多相流量計
【課題】精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計を提供する。
【解決手段】パイプライン23から三相流の一部を抽出するために、パイプライン23に設置したオリフィス12の上下流に連結する一対の連通管13と、気液抽出タンク14とが用いられる。パイプライン23にスラグ流等が流れることにより、オリフィス12前後の圧力差が周期的に変化する。これに伴って一対の連通管13と気液抽出タンク14とでは、気液の抽出と気体を主とした排出とが同時に行われる。気液抽出タンク14内においては、気液が左右、上下などに強制的に揺さぶられて撹拌され、これによって液相の比率が高い気液が残ることになる。そして、この液相の比率が高い気液から気体が除去されて混合液体が抽出され、液溜タンク17に溜まるようになる。液溜タンク17からは、コリオリメータ38で必要な分の混合液体が流れ、コリオリメータ38では、結果、精度の高い密度計測が行われる。
【解決手段】パイプライン23から三相流の一部を抽出するために、パイプライン23に設置したオリフィス12の上下流に連結する一対の連通管13と、気液抽出タンク14とが用いられる。パイプライン23にスラグ流等が流れることにより、オリフィス12前後の圧力差が周期的に変化する。これに伴って一対の連通管13と気液抽出タンク14とでは、気液の抽出と気体を主とした排出とが同時に行われる。気液抽出タンク14内においては、気液が左右、上下などに強制的に揺さぶられて撹拌され、これによって液相の比率が高い気液が残ることになる。そして、この液相の比率が高い気液から気体が除去されて混合液体が抽出され、液溜タンク17に溜まるようになる。液溜タンク17からは、コリオリメータ38で必要な分の混合液体が流れ、コリオリメータ38では、結果、精度の高い密度計測が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と二種類の液体とからなる三相流の各相流量を計測する多相流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
深海域等の抗井から産出される石油は油に水やガスを含む混相流(三相流であり、以下、多相流と略記する)を形成していて、これらの相が分離されることなく陸地に高圧移送された後、採油井採取工程を経て分離精製されるようになっている。分離精製された油・ガスは、目的地に向けて送油・送ガスされるとともに、水分は排水処理されるようになっている。採油井採取工程の前の段階において、必要に応じて多相流体は採油井の管理や採取工程ないし出荷管理のために各相の流量計測がなされるようになっている。
【0003】
この各相の流量計測に関しては、従来、例えば密度計と超音波流量計とを利用した相互相関法によるものが下記特許文献1の従来技術の欄に開示されている。この開示技術では、密度計としてγ線式密度計が用いられている。γ線式密度計は高価なものであることが知られている。相互相関法では、γ線式密度計を用いることにより気液二相流の平均密度が測定され、この測定された平均密度からボイド率が求められるようになっている。そして、ボイド率と超音波流量計とで計測された多相流体の体積流量から各々の流量が求められるようになっている。尚、この場合、水分率を計測する要素を更に追加することにより、油及び水の流量を測定することができるようになるが、水分率を計測する要素はγ線式密度計と同様に高価で、且つ、フィールドにおけるキャリブレーションを実施することを前提としているものが多く、更なるコスト高を招くという問題点を有している。
【0004】
この他、多相流の流量計測に関しては、相分離工程(三相分離タンク)を経てガス・油・水等の単相流にしてから、ガス流量と、油及び水の各々の流量とを計測することも知られている(下記特許文献2参照)。しかしながらこの各相流量計測に関しては、相分離のための設備費用が嵩むという問題点を有している。また、設備費用が嵩む他に、設備が大型になって必要な所へ容易に移動させることができないという問題点も有している。
【0005】
ところで、下記特許文献2には密度計等に関する技術が開示されている。この開示技術により考えられることは、γ線式密度計の代わりに下記特許文献2の密度計に関する開示技術を適用することで、上記のコスト高の問題点を解消することができる可能性を有している。下記特許文献2には、流量計及び密度計としてコリオリ質量流量計が用いられている。尚、コリオリ質量流量計は単純にγ線式密度計の代わりに適用できるものでなく、また、下記特許文献2において考えられる問題点もあることから、以下、下記特許文献2の多相流量計の構成や簡単な作用について説明をする。
【0006】
図11において、多相流れ測定システム(多相流量計に相当)100は、渦流分離器104と、この渦流分離器104内に多相流体を放出する流入多相流管102とを備えている。渦流分離器104は、気体を上部の気体測定流管106へ放出するとともに、液体を下部の液体測定流管108へ放出するように構成されている。気体測定流管106と液体測定流管108は、流れ測定が行われた後に放出管路110にて再び合流するようになっている。放出管路110は、販売地点に達する前に三相産出分離器118までのびて、気相、水相、油相の分離を行うことができるように構成されている。
【0007】
多相流れ測定システム100は、産出マニフォールド116を備えている。産出マニフォールド116は、複数の油井又はガス井から多相流体が供給される部分となっている。流入多相流管102は、矢印120の方向に沿って産出マニフォールド116から多相流体を受け取るようになっている。流入多相流管102において、引用符号122はベンチュリ部、124は傾斜増減部、126は渦流分離器104に対しての水平放出要素を示している。
【0008】
水平放出要素126は、渦流分離器104の円筒状の内部分離部へ接線方向に多相流体を放出するように配置されている。水平放出要素126から多相流体が放出されると、この放出によって渦流分離器104内の液体部分128にトルネード効果又はサイクロン効果が生じるといわれている。渦流分離器104内には、水平放出要素126を介して多相流体の全量が放出されるようになっている。
【0009】
液体部分128は、分離された水相、油相、及び同伴する気相を含む主液相になっている。同伴気相は、サイクロン効果から生じる遠心力により液体部分128から分離されるようになっている。尚、同伴気相は、この同伴気相の付加的な重力分離を可能にする比較的低い流量を除いて完全に除去することができない。言い換えれば、流量が高い場合には同伴気相が除去されないことになる。液体部分128は、渦流分離器104から液体測定流管108へ放出されるようになっている。
【0010】
渦流分離器104内部の気体部分132は、油と水のミストと共に気体を含む主気相になっている。渦流分離器104には、ミストの部分的な凝縮が生じるようなミスト収集スクリーン134が設けられている。気体部分132は、気体測定流管106へ放出されるようになっている。
【0011】
気体測定流管106には、コリオリ質量流量計154が設けられている。このコリオリ質量流量計154は、気体測定流管106内部の多相流体の気体部分132から質量流量及び密度の測定値を提供するようになっている。コリオリ質量流量計154は、流量送信器156に接続されており、測定値を表す信号が制御装置112に対して出力されるようになっている。気体測定流管106には、逆止弁160が設けられている。逆止弁160は、矢印162方向における確実な流れを保証して、これにより液体部分128が気体測定流管106へ浸入することを阻止するようになっている。
【0012】
液体測定流管108には、静止型ミキサ164が設けられている。また、この静止型ミキサ164の後方には、コリオリ質量流量計166と含水モニタ172とが設けられている。コリオリ質量流量計166は、液体測定流管108内部の液体部分128から質量流量及び密度の測定値を提供するようになっている。コリオリ質量流量計166は、流量送信器168に接続されており、測定値を表す信号が制御装置112に対して出力されるようになっている。含水モニタ172は、液体測定流管108内部の液体部分128の含水率を測定するようになっている。含水モニタ172は、制御装置112に接続されている。
【0013】
液体測定流管108には、逆止弁178が設けられている。逆止弁178は、矢印180方向における確実な流れを保証して、これにより気体部分132が液体測定流管108へ浸入することを阻止するようになっている。引用符号150及び174は、制御装置112により開閉制御される弁を示している。
【0014】
産出マニフォールド116は、経路190を介して制御される弁182、184を有している。弁182、184は、一つの油井186或いは組み合わせ(例えば油井186とガス井188)からの多相流体をレール192へ流して流入多相流管102へ流体を分配するように選択的に構成されている。尚、他の弁は、バイパス管194を通って流すことにより多相流れ測定システム100をバイパスするように選択的に構成されている。
【0015】
引用符号196、197は手動の弁を示している。この弁196、197の内側にあるバイパス管路198は、弁199が開き且つ弁150、174が閉じられる時に、流れが多相流れ測定システム100をバイパスするようになっている。以上が多相流れ測定システム100に関する説明である。
【0016】
下記特許文献3には、液体と気体の二相流体の流量等を計測する従来技術が開示されている。具体的には、液体と気体の二相流体の流量を、液体と気体の混相流(混合液体)の状態のままで計測するタービン型流量計の技術が開示されている。タービン型流量計は、上記超音波流量計と同様の機能を有しており、この代わりとすることが可能である。タービン型流量計は、単純な構造で、耐久性に優れた機器によって安価に計測をすることができるという効果を奏することが知られている。尚、タービン型流量計や超音波流量計の他には、オリフィス流量計も知られている。
【特許文献1】特開2001−165741号公報
【特許文献2】特表2003−513234号公報
