太陽光発電装置の設置方法
【課題】太陽電池パネルの面積効率を低下させることなく、太陽光発電装置の設置作業の作業性を向上させることを課題とする。
【解決手段】複数の太陽電池パネル12と、複数の電池パネル12を支持する架台20とを備える太陽光発電装置10の設置方法であって、並列させて架台20に据付ける複数の太陽電池パネル12を、これらの裏面に母屋材26を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニット11を組み立てるユニット組立工程と、太陽電池パネルユニット11を、母屋材26を架台20に固定することにより据付けるユニット据付工程と、を備える。
【解決手段】複数の太陽電池パネル12と、複数の電池パネル12を支持する架台20とを備える太陽光発電装置10の設置方法であって、並列させて架台20に据付ける複数の太陽電池パネル12を、これらの裏面に母屋材26を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニット11を組み立てるユニット組立工程と、太陽電池パネルユニット11を、母屋材26を架台20に固定することにより据付けるユニット据付工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上やメガソーラー発電所等の設置場所に設置される太陽光発電装置として、当該設置場所に架台を設置し、この架台上に複数の太陽電池パネルを並べて設置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の太陽光発電装置を設置する際には、太陽電池パネルを1枚ずつ架台上に運搬して連結固定用金具を用いて太陽電池パネルを架台に固定することになる。また、複数の太陽電池パネルを格子状のフレームに嵌め込んで一体化したものをクレーン等で吊り上げて設置場所に運搬する太陽光発電装置の設置方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―37531号公報
【特許文献2】特開平11−81680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池パネルを1枚ずつ運搬して架台に据付ける場合には、多くの工数や労力を要する。また、太陽電池パネルは受光効率を上げるために寝かせた状態で架台に据付けるため、太陽電池パネルの据付高さが低い場合には、太陽電池パネルの下に潜り込んでネジ止め等の固定作業をすることになり、困難な作業を強いることになる。さらに、複数の太陽電池パネルを格子状のフレームに嵌め込んで一体化する場合には、太陽電池パネル間にフレームが介在することから、太陽電池パネルを密接させて並べることが出来ず、面積効率が低下する。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、太陽電池パネルの面積効率を低下させることなく、太陽光発電装置の設置作業の作業性を向上させることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽光発電装置の設置方法は、複数の太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネルを支持する架台とを備える太陽光発電装置の設置方法であって、複数の太陽電池パネルを並べて、これらの裏面に連結材を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニットを組み立てるユニット組立工程と、前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記架台に固定することにより据付けるユニット据付工程と、を備える。
【0007】
上記太陽光発電装置の設置方法において、前記ユニット組立工程では、前記太陽電池パネルユニットの複数の太陽電池パネルと前記連結材とを位置決めし、且つ、当該複数の太陽電池パネルを立てた状態で支持する組立架台を使用してもよい。
【0008】
上記太陽光発電装置の設置方法において、前記ユニット据付工程では、前記架台に、前記連結材とボルトで締結する締結部を、前記架台から上方に突出するように設けておき、前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記締結部に当接させることにより、前記架台に対して位置決めしてもよい。
【0009】
上記太陽光発電装置の設置方法は、前記太陽電池パネルユニットを、その表面側に固定した吊冶具を介して荷役装置で吊り上げて前記架台に運搬するユニット運搬工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記太陽光発電装置の設置方法によれば、太陽電池パネルの面積効率を低下させることなく、太陽光発電装置の設置作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る太陽光発電装置を多数設置したメガソーラー発電所を示す平面図である。
【図2】太陽光発電装置を示す斜視図である。
【図3】太陽光発電装置を示す分解斜視図である。
【図4】太陽電池パネルユニットの組立工程を説明するための斜視図である。
【図5】太陽光発電装置の設置方法を説明するための斜視図である。
【図6】太陽光発電装置の設置方法を説明するための斜視図である。
【図7】太陽光発電装置の設置方法を説明するための斜視図である。
【図8】太陽電池パネルユニットを、架台に運搬する方法を説明するための正面図(A)及び側面図(B)である。
【図9】太陽電池パネルユニットを、架台に運搬する方法を説明するための側面図(A)、(B)である。
【図10】太陽電池パネルユニットを、架台に運搬する方法を説明するための正面図(A)及び側面図(B)である。
【図11】太陽電池パネルユニットを架台に据付ける工程を説明するための側面図である。
【図12】太陽電池パネルユニットを架台に据付ける工程を説明するための側面図である。
【図13】太陽電池パネルユニットを架台に据付ける工程を説明するための側面図である。
【図14】太陽電池パネルユニットの組立に用いるユニット組立装置を示す正面図(A)及び側面図(B)である。
【図15】組立架台の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る太陽光発電装置10を多数設置したメガソーラー発電所100を示す平面図である。この図に示すように、メガソーラー発電所100では、太陽光発電装置10が、図中横方向には間隔を空けずに並べられ、図中縦方向には間隔を空けて並べられている。
【0013】
図中のハッチングで示す領域は、太陽光発電装置10をメガソーラー発電所100内の所定の設置箇所に設置する際に、太陽電池パネル12を運搬するラフタークレーン14が移動する範囲であり、図中Rは、ラフタークレーン14の作業半径である。ここで、ラフタークレーン14の移動範囲は、ラフタークレーン14の作業半径Rを考慮して、ラフタークレーン14の作動範囲が太陽光発電装置10の設置領域全体に及ぶように設定されている。また、太陽発電装置10をメガソーラー発電所100に設置する際には、作業ヤードに複数の組立架台40を設置する。この組立架台40については後述する。
【0014】
