説明

外部渡り通路用雨水浸入防止装置

【課題】外部渡り通路用目地装置の左右の手摺部分より落下する雨水が、下部の渡り通路内へ浸入するのを確実に防止する外部渡り通路用雨水浸入防止装置。
【解決手段】上下部位に複数個配置された外部渡り通路において、渡り通路8の両端部寄りの底面躯体あるいは底面よりの側壁躯体に固定された一対の支持レール15と、この一対の支持レール15にスライド移動可能に支持された先端部が一方の建物の外部通路の外壁と当接可能で上部の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺10から落下する雨水を渡り通路内へ浸入するのを防止する一対のスライド雨水浸入防止部材と、この一対のスライド雨水浸入防止部材の先端部を常時一方の建物の外部通路の外壁と当接するように付勢する付勢機構17とで外部渡り通路用雨水浸入防止装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は左右の建物を連通する外部渡り通路の上部の左右の手摺から落下する雨水が渡り通路内へ浸入するのを防止することができる外部渡り通路用雨水浸入防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の外部渡り通路は地震時に、左右の建物が異なる左右方向や前後方向に揺れ動いても、その揺れ動きを吸収できるように目地部を設け、該目地部を床目地プレートおよび左右の手摺を備えた外部渡り通路用目地装置が設けられている。
【0003】
このように構成された外部渡り通路は安全に通行することができるが、雨が降った場合、外部渡り通路の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺部分より、下部位置の左右の手摺部分へ雨水が落下し、飛び跳ねて該部を通行している人にかかるという欠点があった。
【特許文献1】特許第3154957号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、外部渡り通路の上部の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺部分より落下する雨水が、下部の渡り通路内へ浸入するのを確実に防止して、濡れたりすることなく通行することができる外部渡り通路用雨水浸入防止装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り通路用開口部と、この渡り通路用開口部と目地部を介して連通するように、他方の建物より突出するように設けられた渡り通路と、この渡り通路と前記渡り通路用開口部とを接続する床用目地プレートおよび左右の手摺を備える外部渡り通路用目地装置とからなる上下部位に複数個配置された外部渡り通路において、前記渡り通路の両端部寄りの底面躯体あるいは底面よりの側壁躯体に固定された一対の支持レールと、この一対の支持レールにスライド移動可能に支持された先端部が前記一方の建物の外部通路の外壁と当接可能で、上部の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺から落下する雨水を渡り通路内へ浸入するのを防止する一対のスライド雨水浸入防止部材と、この一対のスライド雨水浸入防止部材の先端部を常時一方の建物の外部通路の外壁と当接するように付勢する付勢機構とで外部渡り通路用雨水浸入防止装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り通路用開口部と、この渡り通路用開口部と目地部を介して連通するように、他方の建物より突出するように設けられた渡り通路と、この渡り通路と前記渡り通路用開口部とを接続する床用目地プレートおよび左右の手摺を備える外部渡り通路用目地装置とからなる上下部位に複数個配置された外部渡り通路において、前記渡り通路の両端部寄りの底面躯体あるいは底面よりの側壁躯体に固定された一対の支持レールと、この一対の支持レールにスライド移動可能に支持された先端部が前記一方の建物の外部通路の外壁と当接可能で、上部の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺から落下する雨水を渡り通路内へ浸入するのを防止する一対のスライド雨水浸入防止部材と、この一対のスライド雨水浸入防止部材の先端部を常時一方の建物の外部通路の外壁と当接するように付勢する付勢機構とで構成されているので、上部の外部渡り通路の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺部分より雨水が落下しても、スライド雨水浸入防止部材によって、渡り通路内へ雨水が浸入するのを防止することができる。
したがって、渡り通路の通過時に落下した雨水によって濡れたりするのを確実に防止することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、スライド雨水浸入防止部材を、常時一方の建物の外部通路の外壁と当接するように付勢機構で付勢されているので、確実に左右の手摺部分にスライド雨水浸入防止部材を位置させることができる。
したがって、確実に上部の左右の手摺部分より落下する雨水をスライド雨水浸入防止部材で受けることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、地震によって左右の建物が異なる前後方向に揺れ動いた場合、スライド雨水浸入防止部材を付勢機構の付勢力によって、支持レールに沿ってスライド移動し、その揺れ動きを吸収して、損傷するのを確実に防止することができる。
【0011】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、上部にたれ落ちる雨水をスライド移動樋に集めて処理することができる。
【0012】
