説明

多芯筆記具用レフィル

【課題】軸筒に収容する前におけるインキ色の識別が容易となる多芯筆記具用レフィルを提供する。
【解決手段】多芯筆記具用レフィルは、使用時に軸筒6内に複数本収容され、各々の後端に連結した操作体4を軸筒6の側壁より突出させ、前記操作体4を前方にスライド操作することにより軸筒6の前端からペン先を出没させる。軸筒6内に収容される前の状態において、前端にボールが回転可能に抱持されたボールペンチップ1(ペン先)と、該ボールペンチップ1が前端に固着され且つ内部にインキが収容されたインキ収容管3と、該インキ収容管3の後端に連結され且つインキ収容管3内のインキの色に着色された操作体4(インキ色表示部)とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多芯筆記具用レフィルに関する。詳細には、使用時に軸筒内に複数本が収容され、各々の後端に連結した操作体を軸筒の側壁より突出させ、前記操作体を前方にスライド操作することにより軸筒の前端からペン先を出没させる多芯筆記具用レフィルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多芯筆記具用レフィルは交換可能であることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−11583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の多芯筆記具用レフィルは、軸筒内に収容する前の状態(即ち軸筒の外部に存在する状態)において、後端には操作体は連結されておらず、インキ色の識別は、ペン先またはペン先保持部材のインキ色に着色された部分により行われる。前記ペン先またはペン先保持部材のインキ色に着色された部分は、比較的小さいため、確実なインキ色の識別がなし得ないおそれがある。そのため、前記従来の多芯筆記具用レフィルは、ユーザーがレフィルを店頭で購入する時またはユーザーが新たなレフィルを軸筒内に収容する時、所望するインキ色と異なるレフィルを選択してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、軸筒に収容する前におけるインキ色の識別が容易となる多芯筆記具用レフィルを提供しようとするものである。尚、本発明において、「前」とはペン先側を指し、「後」とは反対側を指す。また、本発明において、インキ色とは、インキ収容管内に収容されるインキの色をいう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、使用時に軸筒6内に複数本収容され、各々の後端に連結した操作体4を軸筒6の側壁より突出させ、前記操作体4を前方にスライド操作することにより軸筒6の前端からペン先を出没させる多芯筆記具用レフィルであって、軸筒6内に収容される前の状態において、前端にボールが回転可能に抱持されたボールペンチップ2(ペン先)と、該ボールペンチップ2が前端に固着され且つ内部にインキが収容されたインキ収容管3と、該インキ収容管3の後端に連結され且つインキ収容管3内のインキの色に着色された操作体4(インキ色表示部)とからなること(請求項1)を要件とする。
【0007】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項1)は、軸方向後方に比較的大きく突出された操作体4(即ちインキ色表示部)を、外部より視認することによって、インキ収容管3内のインキの色の識別が容易となり、比較的離れた位置からでも識別が可能となる。その結果、ユーザーが、多芯筆記具用レフィル1を店頭で購入する時、新たな多芯筆記具用レフィル1を軸筒6内に収容する時のいずれの場合でも、所望するインキ色と異なる多芯筆記具用レフィル1を選択してしまうおそれがない。
【0008】
[2]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記操作体4が、小径部42と該小径部42より径方向寸法の大きい大径部41とを備えること(請求項2)が好ましい。
【0009】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項2)は、前記大径部41に大面積のインキ色表示部を構成でき、インキ色の識別が一層容易となる。また、前記多芯筆記具用レフィル1(請求項2)は、インキ収容管3と操作体4とが連結状態で、ユーザーが、軸筒6内から取り出す際及び軸筒6内に挿入する際、操作体4の大径部41を摘みやすく、便利である。尚、前記大径部41は、少なくとも操作体4の1箇所に設ければよいが、操作体4の複数箇所に設けることもできる。
【0010】
[3]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記操作体4が、インキ収容管3の外径より径方向寸法の大きい大径部41を備えること(請求項3)が好ましい。