図2は、太陽光発電装置10を示す斜視図であり、図3は、太陽光発電装置10を示す分解斜視図である。これらの図に示すように、太陽光発電装置10は、縦横に配列された複数の太陽電池パネル12と、複数の太陽電池パネル12が据付けられる架台20とを備えている。本実施形態では、各太陽光発電装置10は、40枚の太陽電池パネル12が4行10列(縦方向に4枚、横方向に10枚)で配列されている。
【0015】
太陽電池パネル12は、裏面と周縁部とは金属で形成され、表面はガラスで形成されており、表裏面の間に光起電力素子が収容されている。また、架台20は、太陽光発電装置10の設置場所に構築された複数組の基礎22、23と、複数組の基礎22、23に支持された架構24と、架構24と太陽電池パネル12との間に配された複数の母屋材26とを備えている。
【0016】
本実施形態では、6組の基礎22、23が6列で配列されている。この基礎22、23は、太陽光発電装置10の設置場所の上に載置されている。また、架構24は、複数の母屋材受け材28と、各母屋材受け材28を各組の基礎22、23に支持する複数組の支柱30、31、32とを備えている。
【0017】
各母屋材受け材28は、列方向(縦方向)に沿って配されており、複数の母屋材受け材28は、行方向(横方向)に所定間隔おきに配されている。支柱30は、基礎22に固定されて鉛直に立てられており、母屋材受け材28の一端側を支持している。また、支柱31は、支柱30よりも長尺であって、基礎23に固定されて鉛直に立てられており、母屋材受け材28の他端側を支持している。さらに、支柱32は、支柱31よりも長尺の斜材であって、基礎23に固定されて斜めに立てられており、母屋材受け材28の他端側を支持している。
【0018】
ところで、母屋材受け材28の他端側を支持する支柱31が、母屋材受け材28の一端側を支持する支柱30よりも長尺であることから、母屋材受け材28は、地面に対して傾斜しており、母屋材受け材28の一端部の地上高さは、他端部の地上高さよりも低くなっている。ここで、母屋材受け材28の他端部の地上高さは、その下に作業者が潜り込むのに十分な高さ(例えば、1.4m程度)であるのに対して、母屋材受材28の一端部の地上高さは、その下に作業者が潜り込むのには難がある高さ(例えば、0.5m程度)である。
【0019】
各母屋材26は、断面L字状の梁材であり、行方向(横方向)に沿って配されており、複数の母屋材26は、列方向(縦方向)に間隔を空けて配されている。母屋材26と母屋材受け材28との交点には、連結用アングル34が設けられている。連結用アングル34は、L字状のアングルであり、屋材受け材28の上面と母屋材26の側面とに固定されている。これにより、母屋材26と母屋材受け材28とは、交点において連結用アングル34を介して連結されている。
【0020】
ここで、複数の母屋材26は、複数組(本実施形態では4組)に分けられ、各組の母屋材26が、各行の複数(本実施形態では5枚)の太陽電池パネル12の裏面に対向して配されており、各行の複数の太陽電池パネル12の裏面と各組の母屋材26の上面とがボルトで締結されている。
【0021】
従って、各行の複数の太陽電池パネル12からなる太陽電池パネルユニット11が、地面に対して傾斜した状態で架台20に固定されており、以って、列方向(縦方向)に並列された複数の太陽電池パネルユニット11が、地面に対して傾斜した状態で架台20に支持されている。
【0022】
図4〜図7は、太陽電池パネルユニット11を組み立てる工程を説明するための斜視図である。図4は、太陽電池パネルユニット11を組み立てるための組立架台40を示す斜視図である。この図に示すように、組立架台40は、所定間隔で並列された複数の柱部42と、複数の柱部42の下端を連結する平面視で櫛状の脚部44と、各柱部42に上下一対ずつ設けられた複数対の母屋材受部46と、各柱部42に1個ずつ設けられた複数のパネル受部48、49とを備えている。
【0023】
柱部42は、鉛直に立てられており、脚部44により支持されている。また、複数の柱部42の間隔は、太陽電池パネル12の幅よりも僅かに狭くなるように設定されている。また、複数の柱部42の本数は、各行の太陽電池パネル12の枚数より1だけ多い本数である。
【0024】
母屋材受部46は、柱部42から突出する部材である。また、上下一対の母屋材受部46の間隔は、各組の母屋材26の間隔と等しくなるように設定されており、複数組の母屋材受部46は、同じ高さに配されている。
【0025】
また、パネル受部48は、柱部42から突出する正面視でL字状の金具であり、複数の柱部42のうちの両側の柱部42に設けられている。また、パネル受部49は、柱部48から突出する正面視で逆T字状の金具であり、複数の柱部42のうちの内側の柱部42に設けられている。パネル受部48、49は、各柱部42における上下一対の母屋材受部46より下側の同じ高さに配されている。
【0026】
ここで、パネル受部48とその隣のパネル受部49とに、両側の太陽電池パネル12の下側角部が嵌まり込み、隣り合った一対のパネル受部49に、内側の太陽電池パネル12の下側角部が嵌り込むように、パネル受部48、49の位置が設定されている。また、パネル受部48、49に嵌め込まれた複数の太陽電池パネル12の裏面のネジ孔と、母屋材26のボルト挿通孔とが重なり合うように、母屋材受部46の位置が設定されている。
【0027】
以上のような構成の組立架台40を用いて各行の複数の太陽電池パネル12と各組の母屋材26とを組み付ける。まず、図5に示すように、上下一対の母屋材26を上下の母屋材受部46上に載置し、クランプ又はボルト(図示せず)により柱部42に仮固定する。この際、母屋材26の両端の位置を、両側の柱部42の位置に合わせる。
【0028】
次に、図6に示すように、太陽電池パネル12を、その下側の角部がパネル受部48、49あるいは隣り合った一対のパネル受部49に嵌まり込むように、組立架台40に設置する。この状態で、太陽電池パネル12の裏面のネジ孔と、母屋材26のボルト挿通孔とが重なり合う。
【0029】
そして、図7に示すように、各行の複数の太陽電池パネル12を組立架台40に設置した後に、母屋材26のボルト挿通孔を通して太陽電池パネル12の裏面のネジ孔にボルトを螺合させることにより、母屋材26を太陽電池パネル12の裏面に固定する。これにより、各行の複数の太陽電池パネル12が、その裏面において上下一対の母屋材26により連結された太陽電池パネルユニット11が組み立てられる。
【0030】
図8〜図10は、太陽電池パネルユニット11を、架台20に運搬する工程を説明するための図である。図8は、太陽電池パネルユニット11に装着する吊冶具を示す正面図(A)及び側面図(B)である。
【0031】
この図に示すように、吊冶具50は、所定間隔で並列された複数の柱部52と、複数の柱部52の上端を連結する梁部54と、各柱部52の下端から突出するパネル受部56と、各柱部52に設けられた太陽電池パネル12の表面を保護するための緩衝ゴム等の保護材58と、内側の一対の柱部52に設けられた一対のワイヤー取付部59とを備えている。ワイヤー取付部59にはラフタークレーン14から吊り下げられたワイヤーWが取付けられる。
【0032】
