説明

多関節アーム機構

【課題】自由端に大きな負荷が与えられた場合に、正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題、構造が大型化するという問題、コストが高騰するという問題、操作性が低下するという問題、および、重量が増大するという問題を同時に解決することができなかった。
【解決手段】ベース部104と第1のアーム110とを接続する第1の関節部120は、ベース部に固定された第1の弾性力伝達部126を備え、第1のアームと第2のアーム140とを接続する第2の関節部150は、第2のアームに固定された第2の弾性力伝達部156を備え、第1の弾性力伝達部と第2の弾性力伝達部は、第1のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第1の係止部210と弾性を有する第2の係止部220とによって係止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種々の負荷を支持した姿勢でアーム先端の剛性制御を必要とする多関節アーム機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に「多関節アーム機構」と称される、長尺状に形成された第1のアームの後端を動作の基点となるベース部に回転可能に接続し、さらに、第1のアームの先端を長尺状に形成された第2のアームの後端に回転可能に接続した機構がある(例えば、特許文献1参照)。このような機構は、例えば、ロボットやマニュピレータ、パワーショベルなどの装置に用いられている。
【0003】
図12は、従来の多関節アーム機構の第1の構成例を示す図である。なお、関節の数は、図12に示す例では、2つだけであるが、3つ以上の場合もある。また、図中、白丸は、回転可能な部位を示している。
【0004】
図12に示すように、第1の構成例の多関節アーム機構1は、第1のアーム10の後端が関節部20を介してベース5に回転可能に接続され、また、第1のアーム10の略中央が油圧シリンダなどの伸縮するアクチュエータ30の先端に回転可能に接続され、さらに、第1のアーム10の先端が関節部50を介して第2のアーム40の後端に回転可能に接続されている。このような多関節アーム機構1は、アクチュエータ30が伸縮することによって、第1のアーム10が関節部20を中心にして回転する。なお、アクチュエータ30の後端は、ベース5に回転可能に接続されている。
【0005】
また、多関節アーム機構1は、第2のアーム40の後端が関節部50を介して第1のアーム10に回転可能に接続され、また、第2のアーム40の略中央が油圧シリンダなどの伸縮するアクチュエータ60の先端に回転可能に接続されている。このような多関節アーム機構1は、アクチュエータ60が伸縮することによって、第2のアーム40が関節部50を中心にして回転する。なお、第2のアーム40の先端は、自由端となっており、アクチュエータ30または60が伸縮することによって、位置が移動する、または、外部に対して力を与える、または、外部から力(負荷)が与えられているときには外部から与えられた力に対する復元力(剛性)が発生する。また、アクチュエータ60の後端は、関節部50に回転可能に接続されている。
【0006】
ところで、図12に示す多関節アーム機構1は、第1のアーム10の後端に対する第2のアーム40の先端の位置と力と剛性の独立した制御が制御理論的にきわめて困難なため、第2のアーム40の先端に対して近似的に位置と力と剛性の制御を行っている。しかしながら、多関節アーム機構1は、自由端である第2のアーム40の先端に大きな負荷が与えられた場合に、正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、多関節アーム機構1は、第2のアーム40の先端に大きな負荷が与えられた場合でも正確かつ迅速な位置決め制御が容易に行えるように、アクチュエータ30,60が負荷に比べて過大な出力および制動力を持つとともに、そのアクチュエータ30,60を駆動する電源(図示せず)が過大な容量を持つように構成されていた。これにより、多関節アーム機構1は、自由端である第2のアーム40の先端に大きな負荷が与えられた場合でも正確かつ迅速な位置決め制御が容易に行えるようにはなった。しかしながら、このように構成された多関節アーム機構1は、アクチュエータ30,60が過大な出力および制動力を持つとともに、電源が過大な容量を持つため、構造が大型化するとともに、コストが高騰し、操作性が低下するという問題が生じていた。
【0008】
そこで、第1の構成例の問題を解決する多関節アーム機構として、図13に示す、第2の構成例が提供された。
【0009】
図13は、従来の多関節アーム機構の第2の構成例を示す図である。なお、図中、白丸は、回転可能な部位を示している。
【0010】
図13に示すように、第2の構成例の多関節アーム機構2は、第1の構成例の多関節アーム機構1の構成要素に、アクチュエータ70が追加されている。このアクチュエータ70は、先端が第2のアーム40に回転可能に接続され、かつ、後端がベース5に回転可能に接続されており、アクチュエータ30とアクチュエータ60とが協同的に行う回転動作に拮抗する回転動作を行う。このような多関節アーム機構2は、3つのアクチュエータ30,60,70を同時に作動させることによって、第2のアーム40の先端の位置と力と剛性を別個に制御することができる。そのため、多関節アーム機構2は、アクチュエータ30,60の出力および制動力や電源の容量を必要量だけにとどめることができる。その結果、多関節アーム2は、構造が大型化するとともに、コストが高騰し、操作性が低下するという問題を解決しつつ、第2のアーム40の先端に大きな負荷が与えられた場合でも正確かつ迅速な位置決め制御が容易に行える。
【0011】
しかしながら、多関節アーム2は、追加のアクチュエータ70が必要である。また、追加のアクチュエータ70を駆動させるために、電源の容量を増大させる必要もある。そのため、多関節アーム機構2は、重量が増大するとともに、コストが高騰するという問題があった。
【特許文献1】特開平8−19973号公報(段落1〜段落31、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の第1の構成例には、自由端に大きな負荷が与えられた場合に正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題があり、これを解決しようとすると、新たに、構造が大型化するとともに、コストが高騰し、操作性が低下するという問題が生じていた。
【0013】
また、第1の構成例の問題を解決したとされる第2の構成例には、重量が増大するとともに、コストが高騰するという問題があった。
【0014】
したがって、従来は、自由端に大きな負荷が与えられた場合に正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題、構造が大型化するという問題、コストが高騰するという問題、操作性が低下するという問題、および、重量が増大するという問題を同時に解決することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題を解決するために、第1の発明に係る多関節アーム機構は、動作の基点となるベース部と、ベース部に回転可能に接続される第1のアームと、ベース部と第1のアームとを接続する第1の関節部と、第1の関節部を中心にして第1のアームを回転させる第1のアクチュエータと、第1のアームに回転可能に接続される第2のアームと、第1のアームと第2のアームとを接続する第2の関節部と、第2の関節部を中心にして第2のアームを回転させる第2のアクチュエータとを有する。そして、第1の関節部は、ベース部に固定された第1の弾性力伝達部を備え、第2の関節部は、第2のアームに固定された第2の弾性力伝達部を備え、第1の弾性力伝達部と第2の弾性力伝達部は、第1のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第1の係止部と弾性を有する第2の係止部とによって係止されている。
【0016】
第1の発明に係る多関節アーム機構は、2つの係止部が2つの関節部の弾性力伝達部に対して同時に弾性力を作用する。
【0017】
第1の発明に係る多関節アーム機構は、従来の第2の構成例と比較すると、アクチュエータの一つが弾性を有する係止部に置き換えられているため、アクチュエータの数を従来の第2の構成例よりも減らしながら(すなわち、従来の第1の構成例と同じにしながら)、自由端である第2のアームの先端の位置と力と剛性を容易に制御することができる。
【0018】
そのため、第1の発明に係る多関節アーム機構は、自由端に大きな負荷が与えられた場合に正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題、構造が大型化するという問題、コストが高騰するという問題、操作性が低下するという問題、および、重量が増大するという問題を同時に解決している。
【0019】
