説明

塊状処理剤、顆粒状処理剤、および、塊状処理剤または顆粒状処理剤を備えてなる吸収性物品またはトイレ

【課題】本発明では、消臭効果の点で問題を改善し、あるいは、使用上の課題を解決した、新規な処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも1種の酸性固形物質と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含む、塊状処理剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊状処理剤、顆粒状処理剤、および、塊状処理剤または顆粒状処理剤を備えてなる吸収性物品またはトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国民の生活水準の向上に伴い、健康および衛生に関する意識も高まっており、家庭や産業から発生する廃棄物の臭気の処理は必要不可欠なものになりつつある。
【0003】
例えば、排便、排尿後のトイレやポータブルトイレから発する糞尿臭は不快で、効率よく消臭する方法が求められている。特に、ポータブルトイレは居室や病室内で使用されることが多く、その場合、居室や病室内全体に糞尿臭が臭うため、特に有効な消臭方法が求められている。
【0004】
かような、トイレやポータブルトイレの糞尿臭の消臭方法として、消臭効果のある薬剤を排泄後に添加する方法が知られている。使用する薬剤の形態として、液体タイプ、顆粒タイプ、錠剤タイプ、フォーム(泡)タイプ、シートタイプのものが市販されている。これらの中で、例えば、液体タイプのものとしては、特許文献1のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−125384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、このような従来の消臭効果のある薬剤においては、消臭効果の点で問題があることを認識した。また、従来においては認識されていない、使用上の課題が存在していることについて、認識した。よって、本発明では、消臭効果の点で問題を改善し、あるいは、使用上の課題を解決した、新規な処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、以下の発明を提供することによって解決される。
【0008】
(1)少なくとも1種の酸性固形物質と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含む、塊状処理剤。
【0009】
(2)前記少なくとも1種の酸性固形物質が、酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバンおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される、(1)に記載の塊状処理剤。
【0010】
(3)前記少なくとも1種の酸性固形物質が、酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される1種と、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバンおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される1種と、の組み合せである、(1)または(2)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
【0011】
(4)ゼオライトをさらに含む、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
【0012】
(5)活性炭または潤滑剤である添加剤をさらに含む、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
【0013】
(6)前記吸水性ポリマーが、アクリル酸系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはデンプン系ポリマーである、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
【0014】
(7)小便の処理に用いられる、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
【0015】
(8)(1)〜(7)のいずれか1つに記載の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤。
【0016】
(9)(1)〜(7)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(8)に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器。
【0017】
(10)水の非存在下に、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(8)に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、(9)に記載の便器。
【0018】
(11)(1)〜(7)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(8)に記載の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品。
【0019】
(12)(1)〜(7)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(8)に記載の顆粒状処理剤と、小便と、を接触させることを含む、処理方法。
【0020】
(13)(1)〜(7)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(8)に記載の顆粒状処理剤を、水が非存在の容器に配置することを含む、(12)に記載の処理方法。
【0021】
(14)前記接触が、1〜36時間行われる、(12)または(13)に記載の処理方法。
【0022】
(15)前記接触によって、前記小便のpHが3〜6になるように調整することを含む、(12)〜(14)のいずれか1項に記載の処理方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記の発明によって、以下の効果を有する。
【0024】
(1)本発明の第1は、少なくとも1種の酸性固形物質と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含む、塊状処理剤である。本発明の第1の塊状処理剤の構成であれば、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に被処理物(例えば、尿)を処理することが可能であり、悪臭を抑制することができる。本発明の第1においては、少なくとも1種の酸性固形物質が含まれているので、被処理物(例えば、尿)中に含まれるアンモニア成分を中和し、悪臭を抑制することができる。また、本発明の第1の塊状処理剤は、固形化されているため、使用時に粉塵が舞わないため、取り扱い性が向上する。特に、介護の現場でも、粉塵が発生しないという効果から、被介護者(介護を受ける側の高齢者や障害者など)、使用者、介護者の健康被害を抑制することもできる。さらに、本発明の第1の塊状処理剤は、吸水性ポリマー(高分子吸水剤)が混合されることによって固化されてなる処理剤であるため、中に含まれる高分子吸水剤が、被処理物中に含まれる水分に接触した際に膨潤による崩壊の基点となる役目となる。よって、ハンドリングが非常によいという塊状という形態の特性を活かしつつ、被処理物との接触後に生じる崩壊によって被処理物との接触面積が向上し、粉状と同程度以上の反応性を確保することができる。
【0025】
(2)また、本発明の第1の塊状処理剤において、前記少なくとも1種の酸性固形物質が、酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバンおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択されることによって、さらに上記の効果を奏する。
【0026】
(3)また、本発明の第1の塊状処理剤において、前記少なくとも1種の酸性固形物質が、酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される1種(以下「第1成分」とも称する)と、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバン、フマル酸ナトリウムおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される1種(以下「第2成分」とも称する)と、の組み合せであることによって、上記(1)または(2)の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0027】
被処理物(例えば、尿)から発生する悪臭の原因は、様々あり、例えば、アンモニア、あるいは、アセトン、アセト酢酸、3−ヒドロキシ酪酸などのケトン体(例えば、糖尿病患者の尿)がある。また、尿によっても臭いの強さが異なることがある。本実施形態によれば、1種の酸性固形物質だけでは取りきれない臭気がある場合でも、さらに、他の種類の酸性固形物質とを組み合わせるので、効率的に悪臭を抑制することができ、また、消臭の効果も長い時間持続する。
【0028】
特に、本発明の第1の塊状処理剤には、吸水性ポリマーが含まれる。かかる吸水性ポリマーが、アクリル酸系ポリマー(特には、ポリアクリル酸塩)の場合で、かつ、少なくとも1種の酸性固形物質が、第1成分(未中和の酸性成分)(塩の形態ではない酸性成分)のみからなる場合、吸水性ポリマーの吸水特性の観点からすると必ずしも好ましくない場合がある(詳細は後述する)。本実施形態によれば、第2成分として、酸性成分の塩の形態または腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)が含まれるので、吸水性ポリマーの吸水性が保持され、ひいては、被処理物との反応性を有意に確保することができる。なお、本発明者は、上記の好ましくない場合は、従来の粉末状態の際(つまり、バインダを添加しない粉末状態)に、特に顕著であるという知見も得ている。本形態によれば、バインダを添加して構成される塊状状態であるので、吸水特性の低下を有意に抑制することができる。