【特許文献3】特開平8−201130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上記従来技術の多相流れ測定システム100にあっては、気相と液相とを分離する渦流分離器104及びこの周辺構成に問題点があり、単純にγ線式密度計の代わりに適用できるものでないことを本願発明者は見出している。すなわち、多相流れ測定システム100にあっては、レール192を介して多相流体の全量が渦流分離器104内に放出される構成であるが、多相流体の全量が渦流分離器104内に放出されるということは、多くの気泡が液体部分128に含まれた状態で渦を巻くことになる。
【0018】
本願発明者が考えるには、渦流分離器104のサイクロン効果のみであると、比較的小さな気泡が渦に巻き込まれて液体測定流管108内部に流れ込んでしまい(気泡同士のぶつかりが生じて気泡が大きく成長すれば気液の分離は進行する。しかしながら、分離器内部で生じる自由渦は中心付近程回転比が高く相対的に中心付近の圧力が低下して小さな気泡群は液体測定流管108側へ吸い込まれてしまう可能性が生じる。これは重力分離ができない場合に特に顕著となる。)、小さな気泡を多く含んだ状態で液体測定流管108内部の液体部分128はコリオリ質量流量計166によって密度計測がなされてしまうことになる。小さな気泡を多く含んだ状態での密度計測は、この計測値が気泡を含まない状態の値と異なることから、誤差が発生してしまうことになる。従って、後の流量の算出に影響を来してしまうことになる。
【0019】
γ線式密度計の代わりに特許文献2の密度計に関する開示技術を適用することは、流量の算出に影響を来してしまうことになる。
【0020】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の多相流量計は、気体と二種類の液体とからなる三相流における気液二相流の各相流量を計測する気液二相流量計測部と、前記気液二相流における液相としての混合液体の混合密度を計測する混合液体密度計測部と、前記混合密度から前記混合液体の混合比率を求め該混合比率と混合液体流量とから前記混合液体の各流量を算出する各相流量算出部とを備え、前記混合液体密度計測部は、混合液体抽出部と、該混合液体抽出部に連結する密度計測部とを含み、前記混合液体抽出部は、前記三相流を流すパイプラインに設ける差圧発生器と、該差圧発生器の上流下流に連結する一対の連通管と、該一対の連通管に連結して前記三相流の一部を取り込む場所となるとともに前記差圧発生器前後の圧力変化を利用して前記三相流の一部を強制的に撹拌させる場所となる気液抽出タンクと、該気液抽出タンクに連結して液相を含む気体を排出する気液排出管と、前記気液抽出タンクに連結して少なくとも前記密度計測部で必要とする密度計測用の混合液体を取り込みこれを溜める液溜タンクと、該液溜タンクの少なくとも下流側に設ける液流量調節弁とを有し、前記密度計測部は、前記密度計測用の混合液体を用いて密度計測をする密度計測部本体と、該密度計測部本体及び前記パイプラインに連結する気液戻管とを有することを特徴としている。
【0022】
このような特徴を有する本発明によれば、気液抽出タンクに取り込まれた三相流の一部がオリフィス(差圧発生機器)前後の圧力変化によって強制的に撹拌されるような状態になる。すなわち、取り込まれた三相流の一部は、左右、上下などに強制的に揺さぶられて撹拌される。この時、混合液体中に含まれる気泡は、気泡同士のぶつかり合いによって大きな気泡へと成長し、混合液体から気相側へと分離する。強制的な撹拌作用により小さな気泡であっても容易に混合液体から気相側へ分離する。
【0023】
本発明によれば、液溜タンクには、気泡の分離がなされた混合液体が液流量調節弁の調節によって溜まる。この液溜タンクに溜まった混合液体は、密度計測に用いられる。気泡の分離がなされた混合液体で密度計測がなされることから、精度の高い測定値が提供される。
【0024】
本発明によれば、液溜タンクは、少なくとも密度計測部で必要とする混合液体を取り込みこれを溜めることができれば良く、このため気液抽出タンクでは取り込んだ三相流の一部の全てを気液分離する必要性はない。気液抽出タンクでは、密度計測部で必要とする混合液体を液溜タンクへ流すことができる分だけ気体の除去が行えれば十分である。
【0025】
本発明によれば、液相の密度を計測するために三相流の全量でなく三相流の一部が気液抽出タンクに取り込まれる。取り込みが三相流の全量でないことから混合密度計測部の大きさを小さくすることが可能になり、結果、多相流量計の全体を小型化することが可能になる。
【0026】
請求項2記載の本発明の多相流量計は、請求項1に記載の多相流量計において、前記気液二相流はスラグ流である、或いは気泡流又はせん状流であることを特徴としている。
【0027】
このような特徴を有する本発明によれば、抗井から産出される油・水・ガスの混相流(三相流)における気液二相流の代表的なものがスラグ流、気泡流又はせん状流であり、これらが流れると混合液体密度計測部におけるオリフィス前後の圧力変化がより大きく顕著となる。
【0028】
請求項3記載の本発明の多相流量計は、請求項1又は請求項2に記載の多相流量計において、前記混合液体密度計測部、又は、前記混合液体密度計測部及び前記気液二相流量計測部は、前記パイプラインに対して着脱自在であることを特徴としている。
【0029】
このような特徴を有する本発明によれば、必要な箇所に移動させることにより、例えば採油井の管理や採取工程ないし出荷管理のための流量計測を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す多相流量計の構成図である。また、図2は混合液体密度計測部の構成図、図3は気液二相流の水平管内における流動様式についての説明図、図4は気液抽出タンク内での状態を示す説明図、図5は気液二相流量計測部の他の例を示す構成図、図6はコリオリメータによる油水気中の油水密度の計測結果を示すグラフ、図7はコリオリメータによる油水気中の含水率(水/油)の計測結果を示すグラフである。
【0032】
図1において、本発明の多相流量計1は、混合液体密度計測部2と、気液二相流量計測部3と、各相流量算出部4とを含んで構成されている。このような構成の多相流量計1における混合液体密度計測部2は、混合液体抽出部5と、密度計測部6とを備えて構成されている。気液二相流量計測部3は、気体と二種類の液体とからなる三相流(例えばガス・油・水)における気液二相流の各相流量を計測することが可能な構成を有しており、特に限定するものでないが、本形態においてはタービン型気液二相流流量計が用いられている(例えば、背景技術の欄の特許文献3に開示されたタービン型流量計などが好適である)。気液二相流量計測部3は、ホモジナイザー7と、タービンメータ8と、差圧計9と、圧力計10と、温度計11とを備えて構成されている。気液二相流量計測部3により得られる測定値は、各相流量算出部4に取り込まれ、また、混合液体密度計測部2により得られる測定値も各相流量算出部4に取り込まれ、ここでガス・油・水の各相流量が算出されるようになっている。
【0033】
本発明の多相流量計1は、例えば公知のタービン型気液二相流流量計に混合液体密度計測部2を組み合わせる構成であるが、この混合液体密度計測部2を組み合わせることによって格段に精度の高い流量計測をすることが可能な多相流量計を提供することができるようになる。また、混合液体密度計測部2は、後述するが液相(混合液体)の密度を計測するために三相流の全量でなく三相流の一部を取り込む構成である。従って、コンパクトにすることが可能な多相流量計を提供することができるようになる。以下、図1ないし図7を参照しながら本発明の多相流量計1の各構成及び作用について説明する。
【0034】
混合液体密度計測部2は、上記の如く、混合液体抽出部5と、密度計測部6とを備えて構成されている。混合液体抽出部5は、オリフィス12と、連通管13と、気液抽出タンク14と、気液排出管15と、気体排出管16と、液溜タンク17と、液流量調節弁18、19とを有している。また、密度計測部6は、混合液体導入管20と、密度計測部本体21と、気液戻管22とを有している。混合液体密度計測部2は、混合液体抽出部5と密度計測部6とが連結して構成されるものであり、パイプライン(主管)23に対して着脱自在となる構造を有している(パイプライン(主管)23は、例えば混合液体密度計測部2の部分と気液二相流量計測部3の部分とで分離することができる構造になっている)。混合液体密度計測部2は、密度計測部6により得られる測定値が各相流量算出部4に取り込まれるようになっている。
【0035】
オリフィス12は、差圧発生機器であってパイプライン(主管)23に対して取り付けられている。パイプライン(主管)23には、三相流が流れるようになっている。三相流は、気体(ガス)と二種類の液体(例えば油・水)とからなるものである。この三相流における気液二相流は、特に限定するものでないが、本形態においてはスラグ流、気泡流又はせん状流を想定している。
【0036】
尚、ここで、気液二相流の水平管内における流動様式について簡単に説明する。気液二相流は、気液各々の流速の組み合わせによって様々な流動様式をとることが知られている。これらの流動様式を図3に示す。図3(a)は成層流、(b)は波状流、(c)は環状流、(d)は気泡流又はせん状流、(e)はスラグ流、(f)は(c)と異なる環状流、(g)は気泡流、(h)は環状噴霧流で、パイプラインの流動状態は一般的に(d)又は(c)であることが多いといわれている。
【0037】
スラグ流は、図3(e)に示す如く、気泡を含んだ液相と、気体及び液体が上下の層に分離してなる相とを有し、これら二つの相が交互に現れるような流れとなっている。このようなスラグ流がオリフィス12を通過することにより生じる差圧ΔPは、前者の相が大きく、後者の相では小さくなるようになっている。ここで特に図示はしないが、差圧ΔPの大きさの変動を測定した結果、前者の相と後者の相とで3.5倍ものひらきがあることつかんでいる。すなわち、スラグ流によってオリフィス12前後の差圧ΔPが周期的に大きく変化することになる。また、オリフィス12前後の差圧ΔPが短時間(約3秒。但しこの時間に限定されないものとする)で大きく変化することもつかんでいる。
【0038】
