説明

塗布、現像装置及びパターン形成方法

【課題】基板にレジストを塗布し、露光後の基板を現像する塗布、現像装置において、露光処理の際の基板温度の安定化を図り、露光処理の歩留まりを向上させる。
【解決手段】レジストの塗布、現像を行う処理部S1の棚ユニットU1〜U3内に、レジスト塗布後の基板を加熱する加熱部と加熱された基板を冷却する冷却部とを設ける。そして処理部と露光装置との間に介在するインターフェイス部S3の棚ユニットU4に、露光前の基板を載置して当該基板の温度を露光処理に適した温度に調整するための温調プレートを備えた温度調整部を設け、前記冷却部で冷却した基板をこの温調プレートにより高精度に温度調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)等の基板にレジスト膜を形成し、露光後の基板に対して現像を行い、所望のパターンを形成する塗布、現像装置及びこの装置にて所望のパターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCDの製造プロセスにおいて行われるフォトリソグラフィと呼ばれる技術は、基板例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)の表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、フォトマスクを用いて当該レジスト膜を所定パタ−ンに露光処理した後、現像処理を行うことにより所定パタ−ンのレジスト膜を得るものである。このような一連の処理は、塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムにより行われる。
【0003】
図12はこのような装置の従来例を示す平面図であり、基板例えば半導体ウエハWを25枚収納したカセットCはキャリアステ−ションA1のキャリアステ−ジ1に搬入される。キャリアステ−ションA1には処理ブロックA2が接続されており、更に処理ブロックA2にはインターフェイスブロックA3を介して露光装置A4が接続されている。
【0004】
前記キャリアステージ1上のキャリアC内のウエハWは、受け渡しアーム11により取り出されて棚ユニット12Aの受け渡し部を介して塗布ユニット13に送られ、ここでレジストが塗布される。その後ウエハWは、ウエハ搬送手段14により棚ユニット12Bの冷却部15に搬送され(図13参照)、これをインタ−フェイスブロックA3の搬送アーム16が受け取って、当該ブロックA3の周辺露光装置17に搬送する。
【0005】
この周辺露光はウエハWの周辺部のレジストが残っていると後の工程においてパーティクル発生の原因となるため、この周辺部のレジストを除去するために当該周辺部の露光を行うものである。周辺露光が行われたウエハWは例えば当該ブロックA3のバッファカセット18に一旦搬送された後、前記搬送アーム16により露光装置A4の受け渡しステージ(図示せず)に搬送されて露光される。
【0006】
露光後のウエハWは、インターフェイスブロックA3の搬送アーム16により処理ブロックA2の棚ユニット12Bの受け渡し部19を介して処理ブロックA2に搬送され、塗布ユニット13の下段に設けられた図示しない現像ユニットにて現像された後、ウエハ搬送手段14、受け渡しアーム11によりキャリアCに戻される。前記インターフェイスブロックA3の搬送アーム16は、棚ユニット12Bと周辺露光装置17とバッファカセット18と露光装置A4とにアクセスできるように、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、水平なレールに沿って水平1軸方向に移動自在に構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでウエハWに対して周辺露光処理を行うと、紫外領域の光を照射するためウエハWの温度が例えば1℃程度上昇してしまう。またこのウエハWを露光装置A4に搬送する前にバッファカセット18に載置しても、狭いカセット内に熱がこもってしまい、それ程放熱しないのでウエハ温度はなかなか降温しない。一方露光装置A4における露光処理の際、ウエハ温度は露光機により設定された温度であることが望ましく、この設定温度から外れると、露光光のゆがみが発生し、パターン寸法を忠実に再現できない場合もある。
【0008】
近年露光装置A4の処理速度が向上し、バッファカセット18での待機時間が短くなる傾向にあることから、待機中のウエハ温度の降下がそれ程望めず、露光装置A4に搬送される際のウエハWの温度が高くなる傾向がある。このため露光処理の際の熱影響で歩留まりが悪化し、結局処理全体の生産性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、インターフェイス部にて基板に対して温調処理を行って温度管理を行うことにより露光処理の際の基板温度の安定化を図り、露光処理の歩留まりを向上させると共に、インターフェイス部に搬送手段を2つ設けることにより搬送能力を高め、スループットを向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明に係る塗布、現像装置は、複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像を行う処理部と、
前記処理部と、レジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備え、
前記インターフェイス部は、露光装置に搬送する前の基板の温度を露光処理に適した温度に調整するための温度調整部と、
前記処理部と前記温度調整部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行う搬送手段と、を備えることを特徴とし、この装置では、例えば基板表面にレジストを塗布する工程と、
レジストの塗布された基板の回路形成領域の外側の周辺領域に対して露光処理を行う工程と、
前記周辺領域に対して露光処理が行われた基板の温度を調整する工程と、
前記冷却された基板に対して露光処理を行う工程と、
露光後の基板を現像処理してレジストパターンを得る工程と、含むことを特徴とするパターン形成方法が実施される。
【0011】
このような発明では、露光装置に搬送される前の基板を露光処理に適した温度に温度調整してから、露光処理を行っているので、露光処理の際の基板の温度が揃えられ、熱影響を抑えた安定した露光処理を行うことができるので、露光処理の歩留まりの向上を図ることができる。
【0012】
また本発明の塗布、現像装置は、複数枚の基板を保持した基板キャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像を行う処理部と、
前記処理部と、レジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備え、
前記インターフェイス部は、基板を保持又は処理するための複数のユニットを備えた棚部と、
前記処理部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行う第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段により処理部から搬送された基板を受け取り、この基板を前記棚部の各ユニットに対して受け渡す第2の搬送手段と、を備えることを特徴とし、この装置では、前記処理部にて基板表面にレジストを塗布する工程と、
レジストの塗布された基板を処理部からインターフェイス部に第1の搬送手段により搬送し、インターフェイス部にてこの基板の回路形成領域の外側の周辺領域に対して露光処理を行う工程と、
周辺領域に対して露光処理が行われた基板を第2の搬送手段により搬送し、インターフェイス部にてこの基板を冷却する工程と、
冷却された基板をインターフェイス部から露光装置に第1の搬送手段により搬送し、露光装置にてこの基板に対して露光処理を行う工程と、
露光後の基板を露光装置からインターフェイス部を介して処理部に第1の搬送手段により搬送し、処理部にてこの基板に対して現像処理を行い、レジストパターンを得る工程と、含むことを特徴とするパターン形成方法が実施される。
【0013】
このような発明では、インターフェイス部に2つの搬送手段を設け、処理部とインターフェイス部と露光装置との間での基板の受け渡しを第1の搬送手段で行い、インターフェイス部の棚部の各ユニットの間での基板の受け渡しを第2の搬送手段で行なうようにしたので、基板の搬送能力が高まり、処理全体のスループットを向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レジストが塗布された基板をインターフェイス部内に設けられた温度調整部で露光処理に適した温度に調整してから露光装置に搬送しているので、露光処理時の基板の温度が揃えられ、安定した露光処理を行うことができ、露光処理の歩留まりの向上が図られる。またインターフェイス部に、処理部と露光装置との間で基板の搬送を行う第1の搬送手段と、棚部の各ユニットに対して基板を搬送する第2の搬送手段との2つの搬送手段を設けたので、露光装置に搬送する前に温度調整を行う場合であってもスループットの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の塗布、現像装置の実施の形態について説明する。図1及び図2は、夫々この塗布、現像装置100を露光装置200に接続したレジストパタ−ン形成装置の全体構成を示す平面図及び概観図である。
【0016】
図中、21は例えば25枚の基板である半導体ウエハ(以下ウエハという)Wが収納されたキャリアCを搬入出するためのキャリアステーションであり、このキャリアステーション21は、前記キャリアCを載置するキャリア載置部22と受け渡し手段23とを備えている。受け渡し手段23はキャリアCから基板であるウエハWを取り出し、取り出したウエハWをキャリアステーション21の奥側に設けられている処理部S1へと受け渡すように構成されている。
