説明

家庭用の植物栽培装置

【課題】 様々な種類の植物に幅広く適用が可能であるとともに、植物の成長を促進して効率良く栽培をおこなうことができる家庭用の植物栽培装置を提供する。
【解決手段】 植物栽培装置1は、上下複数段に配設保持される栽培ベッド10と、栽培植物Pの成長に応じて上下に移動させられる人工光源を有する天井部15と、人工光源と連動して上下に移動させられる給気部16と、を備えている。栽培ベッド10は、栽培槽と、栽培槽の上部に嵌着され養液Aの流路を形成するとともに、流路に向けて植物根が露出するようにして栽培植物Pを植付状態とする植付パネルと、から構成されている。栽培ベッド10に供給される養液Aは、流路を通過して排出された後に循環して再利用されるとともに、養液Aが、流路に間欠的に流入するように制御されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等の植物を水耕栽培するための植物栽培装置に関し、より詳しくは、
一般家庭や店舗、オフィス等で好適に用いることのできる、いわゆる家庭用の植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭等で用いられる植物栽培装置は、設置面積をとらない省スペース型のものが好ましく、このような観点から、特許文献1に記載される如くの「家庭用植物栽培装置」が従来提案されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載される装置は、主として太陽光のみを利用するものであるため、日照時間が不足したり、逆に太陽光が強すぎる場合があり、栽培が難しかった。
【0004】
一方で、人工光を併用して野菜等の植物を水耕栽培するシステムとして、栽培床を略垂直に設け、栽培床の裏側に露出する植物根に養液を噴霧するようにした「植物栽培システム」がある(例えば、特許文献2)。この植物栽培システムを用いれば、狭小なスペースであっても、生産効率を格段に向上させることが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−88820号公報
【特許文献2】特開2008−92859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献2に記載される植物栽培システムでは、植物の植付姿勢に制約が生じるため、植物の種類(例えばキャベツ等)によっては、栽培が困難なものがあることが明らかとなっている。
また、上記特許文献2に記載されるものは、非常に巨大なシステムを想定しており、一般家庭等で用いられる装置として簡単には応用し難いものであった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、様々な種類の植物に幅広く適用が可能であるとともに、植物の成長を促進して効率良く栽培をおこなうことができる家庭用の植物栽培装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の家庭用植物栽培装置は、移設可能な箱体をなし、該箱体の内部に所要設備が格納された家庭用の植物栽培装置であって、栽培植物が植え付けられ、上下複数段に、且つそれぞれ略水平をなして配設保持される栽培ベッドと、各栽培ベッドの上方に設けられ、栽培植物の成長に応じて上下に移動させられる人工光源を有する天井部と、該人工光源と連動して上下に移動させられるとともに、該栽培ベッドに植え付けられる栽培植物および該人工光源に向けて、温度、CO濃度等が調整された空気を噴き出す噴出口を有する給気部と、を備え、該栽培ベッドが、上部開放箱型の栽培槽と、該栽培槽の上部に嵌着され、該栽培槽の底面との間に、養液の流路を形成するとともに、該流路に向けて植物根が露出するようにして栽培植物を植付状態とする植付パネルと、から構成され、該栽培ベッドに供給される養液が、該流路を通過して排出された後に循環して再利用されるとともに、該養液が、該流路に間欠的に流入するように制御されていることを要旨とする。
【0009】
また、請求項2記載の家庭用の植物栽培装置は、請求項1記載の構成において、各天井部の上方に、該天井部を懸吊する駆動部がそれぞれ設けられ、該駆動部が、前後に延在して設けられる軸ボルトと、それぞれ回動自在のくの字状に形成され、該軸ボルトに平面視菱形状をなすように螺合される左右一対のアームと、を備え、該軸ボルトの回転に伴って、該アームが左右方向に伸縮することにより、該アームに接続される吊設部材を介して、該天井部を上下に移動自在としたことを要旨とする。
【0010】
また、請求項3記載の家庭用の植物栽培装置は、請求項2記載の構成において、該天井部に、反射性の傾斜壁面を有する凹部が形成されるとともに、該凹部に、該人工光源が配設されたことを要旨とする。
【0011】