ここで、柱部52の本数は、太陽電池パネルユニット11の太陽電池パネル12の枚数と同数であり、柱部52の間隔は、太陽電池パネル12の幅と同程度である。保護材58が柱部52と太陽電池パネル12の表面との間に位置するように吊冶具50を配置した場合に、パネル受部56が太陽電池パネル12側に突出し、ワイヤー取付部59が柱部52の保護材58の反対側に位置する。
【0033】
図8(A)、(B)に示すように、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11に取付ける際には、各柱部52が各太陽電池パネル12の幅方向中央部に位置し、保護材58が太陽電池パネル12の表面に当接し、パネル受部56が太陽電池パネル12の下縁に当接するように、吊冶具50と太陽電池パネルユニット11との相対位置を調整する。
【0034】
そして、図9(A)、(B)に示すように、固定用バンド57を、各柱部52と各太陽電池パネル12との周りに縦方向に巻回し、各柱部52と各太陽電池パネル12とを締付ける。これにより、各柱部52と各太陽電池パネル12とが固定用バンド57により緊結され、吊冶具50が太陽電池パネルユニット11の表面側に固定される。
【0035】
次に、母屋材26と組立架台40との仮固定を解除する。そして、図10(A)、(B)に示すように、一対のワイヤー取付部59に取付けられたワイヤーWを介してラフタークレーン14で太陽電池パネルユニット11及び吊冶具50を吊り上げて、架台20へ運搬する。
【0036】
図11〜図13は、太陽電池パネルユニット11を架台20に据付ける工程を説明するための側面図である。図11に示すように、ラフタークレーン14で太陽電池パネルユニット11を母屋材受け材28上に降ろす。この際には、吊冶具50が太陽電池パネルユニット11を挟んで母屋材受け材28の反対側に位置するように、太陽電池パネルユニット11の降下姿勢を調整する。
【0037】
次に、図12に示すように、太陽電池パネルユニット11を母屋材受け材28側へ傾倒させ、太陽電池パネルユニット11の下側の母屋材26を、当該母屋材26を固定するための連結用アングル34に当接させる。そして、図13に示すように、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11から取り外し、連結用アングル34のボルト挿通孔と母屋材26のネジ孔とが重なり合うように、太陽電池パネルユニット11と母屋材受け材28との相対位置を調整した後、連結用アングル34のボルト挿通孔を通して母屋材26のネジ孔にボルト35を螺合させることにより、母屋材26を母屋材受け材28上に固定する。これにより、太陽電池パネルユニット11が、架台20上に固定される。
【0038】
ここで、複数行の太陽電池パネルユニット11の架台20への据付は、設置高さが高い行の太陽電池パネルユニット11から優先して実施する。この際、各太陽電池パネルユニット11の上側の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、太陽電池パネル12の下に潜り込んで実施し、各太陽電池パネルユニット11の下側の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、後に下の行の太陽電池パネル12を据付ける空いたスペースで実施することになる。
【0039】
図14は、太陽電池パネルユニット11の組立に用いるユニット組立装置60を示す正面図(A)及び側面図(B)である。この図に示すように、ユニット組立装置60は、太陽電池パネル12を組立架台40まで運搬するための装置である。このユニット組立装置60は、太陽電池パネル12を真空吸着して把持する真空把持装置62と、空圧で真空把持装置62を昇降させるワイヤー巻上げ式のバランサー64と、バランサー64を直交する2方向に移動可能に支持するガイド架台66とを備えている。
【0040】
真空把持装置62は、縦横に配された複数の真空吸着パッド68と、バランサー64に懸架されて複数の真空吸着パッド68を支持するフレーム70と、フレーム70の水平な回転軸周りの角度を調整する角度調整装置72とを備えている。真空吸着パッド68は、太陽電池パネル12の4隅およびその中間部に対応して配されている。フレーム70は、矩形状の枠体であり、その4隅等に真空吸着パッド68が取付けられている。角度調整装置72は、フレーム70を、その一対の対辺と平行な回転軸の周りに回転させるモータを有している。このモータを駆動させてフレーム70を回転させることにより、真空吸着パッド68の姿勢を、下向きにしたり、横向きにしたりすることができる。
【0041】
ガイド架台66は、互に直交する第1のガイドレール74及び第2のガイドレール76と、これらを支持する架構78とを備えている。第1のガイドレール74は、組立架台40より高い位置に配されており、バランサー64を第1の水平方向に移動可能に支持する。また、第2のガイドレール76は、第1のガイドレール74を、第1の水平方向と直交する第2の水平方向に移動可能に支持する。
【0042】
以上のような構成のユニット組立装置60を、組立架台40に対向させて設置する。この際、第2のガイドレール74と太陽電池パネル12の配列方向とが平行となるように、ユニット組立装置60を設置する。また、太陽電池パネル12を、真空吸着装置62の可動範囲内に、表面が上向きとなるように設置する。
【0043】
次に、真空吸着装置62を水平姿勢で下降させ、真空吸着パッド68で太陽電池パネル12を吸着保持する。そして、太陽電池パネル12を吸着保持した真空吸着装置62を、バランサー64により上昇させ、角度調整装置72により垂直姿勢に遷移させる。
【0044】
次に、太陽電池パネル12を吸着保持した垂直姿勢の真空吸着装置62を、第1のガイドレール74及び第2のガイドレール76に沿って水平移動させ、太陽電池パネル12を、その裏面を組立架台40側に向けた状態で、組立架台40上の組立位置へ移動させる。そして、太陽電池パネル12の裏面と母屋材26とをボルトで締結する。その後、真空吸着パッド68による太陽電池パネル12の吸着保持を解除し、真空吸着装置62を、次に組立架台40に運搬する太陽電池パネル12の上方まで移動させる。
【0045】
以上の工程を繰返すことにより、各行の複数の太陽電池パネル12が順次、ユニット組立装置60により組立架台40へ搬送され、太陽電池パネルユニット11が組み立てられる。ここで、真空吸着装置62やバランサー64等を備えるユニット組立装置60を用いて太陽電池パネルユニット11を組み立てることにより、重量物である太陽電池パネル12を運搬する作業者の労力を減らすことができる。
【0046】
ここで、母屋材26を太陽電池パネル12ではなく架台20に固定し、太陽電池パネル12を1枚ずつ運搬して架台20に据付ける場合には、作業者は、寝かせた状態の太陽電池パネル12の下に潜り込んで、各太陽電池パネル12と母屋材26とを複数個所、ボルトで締結する作業を強いられる。なお、各太陽電池パネル12と母屋材26との締結箇所が4箇所の場合には、太陽電池パネルユニット11全体で20箇所の締結箇所が出来る。
【0047】
