説明

定量注出容器

【課題】一定量の液体の内容物を噴出して対象物に広い面積で均等に塗布することができる定量注出容器を提供する。
【解決手段】液体通路22と空気通路筒部24が形成された中栓受け部材18を有し、取出口14を覆って取り付けられた中栓部材26を備える。中栓部材26の外側に取付けられ、中栓部材26のガイド溝40に嵌合され注出口50が形成されたヘッド部材44を備える。ヘッド部材44の頂面に凹凸部52を有する。中栓部材26に移動可能に挿通された筒状の第一流路形成部材56と、第一流路形成部材56が移動可能に挿通された筒状の第二流路形成部材64を備える。第一流路形成部材56が没入すると、容積が減少する計量室88を有する。容器本体12を逆さまにしてヘッド部材44を没入させると、計量室88に満たされていた内容物に圧力がかかり、計量室88から第一流路形成部材56に内容物が移動しヘッド部材44の注出口50から噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体の医薬品や化粧品等の流動性材料を収容する定量注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の医薬品や化粧品の流動性材料を収容し、この流動性材料を注出して対象物に塗布する容器がある。このような容器の、流動性材料が注出される注出口の周囲にマッサージ用または塗り広げるための突起が設けられているものがあった。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている粘性液状体の吐出容器は、液状体を貯留する容器本体の上端開口部に液状体を吐出する中キャップが取付けられている。中キャップは軟質合成樹脂材により成る筒状主体部と塗布部が一体に形成され、塗布部は筒状主体部の上面に形成されている。塗布部には、塗布部の上縁に凹凸条を形成した環状周壁と、この環状周壁の内面を閉鎖する吐出孔を設けた仕切壁と、この仕切壁の上面に突設される複数の棒状の突起が設けられている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている噴射ヘッドおよびエアゾール式噴射器は、薬剤を収容し人体のマッサージと薬液の人体への噴射を選択的にあるいは同時に行うことができるものである。この噴射ヘッドおよびエアゾール式噴射器は、頂面にマッサージ用の凹凸を有しエアゾール式噴射器の容器の口部に取付けられるヘッド本体が設けられ、ヘッド本体内には、エアゾール噴射器のステムに連通する流路形成部材と、ステムを押し込むボタンが設けられている。この噴射ヘッドおよびエアゾール式噴射器は、ヘッド本体を人体の所望する部位に当ててマッサージを行い、次にボタンを押して薬剤を噴射させて人体に塗布することができる。
【0005】
また、特許文献3に開示されている塗布栓は、シール性を高めて液漏れを防止し、塗布体の下降を規制可能なロック機構を有し、さらに頭皮へのマッサージ効果を高くしたものである。この塗布栓は、容器本体の口筒部に密にかつ不動に組み付く塗布栓本体と、該塗布栓本体に対して昇降及び回動変位可能に組み付く有頂円筒状の塗布体と、塗布体本体と塗布体の間に介在されたスプリングが設けられている。前記塗布栓本体にはロックエリアと昇降エリアのロック部を形成し、塗布体にはロック部と組み合わされる規制片が設けられている。塗布体の天面中央部には吐出孔が形成され、天面下面には吐出口を囲む内筒が垂下設され、内筒にはピストンが設けられている。塗布体の天面の上面には、半球形状のマッサージ用突起が複数個設けられている。この塗布栓は、塗布体が移動しないようにロックした状態で塗布体のマッサージ用突起を人体に当ててマッサージを行い、ロックを解除した状態で塗布体をスプリングに抗して下降させるとピストンが下降して塗布体本体との間に間隙が形成され、薬液が吐出されるものである。
【0006】
また、収容している液体を一回の使用量に計量して注出量を一定化する定量注出容器もあった。例えば、本願発明者による特許文献4に開示されている定量注出容器は、容器本体の取出口に取り付けられ透孔が形成された中栓と、中栓に取り付けられ挿通孔が形成されている計量筒部材と、計量筒部材の挿通孔に移動可能に設けられている弁部材が設けられている。弁部材は、中栓を閉鎖する第一弁と、計量筒部材を閉鎖する第二弁が設けられ、第二弁が計量筒部材を閉じているとき容器本体に収容された液体が計量筒部材に流れ、弁部材を移動させて第一弁が中栓を閉じ第二弁が計量筒部材を開いたとき計量筒部材で計量された液体が注出可能となるものである。
【特許文献1】特開平11−100077号公報
【特許文献2】特開2003−290688号公報
【特許文献3】特開2005−104544号公報