連通管13は、パイプライン(主管)23に連結して三相流の一部を流す管であって、一端がオリフィス12の上流側に連結する気液抽出管又は気液排出管13aと、オリフィス12の下流側に連結する気液抽出管又は気液排出管13bとの二つで構成されている(上流側のみでも可能である。二つで構成することが好ましい)。連通管13は、気液抽出管又は気液排出管13a、13bで構成されることから対をなしており、図中では所定の長さで平行となるように、また、パイプライン(主管)23から下方へのびるように配置形成されている。尚、一対で構成される連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)の各中間に弁24を設け、この弁24の開閉を自動制御するようにすれば、任意の時間帯で計測を行うことができるようになる。本形態では、弁24は全開であり、パイプライン(主管)23に三相流が流れている間は計測が続けられているものとする。
【0039】
気液抽出タンク14は、所望の容積(例えば約1L:以下、「L」をリットルの意味で使用する)の内部空間を有する容器であって、一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)の各他端が連結するようになっている。図2及び図4(図4は模式的に図示しているものとする)において、気液抽出タンク14に三相流の一部が取り込まれ、ある程度溜まった状態になると、気液抽出タンク14の内部では次のような作用が生じることになる。すなわち、オリフィス12前後の差圧ΔPが短時間で大きく変化することから、上流側の気液抽出管又は気液排出管13aから取り込まれる三相流の一部(単に気液と略記する場合もあるものとする)の抽出流量は変動する。特に気液中の大きな気泡は、恰も鉄砲から打ち出された空砲のように気液抽出タンク14内に噴出し、気液抽出タンク14内全体に大きな撹拌流を生じさせる。気液抽出タンク14内で発生する撹拌流25は、小さな気泡同士を結合させて大きな気泡へと成長させ、そして、気体の分離を促進させるとともに、気液抽出タンク14内の上部に気泡を集め、液体を伴った状態で下流側の気液抽出管又は気液排出管13bに押し込んでパイプライン(主管)23に排出する作用を生じさせる。
【0040】
下流側の気液抽出管又は気液排出管13bは、主として液体を伴った気体の排出を行っているが、オリフィス12前後の差圧ΔPの変動により、オリフィス12の下流側の圧力が高い時で気液抽出タンク14内の圧力が下がった時に、下流側の気液抽出管又は気液排出管13bから気液抽出タンク14内へ気液が送出され、全体の撹拌流25に対し局所的に小さな撹拌流26が形成される。小さな撹拌流26は、全体的な撹拌流25と同様、気体の分離に寄与する。小さな撹拌流26が発生した時には、下流側の気液抽出管又は気液排出管13b内で逆流が生じていることから、この下流側の気液抽出管又は気液排出管13bから気液の排出は行われないが、下流側の気液抽出管又は気液排出管13bの連結近傍では小さな撹拌流26が発生するため、分離された気体がこの後に排出され易くなっている。以上の説明は、連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)を対で構成することにより得られる効果である。
【0041】
気液抽出タンク14内の上部に存在する気体の排出について説明すると、大きな撹拌流25などによって分離された気泡は気液抽出タンク14内の上部に集まり、弁27及び気液排出管15を介して液体を伴う状態で排出される。本形態での排出先は、密度計測部6の気液戻管22に設けられる後述のクロス弁41となっている(一例であるものとする)。
【0042】
気液抽出タンク14の下部には、混合液抜出管28が設けられている。この混合液抜出管28は、口径40mm程度で気液抽出タンク14の下部に直立する管であって、例えば約100mmの長さとなるように形成されている。混合液抜出管28は、この内部に長さ方向の2/3程度となる、細管を束ねた構造体29が備えられている。細管を束ねた構造体29は、例えば細管の内径を2mm程度として細管同士が外接するように束ねられている。細管を束ねた構造体29は、円筒状(円柱状)に組み合わせられて混合液抜出管28の内部に挿入設置されるようになっている(混合液抜出管28の口径を40mmで設定した場合には、90本程度の細管数になる)。細管を束ねた構造体29は、気液抽出タンク14内の気泡が液溜タンク17へ流れないようにすることを目的として備えられている(気泡が液溜タンク17へ流れなければ設置不要である。本形態では安全策として設置している。設置不要の例としては、ガスボイド率が低い場合が挙げられる)。混合液抜出管28の部分はフィルタとしての機能を有している。尚、上記の細管は、プレートに小孔をあけたものに置き換えることが可能であるものとする。
【0043】
液流量調節弁18は、気液抽出タンク14と液溜タンク17とを連結する連結管30の中間に設けられている。液流量調節弁18は、例えば混合液体の流量が2〜6L/min程度となるように開度が調節されている。液流量調節弁18は、適量の混合液体を液溜タンク17へ供給するために設けられている。
【0044】
液溜タンク17には、気液抽出タンク14側で気体の除去がなされた混合液体が流れ込むようになっている。液溜タンク17は、混合液体が一旦溜まるような容器として形成されている(容積は例えば0.5Lとする)。液溜タンク17は、混合液体が例えば約1分程度滞留するような構造になっている。液溜タンク17は、内部の気体が抜けきらない場合や、混合液体に極微小な気泡が含まれている場合を想定して、気体や気泡を弁31及び気体排出管16を介して後述のクロス弁41へ排出することができるようになっている。液溜タンク17は、本形態において、少なくとも密度計測部6で必要とする密度計測用の混合液体を取り込みこれを溜めることができるような構造になっている。
【0045】
液流量調節弁19は、液溜タンク17と密度計測部6の混合液体導入管20とを連結する連結管32の中間に設けられている。液流量調節弁19は、混合液体の流量が適量となるように開度が調節されている。具体的な例としては、密度計測部6の密度計測部本体21における後述のコリオリメータ38内を通過する時間が例えば10〜30秒程度となるように開度が調節されている(口径25mmのコリオリメータ38を使用した場合には、0.5〜1.5L/min程度)。液流量調節弁19の位置では、混合液体のみ(例えば油・水)が密度計測部6へ流れるようになっている。
【0046】
連結細管32が連結する密度計測部6の混合液体導入管20には、弁33と排出弁34とが設けられている。また、混合液体導入管20に一端が連結して密度計測部本体21を迂回し他端が気液戻管22に連結する副バイパス管35にも弁36が設けられている。本形態において、弁33は全開であり、排出弁34と弁36は全閉となっている。弁33は、密度計測部本体21側に設けられている。
【0047】
密度計測部本体21は、本形態において、ホモジナイザー37と、コリオリメータ38と、混合液体戻管39とを備えて構成されている。ホモジナイザー37は、混合液体を均質化して混合液体密度を均一にするために設けられている。ホモジナイザー37は、コリオリメータ38の上流に設けられている。ホモジナイザー37は、コリオリメータ38の近傍に設けられてコリオリメータ38による混合密度の計測をより確かなものにするようになっている。尚、コリオリメータ38は、公知のコリオリ質量流量計において密度計測をすることができる構成を備えていれば良いものとする(又はこれと同様の原理で密度計測することができるものでも可)。本形態においては、公知のコリオリ質量流量計がコリオリメータ38として用いられている。コリオリメータ38は、これによる密度計測が混合液体の流速に依存しない(測定は内蔵するチューブに充満した混合液体を振動させて行う)ことから、少ない流量で計測することが可能である。
【0048】
気液戻管22には、コリオリメータ38側から順に、弁40、クロス弁41、逆止弁42が設けられている。弁40は、全開となっている。クロス弁41及び逆止弁42は、公知のものが用いられており、作用等の説明は省略するものとする。気液戻管22は、混合液体抽出部5のオリフィス12の下流側でパイプライン(主管)23に接続されている(引用符号43は合流部を示している)。
【0049】
気液二相流量計測部3は、上述の如く、ホモジナイザー7と、タービンメータ8と、差圧計9と、圧力計10と、温度計11とを備えて構成されている。このような構成の気液二相流量計測部3は、背景技術の欄の特許文献3に開示されたタービン型流量計(特開平8−201130号公報)と同じであるので、ここでは構成の具体的な説明は省略するものとする(測定方法については後述する)。尚、気液二相流量計測部3は、図5に示す、容積流量計44、ベンチュリ管45、差圧計46等とを備えたもので構成しても良いものとする。本形態でタービン型流量計を採用している理由は(上記公報のタービン型流量計に限らない)、タービン型流量計が、気液二相流を混相流の状態のままで、全体積流量、気液体積流量比を同時に効率よく求めることができるからである。また、タービン型流量計は、コスト及び取り扱いに優れているからである(この他、一般的な工業計器を用いること、油田などの高圧仕様に対してフランジ規格対応のみで適応できることなどの強みがある)。
【0050】
各相流量算出部4は、上述の如く、気液二相流量計測部3により得られる測定値、及び、混合液体密度計測部2により得られる測定値を取り込んで、三相流(例えばガス・油・水)の各相流量を算出することができるような構成を有している。各相流量算出部4は、例えば、図示しない制御装置の一部として、又は、気液二相流量計測部3及びコリオリメータ38の各演算部分の組み合わせとして構成することができるものとし、マイクロコンピュータ等の機能で各相流量を算出するようになっている。各相流量算出部4は、混合液体密度から混合液体の混合比を求め、この混合比率と混合液体流量とから混合液体の各流量を算出するようになっている。
【0051】
次に、タービン型流量計による気液二相流の気液の測定方法を説明する(要約であるものとする)。混相状態にある気液は、上流側に設置されているホモジナイザー7により恰も一つの流体のように均質化されてタービンメータ8のタービンロータに流入する。ホモジナイザー7により混合流体の密度は均質化されることから、タービンロータに作用する混合流体の運動量はロータ半径方向に一定となる。タービンロータは、効率よく回転する。ホモジナイザー7の前後に発生する差圧ΔPは、気液の流量QMとこのQMに対する気体の流量QGの占める割合(ガスボイド率β)によって、ΔP∝f(QM)*f(β)として実験的に関数化される。タービンロータの回転数Nは、N∝f(QM)としてあらわされるので、ΔPとNとを測定することによりこれら二つの式からQMとβが求められる。混合流体における液体の流量QLは、QL=QM*(1−β)、混合流体における気体の流量QGは、QG=QM*βとして各々算出される。
