多連装コネクタ
【課題】第2コネクタに連装される複数の第1コネクタにおける半挿入状態の有無を、特別な部材を使用せず、外観だけで、簡単に判別することができ、構成の単純化によりコスト低減を図ることのできる多連装コネクタを提供すること。
【解決手段】複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dと、これらの第1コネクタを嵌合するための横一列に並んだ複数のコネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dを有する第2コネクタ20とを備え、複数の第1コネクタには嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる多連装コネクタ1において、それぞれのコネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dにおいて第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部である突き当て壁22a,22b,22c,22dは、正規に嵌合完了した複数の第1コネクの後端面が面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備される。
【解決手段】複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dと、これらの第1コネクタを嵌合するための横一列に並んだ複数のコネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dを有する第2コネクタ20とを備え、複数の第1コネクタには嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる多連装コネクタ1において、それぞれのコネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dにおいて第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部である突き当て壁22a,22b,22c,22dは、正規に嵌合完了した複数の第1コネクの後端面が面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1コネクタが、横一列に並んだ状態で第2コネクタに嵌合装着される多連装コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、プリント回路板に直付けされる多連装コネクタの従来例を示したものである。
この多連装コネクタ100は、下記特許文献1に開示されたもので、複数の第1コネクタ110と、これらの第1コネクタ110が嵌合装着される第2コネクタ120と、を備える。
【0003】
第2コネクタ120は、図示のように、複数のコネクタ嵌合室121が、横一列に並んだ形態に装備されている。各コネクタ嵌合室121は、第1コネクタ110を嵌合装着する部位である。
【0004】
また、図6の多連装コネクタ100の場合は、第2コネクタ120に、一括嵌合検知部材130を備えている。この一括嵌合検知部材130は、各コネクタ嵌合室121に仮装着された複数の第1コネクタ110の後端を、一括して、正規の嵌合完了位置に押し込む部材である。この一括嵌合検知部材130は、一端側がヒンジ131により回動可能に第2コネクタ120に結合されていて、回動操作により、各第1コネクタ110の後端に押し当てる。
【0005】
一括嵌合検知部材130による押し込みによって、複数の第1コネクタ110の全てが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、一括嵌合検知部材130の他端に設けられている係合フック132が第2コネクタ120に装備されている係合部に係合して、一括嵌合検知部材130が第2コネクタ120の後端に固定された状態になる。
【0006】
即ち、上記多連装コネクタ100では、一部の第1コネクタ110が正規の嵌合完了位置に到達していない半挿入状態にある場合には、一括嵌合検知部材130の係合フック132が第2コネクタ120側の係合部に係合せず、その状態から、半挿入状態の有無を検知することができる。
【0007】
なお、図6に示した多連装コネクタ100の場合、第2コネクタ120に装着される複数の第1コネクタ110は、全て、形状及び寸法が同一である。しかし、多連装コネクタの中には、図7及び図8に示すような構成のものもある。
【0008】
図7及び図8に示した多連装コネクタ100Aは、複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dと、これらの第1コネクタ110a,110b,110c,110dが嵌合装着される第2コネクタ120Aと、を備える。
【0009】
第2コネクタ120Aは、図示のように、複数のコネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dが、横一列に並んだ形態に装備されている。各コネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dを嵌合装着する部位である。
【0010】
複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dは、収容する接続端子数や端子形状の相異のために、幅寸法が相異している。
【0011】
また、第1コネクタ110cは、嵌合方向の長さが、その他の第1コネクタ110a,110b,110dよりも短い。
【0012】
また、第2コネクタ120Aの各コネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dには、図9に示すように、突き当て壁122a,122b,122c,122dが設けられている。
【0013】
これらの突き当て壁122a,122b,122c,122dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの先端面が当接することにより、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの嵌合完了位置を決める位置決め部である。
【0014】
従来の多連装コネクタの場合、上記の突き当て壁122a,122b,122c,122dは、図9に示したように、横一列に位置を揃えて装備されている。
【0015】
従って、全ての第1コネクタ110a,110b,110c,110dが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、図10に示すように、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cの後端が、他の第1コネクタ110a,110b,110dの後端よりも嵌合長さの差分L1だけ凹んだ状態になる。