しかも、第1の発明に係る多関節アーム機構は、2つの係止部の弾性力が、2つの関節部の弾性力伝達部に対して、負荷が自動的に調和するように、同時に作用する。そのため、第1の発明に係る多関節アーム機構は、アクチュエータが応答できないような大きな入力や速い入力に対しても、2つの係止部の弾性力によって一定の力と剛性を保つことができ、特に、落下物や飛来物を柔軟に捕獲するなどの素早い動作を容易に実現することができる。
【0020】
その上、第1の発明に係る多関節アーム機構は、2つの係止部を、例えば引張りコイルスプリングや、トーションバー、ねじりコイルスプリングなどの、動力を必要としない簡素でかつ安価な部材で構成することができる。そのため、第1の発明に係る多関節アーム機構は、動力を必要としない簡素な部材で安価に構成することができる。
【0021】
第2の発明に係る多関節アーム機構は、第1の発明に係る多関節アーム機構の構成要素に加え、さらに、第2のアームに回転可能に接続される第3のアームと、第2のアームと第3のアームとを接続する第3の関節部と、第3の関節部を中心にして第3のアームを回転させる第3のアクチュエータとを有する。そして、第2の関節部は、第2の弾性力伝達部に加え、さらに、第1のアームに固定された第3の弾性力伝達部を備え、第3の関節部は、第3のアームに固定された第4の弾性力伝達部を備え、第3の弾性力伝達部と第4の弾性力伝達部は、第2のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第3の係止部と弾性を有する第4の係止部とによって係止されている。
【0022】
第2の発明に係る多関節アーム機構は、4つの係止部が3つの関節部の弾性力伝達部に対して同時に弾性力を作用する。
【0023】
第2の発明に係る多関節アーム機構は、例えば、2足歩行型のロボットの脚部に用いることができる。この場合、第2の発明に係る多関節アーム機構の各構成要素は、ベース部が胴体として機能し、第1のアームが大腿として機能し、第1の関節部が股関節として機能し、第2のアームがすねとして機能し、第2の関節部がひざ関節として機能し、第3のアームが足として機能し、第3の関節部が足首関節として機能する。
【0024】
第2の発明に係る多関節アーム機構は、第3と第4の弾性力伝達部が、第1の発明に係る多関節アーム機構における第1と第2の弾性力伝達部と同様に作用する。そのため、第2の発明に係る多関節アーム機構は、3つの関節部を有する構成で、2つの関節部を有する第1の発明に係る多関節アーム機構と同様の動作を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明に係る多関節アーム機構は、自由端に大きな負荷が与えられた場合に正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題、構造が大型化するという問題、コストが高騰するという問題、操作性が低下するという問題、および、重量が増大するという問題を同時に解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明は、自由端に大きな負荷が与えられた場合に正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題、構造が大型化するという問題、コストが高騰するという問題、操作性が低下するという問題、および、重量が増大するという問題を同時に解決する多関節アーム機構を提供することを目的とする。このような目的を達成するために、この発明では、多関節アーム機構を以下のように構成する。すなわち、ベース部と第1のアームとを接続する第1の関節部が、ベース部に固定された第1の弾性力伝達部を備え、第1のアームと第2のアームとを接続する第2の関節部が、第2のアームに固定された第2の弾性力伝達部を備え、第1の弾性力伝達部と第2の弾性力伝達部は、第1のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第1の係止部と弾性を有する第2の係止部とによって係止されているように、多関節アーム機構を構成する。
【0027】
以下に、図を参照してこの発明の実施の形態を説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさおよび配置関係を、この発明を理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、この発明は図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0028】
<実施例1に係る多関節アーム機構の構成>
以下に、実施例1に係る多関節アーム機構の構成について説明する。なお、ここでは、関節部の数が2つとなっている2関節アーム機構を例にして説明する。
【0029】
図1は、実施例1に係る多関節アーム機構の構成を示す側面図であり、図2は、実施例1に係る多関節アーム機構の構成を示す上面図である。なお、図1と図2は、各構成要素を模式的に示したものであり、特に、後述のベースアーム106や第1と第2のアーム110,140は、その中心線のみを示している。また、図1では、後述のギア124,132,154,162の歯の内径を一点鎖線の円で示し、歯の外径を実線の円で示している。
【0030】
図1と図2に示すように、実施例1に係る多関節アーム機構(以下、2関節アーム機構と称する場合もある)100は、動作の基点となるベース部104と、ベース部104に回転可能に接続される第1のアーム110と、ベース部104と第1のアーム110とを接続する第1の関節部120と、第1のアーム110を回転させる第1のモータ130と、第1のアーム110に回転可能に接続される第2のアーム140と、第1のアーム110と第2のアーム140とを接続する第2の関節部150と、第2のアーム140を回転させる第2のモータ160とを有する。
【0031】
ベース部104は、例えばロボットやマニュピレータ、パワーショベルなどの装置本体、または、壁や床などの固定対象であるベース105と、ベース105から張り出した長尺部材であるベースアーム106とを備える。なお、ここでは、ベース105が、第1と第2のモータ130,160の駆動を制御する制御部109を有しているものとする。この制御部109は、各関節部の平衡点からの回転角度(以下、関節角度と称する)に応じて各関節部を回転させる第1と第2のモータ130,160の剛性を変更するプログラムが格納されたCPUである。また、ベース部104は、任意の点を空間座標における原点として第1と第2のアームを回転動作させる。ここでは、第1と第2のアーム110,140の回転動作の空間座標における原点を、ベースアーム106の先端(すなわち、第1関節部120の回転の中心位置)とする。
【0032】
第1のアーム110は、長尺な部材であり、後端が後述の第1のプーリ126に固定されている。第1のアーム110は、第1のモータ130が回転することにより、後述の第1の関節軸122を中心にして回転する。なお、第1のアーム110は、後端に、回転角度を規制するための突起112が設けられている。
【0033】
第1の関節部120は、第1の関節軸122と、ギア124と、ベース部104のベースアーム106に固定された第1のプーリ126と、第1の関節部120(具体的には、ギア124)の関節角度(すなわち、第1のアーム110の回転角度)を測定する第1の測定手段128とを備える。第1の関節軸122とギア124と第1のプーリ126は、それぞれ、ベースアーム106の先端を共通の軸にして配置されている。ただし、第1の関節軸122と第1のプーリ126は、ベースアーム106の先端に固定されており、第1のモータ130が回転しても、ベースアーム106に対して回転しない。他方、ギア124は、ベースアーム106の先端に回転可能に配置されており、第1のモータ130が回転すると、ベースアーム106に対して回転する。なお、ギア124は、第1のアーム110に固定され、第1の関節軸122を中心にして第1のモータ130によって第1のアーム110とともに回転する第1の動力伝達部となっている。第1の測定手段128は、例えば、ベースアーム106に固定された回転型のポテンションメータによって構成されている。または、第1の測定手段128は、例えば、ギア124に固定されたスリット板とベースアーム106に固定された回転エンコーダによって構成してもよい。第1の測定手段128は、測定した第1の関節部120の関節角度(すなわち、第1のアーム110の回転角度)を、図示しない配線を介して制御部109に出力する。
【0034】
第1のモータ130は、第1のアーム110を回転させる第1のアクチュエータである。第1のモータ130は、ベース部104のベースアーム106に固定され、かつ、第1の関節部120のギア124と噛み合うギア132が取り付けられている。第1のモータ130は、制御部109の制御により回転力を発生して、ギア132を介して、ギア124に固定された第1のアーム110を回転させる。なお、第1のモータ130をベースアーム106に固定する位置は、図1に直角記号として示すように、第1のモータ130のギア132の外周がベースアーム106の中心線と接するとともに、ギア132が第1の関節部120のギア124と噛み合う位置である。
【0035】
