説明

外装カバーの装着構造

【課題】 外装カバーや骨組みを傷つけることがなく、外装カバーの装着時に塵を発生させることのない外装カバーの装着構造を提供することである。
【解決手段】 加工装置の骨組みに外装カバーを装着する外装カバーの装着構造であって、それぞれ横方向に伸長する長穴及び左右移動規制用のストッパを有し、横方向に所定間隔離間して該骨組みに固定された断面概略コの字形状の一対の受け部材と、横方向に前記所定間隔離間して該外装カバーに取り付けられた一対のブラケットと、該各ブラケットから下方向に突出するように該ブラケットに固定された凸部とを具備し、該各ブラケットの凸部を該各受け部材の長穴に挿入して該外装カバーを該骨組みに装着すると、該ブラケットが該受け部材の前記ストッパに当接することにより、該外装カバーの左右方向の移動が規制され、該ブラケットの前記凸部が該受け部材の前記長穴中に挿入されることにより、該外装カバーの前後方向の移動が規制されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置における外装カバーの装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、産業機械や製造装置は、装置の外形を形作る骨組み(骨格)を有し、この骨組み上や骨組みの内部に駆動部や制御部が組み付けられて構成される。これらの駆動部や制御部を保護する目的、駆動部が駆動中に作業者が駆動部にアクセスすることを防止する目的、又は装置の外観性を確保する目的等により、骨組みの外側には外装カバーが装着される。
【0003】
例えば、特開2007−331050号公報には、このような外装カバーを備えた加工装置が開示されている。この加工装置は、外装カバーに形成された係合爪と、骨組みに形成された被係合部とを備え、骨組みに形成された被係合部に外装カバーの係合爪が係合することで、骨組みに外装カバーが装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−331050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された外装カバー装着構造では、外装カバーの装着時には作業者が外装カバーを保持した状態で、目視で取り付け位置を確認して骨組みに装着する。従って、外装カバーを取り付ける骨組みに対して左右方向において適切な位置に位置決めして外装カバーを装着することが難しい。
【0006】
このため、多少ずれた位置にて外装カバーを取り付けた後、外装カバーを左右方向に適正な位置までずらす必要があったため、係合爪と非係合部に傷をつけてしまうという問題があった。
【0007】
また、外装カバーは係合爪と被係合部との引っかかりで係合されているだけなので、外装カバーを骨組みへ取り付けた後も、外装カバーがばたつき、外装カバーと骨組みとが擦れて外装カバーや骨組みに傷がつく上、塵が発生するという不具合があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外装カバーや骨組みを傷つけることがなく、外装カバーの装着時に塵を発生させることのない外装カバーの装着構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、加工装置の骨組みに外装カバーを装着する外装カバーの装着構造であって、それぞれ横方向に伸長する長穴及び左右移動規制用のストッパを有し、横方向に所定間隔離間して該骨組みに固定された断面概略コの字形状の一対の受け部材と、横方向に前記所定間隔離間して該外装カバーに取り付けられた一対のブラケットと、該各ブラケットから下方向に突出するように該ブラケットに固定された凸部とを具備し、該各ブラケットの凸部を該各受け部材の長穴に挿入して該外装カバーを該骨組みに装着すると、該ブラケットが該受け部材の前記ストッパに当接することにより、該外装カバーの左右方向の移動が規制され、該ブラケットの前記凸部が該受け部材の前記長穴中に挿入されることにより、該外装カバーの前後方向の移動が規制されることを特徴とする外装カバーの装着構造が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、加工装置の骨組みは横方向に伸長する長穴及びストッパを有する一対の受け部材を備え、外装カバーはブラケット及びブラケットに固定された下方向に伸長する凸部を有しているので、外装カバーの凸部を受け部材の長穴中に挿入して外装カバーを骨組みに装着すると、長穴が凸部のガイドとなり、骨組みに対して容易に外装カバーを装着することが可能となる。
【0011】
また、外装カバーを骨組みに装着すると、凸部が長穴中に挿入されるため、外装カバーの前後方向のばたつきが防止される。更に、ブラケットがストッパに当接するため、外装カバーの左右方向の移動が規制され、外装カバーや骨組みを傷つけ、塵を発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の外装カバー装着構造を採用した加工装置の外観斜視図である。
【図2】図2(A)は第1実施形態の受け部材が固定された外装カバー装着部の骨組みの平面図、図2(B)は図2(A)の2B−2B線断面図である。
【図3】図3(A)は外装カバーの平面図、図3(B)は図3(A)の3B−3B線断面図である。
【図4】図4(A)は外装カバーが骨組みに装着された状態の平面図、図4(B)は図4(A)の4B−4B線断面図である。
【図5】図5(A)は第2実施形態の受け部材が固定された外装カバー装着部の骨組みの平面図、図5(B)は図5(A)の5B−5B線断面図である。
【図6】図6(A)は外装カバーが第2実施形態の受け部材が固定された骨組みに装着された状態の平面図、図6(B)は図6(A)の6B−6B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係る外装カバーの装着構造を採用した加工装置2の外観斜視図が示されている。加工装置2は例えば切削装置から構成され、骨組み(骨格)4内に切削装置の機械的構成要素であるチャックテーブル、切削ブレードを備えた切削ユニット、ウエーハの切削すべき領域を検出する撮像装置を備えたアライメントユニット、スピンナ洗浄装置、ウエーハを搬送する搬送装置等が収容されている。
【0014】
符号6,8,10は加工装置2の骨組み4に本発明の装着構造により取り外し可能に装着される外装カバーであり、これらの外装カバー4,8,10及び骨組み4に固定された複数のパネル5によりハウジング3が構成される。