【0016】
一方、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cが半挿入状態で、その他の第1コネクタ110a,110b,110dは正規の嵌合完了位置まで挿入された完全挿入状態の場合には、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cの後端の凹みが正規の場合よりも小さくなったり、或いは、図11に示すように、第1コネクタ110cの後端が他の第1コネクタ110a,110b,110dの後端の位置に揃う状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−66122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、特許文献1に記載のように、第2コネクタ120に対して複数の第1コネクタ110を一括嵌合検知部材130により正規の嵌合完了位置に押し込む構成の多連装コネクタ100では、一括嵌合検知部材130の装備のために、コネクタの構造が複雑化し、コストアップを招くという問題があった。
【0019】
また、図9に示したように、第2コネクタ120Aのコネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dに装備される突き当て壁122a,122b,122c,122dが、横一列に位置を揃えて装備された多連装コネクタ100Aの場合は、各コネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dに嵌合装着される複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dの一部に、嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれていると、嵌合方向の長さの短いコネクタの後端は、他のコネクタよりも後端の位置が凹んだ状態になる。
【0020】
しかし、嵌合方向の長さが異なる複数の第1コネクタが同時に半挿入状態になっていると、後端位置が不揃いの箇所が複数発生してしまい、外観だけでは半挿入状態のコネクタを判別することが難しくなってしまう場合が発生する。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、第2コネクタに連装される複数の第1コネクタにおける半挿入状態の有無を、特別な部材を使用せず、外観だけで、簡単に判別することができ、構成の単純化によりコスト低減を図ることのできる多連装コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)複数の第1コネクタと、これらの第1コネクタを嵌合するための横一列に並んだ複数のコネクタ嵌合室を有する第2コネクタとを備え、前記複数の第1コネクタには嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる多連装コネクタであって、
それぞれのコネクタ嵌合室において前記第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部は、正規に嵌合完了した複数の第1コネクタの後端面が面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備されていることを特徴とする多連装コネクタ。
【0023】
上記(1)の構成によれば、第2コネクタに対して全ての第1コネクタが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、各第1コネクタの嵌合方向の長さの差異に関係なく、全ての第1コネクタの後端面が面一に揃う。
【0024】
言い換えれば、第2コネクタに対して半挿入状態になる第1コネクタは、そのコネクタの嵌合方向の長さに関係なく、後端面が他の完全挿入状態の第1コネクタの後端面の位置よりも突出した状態になる。
【0025】
従って、第2コネクタ上に横一列に並ぶ複数の第1コネクタに対して、後端面が他の第1コネクタよりも突出したものが有るか否かを外観で比較するだけで、特別な部材を使用せず、簡単に半挿入状態の有無を判別することができる。
【0026】
また、半挿入状態の有無の判別に、例えば一括嵌合検知部材のような特別な部材を使用していないため、コネクタの構成の単純化によりコスト低減を図ることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による多連装コネクタによれば、第2コネクタに対して半挿入状態になる第1コネクタは、そのコネクタの嵌合方向の長さに関係なく、後端面が他の完全挿入状態の第1コネクタの後端面の位置よりも突出した状態なる。
【0028】
従って、第2コネクタ上に横一列に並ぶ複数の第1コネクタに対して、後端面が他の第1コネクタよりも突出したものが有るか否かを外観で比較するだけで、特別な部材を使用せず、簡単に半挿入状態の有無を判別することができる。
【0029】
また、半挿入状態の有無の判別に、例えば一括嵌合検知部材のような特別な部材を使用していないため、コネクタの構成の単純化によりコスト低減を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る多連装コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した多連装コネクタの組立状態の斜視図である。
【図3】図1に示した第2コネクタと、該第2コネクタに装着される複数の第1コネクタとの水平断面図である。
【図4】図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、全ての第1コネクタが完全挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【図5】図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、嵌合方向の長さが短い第1コネクタのみが半挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【図6】従来の多連装コネクタの分解斜視図である。
【図7】従来の別の多連装コネクタの分解斜視図である。
【図8】図7に示した多連装コネクタの組立状態の斜視図である。
【図9】図7に示した第2コネクタと、該第2コネクタに装着される複数の第1コネクタとの水平断面図である。
