多数の切れ刃を有する切削インサートを含む切削工具及びそのための切削インサート
切削工具は切削インサートを含む。インサートは複数の切れ刃を含む上側部を含み、切れ刃はインサートの長手方向で軸方向に次々と配置され、インサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延びている。インサートは、インサートの上側部の平面に対して下向きに延びる側壁を含み、側壁は側部支持面を含む。切削工具は工具ホルダーを含む。工具ホルダーは側部当接面を含み、インサートの側部支持面がそれに支持されるようになっている。インサートの側部支持面を工具ホルダーの側部当接面に固定するためのクランプが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多数の切れ刃を有する切削工具に関し、詳しくは多数の切れ刃を有する切削インサートを含む切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプカッターなどの回転工具、及びブローチなどの往復運動工具は、普通、切削方向に次々に配置された多数の切れ刃を有する。典型的には、単一又は複数の切れ刃を有するインサートが工具ホルダーにろう付けされている。切れ刃が鈍ると、それを工具ホルダーから取り外し、研ぐか又は交換してそれを再び工具ホルダーにろう付けする必要がある。多数の切れ刃を有する切削工具には切削インサートを交換又は修理する手段を設けることが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明のある様態では、L型切削インサートは、インサートの第一脚に複数の切れ刃を含む上側部を有し、切れ刃はインサートの長手方向の軸方向に次々に配置されて長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、側壁がインサートの第二脚を成してインサートの上側部の平面に対して下向きに延び、側壁は、工具ホルダーの側部当接面にインサートを支持する側部支持面と、側部当接面に側部支持面を固定するクランプが接触するクランプ面を含み、インサートの第一脚はインサートを工具ホルダーの底部当接面に支持するための底部支持面を含む。
【0004】
本発明の別の様態では、切削工具は切削インサートを含み、切削インサートは複数の切れ刃を含み、切れ刃はインサートの長手方向の軸方向に次々と配置され、インサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、側壁がインサートの上側部の平面に対して下向きに延び、側壁は側部支持面を含む。切削工具は工具ホルダーを含み、工具ホルダーは、インサートの側部支持面がそれに支持されるようになっている側部当接面と、インサートの側部支持面を工具ホルダーの側部当接面に固定するためのクランプを含み、各インサートは、インサートを工具ホルダーの底部当接面に支持する底部支持面を含む底壁を含む。
【0005】
本発明の特徴と利点は、以下の詳細な説明を図面と合わせて読むことによってよく理解される。図面において、同じ参照数字は同様の要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す側面図である。
【図2】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す上面図である。
【図3】図1の切削工具の一部分を示す拡大図である。
【図4】図1の切削工具の一部分を示す分解斜視図である。
【図5】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す斜視図である。
【図6】図5に見られる切削工具の分解斜視図である。
【図7】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す側面図である。
【図8】図7による切削工具の一部分を示す拡大側面図である。
【図9】本発明のある実施形態に係わるクランピング装置を含む切削工具の一部分を示す部分断面概略斜視図である。
【図10】本発明のある実施形態に係わる固定手段を含む切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図11】本発明のある実施形態に係わる固定手段を含む切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図12】切れ刃の高さが先行する切れ刃に比べて増加するように配置された本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図13】切れ刃の高さが先行する切れ刃に比べて増加するように配置された本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図14】配置される本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図15】円形工具の半径に対して切れ刃が異なる角度で配置される本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図16】本発明のある実施形態に係わる切削インサートを示す概略下方斜視図である。
【図17A】本発明のある実施形態に係わる切削インサートを示す側面図である。
【図17B】本発明のある実施形態に係わる切削インサートを示す上面図である。
【図17C】図17Aの断面17C−17Cでの端面図である。
【図17D】図17Aの断面17D−17Dでの断面図である。
【図17E】図17Aのインサートの一部分の拡大図である。
【図17F】図17Aのインサートの一部分の拡大図である。
【図18A】本発明のある実施形態に係わる切削インサートの部分を示す端面図である。
【図18B】本発明のある実施形態に係わる切削インサートの部分を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のある様態に係わる切削工具21が図1〜4に見られる。切削工具21は、切削インサート23、通常は複数の切削インサート、を含む。少なくともいくつかの切削インサート23は、必ずしも常にではないが通常、互いに同一である。
【0008】
図17A〜17Fに示されている代表的なインサート23を参照して分かるように、各インサート23は、複数の切れ刃27を含む上側部25を含む。切れ刃27は、インサート23の長手方向の軸方向に次々に配置され、インサートの長手方向垂直軸平面Lに対して実質的に直角方向に延びている(図17b、17C、17E)。側壁29がインサートの上側部25の平面Pに対して実質的に直角方向に延びている。上側部25の平面Pは、通常は想像上の平面であり、上側部に対して任意の何らかの点で、例えば最も上の切れ刃を通ってインサートの底部平面31に平行に延びるようにとることができる。しかし、例えば図3(図1に示された切削工具23の一部分の拡大図を示す)の拡大図に見られるように、各切れ刃で切れ刃及び関連するすくい面33(図17F)及びクリアランス面35(図17F)は非平面形状を規定しており、上側部25は通常は平面でない。側壁29は側部支持面37を含む。
【0009】
