天井ユニット
【課題】フロントパネルを容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる天井ユニットを提供する。
【解決手段】天井ユニットUは、開口11が設けられた天井パネル10と、開口11に臨み、天井パネル10の室内側に面する天井面14より上方に取り付けられた暖房換気乾燥機30とを備えている。天井パネル10は、開口11の周縁部の内側に立ち上がる立上壁21を支持している。立上壁21は暖房換気乾燥機30が取り付けられる取付部23を上端部に形成している。立上壁21の内側にフロントパネル40が配置されている。フロントパネル40は、暖房換気乾燥機30の下面を覆うとともに室内側に面する下面が外周側に隣接したアダプタ20の鍔部22の下面と略面一である。
【解決手段】天井ユニットUは、開口11が設けられた天井パネル10と、開口11に臨み、天井パネル10の室内側に面する天井面14より上方に取り付けられた暖房換気乾燥機30とを備えている。天井パネル10は、開口11の周縁部の内側に立ち上がる立上壁21を支持している。立上壁21は暖房換気乾燥機30が取り付けられる取付部23を上端部に形成している。立上壁21の内側にフロントパネル40が配置されている。フロントパネル40は、暖房換気乾燥機30の下面を覆うとともに室内側に面する下面が外周側に隣接したアダプタ20の鍔部22の下面と略面一である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の天井ユニットが開示されている。この天井ユニットは、開口が設けられた天井部材と、開口に臨み、天井部材より上方に取り付けられた換気扇とを備えている。また、この天井ユニットは、開口の周縁部の天井部材に取り付けられたアダプターを有している。アダプターは、開口の周縁部の内側に立ち上がる立上壁を有している。立上壁の下端部には、外側に延びる鍔部が形成されている。鍔部が開口の周縁部の天井部材に対し、下方から螺子止め固定されている。また、アダプターは、立上壁の上端部に内側に延び、所定幅に形成された取付部を有している。換気扇は、下端部に形成された外側に延びる取付用鍔部を有している。換気扇は、アダプターの取付部の内側を挿通し、取付用鍔部の上面を取付部の下面に当接させ、螺子止め固定されている。さらに、この天井ユニットは、天井面に周縁を当接させて取り付けられ、開口よりも大きいフロントパネルを備えている。このように構成された従来の天井ユニットでは、換気扇が天井部材の上面よりも高い位置に配置することができるため、天井部材の上方で換気扇に排気管を接続する際、天井部材が干渉せず容易に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−43236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の天井ユニットでは、フロントパネルを開口より大きく形成しなければならないため、フロントパネルが大型化してしまう。このため、フロントパネルの取り外しに手間を要する。また、フロントパネルの大型化とともに、周縁が天井面に当接して取り付けられているため、フロントパネルは天井面から大きく下方へ突出してしまう。このため、室内空間においてフロントパネルの存在が大きく感じられ、目立ち過ぎてしまう。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、フロントパネルを容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる天井ユニットを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の天井ユニットは、開口が設けられた天井部材と、開口に臨み、天井部材の室内側に面する天井面より上方に取り付けられた取付対象物とを備えた天井ユニットであって、
前記取付対象物が取り付けられる取付部が上端部に形成され、前記天井部材に支持されて前記開口の周縁部、又はその内側もしくは外側に立ち上がる立上壁と、
前記立上壁の内側、かつ前記開口の周縁部の内側に配置され、前記取付対象物の下面を覆うとともに室内側に面する下面が外周側に隣接した部材の下面と略面一であるフロントパネルとを備えていることを特徴とする。
【0007】
この天井ユニットでは、フロントパネルが立上壁の内側、かつ開口の周縁部の内側に配置されているため、フロントパネルが天井部材の開口より小さく形成され、大型化を避けることができる。また、フロントパネルは、下面が外周側に隣接した部材の下面と略面一であるため、隣接した部材が天井部材である場合には、フロントパネルの下面を天井面と略同一面にすることができる。また、隣接した部材が天井部材に取り付けられた部材である場合には、その部材の天井面からの突出量を小さくすることにより、フロントパネルの下面の天井面からの突出量も小さくすることができる。
【0008】
したがって、本発明の天井ユニットは、フロントパネルを容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【0009】
前記天井部材に取り付けられ、前記開口の周縁部の内側に配置されたアダプターを備え、アダプターは上下方向に貫通する空洞を形成した枠状の前記立上壁を有し得る。この場合、アダプターを天井部材に取り付けることにより、天井部材に支持された立上壁を開口の周縁部の内側に容易に形成することができる。
【0010】
前記アダプターは、前記立上壁の下端部から外側に延びて形成され、前記開口の周縁部の前記天井面を覆い、室内側に露出する鍔部を有し得る。この場合、アダプターの鍔部が開口の周縁部の天井面を覆い、室内側に露出するため、開口の小口及び周縁部の天井面をアダプターの取り付けと同時に鍔部により隠蔽することができる。これにより、開口の周縁部の天井面にねじ込まれたビス等が存在する場合であっても、そのビス等も鍔部により隠蔽することができる。このため、天井ユニットの外観をすっきりとしたものにすることができる。
【0011】
前記アダプターは、前記立上壁の上端部から内側に延び、所定幅に形成された前記取付部を有し、取付部の上面に接合されたアダプター補強金具を備え得る。この場合、アダプター補強金具により取付部の強度が補強されるため、取付対象物を強固に取付部に取り付けることができる。また、取付対象物をアダプターの下方から取付部の内側に挿通させ、下方から取付部に対して螺子止め固定等をすることが可能となり、取付対象物を室内側からアダプターに容易に取り付けることができる。
【0012】
前記アダプター補強金具は、前記取付部より外側に延出する延出部を有し、延出部と前記アダプターの鍔部との間で前記天井部材を挟持し得る。この場合、天井部材を挟んでアダプターとアダプター補強金具を配置し、アダプターの取付部にアダプター補強金具を接合することにより、延出部とアダプターの鍔部との間で天井部材を挟持することができる。これにより、天井部材にアダプターを仮止めすることができる。このため、アダプターを仮止めした後、天井部材に容易に取り付けることができる。また、アダプターを仮止めした状態で、アダプターの取り付け位置を調整することができ、適切な位置にアダプターを取り付けることができる。
【0013】
前記天井部材は、上面に接合され、前記開口を挟んで同一方向に延びる一対の補強材を有し、補強材の上面に前記アダプター補強金具の延出部が載置され得る。この場合、アダプターに取り付けられた取付対象物の重量は、アダプター補強金具を介して天井部材の上面に接合された補強材に加わる。このため、取付対象物を天井部材の全体で保持することになり、取付対象物を確実に保持することができる。