第2のアーム140は、長尺な部材であり、後端が後述の第2のプーリ156に固定されている。第2のアーム140は、第2のモータ160が回転することにより、後述の第2の関節軸152を中心にして第2のプーリ156とともに回転する。なお、第2のアーム140は、後端に、回転角度を規制するための突起142が設けられている。実施例1では、この第2のアーム140の先端が、自由端となる。
【0036】
第2の関節部150は、第2の関節軸152と、ギア154と、第2のアーム140に固定された第2のプーリ156と、第2の関節部150(具体的には、ギア154)の関節角度(すなわち、第2のアーム140の回転角度)を測定する第2の測定手段158とを備える。第2の関節軸152とギア154と第2のプーリ156は、それぞれ、第1のアーム110の先端を共通の軸にして配置されている。ただし、第2の関節軸152は、第1のアーム110の先端に固定され、ギア154と第2のプーリ156は、第1のアーム110の先端に回転可能に配置されている。なお、ギア154は、第2のアーム140に固定され、第2の関節軸152を中心にして第2のモータ160によって第2のアーム140とともに回転する第2の動力伝達部となっている。また、第2のプーリ156は、ギア154とともに第2のアーム140に固定され、第2のモータ160によってギア154が回転すると、第2の関節軸152を中心にして第2のアーム140とともに回転する。第2の測定手段158は、例えば、第1のアーム110に固定された回転型のポテンションメータによって構成されている。または、第2の測定手段158は、例えば、ギア154に固定されたスリット板と第1のアーム110に固定された回転エンコーダによって構成してもよい。第2の測定手段158は、測定した第2の関節部150の関節角度(すなわち、第2のアーム140の回転角度)を、図示しない配線を介して制御部109に出力する。制御部109は、第1と第2の測定手段128,158から出力された第1と第2の関節部120,150の関節角度に基づいて、第1と第2のモータ130,160の剛性を変更する。
【0037】
第2のモータ160は、第2のアーム140を回転させる第2のアクチュエータである。第2のモータ160は、第1のアーム110に固定され、かつ、第2の関節部150のギア154と噛み合うギア162が取り付けられている。第2のモータ160は、制御部109の制御により回転力を発生して、ギア162を介して、ギア154に固定された第2のプーリ156と第2のアーム140とを回転させる。なお、第2のモータ160を第1のアーム110に固定する位置は、図1に直角記号として示すように、第2のモータ160のギア162の外周が第1のアーム110の中心線と接するとともに、ギア162が第2の関節部150のギア154と噛み合う位置である。
【0038】
第1の関節部120の第1のプーリ126と第2の関節部150の第2のプーリ156は、第1のアーム110の両側で、弾性を有する第1の係止部210と弾性を有する第2の係止部220によって係止されている。なお、第1のプーリ126は、第1の係止部210の弾性力と第2の係止部220の弾性力を第1の関節軸122に伝達する第1の弾性力伝達部となっている。また、第2のプーリ156は、第1の係止部210の弾性力と第2の係止部220の弾性力を第2の関節軸152に伝達する第2の弾性力伝達部となっている。
【0039】
第1の係止部210は、例えば、弾性体である第1の引張りコイルスプリング212と2本のワイヤ214,216を備える構成として形成されている。第1の係止部210のワイヤ214は、先端が第1の引張りコイルスプリング212の後端のフックに固定され、後端が第1のプーリ126の外周に巻きつけられて固定されている。第1の引張りコイルスプリング212は、先端のフックがワイヤ216の後端に固定され、後端のフックがワイヤ214の先端に固定されている。ワイヤ216は、先端が第2のプーリ156の外周に巻きつけられて固定され、後端が第1の引張りコイルスプリング212の先端のフックに固定されている。
【0040】
また、第2の係止部220は、例えば、弾性体である第2の引張りコイルスプリング222と2本のワイヤ224,226を備える構成として形成されている。第2の係止部220のワイヤ224は、先端が第2の引張りコイルスプリング222の後端のフックに固定され、後端が第1のプーリ126の外周にワイヤ214の後端とは逆向きに巻きつけられて固定されている。第2の引張りコイルスプリング222は、先端のフックがワイヤ226の後端に固定され、後端のフックがワイヤ224の先端に固定されている。ワイヤ226は、先端が第2のプーリ156の外周にワイヤ216の先端とは逆向きに巻きつけられて固定され、後端が第2の引張りコイルスプリング222の先端のフックに固定されている。
【0041】
なお、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222は、ここでは、ともに同じ弾性係数となっている。また、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222は、第1と第2のアーム110,140が回転していない状態(すなわち、第1と第2のアーム110,140の各先端が同一方向を向いている状態)で、釣り合いがとれた状態となっている。このとき、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222は、ともに同じ長さだけ伸びた状態となっている。以下、この状態における第1と第2の引張りコイルスプリング212,222の長さを、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222の自然長と称する。
【0042】
各ワイヤ214,216,224,226は、弾性体である第1と第2の引張りコイルスプリング212,222の弾性力によって常に引っ張られる。そのため、各ワイヤ214,216,224,226の軸線は、第1と第2のアーム110,140の動作範囲内において、常に、第1または第2のプーリ126,156の接線方向に存在する。
【0043】
また、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222の弾性力(トルク)は、第1のプーリ126の半径または第2のプーリ156の半径をモーメントアームとして、それぞれの弾性力とモーメントアームの積となるトルクを、第1と第2の関節部120,150に作用する。
【0044】
さらに、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222のたわみ量は、第1の関節部120の関節角度の平衡点からの変位角度にモーメントアームを乗じた長さ、および、第2の関節部150の関節角度の平衡点からの変位角度にモーメントアームを乗じた長さの和となる。
【0045】
なお、ここでは、第1と第2の係止部210,220の弾性体として、引張りコイルスプリングを用いたが、トーションバーや、ねじりコイルスプリングを用いても同等の効果が得られる。また、弾性力を関節軸に伝達する手段として、第1と第2のプーリ126,156を用いたが、これ以外の構成であってもよい。
【0046】
なお、図1と図2は、第1と第2の関節部120,150がホームポジションに停止している状態(すなわち、第1と第2のモータ130,160が駆動していない状態)を示している。
【0047】
<実施例1に係る多関節アーム機構の動作>
以下に、実施例1に係る多関節アーム機構の動作について説明する。
【0048】
図3〜図5は、それぞれ、実施例1に係る多関節アーム機構の動作例を示す図である。
【0049】
図3は、2関節アーム機構100の第1と第2の関節部120,150がホームポジション(図1と図2参照)から任意の角度だけ回転した状態(すなわち、第1と第2のモータ130,160が駆動した状態)を示している。
【0050】
図4は、図3に、X軸とY軸からなる2次元の空間座標を加えたものである。なお、図4は、空間座標の原点(すなわち、ベース部104のベースアーム106の先端)から正方向にX軸とY軸が描かれるように、図3を180度回転して示している。
【0051】
図4中、r1は、第1のプーリ126の半径を示し、r2は、第2のプーリ156の半径を示している。また、L1は、第1のアーム110のアーム長を示し、L2は、第2のアーム140のアーム長を示している。また、θ1は、第1の関節部120の関節角度を示し、θ2は、第2の関節部150の関節角度を示している。また、座標(x、y)は、自由端(すなわち、第2のアーム140の先端)の位置を示している。
【0052】
図5は、自由端である第2のアーム140の先端の位置の座標およびベクトルを示している。
【0053】
一般に、多関節アーム機構の自由端(ここでは、2関節アーム機構100の第2のアーム140の先端)の速度と関節角度の速度、あるいは、第1と第2の関節軸122,152に働くトルク(以下、関節軸トルクと称する)と自由端の力は、ヤコビ行列で関連付けられることが知られている。関節軸トルクと自由端の力は、以下に説明するいくつかの数式に基づいて、求めることができる。
【0054】
2関節アーム機構100では、自由端の座標(x,y)は、以下の式1となる。
【0055】
【数2】