【0052】
コリオリメータ38による密度計測に関連した説明をする。ここでは、混合液体を油水混合液と考えている。また、油及び水の各々単相での密度は公知であることを前提にしている。
【0053】
含水率αは、含水率α=(油水の混合密度−油の密度)/(水の密度−油の密度)で算出される。以下、この含水率αの式について具体的に説明をする。水の流量をQW、油の流量をQO、水及び油各々の合算した流量をQL、水の密度をρW、油の密度をρO、水及び油各々の合算した密度をρLとすると、油及び水各々の質量流量と、これらを合算した油水の質量流量は等しくなるので、下記の(1)の式が得られる。
QW*ρW+QO*ρO=QL*ρL…(1)
この(1)式は次のように変形することができる。すなわち、
QO=QL*QWであるので、QW*(ρW−ρO)=QL*(ρL−ρO)が得られる。含水率α=QW/QLであることから、含水率α=(ρL−ρO)/(ρW−ρO)となる。
【0054】
油の流量QO及び水の流量QWは、タービン型流量計による気液二相流の気液の測定方法において説明した混合流体における液体の流量QLに含水率αを乗じて、QO=QL*(1−α)、QW=QL*αから求められる。
【0055】
以上、図1ないし図5を参照しながら説明してきたように、本発明の多相流量計1は、混合液体密度計測部2によって精度の高い密度計測が行われることから、最終的に油の流量QO及び水の流量QWが高い精度で算出される。
【0056】
本発明の多相流量計1における混合液体密度計測部2について補足説明すると、パイプライン(主管)23から三相流の一部を抽出するために、言い換えれば気液を抽出するために、パイプライン(主管)23に設置したオリフィス12の上下流にバイパス的に連結する一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)と、気液抽出タンク14とが用いられる。パイプライン(主管)23にスラグ流等が流れることにより、オリフィス12前後の圧力差が周期的に変化する。これに伴って一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)と気液抽出タンク14とでは、気液の抽出と気体を主とした排出(パイプライン(主管)23への排出)とが同時に行われる。気液抽出タンク14内においては、気液が左右、上下などに強制的に揺さぶられて撹拌され、液体を伴う気体が排出される。これによって気液抽出タンク14内には、液相の比率が高い気液が残ることになる。そして、この液相の比率が高い気液から気体が除去されて混合液体が抽出され、液溜タンク17に溜まるようになる。液溜タンク17からは、コリオリメータ38で必要な分の混合液体が流れ、ホモジナイザー37で混合液体の密度が均質化され、コリオリメータ38では、結果、精度の高い密度計測が行われる。
【0057】
続いて、図6及び図7を参照しながら試験結果について説明をする。試験の仕様としては、タービンメータ8を含むパイプライン(主管)23の口径を50mmとした。また、油水の流量QLを4〜15m3/h、ガスボイド率βを0〜85%、含水率αを5〜30%とした(上記の「m3」を立方メートルの意味で使用する)。図6はコリオリメータ38による油水気中の油水密度の計測結果を示すグラフであり、グラフ中の±3Kg/m3は密度の計測精度±0.3%強に相当する。通常、従来の多相流量システムでは、密度の計測精度は±0.5%より高い精度が要求されることから、本発明においては良好な結果が得られたことになる。図7はコリオリメータ38による油水気中の含水率(水/油)の計測結果を示すグラフであり、含水率αの計測精度は±2.5%という良好な結果が得られたことになる。
【0058】
密度を計測して水分率αを算出する場合、密度計測誤差が拡大することが知られている。混合液体の密度ρL、油の密度ρO、水の密度ρWとし、計測密度の誤差をγρL、水分率の誤差をγαであらわすと、α=(ρL−ρO)/(ρW−ρO)であるから、γα=1/(ρW−ρO)*γρLが得られる。すなわち、γαは、γρLの1/(ρW−ρO)倍だけ拡大する。例えば、水の密度ρW=1g/cm3、油の密度ρO=0.85g/cm3とすると、γα=1/(ρW−ρO)*γρL=1/(1−0.85)*γρL≒7*γρLとなることから、7倍になる。従って、この場合、密度計測を0.5%としても水分率算出は3.5%になる。本願発明では、密度の計測精度±0.3%強に対してこの7倍に近い±2.5%の結果であり、理論的に整合性も取れている。
【0059】
以上、図1ないし図7を参照しながら説明してきたように、本発明は精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計1を提供することができるという効果を奏する。
【0060】
続いて、図8ないし図10を参照しながら本発明の他の一実施の形態を説明する。図8は本発明の一実施の形態を示す多相流量計の構成図、図9は混合液体密度計測部の構成図、図10は気液抽出タンク内での状態を示す説明図である。尚、上述の形態と基本的に同じ構成には同一の符号を付して説明を省略するものとする。
【0061】
図8において本発明の他の一実施の形態となる多相流量計1′は、混合液体密度計測部2′と、気液二相流量計測部3と、各相流量算出部4とを含んで構成されている。混合液体密度計測部2′は、混合液体抽出部5′と、密度計測部6とを備えて構成されている。混合液体抽出部5′は、オリフィス12と、一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)と、気液抽出タンク14と、気液排出管15と、気体排出管16と、液溜タンク17と、液流量調節弁19と、一対の連通管51とを有している。
【0062】
混合液体抽出部5′は、上述の形態の混合液体抽出部5に対して気液抽出タンク14と液溜タンク17との連結方式のみが異なっている。すなわち、図2及び図3で存在する混合液抜出管28、連結管30、液流量調節弁18に替えて気液抽出タンク14と液溜タンク17とが一対の連通管51で繋がれている。混合液体抽出部5′では、一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)及び気液抽出タンク14において生じる、気液の抽出と液体を伴う気体を主とした排出とを多段に行うことを目的としている。混合液体抽出部5′は、一対の連通管とタンクとを多段にすることにより(図中の一対の連通管51と液溜タンク17の部分が二段目とする。尚、三段以上にしても良いものとする)、小さな気泡の分離を達成した混合液体を密度計測部6へ送ることができるようになっている(基本的な作用、効果は上述の形態と同じであるので説明は省略する)。
【0063】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0064】
例えば、混合密度計測部2(混合密度計測部2′)を気液二相流量計測部3の下流側に配置しても良いものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態を示す多相流量計の構成図である。
【図2】混合液体密度計測部の構成図である。
【図3】気液二相流の水平管内における流動様式についての説明図である。
【図4】気液抽出タンク内での状態を示す説明図である。
【図5】気液二相流量計測部の他の例を示す構成図である。
【図6】コリオリメータによる油水気中の油水密度の計測結果を示すグラフである。
【図7】コリオリメータによる油水気中の含水率(水/油)の計測結果を示すグラフである。
【図8】本発明の他の一実施の形態を示す多相流量計の構成図である。
【図9】混合液体密度計測部の構成図である。
【図10】気液抽出タンク内での状態を示す説明図である。
【図11】従来例の多相流れ測定システムの構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 多相流量計
2 混合液体密度計測部
3 気液二相流量計測部
4 各相流量算出部
5 混合液体抽出部
6 密度計測部
7 ホモジナイザー
8 タービンメータ
9 差圧計
10 圧力計
11 温度計
12 オリフィス
13 連通管
13a、13b 気液抽出管又は気液排出管
14 気液抽出タンク
15 気液排出管
16 気体排出管
17 液溜タンク
18、19 液流量調節弁
20 混合液体導入管
21 密度計測部本体
22 気液戻管
23 パイプライン(主管)
24、27、31、33、36 弁
25 撹拌流
26 小さな撹拌流
28 混合液抜出管
29 細管を束ねた構造体
30、32 連結管
34 排出弁
35 副バイパス管
37 ホモジナイザー
38 コリオリメータ
39 混合液体戻管
40 弁
41 クロス弁
42 逆止弁
43 合流部
44 容積流量計
45 ベンチュリ管
46 差圧計
51 連通管
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と二種類の液体とからなる三相流の各相流量を計測する多相流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
深海域等の抗井から産出される石油は油に水やガスを含む混相流(三相流であり、以下、多相流と略記する)を形成していて、これらの相が分離されることなく陸地に高圧移送された後、採油井採取工程を経て分離精製されるようになっている。分離精製された油・ガスは、目的地に向けて送油・送ガスされるとともに、水分は排水処理されるようになっている。採油井採取工程の前の段階において、必要に応じて多相流体は採油井の管理や採取工程ないし出荷管理のために各相の流量計測がなされるようになっている。
【0003】