これに対して、本実施形態では、ユニット組立工程において、各行の複数の太陽電池パネル12を、その裏面に母屋材26を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニット11を組み立て、ユニット据付工程において、該太陽電池パネルユニット11を架台20に据付ける。これにより、太陽電池パネルユニット12を架台20に据付ける作業は、母屋材26を母屋材受け材28に、これらの交点でボルトで締結することで足り、即ち、太陽電池パネルユニット11を据付ける際の締結箇所は、当該交点の数だけとなる。なお、本実施形態では、太陽電池パネルユニット11を据付ける際の締結箇所は6箇所である。従って、太陽電池パネル12の下に潜り込んだ状態での締結作業の工数を低減でき、当該作業に要する労力や時間を低減することができる。
【0048】
また、母屋材26を太陽電池パネル12の裏面に固定していることにより、複数の太陽電池パネル12を、相互間にフレームを介在させずに連結することができ、密接させて並列させることができるため、面積効率を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、複数行の太陽光電池パネルユニット11の架台20への据付を、設置高さが高い行の太陽電池パネルユニット11から優先して実施する。このため、各太陽電池パネルユニット11の上側の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、太陽電池パネル12の下に潜り込んで行うことを要するものの、各太陽電池パネルユニット11の下側、即ち、地上高さが低い方の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、後に下の行の太陽電池パネル12を据付ける空いたスペースで行うことができる。従って、各太陽電池パネルユニット11の一対の母屋材26のうちで地上高さが低い方の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業を、太陽電池パネル12の下に潜り込んで行うことを要しないため、当該作業に要する労力や時間をより一層低減することができる。
【0050】
また、ユニット組立工程では、太陽電池パネルユニット11の複数の太陽電池パネル12と母屋材26とを位置決めした状態で支持し、且つ、当該複数の太陽電池パネル12を立てた状態で支持する組立架台40を使用する。これにより、母屋材26を太陽電池パネル12ではなく架台20に固定し、楽な姿勢で太陽電池パネル12と母屋材26とを締結できると共に、太陽電池パネル12を1枚ずつ架台20に据付ける場合のような、太陽電池パネル12を、その下に潜り込んで母屋材26にボルトで締結するような作業性の悪い作業を不要にできる。また、太陽電池パネル12と母屋材26とを組立架台40に設置すると、これらの相対位置が決まることから、太陽電池パネルユニット11の組立作業を容易化できる。
【0051】
また、ユニット据付工程では、母屋材受け材28に、母屋材26とボルトで締結する連結用アングル34を、母屋材受け材28から上方に突出するように設けておき、太陽電池パネルユニット11を、母屋材26を連結用アングル34に当接させることにより、母屋材受け材28に対して位置決めする。これにより、ラフタークレーン14で吊り上げて運搬した太陽電池パネルユニット11を、架台20上に降ろす際に、容易に架台20に対して位置決めでき、太陽電池パネルユニット11の架台20への据付作業の作業性を向上できる。
【0052】
また、ユニット運搬工程では、太陽電池パネルユニット11を、その表面側に固定した吊冶具50を介してラフタークレーン14で吊り上げて架台20に運搬する。ここで、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11の表面側に固定していることにより、吊冶具50が太陽電池パネルユニット11と架台20との間に介在しない。これにより、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11に固定してラフタークレーン14で吊った状態で、太陽電池パネルユニット11を架台20上に降ろしてそのまま傾倒させることができる。従って、太陽電池パネルユニット11の架台20への据付作業の作業性をより一層向上できる。
【0053】
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0054】
例えば、上述の実施形態では、行方向(横方向)に並列される複数の太陽電池パネルユニット12をユニット化したが、列方向(縦方向)に並列される複数の太陽電池パネルユニット12をユニット化してもよく、また、複数行、複数列の太陽電池パネル12をユニット化してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、複数の太陽電池パネル12を連結する連結材として断面L字状の長尺部材である母屋材26を用いたが、角材や管材や板材等の他の形状の部材を用いてもよい。また、各太陽電池パネルユニット11毎に母屋材26を複数用いることは必須ではなく、単数でもよい。
【0056】
また、ユニット組立工程において、組立架台40により複数の太陽電池パネル12を鉛直に立てた状態で支持したが、図15に示すように、斜めに立てた状態で支持してもよい。この場合、太陽電池パネル12を組立架台40により安定した状態で支持できることから、本実施形態のように、母屋材26を組立架台40に仮固定することは必須ではない。
【符号の説明】
【0057】
10 太陽光発電装置、11 太陽電池パネルユニット、12 太陽電池パネル、14 ラフタークレーン(荷役装置)、20 架台、22、23 基礎、24 架構、26 母屋材(連結材)、28 母屋受け材、30、31、32 支柱、34 連結用アングル(締結部)、35 ボルト、40 組立架台、42 柱部、44 脚部、46 母屋材受部、48、49 パネル受部、50 吊冶具、52 柱部、54 梁部、56 パネル受部、57 固定用バンド、58 保護材、59 ワイヤー取付部、60 ユニット組立装置、62 真空把持装置、64 バランサー、66 ガイド架台、68 真空吸着パッド、70 フレーム、72 角度調整装置、74 第1のガイドレール、76 第2のガイドレール、78 架構、100 メガソーラー発電所
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上やメガソーラー発電所等の設置場所に設置される太陽光発電装置として、当該設置場所に架台を設置し、この架台上に複数の太陽電池パネルを並べて設置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の太陽光発電装置を設置する際には、太陽電池パネルを1枚ずつ架台上に運搬して連結固定用金具を用いて太陽電池パネルを架台に固定することになる。また、複数の太陽電池パネルを格子状のフレームに嵌め込んで一体化したものをクレーン等で吊り上げて設置場所に運搬する太陽光発電装置の設置方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―37531号公報