【特許文献4】特開2002−337910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1〜3場合、注出される粘性液状体や薬液の量は一定では無く、正確な量を注出することができず、多すぎたり少なすぎたりして、適切な量での使用が難しいものであった。特に育毛剤等は多量に使用しても効果が変わらず、高価なことから、もったいない場合がある。また、特許文献4の場合、薬液を一定量取り出すことはできるが、薬液は滴になって一箇所から注出されるため、対象物に広い面積で均等に塗布することは難しかった。また育毛剤の場合は薬液の多くが滴になって毛髪に付着し、頭皮に届く割合が低くなるものであった。
【0008】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、一定量の液体の内容物を噴出して対象物に広い面積で均等に塗布することができる定量注出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一端部に取出口が形成され、液体を収容して前記取り出し部から注出させるようにした容器本体を有する定量注出容器であって、前記容器本体の取出口の内周面に取り付けられこの取出口を塞ぐとともに液体通路と空気通路が形成されている中栓受け部材と、前記中栓受け部材と前記容器本体の前記取出口を覆って取り付けられ前記中栓受け部材の前記液体通路に連通する筒部と前記筒部に対して平行に形成されたガイド溝が形成されている中栓部材と、前記中栓部材の外側に取付けられ前記中栓部材の前記ガイド溝に一部が嵌合され前記ガイド溝に沿って移動可能であり前記中栓部材の前記筒部の延長上に交差する頂面を有し前記頂面に前記筒部の延長上に一致する注出口が形成されたヘッド部材と、前記ヘッド部材の頂面に一体に形成された凹凸部と、前記ヘッド部材の内側で前記ヘッド部材の前記注出口に取付けられ前記中栓部材の前記筒部に移動可能に挿通された筒状の第一流路形成部材と、前記中栓部材の内側で前記中栓部材の前記筒部に取付けられ前記第一流路形成部材が移動可能に挿通された筒状の第二流路形成部材と、前記第一流路形成部材と前記第二流路部材の間に形成され前記第一流路形成部材が没入すると容積が減少する計量室と、前記第二流路形成部材に連続して設けられ前記容器本体内に連通する吸込口と、前記計量室の内側に移動可能に設けられ前記第二流路形成部材に押し付けられると前記吸込口が閉鎖する弁部材と、前記ヘッド部材を前記容器本体に対して突出する方向に付勢する付勢手段とが設けられている定量注出容器である。この定量注出容器は、前記ヘッド部材の頂面を下向きにして前記凹凸部を対象物に当接させて前記容器本体を下方に移動させると、前記ヘッド部材と前記第一流路形成部が没入して前記計量室に満たされていた内容物に圧力がかかり前記弁部材が前記第吸込口を閉鎖し、前記計量室から前記第一流路形成部材に内容物が移動して前記ヘッド部材の前記注出口から噴射され、噴射された内容物は前記凹凸部の間隙を通過して前記対象物表面に塗布されるものである。
【0010】
また、前記弁部材は、第一流路形成部材に設けられた筒状の円筒部に収容された球体であり、前記第二流路形成部材には前記弁部材が当接するテーパ面が形成された摺動部材が嵌合している。また、前記ヘッド部材の頂面に形成された凹凸部は、前記ヘッド部材の前記頂部の外側面に複数個の突起が形成されて設けられている。また、前記吸入口は、前記容器本体の前記取出口の先端部近傍に開口されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の定量注出容器は、収容している液体を一回分の使用量に計量して注出量を一定化し、一定量の液体の内容物を噴出して対象物に均等に広く塗布することができるものである。さらに、一定量の液体の内容物が噴射されるため、取り出した量を把握して使用方法を守ることも容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図3はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の定量注出容器10は、有底筒状の容器本体12を有し、容器本体12は比較的硬い合成樹脂で作られている。容器本体12の上端部には、径が小さい円筒状の取出口14が一体に形成され、取出口14の外側面には、雄ネジ16が形成されている。
【0013】