【0017】
処理部S1の中央には主搬送手段24が設けられており、これを取り囲むように例えばキャリアステーション21から奥を見て例えば右側には塗布ユニット3A及び現像ユニット3Bが、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。塗布ユニット3A及び現像ユニット3Bはこの例では各々2個づつ設けられ、塗布ユニット3Aは現像ユニット3Bの下段側に配置されている。
【0018】
ここで前記塗布ユニット3A及び現像ユニット3Bについて説明する。先ず塗布ユニット3Aの一例について図3を参照しながら説明すると、31は基板保持部であるスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック31はモータ及び昇降部を含む駆動部32により鉛直軸周りに回転でき、且つ昇降できるようになっている。またスピンチャック31の周囲にはウエハWからスピンチャック31に跨る側方部分を囲い、且つ下方側全周に亘って凹部が形成された液受けカップ33が設けられ、当該液受けカップ33の底面には排気管34及びドレイン管35が接続されている。液受けカップ33の上方側にレジスト液供給ノズル36が設けられており、このノズル36はウエハWの中央部上方と前記液受けカップ33の外側との間で移動できるように構成されている。
【0019】
このように構成された塗布ユニット3Aにおいては、前記主搬送手段24によりウエハWが搬入されてスピンチャック31に受け渡される。そしてノズル36からウエハWの中央部にレジスト液を供給すると共に予め設定された回転数でスピンチャックを回転させるとレジスト液はその遠心力によりウエハWの径方向に広がってウエハW表面にレジスト液の液膜が形成され、振り切られた分は液受けカップ33へと流れ落ちる。
【0020】
また現像ユニット3Bは塗布ユニット3Aとほぼ同一の構成であるが、現像ユニット3Bは例えばウエハWの直径方向に配列された多数の供給孔を備えた供給ノズルが備えており、このノズルからウエハWの中央部に現像液を供給すると共に、予め設定された回転数でスピンチャック33を半回転させることにより、ウエハW上に現像液が液盛りされるようになっている。
【0021】
棚ユニットU1,U2,U3においては、例えば図4に、棚ユニットU2と棚ユニットU3とを代表して示すように、加熱ユニット25や冷却ユニット26のほか、ウエハの受け渡しユニット27(27a,27b)や疎水化処理ユニット28、アライメントユニット29等が上下に割り当てられている。前記加熱ユニット25及び冷却ユニット26は所定温度に調整されたプレート上に所定時間ウエハWを載置することにより、ウエハWを所定温度に加熱又は冷却するものであり、前記受け渡しユニット27は例えば昇降ピンが内蔵された受け渡し台を備えており、受け渡しユニット27aはキャリアステーション21の受け渡し手段23と処理部S1の主搬送手段24との間、受け渡しユニット27bは処理部S1の主搬送手段24と後述するインターフェイス部S2のメイン搬送アーム4との間で、夫々ウエハWの受け渡しが行われる。
【0022】
主搬送手段24は、昇降自在、進退自在及び鉛直軸まわりに回転自在に構成され、棚ユニットU1,U2,U3及び塗布ユニット3A並びに現像ユニット3Bの間でウエハWを搬送する役割を持っている。但し図2では便宜上受け渡し手段23及び主搬送手段24は描いていない。
【0023】
前記処理部S1はインタ−フェイス部S2を介して露光装置200と接続されている。このインタ−フェイス部S2は、図1及び図5の露光装置200側から見た断面図に示すように、ほぼ中央に周辺露光装置やバッファカセット等のユニットが上下に設けられた棚部をなす棚ユニットU4を備えており、キャリアステーション21から奥を見てこの棚ユニットU4の例えば右側には第1の搬送手段をなすメイン搬送アーム4、例えば左側には第2の搬送手段をなすサブ搬送アーム5が略一直線状に夫々配置されている。
【0024】
前記棚ユニットU4は、図6の斜視図及び図7のサブ搬送アーム5側から見た側面図に示すように、例えば下から2個の温度調整部をなす温調ユニット61、1個の出力用受け渡しユニット62及び1個の入力用受け渡しユニット64、2個のバッファカセット63、1個の待避ステージ60及び1個の入力用受け渡しユニット64、周辺露光部をなす周辺露光装置65が縦に配列されており、前記温調ユニット61の上方側の出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット64と、バッファカセット63と、待避ステージ60及び入力用受け渡しユニット64は、サブ搬送アーム5側から見て2つ並んで設けられている。
【0025】
前記メイン搬送アーム4は、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26や受け渡しユニット27bとの間でウエハWの受け渡しを行うと共に、当該インターフェイス部S2の棚ユニットU4の出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット部64、温調ユニット61との間、さらに露光装置200の受け渡しステージ210との間でウエハWの受け渡しを行うように構成されており、このため1枚のアーム41が基台42に沿って進退自在に構成されると共に、前記基台42自体が鉛直軸回りに回転自在、垂直ガイドレール43に沿って昇降自在、第1の水平ガイドレール44に沿って棚ユニットU4に向かう第1の水平軸方向に進退自在(キャリアステーション21から奥を見て横方向に移動自在)、第2の水平ガイドレール45に沿って前記第1の水平軸に略直交する第2の水平軸方向にスライド自在(キャリアステーション21から奥を見て縦方向に移動自在)に構成されている。
【0026】
また前記サブ搬送アーム5は、当該インターフェイス部S2の棚ユニットU4の各ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うように構成されており、このため1枚のアーム51が基台52に沿って進退自在に構成されると共に、前記基台52自体が鉛直軸回りに回転自在、垂直ガイドレール53に沿って昇降自在に構成されている。
【0027】
前記温調ユニット61は、例えば図8に示すように、サブ搬送アーム5側の側面及びメイン搬送アーム4側の側面に夫々搬送口54a,54bを有する筐体54と、この筐体54内に設けられた、ウエハWを載置して所定の温度に調整するための、例えばアルミニウムやセラミックスより等からなるプレートより構成され、例えばサーモモジュール又は、冷媒流路等の冷却機構、抵抗発熱体等の加熱機構等が内蔵された温調プレート55と、当該温調プレート55に対してウエハWの受け渡しを行うための例えば昇降ピン機構56と、を備えている。
【0028】
前記出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット64は、前記メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し部をなすものであり、これらメイン搬送アーム4及びサブ搬送アーム5がアクセス可能な位置に配置されている。つまり例えば図6及び図9に示すように、下方側の出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット64は例えば下から2個目の温調ユニット61の上面に2つ並んで設けられ、前記サブ搬送アーム5はこれら2つの受け渡しユニット62,64のほぼ中央に対向する位置に配置される。また上方側の入力受け渡しユニット64と待避ステージ60は2個のバッファカセット63の上面に2つ並んで設けられ、前記サブ搬送アーム5はこれら2つの受け渡しユニット62,64のほぼ中央に対向する位置に配置される。
【0029】
そして前記温調ユニット61又はバッファカセット63の上面に、前記メイン搬送アーム4のアーム41と、サブ搬送アーム5のアーム51が当該受け渡しユニット62,64との間でウエハWの受け渡しを行う位置に進出したときに、これらアーム41,51と干渉しない位置に形成された複数個例えば3個の突部57(58)を備えて構成されている。
【0030】
ここで待避ステージ60は、サブ搬送アーム5が一時的にウエハWを載置するためのステージであり、例えば停電時等のように、ウエハWが搬送アームに載置されている状態で電源が切られた場合、次の装置の立ち上げ時に、サブ搬送アーム5にウエハの回収動作を行わせるときに使用され、例えばサブ搬送アーム5が一時的にこの待避ステージ60にウエハWを置き、その他のユニットにアクセスしてウエハWの回収が行われる。このため待避ステージ60は受け渡しユニット62,64と同様に構成される。
【0031】
前記バッファカセット63は基板載置部をなすものであり、収納容器66内に所定枚数のウエハWを棚状に保持可能に構成されている。これらバッファカセット63は、サブ搬送アーム5との間でウエハWの受け渡しを行うために、例えばサブ搬送アーム5によりアクセスできるように、前記容器66のサブ搬送アーム5に対する面は開口され、この内部にウエハWの周縁部を保持する棚部67が縦に所定間隔で形成されており、これによりウエハWが縦に配列された状態で保持されるようになっている。
【0032】
ここで前記3つの受け渡しユニットのうち、2つがインターフェイス部S2への入力用受け渡し部、残りの1つが出力用受け渡しユニットに割り当てられればよく、温調ユニット61の上面に形成された2つの受け渡しユニットを入力用受け渡しユニットとし、バッファカセット63の上面に形成された受け渡しユニットを出力用受け渡しユニットとするようにしてもよい。またバッファカセット63の上面に2つの受け渡しユニットを形成し、受け渡しユニット61の上面に待避ステージと1つの受け渡しユニットを形成するようにしてもよく、待避ステージ60を設けるない構成としてもよい。
