説明

定電流出力制御型スイッチングレギュレータ

【課題】電流検出用の抵抗器が不要になり、部品点数の削減を図ることができ、該抵抗器に流れる電流による損失をなくすことができる、入力電圧を所望の出力電流に変換して出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータを得る。
【解決手段】クロック信号CLKがハイレベルのときに、スイッチングトランジスタM1に初期電流値i0の電流が流れたときの電流センス電圧VSNSをサンプリングし、クロック信号CLKがローレベルのときに、第1基準電圧VREF1とサンプリングした電流センス電圧VSNSとの電圧差ΔVSを第1基準電圧VREF1に加算して生成した第2基準電圧VREF2と、電流センス回路2の電流センス電圧VSNSとの電圧比較結果を示す信号CPOUTによって、PWM制御時におけるスイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2の各動作を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流出力制御を行うスイッチングレギュレータである定電流出力制御型スイッチングレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のスイッチングレギュレータの回路例を示した回路図である(例えば、特許文献1参照)。
図10では、電圧制御用及び電流制御用の各オペアンプを使用し、出力電流の検出は、電流検出用抵抗に流れる電流によって生じる電圧差Vdを使用して行い、定電流制御を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、出力電流の検出に抵抗器を使用しているため、該抵抗器に流れる電流によって損失が生じるという問題があった。更に、このような損失を軽減するために前記抵抗器の抵抗値を小さくすると、高精度なオペアンプを使用する必要が生じるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電流検出用の抵抗器が不要になり、部品点数の削減を図ることができる共に該抵抗器に流れる電流による損失をなくすことができる、入力電圧を所望の出力電流に変換して出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る定電流出力制御型スイッチングレギュレータは、入力端子に入力された入力電圧から所定の定電流を生成して出力端子から出力電流として出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータにおいて、
入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子と、
該スイッチング素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチング素子がオフして遮断状態になると、前記インダクタの放電を行う整流素子と、
前記スイッチング素子に流れる電流に比例した比例電流を生成し、該比例電流に応じた電流センス電圧を生成して出力する電流検出回路部と、
該電流検出回路部からの電流センス電圧が第2基準電圧になるように、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのPWM制御を行う制御回路部と、
を備え、
前記制御回路部は、所定の第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して前記第2基準電圧を生成し、前記電流センス電圧と該第2基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示すパルス信号を使用して前記定電流出力制御を行うためのPWM制御を行うものである。
【0006】
具体的には、前記制御回路部は、
所定の第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して前記第2基準電圧を生成して出力する基準変換回路と、
該基準変換回路からの第2基準電圧と、前記電流センス電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示すパルス信号を生成して出力する電圧比較回路と、
該電圧比較回路から出力されたパルス信号を、所定のクロック信号を用いてPWM変調し、該PWM変調して得られたPWMパルス信号を使用して前記スイッチング素子のスイッチング制御を行う制御回路と、
を備えるようにした。
【0007】
また、この発明に係る定電流出力制御型スイッチングレギュレータは、入力端子に入力された入力電圧から所定の定電流を生成して出力端子から出力電流として出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータにおいて、
入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子と、
該スイッチング素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチング素子がオフして遮断状態になると、前記インダクタの放電を行う整流素子と、
前記スイッチング素子に流れる電流に比例した比例電流を生成し、該比例電流に応じた電流センス電圧を生成して出力する電流検出回路部と、
前記電流センス電圧と所定の第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果に応じて前記スイッチング素子をオフさせ、前記インダクタに流れるインダクタ電流がゼロになったか否かの検出を行い、該検出結果に応じて前記スイッチング素子をオンさせて、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う制御回路部と、
を備えるものである。
【0008】
具体的には、前記制御回路部は、前記電流センス電圧が前記第1基準電圧以上になると前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧から前記インダクタ電流がゼロになったことを検出すると前記スイッチング素子をオンさせるようにした。
