説明

家具

【課題】天板の後方にハンギングフレームを有する家具を配置して使用するにあたり、天板面上に載せ置いた機器の配線を収納する容量を確保し、また、天板面上に載せ置いた書類や事務用品等の落下を防止又は抑制する。
【解決手段】前方に天板D1が配置されるサービスウォールSWに、天板面D1aに対応する位置に設けられた配線ダクト4と、この配線ダクト4の上方に間隔を設けて配されたハンギングフレーム3と、これら配線ダクト4及びハンギングフレーム3との間の空間を閉塞するパネル5とを具備させるとともに、前記パネル5を移動又は変形させることにより前記配線ダクト4の開口部4aを変化させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場やオフィス等において好適に用いられ、前方に天板を配置してなる家具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場等において事務作業を行う際に天板付き家具のみを用いる場合、天板付き家具に多数の機器を配置することにより天板面の使用可能な領域が小さくなることがある。このため、従来より、天板付き家具の後方にハンギングフレームを有する家具を配置し、このハンギングフレームにディスプレイモニタ等を掛けておく態様や、天板の反使用端にハンギングフレームを設けた天板付き家具を使用する態様が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、このような家具を用いても、機器の電源ケーブルや機器に接続してなる情報ケーブル等の配線を収納する容量が小さく天板面上に配線が乱雑に配置される不具合や、天板面上に載せ置いた書類や事務用品等がハンギングフレーム下方から落下する不具合等が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−11708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、このような課題を解決すること、すなわち、配線を収納する容量を確保し、また、天板面上に載せ置いた書類や事務用品等の落下を防止又は抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る家具は、前方に天板が配置される家具であって、天板面に対応する位置に設けられた配線ダクトと、この配線ダクトの上方に間隔を設けて配されたハンギングフレームと、これら配線ダクト及びハンギングフレームとの間の空間を閉塞するパネルとを具備し、前記パネルを移動又は変形させることにより前記配線ダクトの開口部を変化させることが可能であることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、前記パネルを移動又は変形させることにより前記配線ダクトの開口部を開口幅が大きくなるように変化させ、この開口部から前記配線ダクトに天板上の機器に接続するための配線を収納しておくことにより、配線を収納する容量を確保できる。また、前記配線ダクトを天板面に対応する位置に設けているとともに、前記パネルによりこの配線ダクトと前記ハンギングフレームとの間の空間を閉塞しているので、この空間から天板面上に載せ置いた書類や事務用品等が落下することを防止又は抑制することができる。
【0008】
なお、「配線ダクトの開口部を変化させる」とは、前記配線ダクトの開口部が外部に露出する部分の大きさを変化させること全般を示す概念である。
【0009】
上述した家具において、天板面上に載せ置いた筆記用具等の小物が落下することをより確実に防ぐには、前記配線ダクトを、天板面よりも少し高い位置に設けている構成が望ましい。このようなものであれば、天板の反使用端を前記配線ダクトに密接又は近接させて配置すると、この配線ダクトにより筆記用具等の小物が天板の反使用端縁から天板面外に移動することを規制できるからである。
【0010】
また、配線ダクト内の配線の保守を行いやすくするためには、前記配線ダクトの開口部の前縁と前記パネルの下縁との間に隙間を設けているものが望ましい。このようなものであれば、前記隙間を、天板上の空間と前記配線ダクト内の空間とを連通する配線挿通空間とし、この配線挿通空間から配線の出し入れを行うことができるからである。また、このような構成であれば、パネルを移動又は変形させる際に、この隙間に手指を差し入れてパネルに手指を掛けることも可能になる。
【0011】
より多様な使用態様に対応できるようにするための態様として、前記パネルを着脱可能であるものが挙げられる。
【0012】