図1〜4を参照して分かるように、工具ホルダー39が設けられ、それは側部当接面41を含み、インサート23の側部支持面がそれに支持されるようになっている。本出願において、“支持面”とはインサートの表面であると考えられ、“当接面”とは支持面が当接する工具ホルダーの表面であると考えられる。図1〜4の切削工具で、切削工具は回転円板タイプの切削工具(詳しくはパイプカッター)であり、インサート23は工具ホルダーの周をめぐって配置されている。しかし、本発明は多様な切削工具用途に応用できることは理解されるであろう。例えば、図5〜8は引きブローチ削り工具の形の切削工具121を示している。
【0010】
図1〜4の代表的な工具に関して言うと、インサート23の側部支持面を工具ホルダー39の側部当接面に固定するクランプ43が設けられている。図1〜4に示された工具及び図5〜8に示された工具では、図4に見られるように、クランプ43は、表面49を含む拡がったヘッド47を有するねじ45を含み、それがインサート23の貫通孔53でクランプ面51に当接し、その雄ねじ55は工具ホルダー39の側部当接面41に形成された雌ねじ57とかみ合い、貫通孔でクランプ面にインサート23の長手方向垂直軸平面に直角方向の力を加える。
【0011】
図1〜4の代表的な工具のインサートでは、例えば図17Cと17Eに見られるように、側壁29はインサート23の長手方向垂直軸平面に実質的に平行に延び、クランプ43(例えば図4)はインサート23の長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向にクランピング力を加えるようになっている。例えば図4を参照して見られるように、インサート23が工具ホルダーに装着されたとき、側部当接面41は工具ホルダー39の回転軸Aに対して実質的に直角方向に延びることができ、側部支持面37も同様である。
【0012】
図5〜8の代表的工具では、インサート23と同様にインサート123においても、側壁129(図6)がインサート123の長手方向垂直軸平面と実質的に平行に延び、インサートが工具ホルダー139に装着されると、クランプ143はインサートの長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向にクランピング力を加えるようになっている。例えば図6に見られるように、インサート123が工具ホルダーに装着されたとき、側部当接面141は工具ホルダー139の長手方向垂直軸平面と実質的に平行に延び、側部支持面137も同様である。
【0013】
図1〜8に示されているタイプ以外にも種々のタイプのクランプを設けることができる。例えば、図9には別のタイプのクランピング装置が示されており、そこではクランピング・アーム243がインサート223のインサート支持面237と反対側の側面261でクランプ面と接触しており、側面261はインサート223の長手方向垂直軸平面と実質的に平行であり、クランピング・アーム243によって加えられる力はインサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向である。
【0014】
図10は、さらに別のタイプのクランプを示しており、これはインサート支持面337の反対側のインサート323のクランプ面に当接するカム表面349を有するねじ345を含む。ねじ345は、工具ホルダー339の孔359に形成された雌ねじ357とかみ合う雄ねじ355を含むことができる。この代表的な様態における側面329とインサート支持面337と当接面341は、インサート323と工具ホルダーの長手方向垂直軸平面と実質的に直角方向になっており、カム表面349はインサートと工具ホルダーの長手方向垂直軸平面と実質的に平行な方向に力を加えてインサート支持面337を当接面341に固定する。
【0015】
図11はさらに別のタイプのクランプ443を示しており、これは表面449を有するくさび445を含み、表面449は、(点線で示された)ねじ455を締め付けて押し下げるなどによってくさびをクランプ面と工具ホルダーの表面453の間に押し込むと、側壁429及びインサート支持面437の反対側のインサート423のクランプ面451に当接してインサート支持面437を工具ホルダーの当接面441に固定する。くさび445は隣接するインサートの一部を成してもよい。
【0016】
図1〜4の代表的な工具21を参照すると、側部当接面41は通常は図4に見られるように工具ホルダー39のボディー65の凹み63に配置される形で、通常は工具ホルダーの側壁67からずれていることが分かるであろう。インサート23の側壁29と反対側の第二の側壁61は、通常、インサートの側部支持面37が工具ホルダーのボディーの凹みにおける側部当接面に接触したときに工具ホルダーの側面67に対して実質的に同一平面又は引っ込んでいる。
【0017】
通常、工具21は複数のインサートを含み、それらは対応する複数の凹み63における対応する複数の側部当接面に装着されている。例えば図4と図6に示されている工具21と121に見られるように、工具ホルダー39と139は、通常左と右の面67Lと67R及び167Lと167Rを含む。複数の凹み63Lと163Lの少なくともひとつが左の面67Lと167Lに形成され、複数の凹み63Rと163Rの少なくともひとつが右の面67Rと167Rに形成される。
【0018】
左と右の凹みに受け入れられるインサートは、通常、一方又は他方の凹みで使用されるように構成される。例えば図1〜4の工具21では、インサート23は(図4に見られるように)、時計回り方向に工具を回して切削するために、それぞれ左と右の凹み67Lと67R用の左装着インサート23Lと右装着インサート23Rを含む。しかし、反時計回り方向に工具を使用したいと望む場合、左と右のインサート23Lと23Rはぐるっと回して右と左の凹み67Rと67Lにそれぞれ取り付けることができる。ある与えられた工具で、例えば工具21で、複数のインサートの少なくとも二つは互いに同一である。普通、複数のインサート23の第一のほぼ半数23Lは互いに同一であり、複数のインサート23の残りの第二のほぼ半数23Rは互いに同一であり、複数のインサートの残りの第二のほぼ半数の個別インサートは、複数のインサートの第一のほぼ半数の個別インサートの実質的な鏡像になっている。
【0019】
同様に、図5〜8に示された工具121でも、状況によって、ある方向に切削するためにはインサートを凹みにある仕方で装着することが望ましく、別の方向に切削するためにはインサートを凹みに別の仕方で装着することが望ましいということがある。しかし、ブローチ削り工具として使用できる工具121では、引き続く凹み167が、通常、それに先行する凹みより上側部125の平面Pに対して少し高く配置され、図8に見られるように同一のインサート123の引き続く切れ刃127は切削方向でそれに先行する切れ刃よりも連続的に実質的に高くなり、通常、引き続く各切れ刃は実質的に真っ直ぐな線SL(図8に点線で示されている)上にある。
【0020】
引き続く切れ刃127’がそれに先行する切れ刃よりも高くなるようにする一つの方法は、引き続く切れ刃127’がそれに先行する切れ刃よりインサートの底面131’から見て高くなるようにインサート123’を成形し、図12に誇張された形で見られるように底面131’が工具121’の進行方向に平行になるように、インサートを工具ホルダー139’に固定することである。例えば、底面131’の底部支持面171’が平坦であり、工具121’の進行方向(通常は工具ホルダー139’の上面PTと平行である)に平行な凹み167’の平坦な底部当接面169’に当接するようにできる。