【0009】
また、前記第1基準電圧は、前記出力端子から出力される出力電流が前記所定の定電流になったときの2倍の電流に相当する電流センス電圧の電圧値に設定されるようにした。
【0010】
また、前記制御回路部は、
前記電流センス電圧と前記第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第1電圧比較回路と、
前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧と、接地電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第2電圧比較回路と、
前記第1電圧比較回路及び第2電圧比較回路の各出力信号から前記スイッチング素子のスイッチング制御を行う制御回路と、
を備えるようにした。
【0011】
また、前記第1基準電圧は、前記出力端子から出力される出力電流が前記所定の定電流になったときの2倍の電流に相当する電流センス電圧の電圧値に設定されるようにした。
【0012】
また、この発明に係る定電流出力制御型スイッチングレギュレータは、入力端子に入力された入力電圧から所定の定電流を生成して出力端子から出力電流として出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータにおいて、
入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子と、
該スイッチング素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチング素子がオフして遮断状態になると、前記インダクタの放電を行う整流素子と、
前記スイッチング素子に流れる電流に比例した比例電流を生成し、該比例電流に応じた電流センス電圧を生成して出力する電流検出回路部と、
所定の第1基準電圧の電圧に応じて、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのPWM制御又は定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う制御回路部と、
を備え、
前記制御回路部は、
前記第1基準電圧が所定の第3基準電圧未満である場合、前記第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して第2基準電圧を生成し、前記電流センス電圧と該第2基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示すパルス信号を使用して、前記スイッチング素子に対して、前記定電流出力制御を行うためのPWM制御を行い、
前記第1基準電圧が前記第3基準電圧以上である場合は、前記電流センス電圧と前記第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果に応じて前記スイッチング素子をオフさせ、前記インダクタに流れるインダクタ電流がゼロになったか否かの検出を行い、該検出結果に応じて前記スイッチング素子をオンさせて、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのVFM制御を行うものである。
【0013】
また、前記制御回路部は、定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う場合、前記電流センス電圧が前記第1基準電圧以上になると前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧から前記インダクタ電流がゼロになったことを検出すると前記スイッチング素子をオンさせるようにした。
【0014】
具体的には、前記制御回路部は、
前記第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して前記第2基準電圧を生成して出力する基準変換回路と、
該基準変換回路からの第2基準電圧と、前記電流センス電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第1電圧比較回路と、
前記電流センス電圧と前記第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第2電圧比較回路と、
前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧と、接地電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第3電圧比較回路と、
前記第1基準電圧と、前記第3基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第4電圧比較回路と、
該第4電圧比較回路からの出力信号に応じて、前記第1電圧比較回路からの出力信号に応じて前記定電流出力制御を行うためのPWM制御を行うか、又は前記第2電圧比較回路及び第3電圧比較回路の各出力信号に応じて前記定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う制御回路と、
を備えるようにした。
【0015】
また、前記基準変換回路は、スイッチドキャパシタ回路で構成されるようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の定電流出力制御型スイッチングレギュレータによれば、電流検出用の抵抗が不要になり、部品点数の削減を図ることができる共に該抵抗に流れる電流による損失をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。
【図2】電流センス回路2及び平均化回路3の回路例を示した図である。
【図3】図1及び図2で示したスイッチングレギュレータ1における各部の信号波形例を示したタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。