【0029】
(4)本発明の第1の塊状処理剤において、ゼオライトをさらに含むことによって、少なくとも1種の酸性固形物質だけでは取りきれない悪臭を抑制する。
【0030】
(5)また、本発明の第1の塊状処理剤が、活性炭または潤滑剤である添加剤をさらに含むことによって、さらに上記の効果を奏する。より具体的には、活性炭は、ゼオライトを補助する効果を有し、被処理物から発生する悪臭を抑制する働きを有する。また、潤滑剤は、本発明の第1の塊状処理剤を作製する際に使用される打錠機の臼へのフィードをスムーズにすることができる。
【0031】
(6)また、本発明の第1の塊状処理剤において、前記吸水性ポリマーが、アクリル酸系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはデンプン系ポリマーであることによって、以下の効果を奏する。まず、アクリル酸系ポリマーは、他の吸水性ポリマーと比較して、安価であり、しかも、吸水特性が高いため、膨潤・崩壊による被処理物との反応性が高くなる。また、セルロース系ポリマーまたはデンプン系ポリマーは生分解性を有するため、環境への親和性が高く、さらには、処理済の被処理物を廃棄する際も、水洗トイレに流すこともできるため、廃棄が容易なものとなり、被介護者(介護を受ける側の高齢者や障害者など)、使用者、介護者などの負担が減る。
【0032】
(7)本発明の第1の塊状処理剤を小便の処理に用いることによって、上記(1)〜(6)で述べた効果を効率的に発揮することができる。
【0033】
(8)本発明の第2は、本発明の第1の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤である。顆粒状処理剤であると、塊状処理剤のように固形状態を長持間保つ必要がないのでバインダの量を少なくできるとの観点で、単位重量当たりの有効成分の割合を高めることができる。また、上記(3)で述べた吸水特性が上がるとの効果をも有する。つまり、一旦塊状物にしてしまえば、それを粉砕して顆粒物にしても、かかる吸水特性を上げるという効果が継続するため、好ましい(これについても、詳細は後述する)。
【0034】
(9)本発明の第3は、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器である。まず、本発明の第1の塊状処理剤が予め配置されてなる、便器の構成によれば、上記(1)〜(8)で説明した以外に、以下の効果を奏する。すなわち、塊状処理剤は、固形化されている形態であるため、ポータブルトイレ等に前もって敷いておき、その上から排尿等をすることができる。実際の介護の現場では、被介護者(介護を受ける側の高齢者や障害者など)が、夜就寝時にベッドの横にポータブルトイレをおいてそこで使用することが求められることがある。よって、介護者(介護をする側の家族など)は、予め、そのポータブルトイレ(便器)に本発明の第1の塊状処理剤を配置しておけば、介護者が夜中に起こされ、介護作業をすることを避けることができ、ひいては、介護の負担を軽減させることができる。また、本発明の第1の塊状処理剤が含まれているため、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、従来の介護用トイレに用いられていた消臭剤(例えば、次亜塩素酸ソーダ、界面活性剤など)を、特に小便の処理に用いた場合は、消臭効果を満足に得ることができなかったが、本実施形態によると、満足な効果(例えば、強力な消臭効果、脱臭効果)を得ることができる点で好ましい。また、本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器の構成によれば、上記(1)〜(8)で説明した以外に、以下の効果を奏する。すなわち、予め配置されてなる少量の水を入れ、いわゆるマットのような形状(一つの塊)になって使用することができる。よって、下水などに流すことができるバインダ(例えば、水溶性バインダ)と組み合わせることによって、処理後、そのままトイレに流すこともできる。さらに、本発明の第1の塊状処理剤によって処理された被処理物を覆うように添加することによって使用する補助剤としても使用できる。
【0035】
(10)また、本発明の第3において、水の非存在下で本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる便器であると、上記(9)で述べた効果の他に以下の効果を奏する。従来の介護用トイレは、糞尿を受ける容器に水を張っておくことが一般的であった。そうすると、使用後(例えば、朝起きた後)、介護者は、夜中中放置された尿等を水洗トイレに流して、風呂場などで洗浄などをする必要があり、臭いに悩まされながら、さらに、洗浄の時間や労力に苦痛を覚えていた。かかる形態において、表面が撥水処理されている袋などのものを用意して、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を敷いておけば、それごと、廃棄することができ、尿等を受ける容器を洗浄する必要もなく、介護等の負担を非常に軽減することもできる。また、本発明の第3の便器は、従来の水性溶媒を必須としていた介護用トイレとは異なり、使用後の処理された尿等の運搬が非常に容易となる。
【0036】
(11)本発明の第4は、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品である。かかる構成によれば、おむつやペット用糞尿吸収シートの強力な脱臭力を有する新たな吸収剤として使用できる効果がある。
【0037】
(12)本発明の第5は、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤と、小便と、を接触させることを含む、処理方法である。かかる処理方法によれば、上記(9)と同様の効果を奏する。
【0038】
(13)また、本発明の第5において、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を、水が非存在の容器に配置することを含むと、上記(10)と同様の効果を奏する。
【0039】
(14)また、本発明の第5において、前記接触が、1〜36時間行われることによって、効率的に小便を処理することができる。特には、8時間以上、12時間以上または24時間以上のような、長持間に亘り、上記(9)や(10)と同様の効果を奏する。このように、長持間、効果が持続することによって、介護者の介護作業の自由度が向上し、頻繁に処理などを行わなければならない介護者の介護の負担を著しく軽減することができる。
【0040】
(15)本発明の第5において、前記接触によって、前記小便のpHが3〜6になるように調整することを含むことによって、特に消臭効果の点が著しく顕著である。つまり、処理した小便をpH3〜6になるように接触させることによって、上記(9)や(10)と同様の効果(特に、悪臭の抑制)を顕著に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、処理前の小便のpHと、処理後の小便のpHの経時変化を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例の処理剤と比較例の処理剤とを用いて小便を処理したときのアンモニア濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
<本発明の第1>
本発明の第1は、(1)少なくとも1種の酸性固形物質と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含む、塊状処理剤である。
【0043】
本発明の第1の塊状処理剤は、少なくとも1種の酸性固形物質を含む。好ましくは2〜8種類、より好ましくは2〜5種類、さらに好ましくは2〜3種類の酸性固形物質を含む。特に、2種類以上含むことによって、1種類では取りきれない悪臭を抑制することができる。
【0044】
本発明の第1の塊状処理剤の粒径は、1粒当たり、好ましくは直径3〜100mm程度、より好ましくは、5〜20mm程度、さらに好ましくは6〜18mm程度である。かかる範囲であることによって、粉塵に起因する問題を有意に解決することができ、上記の効果を奏することが容易となる。また、運搬性などの取り扱い性も向上する。なお、かかる粒径は、10粒の塊状処理剤を不作為に選択して、1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する(平均粒子径)。また、本明細書に記載の「平均粒子径」は、他の成分においても同様に定義される。また、塊状処理剤の平均厚さは、好ましくは50μm〜100mm未満程度、より好ましくは、100μm〜20mm程度、さらに好ましくは500μm〜15mm、特に好ましくは1〜12mm、もっとも好ましくは3〜10mmである。かかる範囲であることによって、上記した効果を奏することが容易となる。
【0045】
また、本発明の第1の塊状処理剤の重量にも特に制限はないが、運搬性や取り扱い性を鑑みると、1粒当たりの重量は、好ましくは0.05〜30g程度であり、より好ましくは、0.2〜10g程度、さらに好ましくは0.3〜2g程度である。無論、この範囲外であってもよい。使用用途によって適宜調節すればよい。以下、本発明の構成要件を詳説する。
【0046】
[少なくとも1種の酸性固形物質]
本発明で用いることができる酸性固形物質としては、温度−10〜60℃、好ましくは0〜50℃であり、圧力0.5〜1.2atm、好ましくは1atmの状態で、固体の形態で存在できる酸性物質であれば、無機酸またはその塩、有機酸またはその塩、フミン酸に代表される無定形高分子有機物など、従来公知の如何なるものも使用することができる。
【0047】
かかる酸性固形物質のpHにも、酸性を示すものであれば特に制限はないが、pH7未満〜1であることが好ましく、pH6以下、pH5以下、pH4以下、pH3以下あるいはpH2以下であることが好ましい。また、2種類以上の酸性固形物質を用いる場合のpHは、同一のものでも、異なるものでもよい。なお、本明細書中に記載のpHは、実施例に記載の方法によって測定された値を意味する。かような範囲内のpHを有していれば、被処理物(例えば、尿)に含まれる塩基性成分(例えば、アンモニア)などと中和し、悪臭を効率的に抑制することができる。なお、より酸性が強くなる(例えば、pH3.5以下である)と、小便に含まれるアンモニアなどの塩基成分との中和反応の進行が顕著となり、脱臭、消臭効果などの上記した効果が顕著に発揮される点で好ましい。また、かような範囲であると、吸水性ポリマーを補助したりするという観点でも好ましい。