【特許文献2】特開平11−81680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池パネルを1枚ずつ運搬して架台に据付ける場合には、多くの工数や労力を要する。また、太陽電池パネルは受光効率を上げるために寝かせた状態で架台に据付けるため、太陽電池パネルの据付高さが低い場合には、太陽電池パネルの下に潜り込んでネジ止め等の固定作業をすることになり、困難な作業を強いることになる。さらに、複数の太陽電池パネルを格子状のフレームに嵌め込んで一体化する場合には、太陽電池パネル間にフレームが介在することから、太陽電池パネルを密接させて並べることが出来ず、面積効率が低下する。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、太陽電池パネルの面積効率を低下させることなく、太陽光発電装置の設置作業の作業性を向上させることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽光発電装置の設置方法は、複数の太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネルを支持する架台とを備える太陽光発電装置の設置方法であって、複数の太陽電池パネルを並べて、これらの裏面に連結材を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニットを組み立てるユニット組立工程と、前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記架台に固定することにより据付けるユニット据付工程と、を備える。
【0007】
上記太陽光発電装置の設置方法において、前記ユニット組立工程では、前記太陽電池パネルユニットの複数の太陽電池パネルと前記連結材とを位置決めし、且つ、当該複数の太陽電池パネルを立てた状態で支持する組立架台を使用してもよい。
【0008】
上記太陽光発電装置の設置方法において、前記ユニット据付工程では、前記架台に、前記連結材とボルトで締結する締結部を、前記架台から上方に突出するように設けておき、前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記締結部に当接させることにより、前記架台に対して位置決めしてもよい。
【0009】
上記太陽光発電装置の設置方法は、前記太陽電池パネルユニットを、その表面側に固定した吊冶具を介して荷役装置で吊り上げて前記架台に運搬するユニット運搬工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記太陽光発電装置の設置方法によれば、太陽電池パネルの面積効率を低下させることなく、太陽光発電装置の設置作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る太陽光発電装置を多数設置したメガソーラー発電所を示す平面図である。
【図2】太陽光発電装置を示す斜視図である。
【図3】太陽光発電装置を示す分解斜視図である。
【図4】太陽電池パネルユニットの組立工程を説明するための斜視図である。
【図5】太陽光発電装置の設置方法を説明するための斜視図である。
【図6】太陽光発電装置の設置方法を説明するための斜視図である。
【図7】太陽光発電装置の設置方法を説明するための斜視図である。
【図8】太陽電池パネルユニットを、架台に運搬する方法を説明するための正面図(A)及び側面図(B)である。
【図9】太陽電池パネルユニットを、架台に運搬する方法を説明するための側面図(A)、(B)である。
【図10】太陽電池パネルユニットを、架台に運搬する方法を説明するための正面図(A)及び側面図(B)である。
【図11】太陽電池パネルユニットを架台に据付ける工程を説明するための側面図である。
【図12】太陽電池パネルユニットを架台に据付ける工程を説明するための側面図である。
【図13】太陽電池パネルユニットを架台に据付ける工程を説明するための側面図である。
【図14】太陽電池パネルユニットの組立に用いるユニット組立装置を示す正面図(A)及び側面図(B)である。
【図15】組立架台の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る太陽光発電装置10を多数設置したメガソーラー発電所100を示す平面図である。この図に示すように、メガソーラー発電所100では、太陽光発電装置10が、図中横方向には間隔を空けずに並べられ、図中縦方向には間隔を空けて並べられている。
【0013】
図中のハッチングで示す領域は、太陽光発電装置10をメガソーラー発電所100内の所定の設置箇所に設置する際に、太陽電池パネル12を運搬するラフタークレーン14が移動する範囲であり、図中Rは、ラフタークレーン14の作業半径である。ここで、ラフタークレーン14の移動範囲は、ラフタークレーン14の作業半径Rを考慮して、ラフタークレーン14の作動範囲が太陽光発電装置10の設置領域全体に及ぶように設定されている。また、太陽発電装置10をメガソーラー発電所100に設置する際には、作業ヤードに複数の組立架台40を設置する。この組立架台40については後述する。
【0014】
図2は、太陽光発電装置10を示す斜視図であり、図3は、太陽光発電装置10を示す分解斜視図である。これらの図に示すように、太陽光発電装置10は、縦横に配列された複数の太陽電池パネル12と、複数の太陽電池パネル12が据付けられる架台20とを備えている。本実施形態では、各太陽光発電装置10は、40枚の太陽電池パネル12が4行10列(縦方向に4枚、横方向に10枚)で配列されている。
【0015】
太陽電池パネル12は、裏面と周縁部とは金属で形成され、表面はガラスで形成されており、表裏面の間に光起電力素子が収容されている。また、架台20は、太陽光発電装置10の設置場所に構築された複数組の基礎22、23と、複数組の基礎22、23に支持された架構24と、架構24と太陽電池パネル12との間に配された複数の母屋材26とを備えている。
【0016】
本実施形態では、6組の基礎22、23が6列で配列されている。この基礎22、23は、太陽光発電装置10の設置場所の上に載置されている。また、架構24は、複数の母屋材受け材28と、各母屋材受け材28を各組の基礎22、23に支持する複数組の支柱30、31、32とを備えている。
【0017】
各母屋材受け材28は、列方向(縦方向)に沿って配されており、複数の母屋材受け材28は、行方向(横方向)に所定間隔おきに配されている。支柱30は、基礎22に固定されて鉛直に立てられており、母屋材受け材28の一端側を支持している。また、支柱31は、支柱30よりも長尺であって、基礎23に固定されて鉛直に立てられており、母屋材受け材28の他端側を支持している。さらに、支柱32は、支柱31よりも長尺の斜材であって、基礎23に固定されて斜めに立てられており、母屋材受け材28の他端側を支持している。
【0018】
ところで、母屋材受け材28の他端側を支持する支柱31が、母屋材受け材28の一端側を支持する支柱30よりも長尺であることから、母屋材受け材28は、地面に対して傾斜しており、母屋材受け材28の一端部の地上高さは、他端部の地上高さよりも低くなっている。ここで、母屋材受け材28の他端部の地上高さは、その下に作業者が潜り込むのに十分な高さ(例えば、1.4m程度)であるのに対して、母屋材受材28の一端部の地上高さは、その下に作業者が潜り込むのには難がある高さ(例えば、0.5m程度)である。
【0019】