取出口14の端面には、中栓受け部材18が取り付けられている。中栓受け部材18は、取出口14の端面に載せられて取出口14を塞ぐ仕切壁部20が設けられ、仕切壁部20の中央には液体通路22が形成されている。液体通路22は、仕切壁部20を貫通する大きい内径の円筒形であり容器本体12の内側へ向かって突出している。液体通路22の横の仕切壁部20には、空気通路24が形成されている。空気通路24は仕切壁部20を貫通する小さい内形の円筒形であり容器本体12の内側へ向かって液体通路22よりも長く容器本体12内へ突出している。
【0014】
容器本体12の取出口14の外側には、中栓受け部材18を覆って中栓部材26が取付けられている。中栓部材26には、取出口14の外側を覆う円筒状の側面部28が設けられ、側面部28の内周面には取出口14の雄ネジ16に螺合される雌ネジ30が形成されている。側面部28の外周面には、滑り止め用の凹凸が形成されても良い。側面部28の上端部には、中栓受け部材18の仕切壁部20に重ねられる板状の押え部32が設けられ、押え部32の中央には中栓受け部材18の液体通路22に連通する円筒部34が設けられている。円筒部34には、液体通路22よりも少し大きい内径で少し長い筒状の外側面34aが容器本体12の外側へ突出して設けられ、外側面34aの上端部には外側面34aの内側へ向かう上面34bが一定幅で一周して形成され、上面34bの内側端部には外側面34aと平行で径が小さい内側面34cが形成され、内側面34cの下端部は押え部32近傍に達している。外側面34aの、内側面34cに対向する内周面には突起36が一周して設けられている。
【0015】
中栓部材26の押え部32には、円筒部34の外側を囲んで、ガイド壁部38が設けられている。ガイド壁部38は、容器本体12の外側へ突出する円筒形であり、円筒部34よりも少し高く設けられている。ガイド壁部38と円筒部34の間の空間は、後述するヘッド部材44が突没可能に差し込まれるガイド溝40となる。ガイド壁部38の外周面には、後述するキャップ110が係止される凹部42が設けられている。
【0016】
中栓部材26の円筒部34内側には、第一流路形成部材56が設けられている。第一流路形成部材56は、中栓部材26の円筒部34内側面34cに摺動可能に差し込まれる円筒部58が設けられ、円筒部58の上端部58aは、円筒部34上面34bの上方に突出し、後述するヘッド部材44の注出口50に嵌合される。円筒部58の下端部58bは、中栓部材26の円筒部34の下方に突出し、中栓受け部材18の液体通路22を通過してわずかに下方に突出している。円筒部58の途中の、中栓部材26の円筒部34上面34b付近には、内径が小さくなる狭窄部60が形成されている。円筒部58の下端部58b付近には、外周面から外側に突出する弁部62が一周して形成されている。
【0017】
第一流路形成部材56の、容器本体12の内側には、第二流路形成部材64が設けられている。第二流路形成部材64は、第一流路形成部材56の弁部62が密着する大径円筒部66と、大径円筒部66の下端部66bに連続し大径円筒部66よりも径が小さい小径円筒部68が形成されている。
【0018】
大径円筒部66の上端部66aは、中栓部材26の円筒部34の、外側面34a、上面34b、内側面34cでコの字形に囲まれ下方に開口する空間に差し込まれている。大径円筒部66の上端部66aの外周面には突起70が一周して設けられている。突起70は、中栓部材26の円筒部34外側面34aに形成されている突起36に係止され、抜け落ちないように係止されている。大径円筒部66の下端部66bは、中栓部材26の円筒部34から下方に延出し、中栓受け部材18の液体通路22に嵌合されて下方に延出している。大径円筒部66の内周面は、第一流路形成部材56の弁部62が摺動可能に密着している。
【0019】
小径円筒部68の上端部68aは、大径円筒部66の下端部66bに差し込まれ、段部となって一体に成形されている。小径円筒部68の下端部68bは、容器本体12の取出口14を通過して容器本体12の内側に達している。小径円筒部68の下端部68bには、小径円筒部68の内側に突出する底面72が一定幅で一周して形成され、底面72の内側端部には小径円筒部68と平行で径が小さい内側面74が形成され、内側面74の上端部は、小径円筒部68の中間よりもやや下端部68bに近い位置に達している。
【0020】
第一流路形成部材56の円筒部58には、狭窄部60よりも下端部58b側の内側空間に、嵌合部材76が設けられている。嵌合部材76は、円筒部58に僅かな間隙を有して嵌合される円柱部78が形成され、円柱部78の上端部78aは円錐形となり狭窄部60の内側に差し込まれている。円柱部78の下端部78bは、第一流路形成部材56の円筒部58下端部58bからわずかに下方に突出し、下方に広がるテーパ部80が形成され、さらにテーパ部80には円柱部78よりも径が大きい円筒部82が連続して形成されている。テーパ部80には、テーパ部80を内外に貫通する透孔84が形成されている。円筒部82の下端部82bは、第二流路形成部材64の小径円筒部68上端部68aに差し込まれて達している。円筒部82と、第二流路形成部材64の大径円筒部66との間には空間ができ、この空間は後述する薬液114が満たされて計量される計量室86となる。