【0033】
前記周辺露光装置65は、ウエハWについて、回路形成領域の外側の周辺領域のレジストを除去するために当該周辺部の露光を行うものであり、例えば図10に示すように、サブ搬送アーム5側の側面に搬送口71aを有する筐体71と、この筐体71内に設けられた、ウエハWを載置するための載置台72と、この載置台72を回転自在かつX及びY方向に移動自在とする駆動機構73と、ウエハWの周辺部に対向するように設けられた露光手段74と、ウエハWの周縁部を検出するためにウエハWの通過領域を上下に挟むように設けられたラインセンサー74と、を備えている。
【0034】
こうしてこの例では、棚ユニットU4の各ユニットに対しては、メイン搬送アーム4は、入力用受け渡しユニット64,出力用受け渡しユニット62,温調ユニット61に対してアクセスでき、サブ搬送アーム5は、入力用受け渡しユニット64,出力用受け渡しユニット62,温調ユニット61,バッファカセット63,周辺露光装置65、待避ステージ60に対してアクセスできるようになっている。但しこの例に限らず、メイン搬送アーム4も待避ステージ60にアクセスできるように構成してもよいし、温調ユニット61はサブ搬送アーム5のみがアクセスできるように構成してもよい。
【0035】
さらにインターフェイス部S2は、図11に示すように空間が閉じられている。つまり左右が装置本体の外装体である壁部分であり、隣の処理部S1と露光装置200との間に仕切り壁81,81が設けられている。そして天井部82に清浄気体フィルタユニットなすフィルタユニットFを備えており、インターフェイス部S2内の雰囲気が回収されて工場排気系に排気される一方、一部が不純物除去装置としてのフィルタ装置83へ導入され、このフィルタ装置83において清浄化された空気が前記フィルタユニットFを通って天井部82の通気孔84を介してインターフェイス部S2の内部に入っていき、インターフェイス部S2内にダウンフローを形成するように構成されている。
【0036】
前記フィルタユニットFは、空気を清浄化するためのフィルタ、空気中のアルカリ成分例えばアンモニア成分やアミンを除去するために酸成分が添加されている化学フィルタ等を備えたフィルタ部85及び吸い込みファン86等を備えている。またフィルタ装置83は、不純物を除去するための不純物除去部や、空気を所定の温度及び湿度に調整して送出する調整部等を備えている。ここでこの例ではインターフェイス部S2内には、不純物が除去され、所定の温湿度条件に調整された空気が送出される様に構成したが、フィルタユニットFにインターフェイス部S2の外部からの空気を取り込み、フィルタユニットFを介してインターフェイス部S2の内部に通流させるようにしてもよい。図中87は、処理部S2の棚ユニットU3又は露光装置200の受け渡しステージ210との間でウエハWの受け渡しを行うためのウエハ搬送口(露光装置200側は図示せず)である。
【0037】
またインターフェイス部S3のメイン搬送アーム4の上方側には、隔壁88で区画された部分にエレキユニットEが設けられており、フィルタユニットFからの空気の一部が隔壁の内側を通ってインターフェイス部S2の内部に通流していくようになっている。サブ搬送アーム5の上方側には、隔壁89で区画された部分にランプユニットLが設けられており、またインターフェイス部S2の天井部82のフィルタユニットFに隣接する空間には、エレキユニットEと膜厚測定器9とが縦に配列されて設けられている。
【0038】
前記エレキユニットEには、メイン搬送アーム4やサブ搬送アーム5、温調ユニット61、周辺露光装置65等の駆動系の電源部や、これらの電力制御等を行うためのコントローラ、これらに電力を分配するための配電盤等の電気関係の設備が収納されており、前記ランプユニットLには、ランプ、集光用のミラーやこれらの制御を行うためのコントローラ等が収納されている。
【0039】
前記膜厚測定器9は、例えば落射照明型顕微鏡、分光器及びデータ処理部を含む光干渉式膜厚計とにより構成され、この光干渉式膜厚計においては、光源から対物レンズを経てウエハに照射され、ここで反射された光を分光器に入射し、ここに入射された反射スペクトルをコンピュータで解析することにより膜厚が検出される。
【0040】
このような塗布、現像装置では、先ず外部からキャリアCがキャリア載置部22に搬入され、受け渡し手段23によりこのキャリアC内からウエハWが取り出される。ウエハWは、受け渡し手段23から棚ユニットU2の受け渡しユニット27aを介して主搬送手段24に受け渡され、更に棚ユニットU2(あるいはU1、U3)の処理ユニットに順次搬送されて、所定の処理例えば疎水化処理、冷却処理などが行われる。続いてこのウエハWは塗布ユニット3Aにてレジスト液が塗布され更に加熱処理されてレジスト液の溶剤が揮発された後、棚ユニットU3の冷却ユニット26で冷却され、この冷却ユニット26のウエハWは、インターフェイス部S2のメイン搬送アーム4によりインターフェイス部S2内の入力用受け渡しユニット64に搬送される。
【0041】
次いで入力用受け渡しユニット64のウエハWは、サブ搬送アーム5により周辺露光装置65に搬送され、ウエハWの周辺部の露光が行われた後、サブ搬送アーム5によりバッファカセット63に搬送される。この後サブ搬送アーム5により温調ユニット61に搬送されて、露光装置200の露光処理によって設定された、露光処理に適した温度に温度調整例えば冷却される。
【0042】
この温調ユニット61のウエハWはメイン搬送アーム4により取り出されて、露光装置200の受け渡しステージ210に搬送される。この後露光装置200にて所定の露光処理が行われたウエハWは、露光装置200の受け渡しステージ210→インターフェイス部S2のメイン搬送アーム4→処理部S1の棚ユニットU3の受け渡しユニット27bの経路で処理部S1に戻され、主搬送手段24により現像ユニット3Bに搬送され、現像処理される。なお詳しくは、ウエハWは、現像処理の前に加熱処理及び冷却処理される。現像処理されたウエハWは上述と逆の経路で受け渡し手段23に受け渡され、キャリア載置部22に載置されている元のキャリアCに戻される。
【0043】
このような塗布、現像装置では、インターフェイス部S2内に温調ユニット61を設け、周辺露光を行ってウエハWの温度が上昇した場合でも、露光処理に適した温度にウエハ温度を調整してから露光装置200へ搬送しているので、露光処理の際のウエハWの温度が揃えられ、熱影響を抑えて露光処理を安定した状態で行うことができるので、露光処理の歩留まりの向上が図れ、結果として生産性が向上する。
【0044】
また上述の例では、処理部S1とインターフェイス部S2との間及びインターフェイス部S2と露光装置S4との間のウエハWの受け渡しをメイン搬送アーム4で行い、インターフェイス部S2内の棚ユニットU4の各ユニット同士の搬送をサブ搬送アーム5で行なうようにし、2つの搬送アームでインターフェイス部S2内での搬送工程を分担して行うようにしたので、1つの搬送アームが行う工程数が減少し、搬送アームの処理能力が向上する。このためインターフェイス部S2に周辺露光装置65や温調ユニット61を設けた場合においても、スループットを向上させることができる。
【0045】
つまり従来では、インターフェイス部S2では1つの搬送アームしか設けられていなかったので、この搬送アームにより処理部の冷却ユニット→インターフェイス部の周辺露光装置→バッファカセット→露光装置の受け渡しステージの搬送を行っていた。一方本発明では、メイン搬送アーム4により処理部S1の冷却ユニット26→インターフェイス部S2の入力用受け渡しユニット64の搬送を行い、この後サブ搬送アーム5により、インターフェイス部の周辺露光装置65→バッファカセット63→温調ユニット61の搬送を行い、次いでメイン搬送アーム4により露光装置200の受け渡しステージ210へウエハWを搬送している。この場合トータルの工程数は従来の手法よりも多いが、サブ搬送アーム5は本発明のメイン搬送アーム4や従来の搬送アームより、駆動軸が1軸少なく、動作が早いので、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とにより工程数を分担していること、サブ搬送アーム5の動作が早いことから、結果として搬送アームの処理能力が高まり、スループットの向上が図れる。
【0046】
さらに上述の例では、インターフェイス部S2内に温湿度調整した空気のダウンフローを形成するようにしたので、インターフェイス部S2内に周辺露光装置65や温調ユニット61を設けたとしても、これらからの熱影響が抑えられて当該インターフェイス部S2内の温度が安定し、露光装置200へ搬送する前のウエハWや、露光後に処理部S1に搬送する前のウエハWの温度が、インターフェイス部S2内の雰囲気によって変化するといったことが抑えられ、その後の処理に対する熱影響をより低減することができる。
【0047】
さらにまたエレキユニットEが設けられている隔壁88の内部にもフィルタユニットFからの空気のダウンフローを形成するようにしたので、この空気の通流により当該隔壁88の温度上昇が抑えられる。これにより結果としてインターフェイス部S2内の温度の上昇を防止することができて、当該インターフェイス部S2内の温度の安定化を図ることができる。この際、インターフェイス部S2内に温湿度調整した空気のダウンフローを形成するのではなく、外部の空気をフィルタユニットFを介して取り込むことによってダウンフローを形成する場合であっても、空気の通流によりインターフェイス部S2内の温度の安定化は図れるので、同様の効果は得られる。
【0048】