【0021】
引き続く切れ刃127”がそれに先行する切れ刃よりも高くなるようにする別の方法は、インサート123”を、引き続く切れ刃がインサートの底面131”から見て先行する切れ刃と同じ高さにあるように成形し、図13に誇張された形で見られるように底面131” の底部支持面171”が工具121”の進行方向に対して傾斜するように、インサートを工具ホルダー139”に固定することである。例えば、底面131”が平坦であり、底部支持面171”が工具の進行方向(通常は工具ホルダー139”の上面PTと平行である)とゼロでない角度を成す凹み167”の平坦な底部当接面169”に当接するようにできる。
【0022】
図14に見られるように、工具121”’の別の代表的な実施形態では、異なるインサート123”’の底部支持面171”’が工具ホルダー139”’の上面PTと異なる角度を定めることもできる。インサート123”’は底部支持面171”’から異なる距離及び/又は同じ距離にある切れ刃127”’を有することができる。
【0023】
図1〜4の代表的工具21では、各インサート23はインサートを工具ホルダーの底部当接面に支持する底部支持面71を含む底壁31を含む。通常、異なるインサートの底部支持面71は底部支持面の前端で底部支持面と交わる工具ホルダーの半径に対して同じ角度を定める。しかし、図15に見られるように、異なるインサート23’の底部支持面71’はインサートの底部支持面と交わる工具ホルダーの半径に対して異なる角度を定めることができる。
【0024】
図1〜8に示された代表的なインサートでは、インサートはL形である。図16に見られるように、そのようなインサートの底部支持面は、“L”の下方脚75の上部73にあるか、又は“L”の上方脚79の最上部77にある。本出願で図示している実施形態では、底部支持面はL形インサートの下方脚の上部にあるものとして示されている。
【0025】
代表的な切削インサート23が図17A〜17Fに見られる。インサート23は複数の切れ刃27(この実施形態では4つの切れ刃)を含む上側部25を含む。切れ刃27はインサートの長手方向垂直軸平面に次々と配置され、インサートの長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向に延びている。側壁29は下向きに、通常はインサート23の上側部25の平面Pに対して実質的に直角方向に延びている。側壁29はインサート23を工具ホルダーの側部当接面41(例えば図1〜4)に支持する側部支持面37を含む。
【0026】
底壁又は底面31はインサートを工具ホルダーの底部当接面(例えば図4)に支持するための底部支持面71を含む。図示されたインサート23はL形インサートの下方脚75(図16)の上部73(図16)に底壁31と底部支持面71を示しているが、底部支持面はL形インサートの上方脚79(図16)の最上部77(図16)にあってもよい。通常、少なくとも一つ、一般に二つの貫通孔53がインサート23の側壁を通って延びている。図17Dに見られるように、貫通孔53は普通、貫通孔の軸に対してある角度を成す面であるクランプ面51を含む。ねじヘッド47(例えば図1〜4)がクランプ面51に当接してインサート23を工具ホルダーに対して固定することを助ける。側壁29の反対側に第二の側壁61が設けられる。クランプ面51は第二の側壁61から内向きに延びる貫通孔53の一部を成すことができる。通常、側壁29と第二の側壁61は実質的に平坦で平行である。図17A〜17Fのインサートでは、第二の側壁61は上側部25の軸方向に延びるエッジ81から実質的に下へ延びているが、切れ刃27の部分83と85は、例えば図17Aに見られるように、第二の側壁から外側へ延びることができる。
【0027】
例えば図17Cと17Eに見られるように、インサート23は“L”形であってよい。側壁29は上側部の軸方向に延びるエッジ81又は87のいずれかよりもインサート23の長手方向垂直軸平面の近くにずれてもよい。図示されたインサート23では、側壁はインサートの長手方向垂直軸平面Lの右側へずれている。このようなインサートは、図4に示されたインサート23Rに対応する。図4のインサート23Lは、側壁がインサートの長手方向垂直軸平面の左側へずれるであろう。
【0028】
図17A〜17Fの代表的インサート23では、少なくとも二つの切れ刃27が異なるプロファイルを有する。具体的に言うと、例えば図18Aに見られるように、図17A〜17Fのインサート23の二つの切れ刃27aは、上部成分89と、縦方向成分に対して約45゜の角度を成す左側及び右側成分91と93を有する。図18Bに見られるように、別の二つの切れ刃27bは、縦方向成分95と、縦方向成分に対して直角又はほぼ直角である左側及び右側成分97と99を有する。
【0029】
少なくとも二つの切れ刃27aと27bの縦方向部分はインサート23の底面31から異なる距離に配置できる。例えば図17Fに示されたインサート23の部分に見られるように、少なくとも二つの切れ刃27aの最上部89は第一の半径R1上に配置され、別の少なくとも二つの切れ刃27bの最上部95は第二の半径R2上に配置されている。
【0030】
切れ刃27bの縦方向部分95と比べて、縦方向部分89が高くなっているが、縦方向部分に沿って短くなっている切れ刃27aを設けることによって、一つの歯に過大な力がかかることを回避できる。例えば、ワークピースに実質的に正方形又は長方形の溝を形成するさい、切れ刃27aが切れ刃27bに先行してワ−クピースに切り込む場合、縦方向部分89の全体と左側及び右側成分91と93の一部で最初の切削動作をワークピースに実行して底部が平坦なV形の溝を形成し、第二の切れ刃の縦方向部分95の左と右の部分と左側及び右側成分97と99でワークピースに第二の切削動作を実行して溝をもっと正方形又は長方形の形に形成することができる。インサート23は、図1〜4に示されているように、通常は回転切削工具で用いられるようなタイプであり、縦方向部分89と95が位置する半径R1とR2は通常工具の中心から延びる。図5〜8に示されているインサート123は実質的に正方形又は長方形の4つの切れ刃127を有する形で示されているが、これらの切れ刃はインサート23の切れ刃27aと27bのように形成して個々のインサートにかかる応力を小さくすることができる。切れ刃127が異なる半径にあるようにインサート12を形成する代わりに、切れ刃をインサートの底面131に対して異なる高さに構成してもよい。
【0031】
各切れ刃27で、すくい面33はインサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、各切れ刃の前に配置される。各すくい面33は上側部25の平面Pとすくい角RAを定める。少なくとも二つのスクイ面33がインサート23の上側部25の平面Pと異なるすくい角を定める場合でも、各スクイ面は関連する切れ刃27の半径R1又はR2によって定められるカーブに対して同じすくい角を定める。
【0032】