【0021】
嵌合部材76の下方には、摺動部材88が設けられている。摺動部材88は、第二流路形成部材64の小径円筒部68の内側に嵌合して嵌合部材76と一体的に摺動可能に取り付けられている。摺動部材88は、小径円筒部68よりも径が小さい円筒部90が形成され、円筒部90の上端部90aは、小径円筒部68の上端部68aから上方に突出し、嵌合部材76の円筒部82下端部82b内側に密着して差し込まれている。円筒部90の上端部90aの内側は、後述する球体弁96が密着するように外側へ開くテーパ面91が一周して形成されている。円筒部90の途中には、円筒部90の外周面から外側に突出し第二流路形成部材64の小径円筒部68内側に摺動可能に密接する弁部92が一周して形成されている。弁部92の、円筒部90上端部90a側の端面には溝部94が一周して形成され、溝部94には、嵌合部材76の円筒部82下端部82bが密着して差し込まれている。
【0022】
嵌合部材76の円筒部82と、摺動部材88の円筒部90で囲まれた空間には、球体弁96が入れられている。球体弁96は自由に動き、円筒部90のテーパ面91に密着すると円筒部90が閉鎖されるものである。
【0023】
摺動部材88の下方には、第二流路形成部材64の小径円筒部68の内側に沿って、付勢手段であるスプリング98が設けられている。スプリング98は圧縮された状態で取付けられ、スプリング98の上端部は、摺動部材88の円筒部90を巻き回して弁部92に当接し、スプリング98の下端部は、第二流路形成部材64の小径円筒部68の内側面74を巻き回し底面72に当接している。スプリング98により摺動部材88は容器本体12の外側に向かって付勢され、嵌合部材76と第一流路形成部材56も同時に付勢され、第一流路形成部材56の弁部62が、中栓部材26の円筒部34内側面34cに当接して抜け落ちを防止している。
【0024】
第二流路形成部材64の小径円筒部68下端部68bには、連結部材100を介して吸入口102が設けられている。連結部材100は、第二流路形成部材64の小径円筒部68下端部68bに嵌めるキャップ状に形成され、小径円筒部68下端部68bが差し込まれる空間104と、吸入口102の下端部102bが差し込まれる空間106が互いに平行に開口されて形成され、空間104と空間106は通路108で連通されている。吸入口102は細長い円筒状に形成され、吸入口102の下端部102bは連結部材100の空間106に差し込まれ、吸入口102の上端部102aは容器本体12の取出口14内側を上方へ延出し、中栓受け部材18の仕切壁部20近傍に達している。吸入口102は、上端部102aに近づくにつれて径が細くなっている。なお、連結部材100は複数の部材が組み合わされて構成されても良い。
【0025】
中栓部材26の、容器本体12の外側には、柔軟な樹脂で作られたヘッド部材44が設けられている。ヘッド部材44は、中栓部材26のガイド溝40に移動可能に差し込まれる円筒状の側面部46が設けられ、側面部46はガイド溝40の深さ方向に移動可能であり、ガイド溝40の深さよりも長く形成されている。側面部46の上端部には、側面部46を閉鎖する頂面48が設けられている。頂面48はやや肉厚に形成され、頂面48の中心には、注出口50が頂面48を貫通して形成され、注出口50の途中には頂面48側が細くなる段部54が設けられている。注出口50の段部54よりも容器本体12内側に近い部分は、第一流路形成部材56の円筒部58が密着して差し込まれる内径に形成されている。頂面48の外側面には、凹凸部を形成する複数個の突起52が全面にほぼ等間隔で一体に形成されている。
【0026】
中栓部材26の外側には、キャップ110が着脱可能に設けられている。キャップ110は、中栓部材26のガイド壁部38からヘッド部材44を覆う円筒形の側面110aを有し、側面110aの上端部には、円形の上面部110bが設けられている。側面110aの内周面には、中栓部材26のガイド壁部38に形成された凹部42に係止される凸部112が形成されている。
【0027】