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、上部にたれ落ちる雨水を雨水ガイド板によって外部へ排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図11に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は一方の建物2の外部通路3の外壁4に形成された渡り通路用開口部5と、この渡り通路用開口部5と目地部6を介して連通するように、他方の建物7より突出するように設けられた渡り通路8と、この渡り通路8と前記渡り通路用開口部5とを接続する床用目地プレート9および左右の手摺10、10を備える外部渡り通路用目地装置11とからなる外部渡り通路12の外部渡り通路用目地装置11の上部位置の、前記左右の手摺10、10より落下する雨水が下部位置の床用目地プレート9を含む渡り通路8内へ浸入するのを阻止する本発明の外部渡り通路用雨水浸入防止装置で、この外部渡り通路用雨水浸入防止装置1は前記渡り通路8の両端部寄りの底面よりの側壁躯体13に複数本のアンカーボルト14等で固定された一対の支持レール15、15と、この一対の支持レール15、15にスライド移動可能に支持された先端部が前記一方の建物2の外部通路3の外壁4と当接可能で、上部の外部渡り通路用目地装置11の左右の手摺10、10から落下する雨水を渡り通路8内へ浸入するのを防止する一対のスライド雨水浸入防止部材16、16と、この一対のスライド雨水浸入防止部材16、16を常時一方の建物2の外部通路3の外壁4と当接するように付勢する付勢機構17、17とで構成されている。
【0015】
前記一対の支持レール15、15は図5に示すように、クランク状に曲げられた取付け板26と、この取付け板26の先端部に固定された上部先端部が、ほぼ45度内側へ傾斜した傾斜面19を有するほぼチャンネル状のレール20とで構成されている。
【0016】
前記一対のスライド雨水浸入防止部材16、16は前記一対の支持レール15、15のレール20、20にスベリ材21、21を介してスライド移動可能に取付けられた前記傾斜面19に対応した傾斜面22を有するスライドレール23と、このスライドレール23の傾斜面22の下部位置に複数個のヒンジ部材24を介して回動可能に取付けられ、常時は上部左右の手摺10、10より落下した雨水を外部へ排出できるように傾斜面25となるように位置し、目地部6が狭くなると、前記渡り通路8側の側壁躯体13、13によって内側方向、すなわち垂直状態となるように回動させることができる傾斜切欠部26を有するゴム材製の雨水ガイド板27とで構成されている。
【0017】
前記付勢機構17、17は一端部が前記一対のスライド雨水浸入防止部材16、16のスライドレール23、23の後端部に取付けられ、他端部が前記一方の建物2側の他方の建物7の躯体7a、7aに固定された引張りスプリングで構成されている。
【0018】
上記構成の外部渡り通路用雨水浸入防止装置1は、通常時には図1ないし図3に示すように、外部渡り通路用目地装置11の左右の手摺10、10に付着した雨水は、該左右の手摺10、10を伝わって下方へ落下し、該下方に位置している雨水ガイド板27、27上へ落下し、該部より外方へ排出される。
【0019】
目地部6が狭くなると、一対の支持レール15、15に沿って、スライドレール23、23がスライド移動するとともに、先端部が外方へ突出している雨水ガイド板27、27の傾斜切欠部26、26が渡り通路8側の側壁躯体13、13と当接し、雨水ガイド板27、27をほぼ垂直となるようにヒンジ部材24の付勢力に抗して回動させて、損傷するのを防止する。
この場合、上部からの雨水の浸入は防止できなくなるが、地震はたまにしかなく、かつ、あってもわずかな時間であるので問題はなく、地震後は自動的に元の状態に戻る。
[発明を実施するための異なる形態]
【0020】
次に、図12ないし図27に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図12ないし図17に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、アングル状の取付け板18Aと、この取付け板18Aの先端部に固定された四角柱状のレール20Aとからなる一対の支持レール15A、15Aと、この一対の支持レール15A、15Aのレール20A、20Aにスベリ材21、21を介してスライド移動するほぼ中央上面に切り欠部28が形成されたスライドレール23Aと、このスライドレール23Aの上部位置に複数個のヒンジ部材24を介して回動可能に取付けられた雨水ガイド板27Aとからなる一対のスライド雨水浸入防止部材16A、16Aとを用いた点で、このような一対の支持レール15A、15Aと一対のスライド雨水浸入防止部材16A、16Aを用いて構成した外部渡り通路用雨水浸入防止装置1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0022】
図18ないし図23に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、渡り通路8の両端部寄りの底面よりの側壁躯体13、13に固定された上部開口するチャンネル状の一対の支持レール15B、15Bと、この一対の支持レール15B、15Bにスベリ材21、21を介してスライド移動可能な上部開口のチャンネル状の一対のスライド移動樋29、この一対のスライド移動樋29の上部側壁29aに複数個のヒンジ部材24を介して取付けられた上部位置の左右の手摺10、10から落下する雨水を、該スライド移動樋29内へ導く、傾斜面30の回動可能な雨水ガイド片31、前記一対のスライド移動樋29の上部内側壁29bに取付けられた、雨水が渡り通路8内へ浸入するのを阻止する傾斜面32の弾性材製の内側雨水浸入防止板33とからなる一対のスライド雨水浸入防止部材16B、16Bとを用いた点で、このような一対の支持レール15B、15Bと、一対のスライド雨水浸入防止部材16B、16Bを用いて構成した外部渡り通路用雨水浸入防止装置1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図24ないし図27に