さらにインターフェイス部S2に周辺露光装置65や温調ユニット61を設け、2つの搬送アームを設けた場合であっても、棚ユニットU4を挟んでメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とが向かい合うようにこれらを略一直線状に配置することにより、各部の配置場所の確保をインターフェイス部S2を塗布、現像装置100の奥行き方向(図1中X方向で示す、キャリアステーションのキャリアの配列方向と略直交する方向)に伸ばすことにより行っているので、フットプリントの増大を防ぐことができる。
【0049】
続いて上述の塗布、現像装置のインターフェイス部S2におけるウエハ搬送の他の例について説明する。つまりインターフェイス部S2では、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26からメイン搬送アーム4で受け取ったウエハWを入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→周辺露光装置65→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→温調ユニット61→メイン搬送アーム4→露光装置200→メイン搬送アーム4→入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→出力用受け渡しユニット62の搬送フローでウエハWを搬送するようにしてもよい。
【0050】
またインターフェイス部S2では、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26からメイン搬送アーム4で受け取ったウエハWを、入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→温調ユニット61→メイン搬送アーム4→露光装置200→メイン搬送アーム4→入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→周辺露光装置65→サブ搬送アーム5→出力用受け渡しユニット62の搬送フローでウエハWを搬送するようにしてもよい。
【0051】
さらにインターフェイス部S2では、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26からメイン搬送アーム4で受け取ったウエハWを、入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→温調ユニット61→メイン搬送アーム4→露光装置200→メイン搬送アーム4→入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→周辺露光装置65→サブ搬送アーム5→出力用受け渡しユニット62の搬送フローでウエハWを搬送するようにしてもよい。
【0052】
ここで上述の塗布、現像装置のインターフェイス部S2では、スループットの向上を図るために、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5との搬送を次のように制御することが望ましい。
【0053】
この搬送制御は、メイン搬送アーム4から入力用受け渡しユニット64を介してサブ搬送アーム5にウエハWを受け渡す場合には、サブ搬送アーム5が入力用受け渡しユニット62から先に搬送されたウエハWを取り出さないと、メイン搬送アーム4が当該入力用受け渡しユニット62へのウエハWの搬送を開始することができないという点を解消するためになされたものであり、このためメイン搬送アーム4のウエハ搬送先が入力用受け渡しユニット62である場合であって、この受け渡しユニット62にウエハWが載置されている場合に、当該受け渡しユニット62からサブ搬送アーム5が先に搬送されたウエハWの取り出しを開始すると同時にメイン搬送アーム4もウエハWの搬送を開始するように、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5の駆動系の動作を制御するものである。このようにメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5との搬送制御を行うと、メイン搬送アーム4がウエハWの搬送を待機している時間が短くなるので、その分スループットの向上を図ることができる。
【0054】
またサブ搬送アーム5からメイン搬送アーム4にウエハWを受け渡す場合にも同様の搬送制御を行うようにしてもよく、この場合には、サブ搬送アーム5のウエハ搬送先が出力用受け渡しユニット64である場合であって、この受け渡しユニット64にウエハWが載置されている場合に、当該受け渡しユニット64からメイン搬送アーム4がウエハWの取り出しを開始すると同時にサブ搬送アーム5もウエハWの搬送を開始するように、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5の駆動系の動作が制御される。
以上において本発明では、上述の例に限らず、処理部S1から露光装置200に搬送されるウエハWの温度を、インターフェイス部S2に設けた温調ユニット61により露光処理の際の最適ウエハ温度に温度調整する構成であればよく、必ずしも周辺露光処理を行なう必要はないし、露光処理を行った後に周辺露光処理を行うようにしてもよい。また処理部S1から露光装置200に搬送されるウエハWの温度が露光処理の際の最適ウエハ温度よりも低い場合には、温度調整部として加熱部を設け、ウエハWを加熱することにより所定の温度に調整するようにしてもよいし、必ずしもインターフェイス部S2に周辺露光装置65を設ける必要はない。
【0055】
さらにインターフェイス部S2に温調ユニット61を設け、この温調ユニット61に対してメイン搬送アーム4にてアクセスするようにしてもよい。さらにまたインターフェイス部S2の棚ユニットU4の構成は上述の例に限らず、棚ユニットU4の各部に加熱部やCHP装置(Chilling Hot Plate)等を設けるようにしてもよいし、周辺露光装置65は処理部S1に設けるようにしてもよい。さらにメイン搬送アーム4により処理部S1と棚ユニットU4と露光装置200と受け渡しユニット62,64との間でウエハWの受け渡しが行われ、サブ搬送アーム5により棚ユニットU4に対してウエハWの受け渡しが行われるレイアウトであれば、メイン搬送アーム4と棚ユニットU4とサブ搬送アーム5とはどのようにレイアウトしてもよいが、上述のように、棚ユニットU4を挟んでメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とが向かい合うように略一直線状に配置すれば、フットプリントを小さくすることができる。さらにまたバッファカセット63はメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とに対向する2つの面が開口するタイプを用いるようにしてもよい。さらにまた本発明で用いられる基板はLCD基板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明にかかる塗布、現像装置の実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明にかかる塗布、現像装置の実施の形態の概観を示す斜視図である。
【図3】塗布ユニットの主要部を示す縦断側面図である。
【図4】棚ユニットを示す縦断側面図である。
【図5】インターフェイス部を示すキャリアステーション側から見た断面図である。
【図6】インターフェイス部に設けられた棚ユニットの例を示す斜視図である。
【図7】前記棚ユニットを示すサブ搬送アーム側見た側面図である。
【図8】インターフェイス部に設けられた冷却ユニットを示す断面図である。
【図9】インターフェイス部に設けられたメイン搬送アームとサブ搬送アームを示す平面図である。
【図10】インターフェイス部に設けられた周辺露光装置を示す断面図である。
【図11】インターフェイス部を示す外観斜視図である。
【図12】従来の塗布、現像装置を示す平面図である。
【図13】従来のインターフェイス部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0057】
100 塗布、現像装置
200 露光装置
W 半導体ウエハ
S1 処理部
S2 インターフェイス部
U1〜U4 棚ユニット
F フィルタユニット
22 キャリア載置部
24 主搬送手段
3A 塗布ユニット
3B 現像ユニット
4 メイン搬送アーム
5 サブ搬送アーム
60 待避ステージ
61 温調ユニット
62,64 受け渡しユニット
65 周辺露光装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)等の基板にレジスト膜を形成し、露光後の基板に対して現像を行い、所望のパターンを形成する塗布、現像装置及びこの装置にて所望のパターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCDの製造プロセスにおいて行われるフォトリソグラフィと呼ばれる技術は、基板例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)の表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、フォトマスクを用いて当該レジスト膜を所定パタ−ンに露光処理した後、現像処理を行うことにより所定パタ−ンのレジスト膜を得るものである。このような一連の処理は、塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムにより行われる。
【0003】