本出願では、“含む(including)”という用語の使用は状況によって変更の余地があり(open-ended)、“含む(comprising)”という用語と同じ意味を有するものとし、他の構造、物質、又は行為(acts)の存在を排除しない。同様に、“できる(can)”又は“よい(may)”などの用語の使用も状況によって変更の余地があり、その構造、物質、又は行為が必要でないことを反映している(reflect)ものとし、それらの用語を用いないことはその構造、物質、又は行為が不可欠であることを反映していないものとする。その構造、物質、又は行為が不可欠であると現在考えられている限りにおいて、それらはそのように同定される。
【0033】
本発明を好ましい実施形態について図示して説明してきたが、特許請求の範囲に定められるような本発明から逸脱することなく変更と変改を加えることができることはいうまでもない。
【0034】
本出願がその優先権を主張するスウエーデン特許出願No. 0801005-0の開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は多数の切れ刃を有する切削工具に関し、詳しくは多数の切れ刃を有する切削インサートを含む切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプカッターなどの回転工具、及びブローチなどの往復運動工具は、普通、切削方向に次々に配置された多数の切れ刃を有する。典型的には、単一又は複数の切れ刃を有するインサートが工具ホルダーにろう付けされている。切れ刃が鈍ると、それを工具ホルダーから取り外し、研ぐか又は交換してそれを再び工具ホルダーにろう付けする必要がある。多数の切れ刃を有する切削工具には切削インサートを交換又は修理する手段を設けることが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明のある様態では、L型切削インサートは、インサートの第一脚に複数の切れ刃を含む上側部を有し、切れ刃はインサートの長手方向の軸方向に次々に配置されて長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、側壁がインサートの第二脚を成してインサートの上側部の平面に対して下向きに延び、側壁は、工具ホルダーの側部当接面にインサートを支持する側部支持面と、側部当接面に側部支持面を固定するクランプが接触するクランプ面を含み、インサートの第一脚はインサートを工具ホルダーの底部当接面に支持するための底部支持面を含む。
【0004】
本発明の別の様態では、切削工具は切削インサートを含み、切削インサートは複数の切れ刃を含み、切れ刃はインサートの長手方向の軸方向に次々と配置され、インサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、側壁がインサートの上側部の平面に対して下向きに延び、側壁は側部支持面を含む。切削工具は工具ホルダーを含み、工具ホルダーは、インサートの側部支持面がそれに支持されるようになっている側部当接面と、インサートの側部支持面を工具ホルダーの側部当接面に固定するためのクランプを含み、各インサートは、インサートを工具ホルダーの底部当接面に支持する底部支持面を含む底壁を含む。
【0005】
本発明の特徴と利点は、以下の詳細な説明を図面と合わせて読むことによってよく理解される。図面において、同じ参照数字は同様の要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す側面図である。
【図2】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す上面図である。
【図3】図1の切削工具の一部分を示す拡大図である。
【図4】図1の切削工具の一部分を示す分解斜視図である。
【図5】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す斜視図である。
【図6】図5に見られる切削工具の分解斜視図である。
【図7】本発明のある実施形態に係わる切削工具を示す側面図である。
【図8】図7による切削工具の一部分を示す拡大側面図である。
【図9】本発明のある実施形態に係わるクランピング装置を含む切削工具の一部分を示す部分断面概略斜視図である。
【図10】本発明のある実施形態に係わる固定手段を含む切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図11】本発明のある実施形態に係わる固定手段を含む切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図12】切れ刃の高さが先行する切れ刃に比べて増加するように配置された本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図13】切れ刃の高さが先行する切れ刃に比べて増加するように配置された本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図14】配置される本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図15】円形工具の半径に対して切れ刃が異なる角度で配置される本発明のある実施形態に係わる切削工具の一部分を示す概略側面図である。
【図16】本発明のある実施形態に係わる切削インサートを示す概略下方斜視図である。
【図17A】本発明のある実施形態に係わる切削インサートを示す側面図である。
【図17B】本発明のある実施形態に係わる切削インサートを示す上面図である。
【図17C】図17Aの断面17C−17Cでの端面図である。
【図17D】図17Aの断面17D−17Dでの断面図である。
【図17E】図17Aのインサートの一部分の拡大図である。
【図17F】図17Aのインサートの一部分の拡大図である。
【図18A】本発明のある実施形態に係わる切削インサートの部分を示す端面図である。
【図18B】本発明のある実施形態に係わる切削インサートの部分を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のある様態に係わる切削工具21が図1〜4に見られる。切削工具21は、切削インサート23、通常は複数の切削インサート、を含む。少なくともいくつかの切削インサート23は、必ずしも常にではないが通常、互いに同一である。
【0008】
図17A〜17Fに示されている代表的なインサート23を参照して分かるように、各インサート23は、複数の切れ刃27を含む上側部25を含む。切れ刃27は、インサート23の長手方向の軸方向に次々に配置され、インサートの長手方向垂直軸平面Lに対して実質的に直角方向に延びている(図17b、17C、17E)。側壁29がインサートの上側部25の平面Pに対して実質的に直角方向に延びている。上側部25の平面Pは、通常は想像上の平面であり、上側部に対して任意の何らかの点で、例えば最も上の切れ刃を通ってインサートの底部平面31に平行に延びるようにとることができる。しかし、例えば図3(図1に示された切削工具23の一部分の拡大図を示す)の拡大図に見られるように、各切れ刃で切れ刃及び関連するすくい面33(図17F)及びクリアランス面35(図17F)は非平面形状を規定しており、上側部25は通常は平面でない。側壁29は側部支持面37を含む。
【0009】