【0056】
ここで、θ1とθ2が独立変数であることに着目すれば、自由端の微小変位(Δx,Δy)Tと関節角度の微小変位(Δθ1,Δθ2Tとの関係は、以下の式2として表現できる。なお、「T」は、転置行列(transposed matrix)を示す記号である。転置行列は、aijを(i,j)成分とする(m,n)型の行列A=(aij)に対して、ajiを(i,j)成分とする(n,m)型に変換した行列である。ここでは、自由端の微小変位(Δx,Δy)Tと関節角度の微小変位(Δθ1,Δθ2Tは、2行1列の成分であることを表している。
【0057】
【数3】

【0058】
ここで、以下の式3は、ヤコビ行列である。
【0059】
【数4】

【0060】
一方、エネルギー保存則により、関節角度の微小変位と関節軸トルクでなす仕事量は、自由端の微小変位と自由端の力でなす仕事量に等しいので、任意の(Δθ1,Δθ2Tに対して、以下の式4が成り立つ。
【0061】
【数5】

【0062】
ここで、ヤコビ行列をJと表せば、式4は、以下の式5となる。したがって、以下の式6が成り立つ。なお、2関節アーム機構100では、ヤコビ行列Jは、第2の関節部150の座標を(x1,y1Tとして以下の式7とも表現できる。
【0063】
【数6】

【0064】
ここで、上記の式6に基づいて、関節軸トルクから自由端の力を求めると、自由端の力は、以下の式8となり、さらに、以下の式9となる。
【0065】
【数7】

【0066】
ここで、自由端の位置をベクトルで表せば、図5のようになるので、自由端の位置ベクトルは、以下の式10として表現できる。なお、図5中、ベクトルaは、自由端(すなわち、第2のアーム140の先端)の原点(すなわち、第1の回転軸122)からのベクトルを示し、ベクトルbは、第2のアーム140の先端の第2の関節軸152からのベクトルを示し、ベクトルcは、第1のアーム110の先端の原点からのベクトルを示している。
【0067】
【数8】

【0068】
また、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222の弾性力(トルク)は、前述の通り、第1のプーリ126の半径または第2のプーリ156の半径をモーメントアームとして、それぞれの弾性力とモーメントアームの積となるトルクを、第1と第2の関節部120,150に作用する。
【0069】
さらに、第1と第2の引張りコイルスプリング212,222のたわみ量は、前述の通り、第1の関節部120の関節角度の平衡点からの変位角度にモーメントアームを乗じた長さ、および、第2の関節部150の関節角度の平衡点からの変位角度にモーメントアームを乗じた長さの和となる。
【0070】
そこで、2関節アーム機構100において、2つのアクチュエータ(第1と第2のモータ130,160)が発生するトルクをそれぞれτa1,τa2とし、第1と第2の係止部210,220の2つの弾性体(第1と第2の引張りコイルスプリング212,222)のバネ定数をともにκとし、2つの弾性体が接続されている2つの弾性力伝達部(第1と第2のプーリ126,156)のモーメントアームをそれぞれγ1,γ2とし、弾性体が自然長となる関節角度をそれぞれθ10,θ20とし、その関節角度θ10,θ20からの変位角度をそれぞれδ1,δ2とする。すると、関節軸トルクτ1,τ2は、以下の式11として表現でき、また、自由端の出力は、以下の式12として表現できる。
【0071】
【数9】

【0072】
ここで、以下の式13の成分は、姿勢変化(すなわち、関節角度の変化)に依存しない成分であり、以下の式14の成分は、姿勢変化に依存する成分である。
【0073】
【数10】