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、取付け板18の先端部に上部が開口するチャンネル状のレール20Bを固定した一対の支持レール15C、15Cと、この一対の支持レール15C、15Cのレール20B、20Bにスベリ材21、21を介して、前記第3の実施の形態で用いている一対のスライド雨水浸入防止部材16B、16Bを用いた点で、このような一対の支持レール15C、15Cと一対のスライド雨水浸入防止部材16B、16Bを用いて構成した外部渡り通路用雨水浸入防止装置1Cにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は外部渡り通路用雨水浸入防止装置を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の正面図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の平面図。
【図3】図2の3−3線に沿う拡大断面図。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の支持レールの平面図。
【図6】本発明を実施するための最良の第1の形態の支持レールの側面図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態のスライド雨水浸入防止部材の平面図。
【図8】本発明を実施するための最良の第1の形態のスライド雨水浸入防止部材の側面図。
【図9】本発明を実施するための最良の第1の形態の付勢機構の説明図。
【図10】本発明を実施するための最良の第1の形態の目地部が狭くなった状態の正面図。
【図11】図10の11−11線に沿う拡大断面図。
【図12】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図。
【図14】本発明を実施するための第2の形態の支持レールの平面図。
【図15】本発明を実施するための第2の形態の支持レールの側面図。
【図16】本発明を実施するための第2の形態のスライド雨水浸入防止部材の平面図。
【図17】本発明を実施するための第2の形態のスライド雨水浸入防止部材の側面図。
【図18】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図19】図18の19−19線に沿う拡大断面図。
【図20】本発明を実施するための第3の形態の支持レールの平面図。
【図21】本発明を実施するための第3の形態の支持レールの側面図。
【図22】本発明を実施するための第3の形態のスライド雨水浸入防止部材の平面図。
【図23】本発明を実施するための第3の形態のスライド雨水浸入防止部材の側面図。
【図24】本発明を実施するための第4の形態の正面図。
【図25】図24の25−25線に沿う拡大断面図。
【図26】本発明を実施するための第4の形態の支持レールの平面図。
【図27】本発明を実施するための第4の形態の支持レールの側面図。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B、1C:外部渡り通路用雨水浸入防止装置、
2:一方の建物、 3:外部通路、
4:外壁、 5:渡り通路用開口部、
6:目地部、 7:他方の建物、
8:渡り通路、 9:床用目地プレート、
10:手摺、 11:外部渡り通路用目地装置、
12:外部渡り通路、 13:側壁躯体、
14:アンカーボルト、
15、15A、15B:支持レール、
16、16A、16B:スライド雨水浸入防止部材、
17:付勢機構、 18、18A:取付け板、
19:傾斜面、 20、20A、20B:レール、
21:スベリ材、 22:傾斜面、
23、23A:スライドレール、 24:ヒンジ部材、
25:傾斜面、 26:傾斜切欠部、
27、27A:雨水ガイド板、 28:切り欠部、
29:スライド移動樋、 30:傾斜面、
31:雨水ガイド片、 32:傾斜面、
33:内側雨水浸入防止板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り通路用開口部と、この渡り通路用開口部と目地部を介して連通するように、他方の建物より突出するように設けられた渡り通路と、この渡り通路と前記渡り通路用開口部とを接続する床用目地プレートおよび左右の手摺を備える外部渡り通路用目地装置とからなる上下部位に複数個配置された外部渡り通路において、前記渡り通路の両端部寄りの底面躯体あるいは底面よりの側壁躯体に固定された一対の支持レールと、この一対の支持レールにスライド移動可能に支持された先端部が前記一方の建物の外部通路の外壁と当接可能で、上部の外部渡り通路用目地装置の左右の手摺から落下する雨水を渡り通路内へ浸入するのを防止する一対のスライド雨水浸入防止部材と、この一対のスライド雨水浸入防止部材の先端部を常時一方の建物の外部通路の外壁と当接するように付勢する付勢機構とからなることを特徴とする外部渡り通路用雨水浸入防止装置。
【請求項2】
一対のスライド雨水浸入防止部材は一対の支持レールにスライド移動可能に支持された一対のスライド移動樋と、この一対のスライド移動樋の上部外側壁に取付けられた上部の左右の手摺から落下する雨水を、該スライド移動樋内へ導く傾斜面の雨水ガイド板と、前記一対のスライド移動樋の上部内側壁に取付けられた、雨水が渡り通路内へ浸入するのを阻止する傾斜面の弾性材製の内側雨水浸入防止板とからなることを特徴とする請求項1記載の外部渡り通路用雨水浸入防止装置。
【請求項3】
一対のスライド雨水浸入防止部材は一対の支持レールにスライド移動可能に支持された一対のスライド移動体と、このスライド移動体に回動可能に取付けられた上部の左右の手摺から落下する雨水を外部へ排出することができる傾斜面の雨水ガイド板とからなることを特徴とする請求項1記載の外部渡り通路用雨水浸入防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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