【図5】図4の基準変換回路21の回路例を示した図である。
【図6】図4及び図5で示したスイッチングレギュレータ1aにおける各部の信号波形例を示したタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。
【図8】図7で示したスイッチングレギュレータ1bにおける各部の信号波形例を示したタイミングチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。
【図10】従来のスイッチングレギュレータの回路例を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。
図1において、定電流出力制御型スイッチングレギュレータ(以下、スイッチングレギュレータと呼ぶ)1は、入力端子INに入力された入力電圧Vinから所定の定電流ioutを生成して出力端子OUTから出力する、インダクタを使用した非絶縁型のスイッチングレギュレータである。
【0019】
スイッチングレギュレータ1は、入力電圧Vinの出力制御を行うためのスイッチング動作を行うPMOSトランジスタからなるスイッチングトランジスタM1と、NMOSトランジスタからなる同期整流用トランジスタM2とを備えている。更に、スイッチングレギュレータ1は、出力電流ioutの検出を行う電流センス回路2と、平均化回路3と、所定の第1基準電圧VREF1を生成して出力する基準電圧発生回路4と、コンパレータ5と、所定のクロック信号CLKを生成して出力する発振回路6と、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2のスイッチング制御を行う制御回路7と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備えている。
【0020】
なお、スイッチングトランジスタM1はスイッチング素子を、同期整流用トランジスタM2は整流素子をそれぞれなし、電流センス回路2は電流検出回路部を、平均化回路3、基準電圧発生回路4、コンパレータ5、発振回路6及び制御回路7は制御回路部をなす。また、図1のスイッチングレギュレータ1において、インダクタL1及びコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよく、スイッチングトランジスタM1及び/又は同期整流用トランジスタM2、インダクタL1並びにコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよい。
【0021】
入力端子INと接地電圧との間には、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2が直列に接続され、スイッチングトランジスタM1と同期整流用トランジスタM2との接続部をLxとする。接続部Lxと出力端子OUTとの間にはインダクタL1が接続され、出力端子OUTと接地電圧との間にはコンデンサC1が接続されている。電流センス回路2には、入力電圧Vinと接続部Lxの電圧VLxがそれぞれ入力されており、電流センス回路2から出力される電流センス電圧VSNSは平均化回路3に入力され、平均化回路3の出力電圧VINTはコンパレータ5の非反転入力端に入力されている。また、コンパレータ5の反転入力端には第1基準電圧VREF1が入力されており、コンパレータ5の出力信号CPOUTは制御回路7に入力されている。制御回路7には、更にクロック信号CLKが入力されており、制御回路7は、制御信号PHSを生成してスイッチングトランジスタM1のゲートと平均化回路3にそれぞれ出力し、制御信号NLSを生成して同期整流用トランジスタM2のゲートに出力する。
【0022】
このような構成において、電流センス回路2は、スイッチングトランジスタM1がオンしている期間に流れる電流を検出し、該検出した電流を電圧に変換して電流センス電圧VSNSを生成し出力する。平均化回路3は、電流センス回路2からの電流センス電圧VSNSを平均化して出力電圧VINTを生成し出力する。コンパレータ5は、平均化回路3からの出力電圧VINTと第1基準電圧VREF1との電圧比較を行い、出力電圧VINTが第1基準電圧VREF1以上になるとハイレベルの信号CPOUTを出力する。制御回路7は、信号CPOUTをクロック信号CLKを使用してPWM変調を行って制御信号PHS及びNLSをそれぞれ生成して出力する。
【0023】
ここで、図2は、電流センス回路2及び平均化回路3の回路例を示した図である。
図2において、電流センス回路2は、オペアンプ11,12、PMOSトランジスタM11,M12及び抵抗R11で構成され、平均化回路3は、インバータ15、NMOSトランジスタM15,M16、コンデンサC15及び抵抗R15で構成されている。
電流センス回路2において、入力電圧VinとPMOSトランジスタM12のソースとの間にPMOSトランジスタM11が接続され、PMOSトランジスタM11のゲートは接地電圧に接続されていることから、PMOSトランジスタM11は定電流源をなしている。
【0024】
PMOSトランジスタM12のドレインと接地電圧との間には抵抗R11が接続され、PMOSトランジスタM12と抵抗R11との接続部はオペアンプ12の非反転入力端に接続されている。PMOSトランジスタM11とM12との接続部はオペアンプ11の反転入力端に接続され、オペアンプ11の非反転入力端には電圧VLxが入力されており、オペアンプ11の出力端はPMOSトランジスタM12のゲートに接続されている。オペアンプ12において、出力端は反転入力端に接続されてボルテージホロワを形成し、オペアンプ12の出力端から電流センス電圧VSNSが出力される。
【0025】
平均化回路3において、NMOSトランジスタM15のソースに電流センス電圧VSNSが入力され、NMOSトランジスタM15のドレインは抵抗R15の一端に接続されている。インバータ15の入力端には制御信号PHSが入力され、インバータ15の出力端はNMOSトランジスタM15のゲートに接続されている。抵抗R15の他端と接地電圧との間には、コンデンサC15とNMOSトランジスタM16が並列に接続され、抵抗R15、コンデンサC15及びNMOSトランジスタM16との接続部から出力電圧VINTが出力される。NMOSトランジスタM16のゲートには制御信号PHSが入力されている。