【0074】
これら姿勢変化に依存しない成分と姿勢変化に依存する成分とを区別することにより、自由端の力は、アクチュエータが関節軸に作用するトルクによって、制御することができる。また、関節角度の変位に対する応答(すなわち、自由端の剛性)は、モーメントアームによって、制御することができる。
【0075】
したがって、実施例1に係る多関節アーム機構100は、従来の第2の構成例と比較すると、アクチュエータの一つが弾性を有する係止部に置き換えられているため、アクチュエータの数を従来の第2の構成例よりも減らしながら(すなわち、従来の第1の構成例と同じにしながら)、自由端である第2のアーム140の先端の位置と力と剛性を容易に制御することができる。
【0076】
そのため、実施例1に係る多関節アーム機構100は、自由端に大きな負荷が与えられた場合に正確かつ迅速な位置決め制御を行うことが困難であるという問題、構造が大型化するという問題、コストが高騰するという問題、操作性が低下するという問題、および、重量が増大するという問題を同時に解決している。
【0077】
<実施例1に係る多関節アーム機構の制御>
以下に、実施例1に係る多関節アーム機構の制御について説明する。
【0078】
多関節アーム機構100の制御部109は、第1と第2の測定手段128,158によって測定された関節角度を用いて、以下の式15に基づいて、第1と第2の関節部120,150の関節軸トルクが変化するように、第1と第2のアクチュエータである第1と第2のモータ130,160を制御する。
【0079】
【数11】

【0080】
ここで、(τa1,τa2Tは、第1と第2のアクチュエータである第1と第2のモータ130,160の制御量として算出する関節軸トルクである。また、(τu1,τu2Tは、任意の関節軸トルクであり、姿勢変化(すなわち、関節角度の変化)に依存しない成分である。また、以下の式16は、任意の弾性係数である。また、(δ1,δ2Tは、関節角度である。そして、以下の式17は、姿勢変化に依存する成分である。
【0081】
【数12】