各母屋材26は、断面L字状の梁材であり、行方向(横方向)に沿って配されており、複数の母屋材26は、列方向(縦方向)に間隔を空けて配されている。母屋材26と母屋材受け材28との交点には、連結用アングル34が設けられている。連結用アングル34は、L字状のアングルであり、屋材受け材28の上面と母屋材26の側面とに固定されている。これにより、母屋材26と母屋材受け材28とは、交点において連結用アングル34を介して連結されている。
【0020】
ここで、複数の母屋材26は、複数組(本実施形態では4組)に分けられ、各組の母屋材26が、各行の複数(本実施形態では5枚)の太陽電池パネル12の裏面に対向して配されており、各行の複数の太陽電池パネル12の裏面と各組の母屋材26の上面とがボルトで締結されている。
【0021】
従って、各行の複数の太陽電池パネル12からなる太陽電池パネルユニット11が、地面に対して傾斜した状態で架台20に固定されており、以って、列方向(縦方向)に並列された複数の太陽電池パネルユニット11が、地面に対して傾斜した状態で架台20に支持されている。
【0022】
図4〜図7は、太陽電池パネルユニット11を組み立てる工程を説明するための斜視図である。図4は、太陽電池パネルユニット11を組み立てるための組立架台40を示す斜視図である。この図に示すように、組立架台40は、所定間隔で並列された複数の柱部42と、複数の柱部42の下端を連結する平面視で櫛状の脚部44と、各柱部42に上下一対ずつ設けられた複数対の母屋材受部46と、各柱部42に1個ずつ設けられた複数のパネル受部48、49とを備えている。
【0023】
柱部42は、鉛直に立てられており、脚部44により支持されている。また、複数の柱部42の間隔は、太陽電池パネル12の幅よりも僅かに狭くなるように設定されている。また、複数の柱部42の本数は、各行の太陽電池パネル12の枚数より1だけ多い本数である。
【0024】
母屋材受部46は、柱部42から突出する部材である。また、上下一対の母屋材受部46の間隔は、各組の母屋材26の間隔と等しくなるように設定されており、複数組の母屋材受部46は、同じ高さに配されている。
【0025】
また、パネル受部48は、柱部42から突出する正面視でL字状の金具であり、複数の柱部42のうちの両側の柱部42に設けられている。また、パネル受部49は、柱部48から突出する正面視で逆T字状の金具であり、複数の柱部42のうちの内側の柱部42に設けられている。パネル受部48、49は、各柱部42における上下一対の母屋材受部46より下側の同じ高さに配されている。
【0026】
ここで、パネル受部48とその隣のパネル受部49とに、両側の太陽電池パネル12の下側角部が嵌まり込み、隣り合った一対のパネル受部49に、内側の太陽電池パネル12の下側角部が嵌り込むように、パネル受部48、49の位置が設定されている。また、パネル受部48、49に嵌め込まれた複数の太陽電池パネル12の裏面のネジ孔と、母屋材26のボルト挿通孔とが重なり合うように、母屋材受部46の位置が設定されている。
【0027】
以上のような構成の組立架台40を用いて各行の複数の太陽電池パネル12と各組の母屋材26とを組み付ける。まず、図5に示すように、上下一対の母屋材26を上下の母屋材受部46上に載置し、クランプ又はボルト(図示せず)により柱部42に仮固定する。この際、母屋材26の両端の位置を、両側の柱部42の位置に合わせる。
【0028】
次に、図6に示すように、太陽電池パネル12を、その下側の角部がパネル受部48、49あるいは隣り合った一対のパネル受部49に嵌まり込むように、組立架台40に設置する。この状態で、太陽電池パネル12の裏面のネジ孔と、母屋材26のボルト挿通孔とが重なり合う。
【0029】
そして、図7に示すように、各行の複数の太陽電池パネル12を組立架台40に設置した後に、母屋材26のボルト挿通孔を通して太陽電池パネル12の裏面のネジ孔にボルトを螺合させることにより、母屋材26を太陽電池パネル12の裏面に固定する。これにより、各行の複数の太陽電池パネル12が、その裏面において上下一対の母屋材26により連結された太陽電池パネルユニット11が組み立てられる。
【0030】
図8〜図10は、太陽電池パネルユニット11を、架台20に運搬する工程を説明するための図である。図8は、太陽電池パネルユニット11に装着する吊冶具を示す正面図(A)及び側面図(B)である。
【0031】
この図に示すように、吊冶具50は、所定間隔で並列された複数の柱部52と、複数の柱部52の上端を連結する梁部54と、各柱部52の下端から突出するパネル受部56と、各柱部52に設けられた太陽電池パネル12の表面を保護するための緩衝ゴム等の保護材58と、内側の一対の柱部52に設けられた一対のワイヤー取付部59とを備えている。ワイヤー取付部59にはラフタークレーン14から吊り下げられたワイヤーWが取付けられる。
【0032】
ここで、柱部52の本数は、太陽電池パネルユニット11の太陽電池パネル12の枚数と同数であり、柱部52の間隔は、太陽電池パネル12の幅と同程度である。保護材58が柱部52と太陽電池パネル12の表面との間に位置するように吊冶具50を配置した場合に、パネル受部56が太陽電池パネル12側に突出し、ワイヤー取付部59が柱部52の保護材58の反対側に位置する。
【0033】
図8(A)、(B)に示すように、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11に取付ける際には、各柱部52が各太陽電池パネル12の幅方向中央部に位置し、保護材58が太陽電池パネル12の表面に当接し、パネル受部56が太陽電池パネル12の下縁に当接するように、吊冶具50と太陽電池パネルユニット11との相対位置を調整する。
【0034】
そして、図9(A)、(B)に示すように、固定用バンド57を、各柱部52と各太陽電池パネル12との周りに縦方向に巻回し、各柱部52と各太陽電池パネル12とを締付ける。これにより、各柱部52と各太陽電池パネル12とが固定用バンド57により緊結され、吊冶具50が太陽電池パネルユニット11の表面側に固定される。
【0035】
次に、母屋材26と組立架台40との仮固定を解除する。そして、図10(A)、(B)に示すように、一対のワイヤー取付部59に取付けられたワイヤーWを介してラフタークレーン14で太陽電池パネルユニット11及び吊冶具50を吊り上げて、架台20へ運搬する。
【0036】
図11〜図13は、太陽電池パネルユニット11を架台20に据付ける工程を説明するための側面図である。図11に示すように、ラフタークレーン14で太陽電池パネルユニット11を母屋材受け材28上に降ろす。この際には、吊冶具50が太陽電池パネルユニット11を挟んで母屋材受け材28の反対側に位置するように、太陽電池パネルユニット11の降下姿勢を調整する。
【0037】
次に、図12に示すように、太陽電池パネルユニット11を母屋材受け材28側へ傾倒させ、太陽電池パネルユニット11の下側の母屋材26を、当該母屋材26を固定するための連結用アングル34に当接させる。そして、図13に示すように、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11から取り外し、連結用アングル34のボルト挿通孔と母屋材26のネジ孔とが重なり合うように、太陽電池パネルユニット11と母屋材受け材28との相対位置を調整した後、連結用アングル34のボルト挿通孔を通して母屋材26のネジ孔にボルト35を螺合させることにより、母屋材26を母屋材受け材28上に固定する。これにより、太陽電池パネルユニット11が、架台20上に固定される。