【図10】図9に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、全ての第1コネクタが完全挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【図11】図9に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、嵌合方向の長さが短い第1コネクタのみが半挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る多連装コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1〜図5は本発明に係る多連装コネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明に係る多連装コネクタの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した多連装コネクタの組立状態の斜視図、図3は図1に示した第2コネクタと、該第2コネクタに装着される複数の第1コネクタとの水平断面図、図4は図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、全ての第1コネクタが完全挿入状態となっている場合の水平断面図、図5は図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、嵌合方向の長さが短い第1コネクタのみが半挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【0033】
この一実施形態の多連装コネクタ1は、図7及び図8に開示された多連装コネクタ100Aを改良したもので、4つの第1コネクタ110a,110b,110c,110dと、これらの4つの第1コネクタ110a,110b,110c,110dが嵌合装着される第2コネクタ20と、を備える。
【0034】
第2コネクタ20は、図1に示すように、複数のコネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dが、横一列に並んだ形態に装備されている。各コネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dを嵌合装着する部位である。
【0035】
複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dは、収容する接続端子数や端子形状の相異のために、幅寸法が相異している。
【0036】
また、第1コネクタ110cは、嵌合方向の長さが、その他の第1コネクタ110a,110b,110dよりも短い。即ち、第2コネクタ20に装着される複数の第1コネクタには、嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる。
【0037】
具体的には、図3に示すように、3つの第1コネクタ110a,110b,110dは、全て、嵌合方向の長さがL2に形成されている。これに対して、短尺の第1コネクタ110cは、嵌合方向の長さがL3に設定されている。図3に示すように、長さL3と長さL2との差分は、L4である。
【0038】
また、第2コネクタ20の各コネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dには、図3に示すように、突き当て壁22a,22b,22c,22dが設けられている。
【0039】
これらの突き当て壁22a,22b,22c,22dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの先端面が当接することにより、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの嵌合完了位置を決める位置決め部である。
【0040】
本実施形態の多連装コネクタ1の場合、各突き当て壁22a,22b,22c,22dは、図4に示すように、正規に嵌合完了した複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dの後端面が、基準面位置H1上に面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備されている。
【0041】
即ち、本実施形態の場合、短尺の第1コネクタ110cを位置決めする突き当て壁22cは、他の突き当て壁22a,22b,22dと比較して、図3に示すように、第1コネクタ110cと他の第1コネクタとにおける嵌合方向の長さの差分L4だけ、第1コネクタ側に出っ張って配置されている。
【0042】
そのため、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cが半挿入状態で、その他の第1コネクタ110a,110b,110dは正規の嵌合完了位置まで挿入された完全挿入状態の場合には、図5に示したように、第1コネクタ110cの後端が、他の第1コネクタ110a,110b,110dの後端の位置(基準面位置H1)よりも挿入不足分L5だけ出っ張った状態になり、第1コネクタ110cが半挿入状態であることを、外観から簡単に判別することができる。
【0043】
以上に説明した一実施形態の多連装コネクタ1では、第2コネクタ20に対して全ての第1コネクタ110a,110b,110c,110dが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、図4に示したように、各第1コネクタ110a,110b,110c,110dの嵌合方向の長さの差異に関係なく、全ての第1コネクタ110a,110b,110c,110dの後端面が面一に揃う。
【0044】
言い換えれば、第2コネクタ20に対して半挿入状態になる第1コネクタは、そのコネクタの嵌合方向の長さに関係なく、図5に示したように、後端面が他の完全挿入状態の第1コネクタの後端面の位置よりも突出した状態なる。
【0045】
従って、第2コネクタ20上に横一列に並ぶ複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dに対して、後端面が他の第1コネクタよりも突出したものが有るか否かを外観で比較するだけで、特別な部材を使用せず、簡単に半挿入状態の有無を判別することができる。
【0046】
また、半挿入状態の有無の判別に、例えば一括嵌合検知部材のような特別な部材を使用していないため、コネクタの構成の単純化によりコスト低減を図ることもできる。
【0047】
なお、本発明の多連装コネクタは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0048】
例えば、第2コネクタに嵌合装着される第1コネクタの数量は、上記実施形態に限らない。また、第2コネクタに嵌合装着される複数の第1コネクタは、嵌合方向の長さが相異する3種以上のコネクタで構成される場合にも、本発明を適用することができる。
【0049】