【0048】
本発明で用いることができる酸性固形物質は、より具体的には、(2)酢酸、クエン酸(食品添加物 pH:2.36)、イソクエン酸、リンゴ酸(食品添加物 pH:2.45)、酒石酸(食品添加物 pH:2.28)、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される、未中和の酸性成分(第1成分)(塩の形態ではない酸性成分)などであってもよい。また、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム(食品添加物(pH:4.3〜4.9)、工業用(pH:4.1〜4.9)(1%溶液)、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム(食品添加物(pH:4.4〜4.9)、工業用(pH:4.4〜4.9)(1%溶液)、ピロリン酸二水素二ナトリウム(食品添加物(pH:3.8〜4.5)、工業用(pH:3.8〜4.5)(1%溶液)、酸性トリポリリン酸アルミニウム工業用(pH:2.4〜2.8)(1%溶液)、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム(酸性ピロリン酸ナトリウム(食品添加物(pH:3.8〜4.5)(1%溶液)、ウルトラリン酸ナトリウム(食品添加物(pH:1.7〜1.9)、工業用(pH:1.7〜1.9)(1%溶液)、フマル酸ナトリウム(食品添加物(pH:3.0〜4.0)(1%溶液)、硫酸バンド工業用(pH:3.0以上)(1%溶液)、スルファミン酸、ミョウバン工業用(pH:約3.5)(12水塩)および腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される、中和の酸性成分(水に溶かすと酸性を示す塩)やフミン酸(第2成分)などであってもよい。
【0049】
なお、酸性固形物質が第1成分のみからなる場合、例えば、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩を使用した場合、ポリアクリル酸塩の「塩部分」を消費してしまい、吸水特性の観点から好ましくない場合がある(この場合であっても、(3)の形態のように変更すればよい)。しかしながら、被処理物(例えば、尿)のアンモニアを中和する効果は高いという点では好ましい。一方で、酸性固形物質が第2成分のみからなる場合、吸水特性の観点からは好ましい。
【0050】
なお、下記でも記載するが、本発明の第5において、(12)本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤と、小便と、を接触させることを含む、処理方法が提供される。そして、本発明の第5の好ましい実施形態によると、(15)前記接触によって、前記小便のpHが3〜6になるように調整することを含む。上記でも述べたが、被処理物(例えば、尿)の成分量(特に、アンモニアの量)は、年齢や体質などによって異なることがある。換言すると、個人によって、小便のpHが異なることがある。本発明者は、発明を完成するに当たり、特に、高齢者の尿は、pHが比較的高い(例えば、8〜9.5)ということを考慮している。本発明者は、本発明を完成するに至る鋭意研究の下、例え、pHが高い数値であっても、処理前の小便のpHの如何に関らず、処理後の小便のpHを3〜6に調整することによって、従来の消臭剤では得られなかった、高い消臭効果や消臭持続効果を得ることができることを見出した。つまり、換言すれば、そのように調節できるように酸性固形物質を1種または2種以上適宜選択すれば好ましい。
【0051】
上記で列挙した具体的な酸性固形物質は、従来公知の方法を適宜参照し、あるいは、組み合わせて、合成してもよいし、市販品を購入して準備してもよい。
【0052】
市販品としては、大明化学工業(株)の硫酸バンド、ミョウバン、磐田化学工業(株)のクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、イタコン酸、スピクリスポール酸、築野食品工業(株)のフィチン酸、(株)日本触媒のコハク酸、フマル酸、無水マレイン酸、日本合成化学工業(株)の無水酢酸、扶桑化学工業(株)のグルコン酸、スルファミン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、フィチン酸、イタコン酸、(株)伏見製薬所の安息香酸、安息香酸ナトリウム、高杉製薬株式会社のシュウ酸、硝酸、丸石製薬のサリチル酸、キリン協和フーズ(株)のイノシン酸、グルタミン酸、グルタミン酸、ダイセル化学工業(株)のソルビン酸、日本化学工業(株)のホスホン酸、旭化成ケミカルズ(株)のアジピン酸、三菱化学(株)のテレフタル酸、ナガセケムテックス(株)のニトリロ三酢酸、上野製薬株式会社のヒドロキシ安息香酸、ミテジマ化学工業のリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウムなどがある。無論、これら以外の市販品を購入してもよい。
【0053】
ここで、腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)について説明する。草炭(泥炭と称される場合もある)には、腐植酸(フミン酸)が含まれている。フミン酸は、腐植酸とも呼ばれ、天然のままの粉体、無定形のものを単に「フミン」とも呼ばれることがある。フミンは一般的に、土壌改良資材として用いられ、特に化学肥料に依存してきた耕土にリン酸の固定防止、植物養分の有効化、土壌物理性の改善、陽イオン交換容量の増大などの効果が認められている。フミンは団粒形成の一環となりうる粒子の集まりで、成分としては偏った肥効はなく、粘土成分や細菌など徴生物による糊状物と結びつき、海綿状団粒を形成する。この団粒の乱隙による水分の保持は可逆的で、通気性をも兼ね備えているものである。草炭(泥炭)に含まれる腐植酸(フミン酸)の含有量は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上の順で好ましく、実際的には、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下になることがある。かような範囲であると、小便などに含まれるアンモニアなどの塩基を中和する観点で好ましい。例えば、25質量%以上の腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)は、市販品を購入することで準備することができ、例えば、明京商事株式会社のフミンエース、株式会社アートレイ社製のモフミン(登録商標)、那須緑地株式会社製 天然腐植酸フミン酸、電気化学工業株式会社(デンカアヅミン株式会社)製のカオラン(登録商標)(pH=3.0)、アヅミン(登録商標)(pH=6.8)、アヅミン1号などが好適に使用できる。中でも、pH3.5以下であるという観点で、カオラン(登録商標)、が好ましい。
【0054】
本発明の第1の塊状処理剤においては、上記のように、酸性固形物質を2種類以上含むことが好ましい。2種類以上含むことによって、1種類では取りきれない悪臭を抑制することができる。
【0055】
より好ましい酸性固形物質の組み合わせは、(3)酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される1種(第1成分)と、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバン、フマル酸ナトリウムおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される1種(第2成分)と、の組み合せである。
【0056】
吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)を使用した場合で、かつ、酸性固形物質が、第1成分のみから構成される場合、かかる酸性固形物質が、吸水性ポリマーが有する「塩」の部分に作用して、吸水性を低下する虞がある。本実施形態によれば、第2成分の酸性固形物質が塩の形態になっており、それと組み合わせるため、上記の作用を軽減し、吸水力の低下を顕著に抑制することができる。また、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)を使用した場合で、かつ、第2成分の酸性固形物質が、腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)である場合は、腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)自体が、吸水性を示す特性を有するものであるため、塊状処理剤全体としての吸水性は有意に確保されているという効果を有する。
【0057】
さらに好ましい酸性固形物質の組み合わせは、第1成分として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸またはスルファミン酸と、第2成分として、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、フマル酸一ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムまたは腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)との組み合せである。このように、第1成分の他に第2成分を含ませることによって、第1成分だけでは取りきれない臭気を除去することができる。さらには、このように第1成分(塩の形態ではない酸性成分)だけではなく、第2成分として、塩の形態である酸性成分または腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)が含まれると、吸水性ポリマーの吸水性が保持され、ひいては、被処理物との反応性を有意に確保することができる。
【0058】