図12はこのような装置の従来例を示す平面図であり、基板例えば半導体ウエハWを25枚収納したカセットCはキャリアステ−ションA1のキャリアステ−ジ1に搬入される。キャリアステ−ションA1には処理ブロックA2が接続されており、更に処理ブロックA2にはインターフェイスブロックA3を介して露光装置A4が接続されている。
【0004】
前記キャリアステージ1上のキャリアC内のウエハWは、受け渡しアーム11により取り出されて棚ユニット12Aの受け渡し部を介して塗布ユニット13に送られ、ここでレジストが塗布される。その後ウエハWは、ウエハ搬送手段14により棚ユニット12Bの冷却部15に搬送され(図13参照)、これをインタ−フェイスブロックA3の搬送アーム16が受け取って、当該ブロックA3の周辺露光装置17に搬送する。
【0005】
この周辺露光はウエハWの周辺部のレジストが残っていると後の工程においてパーティクル発生の原因となるため、この周辺部のレジストを除去するために当該周辺部の露光を行うものである。周辺露光が行われたウエハWは例えば当該ブロックA3のバッファカセット18に一旦搬送された後、前記搬送アーム16により露光装置A4の受け渡しステージ(図示せず)に搬送されて露光される。
【0006】
露光後のウエハWは、インターフェイスブロックA3の搬送アーム16により処理ブロックA2の棚ユニット12Bの受け渡し部19を介して処理ブロックA2に搬送され、塗布ユニット13の下段に設けられた図示しない現像ユニットにて現像された後、ウエハ搬送手段14、受け渡しアーム11によりキャリアCに戻される。前記インターフェイスブロックA3の搬送アーム16は、棚ユニット12Bと周辺露光装置17とバッファカセット18と露光装置A4とにアクセスできるように、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、水平なレールに沿って水平1軸方向に移動自在に構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでウエハWに対して周辺露光処理を行うと、紫外領域の光を照射するためウエハWの温度が例えば1℃程度上昇してしまう。またこのウエハWを露光装置A4に搬送する前にバッファカセット18に載置しても、狭いカセット内に熱がこもってしまい、それ程放熱しないのでウエハ温度はなかなか降温しない。一方露光装置A4における露光処理の際、ウエハ温度は露光機により設定された温度であることが望ましく、この設定温度から外れると、露光光のゆがみが発生し、パターン寸法を忠実に再現できない場合もある。
【0008】
近年露光装置A4の処理速度が向上し、バッファカセット18での待機時間が短くなる傾向にあることから、待機中のウエハ温度の降下がそれ程望めず、露光装置A4に搬送される際のウエハWの温度が高くなる傾向がある。このため露光処理の際の熱影響で歩留まりが悪化し、結局処理全体の生産性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、インターフェイス部にて基板に対して温調処理を行って温度管理を行うことにより露光処理の際の基板温度の安定化を図り、露光処理の歩留まりを向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明に係る塗布、現像装置は、複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布する塗布ユニット、レジストが塗布された基板を加熱するための加熱ユニット、この加熱ユニットで加熱された後の基板を冷却するための冷却ユニット、露光後の基板に対して現像を行うためのユニット、及び基板を搬送するための主搬送手段を備えた処理部と、
この処理部とレジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備え、
前記インターフェイス部は、露光装置に搬送する前の基板を載置して当該基板の温度を露光処理に適した温度に調整するための温調プレートを備えた温度調整部と、前記処理部と前記温度調整部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行うための搬送手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、前記処理部の主搬送手段からインターフェイス部の搬送手段への基板の受け渡しは、例えば記冷却ユニットを介して行われる。
【0011】
本発明に係るパターン形成方法は、複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布する塗布ユニット、レジストが塗布された基板を加熱するための加熱ユニット、この加熱ユニットで加熱された後の基板を冷却するための冷却ユニット、露光後の基板に対して現像を行うためのユニット、及び基板を搬送するための主搬送手段を備えた処理部と、
この処理部とレジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備えた塗布、現像装置を用いて、レジストパターンを形成する方法において、
処理部にてレジストが塗布されその後加熱された基板を前記冷却ユニットにて冷却する工程と、
この工程で冷却された基板をインターフェイス部内の温調プレートに載置して露光処理に適した温度に調整する工程と、
この工程で温度調整が行われた基板に対して前記露光装置により露光処理を行う工程と、
露光後の基板を処理部にて現像処理してレジストパターンを得る工程と、含むことを特徴とする。
【0012】
このような発明では、露光装置に搬送される前の基板を露光処理に適した温度に温度調整してから、露光処理を行っているので、露光処理の際の基板の温度が揃えられ、熱影響を抑えた安定した露光処理を行うことができるので、露光処理の歩留まりの向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レジストが塗布された基板をインターフェイス部内に設けられた温度調整部で露光処理に適した温度に調整してから露光装置に搬送しているので、露光処理時の基板の温度が揃えられ、安定した露光処理を行うことができ、露光処理の歩留まりの向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の塗布、現像装置の実施の形態について説明する。図1及び図2は、夫々この塗布、現像装置100を露光装置200に接続したレジストパタ−ン形成装置の全体構成を示す平面図及び概観図である。
【0015】
図中、21は例えば25枚の基板である半導体ウエハ(以下ウエハという)Wが収納されたキャリアCを搬入出するためのキャリアステーションであり、このキャリアステーション21は、前記キャリアCを載置するキャリア載置部22と受け渡し手段23とを備えている。受け渡し手段23はキャリアCから基板であるウエハWを取り出し、取り出したウエハWをキャリアステーション21の奥側に設けられている処理部S1へと受け渡すように構成されている。
【0016】
処理部S1の中央には主搬送手段24が設けられており、これを取り囲むように例えばキャリアステーション21から奥を見て例えば右側には塗布ユニット3A及び現像ユニット3Bが、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。塗布ユニット3A及び現像ユニット3Bはこの例では各々2個づつ設けられ、塗布ユニット3Aは現像ユニット3Bの下段側に配置されている。
【0017】
ここで前記塗布ユニット3A及び現像ユニット3Bについて説明する。先ず塗布ユニット3Aの一例について図3を参照しながら説明すると、31は基板保持部であるスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック31はモータ及び昇降部を含む駆動部32により鉛直軸周りに回転でき、且つ昇降できるようになっている。またスピンチャック31の周囲にはウエハWからスピンチャック31に跨る側方部分を囲い、且つ下方側全周に亘って凹部が形成された液受けカップ33が設けられ、当該液受けカップ33の底面には排気管34及びドレイン管35が接続されている。液受けカップ33の上方側にレジスト液供給ノズル36が設けられており、このノズル36はウエハWの中央部上方と前記液受けカップ33の外側との間で移動できるように構成されている。
【0018】
このように構成された塗布ユニット3Aにおいては、前記主搬送手段24によりウエハWが搬入されてスピンチャック31に受け渡される。そしてノズル36からウエハWの中央部にレジスト液を供給すると共に予め設定された回転数でスピンチャックを回転させるとレジスト液はその遠心力によりウエハWの径方向に広がってウエハW表面にレジスト液の液膜が形成され、振り切られた分は液受けカップ33へと流れ落ちる。
【0019】
また現像ユニット3Bは塗布ユニット3Aとほぼ同一の構成であるが、現像ユニット3Bは例えばウエハWの直径方向に配列された多数の供給孔を備えた供給ノズルが備えており、このノズルからウエハWの中央部に現像液を供給すると共に、予め設定された回転数でスピンチャック33を半回転させることにより、ウエハW上に現像液が液盛りされるようになっている。
【0020】
棚ユニットU1,U2,U3においては、例えば図4に、棚ユニットU2と棚ユニットU3とを代表して示すように、加熱ユニット25や冷却ユニット26のほか、ウエハの受け渡しユニット27(27a,27b)や疎水化処理ユニット28、アライメントユニット29等が上下に割り当てられている。前記加熱ユニット25及び冷却ユニット26は所定温度に調整されたプレート上に所定時間ウエハWを載置することにより、ウエハWを所定温度に加熱又は冷却するものであり、前記受け渡しユニット27は例えば昇降ピンが内蔵された受け渡し台を備えており、受け渡しユニット27aはキャリアステーション21の受け渡し手段23と処理部S1の主搬送手段24との間、受け渡しユニット27bは処理部S1の主搬送手段24と後述するインターフェイス部S2のメイン搬送アーム4との間で、夫々ウエハWの受け渡しが行われる。