【0011】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項3)は、前記大径部41に大面積のインキ色表示部を構成でき、インキ色の識別が一層容易となる。また、前記多芯筆記具用レフィル1(請求項3)は、インキ収容管3と操作体4とが連結状態で、ユーザーが、軸筒6内から取り出す際及び軸筒6内に挿入する際、操作体4の大径部41を摘みやすく、便利である。尚、前記大径部41は、少なくとも操作体4の1箇所に設ければよいが、操作体4の複数箇所に設けることが、一層、大面積のインキ色表示部が得られる点で好ましい。
【0012】
[4]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記大径部41が両面に平面部41aを備えた板状であること(請求項4)が好ましい。
【0013】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項4)は、前記平面部41aが大面積のインキ色表示部となり、大面積のインキ色表示部を効率よく形成できる。また、前記多芯筆記具用レフィル1(請求項4)は、複数本を束ねたときに、操作体4同士が接触して後端部が膨らむことがなく、取り扱いが容易となる。尚、前記大径部41は、全体として板状であるならば、前記平面部41aに僅かな突起や段差部を備えてもよい。
【0014】
[5]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記大径部41が操作体4の後部に設けられること(請求項5)が好ましい。
【0015】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項5)は、大径部41がインキ収容管3の後端より後方に突出する旗竿に取り付けた旗のように視覚でき、操作体4(インキ色表示部)の外観性が向上する。また、前記多芯筆記具用レフィル1(請求項5)は、大径部41が操作体4の後部に形成されるため、インキ収容管3と操作体4とが連結状態で、ユーザーが、軸筒6内から取り出す際及び軸筒6内に挿入する際、操作体4の大径部41を、一層、摘みやすく便利である。
【0016】
[6]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記操作体4の面積が最も大きく視認される状態において、前記操作体4の視認面積がインキ収容管3の視認面積の10%以上に設定されること(請求項6)が好ましい。
【0017】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項6)は、より一層、インキ色の識別が確実となる。もし、操作体4の視認面積が、インキ収容管3の視認面積の10%未満の場合、操作体4によるインキ色の識別が困難となる。尚、前記視認面積とは、一定の方向から多芯筆記具用レフィル1を視認したときの面積をいう。
【0018】
[7]前記多芯筆記具用レフィル1において、透明材料からなる包装袋5に収容されてなること(請求項7)が好ましい。
【0019】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項7)は、インキ色に着色された操作体4を容易に視認できるとともに、ユーザーが購入する前までに操作体4がインキ収容管3から外れることを防止できる。
【0020】
[8]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記包装袋5に収容された状態で、前記操作体4の最大視認面積を包装袋5の外部正面から視認可能であること(請求項8)が好ましい。
【0021】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項8)は、包装袋5に収容された状態において、操作体4の最大視認面積が包装袋5の外部正面から視認可能であることにより、操作体4が収容された部分の包装袋5の厚みが増加するおそれがなく、限られた保管スペースに多芯筆記具用レフィル1が入った多数の包装袋5を重ねた状態で保管することができる。
【0022】
[9]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記操作体4がインキ収容管3の外径より径方向寸法の大きい大径部41を備え、前記大径部41が両面に平面部41aを備えた板状であり、前記包装袋5に収容された状態において、前記操作体4の大径部41の平面部41a(最大視認面積)が包装袋5の外部正面より視認可能であること(請求項9)が好ましい。
【0023】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項9)は、包装袋5に収容された状態において、前記操作体4の大径部41の平面部41a(最大視認面積)が包装袋5の外部正面から視認可能であることより、操作体4が収容された部分の包装袋5の厚みが増加するおそれがなく、限られた保管スペースに多芯筆記具用レフィル1が入った多数の包装袋5を重ねた状態で保管することができる。
【0024】