【0026】
オペアンプ11は、PMOSトランジスタM11とM12との接続部の電圧が電圧VLxになるようにPMOSトランジスタM12の動作制御を行うことから、PMOSトランジスタM11からは、スイッチングトランジスタM1の出力電流に比例した電流が出力され、該比例電流を抵抗R11で電圧に変換し更にオペアンプ12でインピーダンス変換を行って電流センス電圧VSNSとして出力する。このようにして、スイッチングトランジスタM1に流れる電流を電圧に変換している。ここで、スイッチングトランジスタM1のオン抵抗値をRPとし、PMOSトランジスタM11のオン抵抗値をRSとし、抵抗R11の抵抗値をRVとし、インダクタL1に流れるインダクタ電流をipとすると、電流センス電圧VSNSは、下記(1)式のようになる。
VSNS=ip×RP/RS×RV………………(1)
【0027】
平均化回路3では、NMOSトランジスタM15がオンしている期間、すなわちスイッチングトランジスタM1がオンしている期間のみ、抵抗R15及びコンデンサC15によって電流センス電圧VSNSが積分され、該積分の時定数は、抵抗R15及びコンデンサC15によって設定される。
図3は、図1及び図2で示したスイッチングレギュレータ1における各部の信号波形例を示したタイミングチャートである。図3を使用して、スイッチングレギュレータ1の動作についてもう少し詳細に説明する。
図3において、スイッチサイクルAとスイッチサイクルBの各区間は、異なる定電流設定値にした場合の動作例をそれぞれ示している。
【0028】
定常的な状態では、各スイッチサイクルA及びBにおけるインダクタ電流ipの初期値i0は一定の値になる。また、出力電流ioutは、1つのスイッチサイクルの平均電流になることから、スイッチングトランジスタM1がオンしている期間の初期電流であるi0とインダクタ電流ipのピーク電流値であるi1との平均値に等しくなる。すなわち、出力電流ioutは、下記(2)式に示すように、初期値i0とピーク値i1との差分の1/2を初期値i0に加算した値になる。
iout=i0+(i1−i0)/2………………(2)
【0029】
また、インダクタ電流ipがi0である時間とi1である時間をそれぞれT0及びT1にすると、初期値i0とピーク値i1との平均値でもある出力電流ioutは、下記(3)式のように示すことができる。
iout=∫ip(t)dt………………(3)
但し、前記(3)式の積分期間はT1‐T0の間である。
【0030】
このため、平均化回路3は、インダクタ電流ipを電圧変換して得られた電流センス電圧VSNSを、スイッチングトランジスタM1がオンしている期間、すなわちT1‐T0の期間のみ積分することにより、平均出力値である出力電圧VINTを生成して出力する。なお、積分器の時定数をなす抵抗R15とコンデンサC15は、スイッチング周波数、すなわちクロック信号CLKの周波数を考慮して抵抗値及び容量値がそれぞれ設定されている。
【0031】
また、基準電圧発生回路4は、所定の定電流設定値をisetとすると、出力電流ioutが設定値isetに等しくなるような電圧値の第1基準電圧VREF1を生成して出力する。すなわち、第1基準電圧VREF1は、前記(1)式及び(3)式から、下記(4)式のようになる。
VREF1=∫VSNS(t)dt=iset×RP/RS×RV―α………………(4)
なお、前記(4)式のαは、インダクタ値等により補正を行って前記(3)式を満たすように設定される。
【0032】
このように、本第1の実施の形態におけるスイッチングレギュレータは、PWM制御時におけるスイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2の各動作を、PWM制御のフレームの基準となる発振回路6からのクロック信号CLK、及び平均化回路3の出力電圧VINTと第1基準電圧VREF1との電圧比較結果を示す信号である信号CPOUTによって制御することができるため、電流検出用の抵抗が不要になり、部品点数の削減を図ることができる共に該抵抗に流れる電流による損失をなくすことができる。
【0033】
第2の実施の形態.
前記第1の実施の形態では、クロック信号CLKの周波数が変化すると電圧VINTが変わることから、出力電流ioutがクロック信号CLKに依存していたが、出力電流ioutがクロック信号CLKに依存しないようにしてもよく、このようにしたものを本発明の第2の実施の形態とする。
図4は、本発明の第2の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。なお、図4では、図1と同じもの又は同様のものは同じ符号で示し、ここではその説明を省略すると共に図1との相違点のみ説明する。
【0034】
図4における図1との相違点は、図1の平均化回路3をなくして、第1基準電圧VREF1の電圧変換を行って第2基準電圧VREF2を生成する基準変換回路21を追加したことにあり、これに伴って、図1のスイッチングレギュレータ1をスイッチングレギュレータ1aにした。
図4において、スイッチングレギュレータ1aは、入力端子INに入力された入力電圧Vinから所定の定電流ioutを生成して出力端子OUTから出力する、インダクタを使用した非絶縁型のスイッチングレギュレータである。
【0035】
スイッチングレギュレータ1aは、スイッチングトランジスタM1と、同期整流用トランジスタM2と、電流センス回路2と、基準電圧発生回路4と、基準変換回路21と、コンパレータ5と、発振回路6と、制御回路7と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備えている。
電流センス回路2からの電流センス電圧VSNSは、コンパレータ5の非反転入力端及び基準変換回路21にそれぞれ入力され、更に基準変換回路21には第1基準電圧VREF1及びクロック信号CLKがそれぞれ入力されている。基準変換回路21で生成された第2基準電圧VREF2は、コンパレータ5の反転入力端に入力されている。