【0021】
主搬送手段24は、昇降自在、進退自在及び鉛直軸まわりに回転自在に構成され、棚ユニットU1,U2,U3及び塗布ユニット3A並びに現像ユニット3Bの間でウエハWを搬送する役割を持っている。但し図2では便宜上受け渡し手段23及び主搬送手段24は描いていない。
【0022】
前記処理部S1はインタ−フェイス部S2を介して露光装置200と接続されている。このインタ−フェイス部S2は、図1及び図5の露光装置200側から見た断面図に示すように、ほぼ中央に周辺露光装置やバッファカセット等のユニットが上下に設けられた棚部をなす棚ユニットU4を備えており、キャリアステーション21から奥を見てこの棚ユニットU4の例えば右側には第1の搬送手段をなすメイン搬送アーム4、例えば左側には第2の搬送手段をなすサブ搬送アーム5が略一直線状に夫々配置されている。
【0023】
前記棚ユニットU4は、図6の斜視図及び図7のサブ搬送アーム5側から見た側面図に示すように、例えば下から2個の温度調整部をなす温調ユニット61、1個の出力用受け渡しユニット62及び1個の入力用受け渡しユニット64、2個のバッファカセット63、1個の待避ステージ60及び1個の入力用受け渡しユニット64、周辺露光部をなす周辺露光装置65が縦に配列されており、前記温調ユニット61の上方側の出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット64と、バッファカセット63と、待避ステージ60及び入力用受け渡しユニット64は、サブ搬送アーム5側から見て2つ並んで設けられている。
【0024】
前記メイン搬送アーム4は、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26や受け渡しユニット27bとの間でウエハWの受け渡しを行うと共に、当該インターフェイス部S2の棚ユニットU4の出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット部64、温調ユニット61との間、さらに露光装置200の受け渡しステージ210との間でウエハWの受け渡しを行うように構成されており、このため1枚のアーム41が基台42に沿って進退自在に構成されると共に、前記基台42自体が鉛直軸回りに回転自在、垂直ガイドレール43に沿って昇降自在、第1の水平ガイドレール44に沿って棚ユニットU4に向かう第1の水平軸方向に進退自在(キャリアステーション21から奥を見て横方向に移動自在)、第2の水平ガイドレール45に沿って前記第1の水平軸に略直交する第2の水平軸方向にスライド自在(キャリアステーション21から奥を見て縦方向に移動自在)に構成されている。
【0025】
また前記サブ搬送アーム5は、当該インターフェイス部S2の棚ユニットU4の各ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うように構成されており、このため1枚のアーム51が基台52に沿って進退自在に構成されると共に、前記基台52自体が鉛直軸回りに回転自在、垂直ガイドレール53に沿って昇降自在に構成されている。
【0026】
前記温調ユニット61は、例えば図8に示すように、サブ搬送アーム5側の側面及びメイン搬送アーム4側の側面に夫々搬送口54a,54bを有する筐体54と、この筐体54内に設けられた、ウエハWを載置して所定の温度に調整するための、例えばアルミニウムやセラミックスより等からなるプレートより構成され、例えばサーモモジュール又は、冷媒流路等の冷却機構、抵抗発熱体等の加熱機構等が内蔵された温調プレート55と、当該温調プレート55に対してウエハWの受け渡しを行うための例えば昇降ピン機構56と、を備えている。
【0027】
前記出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット64は、前記メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し部をなすものであり、これらメイン搬送アーム4及びサブ搬送アーム5がアクセス可能な位置に配置されている。つまり例えば図6及び図9に示すように、下方側の出力用受け渡しユニット62及び入力用受け渡しユニット64は例えば下から2個目の温調ユニット61の上面に2つ並んで設けられ、前記サブ搬送アーム5はこれら2つの受け渡しユニット62,64のほぼ中央に対向する位置に配置される。また上方側の入力受け渡しユニット64と待避ステージ60は2個のバッファカセット63の上面に2つ並んで設けられ、前記サブ搬送アーム5はこれら2つの受け渡しユニット62,64のほぼ中央に対向する位置に配置される。
【0028】
そして前記温調ユニット61又はバッファカセット63の上面に、前記メイン搬送アーム4のアーム41と、サブ搬送アーム5のアーム51が当該受け渡しユニット62,64との間でウエハWの受け渡しを行う位置に進出したときに、これらアーム41,51と干渉しない位置に形成された複数個例えば3個の突部57(58)を備えて構成されている。
【0029】
ここで待避ステージ60は、サブ搬送アーム5が一時的にウエハWを載置するためのステージであり、例えば停電時等のように、ウエハWが搬送アームに載置されている状態で電源が切られた場合、次の装置の立ち上げ時に、サブ搬送アーム5にウエハの回収動作を行わせるときに使用され、例えばサブ搬送アーム5が一時的にこの待避ステージ60にウエハWを置き、その他のユニットにアクセスしてウエハWの回収が行われる。このため待避ステージ60は受け渡しユニット62,64と同様に構成される。
【0030】
前記バッファカセット63は基板載置部をなすものであり、収納容器66内に所定枚数のウエハWを棚状に保持可能に構成されている。これらバッファカセット63は、サブ搬送アーム5との間でウエハWの受け渡しを行うために、例えばサブ搬送アーム5によりアクセスできるように、前記容器66のサブ搬送アーム5に対する面は開口され、この内部にウエハWの周縁部を保持する棚部67が縦に所定間隔で形成されており、これによりウエハWが縦に配列された状態で保持されるようになっている。
【0031】
ここで前記3つの受け渡しユニットのうち、2つがインターフェイス部S2への入力用受け渡しユニット、残りの1つが出力用受け渡しユニットに割り当てられればよく、温調ユニット61の上面に形成された2つの受け渡しユニットを入力用受け渡しユニットとし、バッファカセット63の上面に形成された受け渡しユニットを出力用受け渡しユニットとするようにしてもよい。またバッファカセット63の上面に2つの受け渡しユニットを形成し、受け渡しユニット61の上面に待避ステージと1つの受け渡しユニットを形成するようにしてもよく、待避ステージ60を設けない構成としてもよい。
【0032】
前記周辺露光装置65は、ウエハWについて、回路形成領域の外側の周辺領域のレジストを除去するために当該周辺部の露光を行うものであり、例えば図10に示すように、サブ搬送アーム5側の側面に搬送口71aを有する筐体71と、この筐体71内に設けられた、ウエハWを載置するための載置台72と、この載置台72を回転自在かつX及びY方向に移動自在とする駆動機構73と、ウエハWの周辺部に対向するように設けられた露光手段74と、ウエハWの周縁部を検出するためにウエハWの通過領域を上下に挟むように設けられたラインセンサー75と、を備えている。
【0033】
こうしてこの例では、棚ユニットU4の各ユニットに対しては、メイン搬送アーム4は、入力用受け渡しユニット64,出力用受け渡しユニット62,温調ユニット61に対してアクセスでき、サブ搬送アーム5は、入力用受け渡しユニット64,出力用受け渡しユニット62,温調ユニット61,バッファカセット63,周辺露光装置65、待避ステージ60に対してアクセスできるようになっている。但しこの例に限らず、メイン搬送アーム4も待避ステージ60にアクセスできるように構成してもよいし、温調ユニット61はサブ搬送アーム5のみがアクセスできるように構成してもよい。
【0034】
さらにインターフェイス部S2は、図11に示すように空間が閉じられている。つまり左右が装置本体の外装体である壁部分であり、隣の処理部S1と露光装置200との間に仕切り壁81,81が設けられている。そして天井部82に清浄気体フィルタユニットなすフィルタユニットFを備えており、インターフェイス部S2内の雰囲気が回収されて工場排気系に排気される一方、一部が不純物除去装置としてのフィルタ装置83へ導入され、このフィルタ装置83において清浄化された空気が前記フィルタユニットFを通って天井部82の通気孔84を介してインターフェイス部S2の内部に入っていき、インターフェイス部S2内にダウンフローを形成するように構成されている。
【0035】
前記フィルタユニットFは、空気を清浄化するためのフィルタ、空気中のアルカリ成分例えばアンモニア成分やアミンを除去するために酸成分が添加されている化学フィルタ等を備えたフィルタ部85及び吸い込みファン86等を備えている。またフィルタ装置83は、不純物を除去するための不純物除去部や、空気を所定の温度及び湿度に調整して送出する調整部等を備えている。ここでこの例ではインターフェイス部S2内には、不純物が除去され、所定の温湿度条件に調整された空気が送出される様に構成したが、フィルタユニットFにインターフェイス部S2の外部からの空気を取り込み、フィルタユニットFを介してインターフェイス部S2の内部に通流させるようにしてもよい。図中87は、処理部S2の棚ユニットU3又は露光装置200の受け渡しステージ210との間でウエハWの受け渡しを行うためのウエハ搬送口(露光装置200側は図示せず)である。
【0036】