この各相の流量計測に関しては、従来、例えば密度計と超音波流量計とを利用した相互相関法によるものが下記特許文献1の従来技術の欄に開示されている。この開示技術では、密度計としてγ線式密度計が用いられている。γ線式密度計は高価なものであることが知られている。相互相関法では、γ線式密度計を用いることにより気液二相流の平均密度が測定され、この測定された平均密度からボイド率が求められるようになっている。そして、ボイド率と超音波流量計とで計測された多相流体の体積流量から各々の流量が求められるようになっている。尚、この場合、水分率を計測する要素を更に追加することにより、油及び水の流量を測定することができるようになるが、水分率を計測する要素はγ線式密度計と同様に高価で、且つ、フィールドにおけるキャリブレーションを実施することを前提としているものが多く、更なるコスト高を招くという問題点を有している。
【0004】
この他、多相流の流量計測に関しては、相分離工程(三相分離タンク)を経てガス・油・水等の単相流にしてから、ガス流量と、油及び水の各々の流量とを計測することも知られている(下記特許文献2参照)。しかしながらこの各相流量計測に関しては、相分離のための設備費用が嵩むという問題点を有している。また、設備費用が嵩む他に、設備が大型になって必要な所へ容易に移動させることができないという問題点も有している。
【0005】
ところで、下記特許文献2には密度計等に関する技術が開示されている。この開示技術により考えられることは、γ線式密度計の代わりに下記特許文献2の密度計に関する開示技術を適用することで、上記のコスト高の問題点を解消することができる可能性を有している。下記特許文献2には、流量計及び密度計としてコリオリ質量流量計が用いられている。尚、コリオリ質量流量計は単純にγ線式密度計の代わりに適用できるものでなく、また、下記特許文献2において考えられる問題点もあることから、以下、下記特許文献2の多相流量計の構成や簡単な作用について説明をする。
【0006】
図11において、多相流れ測定システム(多相流量計に相当)100は、渦流分離器104と、この渦流分離器104内に多相流体を放出する流入多相流管102とを備えている。渦流分離器104は、気体を上部の気体測定流管106へ放出するとともに、液体を下部の液体測定流管108へ放出するように構成されている。気体測定流管106と液体測定流管108は、流れ測定が行われた後に放出管路110にて再び合流するようになっている。放出管路110は、販売地点に達する前に三相産出分離器118までのびて、気相、水相、油相の分離を行うことができるように構成されている。
【0007】
多相流れ測定システム100は、産出マニフォールド116を備えている。産出マニフォールド116は、複数の油井又はガス井から多相流体が供給される部分となっている。流入多相流管102は、矢印120の方向に沿って産出マニフォールド116から多相流体を受け取るようになっている。流入多相流管102において、引用符号122はベンチュリ部、124は傾斜増減部、126は渦流分離器104に対しての水平放出要素を示している。
【0008】
水平放出要素126は、渦流分離器104の円筒状の内部分離部へ接線方向に多相流体を放出するように配置されている。水平放出要素126から多相流体が放出されると、この放出によって渦流分離器104内の液体部分128にトルネード効果又はサイクロン効果が生じるといわれている。渦流分離器104内には、水平放出要素126を介して多相流体の全量が放出されるようになっている。
【0009】
液体部分128は、分離された水相、油相、及び同伴する気相を含む主液相になっている。同伴気相は、サイクロン効果から生じる遠心力により液体部分128から分離されるようになっている。尚、同伴気相は、この同伴気相の付加的な重力分離を可能にする比較的低い流量を除いて完全に除去することができない。言い換えれば、流量が高い場合には同伴気相が除去されないことになる。液体部分128は、渦流分離器104から液体測定流管108へ放出されるようになっている。
【0010】
渦流分離器104内部の気体部分132は、油と水のミストと共に気体を含む主気相になっている。渦流分離器104には、ミストの部分的な凝縮が生じるようなミスト収集スクリーン134が設けられている。気体部分132は、気体測定流管106へ放出されるようになっている。
【0011】
気体測定流管106には、コリオリ質量流量計154が設けられている。このコリオリ質量流量計154は、気体測定流管106内部の多相流体の気体部分132から質量流量及び密度の測定値を提供するようになっている。コリオリ質量流量計154は、流量送信器156に接続されており、測定値を表す信号が制御装置112に対して出力されるようになっている。気体測定流管106には、逆止弁160が設けられている。逆止弁160は、矢印162方向における確実な流れを保証して、これにより液体部分128が気体測定流管106へ浸入することを阻止するようになっている。
【0012】
液体測定流管108には、静止型ミキサ164が設けられている。また、この静止型ミキサ164の後方には、コリオリ質量流量計166と含水モニタ172とが設けられている。コリオリ質量流量計166は、液体測定流管108内部の液体部分128から質量流量及び密度の測定値を提供するようになっている。コリオリ質量流量計166は、流量送信器168に接続されており、測定値を表す信号が制御装置112に対して出力されるようになっている。含水モニタ172は、液体測定流管108内部の液体部分128の含水率を測定するようになっている。含水モニタ172は、制御装置112に接続されている。
【0013】
液体測定流管108には、逆止弁178が設けられている。逆止弁178は、矢印180方向における確実な流れを保証して、これにより気体部分132が液体測定流管108へ浸入することを阻止するようになっている。引用符号150及び174は、制御装置112により開閉制御される弁を示している。
【0014】
産出マニフォールド116は、経路190を介して制御される弁182、184を有している。弁182、184は、一つの油井186或いは組み合わせ(例えば油井186とガス井188)からの多相流体をレール192へ流して流入多相流管102へ流体を分配するように選択的に構成されている。尚、他の弁は、バイパス管194を通って流すことにより多相流れ測定システム100をバイパスするように選択的に構成されている。
【0015】
引用符号196、197は手動の弁を示している。この弁196、197の内側にあるバイパス管路198は、弁199が開き且つ弁150、174が閉じられる時に、流れが多相流れ測定システム100をバイパスするようになっている。以上が多相流れ測定システム100に関する説明である。
【0016】
下記特許文献3には、液体と気体の二相流体の流量等を計測する従来技術が開示されている。具体的には、液体と気体の二相流体の流量を、液体と気体の混相流(混合液体)の状態のままで計測するタービン型流量計の技術が開示されている。タービン型流量計は、上記超音波流量計と同様の機能を有しており、この代わりとすることが可能である。タービン型流量計は、単純な構造で、耐久性に優れた機器によって安価に計測をすることができるという効果を奏することが知られている。尚、タービン型流量計や超音波流量計の他には、オリフィス流量計も知られている。
【特許文献1】特開2001−165741号公報
【特許文献2】特表2003−513234号公報
【特許文献3】特開平8−201130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上記従来技術の多相流れ測定システム100にあっては、気相と液相とを分離する渦流分離器104及びこの周辺構成に問題点があり、単純にγ線式密度計の代わりに適用できるものでないことを本願発明者は見出している。すなわち、多相流れ測定システム100にあっては、レール192を介して多相流体の全量が渦流分離器104内に放出される構成であるが、多相流体の全量が渦流分離器104内に放出されるということは、多くの気泡が液体部分128に含まれた状態で渦を巻くことになる。
【0018】
本願発明者が考えるには、渦流分離器104のサイクロン効果のみであると、比較的小さな気泡が渦に巻き込まれて液体測定流管108内部に流れ込んでしまい(気泡同士のぶつかりが生じて気泡が大きく成長すれば気液の分離は進行する。しかしながら、分離器内部で生じる自由渦は中心付近程回転比が高く相対的に中心付近の圧力が低下して小さな気泡群は液体測定流管108側へ吸い込まれてしまう可能性が生じる。これは重力分離ができない場合に特に顕著となる。)、小さな気泡を多く含んだ状態で液体測定流管108内部の液体部分128はコリオリ質量流量計166によって密度計測がなされてしまうことになる。小さな気泡を多く含んだ状態での密度計測は、この計測値が気泡を含まない状態の値と異なることから、誤差が発生してしまうことになる。従って、後の流量の算出に影響を来してしまうことになる。
【0019】
γ線式密度計の代わりに特許文献2の密度計に関する開示技術を適用することは、流量の算出に影響を来してしまうことになる。
【0020】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の多相流量計は、気体と二種類の液体とからなる三相流における気液二相流の各相流量を計測する気液二相流量計測部と、前記気液二相流における液相としての混合液体の混合密度を計測する混合液体密度計測部と、前記混合密度から前記混合液体の混合比率を求め該混合比率と混合液体流量とから前記混合液体の各流量を算出する各相流量算出部とを備え、前記混合液体密度計測部は、混合液体抽出部と、該混合液体抽出部に連結する密度計測部とを含み、前記混合液体抽出部は、前記三相流を流すパイプラインに設ける差圧発生器と、該差圧発生器の上流下流に連結する一対の連通管と、該一対の連通管に連結して前記三相流の一部を取り込む場所となるとともに前記差圧発生器前後の圧力変化を利用して前記三相流の一部を強制的に撹拌させる場所となる気液抽出タンクと、該気液抽出タンクに連結して液相を含む気体を排出する気液排出管と、前記気液抽出タンクに連結して少なくとも前記密度計測部で必要とする密度計測用の混合液体を取り込みこれを溜める液溜タンクと、該液溜タンクの少なくとも下流側に設ける液流量調節弁とを有し、前記密度計測部は、前記密度計測用の混合液体を用いて密度計測をする密度計測部本体と、該密度計測部本体及び前記パイプラインに連結する気液戻管とを有することを特徴としている。
【0022】