【0036】
なお、基準電圧発生回路4、コンパレータ5、発振回路6、制御回路7及び基準変換回路21は制御回路部をなす。また、図4のスイッチングレギュレータ1aにおいて、インダクタL1及びコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよく、スイッチングトランジスタM1及び/又は同期整流用トランジスタM2、インダクタL1並びにコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよい。
【0037】
図5は、図4の基準変換回路21の回路例を示した図である。
図5において、基準変換回路21は、オペアンプ22、インバータ23,24、アナログスイッチ25〜29、及び同じ容量のコンデンサC21,C22で構成され、スイッチドキャパシタ回路をなしている。
オペアンプ22の非反転入力端には第1基準電圧VREF1が入力され、電流センス電圧VSNSとオペアンプ22の反転入力端との間にはコンデンサC21が接続されている。コンデンサC22の一端と電流センス電圧VSNSとの間にはアナログスイッチ25が接続され、コンデンサC22とアナログスイッチ25との接続部とオペアンプ22の反転入力端との間にはアナログスイッチ29が接続されている。
【0038】
コンデンサC22の他端とオペアンプ22の出力端との間には、アナログスイッチ26及び27の直列回路とアナログスイッチ28が並列に接続され、アナログスイッチ26と27との接続部はオペアンプ22の反転入力端に接続されている。オペアンプ22の出力端から第2基準電圧VREF2が出力される。インバータ23は、クロック信号CLKの信号レベルを反転させた反転クロック信号φ2を生成して出力し、インバータ24は、反転クロック信号φ2の信号レベルを更に反転させてクロック信号φ1を生成して出力する。アナログスイッチ25〜27は、それぞれクロック信号φ1に応じてスイッチングし、クロック信号φ1がハイレベルのときにオンして導通状態になり、クロック信号φ1がローレベルのときにオフして遮断状態になる。また、アナログスイッチ28及び29は、それぞれ反転クロック信号φ2に応じてスイッチングし、反転クロック信号φ2がハイレベルのときにオンして導通状態になり、反転クロック信号φ2がローレベルのときにオフして遮断状態になる。
【0039】
基準変換回路21では、クロック信号φ1がハイレベルのときに、スイッチングトランジスタM1に初期電流値i0の電流が流れたときの電流センス電圧VSNSをサンプリングし、反転クロック信号φ2がハイレベルのときに、第1基準電圧VREF1とサンプリングした電流センス電圧VSNSとの電圧差ΔVSを第1基準電圧VREF1に加算して第2基準電圧VREF2が生成される。したがって、第2基準電圧VREF2は、下記(5)式のようになる。
VREF2=VREF1+ΔVS………………(5)
【0040】
図6は、図4及び図5で示したスイッチングレギュレータ1aにおける各部の信号波形例を示したタイミングチャートである。図6を使用して、スイッチングレギュレータ1aの動作についてもう少し詳細に説明する。
定常的な状態では、出力電流ioutは、前記(2)式のように、初期値i0とピーク値i1との差分の1/2を初期値i0に加算した値になる。
電流センス回路2で、初期値i0が電圧変換されて得られた電圧をVp0とし、ピーク値i1が電圧変換されて得られた電圧をVp1とし、前記(2)式を考慮すると、下記(6)〜(8)式が得られる。なお、出力端子OUTの電圧をVoutとしている。
Vp0=i0×RP/RS×RV………………(6)
Vp1=2×Vout−Vp0………………(7)
Vout=iout×RP/RS×RV………………(8)
【0041】
ここで、出力電流ioutが所定の定電流設定値isetになるように、第1基準電圧VREF1を下記(9)式のように設定されるとする。
VREF1=iset×RP/RS×RV………………(9)
定電流設定値isetは、出力電流ioutと等価であるため、電圧Vp1は、前記(7)〜(9)式より下記(10)式のようになる。
Vp1=2×iset×RP/RS×RV−Vp0………………(10)
【0042】
基準変換回路21から出力される第2基準電圧VREF2は、前記(5)式より下記(11)式のようになる。
VREF2=VREF1+(VREF1−Vp0)
=2×VREF1−Vp0
=2×iset×RP/RS×RV−Vp0……………(11)
このように、第2基準電圧VREF2は、電圧Vp1と等価になる。
【0043】
コンパレータ5によって、変換後の第2基準電圧VREF2と電流センス電圧VSNSを電圧比較されて信号CPOUTが生成されているため、
VSNS=VREF2=Vp1
ip=i1
になり、コンパレータ5から出力される信号CPOUTは、インダクタ電流ipが電流値i1になるまでの時間を制御していることになる。したがって、設定値isetに対して定電流としてのPWM制御動作が可能になる。
【0044】
このように、本第2の実施の形態におけるスイッチングレギュレータは、クロック信号CLKがハイレベルのときに、スイッチングトランジスタM1に初期電流値i0の電流が流れたときの電流センス電圧VSNSをサンプリングし、クロック信号CLKがローレベルのときに、第1基準電圧VREF1とサンプリングした電流センス電圧VSNSとの電圧差ΔVSを第1基準電圧VREF1に加算して生成した第2基準電圧VREF2と、電流センス回路2の電流センス電圧VSNSとの電圧比較結果を示す信号CPOUTによって、PWM制御時におけるスイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2の各動作を制御するようにした。このことから、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができると共に、出力電流ioutがクロック信号CLKに依存しないようにすることができ、安定した出力電流ioutを得ることができる。
【0045】
第3の実施の形態.