またインターフェイス部S2のメイン搬送アーム4の上方側には、隔壁88で区画された部分にエレキユニットEが設けられており、フィルタユニットFからの空気の一部が隔壁の内側を通ってインターフェイス部S2の内部に通流していくようになっている。サブ搬送アーム5の上方側には、隔壁89で区画された部分にランプユニットLが設けられており、またインターフェイス部S2の天井部82のフィルタユニットFに隣接する空間には、エレキユニットEと膜厚測定器9とが縦に配列されて設けられている。
【0037】
前記エレキユニットEには、メイン搬送アーム4やサブ搬送アーム5、温調ユニット61、周辺露光装置65等の駆動系の電源部や、これらの電力制御等を行うためのコントローラ、これらに電力を分配するための配電盤等の電気関係の設備が収納されており、前記ランプユニットLには、ランプ、集光用のミラーやこれらの制御を行うためのコントローラ等が収納されている。
【0038】
前記膜厚測定器9は、例えば落射照明型顕微鏡、分光器及びデータ処理部を含む光干渉式膜厚計とにより構成され、この光干渉式膜厚計においては、光源から対物レンズを経てウエハに照射され、ここで反射された光を分光器に入射し、ここに入射された反射スペクトルをコンピュータで解析することにより膜厚が検出される。
【0039】
このような塗布、現像装置では、先ず外部からキャリアCがキャリア載置部22に搬入され、受け渡し手段23によりこのキャリアC内からウエハWが取り出される。ウエハWは、受け渡し手段23から棚ユニットU2の受け渡しユニット27aを介して主搬送手段24に受け渡され、更に棚ユニットU2(あるいはU1、U3)の処理ユニットに順次搬送されて、所定の処理例えば疎水化処理、冷却処理などが行われる。続いてこのウエハWは塗布ユニット3Aにてレジスト液が塗布され更に加熱処理されてレジスト液の溶剤が揮発された後、棚ユニットU3の冷却ユニット26で冷却され、この冷却ユニット26のウエハWは、インターフェイス部S2のメイン搬送アーム4によりインターフェイス部S2内の入力用受け渡しユニット64に搬送される。
【0040】
次いで入力用受け渡しユニット64のウエハWは、サブ搬送アーム5により周辺露光装置65に搬送され、ウエハWの周辺部の露光が行われた後、サブ搬送アーム5によりバッファカセット63に搬送される。この後サブ搬送アーム5により温調ユニット61に搬送されて、露光装置200の露光処理によって設定された、露光処理に適した温度に温度調整例えば冷却される。
【0041】
この温調ユニット61のウエハWはメイン搬送アーム4により取り出されて、露光装置200の受け渡しステージ210に搬送される。この後露光装置200にて所定の露光処理が行われたウエハWは、露光装置200の受け渡しステージ210→インターフェイス部S2のメイン搬送アーム4→処理部S1の棚ユニットU3の受け渡しユニット27bの経路で処理部S1に戻され、主搬送手段24により現像ユニット3Bに搬送され、現像処理される。なお詳しくは、ウエハWは、現像処理の前に加熱処理及び冷却処理される。現像処理されたウエハWは上述と逆の経路で受け渡し手段23に受け渡され、キャリア載置部22に載置されている元のキャリアCに戻される。
【0042】
このような塗布、現像装置では、インターフェイス部S2内に温調ユニット61を設け、周辺露光を行ってウエハWの温度が上昇した場合でも、露光処理に適した温度にウエハ温度を調整してから露光装置200へ搬送しているので、露光処理の際のウエハWの温度が揃えられ、熱影響を抑えて露光処理を安定した状態で行うことができるので、露光処理の歩留まりの向上が図れ、結果として生産性が向上する。
【0043】
また上述の例では、処理部S1とインターフェイス部S2との間及びインターフェイス部S2と露光装置200との間のウエハWの受け渡しをメイン搬送アーム4で行い、インターフェイス部S2内の棚ユニットU4の各ユニット同士の搬送をサブ搬送アーム5で行なうようにし、2つの搬送アームでインターフェイス部S2内での搬送工程を分担して行うようにしたので、1つの搬送アームが行う工程数が減少し、搬送アームの処理能力が向上する。このためインターフェイス部S2に周辺露光装置65や温調ユニット61を設けた場合においても、スループットを向上させることができる。
【0044】
つまり従来では、インターフェイス部S2では1つの搬送アームしか設けられていなかったので、この搬送アームにより処理部の冷却ユニット→インターフェイス部の周辺露光装置→バッファカセット→露光装置の受け渡しステージの搬送を行っていた。一方本発明では、メイン搬送アーム4により処理部S1の冷却ユニット26→インターフェイス部S2の入力用受け渡しユニット64の搬送を行い、この後サブ搬送アーム5により、インターフェイス部の周辺露光装置65→バッファカセット63→温調ユニット61の搬送を行い、次いでメイン搬送アーム4により露光装置200の受け渡しステージ210へウエハWを搬送している。この場合トータルの工程数は従来の手法よりも多いが、サブ搬送アーム5は本発明のメイン搬送アーム4や従来の搬送アームより、駆動軸が1軸少なく、動作が早いので、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とにより工程数を分担していること、サブ搬送アーム5の動作が早いことから、結果として搬送アームの処理能力が高まり、スループットの向上が図れる。
【0045】
さらに上述の例では、インターフェイス部S2内に温湿度調整した空気のダウンフローを形成するようにしたので、インターフェイス部S2内に周辺露光装置65や温調ユニット61を設けたとしても、これらからの熱影響が抑えられて当該インターフェイス部S2内の温度が安定し、露光装置200へ搬送する前のウエハWや、露光後に処理部S1に搬送する前のウエハWの温度が、インターフェイス部S2内の雰囲気によって変化するといったことが抑えられ、その後の処理に対する熱影響をより低減することができる。
【0046】
さらにまたエレキユニットEが設けられている隔壁88の内部にもフィルタユニットFからの空気のダウンフローを形成するようにしたので、この空気の通流により当該隔壁88の温度上昇が抑えられる。これにより結果としてインターフェイス部S2内の温度の上昇を防止することができて、当該インターフェイス部S2内の温度の安定化を図ることができる。この際、インターフェイス部S2内に温湿度調整した空気のダウンフローを形成するのではなく、外部の空気をフィルタユニットFを介して取り込むことによってダウンフローを形成する場合であっても、空気の通流によりインターフェイス部S2内の温度の安定化は図れるので、同様の効果は得られる。
【0047】
さらにインターフェイス部S2に周辺露光装置65や温調ユニット61を設け、2つの搬送アームを設けた場合であっても、棚ユニットU4を挟んでメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とが向かい合うようにこれらを略一直線状に配置することにより、各部の配置場所の確保をインターフェイス部S2を塗布、現像装置100の奥行き方向(図1中X方向で示す、キャリアステーションのキャリアの配列方向と略直交する方向)に伸ばすことにより行っているので、フットプリントの増大を防ぐことができる。
【0048】
続いて上述の塗布、現像装置のインターフェイス部S2におけるウエハ搬送の他の例について説明する。つまりインターフェイス部S2では、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26からメイン搬送アーム4で受け取ったウエハWを入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→周辺露光装置65→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→温調ユニット61→メイン搬送アーム4→露光装置200→メイン搬送アーム4→入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→出力用受け渡しユニット62の搬送フローでウエハWを搬送するようにしてもよい。
【0049】
またインターフェイス部S2では、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26からメイン搬送アーム4で受け取ったウエハWを、入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→温調ユニット61→メイン搬送アーム4→露光装置200→メイン搬送アーム4→入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→周辺露光装置65→サブ搬送アーム5→出力用受け渡しユニット62の搬送フローでウエハWを搬送するようにしてもよい。
【0050】
さらにインターフェイス部S2では、処理部S1の棚ユニットU3の冷却ユニット26からメイン搬送アーム4で受け取ったウエハWを、入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→温調ユニット61→メイン搬送アーム4→露光装置200→メイン搬送アーム4→入力用受け渡しユニット64→サブ搬送アーム5→バッファカセット63→サブ搬送アーム5→周辺露光装置65→サブ搬送アーム5→出力用受け渡しユニット62の搬送フローでウエハWを搬送するようにしてもよい。
【0051】
ここで上述の塗布、現像装置のインターフェイス部S2では、スループットの向上を図るために、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5との搬送を次のように制御することが望ましい。
【0052】