[10]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記包装袋5が一端に吊下孔51を備え、前記レフィル1が包装袋5に収容された状態において、前記吊下孔51側に操作体4が配置されること(請求項10)が好ましい。
【0025】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項10)は、包装袋5が吊り下げ状態の際、ボールペンチップ2(ペン先)が下向きになり、インキ収容管3内のインキの後退を防止できる。また、操作体4が上方に位置されるため、ユーザーが、購入時、操作体4のインキ色表示を識別しながら包装袋5を取り外すことが容易となる。
【0026】
[11]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記包装袋5が一端に吊下孔51を備え、前記レフィル1が包装袋5に収容された状態において、前記吊下孔51側にボールペンチプ2が配置されること(請求項11)が好ましい。
【0027】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項10)は、包装袋5が吊り下げ状態の際、ボールペンチップ2(ペン先)が上向きになり、ボールペンチップ2の先端からインキが漏出するおそれがない。
【0028】
[12]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記包装袋5が一端に吊下孔51を備え、前記吊下孔51近傍の包装袋5の表面に、インキ収容管3内のインキの色に着色した着色部52を設けたこと(請求項12)が好ましい。尚、前記吊下孔51は、切り欠き状またはフック状に形成することもできる。
【0029】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項12)は、前記吊下孔51近傍の包装袋5表面の着色部52と、インキ色に着色された操作体4とを同時に視認できるため、インキ色の識別が、一層、容易となり、比較的離れた位置からでもインキ色の識別が可能となる。
【0030】
[13]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記インキ収容管3が透明または半透明の材料により構成され、前記インキ収容管3内に収容されるインキが染料インキであること(請求項13)が好ましい。
【0031】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項13)は、インキ収容管3内に収容のインキが染料インキ(着色剤として染料を含有するインキ)であるため、顔料インキの場合に比べ、インキ収容管3を視認してもインキ色を識別することが容易でないが、それによって、かえって、インキ色に着色された操作体4が、色彩的なアクセントとして際立ち、レフィル全体の外観性が向上する。前記染料インキは、水性インキ、油性インキのいずれであってもよい。
【0032】
[14]前記多芯筆記具用レフィル1において、前記ボールペンチップ2の前端にペン先乾燥防止用の被覆樹脂21が固着されてなること(請求項14)が好ましい。
【0033】
前記多芯筆記具用レフィル1(請求項14)は、ボールペンチップ2の前端にペン先乾燥防止用の被覆樹脂21が固着されてなることにより、操作体4の連結された状態でユーザーが筆記使用開始するまで、ペン先の乾燥を防止し、適正に保管することができる。特に、前記多芯筆記具用レフィル1(請求項14)は、蒸発が生じやすい水性インキの場合に有効である。
【発明の効果】
【0034】
請求項1によれば、インキ色の識別が容易となり、比較的離れた位置からでも識別が可能となる。その結果、ユーザーが所望するインキ色と異なるレフィルを選択してしまうおそれがない。
【0035】
請求項2によれば、大径部に大面積のインキ色表示部を構成でき、インキ色の識別が一層容易となる。
【0036】
請求項3によれば、大径部に大面積のインキ色表示部を構成でき、インキ色の識別が一層容易となる。
【0037】
請求項4によれば、大面積のインキ色表示部を効率よく形成できる。
【0038】
請求項5によれば、操作体の外観性が向上する。
【0039】
請求項6によれば、より一層、インキ色の識別が確実となる。
【0040】
請求項7によれば、インキ色に着色された操作体を容易に視認できるとともに、ユーザーが購入する前までに操作体がインキ収容管から外れることを防止できる。
【0041】
請求項8によれば、操作体が収容された部分の包装袋の厚みが増加するおそれがなく、限られた保管スペースに多芯筆記具用レフィルが入った多数の包装袋を重ねた状態で保管することができる。
【0042】
請求項9によれば、操作体が収容された部分の包装袋の厚みが増加するおそれがなく、限られた保管スペースに多芯筆記具用レフィルが入った多数の包装袋を重ねた状態で保管することができる。
【0043】
請求項10によれば、包装袋が吊り下げ状態の際、ペン先が下向きになり、インキ収容管内のインキの後退を防ぐとともに、操作体が上方に位置され、ユーザーが、購入時、操作体のインキ色表示を識別しながら、包装袋を取り外すことが容易となる。