また、請求項4記載の家庭用の植物栽培装置は、請求項3記載の構成において、該箱体が、断熱パネルで被覆されるとともに、該箱体前面の大半には、内部の該栽培ベッドに植え付けられる栽培植物を見通せる複層ガラスが嵌装される開閉扉が設けられたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の家庭用植物栽培装置は、移設可能な箱体をなし、該箱体の内部に所要設備が格納された家庭用の植物栽培装置であって、栽培植物が植え付けられ、上下複数段に、且つそれぞれ略水平をなして配設保持される栽培ベッドと、各栽培ベッドの上方に設けられ、栽培植物の成長に応じて上下に移動させられる人工光源を有する天井部と、該人工光源と連動して上下に移動させられるとともに、該栽培ベッドに植え付けられる栽培植物および該人工光源に向けて、温度、CO濃度等が調整された空気を噴き出す噴出口を有する給気部と、を備え、該栽培ベッドが、上部開放箱型の栽培槽と、該栽培槽の上部に嵌着され、該栽培槽の底面との間に、養液の流路を形成するとともに、該流路に向けて植物根が露出するようにして栽培植物を植付状態とする植付パネルと、から構成され、該栽培ベッドに供給される養液が、該流路を通過して排出された後に循環して再利用されるとともに、該養液が、該流路に間欠的に流入するように制御されているため、様々な種類の植物に幅広く適用が可能であるとともに、植物の成長を促進して効率良く栽培をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1、図2は実施形態に係る植物栽培装置1を示す図であり、図1は斜視図、図2は全体構成を示す概略図である。図3は植物栽培装置1の栽培ベッド10を示す図、図4、図5は植物栽培装置1の天井部15および給気部16を示す図、図6は植物栽培装置1の駆動部18を示す図である。
【0014】
図1、図2に示すように、植物栽培装置1は、全体として直方体形状(左右940mm×奥行き500mm×高さ2100mm程度)で移設可能な箱体2をなし、この箱体2の内部に所要設備が格納されているものである。必要な電源は、家庭用電源200V等が利用される。
箱体2は、図1に示すように、断熱パネル3で被覆されており、前面の大半に、開閉扉4が大きく設けられている。開閉扉4には、箱体2内部の栽培ベッド10(後述)に植え付けられる栽培植物Pを見通せる複層ガラス5が嵌装されている。このような構成により、熱負荷の軽減が図られて、効率的な生産が可能となる。また、栽培植物Pの成長状況等を容易に確認でき、楽しみながら栽培をおこなうことが可能となっている。
【0015】
上記複層ガラス5に代えて、他の材質のものを採用することもできる。但し、複層ガラス5は、断熱性が有り、透視性にも優れていることから好ましい材料である。中でも、空気層のガラス面に所定の金属膜を貼設して構成した低放射性ガラス(Low−Eガラス)は、きわめて高い断熱性ないし遮熱性を発揮するものであり、適している。
【0016】
箱体2内部には、図2に示すように、主として栽培ベッド10、冷蔵ユニット11、養液ユニット12が格納されている。冷蔵ユニット11および養液ユニット12は、箱体2のそれぞれ最上段および最下段に配置されており、その中間に栽培ベッド10が上下複数段に亘って配置されている。各栽培ベッド10の上方には、天井部15および給気部16が配設されている。
栽培ベッド10を、育成用と育苗用とに分けて配置し、育苗用で所定期間育てた苗を、育成用に移し替え、その後栽培植物Pとして育成するようにしてもよい。
箱体2は密閉可能な構造を有しており、給気ファン11aや吸込口11bを適宜備えた冷蔵ユニット11によって、内部の温度や湿度等が、年間を通して栽培植物Pの生育に最適な一定範囲に調整されるようになっている。吸込口11bを、図2に示す如くの位置に設けると、箱体2内部の温かい空気は上昇してくるため、空気を循環させ易いものとなる。
【0017】
養液ユニット12は、図2に示すように、ポンプ20、タンク21、ろ過器22、殺菌器23などから構成されており、各栽培ベッド10に養液Aを循環供給している。
タンク21に貯留される養液Aは、ポンプ20によってポンプアップされ、給液管25を介して各栽培ベッド10に供給される。養液Aとしては、液肥を希釈したものが用いられる。各栽培ベッド10から排出された養液Aは、排液管26を介して、再びタンク21に回収される。排液管26とタンク21との間には、フィルターからなるろ過器22と、紫外線等を利用した殺菌器23が介設されており、汚泥や塵埃等が取り除かれるようになっている。
なお、必要に応じて、電磁弁や逆流を防止する逆止弁、さらに排液を再利用しない場合にそのまま排出する排出手段等を各所に適宜設けるようにしてもよい。
【0018】
また、タンク21には、養液Aの濃度、容量や温度をセンサー等によって一定の値に保持する自動管理手段を設けることもできる。但し、装置が過大になるのを防ぐために、このような手段の付設を省略し、養液Aを定期的(例えば2ヶ月ごと)に新しいものに交換するようにしてもよい。
【0019】