次に、この実施形態の定量注出容器10の使用方法について説明する。容器本体12に育毛剤等の薬液114を収容し、容器本体12の取出口14に、中栓受け部材18、中栓部材26、第一流路形成部材56、第二流路形成部材64、嵌合部材76、摺動部材88、弁部材である球体弁96、スプリング98、連結部材100、吸入口102を組み立てて取付ける。そして、第一流路形成部材56の円筒部58にヘッド部材44を取付ける。ヘッド部材44は柔軟な樹脂で作られているため、第一流路形成部材56の円筒部58をヘッド部材44の注出口50に差し込むと、密着して適度な力で係止される。第一流路形成部材56の円筒部58は、ヘッド部材44の注出口50段部54に当接させ、位置決めする。さらに中栓部材26に、ヘッド部材44を覆ってキャップ110を取り付ける。
【0028】
容器本体12から収容物である薬液114を取り出して使用するときは、まずキャップ110を外し、容器本体12を逆さまにする。この状態ではまだ薬液114が計量室86に計量されておらず、薬液114が注出されない。
【0029】
図2に示すようにヘッド部材44を逆さまにして対象物116に当てて、容器本体12を、下がりきる位置まで、つまり第一流路形成部材56の弁部62が第二流路形成部材64の小径円筒部68上端部68aに当接するまで、押し下げる。次に容器本体12を離すとき、容器本体12内が減圧となり、図2(b)に示すように、ヘッド部材44と中栓受け部材18、第一流路形成部材56、第二流路形成部材64の間の隙間から外気が流入し、中栓受け部材18の空気通路24から容器本体12内に入る。このとき、容器本体12は逆さまにされているため、吸入口102から薬液114が流れ込み、連結部材100、第二流路形成部材64、摺動部材88に流れ、摺動部材88の透孔84を通過して計量室86に満たされて計量される。このとき、球体弁96は摺動部材88のテーパ面91から離れて円筒部90を開放し、薬液114が、第二流路形成部材64から摺動部材88に、円滑に流れる。
【0030】
そして、図2(a)に示すように容器本体12を再び押し下げると、計量室86が第一流路形成部材56により縮小されるため、計量室86内の圧力が高くなり、球体弁96は摺動部材88のテーパ面91に押し付けられて閉鎖され、薬液114は新たに流入しない。そして計量室86内の薬液114は、嵌合部材76の円柱部78と、第一流路形成部材56の円筒部58の隙間に押出されて狭窄部60を通過し、円筒部58の上端部58a付近まで押出される。これを繰り返すと、流路内の空気が薬液114で置換され満たされる。薬液114で流路が満たされると、容器本体12を一回押すたびに、計量室86の薬液114が押出され、円筒部58の上端部58a付近に満たされている薬液114が、ヘッド部材44の注出口50から計量室86と同じ容量だけ噴射される。噴射された薬液114は、ヘッド部材44の突起52の間隙を通過して、対象物116に広い面積で均一に塗布される。
【0031】
この実施形態の定量注出容器10によれば、簡単な操作で、確実に一定量の薬液を噴出して、正確な使用量で使用することができる。定量注出容器10は、ポンプ式ディスペンサであるため、ワンプッシュごとに一定量の薬液114が分出され、便利である。キャップ110を外してヘッド部材44を対象物116に押し付けるだけで、一定量の薬液114を簡単に塗布することができる。ヘッド部材44を押し付ける回数によって、使用量を適宜調整することができる。
【0032】
薬液114は高い圧力で噴出し、突起52の隙間に効率よく分散されるため、対象物116に広い面積で均一に塗布することができる。離れた位置から薬液114を噴射するのではなく、ヘッド部材44を直接対象物116に押し当てて噴射するので、狙った部分にしっかりと塗布することができる。薬液114が育毛剤の場合、毛髪があっても毛髪に付着する分を少なくして無駄をなくし、確実に対象物116である頭皮に広い面積で均一に塗布することができる。
【0033】
また、突起52を対象物116である頭皮に押し当てて移動させたり力の強さを変化させることで、頭皮をマッサージすることができ、薬液114の効果を高めることができる。ヘッド部材44は柔軟素材で作られているため、頭皮に適度な柔らかさで心地よくマッサージすることができる。
【0034】
吸入口102は、中栓受け部材18の仕切壁部20近傍に開口されているため、定量注出容器10を逆さにして薬液114を注出するとき、残り少なくなった薬液114が仕切壁部20に溜まり最後まで吸い込んで注出することができ、無駄が無く経済的である。
【0035】
なお、この実施形態の定量注出容器10は、ヘッド部材44の形状が異なるものでも良い。例えば図4に示すヘッド部材118は、側面部120と頂面122が設けられ、頂面122の中心には注出口124が設けられ、注出口124の周囲には同心円状の円形溝部126が一周して形成されている。さらに注出口124と円形溝部126の間には放射状の直線溝部128が形成され、直線溝部128は8本が互いに円形溝部126の円周に沿って等間隔に形成されている。円形溝部126の外側にも、放射状の直線溝部130が形成されている。直線溝部130は8本形成され、一対の直線溝部128の間にそれぞれ位置するようにずれて形成されている。
