説明

密閉容器

【課題】
本体にフタを取り付けるだけで内部を密閉可能で、しかも開封も容易な密閉容器を提供すること。
【解決手段】
本体11と、本体11上部を覆うフタ31と、で密閉容器を構成して、本体11の上部には、内板15と外板17と中板16とからなる逆U字状断面の突出体14と、この突出体14の外側を取り囲みフタ31の外縁部38を覆い隠す保護板18と、を設ける。またフタ31の外縁部38の近傍には、内板35と外板37と中板36とからなる逆U字状断面で突出体14に覆い被さる封止体34を設ける。さらに封止体34の外板37は、下すぼみ状に傾斜させて、且つ突出体14の外板17には、下方から切り欠いた欠損部20を一箇所以上設ける。封止体34の外板37が欠損部20に入り込むことで、本体11とフタ31との密閉性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産物や漬け物など、水分を多く含む食品の保管に適した密閉容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水産物や漬け物などの水分を多く含む食品は、品質の維持や取り扱い性を考慮して、出荷に先立って袋や容器に密閉されることが多い。この際、海産物を中心とする比較的高価な食品は、美感や訴求力の観点から、袋ではなく、合成樹脂製の密閉容器を使用することが多い。この密閉容器は、食品を収容するための本体と、本体上部の開口を塞ぐフタで構成され、本体上部にフタを嵌め込むことで、内部が密閉される。
【0003】
このような密閉容器は広く普及しているが、食品の流通においては、輸送時の振動や発酵による内圧の上昇など、過酷な環境に耐え抜いて内容物の品質を維持する必要があり、本体とフタとの密閉性は極めて重要である。そのため古くから様々な技術開発が進められており、その例として下記特許文献が挙げられる。特許文献1および特許文献3は、本体およびフタの外縁に逆U字状断面の凸部を形成して、本体の凸部にフタの凸部を覆い被せて双方を密着させている。また特許文献2は、本体の外縁部に二列の帯状部分を設けて、フタの外縁部に二列の環状部分を設けて、帯状部分を環状部分で挟み込むことで密閉性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−172451号公報
【特許文献2】特開2002−179112号公報
【特許文献3】特開2006−176209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
密閉容器については、前記特許文献など、様々な技術開発が進められている。しかし現在でも、本体とフタを嵌め合わせだけでは密閉性に不安が残り、本体とフタを融着させて完全に一体化するなどの対策を講じることがある。この場合、ある程度の設備投資が避けられず、しかも融着が強すぎると、開封時に本体やフタが破損してしまい、再度の密閉が困難になるなどの課題が残る。また、本体とフタの境界にシュリンクフィルムを巻き付けることも多いが、この場合も、設備投資の面や、廃棄物の増加といった課題が残る。そのため、本体とフタを嵌め合わせるだけで確実に内部を密閉可能な容器が待ち望まれている。
【0006】
密閉性以外にも、開封の際、道具を使用することなく単純な操作でフタを取り外し可能で、しかも安全面を考慮して、一度開封された後は、その事実が容易に判別できることが好ましい。そのほか利便性を考慮して、一旦開封した後も、フタを閉じると再び内部を密閉可能な構造とすべきである。
【0007】
本発明はこうした実状を基に開発されたもので、本体にフタを取り付けるだけで内部を密閉可能で、しかも開封も容易な密閉容器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、底板と該底板の外縁から立ち上がる側板とを有する本体と、該本体上部の開口を覆うフタと、を備え、前記側板の上部には、内板と外板と中板とからなる逆U字状断面で前記本体を取り囲む突出体と、該突出体の外側を取り囲み且つ前記フタの外縁部を覆い隠す保護板と、を設け、前記フタの外縁部近傍には、内板と外板と中板とからなる逆U字状断面で前記突出体に覆い被さる封止体を設け、前記封止体の外板は下すぼみ状に傾斜しており、前記突出体の外板には、下方から切り欠いた欠損部を一箇所以上設けたことを特徴とする密閉容器である。
【0009】
本発明による密閉容器は、水分を多く含む食品の小売に用いることを想定しており、本体とフタのいずれとも、合成樹脂を成形して製造され、外力が作用しない状態において、一定の形状を維持できる強度を有するものとする。本体は、内容物を載せる底板と、底板の外縁全周からほぼ垂直に立ち上がる側板などで構成されるが、その形状は、底板を丸とした円形や、底板を四角形とした角形など、自在に選択できる。ただし真上から見て角となっている箇所は、円弧状に結ぶなどの措置が必要である。