2種類以上の酸性固形物質を使用する際の本発明の効果は、比較的、高温多湿の環境で使用される場合(例えば、亜熱帯、熱帯地域の夏場など)、顕著である。より具体的には、温度としては、20℃〜50℃、あるいは、25℃〜40℃程度であり、相対湿度としては、50〜100%、あるいは、75〜90%の環境で使用する場合、顕著である。このような環境であると、尿中のアミン類の反応が顕著となり、アンモニアの生成も促進されてしまう虞がある。そうすると、長期間(例えば、8〜36時間)被処理物(例えば、尿)を放置した場合、腐敗が顕著に進んでしまい悪臭が酷くなりやすい。このような場合であっても、2種類以上の酸性固形物質を組み合わせることによって、抑制することができる(当然であるが、そのような過酷な条件でも本発明の所期の効果を奏することができるので、上記したものよりも低い温度、湿度では、さらに顕著に効果を奏することは言うまでもない)。換言すると、1種類のみの酸性固形物質を使用する場合の好ましい環境は、−10℃以上20℃未満、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。また、相対湿度としても特に制限はないが、0〜100%、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。
【0059】
少なくとも1種の酸性固形物質の量(2種類であれば、2種類の合計質量)は、塊状処理剤全体(100質量%)に対して、好ましくは、10〜95質量%、より好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは19〜30質量%である。
【0060】
少なくとも1種の酸性固形物質の大きさにも特に制限はないが、平均粒子径(上記と同様に算出する)が、100nm〜3mm程度、より好ましくは0.01〜1mm程度のものであることが、粉体の形態であると塊状にし易く、吸水性ポリマーの補助的役割をする観点で好ましい。無論、種類によって、あるいは、製造の便宜を考慮して、これらの範囲を逸脱するものであっても構わない。
【0061】
[吸水性ポリマー(吸水剤、高分子吸水剤とも称することがある)]
また、本発明の第1の塊状処理剤は、吸水性ポリマーを含む。本発明の第1の塊状処理剤に含まれる吸水性ポリマー(吸水剤)は、前記主成分(酸性固形物質、ゼオライト)を補助する役割をする。つまり、例えば、主成分として、酸性固形物質やゼオライトだけを用いた場合、被処理物(例えば尿)を吸収しきれない場合がある。例えば、被処理物(例えば尿)の量が多い場合などでは、主成分として酸性固形物質やゼオライトが下に沈み、被処理物との接触効率がよくない。本発明の第1の塊状処理剤は吸水性ポリマーを含むため、吸水による膨潤によって、被処理物との接触効率を向上させ、ひいては、反応性も向上する。さらに、被処理物中の水分を吸収し固化するため、被処理物が固化し、固化した被処理物の周囲を主成分が覆う形となり、悪臭の原因物質や、微生物の発酵、分解活動を止めることができ、ひいては、上述した効果を有することができる。さらには、上記のように、吸水性ポリマーが、水分に接触した際に膨潤するため、固化されている処理剤の崩壊の基点となる役目をする。
【0062】
本発明で用いられる吸水性ポリマーは、特に制限はなく、公知の物質を使用することができるが、例えば、(6)アクリル酸系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはデンプン系ポリマーであることが好ましい。上記のように、アクリル酸系ポリマーは、他の吸水性ポリマーと比較して、安価であり、しかも、吸水特性が高いため、膨潤・崩壊による被処理物との反応性が高くなる。また、セルロース系ポリマーまたはデンプン系ポリマーは生分解性を有するため、環境への親和性が高く、さらには、処理済の被処理物を廃棄する際も、水洗トイレに流すこともできるため、廃棄が容易なものとなり、被介護者(介護を受ける側の高齢者や障害者など)、使用者、介護者などの負担が減る。
【0063】
具体的な例としては、例えば、例えばデンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体などのデンプン系吸水性ポリマー、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト共重合体などのセルロース系吸水性ポリマー、多糖類系吸水性ポリマー、コラーゲン等のたんぱく質系吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール架橋重合体などのポリビニルアルコール系吸水性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体などのアクリル系吸水性ポリマー、無水マレイン酸系吸水性ポリマー、ビニルピロリドン系吸水性ポリマー、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体などのポリエーテル系吸水性ポリマー等などが挙げられる。これら吸水性ポリマーは、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これら吸水性ポリマーは、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、アクアキープ(登録商標)SA−60(住友精化株式会社製)、アクアリック(登録商標)CA(株式会社日本触媒製)、サンフレッシュ、アクアパール(サンダイヤポリマー株式会社製)、ハイモサブHS−960(ハイモ株式会社製)などが挙げられる。これら吸水性ポリマーの中でも、アクアキープ(登録商標)SA−60(住友精化株式会社製)がより好ましい。
【0064】
前記吸水性ポリマーの形状も特に制限されず、例えば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状等が例示できる。
【0065】
前記吸水性ポリマーが粒状である場合、その平均粒子径にも特に制限はないが、好ましくは840μm〜90μm、より好ましくは500μm〜106μm程度である。
【0066】
吸水性ポリマーの含有量は、吸水性ポリマーの種類や形状、および被処理物に含まれる水分量などにより適宜調整可能であるが、本発明の第1の塊状処理剤の総質量に対して、1〜80質量%、5〜50質量%、10〜30質量%程度であることが好ましい。かかる範囲であれば、吸水性ポリマーの効果を有意に得られ、未反応の吸水性ポリマーが残留せず、コスト的に有利である。
【0067】
[結合剤(バインダ)]
本発明の第1の塊状処理剤は、バインダを含む。本発明の第1の塊状処理剤は、固形化されているため、使用時に粉塵が舞わないため、取り扱い性が向上する。特に、介護の現場でも、粉塵が発生しないという効果から、被介護者(介護を受ける側の高齢者や障害者など)、使用者、介護者の健康被害を抑制することもできる。さらに、本発明の第1の塊状処理剤に含まれるバインダは、有機系バインダであっても、重曹などの無機系バインダであってもよい。しかし、結着性を鑑みると、セルロース系バインダ、高分子系バインダおよびでんぷん系バインダからなる群から選択される少なくとも1種の有機系バインダであることが好ましい。特に、セルロース系バインダであると好ましい。
【0068】
本発明の第1の塊状処理剤は、酸性固形物質やゼオライトなどの成分が固形化されている点にも特徴を有する。本発明の第1の塊状処理剤は、これらのほかに吸水性ポリマー(吸水剤)などが含まれるが、かかる吸水性ポリマー(吸水剤)は、固形化時(圧縮時)にクッション的な役割になり打錠や圧縮が困難となる場合がある。
【0069】
しかしながら、本発明の第1の塊状処理剤は、結合剤(バインダ)を含むため、固形化、タブレット化、造粒化が容易となる。そして、結合剤(バインダ)が含まれるという形態によって、本発明の第1の塊状処理剤は、十分な強度を有する。その点、運搬性や取り扱い性の観点で好ましい。
【0070】
本発明の第1の塊状処理剤に含まれるバインダは、従来公知の方法で合成しても、市販品を購入することによって準備してもよい。市販品としては、旭化成ケミカルズ社製のPH−102、TG−101、ST−02、TG−101や、樋口商会社製PVPK−15、PVPK−30、PVPK−90(ポリビニルピロリドン)、日本製紙ケミカル社製のKCシリーズ(KCフロック W−50S、W−50、W−100/100G、W−200/200G、W−250、W−300G、W−400G)、旭化成ケミカルズ社製のセロッサシリーズ(セロッサK2)などが好適に使用されるが、中でも、セルロース系の日本製紙ケミカル社製のKCシリーズ、旭化成ケミカルズ社製のセオラス、セロッサシリーズが結着性の観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。特に、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2は、形状が粒状であり粒子が細かいので、結合力も高く、打錠機のホッパーからのフィードがスムーズである観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。
【0071】
バインダの含有量は、本発明の第1の塊状処理剤の総質量に対して、固形化に寄与することが主であるため、少なければ少ないほど好ましいが、現実的には、好ましくは0.1〜75質量%、より好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは15〜65質量%、特に好ましくは20〜60質量%程度である。なお、後述する本発明の第2であると、バインダの量を少なくできる点で好ましい。かかる範囲であると、粉状である酸性固形物質や、ゼオライトや、吸水性ポリマーを塊状にし、使用時の粉塵飛散を防ぐ効果が特に顕著である。
【0072】
[ゼオライト]
本発明の第1の塊状処理剤は、(4)ゼオライトを含むのが好ましい。「ゼオライト」とは沸石類と呼ばれる鉱物の総称で、天然のゼオライトは約40種類発見されている。本発明の第1の塊状処理剤に、ゼオライトが含まれると、糞尿(特に、小便)に含まれるアンモニア成分を吸着し、消臭、脱臭に効果がある。そして、本発明の少なくとも1種の酸性固形物質では取りきれない悪臭を吸着する効果がある。
【0073】
本発明の第1の塊状処理剤に含まれるゼオライトは、天然のものであっても、人工的なものであってもよいが、入手性の観点からは、人工的なものであることが好ましい。また、本発明のゼオライトは、水や窒素分子よりも少し大きい5.5〜8Å程度の極微小な空洞がトンネル状に構成されているモルデナイトと呼ばれるゼオライトであることが好ましい。
【0074】
市販品を購入する場合、新東北化学工業(株)社製の、ゼオライト2460、ゼオライト60、ゼオライトCPなどが好ましい。
【0075】
本発明のゼオライトの平均粒子径にも特に制限はないが、0.5mm以下程度が好ましく、より好ましくは、0.4mm以下であり、下限としては、10μm以上程度である。
【0076】