そして、このような家具の前記パネルの取付態様の一例として、前記ハンギングフレームの両端を支持する支柱をさらに具備し、この支柱に取り付けてなるブラケットを介してパネルを取り付けるものであって、このパネルの裏面の上部に上向きの取付爪、このパネルの裏面の下部に突起をそれぞれ設けているとともに、前記ブラケットに、前記取付爪と係り合うスリット及び前記突起を保持するキャッチをそれぞれ設けているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る家具の構成によれば、天板面に対応する位置に配線ダクトを設けているので、この配線ダクトに天板上の機器に接続するための配線を収納しておくことにより、配線を収納する容量を確保できる。その上で、この配線ダクトと、該配線ダクトの上方に間隔を設けて配されたハンギングフレームとの間の空間をパネルにより閉塞しているので、このパネルにより前記空間から天板面上に載せ置いた書類や事務用品等が落下することを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態に係る家具を示す正面図。
【図3】図2に係るA−A断面図。
【図4】同実施形態に係るパネルの取付態様を示す側断面図。
【図5】同実施形態に係るパネルの取付態様を示す背面斜視図。
【図6】同実施形態に係るパネルの取付を示す作用説明図。
【図7】本発明の他の実施形態を示す全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態を図1〜図6を参照しつつ以下に述べる。
【0016】
本実施形態は、医療現場やオフィス等において好適に用いられ、図1に示すように、天板D1を脚D2に支持させてなる天板付き家具たる机Dの天板D1の後方、すなわち反使用端側に本発明の家具たるサービスウォールSWを密接又は近接させて使用する家具システムである。
【0017】
このサービスウォールSWは、図1、図2、及び図3に示すように、左右1対に設けたベース1と、このベース1から起立させて設けた左右1対の支柱2と、この支柱2の上端部同士を剛結するハンギングフレーム3と、このハンギングフレーム3の下方に空間を設けて支柱2間に架設した配線ダクト4と、これら配線ダクト4とハンギングフレーム3との間の空間を閉塞するパネル5と、前記配線ダクト4の下方に設けてなり前記支柱2の下部同士を剛結する補強材6とを具備する。
【0018】
前記ベース1は、前記図2及び図3に示すように、それぞれ、前後方向に延伸するベース本体11と、このベース本体11の下方に設けたアジャスタ12と、前記ベース本体11の外側面すなわち他方のベース1向かう方向と反対側の面に設けた支柱接続部13とを具備する。そして、この支柱接続部13の外側方に、前記支柱2を設けている。
【0019】
前記支柱2は、前記図1、図2、及び図3に示すように、前記支柱接続部13の外側端から起立する支柱本体21と、この支柱本体21の下方に設けたアジャスタ22とを具備する。前記支柱本体21は、中空の金属製の部材である。また、この支柱本体21には、背面に前記パネル5を高さ位置を変更可能に取り付けるためのフック孔21aを複数箇所に形成している。なお、本実施形態では、この支柱本体21の幅方向位置を机Dの脚D2の幅方向位置と略同一に設定し、机Dの脚D2間に前記ベース本体11が位置するようにしている。そして、上述したように、この支柱本体21の上端部同士を、前記ハンギングフレーム3により剛結している。
【0020】
前記ハンギングフレーム3は、前記図1、図2、及び図3に示すように、左右両端をそれぞれ前記支柱2に固定してなり、支柱2の後部同士を接続する面板状のフレームベース31と、このフレームベース31の前方に設けてなり、ディスプレイモニタ等を掛けることが可能なハンガー部材32とを具備する。このハンガー部材32は、本実施形態では互いに上下に離間させて複数、より具体的には2本設けてなる。各ハンガー部材32は、それぞれ、幅方向に延伸するハンガー部材本体32aと、このハンガー部材本体32aの上下両端からそれぞれ前方かつ相寄る方向に伸びる上下1対の係止爪32bとを少なくとも有する。このハンギングフレーム3に取付対象物を取り付ける際には、該取付対象物の一部を前記係止爪32b間の空間及び前記係止爪32bと前記ハンガー部材本体32aとの間の空間に跨るようにして、該取付対象物をこのハンギングフレーム3に支持させるようにする。その際、前記係止爪32bにより該取付対象物の前方及び下方への移動を規制している。そして、上述したように、このハンギングフレーム3は、前記配線ダクト4の上方に間隔を設けて配している。
【0021】