【0014】
前記立上壁が前記天井部材に一体に形成され得る。この場合、天井ユニットの構造が簡易になり、取付対象物を天井部材に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0015】
前記立上壁は、前記天井部材の上面よりも上方まで延び得る。この場合、取付部を天井部材の上面よりも高い位置に設けることができるため、取付対象物を天井部材の上面よりも高い位置に配置することができる。これにより、取付対象物に対して天井部材の上方で接続される部材などがあった場合、その部材が天井部材に干渉することなく容易に接続することができる。
【0016】
前記取付対象物は換気機能及び暖房機能を有する空調装置であり、
前記フロントパネルは、前記空調装置の吸込み口の下部に設けられたフィルターと、空調装置の吹出し口の下部に設けられ、温風の吹出し方向を規制するルーバーとを有し得る。
【0017】
この場合、天井部材に空調装置を容易に組み付けることができる。また、フロントパネルによって、所定の方向に温風を吹き出させることができるため、室内環境を快適に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の天井ユニットを用いた浴室を示す外観図である。
【図2】実施例1の天井ユニットの分解斜視図である。
【図3】実施例1の天井ユニットに係り、図1の矢視X、Yにおける部分断面図である。
【図4】実施例1の天井ユニットに係り、図1の矢視Zにおける部分断面図である。
【図5】実施例1の天井ユニットに係り、天井パネルにアダプター及びアダプター補強金具を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図6】実施例1の天井ユニットに係り、天井パネルにアダプター及びアダプター補強金具が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】実施例1の天井ユニットに係り、アダプターに暖房換気乾燥機を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図8】実施例1の天井ユニットに係り、暖房換気乾燥機にフロントパネルを取り付ける工程を示す斜視図である。
【図9】実施例2の天井ユニットの要部断面図である。
【図10】実施例3の天井ユニットの要部断面図である。
【図11】実施例4の天井ユニットの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の天井ユニットを具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1の天井ユニットUは、図1に示すように、浴室の天井に用いられている。この浴室は、洗い場を形成する床パネルFと、浴槽Tと、図示しない水栓金具等が取り付けられた壁パネルWと、天井を形成する天井ユニットU及び天井パネルCとを有している。天井ユニットU及び天井パネルCは、壁パネルWの上端に載置されている。天井ユニットUと天井パネルCとは連結されている。
【0021】
天井ユニットUは、図2に示すように、天井部材である天井パネル10と、補強材13と、アダプター20と、アダプター補強金具24と、取付対象物である暖房換気乾燥機30と、フロントパネル40とを有している。
【0022】
天井パネル10は長方形状である。天井パネル10には長方形状の開口11が略中央に設けられている。天井パネル10は、図3及び図4に示すように、石膏ボード10Aと、石膏ボード10Aに貼着された鋼板10Bとから形成されている。鋼板10Bが浴室側に面し、天井面14を形成している。開口11の小口にはアルミテープ12が貼着されている。これにより、石膏ボード10Aの端部が崩れたり、鋼板10Bの端部が錆びたりすることを防止している。
【0023】
天井パネル10の上面には、図2〜図4に示すように、開口11を挟み、天井パネル10の長辺方向に沿って同一方向に延びる一対の補強材13が接合されている。補強材13はC型金具であり、一片が天井パネル10の上面に両面テープにより接着され、かつ螺子止め固定されている。補強材13の一方は、天井パネル10の長辺と同じ長さを有し、天井パネル10の一端から他端まで延びている。補強材13の他方は、開口11の長辺よりも長く、かつ天井パネル10の長辺よりも短い長さを有し、両端の夫々が天井パネル10の端部から所定間隔離れて取り付けられている。このため、他方の補強材13の両端部より外側の天井パネル10の上面に、照明器具等を取り付けることができる平坦なスペースを確保している。
【0024】
天井パネル10の開口11にはアダプター20が取り付けられている。アダプター20は、天井ユニットUが壁面Wの上端に載置された状態で、上下方向に貫通する空洞Hを形成し、上下方向に所定幅を有する矩形枠状の立上壁21を有している。立上壁21は開口11の内側に立ち上げられている。立上壁21は、開口11の周縁部に沿って形成されている。
【0025】
アダプター20は、立上壁21の下端部から外側に延びて形成された鍔部22を有している。立上壁21が開口11に挿入され、鍔部22が開口11の周縁部の天井面14を覆っている。この状態で鍔部22は、補強材13を固定している螺子の頭部も覆っている。このように、螺子の頭部が浴室内に露出せず、鍔部22が浴室内に露出するため、開口11の周縁部の外観をすっきりとしたものにしている。鍔部22の外周端部と天井面14との間にはシリコンSが充填され、コーキングされている。また、立上壁21と鍔部22とにより形成された角部の内側に貼着された発泡部材Rが天井面14により圧縮されている。これにより、コーキングが切れた場合でも鍔部22と天井面14との間から浴室内の蒸気等が天井パネル10の上方に侵入してしまうことを防止している。
【0026】
アダプター20は、立上壁21の上端部から内側に延び、所定幅に形成された取付部23を有している。取付部23には、螺子孔が貫設された複数のボス23A、23Bが設けられている。アダプター20の取付部23の上面には、アダプター補強金具24が接合されている。アダプター補強金具24は、ボス23Aの下方から挿入された螺子により取付部23に螺子止め固定されている。
【0027】
アダプター補強金具24は、二対のL型金具24A、24Bを連結して形成されている。一方のL型金具24Aの両端部は、他方のL型金具24Bの両端部より内側に連結されているため、他方のL型金具24Bの両端部は外側にはみ出し、延出部24Eを形成している。延出部24Eは、アダプター補強金具24が取付部23に接合された状態で取付部23より外側に延出している。延出部24Eは、天井パネル10の上面に接合された補強材13に載置され、螺子止め固定されている。このように、アダプター20が天井パネル10の開口11に取り付けられている。
【0028】
暖房換気乾燥機30は、図7に示すように、筐体31内に吸気ファン34と熱源35とを有している。吸気ファン34の吸込み口及び熱源35の吹出し口は下方に向けて開口している。筐体31は、下端部の周縁から外側に延びて形成された取付用鍔部32を有している。取付用鍔部32には、複数の螺子孔32Aが貫設されている。また、取付用鍔部32の下面には、フロントパネル40を取り付けるためのボス32Bが四隅に設けられている。筐体31の側面には、排気ダクト34の接続口33が設けられている。