本発明で使用したゼオライト(ゼオライト60)には、SiO(酸化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)、CaO(酸化カルシウム)、NaO(酸化ナトリウム)、KO(酸化カリウム)、Fe(酸化鉄)、MgO(酸化マグネシウム)、付着水(HO)、結合水(HO)、その他が、それぞれ、70.5質量%、11.3質量%、2.6質量%、1.6質量%、1.3質量%、0.7質量%、0.1質量%、8.0質量%、3.9質量%程度含まれるものであるが、無論、かかる組成に限定されることはなく、それぞれの成分が0.1〜2割程度増減して、合計が100%になるように調製されたものを用いてもよい。なお、本発明において、例えば、K[AlSi]などのゼオライトを用いてもよい。
【0077】
ゼオライトを使用する場合の使用量は、ゼオライトの種類や形状、および被処理物(例えば、尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、本発明の第1の塊状処理剤の総質量(100質量%)に対して、1〜70質量%の範囲であることが好ましく、5〜50質量%の範囲であることがより好ましく、10〜30質量%の範囲であることがさらに好ましい。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
【0078】
[添加剤]
また、(5)本発明の第1の塊状処理剤は、活性炭または潤滑剤である添加剤をさらに含むことによって、さらに上記の効果を奏する。
【0079】
(活性炭)
本発明で用いられうる活性炭は、尿等から発生する悪臭を抑制する働きを有する。より具体的には、活性炭は、ゼオライトを補助する効果を有し、被処理物から発生する悪臭を抑制する働きを有する。
【0080】
本発明で用いられうる活性炭は、特に制限されない。活性炭の具体的な例としては、例えば、木炭、コークス、ヤシガラ、天然繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール樹脂などの合成樹脂、ピッチなどを原料として用い、公知の方法で得られた活性炭が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、前記活性炭は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、活性炭GYアルカリ用、活性炭GX酸性用(以上、東洋紡株式会社製)、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0081】
前記活性炭の形状も特に制限されず、例えば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状、マカロニ状、繊維状、ハニカム状等が例示できる。
【0082】
活性炭を使用する場合の使用量は、活性炭の種類や形状、および被処理物(例えば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、本発明の第1の塊状処理剤の総質量(100質量%)に対して、0〜20質量%、0.3〜15質量%、0.4〜10質量%程度である。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
【0083】
(潤滑剤)
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる潤滑剤は、本発明の第1の塊状処理剤を作製する際に、特に、打錠機の臼へのフィードをスムーズになるために用いられるものである。よって、潤滑剤によれば、本発明の第1の塊状処理剤を作製する際のフィードをスムーズにすることができる。潤滑剤の種類としては、従来公知のものを適宜選択して、あるいは、組み合わせて使用することができる。例えば、エステル系、ケイ素系、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、カルシウム亜鉛などが使われる。エステル系とケイ素系の組み合せが好ましい。潤滑剤の含有量は、本発明の第1の塊状処理剤の総量に対して、0.5〜5質量%程度、あるいは、1〜4.5質量%程度であることが好ましい。
【0084】
なお、本発明の第1の塊状処理剤は、単位重量当りの前記有効成分の割合をなるべく多くするという観点で、例えば、消石灰および/または石灰石を含まないことが好ましい。
【0085】
[処理剤の用途]
続いて、本発明の第1の塊状処理剤(本発明の第2の顆粒状処理剤)の用途、つまり、塊状処理剤が処理する対象物(被処理物)について説明する。本発明における被処理物としては、例えば、大便、小便、嘔吐物、有機性汚泥、動植物、家畜、家畜舎または土壌などが挙げられるが、本発明の第1の塊状処理剤が特に効率的に効くのは、糞尿、特に小便である。つまり、本発明においては、(7)小便の処理に用いられる、本発明の第1の塊状処理剤が提供される。小便を処理する小便処理剤は、従来も様々提供されているという事実があるが、多くの従来品は、いわゆる人工尿などを用いて効果を実証している。本願の塊状処理剤は、実施例に記載のように、実際の人尿(特に、高齢者の高臭気小便)を用いて実証を行って、本願で謳う効果を見出している点にも特徴がある。
【0086】
[本発明の第1の塊状処理剤の作製方法]
本発明の第1の塊状処理剤は、上記の組成を、混合し、所望の大きさあるいは重量になるように、圧縮することによって、作製することができる。この際、混合する方法は、各成分を一度に混合してもよいし、各成分を順次混合してもよい。
【0087】
以下、本発明の第1の塊状処理剤の作製方法を好ましいいくつかの実施形態に分けて説明する。無論、下記の方法には制限されない。
【0088】
[卓上式手動の打錠機で固化]
卓上式手動の打錠機(杵と臼はそれぞれ一つ)で固化するために、まず、杵には、固化をする各成分を手でスプーンにて入れる。この際、フィードの難しさは考える必要はない。その後、手動(油圧)にてレバーを下して圧力をかけて、各成分を固化させることによって、第1の塊状処理剤を作製する。なお、卓上式手動の打錠機の利点は、かなりの時間、滞留させて圧力をかけるので固まりにくい組み合わせであっても固化できるというところである。なお、例えば口径の小さい杵(直径7mm:上下円版型)を用いた場合、口径が小さい方が面積当たりにより高い圧力がかかるので固化しにくいものでも固まる傾向がある。一方で、例えば口径の大きい杵(直径15mm:上下平版型)を用いる場合、口径が大きい方が面積当たりに小さい圧力になるので固化しにくいものには不利になるが、口径の大きい分、杵へのフィードは有利になり、生産性は向上する。
【0089】
[連続式の打錠機]
また、連続式の打錠機は、直打式であってもなくてもよいが、前処理の手間(例えば、造粒工程;本発明では、吸水性ポリマーが使用されるため乾式が好ましい)を省くことができるという点で生産性が向上する直打式を採用することも好ましい。また、微粉のものをフィードしやすくするために潤沢剤を入れることが好ましい。一方で、前処理を行う場合は、例えば、ローラーコンパクターを用いて大きな圧力をかけて圧延して微粉を造粒したものにバインダ(結合剤)を混合したものを打錠することによって、本発明の第1の塊状処理剤を作製してもよい。大量生産を鑑みると、例えば、株式会社畑鐵工所製の打錠機(型式AP18−SSなど)を使用することが好ましい。この際の杵臼の直径は、13mm程度であり、杵立数は、18本程度である。かかる打錠機を使用すれば、原料を所望の割合となるように調製し、混合し、打錠機のホッパーに混合した原料を入れ、打錠機で回転式に打錠をしていくだけで生産が可能であり、好ましい。
【0090】
また、連続式の回転型打錠機で、本発明の第1の塊状処理剤を作製してもよい。具体的には、各成分(例えば、酸性固形物質、吸水性ポリマー、バインダ、潤沢剤)を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、例えば、上下円版型であってもよい。
【0091】
このように、本発明の第1の塊状処理剤を作製するための固形化のため方法には、特に制限はない。上記のように、打錠、ローラーコンパクター、湿式の圧縮(圧縮対象の原体を水で湿らせ、圧縮)を適宜組み合わせて、適用すればよい。なお、本発明の第1の塊状処理剤は、吸水性ポリマーを含むため、吸水性ポリマーを混合する前の段階で、酸性固形物質と、ゼオライト、活性炭などの添加剤との混合物を湿式で造粒し、その後、吸水性ポリマーと混合する方法もよい。 このように、本発明の第1の塊状処理剤を作製するための固形化のため方法には、特に制限はない。
【0092】
<本発明の第2>
本発明の第2は、(8)本発明の第1の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤である。本発明の第2のように、顆粒状処理剤であると、塊状処理剤のように固形状態を長持間保つ必要がないのでバインダの量を少なくできるとの観点で、塊状処理剤の単位重量当たりの有効成分の割合を高めることができる。また、本発明の第2の顆粒状処理剤は、従来の粉末状態の処理剤とは異なる予期せぬ効果がある。本発明の第2のように、バインダを含んで一旦固化されたものを粉砕する形態であると、酸性固形物質として、塩の形態ではない酸性成分が多く含まれている場合であっても(第1成分が多くても、あるいは、すべて第1成分でも)、吸水性ポリマーの吸水特性の低下を有意に抑え、好適である。また、一旦塊状物にしてしまえば、それを粉砕して顆粒物にしても、かかる吸水特性を上げるという効果が継続するため、好適である。本発明の第2の顆粒状処理剤は、一旦固化させた、本発明の第1の塊状処理剤を粉砕することによってなる。従来の粉末状態では、そのような「一旦固化させる」という工程を経て作製されるものは知られていない。つまり、本発明の第2の顆粒状処理剤は、粒径としては重複する部分があっても、そのような構成的な面からして(バインダの有無)、従来の粉末状態の処理剤とは異なる。
【0093】
本発明の第1の塊状処理剤を粉砕する方法は特に制限されないが、例えば、従来公知の細粒化装置を用いることなどで、行うことができる。使用できる細粒化装置としては、剪断粗砕機、衝撃破砕機、高速回転式粉砕機に分類されて、切断、剪断、衝撃、摩擦といった粉砕機構のうちの1つ以上の機構を有するものが好ましく使用できる。例えば、畑鉄工所の整粒機や、岡田精工の卓上用ミルなどを用いることができる。無論、これら以外の装置を使用してもよい。
【0094】
本発明の第2の顆粒状処理剤の粒径は、1粒当たり、好ましくは直径0.01〜3mm未満程度、より好ましくは、0.05〜2mm程度、さらに好ましくは0.1〜1mm程度である。