また、各コネクタ嵌合室において第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部の具体的な形態は、上記実施形態に示した突き当て壁に限らない。例えば、位置決め部を、部分的な突起状に装備することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 多連装コネクタ
20 第2コネクタ
21a,21b,21c,21d コネクタ嵌合室
22a,22b,22c,22d 突き当て壁(位置決め部)
110a,110b,110c,110d 第1コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1コネクタが、横一列に並んだ状態で第2コネクタに嵌合装着される多連装コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、プリント回路板に直付けされる多連装コネクタの従来例を示したものである。
この多連装コネクタ100は、下記特許文献1に開示されたもので、複数の第1コネクタ110と、これらの第1コネクタ110が嵌合装着される第2コネクタ120と、を備える。
【0003】
第2コネクタ120は、図示のように、複数のコネクタ嵌合室121が、横一列に並んだ形態に装備されている。各コネクタ嵌合室121は、第1コネクタ110を嵌合装着する部位である。
【0004】
また、図6の多連装コネクタ100の場合は、第2コネクタ120に、一括嵌合検知部材130を備えている。この一括嵌合検知部材130は、各コネクタ嵌合室121に仮装着された複数の第1コネクタ110の後端を、一括して、正規の嵌合完了位置に押し込む部材である。この一括嵌合検知部材130は、一端側がヒンジ131により回動可能に第2コネクタ120に結合されていて、回動操作により、各第1コネクタ110の後端に押し当てる。
【0005】
一括嵌合検知部材130による押し込みによって、複数の第1コネクタ110の全てが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、一括嵌合検知部材130の他端に設けられている係合フック132が第2コネクタ120に装備されている係合部に係合して、一括嵌合検知部材130が第2コネクタ120の後端に固定された状態になる。
【0006】
即ち、上記多連装コネクタ100では、一部の第1コネクタ110が正規の嵌合完了位置に到達していない半挿入状態にある場合には、一括嵌合検知部材130の係合フック132が第2コネクタ120側の係合部に係合せず、その状態から、半挿入状態の有無を検知することができる。
【0007】
なお、図6に示した多連装コネクタ100の場合、第2コネクタ120に装着される複数の第1コネクタ110は、全て、形状及び寸法が同一である。しかし、多連装コネクタの中には、図7及び図8に示すような構成のものもある。
【0008】
図7及び図8に示した多連装コネクタ100Aは、複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dと、これらの第1コネクタ110a,110b,110c,110dが嵌合装着される第2コネクタ120Aと、を備える。
【0009】
第2コネクタ120Aは、図示のように、複数のコネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dが、横一列に並んだ形態に装備されている。各コネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dを嵌合装着する部位である。
【0010】
複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dは、収容する接続端子数や端子形状の相異のために、幅寸法が相異している。
【0011】
また、第1コネクタ110cは、嵌合方向の長さが、その他の第1コネクタ110a,110b,110dよりも短い。
【0012】
また、第2コネクタ120Aの各コネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dには、図9に示すように、突き当て壁122a,122b,122c,122dが設けられている。
【0013】
これらの突き当て壁122a,122b,122c,122dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの先端面が当接することにより、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの嵌合完了位置を決める位置決め部である。
【0014】
従来の多連装コネクタの場合、上記の突き当て壁122a,122b,122c,122dは、図9に示したように、横一列に位置を揃えて装備されている。
【0015】
従って、全ての第1コネクタ110a,110b,110c,110dが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、図10に示すように、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cの後端が、他の第1コネクタ110a,110b,110dの後端よりも嵌合長さの差分L1だけ凹んだ状態になる。
【0016】
一方、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cが半挿入状態で、その他の第1コネクタ110a,110b,110dは正規の嵌合完了位置まで挿入された完全挿入状態の場合には、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cの後端の凹みが正規の場合よりも小さくなったり、或いは、図11に示すように、第1コネクタ110cの後端が他の第1コネクタ110a,110b,110dの後端の位置に揃う状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−66122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、特許文献1に記載のように、第2コネクタ120に対して複数の第1コネクタ110を一括嵌合検知部材130により正規の嵌合完了位置に押し込む構成の多連装コネクタ100では、一括嵌合検知部材130の装備のために、コネクタの構造が複雑化し、コストアップを招くという問題があった。
【0019】
また、図9に示したように、第2コネクタ120Aのコネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dに装備される突き当て壁122a,122b,122c,122dが、横一列に位置を揃えて装備された多連装コネクタ100Aの場合は、各コネクタ嵌合室121a,121b,121c,121dに嵌合装着される複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dの一部に、嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれていると、嵌合方向の長さの短いコネクタの後端は、他のコネクタよりも後端の位置が凹んだ状態になる。