【0029】
暖房換気乾燥機30は、図2〜図4に示すように、アダプター20の空洞部H及び取付部23の内側を下方から挿通し、取付用鍔部32の上面が取付部23の下面に当接している。取付用鍔部32に貫設された螺子孔32Aに下方から挿入された螺子は、アダプター20の取付部23に貫設された螺子孔23Bを貫通し、アダプター補強金具24のL型金具24Bにねじ込まれている。このようにして、暖房換気乾燥機30は天井パネル10の上面よりも高い位置に取り付けられている。また、暖房換気乾燥機30の重量は、アダプター補強金具24を介して天井パネル10の上面に接合された補強材13に加わる。このため、暖房換気乾燥機30を天井パネル10の全体で保持することになり、暖房換気乾燥機30を確実に保持することができる。また、暖房換気乾燥機30は、取付用鍔部32に貫設された螺子孔32Aに下方から螺子を挿入し取り付けることができるため、浴室内から暖房換気乾燥機30の取り付け作業を行うことができる。このため、暖房換気乾燥機30をメンテナンスする際等にも浴室内から暖房換気乾燥機30を取り外し及び取り付けが可能であり、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0030】
接続口33には、図示しない建築躯体の壁面を貫通し、外部に連通する排気ダクト34が接続されている。暖房換気乾燥機30が天井パネル10の上面よりも高い位置に取り付けられているため、接続口33も天井パネル10の上面よりも高い位置に配置されている。このため、接続口33に排気ダクト34を接続する際、天井パネル10の上面等に排気ダクト34が干渉することなく、建築躯体の壁面側に向けて下り勾配を形成しつつ、容易に接続することができる。
【0031】
フロントパネル40は、周縁から立ち上がって形成された立上片45を有している。フロントパネル40は、フロントパネル40がアダプター20に取り付けられた際、立上片45が立上壁21の内側に沿うように形成されている。このため、フロントパネル40は、立上壁21の内側、かつ天井パネル10の開口11より小さく形成されているため、大型化を避けることができる。
【0032】
したがって、実施例1の天井ユニットは、フロントパネル40を容易に取り外すことができる。
【0033】
フロントパネル40は、暖房換気乾燥機30の取付用鍔部32の下面に設けられたボス32Bに対応する位置に螺子孔が貫設されたボス44が設けられている。ボス44には、下方から挿入された螺子の頭部を収納する凹部が設けられている。凹部に挿入された螺子がボス44の螺子孔を貫通してボス32Bにねじ込まれている。このようにして、フロントパネル40は暖房換気乾燥機30の下方に取り付けられる。ボス44の凹部の下端開口は、蓋部材45により閉鎖されている。
【0034】
フロントパネル40が暖房換気乾燥機30の下方に取り付けられた状態で、フロントパネル40の下面は、外周側に隣接するアダプター20の鍔部22の下面と略面一である。鍔部22の天井面14からの突出量は僅かであるため、フロントパネル40の天井面14からの突出量を僅かにすることができる。
【0035】
したがって、実施例1の天井ユニットUは、すっきりとした外観を得ることができる。
【0036】
フロントパネル40は、暖房換気乾燥機30の吸気ファン34の吸込み口に下方に位置するように設けられた格子状の吸込み口42と、熱源35の吹出し口の下方に位置するように設けられたルーバー41とを有している。吸込み口42の上側にはフィルター43が取り付けられている。このため、フロントパネル40を取り外すことで、フィルター43のメンテナンス等を容易に行うことができる。ルーバー41は温風が浴室内の洗い場にむけて吹き出すように傾斜して設けられている。このため、洗い場を利用する使用者に効率的に温風を吹き出すことができるとともに、浴室内の環境を快適に保つことができる。
【0037】
フロントパネル40がアダプター20に取り付けられた状態で、フロントパネル40の立上片45の上端面がアダプター20の取付部23の下面に当接している。このため、吸気ファン34を駆動した際、フロントパネル40の立上片45とアダプター20の取付部23との間から浴室内の空気を吸引せず、フロントパネル40の吸込み口42から吸引する。このため、浴室内の空気はフィルター43を通過するため、ほこり等が吸気ファン34内に侵入することを防止することができる。
【0038】
次に実施例1の天井ユニットUの組み立て工程を説明する。
【0039】
先ず、天井パネル10の上面側に一対の補強材13を両面テープにより貼着する。次に、天井パネル10の開口11の小口にアルミテープ12を貼着する。その後、天井パネル10の天井面14側から螺子をねじ込み補強材13を固定する。一方、アダプター補強金具24を二対のL型金具24A、24Bを連結して組み立てる。この際、一方のL型金具24Aの両端部を他方のL型金具24Bの両端部よりも内側に連結し、延出部24Eを形成させる。
【0040】
次に、図5に示すように、アダプター20とアダプター補強金具24とで天井パネル10を挟みこんで、アダプター20とアダプター補強金具24とを螺子止め固定する。これにより、延出部24Eとアダプター20の鍔部22との間で天井パネル10及び補強材13を挟持し、アダプター20を天井パネル10に仮止めする。アダプター20を天井パネル10に仮止めすることができるため、図6に示すように、アダプター補強金具24の延出部24Eを補強材13に螺子止め固定する際に、アダプター20等を手で支えることが不要となり、アダプター20の位置を適切な位置に容易に調整することができる。このようにしてアダプター20を天井パネルに取り付ける。
【0041】
次に、図7に示すように、アダプター20が取り付けられた天井パネル10に対して、暖房換気乾燥機30を取り付ける。暖房換気乾燥機30をアダプター20の空洞部Hに挿通させ、取付用鍔部32の上面側をアダプター20の取付部23の下面側に当接させる。この状態で、螺子孔32Aに螺子を挿入し、取付部23を貫通させてアダプター補強金具24にねじ込む。このようにして、暖房換気乾燥機30は、天井パネル10に容易に取り付けることができる。新規に浴室を施工する際には、天井パネル10に暖房換気乾燥機30を取り付けた後、その天井パネル10を壁パネルWの上端に載置すると良い。また、天井パネル10に暖房換気乾燥機30を取り付ける前に天井パネル10を壁パネルWの上端に載置したとしても、浴室内から暖房換気乾燥機30を取り付けることが可能である。
【0042】
天井パネル10の暖房換気乾燥機30を取り付けた後、図8に示すように、フロントパネル40を暖房換気乾燥機30の下方側に取り付ける。この際、フィルター43は吸込み口42の上面側に取り付けられている。フロントパネル40を暖房換気乾燥機30にねじ止め固定した後、ボス44の凹部の下端開口に蓋部材45を嵌める。このようにして、天井パネル10にアダプター20、暖房換気乾燥機30及びフロントパネル40を容易に取り付けることができる。
【実施例2】
【0043】
実施例2の天井ユニットUは、図9に示すように、立上壁51等の構成が実施例1とは異なるものである。その他の構成については、実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0044】