【0082】
自由端での出力は、以下の式18となり、自由端に、以下の式19の力と以下の式20の剛性が発生する。
【0083】
【数13】

【0084】
力と剛性は、ともに、任意に設定できる係数を有している。そのため、自由端の力と剛性は、それぞれ、図6に示すブロックに基づいて制御することができる。なお、図6は、実施例1に係る多関節アーム機構の制御ブロックを示す図である。図6中、G2(s)はアクチュエータのオープンループ特性である。なお、オープンループ特性とは、例えば、モータの慣性モーメントを負荷と角度でステップ的に変化させる場合の、モータの回転速度の立ち上がり具合などを意味する。また、G(s)は、制御器特性であり、H(s)は、遅れ補償器特性である。
【0085】
このような実施例1に係る多関節アーム機構100は、2つの関節部に同時に作用する弾性体があるため、アクチュエータが応答できないような大きな入力や速い角度変位入力に対しても一定の弾性を有する特徴がある。
【0086】
実施例1に係る多関節アーム機構100は、関節軸に作用するアクチュエータのトルクを関節角度変位に応じて変化させることにより、自由端の剛性を任意に制御することができる。そのため、例えば、アーム式ロボットなどの装置の動作に最適な剛性を実現することができる。
【0087】
また、実施例1に係る多関節アーム機構100は、2つの係止部の弾性力が、2つの関節部の弾性力伝達部に対して、負荷が自動的に調和するように、同時に作用する。そのため、実施例1に係る多関節アーム機構100は、アクチュエータが応答できないような大きな入力や速い入力に対しても、2つの係止部の弾性力によって一定の力と剛性を保つことができ、特に、落下物や飛来物を柔軟に捕獲するなどの素早い動作を容易に実現することができる。
【0088】
その上、実施例1に係る多関節アーム機構100は、2つの係止部を、例えば引張りコイルスプリングや、トーションバー、ねじりコイルスプリングなどの、動力を必要としない簡素でかつ安価な部材で構成することができる。そのため、実施例1に係る多関節アーム機構は、動力を必要としない簡素な部材で安価に構成することができる。
【実施例2】
【0089】
<実施例2に係る多関節アーム機構の構成>
以下に、実施例2に係る多関節アーム機構の構成について説明する。
【0090】
実施例2に係る多関節アーム機構は、実施例1に係る多関節アーム機構100に、さらに1対のアームと関節部を追加して、3つの関節部を有する構成となっている。なお、ここでは、このような構成の多関節アーム機構を、ロボットの脚に適用する場合を例にして説明する。
【0091】
図7は、実施例2に係る多関節アーム機構の構成を示す側面図であり、図8は、実施例2に係る多関節アーム機構の構成を示す正面図である。なお、図7と図8は、各構成要素を模式的に示したものであり、特に、ベースアーム106や第1と第2のアーム110,140、後述の第3のアーム170は、その中心線のみを示している。また、図7では、ギア124,132,154,162や後述のギア184,192の歯の内径を一点鎖線の円で示し、歯の外径を実線の円で示している。
【0092】
図7と図8に示すように、実施例2に係る多関節アーム機構(以下、3関節アーム機構と称する場合もある)600は、実施例1に係る多関節アーム機構100と同様の構成要素に加え、第2の関節部150を第3のプーリ157が設けられた2重構造(図8参照)にするとともに、第3のアーム170と、第3の関節部180と、第3のモータ190と、第3と第4の係止部230,240とを有する。
【0093】
第2の関節部150は、第2の関節軸152と、ギア154と、第2のプーリ156と、第2の測定手段158とに加え、第1のアーム110に固定された第3のプーリ157を備える。第3のプーリ157は、第2の関節軸152やギア154、第2のプーリ156とともに、第1のアーム110の先端を共通の軸にして配置されている。なお、第3のプーリ157の半径は、制御部109が制御し易いように、第2のプーリ156と同じ半径であることが好ましい。
【0094】
第3のアーム170は、L字状に形成された長尺な部材であり、後端が後述の第4のプーリ186に固定されている。第3のアーム170は、第3のモータ190が回転することにより、後述の第3の関節軸182を中心にして第4のプーリ186とともに回転する。なお、第3のアーム170は、後端に、回転角度を規制するための突起172が設けられている。実施例2では、この第3のアーム170の先端が、自由端となる。
【0095】
第3の関節部180は、第3の関節軸182と、ギア184と、第3のアーム170に固定された第4のプーリ186と、第3の関節部180(具体的には、ギア184)の関節角度(すなわち、第3のアーム170の回転角度)を測定する第3の測定手段188とを備える。第3の関節軸182とギア184と第4のプーリ186は、それぞれ、第2のアーム140の先端を共通の軸にして配置されている。ただし、第3の関節軸182は、第2のアーム140の先端に固定され、ギア184と第4のプーリ186は、第2のアーム140の先端に回転可能に配置されている。なお、ギア184は、第3のアーム170に固定され、第3の関節軸182を中心にして第3のモータ190によって第3のアーム170とともに回転する第3の動力伝達部となっている。また、第4のプーリ186は、ギア184とともに第3のアーム170に固定され、第3のモータ190によってギア184が回転すると、第3の関節軸182を中心にして第3のアーム170とともに回転する。第3の測定手段188は、例えば、第2のアーム140に固定された回転型のポテンションメータによって構成されている。または、第3の測定手段188は、例えば、ギア184に固定されたスリット板と第2のアーム140に固定された回転エンコーダによって構成してもよい。第3の測定手段188は、測定した第3の関節部180の関節角度(すなわち、第3のアーム170の回転角度)を、図示しない配線を介して制御部109に出力する。制御部109は、第1と第2と第3の測定手段128,158,188から出力された第1と第2と第3の関節部120,150,180の関節角度に基づいて、第1と第2と第3のモータ130,160,190の剛性を変更する。
【0096】
第3のモータ190は、第3のアーム170を回転させる第3のアクチュエータである。第3のモータ190は、第2のアーム140に固定され、かつ、第3の関節部180のギア184と噛み合うギア192が取り付けられている。第3のモータ190は、制御部109の制御により回転力を発生して、ギア192を介して、ギア184に固定された第4のプーリ186と第3のアーム170とを回転させる。なお、第3のモータ190を第2のアーム140に固定する位置は、図7に直角記号として示すように、第3のモータ190のギア192の外周が第2のアーム140の中心線と接するとともに、ギア192が第3の関節部180のギア184と噛み合う位置である。
【0097】
第2の関節部150の第3のプーリ157と第3の関節部180の第4のプーリ186は、第2のアーム140の両側で、弾性を有する第3の係止部230と弾性を有する第4の係止部240によって係止されている。なお、第3のプーリ157は、第3の係止部230の弾性力と第4の係止部240の弾性力を第2の関節軸152に伝達する第3の弾性力伝達部となっている。また、第4のプーリ186は、第3の係止部230の弾性力と第4の係止部240の弾性力を第3の関節軸182に伝達する第4の弾性力伝達部となっている。
【0098】
第3の係止部230は、例えば、弾性体である第3の引張りコイルスプリング232と2本のワイヤ234,236を備える構成として形成されている。第3の係止部230のワイヤ234は、先端が第3の引張りコイルスプリング232の後端のフックに固定され、後端が第3のプーリ157の外周に巻きつけられて固定されている。第3の引張りコイルスプリング232は、先端のフックがワイヤ236の後端に固定され、後端のフックがワイヤ234の先端に固定されている。ワイヤ236は、先端が第4のプーリ186の外周に巻きつけられて固定され、後端が第3の引張りコイルスプリング232の先端のフックに固定されている。
【0099】
また、第4の係止部240は、例えば、弾性体である第4の引張りコイルスプリング242と2本のワイヤ244,246を備える構成として形成されている。第4の係止部240のワイヤ244は、先端が第4の引張りコイルスプリング242の後端のフックに固定され、後端が第3のプーリ157の外周にワイヤ234の後端とは逆向きに巻きつけられて固定されている。第4の引張りコイルスプリング242は、先端のフックがワイヤ246の後端に固定され、後端のフックがワイヤ244の先端に固定されている。ワイヤ246は、先端が第4のプーリ186の外周にワイヤ236の先端とは逆向きに巻きつけられて固定され、後端が第4の引張りコイルスプリング242の先端のフックに固定されている。
【0100】
なお、第3と第4の引張りコイルスプリング232,242は、ここでは、ともに同じ弾性係数となっている。また、第3と第4の引張りコイルスプリング232,242は、第2と第3のアーム140,170が回転していない状態(すなわち、第2と第3のアーム140,170の各先端が同一方向を向いている状態)で、釣り合いがとれた状態となっている。このとき、第3と第4の引張りコイルスプリング232,242は、ともに同じ長さだけ伸びた状態となっている。以下、この状態における第3と第4の引張りコイルスプリング232,242の長さを、第3と第4の引張りコイルスプリング232,242の自然長と称する。
【0101】
各ワイヤ234,236,244,246は、弾性体である第3と第4の引張りコイルスプリング232,242の弾性力によって常に引っ張られる。そのため、各ワイヤ234,236,244,246の軸線は、第2と第3のアーム140,170の動作範囲内において、常に、第3または第4のプーリ157,186の接線方向に存在する。
【0102】
また、第3と第4の引張りコイルスプリング232,242の弾性力(トルク)は、第3のプーリ157の半径または第4のプーリ186の半径をモーメントアームとして、それぞれの弾性力とモーメントアームの積となるトルクを、第2と第3の関節部150,180に作用する。
【0103】
さらに、第3と第4の引張りコイルスプリング232,242のたわみ量は、第2の関節部150の関節角度の平衡点からの変位角度にモーメントアームを乗じた長さ、および、第4の関節部180の関節角度の平衡点からの変位角度にモーメントアームを乗じた長さの和となる。
【0104】
なお、ここでは、第3と第4の係止部230,240の弾性体として、引張りコイルスプリングを用いたが、トーションバーや、ねじりコイルスプリングを用いても同等の効果が得られる。また、弾性力を関節軸に伝達する手段として、第3と第4のプーリ157,186を用いたが、これ以外の構成であってもよい。
【0105】
なお、図7と図8は、第1と第2と第3の関節部120,150,180がホームポジションに停止している状態(すなわち、第1と第2と第3のモータ130,160,190が駆動していない状態)を示している。
【0106】
このような多関節アーム機構600は、前述の通り、ロボットの脚に用いることができる。この場合、ベース部104が胴体(Body)として機能し、第1のアーム110が大腿(Thigh)として機能し、第1の関節部120が股関節(Hip joint)として機能し、第2のアーム140がすね(Leg)として機能し、第2の関節部150がひざ関節(Knee)として機能し、第3のアーム170が足(foot)として機能し、第3の関節部180が足首関節(Ankle)として機能する。
【0107】
このような多関節アーム機構600は、第3と第4の弾性力伝達部である第3と第4のプーリ157,186が、実施例1に係る多関節アーム機構100における第1と第2の弾性力伝達部である第1と第2のプーリ126,156と同様に作用する。そのため、多関節アーム機構600は、3つの関節部を有する構成で、2つの関節部を有する実施例1に係る多関節アーム機構100と同様の動作を実現することができる。
【0108】
<実施例2に係る多関節アーム機構の動作>
以下に、実施例2に係る多関節アーム機構の動作について説明する。
【0109】
図9と図10は、それぞれ、実施例2に係る多関節アーム機構の動作例を示す図である。なお、ここでは、図9と図10の、図4または図5に共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0110】
図9は、3関節アーム機構600の第1と第2と第3の関節部120,150,180がホームポジション(図7と図8参照)から任意の角度だけ回転した状態(すなわち、第1と第2と第3のモータ130,160,190が駆動した状態)を示している。
【0111】
図9中、r3は、第4のプーリ186の半径を示している。なお、第3のプーリ157の半径は、ここでは、第2のプーリ156の半径と同じr2となっている。また、L3は、第3のアーム170のアーム長を示している。
【0112】
図10は、自由端である第3のアーム170の先端の位置の座標を示している。
【0113】
図10中、θ3は、第3の関節部180の関節角度を示している。また、座標(x、y)は、自由端(すなわち、第3のアーム170の先端)の位置を示している。
【0114】
3関節アーム機構600において、第1と第2と第3の関節軸122,152,182に働くトルク(以下、関節軸トルクと称する)と自由端の力は、実施例1に係る2関節アーム機構100と同様に、ヤコビ行列で関連付けられる。3関節アーム機構600では、関節軸トルクと自由端の力は、以下の式21の通りである。
【0115】
【数14】