【0020】
しかし、嵌合方向の長さが異なる複数の第1コネクタが同時に半挿入状態になっていると、後端位置が不揃いの箇所が複数発生してしまい、外観だけでは半挿入状態のコネクタを判別することが難しくなってしまう場合が発生する。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、第2コネクタに連装される複数の第1コネクタにおける半挿入状態の有無を、特別な部材を使用せず、外観だけで、簡単に判別することができ、構成の単純化によりコスト低減を図ることのできる多連装コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)複数の第1コネクタと、これらの第1コネクタを嵌合するための横一列に並んだ複数のコネクタ嵌合室を有する第2コネクタとを備え、前記複数の第1コネクタには嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる多連装コネクタであって、
それぞれのコネクタ嵌合室において前記第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部は、正規に嵌合完了した複数の第1コネクタの後端面が面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備されていることを特徴とする多連装コネクタ。
【0023】
上記(1)の構成によれば、第2コネクタに対して全ての第1コネクタが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、各第1コネクタの嵌合方向の長さの差異に関係なく、全ての第1コネクタの後端面が面一に揃う。
【0024】
言い換えれば、第2コネクタに対して半挿入状態になる第1コネクタは、そのコネクタの嵌合方向の長さに関係なく、後端面が他の完全挿入状態の第1コネクタの後端面の位置よりも突出した状態になる。
【0025】
従って、第2コネクタ上に横一列に並ぶ複数の第1コネクタに対して、後端面が他の第1コネクタよりも突出したものが有るか否かを外観で比較するだけで、特別な部材を使用せず、簡単に半挿入状態の有無を判別することができる。
【0026】
また、半挿入状態の有無の判別に、例えば一括嵌合検知部材のような特別な部材を使用していないため、コネクタの構成の単純化によりコスト低減を図ることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による多連装コネクタによれば、第2コネクタに対して半挿入状態になる第1コネクタは、そのコネクタの嵌合方向の長さに関係なく、後端面が他の完全挿入状態の第1コネクタの後端面の位置よりも突出した状態なる。
【0028】
従って、第2コネクタ上に横一列に並ぶ複数の第1コネクタに対して、後端面が他の第1コネクタよりも突出したものが有るか否かを外観で比較するだけで、特別な部材を使用せず、簡単に半挿入状態の有無を判別することができる。
【0029】
また、半挿入状態の有無の判別に、例えば一括嵌合検知部材のような特別な部材を使用していないため、コネクタの構成の単純化によりコスト低減を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る多連装コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した多連装コネクタの組立状態の斜視図である。
【図3】図1に示した第2コネクタと、該第2コネクタに装着される複数の第1コネクタとの水平断面図である。
【図4】図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、全ての第1コネクタが完全挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【図5】図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、嵌合方向の長さが短い第1コネクタのみが半挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【図6】従来の多連装コネクタの分解斜視図である。
【図7】従来の別の多連装コネクタの分解斜視図である。
【図8】図7に示した多連装コネクタの組立状態の斜視図である。
【図9】図7に示した第2コネクタと、該第2コネクタに装着される複数の第1コネクタとの水平断面図である。
【図10】図9に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、全ての第1コネクタが完全挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【図11】図9に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、嵌合方向の長さが短い第1コネクタのみが半挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る多連装コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1〜図5は本発明に係る多連装コネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明に係る多連装コネクタの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した多連装コネクタの組立状態の斜視図、図3は図1に示した第2コネクタと、該第2コネクタに装着される複数の第1コネクタとの水平断面図、図4は図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、全ての第1コネクタが完全挿入状態となっている場合の水平断面図、図5は図3に示した第2コネクタに複数の第1コネクタが嵌合装着され、嵌合方向の長さが短い第1コネクタのみが半挿入状態となっている場合の水平断面図である。
【0033】
この一実施形態の多連装コネクタ1は、図7及び図8に開示された多連装コネクタ100Aを改良したもので、4つの第1コネクタ110a,110b,110c,110dと、これらの4つの第1コネクタ110a,110b,110c,110dが嵌合装着される第2コネクタ20と、を備える。
【0034】
第2コネクタ20は、図1に示すように、複数のコネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dが、横一列に並んだ形態に装備されている。各コネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dを嵌合装着する部位である。
