説明

多目的表示装置、反射表示シート

【課題】明るい環境下であってもコントラストの高い鮮明な投影映像を表示可能であるとともに、筆記も行うことができる多目的表示装置、反射表示シートを提供する。
【解決手段】シート1は、筆記領域A1と、投影領域A2とを備えている。筆記領域A1は、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な白色の領域である。プロジェクタPから投影された映像光を反射させて観察可能に表示する投影領域A2を設ける。この投影領域A2は、映像光を反射する反射層23と、反射層23のプロジェクタP側に設けられ到達する光の一部を吸収する光吸収部13を有した光吸収シート10とを備えた領域である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能であり、かつ、プロジェクタにより投影された映像を表示可能な多目的表示装置、反射表示シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
会議、プレゼンテーション等の場面では、ホワイトボート、及び、電子黒板等の書き込み用の機材と、プロジェクタ等を利用した映像表示用の機材とを同時に使用したいという要求が多い。
ホワイトボート、及び、電子黒板は、それらに対して筆記及び筆記内容の消去が容易に行える筆記ボード用マーカー(ホワイトボート用マーカー)により、使用者が自由に文字等を書き込んで使用される。そのため、その表面は、平滑な面となっており、プロジェクタにより映像等を投影すると、視認可能な角度が限定され、実使用に耐える表示品質を確保できないという問題があった。
この問題を解決するために、特許文献1から特許文献4には、筆記に適した領域と、映像の投影に適した領域とを併せて設ける技術が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1から特許文献4に記載の技術は、ホワイトボート、及び、電子黒板に対して、従来から知られている映像投影用のスクリーンを追加したに過ぎない。従って、映像を投影する場面では、周囲を暗くする必要があり、例えば、照明の点灯及び消灯を繰り返す必要がある等、実際の使用場面では、使い勝手が悪いという問題があった。
【特許文献1】特開昭61−30164号公報
【特許文献2】特開平10−16486号公報
【特許文献3】特開2002−11997号公報
【特許文献4】特開2002−144786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、明るい環境下であってもコントラストの高い鮮明な投影映像を表示可能であるとともに、筆記も行うことができる多目的表示装置、反射表示シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、映像源(P)から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する領域であって、映像光を反射する反射層(23)と、前記反射層よりも前記映像源側に設けられた層であって、到達する光の一部を吸収する光吸収部(13)を有した光吸収層(10)とを備えた投影領域(A2)と、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な筆記領域(A1)と、を備える多目的表示装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の多目的表示装置において、前記光吸収層(10)は、前記光吸収部(13)の間に形成され光を透過する光透過部(12)を有し、前記光吸収部と前記光透過部とが交互に形成されていること、を特徴とする多目的表示装置である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の多目的表示装置において、前記光透過部(12)は、投影面に対して直交する断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅が広い略台形形状であって、投影面に沿って多数並べて形成された単位プリズム形状であること、を特徴とする多目的表示装置である。
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の多目的表示装置において、前記光吸収部(13)は、前記光透過部(12)を形成する材料の屈折率よりも屈折率が低いこと、を特徴とする多目的表示装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の多目的表示装置において、前記投影領域(A2)の表面には、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な表面処理(14)が施されていること、を特徴とする多目的表示装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の多目的表示装置において、前記投影領域(A2)と前記筆記領域(A1)とが並べて形成され、巻き取り可能な可撓性を有した帯状のシート(1)を有し、前記シートを送ることにより、前記投影領域と前記筆記領域とを選択的に使用可能であること、を特徴とする多目的表示装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の多目的表示装置において、前記投影領域が形成された第1の面と、前記第1の面の反対側の面であって、前記筆記領域が形成された第2の面と、を有したボード部を有し、前記ボード部は、前記第1の面と前記第2の面とを選択的に使用可能なように回転可能に支持されていること、を特徴とする多目的表示装置である。