図1〜4を参照して分かるように、工具ホルダー39が設けられ、それは側部当接面41を含み、インサート23の側部支持面がそれに支持されるようになっている。本出願において、“支持面”とはインサートの表面であると考えられ、“当接面”とは支持面が当接する工具ホルダーの表面であると考えられる。図1〜4の切削工具で、切削工具は回転円板タイプの切削工具(詳しくはパイプカッター)であり、インサート23は工具ホルダーの周をめぐって配置されている。しかし、本発明は多様な切削工具用途に応用できることは理解されるであろう。例えば、図5〜8は引きブローチ削り工具の形の切削工具121を示している。
【0010】
図1〜4の代表的な工具に関して言うと、インサート23の側部支持面を工具ホルダー39の側部当接面に固定するクランプ43が設けられている。図1〜4に示された工具及び図5〜8に示された工具では、図4に見られるように、クランプ43は、表面49を含む拡がったヘッド47を有するねじ45を含み、それがインサート23の貫通孔53でクランプ面51に当接し、その雄ねじ55は工具ホルダー39の側部当接面41に形成された雌ねじ57とかみ合い、貫通孔でクランプ面にインサート23の長手方向垂直軸平面に直角方向の力を加える。
【0011】
図1〜4の代表的な工具のインサートでは、例えば図17Cと17Eに見られるように、側壁29はインサート23の長手方向垂直軸平面に実質的に平行に延び、クランプ43(例えば図4)はインサート23の長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向にクランピング力を加えるようになっている。例えば図4を参照して見られるように、インサート23が工具ホルダーに装着されたとき、側部当接面41は工具ホルダー39の回転軸Aに対して実質的に直角方向に延びることができ、側部支持面37も同様である。
【0012】
図5〜8の代表的工具では、インサート23と同様にインサート123においても、側壁129(図6)がインサート123の長手方向垂直軸平面と実質的に平行に延び、インサートが工具ホルダー139に装着されると、クランプ143はインサートの長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向にクランピング力を加えるようになっている。例えば図6に見られるように、インサート123が工具ホルダーに装着されたとき、側部当接面141は工具ホルダー139の長手方向垂直軸平面と実質的に平行に延び、側部支持面137も同様である。
【0013】
図1〜8に示されているタイプ以外にも種々のタイプのクランプを設けることができる。例えば、図9には別のタイプのクランピング装置が示されており、そこではクランピング・アーム243がインサート223のインサート支持面237と反対側の側面261でクランプ面と接触しており、側面261はインサート223の長手方向垂直軸平面と実質的に平行であり、クランピング・アーム243によって加えられる力はインサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向である。
【0014】
図10は、さらに別のタイプのクランプを示しており、これはインサート支持面337の反対側のインサート323のクランプ面に当接するカム表面349を有するねじ345を含む。ねじ345は、工具ホルダー339の孔359に形成された雌ねじ357とかみ合う雄ねじ355を含むことができる。この代表的な様態における側面329とインサート支持面337と当接面341は、インサート323と工具ホルダーの長手方向垂直軸平面と実質的に直角方向になっており、カム表面349はインサートと工具ホルダーの長手方向垂直軸平面と実質的に平行な方向に力を加えてインサート支持面337を当接面341に固定する。
【0015】
図11はさらに別のタイプのクランプ443を示しており、これは表面449を有するくさび445を含み、表面449は、(点線で示された)ねじ455を締め付けて押し下げるなどによってくさびをクランプ面と工具ホルダーの表面453の間に押し込むと、側壁429及びインサート支持面437の反対側のインサート423のクランプ面451に当接してインサート支持面437を工具ホルダーの当接面441に固定する。くさび445は隣接するインサートの一部を成してもよい。
【0016】
図1〜4の代表的な工具21を参照すると、側部当接面41は通常は図4に見られるように工具ホルダー39のボディー65の凹み63に配置される形で、通常は工具ホルダーの側壁67からずれていることが分かるであろう。インサート23の側壁29と反対側の第二の側壁61は、通常、インサートの側部支持面37が工具ホルダーのボディーの凹みにおける側部当接面に接触したときに工具ホルダーの側面67に対して実質的に同一平面又は引っ込んでいる。
【0017】
通常、工具21は複数のインサートを含み、それらは対応する複数の凹み63における対応する複数の側部当接面に装着されている。例えば図4と図6に示されている工具21と121に見られるように、工具ホルダー39と139は、通常左と右の面67Lと67R及び167Lと167Rを含む。複数の凹み63Lと163Lの少なくともひとつが左の面67Lと167Lに形成され、複数の凹み63Rと163Rの少なくともひとつが右の面67Rと167Rに形成される。
【0018】
左と右の凹みに受け入れられるインサートは、通常、一方又は他方の凹みで使用されるように構成される。例えば図1〜4の工具21では、インサート23は(図4に見られるように)、時計回り方向に工具を回して切削するために、それぞれ左と右の凹み67Lと67R用の左装着インサート23Lと右装着インサート23Rを含む。しかし、反時計回り方向に工具を使用したいと望む場合、左と右のインサート23Lと23Rはぐるっと回して右と左の凹み67Rと67Lにそれぞれ取り付けることができる。ある与えられた工具で、例えば工具21で、複数のインサートの少なくとも二つは互いに同一である。普通、複数のインサート23の第一のほぼ半数23Lは互いに同一であり、複数のインサート23の残りの第二のほぼ半数23Rは互いに同一であり、複数のインサートの残りの第二のほぼ半数の個別インサートは、複数のインサートの第一のほぼ半数の個別インサートの実質的な鏡像になっている。
【0019】
同様に、図5〜8に示された工具121でも、状況によって、ある方向に切削するためにはインサートを凹みにある仕方で装着することが望ましく、別の方向に切削するためにはインサートを凹みに別の仕方で装着することが望ましいということがある。しかし、ブローチ削り工具として使用できる工具121では、引き続く凹み167が、通常、それに先行する凹みより上側部125の平面Pに対して少し高く配置され、図8に見られるように同一のインサート123の引き続く切れ刃127は切削方向でそれに先行する切れ刃よりも連続的に実質的に高くなり、通常、引き続く各切れ刃は実質的に真っ直ぐな線SL(図8に点線で示されている)上にある。
【0020】
引き続く切れ刃127’がそれに先行する切れ刃よりも高くなるようにする一つの方法は、引き続く切れ刃127’がそれに先行する切れ刃よりインサートの底面131’から見て高くなるようにインサート123’を成形し、図12に誇張された形で見られるように底面131’が工具121’の進行方向に平行になるように、インサートを工具ホルダー139’に固定することである。例えば、底面131’の底部支持面171’が平坦であり、工具121’の進行方向(通常は工具ホルダー139’の上面PTと平行である)に平行な凹み167’の平坦な底部当接面169’に当接するようにできる。