【0116】
ここで、θは、θ=θ1+θ2+θ3である。
【0117】
また、ヤコビ行列Jは、図10中の記号を用いると、以下の式22として表される。
【0118】
【数15】

【0119】
また、自由端の出力は、以下の式23として表すことができる
【0120】
【数16】

【0121】
したがって、3関節アーム機構600は、2次元平面内の力をすべて規定することができるので、自由端の位置と力と剛性を制御することができる。
【0122】
なお、3関節アーム機構600は、ロボットの脚に用いた場合に、外部から負荷が与えられたときでも、以下の原理により、ロボットの姿勢が平衡な状態になるように、ポテンシャルエネルギーが変化する。そのため、ロボットは、立位の安定性を容易に獲得できる。
【0123】
ロボットの姿勢が平衡点から変化することによるポテンシャルエネルギーの変化を、図11に示す。なお、図11は、ロボットの姿勢の変化とポテンシャルエネルギーの変化の関係を示すグラフ図である。図11は、股関節(第1の関節部120)の位置が平衡点からx方向とy方向に変位したときのポテンシャルエネルギーを曲面で示している。ポテンシャルエネルギーは、ここでは、股関節とひざ関節(第1と第2の関節部120,150)およびひざ関節と足首関節(第2と第3の関節部150,180)に跨って配置された第1〜第4の係止部210,220,230,240に蓄積される弾性エネルギーと、ロボット全体の位置エネルギーとの和となる。
【0124】
図11中、曲線は、等しいポテンシャルエネルギーの領域を示す、等ポテンシャル曲線である。ポテンシャルエネルギーは、平衡点(0,0)で極小値を有している。そのため、外部から与えられた負荷によってロボットの姿勢が変化し、これによってポテンシャルエネルギーが平衡点から変位すると、ロボットの姿勢を平衡点の姿勢に戻すような復元力が常に働く。そのため、ロボットは、立位の安定性を容易に獲得できる。
【0125】
また、摩擦力、粘性抵抗などの、エネルギーを消費する要素は、実用上必ず存在するので、リアプノフの安定性(Lyapunov stability;公知のリアプノフ関数の正・負定値性を調べることによって決定されるシステムの安定性)が成り立つ。そのため、ロボットは、これによっても、立位の安定性を容易に獲得できる。
【0126】
このような3関節アーム機構600を用いたロボットは、平衡点において漸近安定性を有することになり、一定範囲の外乱(外部から与えられた負荷)に対して、上体の傾斜角度や、足裏の荷重分布を制御部109にフィードバックして制御しなくても、立位姿勢を保持することができる。
【0127】
このように、3関節アーム機構600をロボットの脚に適用すれば、立位の安定性を容易に獲得できるので、脚式移動ロボットの制御を簡易にできる。
【0128】
また、3関節アーム機構600は、実施例1に係る2関節アーム機構100と同様に、アクチュエータが応答しきれないような速い動きに対しても、一定の弾性を保つことができる。そのため、跳躍動作や着地動作の安定性を向上することができる。
【0129】
なお、実施例2では、多関節軸に同時に作用する弾性体に、拮抗する2本の引張りコイルスプリングを用いたが、トーションバーや、ねじりコイルスプリングを使用しても同等の効果が得られる。また、弾性力を関節軸に伝達する手段は、前述の実施例に制限されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
この発明は、例えば、マニュピレータやパワーショベルのアームなどにも適用することができる。
【0131】
また、この発明は、前述の実施例1と2に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の応用や変形が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】実施例1に係る多関節アーム機構の構成を示す側面図である。
【図2】実施例1に係る多関節アーム機構の構成を示す上面図である。
【図3】実施例1に係る多関節アーム機構の動作例を示す図(1)である。
【図4】実施例1に係る多関節アーム機構の動作例を示す図(2)である。
【図5】実施例1に係る多関節アーム機構の動作例を示す図(3)である。
【図6】実施例1に係る多関節アーム機構の制御ブロックを示す図である。
【図7】実施例2に係る多関節アーム機構の構成を示す側面図である。
【図8】実施例2に係る多関節アーム機構の構成を示す正面図である。
【図9】実施例2に係る多関節アーム機構の動作例を示す図(1)である。
【図10】実施例2に係る多関節アーム機構の動作例を示す図(2)である。
【図11】ロボットの姿勢の変化とポテンシャルエネルギーの変化の関係を示すグラフ図である。
【図12】従来の多関節アーム機構の第1の構成例を示す図である。
【図13】従来の多関節アーム機構の第2の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0133】
100 …多関節アーム機構(2関節アーム機構)
104 …ベース部
105 …ベース
106 …ベースアーム
109 …制御部
110 …第1のアーム
120 …第1の関節部
122 …第1の関節軸
124,132,154,162 …ギア(動力伝達部)
126 …第1のプーリ(第1の弾性力伝達部)
128,158 …測定手段
130 …第1のモータ(第1のアクチュエータ)
140 …第2のアーム
150 …第2の関節部
152 …第2の関節軸
156 …第2のプーリ(第2の弾性力伝達部)
160 …第2のモータ(第2のアクチュエータ)
210 …第1の係止部
212 …第1の引張りコイルスプリング(弾性体)
214,216,224,226 …ワイヤ
220 …第2の係止部
222 …第2の引張りコイルスプリング(弾性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作の基点となるベース部と、
前記ベース部に回転可能に接続される第1のアームと、
前記ベース部と前記第1のアームとを接続する第1の関節部と、
前記第1の関節部を中心にして前記第1のアームを回転させる第1のアクチュエータと、
前記第1のアームに回転可能に接続される第2のアームと、
前記第1のアームと前記第2のアームとを接続する第2の関節部と、
前記第2の関節部を中心にして前記第2のアームを回転させる第2のアクチュエータとを有し、
前記第1の関節部は、前記ベース部に固定された第1の弾性力伝達部を備え、
前記第2の関節部は、前記第2のアームに固定された第2の弾性力伝達部を備え、
前記第1の弾性力伝達部と前記第2の弾性力伝達部は、前記第1のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第1の係止部と弾性を有する第2の係止部とによって係止されていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項2】
請求項1に記載の多関節アーム機構において、
前記第1の係止部は、弾性体と、当該弾性体に係合された第1と第2のワイヤとによって構成され、
前記第2の係止部は、弾性体と、当該弾性体に係合された第3と第4のワイヤとによって構成され、
前記第1の弾性力伝達部は、前記第1の係止部の第1のワイヤと前記第2の係止部の第3のワイヤが逆向きに巻きつけられた第1のプーリによって構成され、
前記第2の弾性力伝達部は、前記第1の係止部の第2のワイヤと前記第2の係止部の第4のワイヤが逆向きに巻きつけられた第2のプーリによって構成されていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項3】
請求項2に記載の多関節アーム機構において、
前記第1と第2の係止部を構成する弾性体は、それぞれ、引張りコイルスプリングであることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項4】
請求項1に記載の多関節アーム機構において、
前記第1の関節部は、回転の中心となる第1の関節軸と、前記ベース部に固定された前記第1の弾性力伝達部と、前記第1のアームに固定され、当該第1の関節軸を中心にして前記第1のアクチュエータによって前記第1のアームとともに回転する第1の動力伝達部とを備え、
前記第2の関節部は、回転の中心となる第2の関節軸と、前記第2のアームに固定された前記第2の弾性力伝達部と、前記第2のアームに固定され、当該第2の関節軸を中心にして前記第2のアクチュエータによって前記第2のアームとともに回転する第2の動力伝達部とを備えていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項5】
請求項4に記載の多関節アーム機構において、
前記第1と第2のアクチュエータは、それぞれ、ギアが取り付けられた第1と第2のモータによって構成され、
前記第1の動力伝達部は、前記第1のモータに取り付けられたギアと噛み合うギアによって構成され、
前記第2の動力伝達部は、前記第2のモータに取り付けられたギアと噛み合うギアによって構成されていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項6】
請求項1に記載の多関節アーム機構において、
さらに、前記第1の関節部の関節角度を測定する第1の関節角度測定手段と、前記第2の関節部の関節角度を測定する第2の関節角度測定手段と、前記第1と第2のアクチュエータを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、下式に基づいて、前記第1または第2の関節角度測定手段によって測定された関節角度に応じて、前記第1と第2のアクチュエータの、前記第1または第2の関節軸を回転させる関節軸トルクτa1とτa2を変化させることを特徴とする多関節アーム機構。
【数1】