【0038】
ここで、複数行の太陽電池パネルユニット11の架台20への据付は、設置高さが高い行の太陽電池パネルユニット11から優先して実施する。この際、各太陽電池パネルユニット11の上側の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、太陽電池パネル12の下に潜り込んで実施し、各太陽電池パネルユニット11の下側の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、後に下の行の太陽電池パネル12を据付ける空いたスペースで実施することになる。
【0039】
図14は、太陽電池パネルユニット11の組立に用いるユニット組立装置60を示す正面図(A)及び側面図(B)である。この図に示すように、ユニット組立装置60は、太陽電池パネル12を組立架台40まで運搬するための装置である。このユニット組立装置60は、太陽電池パネル12を真空吸着して把持する真空把持装置62と、空圧で真空把持装置62を昇降させるワイヤー巻上げ式のバランサー64と、バランサー64を直交する2方向に移動可能に支持するガイド架台66とを備えている。
【0040】
真空把持装置62は、縦横に配された複数の真空吸着パッド68と、バランサー64に懸架されて複数の真空吸着パッド68を支持するフレーム70と、フレーム70の水平な回転軸周りの角度を調整する角度調整装置72とを備えている。真空吸着パッド68は、太陽電池パネル12の4隅およびその中間部に対応して配されている。フレーム70は、矩形状の枠体であり、その4隅等に真空吸着パッド68が取付けられている。角度調整装置72は、フレーム70を、その一対の対辺と平行な回転軸の周りに回転させるモータを有している。このモータを駆動させてフレーム70を回転させることにより、真空吸着パッド68の姿勢を、下向きにしたり、横向きにしたりすることができる。
【0041】
ガイド架台66は、互に直交する第1のガイドレール74及び第2のガイドレール76と、これらを支持する架構78とを備えている。第1のガイドレール74は、組立架台40より高い位置に配されており、バランサー64を第1の水平方向に移動可能に支持する。また、第2のガイドレール76は、第1のガイドレール74を、第1の水平方向と直交する第2の水平方向に移動可能に支持する。
【0042】
以上のような構成のユニット組立装置60を、組立架台40に対向させて設置する。この際、第2のガイドレール74と太陽電池パネル12の配列方向とが平行となるように、ユニット組立装置60を設置する。また、太陽電池パネル12を、真空吸着装置62の可動範囲内に、表面が上向きとなるように設置する。
【0043】
次に、真空吸着装置62を水平姿勢で下降させ、真空吸着パッド68で太陽電池パネル12を吸着保持する。そして、太陽電池パネル12を吸着保持した真空吸着装置62を、バランサー64により上昇させ、角度調整装置72により垂直姿勢に遷移させる。
【0044】
次に、太陽電池パネル12を吸着保持した垂直姿勢の真空吸着装置62を、第1のガイドレール74及び第2のガイドレール76に沿って水平移動させ、太陽電池パネル12を、その裏面を組立架台40側に向けた状態で、組立架台40上の組立位置へ移動させる。そして、太陽電池パネル12の裏面と母屋材26とをボルトで締結する。その後、真空吸着パッド68による太陽電池パネル12の吸着保持を解除し、真空吸着装置62を、次に組立架台40に運搬する太陽電池パネル12の上方まで移動させる。
【0045】
以上の工程を繰返すことにより、各行の複数の太陽電池パネル12が順次、ユニット組立装置60により組立架台40へ搬送され、太陽電池パネルユニット11が組み立てられる。ここで、真空吸着装置62やバランサー64等を備えるユニット組立装置60を用いて太陽電池パネルユニット11を組み立てることにより、重量物である太陽電池パネル12を運搬する作業者の労力を減らすことができる。
【0046】
ここで、母屋材26を太陽電池パネル12ではなく架台20に固定し、太陽電池パネル12を1枚ずつ運搬して架台20に据付ける場合には、作業者は、寝かせた状態の太陽電池パネル12の下に潜り込んで、各太陽電池パネル12と母屋材26とを複数個所、ボルトで締結する作業を強いられる。なお、各太陽電池パネル12と母屋材26との締結箇所が4箇所の場合には、太陽電池パネルユニット11全体で20箇所の締結箇所が出来る。
【0047】
これに対して、本実施形態では、ユニット組立工程において、各行の複数の太陽電池パネル12を、その裏面に母屋材26を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニット11を組み立て、ユニット据付工程において、該太陽電池パネルユニット11を架台20に据付ける。これにより、太陽電池パネルユニット12を架台20に据付ける作業は、母屋材26を母屋材受け材28に、これらの交点でボルトで締結することで足り、即ち、太陽電池パネルユニット11を据付ける際の締結箇所は、当該交点の数だけとなる。なお、本実施形態では、太陽電池パネルユニット11を据付ける際の締結箇所は6箇所である。従って、太陽電池パネル12の下に潜り込んだ状態での締結作業の工数を低減でき、当該作業に要する労力や時間を低減することができる。
【0048】
また、母屋材26を太陽電池パネル12の裏面に固定していることにより、複数の太陽電池パネル12を、相互間にフレームを介在させずに連結することができ、密接させて並列させることができるため、面積効率を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、複数行の太陽光電池パネルユニット11の架台20への据付を、設置高さが高い行の太陽電池パネルユニット11から優先して実施する。このため、各太陽電池パネルユニット11の上側の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、太陽電池パネル12の下に潜り込んで行うことを要するものの、各太陽電池パネルユニット11の下側、即ち、地上高さが低い方の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業は、後に下の行の太陽電池パネル12を据付ける空いたスペースで行うことができる。従って、各太陽電池パネルユニット11の一対の母屋材26のうちで地上高さが低い方の母屋材26を連結用アングル34に締結する作業を、太陽電池パネル12の下に潜り込んで行うことを要しないため、当該作業に要する労力や時間をより一層低減することができる。
【0050】
また、ユニット組立工程では、太陽電池パネルユニット11の複数の太陽電池パネル12と母屋材26とを位置決めした状態で支持し、且つ、当該複数の太陽電池パネル12を立てた状態で支持する組立架台40を使用する。これにより、母屋材26を太陽電池パネル12ではなく架台20に固定し、楽な姿勢で太陽電池パネル12と母屋材26とを締結できると共に、太陽電池パネル12を1枚ずつ架台20に据付ける場合のような、太陽電池パネル12を、その下に潜り込んで母屋材26にボルトで締結するような作業性の悪い作業を不要にできる。また、太陽電池パネル12と母屋材26とを組立架台40に設置すると、これらの相対位置が決まることから、太陽電池パネルユニット11の組立作業を容易化できる。
