説明

家具及び執務用デスク

【課題】固定強度に優れると共に外側から見えにくいデスク用補強金具を提供する。
【解決手段】補強金具8は上水平部10と縦長部11とから成る金具本体9を有しており、金具本体9の上水平部10には第1フラップ12を一体に設け、縦長部11には第2フラップ13,14を一体に設けている。上水平部10と縦長部11とは天板2及び脚4に設けた嵌合溝15にきっちり嵌入しており、フラップ12,13,14が天板2及び脚4にビスで締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、デスク(机)やテーブル、カウンターのように天板を脚部材で支持して成る家具に関するものであり、特に、天板及び脚部材が木製である家具を好適な対象にしている。
【背景技術】
【0002】
執務用のテーブル(机)において天板の支持構造は様々であり、例えば、左右両側端部を板状や棒状等の脚で支持したタイプ、左右側部のうち一方の側部を袖部で支持して他方の側部は板状又は棒状の脚で支持したタイプ、左右両側部を袖部で支持したタイプなどがある。間仕切壁を脚に兼用することも行われており、この場合は、天板は間仕切壁の側面(広幅面)に取付けられる。また、目隠し及び補強のため背面に幕板(後ろ幕板)を設けることも広く行われている。
【0003】
いずれにしても、天板と脚とは離脱しないように固定(連結)する必要がある。そして、天板及び脚が木製である場合の固定手段としては、例えば、a)脚の上面にダボを突設してこれを天板の下面に設けてダボ穴に嵌合し接着する、b)脚に、その内側面に露出した回転式の金具を埋設する一方、天板には前記金具に係合するロッドを下向き突設し、金具を回転操作することで天板を脚に対して引き付ける、c)特許文献1に記載されているようにL形の金具(ブラケット)を使用して連結する、といった手段が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−330428号公報(特に図2,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記固定手段のうちダボを使用する方法及び回転式金具を使用する方法は、美観に優れているが固定強度が低い問題や、位置決めが厄介で固定作業が面倒であるといった問題がある。他方、L形のブラケットを使用する方法は固定作業が割と簡単である利点はあるが、強い固定強度を得るにはブラケットを大型化・厚肉化せねばならず、すると、外部に露出して美観を損なったり、使用者の足に触れて使用者に不快感を与えたりするおそれがある。
【0006】
既述のように、幕板を設けることでテーブルの剛性を向上させることも行われており、強度メンバーとして機能する幕板を設けると小型のブラケットであってもデスクを堅牢な構造に成し得るが、強度確保のためだけに幕板を設けるのはコスト等の面から好ましくない。
【0007】
本願発明はこのように現状に鑑み成されたものであり、L形のブラケットを使用する点は特許文献1と共通しつつ、より改良された形態で提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、水平姿勢の天板と鉛直姿勢の脚部材とが、それら天板と脚部材とで囲われた部位に配置した金属製の補強金具で連結されている家具に係るものであり、請求項1の発明では、前記補強金具は、前記天板の下面に形成した横長の嵌合溝にきっちり嵌入する水平部と前記脚部材の内側面に形成した縦長の嵌合溝にきっちり嵌入する縦長部とが一体に繋がった逆L型の金具本体を備えており、前記金具本体の水平部に、前記天板に固定される第1固定手段を設けている一方、前記金具本体の縦長部に、前記脚部材に固定される第2固定手段を設けている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記天板と脚部材とは木製である一方、前記金具本体は断面長方形(すなわち横断面長方形)の板材から成っており、前記金具本体を、前記天板及び脚部材に入り込む方向が断面長方形の長手方向になる姿勢で配置している。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記脚部材は広い面積を有する板状の脚である一方、前記補強金具の縦長部は前記脚の下端まで延びており、前記補強金具の水平部に、前記第1固定手段として、前記天板にねじ止めされる第1フラップを設けている一方、前記縦長部材の下端に、前記第2固定手段として、前記脚の下面にビス止めされる第2フラップを一体に設けている。