請求項8の発明は、映像源から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する反射表示シートであって、映像光を反射する反射層(23)と、前記反射層の前記映像源側に設けられた層であって、到達する光の一部を吸収する光吸収部(13)を有した光吸収層(10)と、最も前記映像源側に設けられた層であって、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な表面処理が施されている表面処理層(14)と、を備える反射表示シート(1)である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の反射表示シートにおいて、前記光吸収層(10)は、前記光吸収部(13)の間に形成され光を透過する光透過部(12)を有し、前記光吸収部と前記光透過部とが交互に形成されていること、を特徴とする反射表示シート(1)である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の反射表示シートにおいて、前記光透過部(12)は、投影面に対して直交する断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅が広い略台形形状であって、投影面に沿って多数並べて形成された単位プリズム形状であること、を特徴とする反射表示シート(1)である。
請求項11の発明は、請求項9又は請求項10に記載の反射表示シートにおいて、前記光吸収部(13)は、前記光透過部(12)を形成する材料の屈折率よりも屈折率が低いこと、を特徴とする反射表示シート(1)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)到達する光の一部を吸収する光吸収部を有した光吸収層を備えた投影領域と、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な筆記領域とを備えるので、投影領域を用いて明るい環境下であっても、投影された映像を高いコントラストで鮮明に表示でき、また、筆記領域を用いて書き込みも行える。
【0007】
(2)光吸収層は、光吸収部の間に形成され光を透過する光透過部を有し、光吸収部と光透過部とが交互に形成されているので、全面にわたってコントラストの高い映像を表示できる。
【0008】
(3)光透過部は、投影面に対して直交する断面において、裏面側における幅より映像源側における幅が広い略台形形状であって、投影面に沿って多数並べて形成された単位プリズム形状であるので、映像光を必要な観察方向へ効率よく反射させることができる。
【0009】
(4)光吸収部は、光透過部を形成する材料の屈折率よりも屈折率が低いので、光透過部と光吸収部との境界面において、映像光を全反射することができ、反射損失を最小限とし、明るい映像を表示できる。
【0010】
(5)投影領域の表面には、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な表面処理が施されているので、映像を投影している領域に書き込みを行える。
【0011】
(6)投影領域と筆記領域とが並べて形成され、巻き取り可能な可撓性を有した帯状のシートを有し、シートを送ることにより、投影領域と筆記領域とを選択的に使用可能であるので、多数の領域を設けることができ、使い勝手のよい装置とすることができる。
【0012】
(7)投影領域が形成された第1の面と、第1の面の反対側の面であって、筆記領域が形成された第2の面とを有したボード部を有し、ボード部は、第1の面と第2の面とを選択的に使用可能なように回転可能に支持されているので、簡単な構成で投影領域と筆記領域とを切り替えて使用できる。
【0013】
(8)映像光を反射する反射層と、反射層の映像源側に設けられた層であって、到達する光の一部を吸収する光吸収部を有した光吸収層と、最も映像源側に設けられた層であって、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な表面処理が施されている表面処理層とを備える反射表示シートであるので、明るい環境下であってもコントラストの高い映像を表示可能であり、その映像を表示している領域に書き込みを行える。
【0014】
(9)反射表示シートは、その光吸収層が、光吸収部の間に形成され光を透過する光透過部を有し、光吸収部と光透過部とが交互に形成されているので、全面にわたってコントラストの高い映像を表示できる。
【0015】
(10)反射表示シートは、その光透過部が、投影面に対して直交する断面において、裏面側における幅より映像源側における幅が広い略台形形状であって、投影面に沿って多数並べて形成された単位プリズム形状であるので、映像光を必要な観察方向へ効率よく反射させることができる。
【0016】
(11)反射表示シートは、光吸収部が、光透過部を形成する材料の屈折率よりも屈折率が低いので、光透過部と光吸収部との境界面において、映像光を全反射することができ、反射損失を最小限とし、明るい映像を表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