【0010】
突出体は、側板の上端に設けた逆U字状断面の部位であり、本体の上部外縁を取り囲んでいる。この突出体は、内板と外板と中板の三要素で構成され、内板は、ほぼ垂直方向に展開する面で側板の上端とつながっており、外板は、ほぼ垂直方向に展開する面で内板の外周に位置しており、中板は、ほぼ水平方向に展開する面で内板と外板の上端同士を結んでいる。なお内板と外板との間には、ある程度の距離を確保する。
【0011】
フタは、本体上部の開口を塞いで内部を密閉するためのもので、単純な平面状だが、その外縁部の近傍には、逆U字状断面でフタを取り囲む封止体を設けている。封止体は、本体の突出体と対になるもので、突出体と同様、内板と外板と中板の三要素で構成され、突出体の外側に覆い被さるような形状とする。さらに、封止体を突出体に嵌め込んだ際、双方がわずかに弾性変形する寸法として、その反力で内板同士や外板同士を密着させて、密閉性を確保する。なお突出体と封止体のいずれともU字状断面とすることで、その弾性変形が容易になるほか、接触面積も増大するため、密閉性の面で優れている。
【0012】
突出体と封止体は、いずれとも環状に形成してあり、双方を嵌め込んだ後は、本体とフタの境界が完全に塞がれる。ただしこの状態では、フタの外縁部が露出しており、この部位を押し上げると無理なくフタを取り外すことができる。保護板は、これを防止するためのもので、ほぼ垂直方向に展開する面で、本体の最も外側に位置しており、突出体の外側を取り囲んでいる。そして突出体と保護板との間にフタの外縁部を収容することで、これが覆い隠され、フタの取り外しが困難になる。なお保護板は、突出体の外板の下端とつながっている。
【0013】
フタに設ける封止体は、ほぼ逆U字状断面だが、厳密には外板をやや下すぼみ状に傾斜させるものとする。下すぼみ状とは、中板との接続点から先端側、つまり上から下に向かうに連れて、内板に接近していくことをいう。したがって封止体は、下部が狭くなった逆U字状断面となる。このように構成することで、封止体を突出体に嵌め込んだ際、封止体の外板が突出体の外板を押し込むことになり、密閉性が向上する。なお突出体の外板は、垂直方向に展開していても構わないが、封止体と同様、下すぼみ状とすることもできる。ただしこの場合、突出体の外板の傾斜角は、封止体の外板の傾斜角よりも小さくして、外板同士が確実に密着できるようにする。
【0014】
本発明は、単に封止体の外板を下すぼみ状とするだけではなく、突出体の外板の一部範囲を切り抜いた欠損部を設けたことを特徴としている。この欠損部に封止体の外板が入り込むことで、封止体が突出体を噛み込むような状態になり、一段とフタが外れにくくなる。特に容器全体がねじれた際、変位が大きくなりやすい角部に欠損部を設けることで、フタの浮き上がりを効率よく抑え込むことができる。なお欠損部の範囲を拡大すると、保護板の形成が困難になる。そのため欠損部は一箇所だけ、または角形容器の四隅など、範囲を限定する。
【0015】
欠損部は、外板の下端を起点として上方に切り欠いて形成する。また欠損部の上端は、外板のほぼ中間位置とすることもできるが、中板との接続点付近に達していても構わない。なお欠損部についても、その外側には保護板などを配置して、フタの外縁部を覆い隠す必要がある。
【0016】
請求項2記載の発明は、フタの取り外しを実現するためのもので、欠損部の外周側には、二箇所の脆弱部によって保護板から切り離し可能なツマミを設けたことを特徴とする。保護板がフタの外縁部を切れ目なく覆い隠していると、密閉容器を破損することなくフタを取り外すことは困難である。そこで、保護板の一部区間を切り離し可能なツマミとすることで、フタの取り外しを無理なく実施できるようになる。
【0017】
ツマミは、任意の位置に設けてよい訳ではなく、欠損部の外周側に設ける必要がある。しかも欠損部の全域を露出できる延長とすることが好ましい。なおツマミは、保護板と一体化しているが、ある程度の外力で保護板から分離できるよう、脆弱部を介してつながっている。脆弱部は、保護板を局地的に薄肉化するか、または上下方向にスリットを入れるなどの方法で形成する。
【0018】
ツマミは、指で押すなどの外力で本体から切り離すことができる。ツマミが切り離された後は、その範囲に限ってフタの外縁部が露出する。この露出したフタの外縁部は、欠損部に差し掛かっているため、指などでフタだけを簡単に押し上げることができ、フタの取り外しは極めて容易である。なおツマミは、一個の本体について一箇所だけでよい。
【0019】