【0011】
本願発明において、「天板」は上面が露出して水平姿勢になっている板部材を広く含くものであり、棚板も天板の一部に含まれる。また、脚部材は天板を支持する機能を有する部材を包含する概念であり、その内側面に天板が取付けられていてもよい。従って、家具は執務用のテーブル(机)やカウンターに限定されるものではなく、キャビネットのような収納家具も含まれる。
【0012】
更に、本願発明は交叉姿勢に配置された天板と脚部材とをL型の補強金具で連結する構成に係るものであり、「水平姿勢」「鉛直姿勢」は厳密に定義されねばならないものではない。従って、「水平姿勢」「鉛直姿勢」には、おおよそ水平状の姿勢やおおよそ鉛直状の姿勢(すなわち「略水平姿勢」「略鉛直姿勢」)も包含される。また、本願発明の補強金具はそれのみで固定機能を発揮するが、ダボはダボ穴との組み合わせのような位置決め手段や他の固定手段を排除するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、補強金具の金具本体が天板及び脚部材の嵌合溝にきっちり嵌合しているため、天板と脚部材とは金具本体を介してしっかり位置決めされており、このような状態で補強金具が固定手段を介して天板と脚部材とに固定されているため、高い締結強度を確保できる。また、露出面積を少なくできるため、体裁が悪化したり使用者の足に触れたりする不具合も防止又は著しく抑制できる。
【0014】
更に述べると、金具本体が天板及び脚部材の嵌合溝にきっちり嵌入しているため、例えば、脚部材を固定して天板を平面視でねじるような外力が作用した場合、金具本体の存在によって高い抵抗が発揮されるのであり、また、机を左右方向に揺するような外力に対しては、金具本体が天板及び脚部材に入り込んでいる寸法を大きくすることで、露出面積を大きくすることなく高い抵抗を発揮できる。このため、幕板を設けることなく高い堅牢性を確保することが可能になり、その結果、家具のコストダウンにも貢献し得る。
【0015】
テーブルは左右方向に長いことが多く、従って、左右方向に揺するような大きな外力が作用することがあり、補強金具には、テーブルを左右方向に揺するような外力により、金具本体の水平部と縦長部との交叉姿勢を変えようとする曲げ力が作用する。この点については、例えば補強金具をダイキャスト製とすることで高い曲げ強度を確保できるが、ダイキャスト製にするとコストが嵩む。
【0016】
これに対して請求項2の構成を採用すると、補強金具は汎用の鋼板を使用して製造できるためコストを抑制でき、しかも、金具本体は差し金(曲尺)のような形態を成していることにより、水平部と縦長部との交叉姿勢を変えるような曲げに対する断面係数が著しく高くなっているため、板厚を過度に厚くすることなく高い強度を確保できる。従って、請求項2の発明によると、コストを抑制した状態で高い強度を得ることができると共に、金具本体が露出する面積もできるだけ少なくできる。
【0017】
請求項3のように固定手段としてフラップ(板状の部材)を採用してねじ止めすると、簡単な構造で強固に固定できる。そして、執務用デスクのように人が椅子に腰掛けて使用する家具の場合、天板の下面は覗き込まない限り見えないので第1フラップの存在が美観に影響することはないが、脚部材の内側面は相当の部分が人目に触れ得るため、人目に触れないように処理するのが好ましい。この点、請求項3の構成によると、第2フラップは脚部材の下面に固定されているため人目に触れることはなくて体裁が良く、しかも、金具本体の縦長部材が脚部材の内側面の略全長(全高)にわたって延びているため、補強機能(固定強度)にも優れている。
【0018】