【0021】
引き続く切れ刃127”がそれに先行する切れ刃よりも高くなるようにする別の方法は、インサート123”を、引き続く切れ刃がインサートの底面131”から見て先行する切れ刃と同じ高さにあるように成形し、図13に誇張された形で見られるように底面131” の底部支持面171”が工具121”の進行方向に対して傾斜するように、インサートを工具ホルダー139”に固定することである。例えば、底面131”が平坦であり、底部支持面171”が工具の進行方向(通常は工具ホルダー139”の上面PTと平行である)とゼロでない角度を成す凹み167”の平坦な底部当接面169”に当接するようにできる。
【0022】
図14に見られるように、工具121”’の別の代表的な実施形態では、異なるインサート123”’の底部支持面171”’が工具ホルダー139”’の上面PTと異なる角度を定めることもできる。インサート123”’は底部支持面171”’から異なる距離及び/又は同じ距離にある切れ刃127”’を有することができる。
【0023】
図1〜4の代表的工具21では、各インサート23はインサートを工具ホルダーの底部当接面に支持する底部支持面71を含む底壁31を含む。通常、異なるインサートの底部支持面71は底部支持面の前端で底部支持面と交わる工具ホルダーの半径に対して同じ角度を定める。しかし、図15に見られるように、異なるインサート23’の底部支持面71’はインサートの底部支持面と交わる工具ホルダーの半径に対して異なる角度を定めることができる。
【0024】
図1〜8に示された代表的なインサートでは、インサートはL形である。図16に見られるように、そのようなインサートの底部支持面は、“L”の下方脚75の上部73にあるか、又は“L”の上方脚79の最上部77にある。本出願で図示している実施形態では、底部支持面はL形インサートの下方脚の上部にあるものとして示されている。
【0025】
代表的な切削インサート23が図17A〜17Fに見られる。インサート23は複数の切れ刃27(この実施形態では4つの切れ刃)を含む上側部25を含む。切れ刃27はインサートの長手方向垂直軸平面に次々と配置され、インサートの長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向に延びている。側壁29は下向きに、通常はインサート23の上側部25の平面Pに対して実質的に直角方向に延びている。側壁29はインサート23を工具ホルダーの側部当接面41(例えば図1〜4)に支持する側部支持面37を含む。
【0026】
底壁又は底面31はインサートを工具ホルダーの底部当接面(例えば図4)に支持するための底部支持面71を含む。図示されたインサート23はL形インサートの下方脚75(図16)の上部73(図16)に底壁31と底部支持面71を示しているが、底部支持面はL形インサートの上方脚79(図16)の最上部77(図16)にあってもよい。通常、少なくとも一つ、一般に二つの貫通孔53がインサート23の側壁を通って延びている。図17Dに見られるように、貫通孔53は普通、貫通孔の軸に対してある角度を成す面であるクランプ面51を含む。ねじヘッド47(例えば図1〜4)がクランプ面51に当接してインサート23を工具ホルダーに対して固定することを助ける。側壁29の反対側に第二の側壁61が設けられる。クランプ面51は第二の側壁61から内向きに延びる貫通孔53の一部を成すことができる。通常、側壁29と第二の側壁61は実質的に平坦で平行である。図17A〜17Fのインサートでは、第二の側壁61は上側部25の軸方向に延びるエッジ81から実質的に下へ延びているが、切れ刃27の部分83と85は、例えば図17Aに見られるように、第二の側壁から外側へ延びることができる。
【0027】
例えば図17Cと17Eに見られるように、インサート23は“L”形であってよい。側壁29は上側部の軸方向に延びるエッジ81又は87のいずれかよりもインサート23の長手方向垂直軸平面の近くにずれてもよい。図示されたインサート23では、側壁はインサートの長手方向垂直軸平面Lの右側へずれている。このようなインサートは、図4に示されたインサート23Rに対応する。図4のインサート23Lは、側壁がインサートの長手方向垂直軸平面の左側へずれるであろう。
【0028】
図17A〜17Fの代表的インサート23では、少なくとも二つの切れ刃27が異なるプロファイルを有する。具体的に言うと、例えば図18Aに見られるように、図17A〜17Fのインサート23の二つの切れ刃27aは、上部成分89と、縦方向成分に対して約45゜の角度を成す左側及び右側成分91と93を有する。図18Bに見られるように、別の二つの切れ刃27bは、縦方向成分95と、縦方向成分に対して直角又はほぼ直角である左側及び右側成分97と99を有する。
【0029】
少なくとも二つの切れ刃27aと27bの縦方向部分はインサート23の底面31から異なる距離に配置できる。例えば図17Fに示されたインサート23の部分に見られるように、少なくとも二つの切れ刃27aの最上部89は第一の半径R1上に配置され、別の少なくとも二つの切れ刃27bの最上部95は第二の半径R2上に配置されている。
【0030】
切れ刃27bの縦方向部分95と比べて、縦方向部分89が高くなっているが、縦方向部分に沿って短くなっている切れ刃27aを設けることによって、一つの歯に過大な力がかかることを回避できる。例えば、ワークピースに実質的に正方形又は長方形の溝を形成するさい、切れ刃27aが切れ刃27bに先行してワ−クピースに切り込む場合、縦方向部分89の全体と左側及び右側成分91と93の一部で最初の切削動作をワークピースに実行して底部が平坦なV形の溝を形成し、第二の切れ刃の縦方向部分95の左と右の部分と左側及び右側成分97と99でワークピースに第二の切削動作を実行して溝をもっと正方形又は長方形の形に形成することができる。インサート23は、図1〜4に示されているように、通常は回転切削工具で用いられるようなタイプであり、縦方向部分89と95が位置する半径R1とR2は通常工具の中心から延びる。図5〜8に示されているインサート123は実質的に正方形又は長方形の4つの切れ刃127を有する形で示されているが、これらの切れ刃はインサート23の切れ刃27aと27bのように形成して個々のインサートにかかる応力を小さくすることができる。切れ刃127が異なる半径にあるようにインサート12を形成する代わりに、切れ刃をインサートの底面131に対して異なる高さに構成してもよい。
【0031】
各切れ刃27で、すくい面33はインサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、各切れ刃の前に配置される。各すくい面33は上側部25の平面Pとすくい角RAを定める。少なくとも二つのスクイ面33がインサート23の上側部25の平面Pと異なるすくい角を定める場合でも、各スクイ面は関連する切れ刃27の半径R1又はR2によって定められるカーブに対して同じすくい角を定める。
【0032】