この搬送制御は、メイン搬送アーム4から入力用受け渡しユニット64を介してサブ搬送アーム5にウエハWを受け渡す場合には、サブ搬送アーム5が入力用受け渡しユニット62から先に搬送されたウエハWを取り出さないと、メイン搬送アーム4が当該入力用受け渡しユニット62へのウエハWの搬送を開始することができないという点を解消するためになされたものであり、このためメイン搬送アーム4のウエハ搬送先が入力用受け渡しユニット62である場合であって、この受け渡しユニット62にウエハWが載置されている場合に、当該受け渡しユニット62からサブ搬送アーム5が先に搬送されたウエハWの取り出しを開始すると同時にメイン搬送アーム4もウエハWの搬送を開始するように、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5の駆動系の動作を制御するものである。このようにメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5との搬送制御を行うと、メイン搬送アーム4がウエハWの搬送を待機している時間が短くなるので、その分スループットの向上を図ることができる。
【0053】
またサブ搬送アーム5からメイン搬送アーム4にウエハWを受け渡す場合にも同様の搬送制御を行うようにしてもよく、この場合には、サブ搬送アーム5のウエハ搬送先が出力用受け渡しユニット64である場合であって、この受け渡しユニット64にウエハWが載置されている場合に、当該受け渡しユニット64からメイン搬送アーム4がウエハWの取り出しを開始すると同時にサブ搬送アーム5もウエハWの搬送を開始するように、メイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5の駆動系の動作が制御される。
以上において本発明では、上述の例に限らず、処理部S1から露光装置200に搬送されるウエハWの温度を、インターフェイス部S2に設けた温調ユニット61により露光処理の際の最適ウエハ温度に温度調整する構成であればよく、必ずしも周辺露光処理を行なう必要はないし、露光処理を行った後に周辺露光処理を行うようにしてもよい。また処理部S1から露光装置200に搬送されるウエハWの温度が露光処理の際の最適ウエハ温度よりも低い場合には、温度調整部として加熱部を設け、ウエハWを加熱することにより所定の温度に調整するようにしてもよいし、必ずしもインターフェイス部S2に周辺露光装置65を設ける必要はない。
【0054】
さらにインターフェイス部S2に温調ユニット61を設け、この温調ユニット61に対してメイン搬送アーム4にてアクセスするようにしてもよい。さらにまたインターフェイス部S2の棚ユニットU4の構成は上述の例に限らず、棚ユニットU4の各部に加熱部やCHP装置(Chilling Hot Plate)等を設けるようにしてもよいし、周辺露光装置65は処理部S1に設けるようにしてもよい。さらにメイン搬送アーム4により処理部S1と棚ユニットU4と露光装置200と受け渡しユニット62,64との間でウエハWの受け渡しが行われ、サブ搬送アーム5により棚ユニットU4に対してウエハWの受け渡しが行われるレイアウトであれば、メイン搬送アーム4と棚ユニットU4とサブ搬送アーム5とはどのようにレイアウトしてもよいが、上述のように、棚ユニットU4を挟んでメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とが向かい合うように略一直線状に配置すれば、フットプリントを小さくすることができる。さらにまたバッファカセット63はメイン搬送アーム4とサブ搬送アーム5とに対向する2つの面が開口するタイプを用いるようにしてもよい。さらにまた本発明で用いられる基板はLCD基板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明にかかる塗布、現像装置の実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明にかかる塗布、現像装置の実施の形態の概観を示す斜視図である。
【図3】塗布ユニットの主要部を示す縦断側面図である。
【図4】棚ユニットを示す縦断側面図である。
【図5】インターフェイス部をキャリアステーション側から見た断面図である。
【図6】インターフェイス部に設けられた棚ユニットの例を示す斜視図である。
【図7】前記棚ユニットをサブ搬送アーム側から見た側面図である。
【図8】インターフェイス部に設けられた冷却ユニットを示す断面図である。
【図9】インターフェイス部に設けられたメイン搬送アームとサブ搬送アームを示す平面図である。
【図10】インターフェイス部に設けられた周辺露光装置を示す断面図である。
【図11】インターフェイス部を示す外観斜視図である。
【図12】従来の塗布、現像装置を示す平面図である。
【図13】従来のインターフェイス部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
100 塗布、現像装置
200 露光装置
W 半導体ウエハ
S1 処理部
S2 インターフェイス部
U1〜U4 棚ユニット
F フィルタユニット
22 キャリア載置部
24 主搬送手段
3A 塗布ユニット
3B 現像ユニット
4 メイン搬送アーム
5 サブ搬送アーム
60 待避ステージ
61 温調ユニット
62,64 受け渡しユニット
65 周辺露光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像を行うと共に、レジストが塗布され、加熱された基板を冷却するための複数個の冷却ユニットを備えた処理部と、
前記処理部と、レジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備え、
前記インターフェイス部は、露光装置に搬送する前の基板を載置して問うが機基板の温度を露光処理に適した温度に調整するための温調プレートを備えた温度調整部と、前記処理部と前記温度調整部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行う搬送手段と、を備えることを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像を行うと共に、レジストが塗布され、加熱された基板を冷却するための複数個の冷却ユニットを備えた処理部と、
前記処理部と、レジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備えた塗布、現像装置を用いて、レジストパターンを形成する方法において、
処理部にてレジストが塗布されその後加熱された基板を前記部冷却ユニットにて冷却する工程と、
レジストが塗布された基板をインターフェイス部内の温調プレートに才知して露光処理に適した温度に温度調整を行う工程と、
前記温度調整が行われた基板に対して露光処理を行う工程と、
露光後の基板を現像処理してレジストパターンを得る工程と、含むことを特徴とするパターン形成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布する塗布ユニット、レジストが塗布された基板を加熱するための加熱ユニット、この加熱ユニットで加熱された後の基板を冷却するための冷却ユニット、露光後の基板に対して現像を行うためのユニット、及び基板を搬送するための主搬送手段を備えた処理部と、
この処理部とレジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備え、
前記インターフェイス部は、露光装置に搬送する前の基板を載置して当該基板の温度を露光処理に適した温度に調整するための温調プレートを備えた温度調整部と、前記処理部と前記温度調整部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行うための搬送手段と、を備えることを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
前記処理部の主搬送手段からインターフェイス部の搬送手段への基板の受け渡しは、前記冷却ユニットを介して行われることを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
複数枚の基板を保持したキャリアが載置されるキャリア載置部と、
このキャリア載置部に載置されたキャリアから取り出された基板にレジストを塗布する塗布ユニット、レジストが塗布された基板を加熱するための加熱ユニット、この加熱ユニットで加熱された後の基板を冷却するための冷却ユニット、露光後の基板に対して現像を行うためのユニット、及び基板を搬送するための主搬送手段を備えた処理部と、
この処理部とレジストが塗布された基板に露光処理を行うための露光装置との間で基板の受け渡しを行うためのインタ−フェイス部と、を備えた塗布、現像装置を用いて、レジストパターンを形成する方法において、
処理部にてレジストが塗布されその後加熱された基板を前記冷却ユニットにて冷却する工程と、
この工程で冷却された基板をインターフェイス部内の温調プレートに載置して露光処理に適した温度に調整する工程と、
この工程で温度調整が行われた基板に対して前記露光装置により露光処理を行う工程と、
露光後の基板を処理部にて現像処理してレジストパターンを得る工程と、含むことを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−344986(P2006−344986A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196215(P2006−196215)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【分割の表示】特願2000−374836(P2000−374836)の分割
【原出願日】平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】