【0095】
本発明の第2の顆粒状処理剤は、上記のようにバインダの量を、本発明の第1の塊状処理剤よりも少なくすることができる点でも特徴を有する。バインダの量の目安であるが、本発明の第1の塊状処理剤の場合の、好ましくは10%減、より好ましくは30%減、さらに好ましくは50%減以上にすることも可能である。その減らすことができた分に、有効成分等の量を増やして、全体を100質量%とすればよい。
【0096】
<本発明の第3>
本発明の第3は、(9)本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器である。本発明の第3の好ましい形態によると、(10)水の非存在下に、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器である。
【0097】
まず、(9)本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器について説明する。まず、本発明の第1の塊状処理剤の形態の場合、上記のように、塊状処理剤は、固形化されている形態であるため、ポータブルトイレ等に前もって敷いておき、その上から排尿等をすることができる。また、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、本発明の第2の顆粒状処理剤の形態の場合、例えば、予め配置されてなる少量の水を入れ、いわゆるマットのような形状(一つの塊)になって使用することができる。よって、下水などに流すことができるバインダ(例えば、水溶性バインダ)と組み合わせることによって、処理後、そのままトイレに流すこともできる。さらに、本発明の第1の塊状処理剤によって処理された被処理物を覆うように添加することによって使用する補助剤としても使用できる。
【0098】
この場合の「少量の水」の量は、本発明の第2の顆粒状処理剤の全質量(100質量部)に対して、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部、さらに好ましくは50〜100質量部である。
【0099】
本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が糞尿(特に、尿)を処理するに用いられる場合、第1の塊状処理剤の使用量は、被処理物(例えば、尿)500質量部に対し、10〜500質量部の範囲であることが好ましく、20〜300質量部の範囲であることがより好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。
【0100】
第1の塊状処理剤の使用量が、10質量部未満である場合には、尿と有効成分との接触面積が減少するため、尿が空気に触れ、尿の悪臭が促進する虞がある。しかし、そのような場合であっても、本発明の第2の顆粒状処理剤を、本発明の第1の塊状処理剤によって処理された被処理物を覆うように添加することによって使用する補助剤としても使用できる。一方、500質量部を超える場合には、処理後の残渣が多くなり、処理後の廃棄物が多くなる場合がある。また、コストが高くなる場合がある。
【0101】
第2の顆粒状処理剤の使用量は、上記のように、バインダの量を相対的に減らすことができ、その分、有効成分の量を増やすことができるので、上記記載の範囲の30〜50%減の質量部の範囲で足りる。
【0102】
続いて、(10)水の非存在下に、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器であるの形態について説明する。上記のように、かかる形態においては、表面が撥水処理されている袋(例えば、ビニール袋、撥水処理した紙袋)などのものを用意して、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を敷いておけば、それごと、廃棄することができ、尿等を受ける容器を洗浄する必要もなく、介護等の負担を非常に軽減することもできる。また、使用後の処理された尿等の運搬が非常に容易となるのは、上記述べたとおりである。
【0103】
<本発明の第4>
本発明の第4は、(11)本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品である。本発明の第4にかかる吸収性物品は、上記した本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤、液透過性を有する表面シート、液不透過性を有する背面シートを備えると好ましい。
【0104】
本発明にかかる吸収性物品の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を、液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)でサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、例えば、大人用紙オムツや生理用ナプキンとすればよい。
【0105】
本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と吸収特性を示すものである。
【0106】
このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙オムツをはじめ、子供用オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられ、それらに特に限定されるものではないが、吸収性物品の中に存在する本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が非常に優れた消臭性を有し、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【0107】
<本発明の第5>
本発明の第5は、(12)本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤と、小便と、を接触させることを含む、処理方法である。また、本発明の第5においては、(13)本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を、水が非存在の容器に配置することを含むと好ましい。かような処理方法によれば、上記で述べたような効果を奏する。なお、小便に対する本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤の使用量は、本発明の第4で述べたとおりである。
【0108】
また、本発明の第5において、(14)前記接触が、1〜36時間行われると好ましい。この接触時間も、適宜調節することができ、例えば、10分以上、2時間以上、5時間以上、8時間以上、12時間以上または24時間以上のような接触時間とすることができる。特に、本発明の第1、第2の処理剤は、8時間以上という有意に長い時間、消臭効果が持続するというという点、有用である。このように、長持間、効果が持続することによって、介護者の介護作業の自由度が向上し、頻繁に処理などを行わなければならない介護者の介護の負担を著しく軽減することができる。
【0109】
また、接触の際の、温度や湿度についての条件は、酸性固形物質を1種類にするか、2種類以上にするかによって、上記した通りである。
【0110】
また、本発明の第5において、(15)前記接触によって、前記小便のpHが3〜6になるように調整することを含むと好ましい。前記接触によって、前記小便のpHが3〜6になるように調整することを含むことによって、特に消臭効果の点が著しく顕著である。つまり、処理した小便をpH3〜6になるように接触させることによって、上記(9)や(10)と同様の効果(特に、悪臭の抑制)を顕著に奏することができる。上記もしたが、被処理物(例えば、尿)の成分量(特に、アンモニアの量)は、年齢や体質などによって異なることがある。換言すると、個人によって、小便のpHが異なることがある。本発明者は、本発明を完成するに至る鋭意研究の下、処理前の小便のpHの如何に関らず、処理後の小便のpHを3〜6に調整することによって、従来の消臭剤では得られなかった、高い消臭効果や消臭持続効果を得ることができることを見出した。換言すれば、そのように調節できるように酸性固形物質を組み合わせれば特に好ましい。
【0111】
前記pHにも特に制限はないが、好ましくは1〜7、より好ましくは2〜7、さらに好ましくは3〜6である。かようなpHに調節する方法も特に制限はないが、処理前の小便のpHを測定し(それを数日間〜数週間、継続すれば、その個人の平均的なpHを算出することができる)、pHが3〜6になるような割合で、酸性固形物質を適宜調節すればよい。
【実施例】
【0112】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。
【0113】
<高臭気小便の処理>
・検体(性別:男、年齢:96歳)
なお、処理後の臭気は、10段階の官能評価で行い、処理前の高臭気小便の臭いを「10」とし、「10」「9」「8」「7」「6」「5」「4」「3」「2」「1」の10段階による官能評価および/またはアンモニア用ガス検知管(北川式)(光明理化学工業(株)社製)による評価を行った。
【0114】
「10」が、10分経過して測定した際に、高臭気小便と同じであり悪臭が強い。
【0115】
「9」が、10分経過して測定した際に、臭気が少々軽減していると感じるが、悪臭はある。
【0116】
「8」が、10分経過して測定した際に、臭気が少々軽減していると感じられ、悪臭は弱くなっている。
【0117】
「7」が、10分経過して測定した際に、臭気が軽減していると感じられ、悪臭も少ない。
【0118】
「6」が、10分経過して測定した際に、臭気が明確に軽減していると感じられ、悪臭も殆どない。
【0119】
「5」が、10分経過して測定した際に、悪臭は感じられない。
【0120】
「4」が、10分経過して測定した際には、悪臭は感じられないが、2時間経過して測定した際に、明確に臭気を感じる。
【0121】
「3」が、2時間経過して測定した際には、悪臭は感じられないが、8時間経過して測定した際に、ある程度臭気を感じる。
【0122】
「2」が、8時間経過して測定した際には、悪臭は感じられないが、24時間経過して測定した際に、小便臭ではないものの何かの臭気を感じる。
【0123】
「1」が、24時間経過して測定した際も、殆ど臭気はない。
【0124】
(実施例1)(新処方19)