明るい環境下であってもコントラストの高い鮮明な投影映像を表示可能であるとともに、筆記も行うことができるようにするという目的を、到達する光の一部を吸収する光吸収部を有した光吸収層を備えたことにより実現した。
【実施例】
【0018】
図1は、本実施例の電子黒板の使用状態を示す図である。図1(a)は、筆記領域A1を使用している状態を示し、図1(b)は、投影領域A2を使用してプロジェクタPから映像を投影している状態を示している。
本実施例の電子黒板は、筆記領域A1と投影領域A2とを有し、これら2種類の領域を適宜選択的に切り替えて使用可能であり、不図示のスキャナ部及びプリンタ部をさらに備え、筆記内容を印刷可能な多目的表示装置である。
外枠2には、開口部2aが形成されており、この開口部2aの範囲に使用したい領域を送り出すことにより、使用する領域を切り替える。
図2は、図1に示す使用状態を水平方向で切断して上方から見た断面を模式的に示した図である。図2(a)は、本実施例を示し、図2(b)は、本実施例の変形例を示す図である。
シート1は、外枠2の左右両側に配置された巻き芯3に両端を巻き取られている。巻き芯3は、不図示の駆動機構に接続されており、不図示の操作部材を操作することにより、モータが回転し、電動で回転駆動される。巻き芯3が回転することにより、シート1が左右方向に送られて、開口部2aの範囲に露出する領域が変更される。なお、本実施例のように両端が巻き取られる形態の他に、図2(b)に示すようにシートの端部を接合して1周で繋げ、使用しない領域が背面側に回り込むような形態としてもよい。
【0019】
図3は、シート1を示す図である。
シート1には、筆記領域A1と投影領域A2とが送り方向(左右方向)に並べて形成されている。
筆記領域A1は、筆記ボード用マーカー(ホワイトボード用マーカー)による書き込みと、書き込んだ内容の消去とが容易に行えるように、表面処理が行われた白色の領域である。
投影領域A2は、プロジェクタPから投影された映像光を反射させて観察可能に表示する領域である。
【0020】
図4は、投影領域A2を図3中に矢印BBで示した部分の断面図である。図4では、電子黒板の使用状態における光の進み方を併せて示している。
なお、図4を含め、これまでに示した各図は、説明のため各部寸法、形状等を適宜誇張して示している。特に図4は、室内照明G,プロジェクタP,シート1をまとめて模式的に示しているので、実際とは配置関係が異なり、各光線の入射角度等が後述の説明における大小関係と異なる部分が含まれている。
また、シート1のプロジェクタP側(観察側)を表とし、その反対側を裏と呼ぶこととし、上、下とは、特に言及しない限り、スクリーンの使用状態における上下を示すものとする。
本実施例におけるシート1の投影領域A2は、プロジェクタPにより投影される映像光を効率よく観察者側へ反射し、上方からの不要光を選択的に後述の光吸収部13により吸収させることで、非常にコントラストの高い映像を明るい環境下であっても表示可能とする領域である。
【0021】
シート1の投影領域A2は、光吸収シート10,反射シート20,接着層25を備えており、光吸収シート10と反射シート20とを接着層25により接着接合して形成されている反射表示シートである。
光吸収シート10は、光吸収シート基材層11,単位プリズム形状12,光吸収部13,表面処理層14を備えた光吸収層である。
【0022】
光吸収シート基材層11は、単位プリズム形状12を形成するときに必要な基材となる部分であり、アクリル、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂製のシート又はフィルムから形成される光透過性のある部分であり、本実施例では、アクリル樹脂を使用している。なお、この光吸収シート基材層11には、必要に応じて所定の透過率に減じさせるようなグレー等の染料、顔料等で着色(ティント)が施されていてもよい。
【0023】
単位プリズム形状12は、図4の断面において、裏面側における幅より映像源側における幅が広い略台形形状となっている。単位プリズム形状12は、シート面に沿って(図4では上下方向となる垂直方向に)多数並べて形成されている。また、単位プリズム形状12は、上下方向において上下対称な形状となっており、上方、及び、下方の斜面がスクリーン面の法線となす角度は、5°であり、頂部の幅が40μm、谷底から頂部までの高さが200μmとなっている。また、単位プリズム形状12は、屈折率1.56の紫外線硬化樹脂により形成されている。なお、紫外線硬化樹脂に限らず、電離放射線硬化樹脂等の他の光硬化樹脂を用いてもよいし、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂を用いた熱溶融押し出し成型により作製してもよい。
ここで、シート面とは、シート全体として見たときにおけるシートの平面方向となる面を示すものである。
【0024】
光吸収部13は、単位プリズム形状12が並ぶ間に形成された光を吸収する作用を有した部分である。本実施例における光吸収部13は、光を吸収する微小ビーズとして、平均粒径が6μmである黒色顔料を含有する紫外線硬化樹脂(屈折率1.49)をワイピング(スキージング)することにより、単位プリズム形状12の間に充填し、紫外線を照射して形成されている。
【0025】
表面処理層14は、最もプロジェクタP側に設けられた層であって、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能となるように表面処理が施されている層である。なお、表面処理層14には、その他、アンチグレア処理、反射防止処理、帯電防止処理、ハードコート処理、防汚処理等の各種表面処理を行ってもよい。