栽培ベッド10は、例えば直方体枠組み状に剛構成された架台(図示せず)によって、それぞれ略水平をなして配設保持されている。栽培ベッド10の段数は、設置場所や植物の種類等によっても異なるが、3〜5段程度とするのが、省スペースや生産効率等の点から好ましい。
【0020】
栽培ベッド10はそれぞれ、図3(a)(b)に示すように、矩形板状(約870mm×320mm×70mm)をなし、上部開放箱型の栽培槽30と、栽培槽30上部の所定位置に嵌着される植付パネル31とから構成されている。
栽培槽30の底面30aと植付パネル31との間には、養液Aの流路33が形成されている(図3(c))。そして、給液管25から分岐管25aを介して供給される養液Aが、給液部25bの給液口25cから栽培ベッド10に流入し、この流路33を連続的に通過して、栽培槽30側面の所定位置に穿設される排液口26b、および排液口26bに接続される分岐管26aを介して、排液管26へと流下排出されるようになっている。
【0021】
植付パネル31には、栽培植物Pを植付状態とするためのポット35を支持するポット受孔31aが適宜の間隔で多数設けられている。図3(c)に示すように、ポット受孔31aは、下窄りで、上下に連通した形状をなす。これに対して、ポット35は、ポット受孔31aに対応し且つ底部が開放された形状をなし、栽培植物Pの苗を培土とともに収容している。そして、栽培植物Pの植物根P’が、ポット35を貫通して、植付パネル31の下方に露出するようにして配設されている。
【0022】
養液Aは、養液ユニット12のポンプ20に接続されるモータ(図示せず)を介して、流路33に間欠的に流入するように電磁制御されている。養液Aの供給を一定時間ごとにストップし、植物根P’に養液Aと空気を交互に触れさせることで栽培植物Pの成長をさらに促進することができる。そのため、植付パネル31に空気を取り込むための多数の透孔を設けたり、植付パネル31自体をメッシュ状に形成すればより好ましい。
【0023】
また、栽培ベッド10では、図3(a)(b)に示すように、栽培槽30の底面30aに調整板37と堰板38とが立設配置されており、これら調整板37と堰板38との間に植付パネル31が嵌着されている。堰板38は、栽培槽30における流路33の下流側に形成してあり、養液Aが所定量になると堰板38を超えて、排液口26bへと流出するような構成となされている。調整板37の下部は横長に切欠して構成されており、給液口25cから流下した養液Aを、流路33に流入させている。これにより、流路33内を養液Aで略一杯に満たし、流路33に向けて露出した植物根P’が流路33を通過する養液Aに接触して、養液A中の栄養分を十分に吸収できるようになされている。
【0024】
なお、堰板38の下部には、小孔39が適宜箇所に設けられており(図3(a)(b))、養液Aの供給をストップした際に、流路33内の養液Aを残らず排液管26へと排出できるようになっている。養液Aを排出し、植物根P’に空気を触れさせることで、植物根P’が刺激を受け、次に流入してくる養液Aを活発に吸い上げる。これによって、栽培植物Pの成長が促進される。
【0025】
栽培植物Pとしては、野菜や果物など様々な種類の植物が対象となる。特に流路33内の養液Aが常に新鮮な状態に保たれることから、ワサビや生姜なども好適に採用され得る。
【0026】
図4、図5に示すように、各栽培ベッド10の上方には、それぞれ栽培植物Pを照射するための人工光源40を有する天井部15が配設されている。天井部15は、手動または自動の走行手段を介して、栽培ベッド10に対して上下移動自在に構成されている。本実施形態では、走行手段として駆動部18を採用しているが(図6)、これについては後述する。
【0027】
天井部15および人工光源40は、栽培植物Pの成長に応じて上下移動させられる。光の強度や量が不足すると栽培植物Pの成長が遅れ、逆に過剰であると栽培植物Pに焼け等が生じる結果となる。上記天井部15によれば、人工光源40と栽培植物Pとの間の距離を常に適正(通常10〜20cm程度)に保つことが容易であり、栽培植物Pの成長を促進することが可能となる。
【0028】
人工光源40としては、栽培植物Pの成長にとって好ましい波長域となるように、蛍光灯、冷陰極ランプ、LED等を単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。特にLEDは、温度上昇が低く、耐久性にも優れるため、適したものとなる。
【0029】
天井部15の下面には、図5に示すように、傾斜壁面42,42を有する凹部43が、栽培ベッド10に略等しい左右幅で、且つ前後2列に形成されている。そして、この凹部43に、人工光源40が配設されるとともに、少なくと上記傾斜壁面42が、反射性を有する材料によって形成されている。傾斜壁面42の傾斜角度は、人工光源40の光を反射させたい方向に応じて適宜設定し得るものであるが、おおむね30〜45°前後が好ましい。このような構成により、狭小な空間であっても、人工光源40による光を、拡散させることなく、非常に効率よく集中的に栽培植物Pに与えることが可能となる。例えば人工光源40として蛍光灯を使用する場合には、光量が約1.3〜1.4倍に増加する。
