔を形成した状態を示す断面図である。
【図14】(A)は図13の基礎貫通孔および45°ベント内に外径が基礎貫通孔の内径と等しい排水管を挿通した状態を示す断面図であり、(B)は(A)の基礎貫通孔および排水管を示す断面図であり、(C)は基礎貫通孔に外径が基礎貫通孔の内径より小さな排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【図15】この発明のさらに別の実施例の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図16】図15の形成型からボイド管を取り除いて、基礎内に基礎貫通孔を形成し、その基礎貫通孔、90°ベントおよび受口付直管内に排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【図17】この発明のさらに別の実施例の形成型を基礎型枠内に配置した状態を示す断面図である。
【図18】図17の形成型からボイド管を取り除いて、基礎内に基礎貫通孔を形成し、その基礎貫通孔、45°ベントおよび受口付直管内に排水管を挿通した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
10…形成型
14…基礎の水平部
16…基礎の鉛直部
18、59…基礎貫通孔
20、36、38、48…管部
30…排水管
40…第1端面部
42…第2端面部
44…吸排気口
58、66…45°ベント
56…ボイド管
60…受口付直管
62…90°ベント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、
外径が前記排水管の外径以上に大きく形成された管部、および
前記管部に形成された切断部を備える、基礎貫通孔形成型。
【請求項2】
建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、
外径が前記排水管の外径以上に大きく形成された管部、
前記管部の両端開口をそれぞれ塞ぐ端面部、および
前記端面部に形成された吸排気口を備え、
前記吸排気口から空気を注入すると一定形状を維持し、前記吸排気口から空気を抜くと収縮する、基礎貫通孔形成型。
【請求項3】
建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、
外径が前記排水管の外径以上に大きく形成されたボイド管、および
前記ボイド管に接続される鞘管を備える、基礎貫通孔形成型。
【請求項4】
請求項1または2の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、
基礎型枠を形成し、
前記基礎型枠内に前記基礎貫通孔形成型を配置し、
前記基礎型枠内にコンクリートを流し込み、
前記コンクリートが乾いた後に前記基礎貫通孔形成型を取り除き、そして
前記基礎貫通孔に前記排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法。
【請求項5】
請求項3の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、
基礎型枠を形成し、
前記基礎型枠内に前記ボイド管を含む前記基礎貫通孔形成型の少なくとも一部を配置し、
前記基礎型枠内にコンクリートを流し込み、
前記コンクリートが乾いた後に前記ボイド管を取り除き、そして
前記基礎貫通孔および前記鞘管に前記排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法。
【請求項6】
コンクリートで形成され、中に配筋が埋設された基礎、
前記配筋から被り厚さ以上の間隔を隔てて設けられ、かつ前記基礎を貫通する基礎貫通孔、および
前記基礎貫通孔の周囲の前記配筋を結んで形成される面と前記基礎貫通孔とが交わる位置に鞘管を備えていない、基礎構造。
【請求項1】
建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、
外径が前記排水管の外径以上に大きく形成された管部、および
前記管部に形成された切断部を備える、基礎貫通孔形成型。
【請求項2】
建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、
外径が前記排水管の外径以上に大きく形成された管部、
前記管部の両端開口をそれぞれ塞ぐ端面部、および
前記端面部に形成された吸排気口を備え、
前記吸排気口から空気を注入すると一定形状を維持し、前記吸排気口から空気を抜くと収縮する、基礎貫通孔形成型。
【請求項3】
建物の基礎に設けられ、かつ排水管が挿通される基礎貫通孔を形成するための基礎貫通孔形成型であって、
外径が前記排水管の外径以上に大きく形成されたボイド管、および
前記ボイド管に接続される鞘管を備える、基礎貫通孔形成型。
【請求項4】
請求項1または2の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、
基礎型枠を形成し、
前記基礎型枠内に前記基礎貫通孔形成型を配置し、
前記基礎型枠内にコンクリートを流し込み、
前記コンクリートが乾いた後に前記基礎貫通孔形成型を取り除き、そして
前記基礎貫通孔に前記排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法。
【請求項5】
請求項3の基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法であって、
基礎型枠を形成し、
前記基礎型枠内に前記ボイド管を含む前記基礎貫通孔形成型の少なくとも一部を配置し、
前記基礎型枠内にコンクリートを流し込み、
前記コンクリートが乾いた後に前記ボイド管を取り除き、そして
前記基礎貫通孔および前記鞘管に前記排水管を挿通する、基礎貫通孔形成型を用いた排水管の施工方法。
【請求項6】
コンクリートで形成され、中に配筋が埋設された基礎、
前記配筋から被り厚さ以上の間隔を隔てて設けられ、かつ前記基礎を貫通する基礎貫通孔、および
前記基礎貫通孔の周囲の前記配筋を結んで形成される面と前記基礎貫通孔とが交わる位置に鞘管を備えていない、基礎構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−132134(P2007−132134A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327940(P2005−327940)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
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