前記第1及び第2の実施の形態では、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2に対してPWM制御を行うようにしたが、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2に対してVFM制御を行うようにしてもよく、このようにしたものを本発明の第3の実施の形態とする。
図7は、本発明の第3の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。なお、図7では、図1と同じもの又は同様のものは同じ符号で示し、ここではその説明を省略すると共に図1との相違点のみ説明する。
【0046】
図7における図1との相違点は、図1の平均化回路3及び発振回路6をなくし、インダクタL1に流れる電流の逆流が発生する兆候を検出するコンパレータ31と、コンパレータ31の検出結果に応じて該逆流の発生検出を行う逆流検出回路32を追加したことにあり、これに伴って、図1の制御回路7を制御回路7bにし、図1のスイッチングレギュレータ1をスイッチングトランジスタ1bにした。
図7において、スイッチングレギュレータ1bは、入力端子INに入力された入力電圧Vinから所定の定電流ioutを生成して出力端子OUTから出力する、インダクタを使用した非絶縁型のスイッチングレギュレータである。
【0047】
スイッチングレギュレータ1bは、スイッチングトランジスタM1と、同期整流用トランジスタM2と、電流センス回路2と、基準電圧発生回路4と、コンパレータ5,31と、制御回路7bと、逆流検出回路32と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備えている。
なお、基準電圧発生回路4、コンパレータ5,31、制御回路7b及び逆流検出回路32は制御回路部をなし、コンパレータ5は第1電圧比較回路を、コンパレータ31は第2電圧比較回路をそれぞれなす。また、図7のスイッチングレギュレータ1bにおいて、インダクタL1及びコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよく、スイッチングトランジスタM1及び/又は同期整流用トランジスタM2、インダクタL1並びにコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよい。
【0048】
電流センス回路2からの電流センス電圧VSNSは、コンパレータ5の非反転入力端に入力され、コンパレータ5の反転入力端には所定の第1基準電圧VREF1が入力されている。また、コンパレータ31において、反転入力端は接地電圧に接続され、非反転入力端には電圧VLxが入力されており、コンパレータ31の電圧比較結果を示す信号RVOUTは逆流検出回路32に入力されている。逆流検出回路32は、コンパレータ31の出力信号RVOUTと制御信号NLSから、インダクタ電流ipがゼロになったか否かの検出を行い、該検出結果を示す信号RVDETを生成して制御回路7bに出力する。制御回路7bは、入力された信号CPOUT及びRVDETから制御信号PHS及びNLSをそれぞれ生成して出力する。
【0049】
図8は、図7で示したスイッチングレギュレータ1bにおける各部の信号波形例を示したタイミングチャートである。図8を使用して、スイッチングレギュレータ1bの動作について説明する。
スイッチングレギュレータ1bでは、インダクタ電流ipが各サイクルごとにゼロとなる制御を行っており、スイッチオンサイクル後のインダクタ電流値をi1とし、定電流設定値をisetとすると、下記(12)式が成り立つ。
i1/2=iset………………(12)
【0050】
下記(13)式を満たすように第1基準電圧VREF1を設定する。
VREF1=2×iset×RP/RS×RV………………(13)
前記(13)式より、第1基準電圧VREF1は、定電流出力値の2倍の値になっていることが分かる。
また、図8から分かるように、制御回路7bは、信号CPOUTがハイレベルになると制御信号PHSをハイレベルにし、信号RVOUTがハイレベルになって逆流の発生兆候が検出されたことを示す信号RVDETが逆流検出回路32から入力されると制御信号PHSをローレベルにする。
【0051】
コンパレータ5で電流センス電圧VSNSと第1基準電圧VREF1との電圧比較を行っているため、VSNS=VREF1となり、スイッチングトランジスタM1がオンしてから時間Ton後のインダクタ電流ipのピーク値i1は、i1=2×isetになり、前記(13)式を満足するために要する時間Tonを制御することができ、スイッチングレギュレータ1bは、定電流としてのVFM制御動作を行うことができる。
【0052】
このように、本第3の実施の形態におけるスイッチングレギュレータは、電流センス回路2の電流センス電圧VSNSが所定の第1基準電圧VREF1になるまでスイッチングトランジスタM1をオンさせる制御を行い、インダクタ電流ipがゼロになるのを検出するとスイッチングトランジスタM1をオフさせる制御を行ってインダクタ電流ipの制御を行い、定電流出力制御を行うようにした。このことから、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができると共に、VFM制御を行うことができ、負荷電流が小さいときの効率を向上させることができる。
【0053】
第4の実施の形態.