なお、請求項3のようにデスクに適用した場合、デスクの強度メンバーとして必ずしも幕板を使用する必要がなくなるが、本願発明は幕板の使用を排除するものではない。すなわち、目隠し用やデザイン的な観点から幕板を設けることは自由であり、また、強度メンバーとして幕板を設ける場合でも、本願発明の補強金具を使用することで堅牢性をより一層高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るデスクの外観図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【図2】天板及び脚を仮想線で示した第1実施形態の破断斜視図である。
【図3】(A)は図2のA−A視断面図、(B)は図2のB−B視断面図、(C)は図2のC−C視断面図である。
【図4】他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図3に示す第1実施形態(主たる実施形態)から説明する。本実施形態は、執務用デスク(テーブル,机)1に適用している。まず、概略を説明する。
【0021】
(1).デスクの概略
デスク1は、平面視横長長方形の木製天板2と、天板2の一側部(右側部)を支持する袖部3と、天板2の他端部(左端部を支持する平板状の木製脚4とを備えている。脚4は脚部材(支持部材)の一例である。袖部3は複数段の引出し5を有しており、引出し5の右側には回動式の前扉6で覆われた前向き開口収納部が配置されている。また、袖部3は回動式の後ろ扉7で覆われた後ろ向き開口収納部も有している。天板2と袖部3とは、例えば袖部3の内部から天板2にねじ込んでねじで固定されているが、天板2を水平方向にずれ不能の状態で袖部3に載せた構成とすることも可能である。
【0022】
脚4の前後幅寸法は天板2の前後幅寸法と同じになっており、デスク1の左端部が脚4で下方から支持されている。なお、天板2の四周は、上端のフランジ2aを設けてその下方が面取り部2bになった形態になっており、脚4の上面も天板2に重なる形状になっている。もとより、天板2のうち脚4に重なる端部は面取り部2bが存在しない等厚の形態として、脚4の上面も単純なフラット面と成すことも可能である。また、天板2と脚4とには、ダボとダボ穴とのような位置決め手段を設けることも可能である。
【0023】
天板2と脚4とは、前後2カ所において金属製の補強金具8で連結されている。補強金具8は、上水平部10と縦長部11とが直交姿勢で繋がった正面視逆L形の金具本体9を有しており、上水平部10の下面には、天板2の下面に重なる水平姿勢の第1フラップ12が溶接で固着されており、縦長部11の上部には脚4の内側面4aに重なる上部第2フラップ13が溶接れている。また、縦長部11は脚4の下面まで延びており、縦長部11の下端面には、脚4の下端面4bに重なる下部第2フラップ14を溶接によって固着している。第1フラップ12は第1固定手段の一例であり、第2フラップ13,14は第2固定手段の一例である。
【0024】
(2).補強金具の詳細
補強金具8の金具本体9を構成する上水平部10と縦長部11とは、等厚・等幅の断面長方形になっており、差し金(差矩、曲尺)のように、金具本体9の内角方向及び外角方向の面が細幅の端面になっている。従って、上水平部10と縦長部11との交叉姿勢を変えるような外力(曲げ力)に対し、極めて高い抵抗を発揮する。なお、金具本体9の厚さは必要な強度に応じて任意に設定できるが、一般的なデスク用の場合、6mm前後(5〜7mm)あるのが好ましい。
【0025】
金具本体9は、上水平部10及び縦長部11の長さにカットした帯板を溶接して製造することも可能であるが、本実施形態では、鋼板やステンレス板のような素材板を切断して製造している。このため、上水平部10及び縦長部11は完全に連続していて強度に優れている。素材板を切断する方法としてはパンチを使用した打ち抜きも可能であるが、レーザー切断法を採用すると、例えば厚さが6mm程度であっても、大型のプレス装置を使用することなく切断できると共に仕上がりも綺麗になる利点がある。
【0026】