このような特徴を有する本発明によれば、気液抽出タンクに取り込まれた三相流の一部がオリフィス(差圧発生機器)前後の圧力変化によって強制的に撹拌されるような状態になる。すなわち、取り込まれた三相流の一部は、左右、上下などに強制的に揺さぶられて撹拌される。この時、混合液体中に含まれる気泡は、気泡同士のぶつかり合いによって大きな気泡へと成長し、混合液体から気相側へと分離する。強制的な撹拌作用により小さな気泡であっても容易に混合液体から気相側へ分離する。
【0023】
本発明によれば、液溜タンクには、気泡の分離がなされた混合液体が液流量調節弁の調節によって溜まる。この液溜タンクに溜まった混合液体は、密度計測に用いられる。気泡の分離がなされた混合液体で密度計測がなされることから、精度の高い測定値が提供される。
【0024】
本発明によれば、液溜タンクは、少なくとも密度計測部で必要とする混合液体を取り込みこれを溜めることができれば良く、このため気液抽出タンクでは取り込んだ三相流の一部の全てを気液分離する必要性はない。気液抽出タンクでは、密度計測部で必要とする混合液体を液溜タンクへ流すことができる分だけ気体の除去が行えれば十分である。
【0025】
本発明によれば、液相の密度を計測するために三相流の全量でなく三相流の一部が気液抽出タンクに取り込まれる。取り込みが三相流の全量でないことから混合密度計測部の大きさを小さくすることが可能になり、結果、多相流量計の全体を小型化することが可能になる。
【0026】
請求項2記載の本発明の多相流量計は、請求項1に記載の多相流量計において、前記気液二相流はスラグ流である、或いは気泡流又はせん状流であることを特徴としている。
【0027】
このような特徴を有する本発明によれば、抗井から産出される油・水・ガスの混相流(三相流)における気液二相流の代表的なものがスラグ流、気泡流又はせん状流であり、これらが流れると混合液体密度計測部におけるオリフィス前後の圧力変化がより大きく顕著となる。
【0028】
請求項3記載の本発明の多相流量計は、請求項1又は請求項2に記載の多相流量計において、前記混合液体密度計測部、又は、前記混合液体密度計測部及び前記気液二相流量計測部は、前記パイプラインに対して着脱自在であることを特徴としている。
【0029】
このような特徴を有する本発明によれば、必要な箇所に移動させることにより、例えば採油井の管理や採取工程ないし出荷管理のための流量計測を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す多相流量計の構成図である。また、図2は混合液体密度計測部の構成図、図3は気液二相流の水平管内における流動様式についての説明図、図4は気液抽出タンク内での状態を示す説明図、図5は気液二相流量計測部の他の例を示す構成図、図6はコリオリメータによる油水気中の油水密度の計測結果を示すグラフ、図7はコリオリメータによる油水気中の含水率(水/油)の計測結果を示すグラフである。
【0032】
図1において、本発明の多相流量計1は、混合液体密度計測部2と、気液二相流量計測部3と、各相流量算出部4とを含んで構成されている。このような構成の多相流量計1における混合液体密度計測部2は、混合液体抽出部5と、密度計測部6とを備えて構成されている。気液二相流量計測部3は、気体と二種類の液体とからなる三相流(例えばガス・油・水)における気液二相流の各相流量を計測することが可能な構成を有しており、特に限定するものでないが、本形態においてはタービン型気液二相流流量計が用いられている(例えば、背景技術の欄の特許文献3に開示されたタービン型流量計などが好適である)。気液二相流量計測部3は、ホモジナイザー7と、タービンメータ8と、差圧計9と、圧力計10と、温度計11とを備えて構成されている。気液二相流量計測部3により得られる測定値は、各相流量算出部4に取り込まれ、また、混合液体密度計測部2により得られる測定値も各相流量算出部4に取り込まれ、ここでガス・油・水の各相流量が算出されるようになっている。
【0033】
本発明の多相流量計1は、例えば公知のタービン型気液二相流流量計に混合液体密度計測部2を組み合わせる構成であるが、この混合液体密度計測部2を組み合わせることによって格段に精度の高い流量計測をすることが可能な多相流量計を提供することができるようになる。また、混合液体密度計測部2は、後述するが液相(混合液体)の密度を計測するために三相流の全量でなく三相流の一部を取り込む構成である。従って、コンパクトにすることが可能な多相流量計を提供することができるようになる。以下、図1ないし図7を参照しながら本発明の多相流量計1の各構成及び作用について説明する。
【0034】
混合液体密度計測部2は、上記の如く、混合液体抽出部5と、密度計測部6とを備えて構成されている。混合液体抽出部5は、オリフィス12と、連通管13と、気液抽出タンク14と、気液排出管15と、気体排出管16と、液溜タンク17と、液流量調節弁18、19とを有している。また、密度計測部6は、混合液体導入管20と、密度計測部本体21と、気液戻管22とを有している。混合液体密度計測部2は、混合液体抽出部5と密度計測部6とが連結して構成されるものであり、パイプライン(主管)23に対して着脱自在となる構造を有している(パイプライン(主管)23は、例えば混合液体密度計測部2の部分と気液二相流量計測部3の部分とで分離することができる構造になっている)。混合液体密度計測部2は、密度計測部6により得られる測定値が各相流量算出部4に取り込まれるようになっている。
【0035】
オリフィス12は、差圧発生機器であってパイプライン(主管)23に対して取り付けられている。パイプライン(主管)23には、三相流が流れるようになっている。三相流は、気体(ガス)と二種類の液体(例えば油・水)とからなるものである。この三相流における気液二相流は、特に限定するものでないが、本形態においてはスラグ流、気泡流又はせん状流を想定している。
【0036】
尚、ここで、気液二相流の水平管内における流動様式について簡単に説明する。気液二相流は、気液各々の流速の組み合わせによって様々な流動様式をとることが知られている。これらの流動様式を図3に示す。図3(a)は成層流、(b)は波状流、(c)は環状流、(d)は気泡流又はせん状流、(e)はスラグ流、(f)は(c)と異なる環状流、(g)は気泡流、(h)は環状噴霧流で、パイプラインの流動状態は一般的に(d)又は(c)であることが多いといわれている。
【0037】
スラグ流は、図3(e)に示す如く、気泡を含んだ液相と、気体及び液体が上下の層に分離してなる相とを有し、これら二つの相が交互に現れるような流れとなっている。このようなスラグ流がオリフィス12を通過することにより生じる差圧ΔPは、前者の相が大きく、後者の相では小さくなるようになっている。ここで特に図示はしないが、差圧ΔPの大きさの変動を測定した結果、前者の相と後者の相とで3.5倍ものひらきがあることつかんでいる。すなわち、スラグ流によってオリフィス12前後の差圧ΔPが周期的に大きく変化することになる。また、オリフィス12前後の差圧ΔPが短時間(約3秒。但しこの時間に限定されないものとする)で大きく変化することもつかんでいる。
【0038】
連通管13は、パイプライン(主管)23に連結して三相流の一部を流す管であって、一端がオリフィス12の上流側に連結する気液抽出管又は気液排出管13aと、オリフィス12の下流側に連結する気液抽出管又は気液排出管13bとの二つで構成されている(上流側のみでも可能である。二つで構成することが好ましい)。連通管13は、気液抽出管又は気液排出管13a、13bで構成されることから対をなしており、図中では所定の長さで平行となるように、また、パイプライン(主管)23から下方へのびるように配置形成されている。尚、一対で構成される連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)の各中間に弁24を設け、この弁24の開閉を自動制御するようにすれば、任意の時間帯で計測を行うことができるようになる。本形態では、弁24は全開であり、パイプライン(主管)23に三相流が流れている間は計測が続けられているものとする。
【0039】
気液抽出タンク14は、所望の容積(例えば約1L:以下、「L」をリットルの意味で使用する)の内部空間を有する容器であって、一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)の各他端が連結するようになっている。図2及び図4(図4は模式的に図示しているものとする)において、気液抽出タンク14に三相流の一部が取り込まれ、ある程度溜まった状態になると、気液抽出タンク14の内部では次のような作用が生じることになる。すなわち、オリフィス12前後の差圧ΔPが短時間で大きく変化することから、上流側の気液抽出管又は気液排出管13aから取り込まれる三相流の一部(単に気液と略記する場合もあるものとする)の抽出流量は変動する。特に気液中の大きな気泡は、恰も鉄砲から打ち出された空砲のように気液抽出タンク14内に噴出し、気液抽出タンク14内全体に大きな撹拌流を生じさせる。気液抽出タンク14内で発生する撹拌流25は、小さな気泡同士を結合させて大きな気泡へと成長させ、そして、気体の分離を促進させるとともに、気液抽出タンク14内の上部に気泡を集め、液体を伴った状態で下流側の気液抽出管又は気液排出管13bに押し込んでパイプライン(主管)23に排出する作用を生じさせる。
【0040】
下流側の気液抽出管又は気液排出管13bは、主として液体を伴った気体の排出を行っているが、オリフィス12前後の差圧ΔPの変動により、オリフィス12の下流側の圧力が高い時で気液抽出タンク14内の圧力が下がった時に、下流側の気液抽出管又は気液排出管13bから気液抽出タンク14内へ気液が送出され、全体の撹拌流25に対し局所的に小さな撹拌流26が形成される。小さな撹拌流26は、全体的な撹拌流25と同様、気体の分離に寄与する。小さな撹拌流26が発生した時には、下流側の気液抽出管又は気液排出管13b内で逆流が生じていることから、この下流側の気液抽出管又は気液排出管13bから気液の排出は行われないが、下流側の気液抽出管又は気液排出管13bの連結近傍では小さな撹拌流26が発生するため、分離された気体がこの後に排出され易くなっている。以上の説明は、連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)を対で構成することにより得られる効果である。