実施例2の立上壁51は、天井パネル10の鋼板10Bを石膏ボード10Bの端部より内側へ延長し、上方に立ち上げて形成されたものである。立上壁51により天井パネル10の開口が形成されている。立上壁51の上端には、内側に延びる取付部52が連続して形成されている。立上壁51及び取付部52は天井パネル10を構成する鋼板10Bによって一体に形成されている。このため、天井ユニットUの構造が簡易になり、暖房換気乾燥機30を天井パネル10に取り付ける際の作業性を向上させることができる。天井パネル10の上面にはL型金具による補強材61が接着剤により接合され、取付部52の上面にはL型金具による補強金具53が螺子止め固定されている。補強材61と補強金具53とは、各立上片部を螺子止め固定されている。これにより、立上壁51及び取付部52の強度を補強し、暖房換気乾燥機30を確実に保持することができる。
【0045】
実施例2の天井ユニットUでは、フロントパネル40は、立上壁51の内側に配置されている。また、フロントパネル40の下面は、外周側に隣接する天井パネル10の天井面14と略面一である。したがって、実施例2の天井ユニットUも、フロントパネル40を容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【実施例3】
【0046】
実施例3の天井ユニットUは、図10に示すように、天井パネル10等の構成が実施例1等とは異なるものである。その他の構成については、実施例1等と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0047】
実施例3の天井パネル10は樹脂製のものである。天井パネル10が延長され、上方に立ち上がる立上壁71と、立上壁71の上端から内側に延びる取付部72とを形成している。立上壁71及び取付部72が天井パネル10と一体に形成されている。このため、天井ユニットUの構造が簡易になり、暖房換気乾燥機30を天井パネル10に取り付ける際の作業性を向上させることができる。取付部72の上面にはL型金具による補強金具73が螺子止め固定されている。これにより、取付部72の強度を補強し、暖房換気乾燥機302を確実に保持することができる。
【0048】
実施例3の天井ユニットUでは、フロントパネル40は、立上壁71の内側に配置されている。また、フロントパネル40の下面は、外周側に隣接する天井パネル10の天井面14と略面一である。したがって、実施例3の天井ユニットUも、フロントパネル40を容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【実施例4】
【0049】
実施例4の天井ユニットUは、図11に示すように、立上壁81A等の構成が実施例1等とは異なるものである。その他の構成については、実施例1等と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0050】
実施例4の立上壁81Aは、天井パネル10の上面に接着剤により接合された補強材81Aにより形成されている。補強材81は、開口11に沿って天井パネル10の上面に接合される接合片81Bと、接合片81Bの開口11から遠い辺部から上方に立ち上る立上壁81Aと、立上壁81Aの上端から内側に延びる取付片81Cとから形成されている。立上壁81Aは開口11の周縁部の外側に立ち上っている。取付片81Cは開口11の周縁部の内側の上方まで延びている。取付片81Cの下面に暖房換気乾燥機30の取付用鍔部32の上面を当接させ、暖房換気乾燥機30を螺子止め固定する。取付片81Cの上面には補強金具82が螺子止め固定されている。これにより、取付片81Cの強度を補強し、暖房換気乾燥機30を確実に保持することができる。
【0051】
実施例3の天井ユニットUでは、フロントパネル40は、開口11の周縁部の内側に配置されている。また、フロントパネル40の下面は外周側に隣接する天井パネル10の天井面14と略面一である。したがって、実施例4の天井ユニットUも、フロントパネル40を容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【0052】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例1〜4に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1〜4では、暖房換気乾燥機が天井ユニットに組み付けられているが、単機能の空調機、例えば、暖房機、換気扇、乾燥機、冷房機等を組み付けてもよい。また、照明やスピーカー等を組み付けてもよい。
(2)上記実施例1〜4では、天井ユニットを浴室の天井に用いているが、洗面室、トイレ、キッチン、居間等の浴室以外の天井に用いてもよい。
(3)上記実施例1〜4では、取付部材の取付部が天井パネルよりも高い位置に設けられているが、取付部は天井パネルの上面より低くても天井面よりも高ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は浴室用天井埋め込み暖房換気乾燥機に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…天井パネル(天井部材)
11…開口
14…天井面
21、51、71、81A…立上壁
23、52、72、81C…取付部(取付片)
30…暖房換気乾燥機(取付部材)
40…フロントパネル
【技術分野】
【0001】
本発明は天井ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の天井ユニットが開示されている。この天井ユニットは、開口が設けられた天井部材と、開口に臨み、天井部材より上方に取り付けられた換気扇とを備えている。また、この天井ユニットは、開口の周縁部の天井部材に取り付けられたアダプターを有している。アダプターは、開口の周縁部の内側に立ち上がる立上壁を有している。立上壁の下端部には、外側に延びる鍔部が形成されている。鍔部が開口の周縁部の天井部材に対し、下方から螺子止め固定されている。また、アダプターは、立上壁の上端部に内側に延び、所定幅に形成された取付部を有している。換気扇は、下端部に形成された外側に延びる取付用鍔部を有している。換気扇は、アダプターの取付部の内側を挿通し、取付用鍔部の上面を取付部の下面に当接させ、螺子止め固定されている。さらに、この天井ユニットは、天井面に周縁を当接させて取り付けられ、開口よりも大きいフロントパネルを備えている。このように構成された従来の天井ユニットでは、換気扇が天井部材の上面よりも高い位置に配置することができるため、天井部材の上方で換気扇に排気管を接続する際、天井部材が干渉せず容易に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−43236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の天井ユニットでは、フロントパネルを開口より大きく形成しなければならないため、フロントパネルが大型化してしまう。このため、フロントパネルの取り外しに手間を要する。また、フロントパネルの大型化とともに、周縁が天井面に当接して取り付けられているため、フロントパネルは天井面から大きく下方へ突出してしまう。このため、室内空間においてフロントパネルの存在が大きく感じられ、目立ち過ぎてしまう。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、フロントパネルを容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる天井ユニットを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の天井ユニットは、開口が設けられた天井部材と、開口に臨み、天井部材の室内側に面する天井面より上方に取り付けられた取付対象物とを備えた天井ユニットであって、