【0044】
請求項11によれば、包装袋が吊り下げ状態の際、ペン先が上向きになり、ボールペンチップの先端からのインキの漏出を防ぐことができる。
【0045】
請求項12によれば、インキ色の識別が、一層、容易となり、比較的離れた位置からでもインキ色の識別が可能となる。
【0046】
請求項13によれば、インキ色に着色された操作体が、色彩的なアクセントとして際立ち、レフィル全体の外観性が向上する。
【0047】
請求項14によれば、操作体が連結された状態で、ユーザーが筆記使用開始するまで、ペン先の乾燥を防止し、適正に保管することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
図1乃至図6に本発明の実施の形態を示す。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の多芯筆記具用レフィル1は、主に、ボールペンチップ2と、インキ収容管3と、操作体4とからなる。
【0049】
(ボールペンチップ)
前記ボールペンチップ2は、前端に回転可能にボールが抱持される。前記ボールペンチップ2は、金属製細管の先端に内方への押圧変形によりボール受け座を形成するタイプ、または、金属製本体の先端の内面に切削加工によりボール受け座を形成するタイプのいずれであってもよい。
【0050】
前記ボールペンチップ2の前端には、ペン先乾燥防止用の被覆樹脂が固着されている。前記被覆樹脂は、筆記使用開始時にはユーザーによって取り除かれる。
【0051】
また、前記ボールペンチップ2は、前端に回転可能に抱持されたボールを弾発体等により前方に付勢し、前端縁部の内面にボールを密接させる構成でもよい。また、前記ボールペンチップ2は、インキ収容管3の前端開口部に圧入等により直接、取り付けてもよいが、本実施の形態では合成樹脂製のペン先保持部材22を介してインキ収容管3の前端開口部に固着される。前記ペン先保持部材22は、インキ色に着色された合成樹脂の成形体により得られる。
【0052】
(操作体)
前記インキ収容管3の後端開口部には、操作体4が取り付けられる。前記操作体4は、操作部43と、前側突出部44と、後側突出部45と、嵌入部46と、鍔部47とを備える。前記操作部43は、後端部に形成され且つ軸筒6の窓孔81から外部に突出される。前記後側突出部45は、前記操作部43の反対側に設けられる。前記前側突出部44は、前記操作部43の反対側の後側突出部45の前方に設けられる。前記嵌入部46は、操作体4の前端部に形成され且つインキ収容管3の後端開口部に嵌入される。前記鍔部47は、前記嵌入部46の後方に形成される。
【0053】
前記嵌入部46は、インキ収容管3の後端開口部に嵌入された際、インキ収容管3の後端開口部を完全には塞がず、インキ収容管3の内部と外部とを通気可能にする。また、前記鍔部47の前面には、弾発体10の後端が係止される。
【0054】
(大径部)
本実施の形態では、前記操作部43と前側突出部44と後側突出部45とにより、一つの大径部41が構成される。前記大径部41の径方向寸法Aは、インキ収容管3の外径Bより大きく設定される。具体的には、前記大径部41の径方向寸法Aは、インキ収容管3の外径Bの2倍以上に設定されることが好ましい。前記大径部41は、両面(即ち表面と裏面)に平面部41aを備える板状に形成される。前記板状の大径部41は、インキ収容管3の外径と略等しい厚み寸法を有する。また、前記操作体4の両方の側壁(大径部43の平面部41a)には抜け止め突起(図示せず)が形成される。前記抜け止め突起は窓孔81の両方の側壁内面に係合可能である。
【0055】
また、鍔部47と大径部41の間(即ち鍔部47の後方且つ大径部41の前方)には、大径部41より径方向寸法の小さい小径部42が形成される。また、前記小径部42は、インキ収容管3の外径Bより小さい径方向寸法を有する。それにより、操作体4を視認した際、大径部41をより一層目立たせることができ、大径部41と小径部42とが、旗と旗竿のように視覚され、インキ色表示部としての操作体4の外観性が向上する。
【0056】
前記操作体4は、連結されるインキ収容管3の内部に収容されたインキの色と略同じ色に着色される。具体的には、前記操作体4は、連結されるインキ収容管3内のインキの色と略同じ色に着色された合成樹脂の成形体からなる。それにより、前記操作体4は、インキ色表示部となる。例えば、前記操作体4は、内部に黒色インキが収容されたインキ収容管3に連結する操作体4は黒色に着色され、内部に青色インキが収容されたインキ収容管3に連結する操作体4は青色に着色され、内部に赤色インキが収容されたインキ収容管3に連結する操作体4は赤色に着色され、内部に緑色インキが収容されたインキ収容管3に連結する操作体4は緑色に着色される。
【0057】
(インキ収容管)
インキ収容管3は、透明または半透明の合成樹脂の押出成形により得られ、両端が開口された直円筒体からなる。前記インキ収容管3の内部には、剪断減粘性を有する水性の染料インキが収容され、前記インキの後端には、インキの消費に伴って前進する高粘度流体からなる追従体が充填される。