他方、帯板を突き合わせて溶接して製造すると材料の無駄を無くせる利点がある。この場合、上水平部10と縦長部11との突き合わせ構造としては、上水平部10の端部に縦長部11の上端面を下方から突き合わせてもよいし、上水平部10の一端面を縦長部11の上部側端面に突き合わせてもよいし、上水平部10の一端部と縦長部11の上端部とを45°にカットして傾斜面を突き合わせてもよい。突き合わせ面を互いに噛み合わせることも可能である。
【0027】
補強金具8の金具本体9は、天板2及び脚4の内部(肉厚部内)に入り込んでいる。このため、天板2には上水平部10がきっちり嵌まる横長の嵌合溝15を形成しており、脚4には縦長部11がきっちり嵌入する縦長の嵌合溝15を形成している。なお、実施形態では金具本体9を嵌合溝15に直接嵌め入れているが、嵌合嵌合溝15にチャンネル材を接着等で嵌着固定し、チャンネル材に金具本体9を嵌め込むことも可能である。
【0028】
第1フラップ12は金具本体9よりも薄い鋼板から成っており、上水平部10の前後両側に広がっている。従って、第1フラップ12と上水平部10とで断面T形の形態を成している。第1フラップ12は天板2の下面に形成した凹所16に嵌まっており、ビス17で天板2に締結されている。
【0029】
ビス17は天板2に埋設した鬼目ナット18にねじ込んでいるが、鬼目ナット18を使用せずに、ビス17として木ねじを使用してこれを天板2に直接ねじ込むことも可能である。凹所16は第1フラップ12の板厚と略同じ深さに設定しており、このため、第1フラップ12の下面と天板2の下面とは同一面を成している。皿頭のビス17を使用することにより、ビス17の頭の出っ張りを無くすことも可能である。
【0030】
上部第2フラップ13は第1フラップ12と一体に繋がっている。すなわち、1枚の金属板を曲げ加工することで上部第2フラップ13と第1フラップ12を製造しており、これを上水平部10と縦長部11とに溶接している。上部第2フラップ13も脚4の内側面4aに設けた凹所19に嵌め入れており、上部第2フラップ13の内側面と脚4の内側面4aとは同一面(又は略同一面)を成している。また、上部第2フラップ13もビス20で脚4に締結されている。
【0031】
脚4にも鬼目ナット18を埋設しているが、ビス20として木ねじを使用して直接に締結してもよいことは第1フラップ12の場合と同様である。第1フラップ12と上部第2フラップ13とは別体の構造にすることも可能であるが、本実施形態のように1枚の素材板を曲げ加工して一体構造に製造すると、強度面で優れている利点がある。上部第2フラップ13の高さは任意に設定できるが、脚4の内側面のうち手前側の部位に配置したときに、天板2に隠れて人目に触れない高さに設定するのが好ましい。
【0032】
下部第2フラップ14は脚4の下端面に設けた凹所21に嵌め込まれており、ビス22で脚4に締結されている。この場合も鬼目ナット18を使用しているが、これを使用する必要がないことは第1フラップ12及び上部第2フラップ13の場合と同様である。図3(B)に示すように、下部第2フラップ14は脚4の内側面4aよりも肉厚部内に入り込んでおり、そこで、凹所21も脚4の内側面4aには開口せず下方のみに開口する形態と成している。従って、脚4の下端面の凹所21の存在は全く視認できず、このため美観に優れている。
【0033】
図3(C)に一点鎖線で示すように、脚4の下端面に凹所21を設けずに、下部第2フラップ14を固定してもよい。この場合、実施形態のように下部第2フラップ14を補強金具9の縦長部11の外面から内側にずらした状態に設けると、下部第2フラップ14は脚4に隠れて見えないため、美観に優れている。
【0034】
脚4の下面に凹所21を設ける場合、図3(C)に二点鎖線で示すように、脚4の下端面の凹所21の深さを下部第2フラップ14の板厚より深い深さとして、鍋頭のようなビス22を使用してもその頭が隠れるように設定することも可能である。敢えて述べるまでもないが、補強金具8を締結するビス17,20,22の本数は、デスク1の大きさ等に応じて任意に設定できる。
【0035】
(3).まとめ