前記取付対象物が取り付けられる取付部が上端部に形成され、前記天井部材に支持されて前記開口の周縁部、又はその内側もしくは外側に立ち上がる立上壁と、
前記立上壁の内側、かつ前記開口の周縁部の内側に配置され、前記取付対象物の下面を覆うとともに室内側に面する下面が外周側に隣接した部材の下面と略面一であるフロントパネルとを備えていることを特徴とする。
【0007】
この天井ユニットでは、フロントパネルが立上壁の内側、かつ開口の周縁部の内側に配置されているため、フロントパネルが天井部材の開口より小さく形成され、大型化を避けることができる。また、フロントパネルは、下面が外周側に隣接した部材の下面と略面一であるため、隣接した部材が天井部材である場合には、フロントパネルの下面を天井面と略同一面にすることができる。また、隣接した部材が天井部材に取り付けられた部材である場合には、その部材の天井面からの突出量を小さくすることにより、フロントパネルの下面の天井面からの突出量も小さくすることができる。
【0008】
したがって、本発明の天井ユニットは、フロントパネルを容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【0009】
前記天井部材に取り付けられ、前記開口の周縁部の内側に配置されたアダプターを備え、アダプターは上下方向に貫通する空洞を形成した枠状の前記立上壁を有し得る。この場合、アダプターを天井部材に取り付けることにより、天井部材に支持された立上壁を開口の周縁部の内側に容易に形成することができる。
【0010】
前記アダプターは、前記立上壁の下端部から外側に延びて形成され、前記開口の周縁部の前記天井面を覆い、室内側に露出する鍔部を有し得る。この場合、アダプターの鍔部が開口の周縁部の天井面を覆い、室内側に露出するため、開口の小口及び周縁部の天井面をアダプターの取り付けと同時に鍔部により隠蔽することができる。これにより、開口の周縁部の天井面にねじ込まれたビス等が存在する場合であっても、そのビス等も鍔部により隠蔽することができる。このため、天井ユニットの外観をすっきりとしたものにすることができる。
【0011】
前記アダプターは、前記立上壁の上端部から内側に延び、所定幅に形成された前記取付部を有し、取付部の上面に接合されたアダプター補強金具を備え得る。この場合、アダプター補強金具により取付部の強度が補強されるため、取付対象物を強固に取付部に取り付けることができる。また、取付対象物をアダプターの下方から取付部の内側に挿通させ、下方から取付部に対して螺子止め固定等をすることが可能となり、取付対象物を室内側からアダプターに容易に取り付けることができる。
【0012】
前記アダプター補強金具は、前記取付部より外側に延出する延出部を有し、延出部と前記アダプターの鍔部との間で前記天井部材を挟持し得る。この場合、天井部材を挟んでアダプターとアダプター補強金具を配置し、アダプターの取付部にアダプター補強金具を接合することにより、延出部とアダプターの鍔部との間で天井部材を挟持することができる。これにより、天井部材にアダプターを仮止めすることができる。このため、アダプターを仮止めした後、天井部材に容易に取り付けることができる。また、アダプターを仮止めした状態で、アダプターの取り付け位置を調整することができ、適切な位置にアダプターを取り付けることができる。
【0013】
前記天井部材は、上面に接合され、前記開口を挟んで同一方向に延びる一対の補強材を有し、補強材の上面に前記アダプター補強金具の延出部が載置され得る。この場合、アダプターに取り付けられた取付対象物の重量は、アダプター補強金具を介して天井部材の上面に接合された補強材に加わる。このため、取付対象物を天井部材の全体で保持することになり、取付対象物を確実に保持することができる。
【0014】
前記立上壁が前記天井部材に一体に形成され得る。この場合、天井ユニットの構造が簡易になり、取付対象物を天井部材に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0015】
前記立上壁は、前記天井部材の上面よりも上方まで延び得る。この場合、取付部を天井部材の上面よりも高い位置に設けることができるため、取付対象物を天井部材の上面よりも高い位置に配置することができる。これにより、取付対象物に対して天井部材の上方で接続される部材などがあった場合、その部材が天井部材に干渉することなく容易に接続することができる。
【0016】
前記取付対象物は換気機能及び暖房機能を有する空調装置であり、
前記フロントパネルは、前記空調装置の吸込み口の下部に設けられたフィルターと、空調装置の吹出し口の下部に設けられ、温風の吹出し方向を規制するルーバーとを有し得る。
【0017】
この場合、天井部材に空調装置を容易に組み付けることができる。また、フロントパネルによって、所定の方向に温風を吹き出させることができるため、室内環境を快適に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の天井ユニットを用いた浴室を示す外観図である。
【図2】実施例1の天井ユニットの分解斜視図である。
【図3】実施例1の天井ユニットに係り、図1の矢視X、Yにおける部分断面図である。
【図4】実施例1の天井ユニットに係り、図1の矢視Zにおける部分断面図である。
【図5】実施例1の天井ユニットに係り、天井パネルにアダプター及びアダプター補強金具を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図6】実施例1の天井ユニットに係り、天井パネルにアダプター及びアダプター補強金具が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】実施例1の天井ユニットに係り、アダプターに暖房換気乾燥機を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図8】実施例1の天井ユニットに係り、暖房換気乾燥機にフロントパネルを取り付ける工程を示す斜視図である。
【図9】実施例2の天井ユニットの要部断面図である。
【図10】実施例3の天井ユニットの要部断面図である。
【図11】実施例4の天井ユニットの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の天井ユニットを具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1の天井ユニットUは、図1に示すように、浴室の天井に用いられている。この浴室は、洗い場を形成する床パネルFと、浴槽Tと、図示しない水栓金具等が取り付けられた壁パネルWと、天井を形成する天井ユニットU及び天井パネルCとを有している。天井ユニットU及び天井パネルCは、壁パネルWの上端に載置されている。天井ユニットUと天井パネルCとは連結されている。
【0021】
天井ユニットUは、図2に示すように、天井部材である天井パネル10と、補強材13と、アダプター20と、アダプター補強金具24と、取付対象物である暖房換気乾燥機30と、フロントパネル40とを有している。