【請求項7】
動作の基点となるベース部と、
前記ベース部に回転可能に接続される第1のアームと、
前記ベース部と前記第1のアームとを接続する第1の関節部と、
前記第1の関節部を中心にして前記第1のアームを回転させる第1のアクチュエータと、
前記第1のアームに回転可能に接続される第2のアームと、
前記第1のアームと前記第2のアームとを接続する第2の関節部と、
前記第2の関節部を中心にして前記第2のアームを回転させる第2のアクチュエータと、
前記第2のアームに回転可能に接続される第3のアームと、
前記第2のアームと前記第3のアームとを接続する第3の関節部と、
前記第3の関節部を中心にして前記第3のアームを回転させる第3のアクチュエータとを有し、
前記第1の関節部は、前記ベース部に固定された第1の弾性力伝達部を備え、
前記第2の関節部は、前記第2のアームに固定された第2の弾性力伝達部と、前記第1のアームに固定された第3の弾性力伝達部とを備え、
前記第3の関節部は、前記第3のアームに固定された第4の弾性力伝達部を備え、
前記第1の弾性力伝達部と前記第2の弾性力伝達部は、前記第1のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第1の係止部と弾性を有する第2の係止部とによって係止され、
前記第3の弾性力伝達部と前記第4の弾性力伝達部は、前記第2のアームを挟んで、回転平面の両側で、弾性を有する第3の係止部と弾性を有する第4の係止部とによって係止されていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項8】
請求項7に記載の多関節アーム機構において、
前記第1の係止部は、弾性体と、当該弾性体に係合された第1と第2のワイヤとによって構成され、
前記第2の係止部は、弾性体と、当該弾性体に係合された第3と第4のワイヤとによって構成され、
前記第3の係止部は、弾性体と、当該弾性体に係合された第5と第6のワイヤとによって構成され、
前記第4の係止部は、弾性体と、当該弾性体に係合された第7と第8のワイヤとによって構成され、
前記第1の弾性力伝達部は、前記第1の係止部の第1のワイヤと前記第2の係止部の第3のワイヤが逆向きに巻きつけられた第1のプーリによって構成され、
前記第2の弾性力伝達部は、前記第1の係止部の第2のワイヤと前記第2の係止部の第4のワイヤが逆向きに巻きつけられた第2のプーリによって構成され、
前記第3の弾性力伝達部は、前記第2のプーリと同じ軸を中心に回転し、かつ、前記第3の係止部の第5のワイヤと前記第4の係止部の第7のワイヤが逆向きに巻きつけられた第3のプーリによって構成され、
前記第4の弾性力伝達部は、前記第3の係止部の第6のワイヤと前記第4の係止部の第8のワイヤが逆向きに巻きつけられた第4のプーリによって構成されていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項9】
請求項8に記載の多関節アーム機構において、
前記第1〜第4の係止部を構成する弾性体は、それぞれ、引張りコイルスプリングであることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項10】
請求項7に記載の多関節アーム機構において、
前記第1の関節部は、回転の中心となる第1の関節軸と、前記ベース部に固定された前記第1の弾性力伝達部と、前記第1のアームに固定され、当該第1の関節軸を中心にして前記第1のアクチュエータによって前記第1のアームとともに回転する第1の動力伝達部とを備え、
前記第2の関節部は、回転の中心となる第2の関節軸と、前記第2のアームに固定された前記第2の弾性力伝達部と、前記第2のアームに固定され、当該第2の関節軸を中心にして前記第2のアクチュエータによって前記第2のアームとともに回転する第2の動力伝達部と、前記第1のアームに固定された前記第3の弾性力伝達部とを備え、
前記第3の関節部は、回転の中心となる第3の関節軸と、前記第3のアームに固定された前記第4の弾性力伝達部と、前記第3のアームに固定され、当該第3の関節軸を中心にして前記第3のアクチュエータによって前記第3のアームとともに回転する第3の動力伝達部とを備えていることを特徴とする多関節アーム機構。
【請求項11】
請求項10に記載の多関節アーム機構において、
前記第1と第2と第3のアクチュエータは、それぞれ、ギアが取り付けられた第1と第2と第3のモータによって構成され、
前記第1の動力伝達部は、前記第1のモータに取り付けられたギアと噛み合うギアによって構成され、
前記第2の動力伝達部は、前記第2のモータに取り付けられたギアと噛み合うギアによって構成され、
前記第3の動力伝達部は、前記第3のモータに取り付けられたギアと噛み合うギアによって構成されていることを特徴とする多関節アーム機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−231454(P2006−231454A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48563(P2005−48563)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】