下記表1に示される成分を、下記表1に示される混合割合で(合計100質量%)、2,000gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物2,000gを(株)富士薬品機械の打錠機(HSシリーズ)で、φ15mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤 2000粒を作製した(1粒1g、平均直径:15mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0125】
【表1】

【0126】
(実施例2)(新処方20)
配合を下記表2のように変更した以外は、実施例1と同様に行って、塊状処理剤を2000粒作製した(1粒1g、平均直径:15mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、8.15kgf〜17.85kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。なお、各成分のメーカーや型番は上記表と同じである。
【0127】
【表2】

【0128】
(実施例3)
下記表3に示される成分を、下記表3に示される混合割合で(合計100質量%)、2,000gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物2,000gを(株)富士薬品機械の打錠機(HSシリーズ)で、φ15mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤 2000粒を作製した(1粒1g、平均直径:15mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0129】
【表3】

【0130】
(実施例4)
配合を下記表4のように変更した以外は、実施例2と同様に行って、塊状処理剤を2000粒作製した(1粒1g、平均直径:15mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、10〜12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。なお、各成分のメーカーや型番は上記表と同じである。
【0131】
【表4】

【0132】
(実施例5)
配合を下記表5のように変更した以外は、実施例1と同様に行って、塊状処理剤を2000粒作製した(1粒1g、平均直径:15mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、10〜12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。なお、各成分のメーカーや型番は上記表と同じである。
【0133】
【表5】

【0134】
(実施例A)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例1で準備した塊状処理剤100粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH8.8)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後24時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していることが分かった。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「1」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−1に示す(図1参照)。なお、本発明のpHは、(株)佐藤商事社製のPHレコーダーSDカード記録系型番PH−SDを用いて測定した。なお、処理剤と小便との接触の開始は、図1におけるx軸の10分のメモリの部分である。なお、評価は、相対湿度35%、14℃の環境、小便の温度11℃の条件で行った。
【0135】
(実施例B)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例2で準備した塊状処理剤100粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH9.11)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後24時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していることが分かった。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「1」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−2に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度83%、10.3℃の環境、小便の温度12℃の条件で行った。
【0136】
(実施例C)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例3で準備した塊状処理剤100粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH8.49)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後24時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していることが分かった。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「1」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−3に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度55%、25℃の環境、小便の温度21℃の条件で行った。
【0137】
(実施例D)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例4で準備した塊状処理剤100粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH9.11)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後8時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していたが、処理後24時間経った処理済高臭気小便は、固化物から小便が染み出していることが観察された。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。小便の染み出しが確認されたが、官能評価では、「1」であった。その理由は、有効成分(クエン酸、ゼオライト)が含まれているという構成なので、小便の処理が良好に行われていたためと推測される。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−4に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度62%、7℃の環境、小便の温度9℃の条件で行った。
【0138】
(実施例E)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例5で準備した塊状処理剤100粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH8.93)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後24時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していることが分かった。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「1」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−5に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度32%、10.8℃の環境、小便の温度9℃の条件で行った。
【0139】
処理後24時間経った処理済高臭気小便のビニール袋を縛り1時間放置後ビニール袋に小さな穴をあけ、検知管を挿入し、ガスを計測アンモニア用ガス検知管で測定した。結果、検知限界以下(0.2ppm以下)であった。
【0140】
(比較例1)
市販品1(フミン酸(pH=7.3)、高分子吸水剤の配合)
実験は市販品1の取扱説明書に準じて行った。ビーカーに高臭気小便(pH8.7)500gを入れ、その上から市販品10gをふりかけることによって高臭気小便を処理した。処理後24時間経った処理済高臭気小便は、固化も緩い。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「8」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−6に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度78%、24℃の環境、小便の温度21℃の条件で行った。
【0141】
(比較例2)
市販品2 消臭剤フォームタイプ(泡の膜で臭いを防ぐもの)
実験は市販品2の取扱説明書に準じて行った。容器に水を1リットル用意した。その中に高臭気小便(pH8.11)500gを添加した。高臭気小便を含む水を覆うように消臭剤フォームを添加することによって高臭気小便を処理した。無論、処理後24時間経った処理済高臭気小便は、固化していない。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「2」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−7に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度32%、19℃の環境、小便の温度14℃の条件で行った。しかしながら、容器を洗うために運搬したり、実際に洗った際に泡が破けて強い悪臭がした(官能評価「10」)。
【0142】
(比較例3)
市販品3 消臭シートタイプ(水溶性の紙に無機性消臭薬剤を担持させたもの)