【0026】
反射シート20は、反射シート基材層21,賦型層22,反射層23を有している。
反射シート基材層21は、賦型層22を形成するときに必要な基材となる部分であり、PET,PC,ポリオレフィン,変性ポリオレフィン,アクリル,PVC(ポリ塩化ビニル)等の樹脂製のシート又はフィルムから形成される。本実施例では、PET樹脂を使用している。
【0027】
賦型層22は、反射シート基材層21の一面に設けられ、表面に単位表面形状が使用状態の水平方向に多数並んで配置された層である。本実施例の単位表面形状は、使用状態での水平方向断面における形状が略正弦波形状となっており、この略正弦波形状が略同一形状を保ち垂直方向に延在している。また、賦型層22は、紫外線硬化樹脂や電離放射線硬化樹脂等の光硬化樹脂により形成されている。
【0028】
反射層23は、賦型層22の単位表面形状上に形成され、反射率を高める層である。本実施例では、アルミニウムを蒸着して形成している。なお、反射層の形成は、蒸着の他、各種コーティングにより行ってもよいが、反射層としては、40%以上の反射率があることが、映像光の反射損失を少なくするため望ましい。
接着層25は、光吸収シート10と反射シート20とを接着接合する接着剤により形成された層である。なお、接着層の光線透過率は70%以上あることが、映像光を効率よく反射するために望ましい。
【0029】
ここで、本実施例のシート1の投影領域A2が映像光及び外光をどのように反射又は吸収するのかについて説明する。
まず、光吸収シート10について、図4を参照して説明する。
光吸収シート10では、図4に示すようにプロジェクタPから投影される映像光線L1,L2は、単位プリズム形状12内を進み光吸収部13との境界面で全反射を行う。光吸収部13の屈折率は、単位プリズム形状12の屈折率よりも低く、したがって、この境界面において臨界角よりも大きな角度で入射する光は、全反射する。
そして、単位プリズム形状12と光吸収部13との境界面で全反射した映像光は、反射シート20に到達して反射され、その後さらに全反射する等して観察可能な光線として観察者側へ戻される。
【0030】
一方、反射スクリーン1の上方に設けられた室内照明G等からの外光G1,G2は、光吸収シート10に対する入射角度が大きいことから、単位プリズム形状12と光吸収部13との境界面における入射角度が小さくなり、臨界角を超えない成分が多く、全反射をすることなく光吸収部13に入射して吸収される。したがって、外光が反射されて観察位置に到達する割合を非常に少なくすることができる。
【0031】
次に、反射シート20について説明する。
上述した光吸収シート10は、使用状態における上下方向について光を制御する。しかし、使用状態における水平方向については、光学的には殆ど影響を与えない。これに対して、反射シート20では、光吸収シート10を通過してきた映像光を、水平方向で拡散させて反射させる。
【0032】
反射シート20の反射層23は、賦型層22の上に形成されているので、この賦型層22に賦型されている単位表面形状に沿って波打つような形態で形成されている。また、単位表面形状は、使用状態の水平方向に多数並んでおり、水平方向断面における略正弦波形状が略同一形状を保ち垂直方向に延在しているので、反射層23に到達した映像光は、垂直方向では殆ど拡散されることなく反射されるが、水平方向では拡散されて反射される。
【0033】
シート1の投影領域A2に実際に映像光を投影すると、投影画像については高い反射率を有し、外光については十分に吸収することができた。従って明るい室内であっても、照明を暗くすることなくコントラストの高い鮮明な映像を表示できる。また、反射シート20が水平方向に映像光を拡散反射するので、特定の方向から観察したときに画面の一部が明るく観察されるいわゆるホットスポットを生じることもなく、水平方向の視野角も広く表示できた。
【0034】
本実施例によれば、筆記領域A1と投影領域A2とを用途に応じて切り替えることにより、使用される環境を明るく保ったまま、コントラストが高く明るい投影映像を表示可能であるとともに、筆記領域を使用して筆記も行うことができる。また、投影領域A2に表面処理層14を設けたので、映像を投影しながら筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去を行うことができる。
【0035】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)本実施例において、巻き取り可能な可撓性を有したシートを送ることにより、筆記領域と投影領域とを切り替える電子黒板の例を示したが、これに限らず、例えば、水平方向に設けられた回転軸を中心として回転可能に設けられたボード部の片面(第1の面)に筆記領域を形成し、他面(第2の面)に投影領域を形成したホワイトボードに近い形態としてもよい。
【0036】
(2)本実施例において、投影領域の反射層は、賦型層の単位表面形状上に形成され、水平方向において光を拡散反射する例を示したが、これに限らず、例えば、賦型層を設けずに平坦な反射層としてもよいし、反射層と離れた位置に拡散層を追加してもよい。
【0037】
(3)本実施例において、単位プリズム形状は、断面形状が台形形状である例を示したが、これに限らず、例えば、長方形形状であってもよい。
【0038】