【0022】
天井パネル10は長方形状である。天井パネル10には長方形状の開口11が略中央に設けられている。天井パネル10は、図3及び図4に示すように、石膏ボード10Aと、石膏ボード10Aに貼着された鋼板10Bとから形成されている。鋼板10Bが浴室側に面し、天井面14を形成している。開口11の小口にはアルミテープ12が貼着されている。これにより、石膏ボード10Aの端部が崩れたり、鋼板10Bの端部が錆びたりすることを防止している。
【0023】
天井パネル10の上面には、図2〜図4に示すように、開口11を挟み、天井パネル10の長辺方向に沿って同一方向に延びる一対の補強材13が接合されている。補強材13はC型金具であり、一片が天井パネル10の上面に両面テープにより接着され、かつ螺子止め固定されている。補強材13の一方は、天井パネル10の長辺と同じ長さを有し、天井パネル10の一端から他端まで延びている。補強材13の他方は、開口11の長辺よりも長く、かつ天井パネル10の長辺よりも短い長さを有し、両端の夫々が天井パネル10の端部から所定間隔離れて取り付けられている。このため、他方の補強材13の両端部より外側の天井パネル10の上面に、照明器具等を取り付けることができる平坦なスペースを確保している。
【0024】
天井パネル10の開口11にはアダプター20が取り付けられている。アダプター20は、天井ユニットUが壁面Wの上端に載置された状態で、上下方向に貫通する空洞Hを形成し、上下方向に所定幅を有する矩形枠状の立上壁21を有している。立上壁21は開口11の内側に立ち上げられている。立上壁21は、開口11の周縁部に沿って形成されている。
【0025】
アダプター20は、立上壁21の下端部から外側に延びて形成された鍔部22を有している。立上壁21が開口11に挿入され、鍔部22が開口11の周縁部の天井面14を覆っている。この状態で鍔部22は、補強材13を固定している螺子の頭部も覆っている。このように、螺子の頭部が浴室内に露出せず、鍔部22が浴室内に露出するため、開口11の周縁部の外観をすっきりとしたものにしている。鍔部22の外周端部と天井面14との間にはシリコンSが充填され、コーキングされている。また、立上壁21と鍔部22とにより形成された角部の内側に貼着された発泡部材Rが天井面14により圧縮されている。これにより、コーキングが切れた場合でも鍔部22と天井面14との間から浴室内の蒸気等が天井パネル10の上方に侵入してしまうことを防止している。
【0026】
アダプター20は、立上壁21の上端部から内側に延び、所定幅に形成された取付部23を有している。取付部23には、螺子孔が貫設された複数のボス23A、23Bが設けられている。アダプター20の取付部23の上面には、アダプター補強金具24が接合されている。アダプター補強金具24は、ボス23Aの下方から挿入された螺子により取付部23に螺子止め固定されている。
【0027】
アダプター補強金具24は、二対のL型金具24A、24Bを連結して形成されている。一方のL型金具24Aの両端部は、他方のL型金具24Bの両端部より内側に連結されているため、他方のL型金具24Bの両端部は外側にはみ出し、延出部24Eを形成している。延出部24Eは、アダプター補強金具24が取付部23に接合された状態で取付部23より外側に延出している。延出部24Eは、天井パネル10の上面に接合された補強材13に載置され、螺子止め固定されている。このように、アダプター20が天井パネル10の開口11に取り付けられている。
【0028】
暖房換気乾燥機30は、図7に示すように、筐体31内に吸気ファン34と熱源35とを有している。吸気ファン34の吸込み口及び熱源35の吹出し口は下方に向けて開口している。筐体31は、下端部の周縁から外側に延びて形成された取付用鍔部32を有している。取付用鍔部32には、複数の螺子孔32Aが貫設されている。また、取付用鍔部32の下面には、フロントパネル40を取り付けるためのボス32Bが四隅に設けられている。筐体31の側面には、排気ダクト34の接続口33が設けられている。
【0029】
暖房換気乾燥機30は、図2〜図4に示すように、アダプター20の空洞部H及び取付部23の内側を下方から挿通し、取付用鍔部32の上面が取付部23の下面に当接している。取付用鍔部32に貫設された螺子孔32Aに下方から挿入された螺子は、アダプター20の取付部23に貫設された螺子孔23Bを貫通し、アダプター補強金具24のL型金具24Bにねじ込まれている。このようにして、暖房換気乾燥機30は天井パネル10の上面よりも高い位置に取り付けられている。また、暖房換気乾燥機30の重量は、アダプター補強金具24を介して天井パネル10の上面に接合された補強材13に加わる。このため、暖房換気乾燥機30を天井パネル10の全体で保持することになり、暖房換気乾燥機30を確実に保持することができる。また、暖房換気乾燥機30は、取付用鍔部32に貫設された螺子孔32Aに下方から螺子を挿入し取り付けることができるため、浴室内から暖房換気乾燥機30の取り付け作業を行うことができる。このため、暖房換気乾燥機30をメンテナンスする際等にも浴室内から暖房換気乾燥機30を取り外し及び取り付けが可能であり、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0030】
接続口33には、図示しない建築躯体の壁面を貫通し、外部に連通する排気ダクト34が接続されている。暖房換気乾燥機30が天井パネル10の上面よりも高い位置に取り付けられているため、接続口33も天井パネル10の上面よりも高い位置に配置されている。このため、接続口33に排気ダクト34を接続する際、天井パネル10の上面等に排気ダクト34が干渉することなく、建築躯体の壁面側に向けて下り勾配を形成しつつ、容易に接続することができる。
【0031】
フロントパネル40は、周縁から立ち上がって形成された立上片45を有している。フロントパネル40は、フロントパネル40がアダプター20に取り付けられた際、立上片45が立上壁21の内側に沿うように形成されている。このため、フロントパネル40は、立上壁21の内側、かつ天井パネル10の開口11より小さく形成されているため、大型化を避けることができる。
【0032】
したがって、実施例1の天井ユニットは、フロントパネル40を容易に取り外すことができる。
【0033】
フロントパネル40は、暖房換気乾燥機30の取付用鍔部32の下面に設けられたボス32Bに対応する位置に螺子孔が貫設されたボス44が設けられている。ボス44には、下方から挿入された螺子の頭部を収納する凹部が設けられている。凹部に挿入された螺子がボス44の螺子孔を貫通してボス32Bにねじ込まれている。このようにして、フロントパネル40は暖房換気乾燥機30の下方に取り付けられる。ボス44の凹部の下端開口は、蓋部材45により閉鎖されている。
【0034】
フロントパネル40が暖房換気乾燥機30の下方に取り付けられた状態で、フロントパネル40の下面は、外周側に隣接するアダプター20の鍔部22の下面と略面一である。鍔部22の天井面14からの突出量は僅かであるため、フロントパネル40の天井面14からの突出量を僅かにすることができる。
【0035】
したがって、実施例1の天井ユニットUは、すっきりとした外観を得ることができる。
【0036】