【0041】
気液抽出タンク14内の上部に存在する気体の排出について説明すると、大きな撹拌流25などによって分離された気泡は気液抽出タンク14内の上部に集まり、弁27及び気液排出管15を介して液体を伴う状態で排出される。本形態での排出先は、密度計測部6の気液戻管22に設けられる後述のクロス弁41となっている(一例であるものとする)。
【0042】
気液抽出タンク14の下部には、混合液抜出管28が設けられている。この混合液抜出管28は、口径40mm程度で気液抽出タンク14の下部に直立する管であって、例えば約100mmの長さとなるように形成されている。混合液抜出管28は、この内部に長さ方向の2/3程度となる、細管を束ねた構造体29が備えられている。細管を束ねた構造体29は、例えば細管の内径を2mm程度として細管同士が外接するように束ねられている。細管を束ねた構造体29は、円筒状(円柱状)に組み合わせられて混合液抜出管28の内部に挿入設置されるようになっている(混合液抜出管28の口径を40mmで設定した場合には、90本程度の細管数になる)。細管を束ねた構造体29は、気液抽出タンク14内の気泡が液溜タンク17へ流れないようにすることを目的として備えられている(気泡が液溜タンク17へ流れなければ設置不要である。本形態では安全策として設置している。設置不要の例としては、ガスボイド率が低い場合が挙げられる)。混合液抜出管28の部分はフィルタとしての機能を有している。尚、上記の細管は、プレートに小孔をあけたものに置き換えることが可能であるものとする。
【0043】
液流量調節弁18は、気液抽出タンク14と液溜タンク17とを連結する連結管30の中間に設けられている。液流量調節弁18は、例えば混合液体の流量が2〜6L/min程度となるように開度が調節されている。液流量調節弁18は、適量の混合液体を液溜タンク17へ供給するために設けられている。
【0044】
液溜タンク17には、気液抽出タンク14側で気体の除去がなされた混合液体が流れ込むようになっている。液溜タンク17は、混合液体が一旦溜まるような容器として形成されている(容積は例えば0.5Lとする)。液溜タンク17は、混合液体が例えば約1分程度滞留するような構造になっている。液溜タンク17は、内部の気体が抜けきらない場合や、混合液体に極微小な気泡が含まれている場合を想定して、気体や気泡を弁31及び気体排出管16を介して後述のクロス弁41へ排出することができるようになっている。液溜タンク17は、本形態において、少なくとも密度計測部6で必要とする密度計測用の混合液体を取り込みこれを溜めることができるような構造になっている。
【0045】
液流量調節弁19は、液溜タンク17と密度計測部6の混合液体導入管20とを連結する連結管32の中間に設けられている。液流量調節弁19は、混合液体の流量が適量となるように開度が調節されている。具体的な例としては、密度計測部6の密度計測部本体21における後述のコリオリメータ38内を通過する時間が例えば10〜30秒程度となるように開度が調節されている(口径25mmのコリオリメータ38を使用した場合には、0.5〜1.5L/min程度)。液流量調節弁19の位置では、混合液体のみ(例えば油・水)が密度計測部6へ流れるようになっている。
【0046】
連結細管32が連結する密度計測部6の混合液体導入管20には、弁33と排出弁34とが設けられている。また、混合液体導入管20に一端が連結して密度計測部本体21を迂回し他端が気液戻管22に連結する副バイパス管35にも弁36が設けられている。本形態において、弁33は全開であり、排出弁34と弁36は全閉となっている。弁33は、密度計測部本体21側に設けられている。
【0047】
密度計測部本体21は、本形態において、ホモジナイザー37と、コリオリメータ38と、混合液体戻管39とを備えて構成されている。ホモジナイザー37は、混合液体を均質化して混合液体密度を均一にするために設けられている。ホモジナイザー37は、コリオリメータ38の上流に設けられている。ホモジナイザー37は、コリオリメータ38の近傍に設けられてコリオリメータ38による混合密度の計測をより確かなものにするようになっている。尚、コリオリメータ38は、公知のコリオリ質量流量計において密度計測をすることができる構成を備えていれば良いものとする(又はこれと同様の原理で密度計測することができるものでも可)。本形態においては、公知のコリオリ質量流量計がコリオリメータ38として用いられている。コリオリメータ38は、これによる密度計測が混合液体の流速に依存しない(測定は内蔵するチューブに充満した混合液体を振動させて行う)ことから、少ない流量で計測することが可能である。
【0048】
気液戻管22には、コリオリメータ38側から順に、弁40、クロス弁41、逆止弁42が設けられている。弁40は、全開となっている。クロス弁41及び逆止弁42は、公知のものが用いられており、作用等の説明は省略するものとする。気液戻管22は、混合液体抽出部5のオリフィス12の下流側でパイプライン(主管)23に接続されている(引用符号43は合流部を示している)。
【0049】
気液二相流量計測部3は、上述の如く、ホモジナイザー7と、タービンメータ8と、差圧計9と、圧力計10と、温度計11とを備えて構成されている。このような構成の気液二相流量計測部3は、背景技術の欄の特許文献3に開示されたタービン型流量計(特開平8−201130号公報)と同じであるので、ここでは構成の具体的な説明は省略するものとする(測定方法については後述する)。尚、気液二相流量計測部3は、図5に示す、容積流量計44、ベンチュリ管45、差圧計46等とを備えたもので構成しても良いものとする。本形態でタービン型流量計を採用している理由は(上記公報のタービン型流量計に限らない)、タービン型流量計が、気液二相流を混相流の状態のままで、全体積流量、気液体積流量比を同時に効率よく求めることができるからである。また、タービン型流量計は、コスト及び取り扱いに優れているからである(この他、一般的な工業計器を用いること、油田などの高圧仕様に対してフランジ規格対応のみで適応できることなどの強みがある)。
【0050】
各相流量算出部4は、上述の如く、気液二相流量計測部3により得られる測定値、及び、混合液体密度計測部2により得られる測定値を取り込んで、三相流(例えばガス・油・水)の各相流量を算出することができるような構成を有している。各相流量算出部4は、例えば、図示しない制御装置の一部として、又は、気液二相流量計測部3及びコリオリメータ38の各演算部分の組み合わせとして構成することができるものとし、マイクロコンピュータ等の機能で各相流量を算出するようになっている。各相流量算出部4は、混合液体密度から混合液体の混合比を求め、この混合比率と混合液体流量とから混合液体の各流量を算出するようになっている。
【0051】
次に、タービン型流量計による気液二相流の気液の測定方法を説明する(要約であるものとする)。混相状態にある気液は、上流側に設置されているホモジナイザー7により恰も一つの流体のように均質化されてタービンメータ8のタービンロータに流入する。ホモジナイザー7により混合流体の密度は均質化されることから、タービンロータに作用する混合流体の運動量はロータ半径方向に一定となる。タービンロータは、効率よく回転する。ホモジナイザー7の前後に発生する差圧ΔPは、気液の流量QMとこのQMに対する気体の流量QGの占める割合(ガスボイド率β)によって、ΔP∝f(QM)*f(β)として実験的に関数化される。タービンロータの回転数Nは、N∝f(QM)としてあらわされるので、ΔPとNとを測定することによりこれら二つの式からQMとβが求められる。混合流体における液体の流量QLは、QL=QM*(1−β)、混合流体における気体の流量QGは、QG=QM*βとして各々算出される。
【0052】
コリオリメータ38による密度計測に関連した説明をする。ここでは、混合液体を油水混合液と考えている。また、油及び水の各々単相での密度は公知であることを前提にしている。
【0053】
含水率αは、含水率α=(油水の混合密度−油の密度)/(水の密度−油の密度)で算出される。以下、この含水率αの式について具体的に説明をする。水の流量をQW、油の流量をQO、水及び油各々の合算した流量をQL、水の密度をρW、油の密度をρO、水及び油各々の合算した密度をρLとすると、油及び水各々の質量流量と、これらを合算した油水の質量流量は等しくなるので、下記の(1)の式が得られる。
QW*ρW+QO*ρO=QL*ρL…(1)
この(1)式は次のように変形することができる。すなわち、
QO=QL*QWであるので、QW*(ρW−ρO)=QL*(ρL−ρO)が得られる。含水率α=QW/QLであることから、含水率α=(ρL−ρO)/(ρW−ρO)となる。
【0054】
油の流量QO及び水の流量QWは、タービン型流量計による気液二相流の気液の測定方法において説明した混合流体における液体の流量QLに含水率αを乗じて、QO=QL*(1−α)、QW=QL*αから求められる。
【0055】
以上、図1ないし図5を参照しながら説明してきたように、本発明の多相流量計1は、混合液体密度計測部2によって精度の高い密度計測が行われることから、最終的に油の流量QO及び水の流量QWが高い精度で算出される。
【0056】
本発明の多相流量計1における混合液体密度計測部2について補足説明すると、パイプライン(主管)23から三相流の一部を抽出するために、言い換えれば気液を抽出するために、パイプライン(主管)23に設置したオリフィス12の上下流にバイパス的に連結する一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)と、気液抽出タンク14とが用いられる。パイプライン(主管)23にスラグ流等が流れることにより、オリフィス12前後の圧力差が周期的に変化する。これに伴って一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)と気液抽出タンク14とでは、気液の抽出と気体を主とした排出(パイプライン(主管)23への排出)とが同時に行われる。気液抽出タンク14内においては、気液が左右、上下などに強制的に揺さぶられて撹拌され、液体を伴う気体が排出される。これによって気液抽出タンク14内には、液相の比率が高い気液が残ることになる。そして、この液相の比率が高い気液から気体が除去されて混合液体が抽出され、液溜タンク17に溜まるようになる。液溜タンク17からは、コリオリメータ38で必要な分の混合液体が流れ、ホモジナイザー37で混合液体の密度が均質化され、コリオリメータ38では、結果、精度の高い密度計測が行われる。