【0015】
オペレータが加工装置2を操作する操作側には、オペレーション表示モニタ12が配設されている。このオペレーション表示モニタ12はタッチパネル式であり、オペレータはモニタ12に表示された情報にタッチすることにより、加工装置2にコマンドを入力することができるとともに、加工装置2の稼動状況がこのモニタ12上に表示される。
【0016】
14は加工装置2の稼動状況を表示する表示ランプであり、加工装置2が正常作動時には例えば緑色で点灯し、何らかの故障が生じた場合には赤色が点滅する。16は非常停止ボタンであり、オペレータがこの非常停止ボタン16を押すと加工装置2の作動を直ちに停止することができる。
【0017】
加工装置2の操作側には、観音開きに開閉可能な扉18,20が設けられている。例えば、加工装置2のチャックテーブルにウエーハを装着したり、又はスピンドルに装着された切削ブレードを交換したい等の場合には、これらの扉18,20を開閉して作業を実施する。
【0018】
次に、図2乃至図6を参照して、本発明実施形態に係る外装カバーの装着構造について詳細に説明する。図2(A)を参照すると、本発明第1実施形態の受け部材が固定された外装カバー装着部の骨組みの平面図が示されている。図2(B)は図2(A)の2B−2B線断面図である。
【0019】
骨組み4には、横方向に所定間隔離間して断面概略コの字形状の一対の受け部材22が溶接等により固定されている。各受け部材22は、横方向に伸長する長穴23及び水平方向に伸長する左右移動規制用のストッパ24を有している。
【0020】
図3(A)を参照すると、外装カバー6の平面図が示されている。図3(B)は図3(A)の3B−3B線断面図である。外装カバー6には、横方向に所定間隔離間して断面概略L形状のブラケット26が溶接等により固定されている。
【0021】
ブラケット26の先端部26aは下向きに屈曲されている。ブラケット26は係止穴27を有しており、この係止穴27中に半球状の凸部28が下方から圧入により係止されている。係止穴27中にねじ山を形成しておき、半球状の凸部28を有する雄ねじを係止穴27に下方から螺合することで、係止穴27から半球状の凸部28が下方に突出するようにしてもよい。
【0022】
外装カバー6を骨組み4の装着部に取り付けるには、外装カバー6の各ブラケット26に係止された半球状凸部28を各受け部材22の長穴23に挿入する。図4(A)は外装カバー6が第1実施形態の受け部材22が固定された骨組み4に装着された状態の平面図であり、図4(B)は図4(A)の4B−4B線断面図である。
【0023】
受け部材22は長穴23を有しているので、ブラケット26に固定された半球状凸部28を長穴23中に挿入するのは容易であり、長穴23が半球状凸部28のガイドとなり、骨組み4に対して容易に外装カバー6を装着することができる。
【0024】
外装カバー6を骨組み4に装着すると、半球状凸部28が長穴23中に挿入されるため、外装カバー6の前後方向のばたつきが防止される。更に、ブラケット26がある程度の隙間をもってストッパ24に当接するため、外装カバー6の左右方向の移動が規制される。その結果、外装カバー6及び骨組み4を傷つけることがなく、塵を発生させることがない。
【0025】
図5(A)を参照すると、本発明第2実施形態の受け部材22Aが固定された外装カバー装着部の骨組み4の平面図が示されている。図5(B)は図5(A)の5B−5B線断面図である。
【0026】
本実施形態の受け部材22Aは、ストッパ24Aが受け部材22Aから上方に伸長している点が第1実施形態の受け部材22と相違する。外装カバー装着部の骨組み4の他の構成は上述した第1実施形態と同様であり、骨組み4に装着される外装カバー6の構成は図3に示した実施形態と同様である。
【0027】
図6(A)を参照すると、外装カバー6が第2実施形態の受け部材22Aが固定された骨組み4に装着された状態の平面図が示されている。図6(B)は図6(A)の6B−6B線断面図である。
【0028】
本実施形態の装着構造でも、外装カバー6の半球状凸部28を受け部材22Aの長穴23中に挿入して外装カバー6を骨組み4に装着すると、長穴23が半球状凸部28のガイドとなり、骨組み4に対して容易に外装カバー6を装着することができる。
【0029】
また、外装カバー6を骨組み4に装着すると、半球状凸部28が長穴23中に挿入されるため、外装カバー6の前後方向のばたつきが防止される。更に、ブラケット26が上方に伸長するストッパ24Aにある程度の隙間をもって当接するため、外装カバー6の左右方向の移動が規制される。その結果、外装カバー6及び骨組み4を傷つけることがなく、塵を発生させることがない。
【符号の説明】
【0030】
2 加工装置
3 ハウジング
4 骨組み(骨格)
6,8,10 外装カバー
12 オペレーション表示モニタ
18,20 扉
22,22A 受け部材
23 長穴
24,24A ストッパ
26 L形状ブラケット
28 半球状凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置の骨組みに外装カバーを装着する外装カバーの装着構造であって、
それぞれ横方向に伸長する長穴及び左右移動規制用のストッパを有し、横方向に所定間隔離間して該骨組みに固定された断面概略コの字形状の一対の受け部材と、
横方向に前記所定間隔離間して該外装カバーに取り付けられた一対のブラケットと、
該各ブラケットから下方向に突出するように該ブラケットに固定された凸部とを具備し、
該各ブラケットの凸部を該各受け部材の長穴に挿入して該外装カバーを該骨組みに装着すると、該ブラケットが該受け部材の前記ストッパに当接することにより、該外装カバーの左右方向の移動が規制され、該ブラケットの前記凸部が該受け部材の前記長穴中に挿入されることにより、該外装カバーの前後方向の移動が規制されることを特徴とする外装カバーの装着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−148060(P2011−148060A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12252(P2010−12252)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】