本出願では、“含む(including)”という用語の使用は状況によって変更の余地があり(open-ended)、“含む(comprising)”という用語と同じ意味を有するものとし、他の構造、物質、又は行為(acts)の存在を排除しない。同様に、“できる(can)”又は“よい(may)”などの用語の使用も状況によって変更の余地があり、その構造、物質、又は行為が必要でないことを反映している(reflect)ものとし、それらの用語を用いないことはその構造、物質、又は行為が不可欠であることを反映していないものとする。その構造、物質、又は行為が不可欠であると現在考えられている限りにおいて、それらはそのように同定される。
【0033】
本発明を好ましい実施形態について図示して説明してきたが、特許請求の範囲に定められるような本発明から逸脱することなく変更と変改を加えることができることはいうまでもない。
【0034】
本出願がその優先権を主張するスウエーデン特許出願No. 0801005-0の開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L形切削インサート(23,123,123’,123”’,223,323,423)であって、
インサートの第一脚に上側部(25)を含み、
上側部は複数の切れ刃(27)を含み、複数の切れ刃は、インサートの長手方向の軸方向に次々と配置され、長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向に延びており、
インサートの第二脚を成してインサートの上側部(25)の平面(P)に対して下向きに延びる側壁(29,129,329,429)を含み、
側壁はインサートを工具ホルダー(39,139’,130”,139”’,239,339,439)の側部当接面(41,141,341,441)に支持するための側部支持面(37,137,237,337,437)、及びクランプ(43)に接触して側部支持面(37)を側部当接面(41,141,341,441)に固定するためのクランプ面(51)を含む、切削インサートにおいて、
インサートの第一脚は、インサートを工具ホルダーの底部当接面(69,169’,169”,169”’)に支持するための底部支持面(71,71’,171’,171”,171”’)を含む、ことを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
インサートは、側壁(29)を通って延びる少なくとも一つの貫通孔(53)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’)。
【請求項3】
クランプ面(51)は少なくとも部分的に貫通孔(53)に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’)。
【請求項4】
側壁(29)は、上側部(25)の軸方向に延びるエッジ(81,87)よりもインサートの長手方向垂直軸平面に近くにずれている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項5】
切れ刃(27)の少なくとも二つが異なるプロファイルを有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項6】
少なくとも二つの切れ刃(27a,27b)の最上部(89,95)は、インサートの底面(31)から異なる距離に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項7】
少なくとも二つの切れ刃(27a)の最上部(89)は、第一の半径(R1)に配置され、他の少なくとも二つの切れ刃(27b)の最上部(95)は第二の半径(R2)に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項8】
複数の切れ刃の各切れ刃(27)のすくい面(33)が、インサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に各切れ刃の前方に延び、各すくい面が上側部(25)の平面(P)とすくい角(RA)を定め、少なくとも二つのすくい面(33)は上側部(25)の平面(P)と異なるすくい角(RA)を定める、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項9】
L形切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)を含む切削工具(21,121)であって、
インサートの複数の切れ刃(27)を含む上側部(25)を備え、
切れ刃は、インサートの長手方向の軸方向に次々と配置され、長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、
インサートの上側部(25)の平面(P)に対して下向きに延びる側壁(29,129,329,429)を含む、切削工具において、
側壁は側部支持面(37,137,237,337,437)を備え、
工具ホルダー(39,139,139’,130”,139”’,239,339,439)を備え、
工具ホルダーはインサートの側部支持面(37,137,237,337,437)が支持されるようになっている側部当接面(41,141,341,441)を含み、
インサートの側部支持面(37,137,237,337,437)を工具ホルダーの側部当接面(41,141,341,441)に固定するためのクランプ(43,143)が設けられ、
各インサート(23,123)は工具ホルダーの底部当接面(69,169’,169”,169”’)にインサートを支持するための底部支持面(71,71’,171’,171”,171”’)を含む底壁(31)を含む、ことを特徴とする切削工具。
【請求項10】
側壁(29,129)はインサートの長手方向垂直軸平面に実質的に平行に延び、クランプ(43,143,243)はインサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向にクランピング力を加えるようになっている、ことを特徴とする請求項9に記載の切削工具(21,121)。
【請求項11】
側部当接面(41,141)は工具ホルダーの長手方向垂直軸平面に実質的に平行に延びている、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の切削工具(21,121)。
【請求項12】
側部当接面(41,141)は工具ホルダーの回転軸に対して実質的に直角方向に延びている、ことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の切削工具(21,121)。
【請求項13】
切削工具は複数のインサート(23,123)を含み、それらは対応する複数の凹み(63,163)における対応する複数の当接面(41,141)に装着されている、ことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の切削工具(21,121)。
【請求項14】
少なくとも二つの底部支持面(171”’)が工具ホルダーの上部平面(PT)と異なる角度を定める、ことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の切削工具(21,121)。
【請求項1】
L形切削インサート(23,123,123’,123”’,223,323,423)であって、
インサートの第一脚に上側部(25)を含み、