さて、デスク1を変形させるような水平方向の外力としては、図1(A)に矢印で示すように、天板2を主として左右方向(X方向)に押す外力と前後方向(Y方向)に押す外力とがある。そして、天板2と脚4とは前後に長い範囲で重なっているため、補強金具8による連結のみであっても前後方向の外力に対しては強い抵抗を発揮する。
【0036】
また、本実施形態では、金具本体9は逆L型の形態を成していてしかも天板2及び脚4に入り込む方向に長い断面形状であるため、左右方向の外力に対する断面係数が高くなっており、このため、金具本体9を過度に厚くしなくとも左右方向の外力に対する高い抵抗を発揮する。すなわち、天板2と脚4との高い固定強度を確保してデスク1を堅牢な構造とすることができる。そして、金具本体9を過度に厚くする必要がないため、金具本体9における縦長部11の端面が部分的に見えてもさほど目立たず、このため美観上の問題も全く又は殆どない。
【0037】
また、金具本体9は天板2と脚4との嵌合溝15にきっちり嵌入していることから、天板2と脚4とは金具本体9によって前後ずれ不能に位置決めされており、このため、天板2と脚4との一体性が高まっていて固定強度のアップにより一層貢献している。
【0038】
金具本体9が天板2及び脚4に入り込む深さは任意に設定できるが、あまり深さが深くなり過ぎると天板2及び脚4の強度低下を招来するので、一般的には、肉厚の半分程度かそれ以下とするのが好ましい。更に述べると、天板2の嵌合溝15は左右端部のみに部分的に形成されているに過ぎないので、右15の深さが深くても天板2の強度低下にはさほど影響しないが、脚4の嵌合溝15は略全高さにわたって延びているので、あまり深くするのは得策でない。
【0039】
なお、少なくとも脚4の嵌合溝15を目地部材で塞ぐことも可能である。また、図1(B)に一点鎖線で示すように、幕板24を設けることも可能である。幕板24を設ける場合、幕板24の側部を脚4の背面に重ねてもよいし、幕板24の側端面を脚4の内側面に当接させてもよい。補強金具8は、天板2の左右両側部を板状の脚4で支持した構造のデスクにも適用できる。この場合は、左右の脚4と天板2とを補強金具8で連結したらよいことはいうまでもない。
【0040】
(4).他の実施形態
次に、図4に基づいて他の実施形態を説明する。図4のうち(A)に示す第2実施形態では、天板2(棚板)を脚4の側面に取付けている。間仕切兼用の壁(パネル)を脚と成したタイプの机の場合は、このような支持構造になる。補強金具8の構造は第1実施形態と同じである。1枚の脚(側板)4に棚板たる天板2を複数段配置し、各天板2を補強金具8で脚4に連結することも可能である。一点鎖線で示すように、金具本体9の内角部に隅肉部9′を設けると、応力集中を防止して一層高い強度を確保できる。この場合、隅肉部9′のプロフィールは斜め直線になっているが、曲面(アール)としてもよい。
【0041】
図4のうち(B)に示す第3実施形態では、上水平部10及び縦長部11はそれぞれ1枚の帯板を折り重ねて製造されており、フラップ12,13もそれぞれ上水平部10及び縦長部11に曲げによって形成されている。第2フラップ13は縦長部11の全長にわたって延びている。上水平部10のみを折り重ねて製造し、縦長部11は単なる帯板と成すことも可能である。
【0042】
図4のうち(C)に示す第4実施形態では、断面L形の背中合わせに重ねて溶接することで上水平部10と第1フラップ12とを形成しており、縦長部11は単なる帯板と成している。縦長部11も2枚重ね構造にすることは可能であるが、第2フラップ13の露出を避けたい場合は、縦長部11を単なる帯板として第1実施形態のように上部と下部とのみに第2フラップ13,14を設けるのが好ましい。
【0043】
図4のうち(D)に示す第5実施形態では、上水平部10及び縦長部11が2枚ずつ存在するダブル方式として、2枚の上水平部10同士及び縦長部11同士をそれぞれフラップ12,13で一体に繋いでいる。2枚の上水平部10と第1フラップ12、及び、2枚の縦長部11と第2フラップ13とはそれぞれ1枚の帯板を曲げ加工することで製造されており、従って、金具本体9は断面コ字型になっている。この実施形態では、第2フラップ13は縦長部11の全高にわたって延びている。図4(D)から容易に推測できるように、フラップ12,13は上水平部10又は縦長部11の片側だけに設けることも可能である。