【0058】
(視認面積)
本実施の形態では、操作体4の面積が最も大きく視認される状態は、前記大径部41の平面部41aを視認する場合(図1の状態)である。前記図1の状態において、操作体4の視認面積は、インキ収容管3の視認面積の38%に設定されている。
【0059】
(包装袋)
図3及び図4に、図1及び図2の多芯筆記具用レフィル1を包装袋5に収容した状態を示す。多芯筆記具用レフィル1は、透明材料(透明プラスチックフィルム)よりなる長方形形状の包装袋5の内部に収容される。前記一つの包装袋5に対して、1本の多芯筆記具用レフィル1が収容され、それにより、ユーザーが好みのインキ色のレフィルを自由に組合せて多芯筆記具として使用できる。
【0060】
前記包装袋5は、一端に吊下孔51が形成される。前記吊下孔51の周囲の包装袋5表面(即ち吊下孔51を備えたヘッダー部)には、印刷により、内部に収容した多芯筆記具用レフィル1のインキ色に着色された着色部52が設けられる。
【0061】
図3に示すように、前記多芯筆記具用レフィル1を包装袋5内に収容した状態において、操作体4は吊下孔51側に位置され、一方、ボールペンチップ2はその吊下孔51側と反対側に位置される。そのため、包装袋5を吊り下げ状態にすると、ボールペンチップ2側が下向きになり、上側に操作体4が位置することになる。
【0062】
図4に示すように、前記多芯筆記具用レフィル1を包装袋5内に収容した状態において、ボールペンチップ2は吊下孔51側に位置され、一方、操作体4はその吊下孔51側と反対側に位置される。そのため、包装袋5を吊り下げ状態にすると、ボールペンチップ2側が上向きになり、下側に操作体4が位置することになる。その結果、ボールペンチップ2の先端からインキが漏出するおそれがない。また、図4の場合、包装袋5の吊下孔51と反対側の端部がボールペンチップ2の先端によって損傷するおそれがない。また、図4の場合、包装袋5の吊下孔51と反対側の端部に開閉口を設けることにより、包装袋5に開閉口を通してレフィルを出し入れする際、操作体4から容易に出し入れでき、ボールペンチップ2先端の損傷を防ぐことができる。
【0063】
前記多芯筆記具用レフィル1を包装袋5内に収容した状態において、操作体4の板状の大径部41の平面部41a(最大視認面積)は、包装袋5の外部正面から視認される向きに配置される。それにより、操作体4が収容された部分の包装袋5の厚みが増加するおそれがなく、限られた保管スペースに多芯筆記具用レフィル1が入った多数の包装袋5を重ねた状態で保管することができる。
【0064】
また、前記吊り下げ陳列状態にある多芯筆記具用レフィル1入り包装袋5をユーザーが購入する際、インキ色に着色された操作体4及び着色部52を同時に視認でき、インキ色の識別が、比較的離れた位置からでも可能となる。
【0065】
図5に、本実施の形態の多芯筆記具用レフィル1を多芯筆記具の軸筒6内に収容した状態を示す。
【0066】
多芯筆記具は、軸筒6内に複数本(具体的には2本)のインキ色の互いに異なる多芯筆記具用レフィル1が前後方向に移動可能に収容されている。前記各々の多芯筆記具用レフィル1は、弾発体10(具体的には圧縮コイルスプリング)により、後方に付勢されている。
【0067】
前記軸筒6は、先細状の円筒体からなる前軸7と、該前軸7の後端部と螺合または圧入により取り付けられる円筒状の後軸8とからなる。前記前軸7の前端には、レフィル1のボールペンチップ2が突出可能な前端孔71が軸方向に貫設される。前記前軸7及び後軸8は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)の射出成形により得られる。
【0068】
前記後軸8の後部の側壁には、複数本(具体的には2本)の前後方向に延びる細長状の窓孔81が、径方向に貫設される。前記2本の窓孔81は、互いに、軸線に対して対称の位置に形成される。また、前記後軸8の後端部には、軸方向に貫通し且つ径方向外方に開口する開口部82が形成される。前記開口部82は、後軸8の後端(即ち軸筒6の後端)において窓孔81と連通され、それにより、窓孔81後端が後方に切り欠かれ、後方に開口されている。一方、前記窓孔81の前端は常時閉鎖されている。前記各々の窓孔81から径方向外方に各々の操作体4の操作部43が突出される。
【0069】
また、前記後軸8の窓孔81の相互間の側壁内面には、前後方向に延びるリブよりなる係止壁部が形成され、前記係止壁部に、ペン先が突出した際の多芯筆記具用レフィル1の操作体4の後端が係止される。
【0070】
前記後軸8の窓孔81の相互間の側壁外面には、クリップ83が設けられる。
【0071】
前記後軸8の後端部には、前記開口部82を開閉自在にする蓋部9が回動自在に設けられる。前記蓋部9の一端部は、クリップ基部に、ヒンジ部92により回動自在に接続される。前記ヒンジ部92は、ペン先下向きでクリップ83を正面視したときのクリップ83の左右方向に延設され、それにより、前記蓋部9は、略前後方向に回動自在となる。前記蓋部9の前面には、当接壁部91が形成される。前記当接壁部91に、没入状態の多芯筆記具用レフィル1の後端に連結された各々の操作体4の後端が、衝止される。本実施の形態では、前記ヒンジ部92は、具体的には、回動軸により回動自在に接続される構成が採用されているが、これ以外にも、屈曲変形可能な可撓性を有する連結部または薄肉部により一体に接続される構成であってもよい。