【0035】
複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dは、収容する接続端子数や端子形状の相異のために、幅寸法が相異している。
【0036】
また、第1コネクタ110cは、嵌合方向の長さが、その他の第1コネクタ110a,110b,110dよりも短い。即ち、第2コネクタ20に装着される複数の第1コネクタには、嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる。
【0037】
具体的には、図3に示すように、3つの第1コネクタ110a,110b,110dは、全て、嵌合方向の長さがL2に形成されている。これに対して、短尺の第1コネクタ110cは、嵌合方向の長さがL3に設定されている。図3に示すように、長さL3と長さL2との差分は、L4である。
【0038】
また、第2コネクタ20の各コネクタ嵌合室21a,21b,21c,21dには、図3に示すように、突き当て壁22a,22b,22c,22dが設けられている。
【0039】
これらの突き当て壁22a,22b,22c,22dは、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの先端面が当接することにより、第1コネクタ110a,110b,110c,110dの嵌合完了位置を決める位置決め部である。
【0040】
本実施形態の多連装コネクタ1の場合、各突き当て壁22a,22b,22c,22dは、図4に示すように、正規に嵌合完了した複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dの後端面が、基準面位置H1上に面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備されている。
【0041】
即ち、本実施形態の場合、短尺の第1コネクタ110cを位置決めする突き当て壁22cは、他の突き当て壁22a,22b,22dと比較して、図3に示すように、第1コネクタ110cと他の第1コネクタとにおける嵌合方向の長さの差分L4だけ、第1コネクタ側に出っ張って配置されている。
【0042】
そのため、嵌合方向の長さが短い第1コネクタ110cが半挿入状態で、その他の第1コネクタ110a,110b,110dは正規の嵌合完了位置まで挿入された完全挿入状態の場合には、図5に示したように、第1コネクタ110cの後端が、他の第1コネクタ110a,110b,110dの後端の位置(基準面位置H1)よりも挿入不足分L5だけ出っ張った状態になり、第1コネクタ110cが半挿入状態であることを、外観から簡単に判別することができる。
【0043】
以上に説明した一実施形態の多連装コネクタ1では、第2コネクタ20に対して全ての第1コネクタ110a,110b,110c,110dが正規の嵌合完了位置に押し込まれた場合には、図4に示したように、各第1コネクタ110a,110b,110c,110dの嵌合方向の長さの差異に関係なく、全ての第1コネクタ110a,110b,110c,110dの後端面が面一に揃う。
【0044】
言い換えれば、第2コネクタ20に対して半挿入状態になる第1コネクタは、そのコネクタの嵌合方向の長さに関係なく、図5に示したように、後端面が他の完全挿入状態の第1コネクタの後端面の位置よりも突出した状態なる。
【0045】
従って、第2コネクタ20上に横一列に並ぶ複数の第1コネクタ110a,110b,110c,110dに対して、後端面が他の第1コネクタよりも突出したものが有るか否かを外観で比較するだけで、特別な部材を使用せず、簡単に半挿入状態の有無を判別することができる。
【0046】
また、半挿入状態の有無の判別に、例えば一括嵌合検知部材のような特別な部材を使用していないため、コネクタの構成の単純化によりコスト低減を図ることもできる。
【0047】
なお、本発明の多連装コネクタは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0048】
例えば、第2コネクタに嵌合装着される第1コネクタの数量は、上記実施形態に限らない。また、第2コネクタに嵌合装着される複数の第1コネクタは、嵌合方向の長さが相異する3種以上のコネクタで構成される場合にも、本発明を適用することができる。
【0049】
また、各コネクタ嵌合室において第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部の具体的な形態は、上記実施形態に示した突き当て壁に限らない。例えば、位置決め部を、部分的な突起状に装備することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 多連装コネクタ
20 第2コネクタ
21a,21b,21c,21d コネクタ嵌合室
22a,22b,22c,22d 突き当て壁(位置決め部)
110a,110b,110c,110d 第1コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1コネクタと、これらの第1コネクタを嵌合するための横一列に並んだ複数のコネクタ嵌合室を有する第2コネクタとを備え、前記複数の第1コネクタには嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる多連装コネクタであって、
それぞれのコネクタ嵌合室において前記第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部は、正規に嵌合完了した複数の第1コネクタの後端面が面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備されていることを特徴とする多連装コネクタ。
【請求項1】
複数の第1コネクタと、これらの第1コネクタを嵌合するための横一列に並んだ複数のコネクタ嵌合室を有する第2コネクタとを備え、前記複数の第1コネクタには嵌合方向の長さが異なるコネクタが含まれる多連装コネクタであって、
それぞれのコネクタ嵌合室において前記第1コネクタの嵌合完了位置を決める位置決め部は、正規に嵌合完了した複数の第1コネクタの後端面が面一に揃うように、接続される第1コネクタの嵌合方向の長さに応じた配置に装備されていることを特徴とする多連装コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−151008(P2012−151008A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9133(P2011−9133)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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