フロントパネル40は、暖房換気乾燥機30の吸気ファン34の吸込み口に下方に位置するように設けられた格子状の吸込み口42と、熱源35の吹出し口の下方に位置するように設けられたルーバー41とを有している。吸込み口42の上側にはフィルター43が取り付けられている。このため、フロントパネル40を取り外すことで、フィルター43のメンテナンス等を容易に行うことができる。ルーバー41は温風が浴室内の洗い場にむけて吹き出すように傾斜して設けられている。このため、洗い場を利用する使用者に効率的に温風を吹き出すことができるとともに、浴室内の環境を快適に保つことができる。
【0037】
フロントパネル40がアダプター20に取り付けられた状態で、フロントパネル40の立上片45の上端面がアダプター20の取付部23の下面に当接している。このため、吸気ファン34を駆動した際、フロントパネル40の立上片45とアダプター20の取付部23との間から浴室内の空気を吸引せず、フロントパネル40の吸込み口42から吸引する。このため、浴室内の空気はフィルター43を通過するため、ほこり等が吸気ファン34内に侵入することを防止することができる。
【0038】
次に実施例1の天井ユニットUの組み立て工程を説明する。
【0039】
先ず、天井パネル10の上面側に一対の補強材13を両面テープにより貼着する。次に、天井パネル10の開口11の小口にアルミテープ12を貼着する。その後、天井パネル10の天井面14側から螺子をねじ込み補強材13を固定する。一方、アダプター補強金具24を二対のL型金具24A、24Bを連結して組み立てる。この際、一方のL型金具24Aの両端部を他方のL型金具24Bの両端部よりも内側に連結し、延出部24Eを形成させる。
【0040】
次に、図5に示すように、アダプター20とアダプター補強金具24とで天井パネル10を挟みこんで、アダプター20とアダプター補強金具24とを螺子止め固定する。これにより、延出部24Eとアダプター20の鍔部22との間で天井パネル10及び補強材13を挟持し、アダプター20を天井パネル10に仮止めする。アダプター20を天井パネル10に仮止めすることができるため、図6に示すように、アダプター補強金具24の延出部24Eを補強材13に螺子止め固定する際に、アダプター20等を手で支えることが不要となり、アダプター20の位置を適切な位置に容易に調整することができる。このようにしてアダプター20を天井パネルに取り付ける。
【0041】
次に、図7に示すように、アダプター20が取り付けられた天井パネル10に対して、暖房換気乾燥機30を取り付ける。暖房換気乾燥機30をアダプター20の空洞部Hに挿通させ、取付用鍔部32の上面側をアダプター20の取付部23の下面側に当接させる。この状態で、螺子孔32Aに螺子を挿入し、取付部23を貫通させてアダプター補強金具24にねじ込む。このようにして、暖房換気乾燥機30は、天井パネル10に容易に取り付けることができる。新規に浴室を施工する際には、天井パネル10に暖房換気乾燥機30を取り付けた後、その天井パネル10を壁パネルWの上端に載置すると良い。また、天井パネル10に暖房換気乾燥機30を取り付ける前に天井パネル10を壁パネルWの上端に載置したとしても、浴室内から暖房換気乾燥機30を取り付けることが可能である。
【0042】
天井パネル10の暖房換気乾燥機30を取り付けた後、図8に示すように、フロントパネル40を暖房換気乾燥機30の下方側に取り付ける。この際、フィルター43は吸込み口42の上面側に取り付けられている。フロントパネル40を暖房換気乾燥機30にねじ止め固定した後、ボス44の凹部の下端開口に蓋部材45を嵌める。このようにして、天井パネル10にアダプター20、暖房換気乾燥機30及びフロントパネル40を容易に取り付けることができる。
【実施例2】
【0043】
実施例2の天井ユニットUは、図9に示すように、立上壁51等の構成が実施例1とは異なるものである。その他の構成については、実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0044】
実施例2の立上壁51は、天井パネル10の鋼板10Bを石膏ボード10Bの端部より内側へ延長し、上方に立ち上げて形成されたものである。立上壁51により天井パネル10の開口が形成されている。立上壁51の上端には、内側に延びる取付部52が連続して形成されている。立上壁51及び取付部52は天井パネル10を構成する鋼板10Bによって一体に形成されている。このため、天井ユニットUの構造が簡易になり、暖房換気乾燥機30を天井パネル10に取り付ける際の作業性を向上させることができる。天井パネル10の上面にはL型金具による補強材61が接着剤により接合され、取付部52の上面にはL型金具による補強金具53が螺子止め固定されている。補強材61と補強金具53とは、各立上片部を螺子止め固定されている。これにより、立上壁51及び取付部52の強度を補強し、暖房換気乾燥機30を確実に保持することができる。
【0045】
実施例2の天井ユニットUでは、フロントパネル40は、立上壁51の内側に配置されている。また、フロントパネル40の下面は、外周側に隣接する天井パネル10の天井面14と略面一である。したがって、実施例2の天井ユニットUも、フロントパネル40を容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【実施例3】
【0046】
実施例3の天井ユニットUは、図10に示すように、天井パネル10等の構成が実施例1等とは異なるものである。その他の構成については、実施例1等と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0047】
実施例3の天井パネル10は樹脂製のものである。天井パネル10が延長され、上方に立ち上がる立上壁71と、立上壁71の上端から内側に延びる取付部72とを形成している。立上壁71及び取付部72が天井パネル10と一体に形成されている。このため、天井ユニットUの構造が簡易になり、暖房換気乾燥機30を天井パネル10に取り付ける際の作業性を向上させることができる。取付部72の上面にはL型金具による補強金具73が螺子止め固定されている。これにより、取付部72の強度を補強し、暖房換気乾燥機302を確実に保持することができる。
【0048】
実施例3の天井ユニットUでは、フロントパネル40は、立上壁71の内側に配置されている。また、フロントパネル40の下面は、外周側に隣接する天井パネル10の天井面14と略面一である。したがって、実施例3の天井ユニットUも、フロントパネル40を容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【実施例4】
【0049】
実施例4の天井ユニットUは、図11に示すように、立上壁81A等の構成が実施例1等とは異なるものである。その他の構成については、実施例1等と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0050】
実施例4の立上壁81Aは、天井パネル10の上面に接着剤により接合された補強材81Aにより形成されている。補強材81は、開口11に沿って天井パネル10の上面に接合される接合片81Bと、接合片81Bの開口11から遠い辺部から上方に立ち上る立上壁81Aと、立上壁81Aの上端から内側に延びる取付片81Cとから形成されている。立上壁81Aは開口11の周縁部の外側に立ち上っている。取付片81Cは開口11の周縁部の内側の上方まで延びている。取付片81Cの下面に暖房換気乾燥機30の取付用鍔部32の上面を当接させ、暖房換気乾燥機30を螺子止め固定する。取付片81Cの上面には補強金具82が螺子止め固定されている。これにより、取付片81Cの強度を補強し、暖房換気乾燥機30を確実に保持することができる。