【0057】
続いて、図6及び図7を参照しながら試験結果について説明をする。試験の仕様としては、タービンメータ8を含むパイプライン(主管)23の口径を50mmとした。また、油水の流量QLを4〜15m3/h、ガスボイド率βを0〜85%、含水率αを5〜30%とした(上記の「m3」を立方メートルの意味で使用する)。図6はコリオリメータ38による油水気中の油水密度の計測結果を示すグラフであり、グラフ中の±3Kg/m3は密度の計測精度±0.3%強に相当する。通常、従来の多相流量システムでは、密度の計測精度は±0.5%より高い精度が要求されることから、本発明においては良好な結果が得られたことになる。図7はコリオリメータ38による油水気中の含水率(水/油)の計測結果を示すグラフであり、含水率αの計測精度は±2.5%という良好な結果が得られたことになる。
【0058】
密度を計測して水分率αを算出する場合、密度計測誤差が拡大することが知られている。混合液体の密度ρL、油の密度ρO、水の密度ρWとし、計測密度の誤差をγρL、水分率の誤差をγαであらわすと、α=(ρL−ρO)/(ρW−ρO)であるから、γα=1/(ρW−ρO)*γρLが得られる。すなわち、γαは、γρLの1/(ρW−ρO)倍だけ拡大する。例えば、水の密度ρW=1g/cm3、油の密度ρO=0.85g/cm3とすると、γα=1/(ρW−ρO)*γρL=1/(1−0.85)*γρL≒7*γρLとなることから、7倍になる。従って、この場合、密度計測を0.5%としても水分率算出は3.5%になる。本願発明では、密度の計測精度±0.3%強に対してこの7倍に近い±2.5%の結果であり、理論的に整合性も取れている。
【0059】
以上、図1ないし図7を参照しながら説明してきたように、本発明は精度良く流量計測をすることが可能な多相流量計1を提供することができるという効果を奏する。
【0060】
続いて、図8ないし図10を参照しながら本発明の他の一実施の形態を説明する。図8は本発明の一実施の形態を示す多相流量計の構成図、図9は混合液体密度計測部の構成図、図10は気液抽出タンク内での状態を示す説明図である。尚、上述の形態と基本的に同じ構成には同一の符号を付して説明を省略するものとする。
【0061】
図8において本発明の他の一実施の形態となる多相流量計1′は、混合液体密度計測部2′と、気液二相流量計測部3と、各相流量算出部4とを含んで構成されている。混合液体密度計測部2′は、混合液体抽出部5′と、密度計測部6とを備えて構成されている。混合液体抽出部5′は、オリフィス12と、一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)と、気液抽出タンク14と、気液排出管15と、気体排出管16と、液溜タンク17と、液流量調節弁19と、一対の連通管51とを有している。
【0062】
混合液体抽出部5′は、上述の形態の混合液体抽出部5に対して気液抽出タンク14と液溜タンク17との連結方式のみが異なっている。すなわち、図2及び図3で存在する混合液抜出管28、連結管30、液流量調節弁18に替えて気液抽出タンク14と液溜タンク17とが一対の連通管51で繋がれている。混合液体抽出部5′では、一対の連通管13(気液抽出管又は気液排出管13a、13b)及び気液抽出タンク14において生じる、気液の抽出と液体を伴う気体を主とした排出とを多段に行うことを目的としている。混合液体抽出部5′は、一対の連通管とタンクとを多段にすることにより(図中の一対の連通管51と液溜タンク17の部分が二段目とする。尚、三段以上にしても良いものとする)、小さな気泡の分離を達成した混合液体を密度計測部6へ送ることができるようになっている(基本的な作用、効果は上述の形態と同じであるので説明は省略する)。
【0063】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0064】
例えば、混合密度計測部2(混合密度計測部2′)を気液二相流量計測部3の下流側に配置しても良いものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態を示す多相流量計の構成図である。
【図2】混合液体密度計測部の構成図である。
【図3】気液二相流の水平管内における流動様式についての説明図である。
【図4】気液抽出タンク内での状態を示す説明図である。
【図5】気液二相流量計測部の他の例を示す構成図である。
【図6】コリオリメータによる油水気中の油水密度の計測結果を示すグラフである。
【図7】コリオリメータによる油水気中の含水率(水/油)の計測結果を示すグラフである。
【図8】本発明の他の一実施の形態を示す多相流量計の構成図である。
【図9】混合液体密度計測部の構成図である。
【図10】気液抽出タンク内での状態を示す説明図である。
【図11】従来例の多相流れ測定システムの構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 多相流量計
2 混合液体密度計測部
3 気液二相流量計測部
4 各相流量算出部
5 混合液体抽出部
6 密度計測部
7 ホモジナイザー
8 タービンメータ
9 差圧計
10 圧力計
11 温度計
12 オリフィス
13 連通管
13a、13b 気液抽出管又は気液排出管
14 気液抽出タンク
15 気液排出管
16 気体排出管
17 液溜タンク
18、19 液流量調節弁
20 混合液体導入管
21 密度計測部本体
22 気液戻管
23 パイプライン(主管)
24、27、31、33、36 弁
25 撹拌流
26 小さな撹拌流
28 混合液抜出管
29 細管を束ねた構造体
30、32 連結管
34 排出弁
35 副バイパス管
37 ホモジナイザー
38 コリオリメータ
39 混合液体戻管
40 弁
41 クロス弁
42 逆止弁
43 合流部
44 容積流量計
45 ベンチュリ管
46 差圧計
51 連通管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と二種類の液体とからなる三相流における気液二相流の各相流量を計測する気液二相流量計測部と、前記気液二相流における液相としての混合液体の混合密度を計測する混合液体密度計測部と、前記混合密度から前記混合液体の混合比率を求め該混合比率と混合液体流量とから前記混合液体の各流量を算出する各相流量算出部とを備え、
前記混合液体密度計測部は、混合液体抽出部と、該混合液体抽出部に連結する密度計測部とを含み、
前記混合液体抽出部は、前記三相流を流すパイプラインに設ける差圧発生器と、該差圧発生器の上流下流に連結する一対の連通管と、該一対の連通管に連結して前記三相流の一部を取り込む場所となるとともに前記差圧発生器前後の圧力変化を利用して前記三相流の一部を強制的に撹拌させる場所となる気液抽出タンクと、該気液抽出タンクに連結して液相を含む気体を排出する気液排出管と、前記気液抽出タンクに連結して少なくとも前記密度計測部で必要とする密度計測用の混合液体を取り込みこれを溜める液溜タンクと、該液溜タンクの少なくとも下流側に設ける液流量調節弁とを有し、
前記密度計測部は、前記密度計測用の混合液体を用いて密度計測をする密度計測部本体と、該密度計測部本体及び前記パイプラインに連結する気液戻管とを有する
ことを特徴とする多相流量計。
【請求項2】
請求項1に記載の多相流量計において、
前記気液二相流はスラグ流である、或いは気泡流又はせん状流である
ことを特徴とする多相流量計。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の多相流量計において、
前記混合液体密度計測部、又は、前記混合液体密度計測部及び前記気液二相流量計測部は、前記パイプラインに対して着脱自在である
ことを特徴とする多相流量計。
【請求項1】
気体と二種類の液体とからなる三相流における気液二相流の各相流量を計測する気液二相流量計測部と、前記気液二相流における液相としての混合液体の混合密度を計測する混合液体密度計測部と、前記混合密度から前記混合液体の混合比率を求め該混合比率と混合液体流量とから前記混合液体の各流量を算出する各相流量算出部とを備え、
前記混合液体密度計測部は、混合液体抽出部と、該混合液体抽出部に連結する密度計測部とを含み、
前記混合液体抽出部は、前記三相流を流すパイプラインに設ける差圧発生器と、該差圧発生器の上流下流に連結する一対の連通管と、該一対の連通管に連結して前記三相流の一部を取り込む場所となるとともに前記差圧発生器前後の圧力変化を利用して前記三相流の一部を強制的に撹拌させる場所となる気液抽出タンクと、該気液抽出タンクに連結して液相を含む気体を排出する気液排出管と、前記気液抽出タンクに連結して少なくとも前記密度計測部で必要とする密度計測用の混合液体を取り込みこれを溜める液溜タンクと、該液溜タンクの少なくとも下流側に設ける液流量調節弁とを有し、
前記密度計測部は、前記密度計測用の混合液体を用いて密度計測をする密度計測部本体と、該密度計測部本体及び前記パイプラインに連結する気液戻管とを有する
ことを特徴とする多相流量計。
【請求項2】
請求項1に記載の多相流量計において、
前記気液二相流はスラグ流である、或いは気泡流又はせん状流である
ことを特徴とする多相流量計。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の多相流量計において、
前記混合液体密度計測部、又は、前記混合液体密度計測部及び前記気液二相流量計測部は、前記パイプラインに対して着脱自在である
ことを特徴とする多相流量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−107298(P2008−107298A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292835(P2006−292835)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】
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