上側部は複数の切れ刃(27)を含み、複数の切れ刃は、インサートの長手方向の軸方向に次々と配置され、長手方向垂直軸平面に実質的に直角方向に延びており、
インサートの第二脚を成してインサートの上側部(25)の平面(P)に対して下向きに延びる側壁(29,129,329,429)を含み、
側壁はインサートを工具ホルダー(39,139’,130”,139”’,239,339,439)の側部当接面(41,141,341,441)に支持するための側部支持面(37,137,237,337,437)、及びクランプ(43)に接触して側部支持面(37)を側部当接面(41,141,341,441)に固定するためのクランプ面(51)を含む、切削インサートにおいて、
インサートの第一脚は、インサートを工具ホルダーの底部当接面(69,169’,169”,169”’)に支持するための底部支持面(71,71’,171’,171”,171”’)を含む、ことを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
インサートは、側壁(29)を通って延びる少なくとも一つの貫通孔(53)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’)。
【請求項3】
クランプ面(51)は少なくとも部分的に貫通孔(53)に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’)。
【請求項4】
側壁(29)は、上側部(25)の軸方向に延びるエッジ(81,87)よりもインサートの長手方向垂直軸平面に近くにずれている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項5】
切れ刃(27)の少なくとも二つが異なるプロファイルを有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項6】
少なくとも二つの切れ刃(27a,27b)の最上部(89,95)は、インサートの底面(31)から異なる距離に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項7】
少なくとも二つの切れ刃(27a)の最上部(89)は、第一の半径(R1)に配置され、他の少なくとも二つの切れ刃(27b)の最上部(95)は第二の半径(R2)に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項8】
複数の切れ刃の各切れ刃(27)のすくい面(33)が、インサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に各切れ刃の前方に延び、各すくい面が上側部(25)の平面(P)とすくい角(RA)を定め、少なくとも二つのすくい面(33)は上側部(25)の平面(P)と異なるすくい角(RA)を定める、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)。
【請求項9】
L形切削インサート(23,123’,123”,123”’,223,323,423)を含む切削工具(21,121)であって、
インサートの複数の切れ刃(27)を含む上側部(25)を備え、
切れ刃は、インサートの長手方向の軸方向に次々と配置され、長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向に延び、
インサートの上側部(25)の平面(P)に対して下向きに延びる側壁(29,129,329,429)を含む、切削工具において、
側壁は側部支持面(37,137,237,337,437)を備え、
工具ホルダー(39,139,139’,130”,139”’,239,339,439)を備え、
工具ホルダーはインサートの側部支持面(37,137,237,337,437)が支持されるようになっている側部当接面(41,141,341,441)を含み、
インサートの側部支持面(37,137,237,337,437)を工具ホルダーの側部当接面(41,141,341,441)に固定するためのクランプ(43,143)が設けられ、
各インサート(23,123)は工具ホルダーの底部当接面(69,169’,169”,169”’)にインサートを支持するための底部支持面(71,71’,171’,171”,171”’)を含む底壁(31)を含む、ことを特徴とする切削工具。
【請求項10】
側壁(29,129)はインサートの長手方向垂直軸平面に実質的に平行に延び、クランプ(43,143,243)はインサートの長手方向垂直軸平面に対して実質的に直角方向にクランピング力を加えるようになっている、ことを特徴とする請求項9に記載の切削工具(21,121)。
【請求項11】
側部当接面(41,141)は工具ホルダーの長手方向垂直軸平面に実質的に平行に延びている、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の切削工具(21,121)。
【請求項12】
側部当接面(41,141)は工具ホルダーの回転軸に対して実質的に直角方向に延びている、ことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の切削工具(21,121)。
【請求項13】
切削工具は複数のインサート(23,123)を含み、それらは対応する複数の凹み(63,163)における対応する複数の当接面(41,141)に装着されている、ことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の切削工具(21,121)。
【請求項14】
少なくとも二つの底部支持面(171”’)が工具ホルダーの上部平面(PT)と異なる角度を定める、ことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の切削工具(21,121)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図18A】
【図18B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図18A】
【図18B】
【公表番号】特表2011−519743(P2011−519743A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508443(P2011−508443)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050451
【国際公開番号】WO2009/136847
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(591106875)セコ ツールズ アクティエボラーグ (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050451
【国際公開番号】WO2009/136847
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(591106875)セコ ツールズ アクティエボラーグ (28)
【Fターム(参考)】
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