前記配線ダクト4は、前記図2及び図3に示すように、底壁41と、この底壁41の前端から起立する前壁42と、前記底壁41の後端から起立する後壁43と、この後壁43の上端から前方に延伸する頂壁44とを有し、前記前壁42の上端と前記頂壁44の前端との間に開口部4aを設けている。また、この配線ダクト4は、前記天板面D1aに対応する位置に設けている。より具体的には、この配線ダクト4は、前記天板面D1aよりも少し高い位置に設けている。さらに詳述すると、この配線ダクト4の前壁42の上端は、前記天板D1の天板面D1aよりも上方に配してなるとともに、この配線ダクト4の前壁42の下端は、前記天板D1の天板面D1aよりも下方に配してなる。なお、本実施形態では、前記底壁41の全域、前記前壁42の下部、及び前記後壁43の下部は、内外に板状部材を重ね合わせた二重構造である。また、前記頂壁44、前記後壁43の外側の板状部材、前記底壁41の外側の板状部材、及び前記前壁42の外側の板状部材を、1枚の金属板を屈曲させて構成した一体をなすダクト外側部材として形成している。また、前記後壁43、前記底壁41、及び前記前壁42の内側の板状部材は、1枚の金属板を屈曲させて構成した一体をなすダクト内側部材として形成している。さらに、前記ダクト外側部材を図示しないフック爪を介して支柱2に取り付けるようにしているとともに、このダクト外側部材に前記ダクト内側部材を重ね合わせるようにして取り付けるようにしている。そして、上述したように、この配線ダクト4と前記ハンギングフレーム3との間の空間を、パネル5により閉塞するようにしている。
【0022】
前記パネル5は、前記図1、図2、図3、図4、及び図5に示すように、正面視矩形面板状をなすパネル本体51と、このパネル本体51の周縁部の後方に設けた補強部52と、前記パネル本体51の裏面上部の左右両端近傍に設けた上向きの取付爪53と、前記パネル本体51の裏面の前記取付爪53の下方に設けた突起54とを具備する。ここで、本実施形態では、前記図3に示すように、このパネル5の下端の高さ位置と前記配線ダクト4の頂壁44の高さ位置を略一致させている。すなわち、このパネル5の下端と前記配線ダクト4の前壁42の上端との間に隙間を形成していて、この隙間を、天板D1上の空間と前記配線ダクト4内部とを連通する配線挿通空間Sとしている。また、前記補強部52は、前記パネル本体51の上下左右各端縁から後方に延伸して設けた側面部52aと、この側面部52aから前記パネル本体51と平行に折り返して形成した折り返し部52bとを有する。一方、前記取付爪53及び前記突起54は、前記支柱2の背面に取り付けてなるブラケット7とともにこのパネル5を支柱2に取り付けるためのパネル取付機構Kを形成する。前記突起54には、先端近傍に幅方向に略円形状に拡開させて形成した被保持部54aを有する。また、前記突起54とパネル本体51との間には、前記パネル本体51と平行な面板状をなす面板状の突起取付部551と、この突起取付部551からパネル本体51側に延伸させて設けた対パネル接続部552とを有するスペーサ55を設けている。さらに、前記スペーサ55の突起取付部551の内側端縁からは、ガイド片553を後方に延伸させて設けている。なお、前記図3では、前記取付爪53、前記突起54、前記スペーサ55、及び前記ブラケット7は省略して示している。
【0023】
前記ブラケット7は、前記図4及び図5に示すように、前記パネル本体51と平行な面板状をなす取付面部71と、この取付面部71の上下両端からそれぞれ後方に伸びる上接続部72及び下接続部73と、前記上接続部72の後端から下方に伸び前記支柱2の背面に添接する上添接板部74と、前記下接続部73の後端から下方に伸び前記支柱2の背面に添接する下添接板部75と、これら上添接板部74及び下添接板部75からそれぞれ前方に延伸し前記支柱2のフック孔21aに係り合うフック爪76とを具備する。ここで、このブラケット7は、前記上接続部72の上方から前記ハンギングフレーム3のフレームベース31にねじ止めするようにしている。さらに、前記取付面部71には、前記パネル5の取付爪53と係り合わせてなるスリット71aと、このスリット71aの下方に設けられ、前記パネル5の突起54の被保持部54aを弾性保持可能なキャッチ71bとを設けている。また、本実施形態では、この取付面部71の前記支柱2に対向する端縁を屈曲させて支柱2の側面と平行な補強部711を設けている。さらに本実施形態では、前記取付面部71の前記補強部711を設けた側と反対側の端縁に切欠き部71xを設けていて、この切欠き部71xの切欠き端縁と前記スペーサ55のガイド片553の端縁とが対向するようにしている。そして、前記切欠き部71xの切欠き端縁と前記スペーサ55のガイド片553の端縁とにより、このパネル5の幅方向の取付位置をガイドするとともに、このパネル5の左右方向のがた止めを行うガイド部を形成している。
【0024】
ここで、配線ダクト4内の配線の保守を行うべく、この配線ダクト4の開口部4aを変化させる、すなわちこの開口部4aが外部に露出する部分の大きさを大きくする際には、以下の手順によりパネル5を移動させて取り外す。
【0025】