前記第2の実施の形態によるPWM制御と前記第3の実施の形態によるVFM制御を第1基準電圧VREF1の電圧値に応じて切り替えるようにしてもよく、このようにしたものを本発明の第4の実施の形態とする。
図9は、本発明の第4の実施の形態における定電流出力制御型スイッチングレギュレータの回路構成例を示した図である。なお、図9では、図4又は図7と同じもの又は同様のものは同じ符号で示し、ここではその説明を省略すると共に図4によるPWM制御と図7によるVFM制御を、第1基準電圧VREF1の電圧値に応じて切り替える動作についてのみ説明する。
【0054】
図9において、スイッチングレギュレータ1cは、入力端子INに入力された入力電圧Vinから所定の定電流ioutを生成して出力端子OUTから出力する、インダクタを使用した非絶縁型のスイッチングレギュレータである。
スイッチングレギュレータ1cは、スイッチングトランジスタM1と、同期整流用トランジスタM2と、電流センス回路2と、基準電圧発生回路4と、コンパレータ5a,5b,31,42と、発振回路6と、制御回路7cと、基準変換回路21と、逆流検出回路32と、所定の第3基準電圧VREF3を生成して出力する基準電圧発生回路41と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備えている。なお、コンパレータ5aは図4のコンパレータ5に相当し、コンパレータ5bは、図7のコンパレータ5に相当する。
【0055】
なお、基準電圧発生回路4,41、コンパレータ5a,5b,31,42、発振回路6、制御回路7c、基準変換回路21及び逆流検出回路32は制御回路部をなす。また、コンパレータ5aは第1電圧比較回路を、コンパレータ5bは第2電圧比較回路を、コンパレータ31は第3電圧比較回路を、コンパレータ42は第4電圧比較回路をそれぞれなす。また、図9のスイッチングレギュレータ1cにおいて、インダクタL1及びコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよく、スイッチングトランジスタM1及び/又は同期整流用トランジスタM2、インダクタL1並びにコンデンサC1を除く各回路は、1つのICに集積されるようにしてもよい。
【0056】
コンパレータ5aにおいて、非反転入力端には電流センス電圧VSNSが、反転入力端には第2基準電圧VREF2がそれぞれ入力され、出力端から制御回路7cに出力信号CPOUT1を出力する。コンパレータ5bにおいて、非反転入力端には電流センス電圧VSNSが、反転入力端には第1基準電圧VREF1がそれぞれ入力され、出力端から制御回路7cに出力信号CPOUT2を出力する。コンパレータ42において、非反転入力端には第1基準電圧VREF1が、反転入力端には第3基準電圧VREF3がそれぞれ入力され、出力端から制御回路7cに出力信号CPOUT3を出力する。
【0057】
コンパレータ42は、第1基準電圧VREF1が第3基準電圧VREF3以上になると、出力信号CPOUT3をハイレベルにし、第1基準電圧VREF1が第3基準電圧VREF3未満になると、出力信号CPOUT3をローレベルにする。制御回路7cは、ハイレベルの信号CPOUT3が入力されると、コンパレータ5aの出力信号CPOUT1を使用して図4の場合と同様のPWM制御動作を行い、ローレベルの信号CPOUT3が入力されると、コンパレータ5bの出力信号CPOUT2と逆流検出回路32の出力信号RVDETを使用して図7の場合と同様のVFM制御動作を行う。
【0058】
このように、本第4の実施の形態におけるスイッチングレギュレータは、第1基準電圧VREF1の電圧値に応じて、前記第2の実施の形態によるPWM制御と前記第3の実施の形態によるVFM制御を切り替えるようにした。このことから、前記第2及び第3の各実施の形態と同様の効果を得ることができると共に、定電流設定範囲を広げることができる。
【0059】
なお、前記第1から第4の各実施の形態では、降圧型のスイッチングレギュレータを例にして説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、昇圧型のスイッチングレギュレータにも適用することができる。この場合、入力電圧Vinと接地電圧との間に、インダクタL1とNMOSトランジスタからなるスイッチングトランジスタM1が直列に接続され、インダクタL1とスイッチングトランジスタM1との接続部Lxと出力端子OUTとの間にPMOSトランジスタからなる同期整流用トランジスタが接続される。スイッチングトランジスタM1のゲートには制御信号NLSが入力され、同期整流用トランジスタM2のゲートには制御信号PHSが入力される。更に、図7及び図9の場合、コンパレータ31の反転入力端には出力電圧Voutが入力される。
【0060】
また、前記説明では、同期整流型のスイッチングレギュレータを例にして説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、非同期整流型のスイッチングレギュレータにも適用することができる。この場合、同期整流用トランジスタM2をダイオードに置き換え、降圧型の場合は、該ダイオードのカソードが接続部Lxに接続され、該ダイオードのアノードは接地電圧に接続される。また、昇圧型の場合は、該ダイオードのカソードが出力端子OUTに接続され、アノードが接続部Lxに接続される。
【符号の説明】
【0061】
1,1a,1b,1c スイッチングレギュレータ
2 電流センス回路
3 平均化回路
4,41 基準電圧発生回路
5,5a,5b,31,42 コンパレータ
6 発振回路
7,7b,7c 制御回路
21 基準変換回路
32 逆流検出回路
M1 スイッチングトランジスタ
M2 同期整流用トランジスタ
L1 インダクタ
C1 コンデンサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2007−4995号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力された入力電圧から所定の定電流を生成して出力端子から出力電流として出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータにおいて、
入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子と、
該スイッチング素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチング素子がオフして遮断状態になると、前記インダクタの放電を行う整流素子と、
前記スイッチング素子に流れる電流に比例した比例電流を生成し、該比例電流に応じた電流センス電圧を生成して出力する電流検出回路部と、
該電流検出回路部からの電流センス電圧が第2基準電圧になるように、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのPWM制御を行う制御回路部と、
を備え、
前記制御回路部は、所定の第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して前記第2基準電圧を生成し、前記電流センス電圧と該第2基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示すパルス信号を使用して前記定電流出力制御を行うためのPWM制御を行うことを特徴とする定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項2】
前記制御回路部は、
所定の第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して前記第2基準電圧を生成して出力する基準変換回路と、
該基準変換回路からの第2基準電圧と、前記電流センス電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示すパルス信号を生成して出力する電圧比較回路と、
該電圧比較回路から出力されたパルス信号を、所定のクロック信号を用いてPWM変調し、該PWM変調して得られたPWMパルス信号を使用して前記スイッチング素子のスイッチング制御を行う制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項3】