請求項3記載の発明は、フタをより強固に保持するためのもので、封止体の外板の内面には、欠損部に入り込む凸部を設けたことを特徴とする。凸部は、フタの内周に設ける微小な張り出しであり、フタの外周方向に沿って延びている。フタを閉じた状態において、凸部が欠損部の上端付近に入り込むことで、凸部が欠損部に引っ掛かるような状態になり、フタをより強固に保持することができる。当然ながら凸部は、欠損部と対になるように配置して、その全体が欠損部に入り込むようにする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明のように、本体とフタで構成される密閉容器において、本体の上部外縁には、逆U字状断面の突出体を設けて、またフタの外縁部近傍には、突出体に覆い被さる逆U字状断面の封止体を設けて、封止体の外板を下すぼみ状に傾斜させて、さらに突出体の外板に欠損部を設けることで、封止体の外板が欠損部に入り込み、封止体が突出体を噛み込むような状態になる。そのため、フタが本体に引き寄せられて強固に密着して、激しい取り扱いや内圧の上昇などに耐え抜き、密閉性を維持することができる。
【0021】
本発明は、本体にフタを取り付けるだけで十分な密閉性を確保でき、本体とフタを融着させるなどの工程は不要である。そのため食品製造者などは、設備投資を抑制できるほか、シュリンクフィルムなどの包装材も簡素化でき、廃棄物の削減にも貢献する。そのほか本発明は、本体とフタとの弾性変形を利用して密閉性を確保しており、一旦開封した後も、フタを取り付けるだけで再び内部を密閉できる。
【0022】
請求項2記載の発明のように、本体の最も外側に位置する保護板には、脆弱部によって保護板から切り離し可能なツマミを設けることで、簡単な操作でフタの外縁部を露出させて、無理なくフタを取り外すことができる。なおツマミは、必ず欠損部の外周側に設けてあり、フタを取り外す際に指などを差し入れると、本体の外板と接触することなく、フタだけを押し上げ可能で、作業が極めて円滑である。しかもツマミを本体から切り離した後、本体とツマミが再び一体化することはなく、開封されたことを明確に把握でき、安全性にも優れている。
【0023】
請求項3記載の発明のように、フタの封止体の外板には、欠損部に入り込む凸部を設けることで、本体にフタを取り付けた際、凸部が欠損部に入り込み、凸部が欠損部に引っ掛かるような状態になり、フタをより強固に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による密閉容器の形状例を示す斜視図と端面図で、本体とフタが分離した状態である。
【図2】図1の密閉容器において、本体にフタを嵌め込んだ状態の斜視図と端面図である。
【図3】図2の密閉容器を開封する手順を示す斜視図である。
【図4】複数の欠損部を設けた本体を示す斜視図である。
【図5】フタの裏面に凸部を設けた形態を示す斜視図と端面図である。
【図6】突出体と封止体の断面形状例を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明による密閉容器の形状例を示している。なお図は、本体11とフタ31が分離した状態で、A−A部とB−B部の端面も示している。本体11は、ポリプロピレン樹脂を金型で一体成形したもので、平面から見て長方形状だが、各辺を緩やかな曲線として、しかも四隅を円弧状として二辺を滑らかに結んでいる。底板12は、本体11の底部を塞ぐ単純な平面状の板であり、その外縁から側板13が立ち上がっている。側板13は、底板12を取り囲む環状で、全体が下すぼみ状に傾斜しており、内容物を確実に保持する。またフタ31は、本体11の上部を覆う平面状であり、板状のスチロール樹脂をプレス加工で成形している。
【0026】
本体11とフタ31との密閉性を確保するため、本体11の上部には、突出体14を形成してあり、またフタ31の外縁部38の近傍には、封止体34を形成してある。突出体14は、内寄りで垂直に展開する内板15と、その外周で垂直に展開する外板17と、内板15と外板17の上端同士を結ぶ中板16と、からなり「B−B部の端面」のように、逆U字状の断面形状で、本体11の上部外縁を取り囲んでいる。さらに本発明では、突出体14の外側を取り囲む保護板18を設けてある。保護板18は垂直に展開しており、保護板18と外板17との下端同士を接続板19で結んでいる。
【0027】
フタ31に設けた封止体34は、本体11に設けた突出体14と対になるもので、突出体14と同様、内板35と外板37と中板36とからなる逆U字状の断面形状で、フタ31の外縁部38近傍を取り囲んでいる。封止体34は、突出体14に覆い被さることができる寸法としてあり、内板15、35同士と外板17、37同士と中板16、36同士がほぼ全周で密着することで、内部が密閉される。なお封止体34の断面形状は、全周で同一だが、突出体14の断面形状は、欠損部20を形成した箇所と他の箇所で相違している。
【0028】
突出体14の内板15と外板17は、いずれも垂直に展開しているが、封止体34については、内板35だけが垂直に展開しており、外板37は断面において、下すぼみ状に傾斜している。これは、封止体34を突出体14に嵌め込んだ際、封止体34の外板37が突出体14の外板17を押圧して、その反力で双方を密着させるためであり、封止体34の外板37は、密閉時、押し広げられるように弾性変形する。