【0051】
実施例3の天井ユニットUでは、フロントパネル40は、開口11の周縁部の内側に配置されている。また、フロントパネル40の下面は外周側に隣接する天井パネル10の天井面14と略面一である。したがって、実施例4の天井ユニットUも、フロントパネル40を容易に取り外すことができ、すっきりとした外観を得ることができる。
【0052】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例1〜4に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1〜4では、暖房換気乾燥機が天井ユニットに組み付けられているが、単機能の空調機、例えば、暖房機、換気扇、乾燥機、冷房機等を組み付けてもよい。また、照明やスピーカー等を組み付けてもよい。
(2)上記実施例1〜4では、天井ユニットを浴室の天井に用いているが、洗面室、トイレ、キッチン、居間等の浴室以外の天井に用いてもよい。
(3)上記実施例1〜4では、取付部材の取付部が天井パネルよりも高い位置に設けられているが、取付部は天井パネルの上面より低くても天井面よりも高ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は浴室用天井埋め込み暖房換気乾燥機に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…天井パネル(天井部材)
11…開口
14…天井面
21、51、71、81A…立上壁
23、52、72、81C…取付部(取付片)
30…暖房換気乾燥機(取付部材)
40…フロントパネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた天井部材と、開口に臨み、天井部材の室内側に面する天井面より上方に取り付けられた取付対象物とを備えた天井ユニットであって、
前記取付対象物が取り付けられる取付部が上端部に形成され、前記天井部材に支持されて前記開口の周縁部、又はその内側もしくは外側に立ち上がる立上壁と、
前記立上壁の内側、かつ前記開口の周縁部の内側に配置され、前記取付対象物の下面を覆うとともに室内側に面する下面が外周側に隣接した部材の下面と略面一であるフロントパネルとを備えていることを特徴とする天井ユニット。
【請求項2】
前記天井部材に取り付けられ、前記開口の周縁部の内側に配置されたアダプターを備え、アダプターは上下方向に貫通する空洞を形成した枠状の前記立上壁を有していることを特徴とする請求項1記載の天井ユニット。
【請求項3】
前記アダプターは、前記立上壁の下端部から外側に延びて形成され、前記開口の周縁部の前記天井面を覆い、室内側に露出する鍔部を有していることを特徴とする請求項2記載の天井ユニット。
【請求項4】
前記アダプターは、前記立上壁の上端部から内側に延び、所定幅に形成された前記取付部を有し、取付部の上面に接合されたアダプター補強金具を備えていることを特徴とする請求項2又は3記載の天井ユニット。
【請求項5】
前記アダプター補強金具は、前記取付部より外側に延出する延出部を有し、延出部と前記前記アダプターの鍔部との間で前記天井部材を挟持していることを特徴とする請求項4記載の天井ユニット。
【請求項6】
前記天井部材は、上面に接合され、前記開口を挟んで同一方向に延びる一対の補強材を有し、補強材の上面に前記アダプター補強金具の延出部が載置されていることを特徴とする請求項5記載の天井ユニット。
【請求項7】
前記立上壁が前記天井部材に一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の天井ユニット。
【請求項8】
前記立上壁は、前記天井部材の上面よりも上方まで延びていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の天井ユニット。
【請求項9】
前記取付対象物は換気機能及び暖房機能を有する空調装置であり、
前記フロントパネルは、前記空調装置の吸込み口の下部に設けられたフィルターと、空調装置の吹出し口の下部に設けられ、温風の吹出し方向を規制するルーバーとを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の天井ユニット。
【請求項1】
開口が設けられた天井部材と、開口に臨み、天井部材の室内側に面する天井面より上方に取り付けられた取付対象物とを備えた天井ユニットであって、
前記取付対象物が取り付けられる取付部が上端部に形成され、前記天井部材に支持されて前記開口の周縁部、又はその内側もしくは外側に立ち上がる立上壁と、
前記立上壁の内側、かつ前記開口の周縁部の内側に配置され、前記取付対象物の下面を覆うとともに室内側に面する下面が外周側に隣接した部材の下面と略面一であるフロントパネルとを備えていることを特徴とする天井ユニット。
【請求項2】
前記天井部材に取り付けられ、前記開口の周縁部の内側に配置されたアダプターを備え、アダプターは上下方向に貫通する空洞を形成した枠状の前記立上壁を有していることを特徴とする請求項1記載の天井ユニット。
【請求項3】
前記アダプターは、前記立上壁の下端部から外側に延びて形成され、前記開口の周縁部の前記天井面を覆い、室内側に露出する鍔部を有していることを特徴とする請求項2記載の天井ユニット。
【請求項4】
前記アダプターは、前記立上壁の上端部から内側に延び、所定幅に形成された前記取付部を有し、取付部の上面に接合されたアダプター補強金具を備えていることを特徴とする請求項2又は3記載の天井ユニット。
【請求項5】
前記アダプター補強金具は、前記取付部より外側に延出する延出部を有し、延出部と前記前記アダプターの鍔部との間で前記天井部材を挟持していることを特徴とする請求項4記載の天井ユニット。
【請求項6】
前記天井部材は、上面に接合され、前記開口を挟んで同一方向に延びる一対の補強材を有し、補強材の上面に前記アダプター補強金具の延出部が載置されていることを特徴とする請求項5記載の天井ユニット。
【請求項7】
前記立上壁が前記天井部材に一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の天井ユニット。
【請求項8】
前記立上壁は、前記天井部材の上面よりも上方まで延びていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の天井ユニット。
【請求項9】
前記取付対象物は換気機能及び暖房機能を有する空調装置であり、
前記フロントパネルは、前記空調装置の吸込み口の下部に設けられたフィルターと、空調装置の吹出し口の下部に設けられ、温風の吹出し方向を規制するルーバーとを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の天井ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−163806(P2010−163806A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7544(P2009−7544)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】
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