しかも、上記天井部15の構造によれば、凹部43内の熱を逃がし易いため、空調負荷の低減にもなる。
【0030】
図4、図5に示すように、各栽培ベッド10は、後方に給気部16を備えている。給気部16は、栽培ベッド10の左右幅に略相当する全長を有する筒体をなし、伸縮自在のフレキシブルダクト51および分岐ダクト52を介して、給気ファン11aから下方に延出したダクト50に接続されている。
給気部16は、バンド状の取付金具53を用いて天井部15後端に固着されており、天井部15に配設される人工光源40と連動して、上下に移動されるようになっている。
【0031】
給気部16の所定位置には、図4、図5に示す如く多数の噴出口55a,55bが、千鳥状の上下二段に設けられており、下側の噴出口55aから、栽培ベッド10に植え付けられる栽培植物Pに向けて、温度、湿度、CO濃度等が調整された空気が噴き出される。
なお、冷蔵ユニット11(図2)は、外気と適宜接続されており、箱体2外部からCOを取り込めるようになっている。COガスを充填した小型ボンベを、取替え自在に装着して用いるようにしてもよい。
【0032】
また、図5に示すように、上側の噴出口55bからは、人工光源40に向けても空気が噴き出されるようになっている。栽培植物Pの生育に適した温度は、植物の種類等によっても異なるが、おおむね15〜20℃である。これに対して、装置内(とりわけ人工光源40近辺)の温度は、人工光源40による発熱等で、これよりも高くなる傾向にある。よって、噴出口55a,55bから噴き出される空気は、15℃前後の冷風となることが多いが、このような冷風を人工光源40に向けて併せて噴き付けることにより、人工光源40の熱を除去し、栽培植物Pの成長に悪影響が生じるのを確実に防止することが可能となる。箱体2には、内部の温度等を感知するセンサー等が適宜設けられている。
噴出口55a,55bとしてノズルを用いる場合には、噴出される空気を分散させ易くなり、噴出口55a,55bの配設数を低減できる。
【0033】
図6(a)(b)に示すように、各天井部15の上方には、天井部15を上下移動自在に懸吊する駆動部18がそれぞれ設けられている。駆動部18は、ごく薄い箱型をなして略水平に固着保持されており、主として軸ボルト60と、左右一対のアーム61a,61bとを内部に備えている。
【0034】
軸ボルト60は、全長に亘って螺子が刻設されたものであり、図6(a)(b)に示すように、駆動部18の略中央位置に前後に延在して設けられている。
【0035】
アーム61a,61bは、図6(a)(b)に示すように、左右対称のくの字状に形成されたものであり、従動部62a,62bを介してそれぞれ開閉自在となされている。アーム61a,61bの先端部には、螺合部64,64が、アーム61a,61bに対して回動自在に接続されるとともに、この螺合部64,64を介して、アーム61a,61bが図6(a)に示す如くの平面視菱形状をなすように、軸ボルト60に螺合されている。
【0036】
軸ボルト60の前端には、所定の操作孔66が、露呈して連設されており、操作ハンドル68(図6(b))の先端を操作孔66に差し込んで、軸ボルト60を正逆廻りに容易に回転させることができる。
上記螺合部64,64には、互いに逆向きの螺子が切られており、軸ボルト60の回転に伴い、螺合部64,64が、軸ボルト60に沿って互いに近づいたり離れたりして、前後対称の移動をおこなう。これに従って、螺合部64,64に接続されるアーム61a,61bが左右方向に伸縮する。つまり、アーム61a,61bがそれぞれ、開き角度を大小変化させながら、従動部62a,62bが、軸ボルト60に略直交して互いに近づいたり離れたりして、左右対称の移動をおこなう。そして、天井部15の四隅近傍が、ワイヤー等の吊設部材70を介して、従動部62a,62bに連結されていることから、従動部62a,62bの上記移動に連係して、天井部15が上下に移動自在となされているものである。
【0037】
以上、説明した如くの植物栽培装置1によれば、コンパクトな箱体2によって構成されているため、設置や移動が容易であり、一般家庭等で用いるのに適している。また、栽培ベッド10が、上下複数段に且つそれぞれ略水平をなして配設保持される所定の構成であることから、栽培植物Pの植付姿勢にも無理がなく、植物の種類を問わず栽培をおこなうことができる。
【0038】
植物栽培装置1では、栽培ベッド10の流路33に供給される養液Aが、流路33を通過して排出され、ろ過器22や殺菌器23を経由した後に循環して再利用されるものであるため、常に一定の新鮮な養液Aを栽培植物Pに供給することができ、栽培槽30の流路33内にコケや殺菌等が繁殖するおそれが低い。また、人工光源40を有する天井部15や給気部16などの所定構成とも相俟って、栽培植物Pの成長を促進して効率良く栽培をおこなうことができるものである。