【0051】
また、ユニット据付工程では、母屋材受け材28に、母屋材26とボルトで締結する連結用アングル34を、母屋材受け材28から上方に突出するように設けておき、太陽電池パネルユニット11を、母屋材26を連結用アングル34に当接させることにより、母屋材受け材28に対して位置決めする。これにより、ラフタークレーン14で吊り上げて運搬した太陽電池パネルユニット11を、架台20上に降ろす際に、容易に架台20に対して位置決めでき、太陽電池パネルユニット11の架台20への据付作業の作業性を向上できる。
【0052】
また、ユニット運搬工程では、太陽電池パネルユニット11を、その表面側に固定した吊冶具50を介してラフタークレーン14で吊り上げて架台20に運搬する。ここで、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11の表面側に固定していることにより、吊冶具50が太陽電池パネルユニット11と架台20との間に介在しない。これにより、吊冶具50を太陽電池パネルユニット11に固定してラフタークレーン14で吊った状態で、太陽電池パネルユニット11を架台20上に降ろしてそのまま傾倒させることができる。従って、太陽電池パネルユニット11の架台20への据付作業の作業性をより一層向上できる。
【0053】
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0054】
例えば、上述の実施形態では、行方向(横方向)に並列される複数の太陽電池パネルユニット12をユニット化したが、列方向(縦方向)に並列される複数の太陽電池パネルユニット12をユニット化してもよく、また、複数行、複数列の太陽電池パネル12をユニット化してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、複数の太陽電池パネル12を連結する連結材として断面L字状の長尺部材である母屋材26を用いたが、角材や管材や板材等の他の形状の部材を用いてもよい。また、各太陽電池パネルユニット11毎に母屋材26を複数用いることは必須ではなく、単数でもよい。
【0056】
また、ユニット組立工程において、組立架台40により複数の太陽電池パネル12を鉛直に立てた状態で支持したが、図15に示すように、斜めに立てた状態で支持してもよい。この場合、太陽電池パネル12を組立架台40により安定した状態で支持できることから、本実施形態のように、母屋材26を組立架台40に仮固定することは必須ではない。
【符号の説明】
【0057】
10 太陽光発電装置、11 太陽電池パネルユニット、12 太陽電池パネル、14 ラフタークレーン(荷役装置)、20 架台、22、23 基礎、24 架構、26 母屋材(連結材)、28 母屋受け材、30、31、32 支柱、34 連結用アングル(締結部)、35 ボルト、40 組立架台、42 柱部、44 脚部、46 母屋材受部、48、49 パネル受部、50 吊冶具、52 柱部、54 梁部、56 パネル受部、57 固定用バンド、58 保護材、59 ワイヤー取付部、60 ユニット組立装置、62 真空把持装置、64 バランサー、66 ガイド架台、68 真空吸着パッド、70 フレーム、72 角度調整装置、74 第1のガイドレール、76 第2のガイドレール、78 架構、100 メガソーラー発電所
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネルを支持する架台とを備える太陽光発電装置の設置方法であって、
複数の太陽電池パネルを並べて、これらの裏面に連結材を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニットを組み立てるユニット組立工程と、
前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記架台に固定することにより据付けるユニット据付工程と、
を備える太陽光発電装置の設置方法。
【請求項2】
前記ユニット組立工程では、前記太陽電池パネルユニットの複数の太陽電池パネルと前記連結材とを位置決めし、且つ、当該複数の太陽電池パネルを立てた状態で支持する組立架台を使用する請求項1に記載の太陽光発電装置の設置方法。
【請求項3】
前記ユニット据付工程では、前記架台に、前記連結材とボルトで締結する締結部を、前記架台から上方に突出するように設けておき、前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記締結部に当接させることにより、前記架台に対して位置決めする請求項1又は請求項2に記載の太陽光発電装置の設置方法。
【請求項4】
前記太陽電池パネルユニットを、その表面側に固定した吊冶具を介して荷役装置で吊り上げて前記架台に運搬するユニット運搬工程を備える請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の太陽発電装置の設置方法。
【請求項1】
複数の太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネルを支持する架台とを備える太陽光発電装置の設置方法であって、
複数の太陽電池パネルを並べて、これらの裏面に連結材を固定して連結することにより、太陽電池パネルユニットを組み立てるユニット組立工程と、
前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記架台に固定することにより据付けるユニット据付工程と、
を備える太陽光発電装置の設置方法。
【請求項2】
前記ユニット組立工程では、前記太陽電池パネルユニットの複数の太陽電池パネルと前記連結材とを位置決めし、且つ、当該複数の太陽電池パネルを立てた状態で支持する組立架台を使用する請求項1に記載の太陽光発電装置の設置方法。
【請求項3】
前記ユニット据付工程では、前記架台に、前記連結材とボルトで締結する締結部を、前記架台から上方に突出するように設けておき、前記太陽電池パネルユニットを、前記連結材を前記締結部に当接させることにより、前記架台に対して位置決めする請求項1又は請求項2に記載の太陽光発電装置の設置方法。
【請求項4】
前記太陽電池パネルユニットを、その表面側に固定した吊冶具を介して荷役装置で吊り上げて前記架台に運搬するユニット運搬工程を備える請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の太陽発電装置の設置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−186215(P2012−186215A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46644(P2011−46644)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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