【0036】
このヘッド部材118によっても、注出口124から噴射された薬液114は、直線溝部128と円形溝部126、直線溝部130を通過して広がり、対象物116に広い面積で均一に塗布することができる。
【0037】
なお、この発明の定量注出容器は上記実施形態に限定されるものではなく、素材や形状、各部材の形状等も自由に変更可能である。また、用途は薬品や化粧品、その他液体を収容して一定量を取り出すものであればよく、上記実施形態には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施形態の定量注出容器の縦断面図である。
【図2】この実施形態の定量注出容器の注出時の縦断面図(a)と、注出後の縦断面図(b)である。
【図3】この実施形態の定量注出容器の斜視図である。
【図4】この実施形態の定量注出容器の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
10 定量注出容器
12 容器本体
14 取出口
18 中栓受け部材
20 仕切壁部
22 液体通路
24 空気通路
26 中栓部材
34 円筒部
40 ガイド溝
44 ヘッド部材
50 注出口
52 突起
56 第一流路形成部材
64 第二流路形成部材
76 嵌合部材
82 円筒部
86 計量室
88 摺動部材
96 球体弁
98 スプリング
100 連結部材
102 吸入口
110 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に取出口が形成され、液体を収容して前記取り出し部から注出させるようにした容器本体を有する定量注出容器において、
前記容器本体の取出口の内周面に取り付けられこの取出口を塞ぐとともに液体通路と空気通路が形成された中栓受け部材と、
前記中栓受け部材と前記容器本体の前記取出口とを覆って取り付けられ前記中栓受け部材の前記液体通路に連通する筒部と前記筒部に対して平行に形成されたガイド溝が形成されている中栓部材と、
前記中栓部材の外側に取付けられ前記中栓部材の前記ガイド溝に一部が嵌合され前記ガイド溝に沿って移動可能であり前記中栓部材の前記筒部の延長上に交差する頂面を有し前記頂面に前記筒部の延長上に一致する注出口が形成されたヘッド部材と、
前記ヘッド部材の頂面に一体に形成された凹凸部と、
前記ヘッド部材の内側で前記ヘッド部材の前記注出口に取付けられ前記中栓部材の前記筒部に移動可能に挿通された筒状の第一流路形成部材と、
前記中栓部材の内側で前記中栓部材の前記筒部に取付けられ前記第一流路形成部材が移動可能に挿通された筒状の第二流路形成部材と、
前記第一流路形成部材と前記第二流路部材の間に形成され前記第一流路形成部材が没入すると容積が減少する計量室と、
前記第二流路形成部材に連続して設けられ前記容器本体内に連通する吸込口と、
前記計量室の内側に移動可能に設けられ前記第二流路形成部材に押し付けられると前記吸込口が閉鎖する弁部材と、
前記ヘッド部材を前記容器本体に対して突出する方向に付勢する付勢手段とが設けられ、
前記ヘッド部材の頂面を下向きにして前記凹凸部を対象物に当接させて前記容器本体を下方に移動させると、前記ヘッド部材と前記第一流路形成部が没入して前記計量室に満たされていた内容物に圧力がかかり前記弁部材が前記第吸込口を閉鎖し、前記計量室から前記第一流路形成部材に内容物が移動して前記ヘッド部材の前記注出口から噴射され、噴射された内容物は前記凹凸部の間隙を通過して前記対象物表面に塗布されることを特徴とする定量注出容器。
【請求項2】
前記弁部材は、第一流路形成部材に設けられた筒状の円筒部に収容された球体であり、前記第二流路形成部材には、前記弁部材が当接するテーパ面が形成された摺動部材が嵌合していることを特徴とする請求項1記載の定量注出容器。
【請求項3】
前記ヘッド部材の頂面に形成された凹凸部は、前記ヘッド部材の前記頂部の外側面に複数個の突起が形成されて設けられていることを特徴とする請求項1記載の定量注出容器。
【請求項4】
前記吸入口は、前記容器本体の前記取出口の先端部近傍に開口されていることを特徴とする請求項1記載の定量注出容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−262946(P2009−262946A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112820(P2008−112820)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】