【0039】
さらに、上記のような駆動部18を用いれば、アーム61a,61bが、軸ボルト60を含む略同一平面内で伸縮して天井部15を上下移動させるため、天井部15上方の懐空間を非常に薄く構成することが可能となる。また、操作ハンドル68による簡単な操作であり、微調整も容易であることから、誤って栽培植物Pを傷つけてしまうおそれが低い。
【0040】
なお、上記実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、様々な種類の植物に幅広く適用が可能であるとともに、植物の成長を促進して効率良く栽培をおこなうことができる家庭用の植物栽培装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態に係る植物栽培装置を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る植物栽培装置の全体構成を示す概略図である。
【図3】(a)実施形態に係る植物栽培装置の栽培ベッドを示す平面図、(b)同正面断面図、(c)同拡大図である。
【図4】実施形態に係る植物栽培装置の人工光源および給気部を示す正面図である。
【図5】実施形態に係る植物栽培装置の人工光源および給気部を示す側面断面図である。
【図6】(a)実施形態に係る植物栽培装置の駆動部を示す平面図、(b)同正面断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 植物栽培装置
2 箱体
3 断熱パネル
4 開閉扉
5 複層ガラス
10 栽培ベッド
11 冷蔵ユニット
12 養液ユニット
15 天井部
16 給気部
18 駆動部
25 給液管
26 排液管
30 栽培槽
30a 底面
31 植付パネル
33 流路
40 人工光源
42 傾斜壁面
43 凹部
50 ダクト
60 軸ボルト
61a,61b アーム
70 吊設部材
P 栽培植物
P’ 植物根
A 養液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移設可能な箱体をなし、該箱体の内部に所要設備が格納された家庭用の植物栽培装置であって、
栽培植物が植え付けられ、上下複数段に、且つそれぞれ略水平をなして配設保持される栽培ベッドと、
各栽培ベッドの上方に設けられ、栽培植物の成長に応じて上下に移動させられる人工光源を有する天井部と、
該人工光源と連動して上下に移動させられるとともに、該栽培ベッドに植え付けられる栽培植物および該人工光源に向けて、温度、CO濃度等が調整された空気を噴き出す噴出口を有する給気部と、を備え、
該栽培ベッドが、
上部開放箱型の栽培槽と、
該栽培槽の上部に嵌着され、該栽培槽の底面との間に、養液の流路を形成するとともに、該流路に向けて植物根が露出するようにして栽培植物を植付状態とする植付パネルと、から構成され、
該栽培ベッドに供給される養液が、該流路を通過して排出された後に循環して再利用されるとともに、該養液が、該流路に間欠的に流入するように制御されている家庭用の植物栽培装置。
【請求項2】
各天井部の上方に、該天井部を懸吊する駆動部がそれぞれ設けられ、
該駆動部が、
前後に延在して設けられる軸ボルトと、
それぞれ回動自在のくの字状に形成され、該軸ボルトに平面視菱形状をなすように螺合される左右一対のアームと、を備え、
該軸ボルトの回転に伴って、該アームが左右方向に伸縮することにより、該アームに接続される吊設部材を介して、該天井部を上下に移動自在とした請求項1記載の家庭用の植物栽培装置。
【請求項3】
該天井部に、反射性の傾斜壁面を有する凹部が形成されるとともに、該凹部に、該人工光源が配設された請求項2記載の家庭用の植物栽培装置。
【請求項4】
該箱体が、断熱パネルで被覆されるとともに、
該箱体前面の大半には、内部の該栽培ベッドに植え付けられる栽培植物を見通せる複層ガラスが嵌装される開閉扉が設けられた請求項3記載の家庭用の植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−154791(P2010−154791A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334323(P2008−334323)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【特許番号】特許第4314316号(P4314316)
【特許公報発行日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(508275537)日本グリーンファーム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】