まず、配線挿通空間Sに手指を挿入してパネル5の下縁に手指を掛ける。それから、パネル5の下端部に対して前方に向かう作用を加え、前記キャッチ71bにより前記突起54の被保持部54aを保持した保持状態を解除する。次いで、図6の実線に示す位置までパネル5の下端部を下前方に移動する。このとき、前記取付爪53と前記スリット71aとの係り合いが解除される。そして、前記図6の想像線に示すようにこのパネル5をさらに下前方に移動させると、このパネル5を取り外すことができる。なお、このパネル5の取り付けは、以上に説明したこのパネル5の取り外しと逆の手順により行う。
【0026】
以上に述べたように、本実施形態の構成によれば、天板面D1aに対応する位置に配線ダクト4を設けているので、この配線ダクト4に天板D1上の機器に接続するための配線を収納しておくことにより、配線を収納する容量を確保できる。その上で、この配線ダクト4と、該配線ダクト4の上方に間隔を設けて配されたハンギングフレーム3との間の空間をパネル5により閉塞しているので、このパネル5により前記空間から天板面D1a上に載せ置いた書類や事務用品等が落下することを防止又は抑制することができる。
【0027】
また、前記配線ダクト4を、天板面D1aよりも少し高い位置に設けている、より具体的には、この配線ダクト4の前壁42の上端を天板面D1aよりも上方に、また、この配線ダクト4の前壁42の下端を天板面D1aよりも下方にそれぞれ配しているとともに、天板D1の反使用端を前記配線ダクト4に密接又は近接させて配置しているので、この配線ダクト4により筆記用具等の小物が天板D1の反使用端縁から天板面D1a外に移動することを規制でき、従って、天板面D1a上に載せ置いた筆記用具等の小物が落下することをより確実に防ぐことができる。
【0028】
さらに、前記配線ダクト4の開口部4aの前縁と前記パネル5の下縁との間に、天板D1上の空間と前記配線ダクト4内の空間とを連通する配線挿通空間Sを設けているので、この配線挿通空間Sから配線の出し入れを行うことができ、従って、配線ダクト4内の配線の保守を行いやすくすることができる。また、このような構成であれば、上述したようなパネル5の取り外しの際等のパネル5を移動させる操作を行う際に、この配線挿通空間Sに手指を挿入してパネル5に手指を掛けることができ、従って、パネル5の着脱の便も図ることができる。
【0029】
加えて、前記パネル5が着脱可能であるので、パネル5を取り外して前記配線ダクト4の開口部4aの全体を外部に露出させて配線ダクト4内の配線の保守の便をより一層図ることができるとともに、パネル5を取り外して従来型のサービスウォールSWとして使用する等、より多様な使用態様に対応することもできる。
【0030】
そして、前記パネル5の裏面の上部に上向きの取付爪53、このパネル5の裏面の下部に突起54をそれぞれ設けているとともに、前記支柱2に取り付けてなるブラケット7に、前記取付爪53と係り合うスリット71a及び前記突起54を保持するキャッチ71bをそれぞれ設けてなるパネル取付機構Kを有するので、ハンギングフレーム3に取り付けた機器がこのパネル5の前方に跨る大型のものであっても、パネル5の着脱をハンギングフレーム3に取り付けた機器に干渉することなく行うことができる。
【0031】
なお、本発明は、以上に述べた実施形態に限らない。
【0032】
例えば、図7に示すように、上述した実施形態におけるものと同様に脚D2に天板面D1を支持させてなる机Dの後方に本発明の他の実施形態に係る家具であるサービスウォールSW2を配するようにしてもよい。
【0033】
この実施形態に係るサービスウォールSW2は、左右1対に設けたベースA1と、このベースA1から起立させて設けた左右1対の支柱A2と、この支柱A2の中間部同士を剛結するハンギングフレームA3と、このハンギングフレームA3の下方に空間を設けて支柱A2間に架設した配線ダクトA4と、これら配線ダクトA4とハンギングフレームA3との間の空間を閉塞するパネルA5と、前記配線ダクトA4の下方に設けてなり前記支柱A2の下部同士を剛結する図示しない補強材とを具備する。前記配線ダクトA4は、天板面D1aに対応する位置に設けてなる。そして、前記ハンギングフレームA3の上方に離間させて設けた補助ハンギングフレームA91と、前記ハンギングフレームA3と前記補助ハンギングフレームA91との間の空間、及び前記補助ハンギングフレームA91同士の間の空間を閉塞する補助パネルA92とをさらに具備する。その上で、このサービスウォールSW2においても、前記パネルA5を移動(又は変形)させることにより前記配線ダクトA4の開口部A4aを変化させることが可能である。このようなサービスウォールSW2の構成でも、前記ハンギングフレームA3、前記配線ダクトA4、及び前記パネルA5が、上述した実施形態におけるサービスウォールSWのハンギングフレーム3、配線ダクト4、及びパネル5と同様の構成を有するものであれば、上述した実施形態におけるサービスウォールSWの構成に係る効果は全て得られる。