【0072】
前記蓋部9の他端部の前面には、係合部93が設けられる(具体的には係合凹部または係合孔部が形成される)。後軸8の後端には、前記係合部93と係合可能な被係合部84が設けられる(具体的には係合凸部が突設される)。前記係合部93(係合凹部または係合孔部)の内面には、内向突起が形成され、一方、前記被係合部84(係合凸部)の外面には、前記内向突起と乗り越え係止可能な外向突起が形成される。
【0073】
前記係合部93と前記被係合部84とは、蓋部9が開口部82を閉鎖した際、互いに係合状態にあり(具体的には内向突起と外向突起が乗り越え係止状態にあり)、弾発体10の後方への付勢による操作体4と蓋部9前面の当接壁部91との当接では、その係合状態は解除されず、蓋部9が開くことはない。
【0074】
また、前記係合部93と被係合部84の構成以外にも、前記係合部93が係合凸部よりなり、前記被係合部84が係合凹部または係合孔部からなる構成でもよい。
【0075】
レフィル1のペン先が没入状態のとき、そのレフィル1の後端に有する操作体4の後端部は、蓋部9の前面に形成された当接壁部91に衝止される。一方、レフィル1のペン先が突出状態のとき、そのレフィル1の後端に有する操作体4の後端部は、軸筒6の内壁に形成された係止壁部に係止される。
【0076】
ペン先没入状態にある多芯筆記具用レフィル1の後端に有する操作体4の前側突出部44は、その操作体4の操作部43を前方にスライド操作した際、先に突出状態にある他の多芯筆記具用レフィル1の後端に連結された操作体4の後側突出部45と当接され、他の多芯筆記具用レフィル1のペン先突出状態が解除される。
【0077】
(弾発体支持部)
軸筒6の内壁(即ち後軸8の内壁)には、円筒状の弾発体支持部11が設けられる。前記弾発体支持部11は、多芯筆記具用レフィル1のインキ収容管3が挿通される複数(具体的には2個)の内孔111が軸方向に貫設されている。前記弾発体支持部11の後面と、各々の操作体4の鍔部47の前面との間には、弾発体10が配置される。前記各々の弾発体10の内部に多芯筆記具用レフィル1のインキ収容管3が遊挿されるとともに、各々の弾発体10の前端は弾発体支持部11の後面により係止され、各々の弾発体10の後端は操作体47の鍔部47の前面に係止される。
【0078】
また、弾発体支持部11の後面の各々の内孔111の周囲には、周状壁部よりなる保持部112が形成される。前記各々の保持部112の内面は、各々の弾発体10の前端部外面が圧入保持される。それにより、各々の多芯筆記具用レフィル1を交換する際、軸筒6内から開口部82を通して各々の弾発体10が脱落することを防止できる。
【0079】
前記各々の弾発体10は、各々の操作体4(即ち各々の多芯筆記具用レフィル1)を、常時、後方に付勢している。前記各々の弾発体10は、ペン先突出状態及びペン先没入状態のいずれにおいても圧縮状態(即ち多芯筆記具用レフィル1が後方に付勢された状態)にあり、それにより、各々の操作体4の前後のがたつきが防止される。
【0080】
(レフィルの交換)
本実施の形態における多芯筆記具用レフィル(図1及び図2参照)の交換について説明する。多芯筆記具用レフィル1を交換する際、蓋部9が軸筒6の後端の開口部82を閉鎖した状態から、蓋部9のヒンジ部92と反対側の操作端部を後方に押圧し、係合部93と被係合部84との係合を解除し、蓋部9を後方に回動させ、軸筒6の後端の開口部82を開口する(図6参照)。前記開口部82を開口させると、前記開口部82から各々の操作体4が、弾発体10の後方付勢により後方外部に突出される。前記軸筒62の後端の開口部82が開口した状態(図6の状態)で、操作体4を取り出すことにより、多芯筆記具用レフィル1を、前記開口部82を通して軸筒6内から取り出し、その後、互いに連結状態にある新たな多芯筆記具用レフィル1を、前記開口部82を通して軸筒6内に挿入する。そして、蓋部9の当接壁部91に各々の操作体4を当接させ、各々の操作体4を前方に押圧しながら蓋部9を前方に回動させ、その後、係合部93と被係合部84とを係合させ、開口部82を閉鎖する。これにより、多芯筆記具用レフィル1の交換作業が終了する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の多芯筆記具用レフィルの正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の多芯筆記具用レフィルを包装袋に収容した状態の正面図である。
【図4】図1の多芯筆記具用レフィルを包装袋に収容した状態の正面図である。
【図5】図1の多芯筆記具用レフィルを複数本収容した多芯筆記具の全ペン先没入状態(非筆記時)を示す縦断面図である。