【0044】
(5).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば脚部材の形状や配置態様は実施形態には限定されないのであり、家具の形態に応じて任意に設定できる。例えば、天板2の左右中間部を中間脚で支持することにより、天板と中間脚とでT形の形態を成しているデスクにも適用できる。この場合、中間脚の左右両側に補強金具を配置することも可能である。また、複数の天板を左右に並べて配置し、左右に隣り合った天板の端部を1つの共通脚で支持してなるデスクにも適用できる。この場合は、共通脚の左右両側に補強金具を配置することになる。
【0045】
第1実施形態の袖部も本願発明の脚部材となり得る。この場合は、補強金具の縦長部は袖部の内側板に固定したらよい。また、脚は板状である必然性はなく、枠状や棒状であってもよい。脚が棒状である場合は、上水平部が左右横長となるように配置された補強金具と、上水平部が前後長手となるように配置された補強金具との複数の補強金具を使用して天板を固定することも可能である。また、幕板と天板との連結に本願の補強金具を使用することも可能である。
【0046】
金具本体の固定手段としてフラップを使用する場合、釘等のねじ(ビス)以外のスァスナで固定することも可能である。また、ファスナでの固定に限らず、例えば、接着剤にる接着や溶接(金属製の場合)も採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明はデスクに適用して有用性を発揮する。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 家具の一例として執務用デスク
2 天板
3 袖部
4 脚部材の一例としての脚
8 補強金具
9 金具本体
10 上水平部
11 縦長部
12 第1固定手段の一例としての第1フラップ
13 第2固定手段の一例としての上部第2フラップ
14 第2固定手段の一例としての下部第2フラップ
15 嵌合溝
16,19,21 フラップが嵌まる凹所
17,20,22 ビス(ねじ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平姿勢の天板と鉛直姿勢の脚部材とが、それら天板と脚部材とで囲われた部位に配置した金属製の補強金具で連結されている構成であって、
前記補強金具は、前記天板の下面に形成した横長の嵌合溝にきっちり嵌入する水平部と前記脚部材の内側面に形成した縦長の嵌合溝にきっちり嵌入する縦長部とが一体に繋がった逆L型の金具本体を備えており、前記金具本体の水平部に、前記天板に固定される第1固定手段を設けている一方、前記金具本体の縦長部に、前記脚部材に固定される第2固定手段を設けている、
家具。
【請求項2】
前記天板と脚部材とは木製である一方、前記金具本体は断面長方形の板材から成っており、前記金具本体を、前記天板及び脚部材に入り込む方向が断面長方形の長手方向になる姿勢で配置している、
請求項1に記載した家具。
【請求項3】
前記脚部材は広い面積を有する板状の脚である一方、前記補強金具の縦長部は前記脚の下端まで延びており、前記補強金具の水平部に、前記第1固定手段として、前記天板にねじ止めされる第1フラップを設けている一方、前記縦長部材の下端に、前記第2固定手段として、前記脚の下面にビス止めされる第2フラップを一体に設けている、
請求項1又は2に記載した家具としての執務用デスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−139468(P2012−139468A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1093(P2011−1093)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】