【0034】
また、パネルの取付態様は、上述した実施形態において示したものに限らず、種々の取付構造を採用してよい。例えば、パネルの上部に下向きの取付爪を設け、この下向きの取付爪を支柱、又は支柱に取り付けてなるブラケットに設けたスリットに係り合わせる構成のパネル取付機構や、パネルの上端部を支柱に回転可能に取り付ける構成のパネル取付機構を採用してもよい。この場合、パネルの下部は必ずしも固定する必要はない。一方、パネルの下部にも下向きの取付爪を設け、パネルの上部及び下部の前記取付爪を全て前記スリットに係り合わせる構成のパネル取付機構を採用してもよい。この場合、前記配線ダクトの開口が外部に露出する部分の大きさを変化可能にすべく、パネルの他の部分に対して前後方向に移動可能な可動部をパネルの下端部に設ける態様や、パネルの下端部を弾性変形可能にする態様を採用するとよい。さらに、パネルは必ずしも着脱可能である必要はない。
【0035】
また、前記配線ダクトを天板面よりも少し高い位置に設ける代わりに、支柱間の天板面の上下に跨る高さ位置に別途小物落下阻止板を架設するようにしてもよい。
【0036】
さらに、前記配線ダクトの開口部の前縁と前記パネルの下縁との間に隙間を設ける代わりに、例えば、パネルの前面に把手として使用可能な突起や開口などを設けるようにしても、この把手に手を掛けてパネルの移動の便を図ることはできる。
【0037】
加えて、サービスウォール等の家具の前方に天板付き家具を配置する態様に替えて、配線ダクトと、この配線ダクトの上方に間隔を設けて配されたハンギングフレームと、これら配線ダクト及びハンギングフレームとの間の空間を閉塞するパネルとを具備する家具の配線ダクトの前方に、オプション部材として天板を取り付けて使用する態様を採用してもよい。
【0038】
そして、サービスウォールに限らず、天板付き家具の後方に配してなる、あるいは前面に天板を取り付けてなる家具全般において、天板面に対応する位置に設けられた配線ダクトと、この配線ダクトの上方に間隔を設けて配されたハンギングフレームと、これら配線ダクト及びハンギングフレームとの間の空間を閉塞するパネルとを具備し、前記パネルを移動又は変形させることにより前記配線ダクトの開口部を変化させることが可能な構成を採用すれば、本発明の最も重要な効果は得られる。また、天板の奥行き方向中央部に配線ダクト及びハンギングフレームを配置可能であるとともに、前後両側からこれら配線ダクト及びハンギングフレームを使用可能な構成を有する家具においても、このような家具の配線ダクトとハンギングフレームとの間の空間を閉塞するパネルとを具備し、前記パネルを移動又は変形させることにより前記配線ダクトの開口部を変化させることが可能な構成を採用すれば、本発明の最も重要な効果は得られる。
【0039】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0040】
SW、SW2…サービスウォール(家具)
3、A3…ハンギングフレーム
4、A4…配線ダクト
4a、A4a…開口部
5、A5…パネル
D1…天板
D1a…天板面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に天板が配置される家具であって、天板面に対応する位置に設けられた配線ダクトと、この配線ダクトの上方に間隔を設けて配されたハンギングフレームと、これら配線ダクト及びハンギングフレームとの間の空間を閉塞するパネルとを具備し、前記パネルを移動又は変形させることにより前記配線ダクトの開口部を変化させることが可能であることを特徴とする家具。
【請求項2】
前記配線ダクトを、天板面よりも少し高い位置に設けている請求項1記載の家具。
【請求項3】
前記配線ダクトの開口部の前縁と前記パネルの下縁との間に隙間を設けている請求項1又は2記載の家具。
【請求項4】
前記パネルを着脱可能である請求項1、2又は3記載の家具。
【請求項5】
前記ハンギングフレームの両端を支持する支柱をさらに具備し、この支柱に取り付けてなるブラケットを介してパネルを取り付けるものであって、このパネルの裏面の上部に上向きの取付爪、このパネルの裏面の下部に突起をそれぞれ設けているとともに、前記ブラケットに、前記取付爪と係り合うスリット及び前記突起を保持するキャッチをそれぞれ設けている請求項1、2、3又は4記載の家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−55876(P2011−55876A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205703(P2009−205703)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】