【図6】図5の多芯筆記具の後端を開口した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 多芯筆記具用レフィル
2 ボールペンチップ(ペン先)
21 被覆樹脂
22 ペン先保持部材
3 インキ収容管
4 操作体
41 大径部
41a 平面部
42 小径部
43 操作部
44 前側突出部
45 後側突出部
46 嵌入部
47 鍔部
5 包装袋
51 吊下孔
52 着色部
6 軸筒
7 前軸
71 前端孔
8 後軸
81 窓孔
82 開口部
83 クリップ
84 被係合部
9 蓋部
91 当接壁部
92 ヒンジ部
93 係合部
10 弾発体
11 弾発体支持部
111 内孔
112 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に軸筒内に複数本が収容され、各々の後端に連結した操作体を軸筒の側壁より突出させ、前記操作体を前方にスライド操作することにより軸筒の前端からペン先を出没させる多芯筆記具用レフィルであって、軸筒内に収容される前の状態において、前端にボールが回転可能に抱持されたボールペンチップと、該ボールペンチップが前端に固着され且つ内部にインキが収容されたインキ収容管と、該インキ収容管の後端に連結され且つインキ収容管内のインキの色に着色された操作体とからなることを特徴とする多芯筆記具用レフィル。
【請求項2】
前記操作体が、小径部と該小径部より径方向寸法の大きい大径部とを備える請求項1記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項3】
前記操作体が、インキ収容管の外径より径方向寸法の大きい大径部を備える請求項1または2記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項4】
前記大径部が両面に平面部を備えた板状である請求項2または3記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項5】
前記大径部が操作体の後部に設けられる請求項2、3または4記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項6】
前記操作体の面積が最も大きく視認される状態において、前記操作体の視認面積がインキ収容管の視認面積の10%以上に設定される請求項1乃至5のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項7】
透明材料からなる包装袋に収容されてなる請求項1乃至6のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項8】
前記包装袋に収容された状態において、前記操作体の最大視認面積を包装袋の外部正面から視認可能である請求項7記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項9】
前記操作体がインキ収容管の外径より径方向寸法の大きい大径部を備え、前記大径部が両面に平面部を備えた板状であり、前記包装袋に収容された状態において、前記操作体の大径部の平面部が包装袋の外部正面から視認可能である請求項7または8記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項10】
前記包装袋が一端に吊下孔を備え、前記包装袋に収容された状態において、前記吊下孔側に操作体が配置される請求項7乃至9のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項11】
前記包装袋が一端に吊下孔を備え、前記包装袋に収容された状態において、前記吊下孔側にボールペンチップが配置される請求項7乃至9のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項12】
前記包装袋が一端に吊下孔を備え、前記吊下孔近傍の包装袋の表面に、インキ収容管内のインキの色に着色した着色部を設けた請求項7乃至11のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項13】
前記インキ収容管が透明または半透明の材料により構成され、前記インキ収容管内に収容されるインキが染料インキである請求項1乃至12のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。
【請求項14】
前記ボールペンチップの前端にペン先乾燥防止用の被覆樹脂が固着されてなる請求項1乃至13のいずれかに記載の多芯筆記具用レフィル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−45139(P2007−45139A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312555(P2005−312555)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】