入力端子に入力された入力電圧から所定の定電流を生成して出力端子から出力電流として出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータにおいて、
入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子と、
該スイッチング素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチング素子がオフして遮断状態になると、前記インダクタの放電を行う整流素子と、
前記スイッチング素子に流れる電流に比例した比例電流を生成し、該比例電流に応じた電流センス電圧を生成して出力する電流検出回路部と、
前記電流センス電圧と所定の第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果に応じて前記スイッチング素子をオフさせ、前記インダクタに流れるインダクタ電流がゼロになったか否かの検出を行い、該検出結果に応じて前記スイッチング素子をオンさせて、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う制御回路部と、
を備えることを特徴とする定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項4】
前記制御回路部は、前記電流センス電圧が前記第1基準電圧以上になると前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧から前記インダクタ電流がゼロになったことを検出すると前記スイッチング素子をオンさせることを特徴とする請求項3記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項5】
前記第1基準電圧は、前記出力端子から出力される出力電流が前記所定の定電流になったときの2倍の電流に相当する電流センス電圧の電圧値に設定されることを特徴とする請求項4記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項6】
前記制御回路部は、
前記電流センス電圧と前記第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第1電圧比較回路と、
前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧と、接地電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第2電圧比較回路と、
前記第1電圧比較回路及び第2電圧比較回路の各出力信号から前記スイッチング素子のスイッチング制御を行う制御回路と、
を備えること特徴とする請求項4又は5記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項7】
前記第1基準電圧は、前記出力端子から出力される出力電流が前記所定の定電流になったときの2倍の電流に相当する電流センス電圧の電圧値に設定されることを特徴とする請求項3、4、5又は6記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項8】
入力端子に入力された入力電圧から所定の定電流を生成して出力端子から出力電流として出力する定電流出力制御型スイッチングレギュレータにおいて、
入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子と、
該スイッチング素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチング素子がオフして遮断状態になると、前記インダクタの放電を行う整流素子と、
前記スイッチング素子に流れる電流に比例した比例電流を生成し、該比例電流に応じた電流センス電圧を生成して出力する電流検出回路部と、
所定の第1基準電圧の電圧に応じて、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのPWM制御又は定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う制御回路部と、
を備え、
前記制御回路部は、
前記第1基準電圧が所定の第3基準電圧未満である場合、前記第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して第2基準電圧を生成し、前記電流センス電圧と該第2基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示すパルス信号を使用して、前記スイッチング素子に対して、前記定電流出力制御を行うためのPWM制御を行い、
前記第1基準電圧が前記第3基準電圧以上である場合は、前記電流センス電圧と前記第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果に応じて前記スイッチング素子をオフさせ、前記インダクタに流れるインダクタ電流がゼロになったか否かの検出を行い、該検出結果に応じて前記スイッチング素子をオンさせて、前記スイッチング素子に対して、定電流出力制御を行うためのVFM制御を行うことを特徴とする定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項9】
前記制御回路部は、定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う場合、前記電流センス電圧が前記第1基準電圧以上になると前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧から前記インダクタ電流がゼロになったことを検出すると前記スイッチング素子をオンさせることを特徴とする請求項8記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項10】
前記制御回路部は、
前記第1基準電圧と前記電流センス電圧との差電圧を該第1基準電圧に加算して前記第2基準電圧を生成して出力する基準変換回路と、
該基準変換回路からの第2基準電圧と、前記電流センス電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第1電圧比較回路と、
前記電流センス電圧と前記第1基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第2電圧比較回路と、
前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続部の電圧と、接地電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第3電圧比較回路と、
前記第1基準電圧と、前記第3基準電圧との電圧比較を行い、該比較結果を示す信号を生成して出力する第4電圧比較回路と、
該第4電圧比較回路からの出力信号に応じて、前記第1電圧比較回路からの出力信号に応じて前記定電流出力制御を行うためのPWM制御を行うか、又は前記第2電圧比較回路及び第3電圧比較回路の各出力信号に応じて前記定電流出力制御を行うためのVFM制御を行う制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項8又は9記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。
【請求項11】
前記基準変換回路は、スイッチドキャパシタ回路で構成されることを特徴とする請求項2又は10記載の定電流出力制御型スイッチングレギュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70622(P2013−70622A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−9480(P2013−9480)
【出願日】平成25年1月22日(2013.1.22)
【分割の表示】特願2007−236576(P2007−236576)の分割
【原出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】