実験は市販品3の取扱説明書に準じて行った。容器に水を1リットル用意した。その中に高臭気小便(pH8.76)500gを添加した。高臭気小便を含む水を無機性消臭薬剤が担持された水溶性の紙で覆うことによって高臭気小便を処理した。無論、処理後24時間経った処理済高臭気小便は、固化していない。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「7」であった。なお、処理中においては高臭気小便のpHの経時変化も測定した。結果をJ−8に示す(図1参照)。なお、評価は、相対湿度52%、12℃の環境、小便の温度11℃の条件で行った。処理後24時間経った処理済高臭気小便のビニール袋を縛り1時間放置後ビニール袋に小さな穴をあけ、検知管を挿入し、ガスを計測アンモニア用ガス検知管で測定した。結果、50ppmであった。
【0143】
(実施例6)(FJK−C)
下記表6に示される成分を、下記表6に示される混合割合で(合計100質量%)、70.5gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物70.5gを、(株)畑鉄工所製HT−AP18SS−IIの連続打錠機で、φ13mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤 70粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0144】
【表6】

【0145】
(実施例7)(FJK2−A)
下記表7に示される成分を、下記表7に示される混合割合で(合計100質量%)、62.5gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物62.5gを、(株)畑鉄工所製HT−AP18SS−IIの連続打錠機で、φ13mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤 63粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0146】
【表7】

【0147】
(実施例8)(FJK−CAR4)
下記表8に示される成分を、下記表8に示される混合割合で(合計100質量%)、61.5gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物61.5gを、(株)畑鉄工所製HT−AP18SS−IIの連続打錠機で、φ13mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤 62粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0148】
【表8】

【0149】
(実施例F)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例6で準備した塊状処理剤70粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH8.93)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後8時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していることが分かった。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「1」であった。なお、評価は、相対湿度75%、24℃の環境、小便の温度21℃の条件で行った。
【0150】
処理後24時間経った処理済高臭気小便のビニール袋を縛り1時間放置後ビニール袋に小さな穴をあけ、検知管を挿入し、ガスを計測アンモニア用ガス検知管で測定した。結果、0.5ppmであった。
【0151】
(実施例G)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例7で準備した塊状処理剤63粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH9.15)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後1時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していたが、処理後8時間経った処理済高臭気小便は、固化物から小便が染み出していることが観察された。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。小便の染み出しが確認されたが、官能評価では、「1」であった。なお、評価は、相対湿度75%、24℃の環境、小便の温度21℃の条件で行った。
【0152】
処理後24時間経った処理済高臭気小便のビニール袋を縛り1時間放置後ビニール袋に小さな穴をあけ、検知管を挿入し、ガスを計測アンモニア用ガス検知管で測定した。結果、検知限界以下(0.2ppm以下)であった。
【0153】
(実施例H)
ビニール袋を敷いたポータブルトイレの汚水受け(プラスチック製)に実施例8で準備した塊状処理剤62粒を入れた。次いでその汚水受けに高臭気小便(pH9.07)500gを添加することによって、高臭気小便を処理した。処理後8時間経った処理済高臭気小便は、ゼリー状に良好に固化していることが分かった。さらに、処理後24時間経った処理済高臭気小便の臭いを評価した。官能評価では、「1」であった。なお、評価は、相対湿度75%、24℃の環境、小便の温度21℃の条件で行った。
【0154】
処理後24時間経った処理済高臭気小便のビニール袋を縛り1時間放置後ビニール袋に小さな穴をあけ、検知管を挿入し、ガスを計測アンモニア用ガス検知管で測定した。結果、検知限界以下(0.2ppm以下)であった。
【0155】
(アンモニア消臭効果の評価)
実施例2で準備した塊状処理剤、比較例1〜3で用いた市販品1〜3の処理剤、比較例4である市販品4の処理剤を用いて、下記の手順に従ってそれぞれのアンモニア消臭効果を評価した。高臭気小便500gに対して、実施例2で準備した塊状処理剤は100g、比較例1の市販品1は10g、比較例2の市販品2は5g、比較例3の市販品3は1g、比較例4の市販品4は2gをそれぞれ用いた。なお、比較例4の市販品4は、錠剤である。
【0156】
所定量の処理剤を、それぞれ高臭気小便500gといっしょにビニール袋に入れ、ビニール袋の口を閉じて密封し、所定時間(15分、1時間、2時間、8時間、24時間)ごとにビニール袋内のガスを計測アンモニア用ガス検知管で測定した。測定は、ビニール袋に検知管を差し込む検知管口(小さな穴)をあけておき、検知管を挿入して行い、測定時以外は、検知管口はテープで塞いだ。なお、評価は、室温13℃の部屋の中で行った。
【0157】
実験結果を表9および図2に示す。
【0158】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の酸性固形物質と、
吸水性ポリマーと、
バインダと、
を含む、塊状処理剤。
【請求項2】
前記少なくとも1種の酸性固形物質が、酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバン、フマル酸ナトリウムおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される、請求項1に記載の塊状処理剤。
【請求項3】
前記少なくとも1種の酸性固形物質が、
酢酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される1種と、
クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、硫酸バンド、スルファミン酸、ミョウバンおよび腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)からなる群から選択される1種と、の組み合せである、請求項1または2に記載の塊状処理剤。
【請求項4】
ゼオライトをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塊状処理剤。
【請求項5】
活性炭または潤滑剤である添加剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塊状処理剤。
【請求項6】
前記吸水性ポリマーが、アクリル酸系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはデンプン系ポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塊状処理剤。
【請求項7】
小便の処理に用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塊状処理剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項8に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器。
【請求項10】
水の非存在下に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項8に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、請求項9に記載の便器。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項8に記載の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項8に記載の顆粒状処理剤と、
小便と、
を接触させることを含む、処理方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項8に記載の顆粒状処理剤を、水が非存在の容器に配置することを含む、請求項12に記載の処理方法。
【請求項14】
前記接触が、1〜36時間行われる、請求項12または13に記載の処理方法。
【請求項15】
前記接触によって、前記小便のpHが3〜6になるように調整することを含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−144720(P2012−144720A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279767(P2011−279767)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(506190360)
【Fターム(参考)】