(4)本実施例において、単位プリズム形状及び光吸収部は、水平方向に同一断面形状で延在している例を示したが、これに限らず、例えば、単位プリズム形状及び光吸収部が水平及び垂直の2方向に2次元的に配列されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施例の電子黒板の使用状態を示す図である。
【図2】図1に示す使用状態を水平方向で切断して上方から見た断面を模式的に示した図である。
【図3】シート1を示す図である。
【図4】投影領域A2を図3中に矢印BBで示した部分の断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シート
2 外枠
3 巻き芯
10 光吸収シート
11 光吸収シート基材層
12 単位プリズム形状
13 光吸収部
14 前面処理層
20 反射シート
21 反射シート基材層
22 賦型層
23 反射層
25 接着層
A1 筆記領域
A2 投影領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像源から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する領域であって、映像光を反射する反射層と、前記反射層よりも前記映像源側に設けられた層であって、到達する光の一部を吸収する光吸収部を有した光吸収層とを備えた投影領域と、
筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な筆記領域と、
を備える多目的表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多目的表示装置において、
前記光吸収層は、前記光吸収部の間に形成され光を透過する光透過部を有し、前記光吸収部と前記光透過部とが交互に形成されていること、
を特徴とする多目的表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の多目的表示装置において、
前記光透過部は、投影面に対して直交する断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅が広い略台形形状であって、投影面に沿って多数並べて形成された単位プリズム形状であること、
を特徴とする多目的表示装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の多目的表示装置において、
前記光吸収部は、前記光透過部を形成する材料の屈折率よりも屈折率が低いこと、
を特徴とする多目的表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の多目的表示装置において、
前記投影領域の表面には、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な表面処理が施されていること、
を特徴とする多目的表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の多目的表示装置において、
前記投影領域と前記筆記領域とが並べて形成され、巻き取り可能な可撓性を有した帯状のシートを有し、
前記シートを送ることにより、前記投影領域と前記筆記領域とを選択的に使用可能であること、
を特徴とする多目的表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の多目的表示装置において、
前記投影領域が形成された第1の面と、
前記第1の面の反対側の面であって、前記筆記領域が形成された第2の面と、
を有したボード部を有し、
前記ボード部は、前記第1の面と前記第2の面とを選択的に使用可能なように回転可能に支持されていること、
を特徴とする多目的表示装置。
【請求項8】
映像源から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する反射表示シートであって、
映像光を反射する反射層と、
前記反射層の前記映像源側に設けられた層であって、到達する光の一部を吸収する光吸収部を有した光吸収層と、
最も前記映像源側に設けられた層であって、筆記ボード用マーカーによる筆記及び筆記内容の消去が可能な表面処理が施されている表面処理層と、
を備える反射表示シート。
【請求項9】
請求項8に記載の反射表示シートにおいて、
前記光吸収層は、前記光吸収部の間に形成され光を透過する光透過部を有し、前記光吸収部と前記光透過部とが交互に形成されていること、
を特徴とする反射表示シート。
【請求項10】
請求項9に記載の反射表示シートにおいて、
前記光透過部は、投影面に対して直交する断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅が広い略台形形状であって、投影面に沿って多数並べて形成された単位プリズム形状であること、
を特徴とする反射表示シート。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の反射表示シートにおいて、
前記光吸収部は、前記光透過部を形成する材料の屈折率よりも屈折率が低いこと、
を特徴とする反射表示シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−334161(P2007−334161A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168082(P2006−168082)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】