【0029】
本発明は、単に突出体14と封止体34で内部を密閉するものではなく、突出体14の外板17の一部に欠損部20を設けたことを特徴とする。欠損部20は、文字通り外板17を切り欠いた部位だが、全周が閉じた窓状の切り欠きではなく、外板17の下端から一定の高さまでを切り欠いたものとする。欠損部20を設けることで、本体11にフタ31を取り付けた際、その中に封止体34の外板37が入り込み、封止体34が突出体14を噛み込んだ状態になる。そのため欠損部20を設けた範囲では、より強固にフタ31が本体11と一体化する。
【0030】
欠損部20は、保護板18との兼ね合いで、突出体14の一部区間だけに設ければよく、この図では、本体11の四隅のうち一箇所だけとしている。図のような長方形状の密閉容器は、全体をねじるような荷重を受けた際、変位が大きくなりやすい四隅でフタ31が浮き上がりやすくなるが、欠損部20によって、これを防止することができる。
【0031】
突出体14に封止体34を覆い被せることで内部を密閉できるが、双方は合成樹脂の弾性変形だけで密着しており、フタ31の外縁部38を指などで押し上げると、簡単にフタ31を取り外すことができる。保護板18は、これを防止するためのもので、突出体14と保護板18との間の溝状の部位に外縁部38を落とし込むことで、フタ31の取り外しを規制している。ただし開封時を考慮して、本体11の四隅のうち一箇所にツマミ23を設けている。
【0032】
ツマミ23は、保護板18の一部を切り離し可能な構造としたもので、ツマミ23の両端は、肉厚を落とした脆弱部24を介して保護板18と一体化してある。さらに、ツマミ23を設けた範囲については、接続板19も途切れている。そのため、ツマミ23に外力を加えて脆弱部24を破断すると、容易に本体11から切り離すことができ、この箇所については、フタ31の外縁部38が露出して、フタ31の取り外しが可能になる。なおツマミ23は、欠損部20の外周側に設けてあり、指などでフタ31の外縁部38を押し上げる際、本体11の外板17に接触することはない。
【0033】
ツマミ23は、フタ31の外縁部38を覆い隠すことができ、しかも本体11から切り離し可能であれば、形状は自在である。またツマミ23の両側の脆弱部24についても、片方をヒンジ状にして、開封後も本体11から離脱しない構造とすることもできる。そのほかツマミ23は、欠損部20の外周側に設ける必要があるが、それぞれの延長や位置関係については、開封作業の支障にならない範囲で自在に決めることができる。
【0034】
図2は、図1の密閉容器において、本体11にフタ31を取り付けた状態を示している。フタ31の外縁部38は、突出体14と保護板18との間の溝に嵌まり込んでおり、フタ31の取り外しは困難である。また封止体34が突出体14に覆い被さっており、しかも「D−D部の端面」のように、封止体34の外板37は、突出体14の外板17によって押し広げられており、その反力によって内板15、35同士と外板17、37同士が強く密着している。なおツマミ23を設けた箇所では「C−C部の端面」のように、封止体34の外板37が欠損部20に入り込み、封止体34が突出体14を噛み込むような状態になっており、強固な密閉性を確保している。
【0035】
図3は、図2の密閉容器を開封する手順を示している。開封の際は、まずツマミ23を上から押し下げて、本体11から切り離す。脆弱部24は、ある程度の外力で破断するよう肉厚を減少してある。ただし、輸送時や配置時などの外力で不用意に破断することのないよう、一定の強度は確保してある。実際にツマミ23を切り離した後は、上方の「ツマミを切り離した状態」のように、フタ31の外縁部38の一部が露出している。したがって、この箇所を指などで押し上げると、無理なくフタ31を取り外すことができる。
【0036】
さらにフタ31を取り外すと、下方の「フタを取り外した状態」のように、欠損部20が露出する。欠損部20を設けることで、フタ31を押し上げる際、指などが本体11の外板17に接触することなく、フタ31の外縁部38だけに接触して、作業が円滑に進行する。このように欠損部20は、フタ31の密閉性を改善するほか、開封作業の円滑化という二つの機能を兼ね備えている。なおツマミ23を設けた箇所は、接続板19も途切れており、ツマミ23と突出体14との間は開放している。
【0037】
図4は、複数の欠損部20を設けた本体11を示している。欠損部20は、保護板18の強度が確保できるならば、複数設けることも可能で、この図のように、四隅の全てに設けることもできる。この四隅の欠損部20のうち一箇所は、図1などと同様、ツマミ23と同じ位置に設けているが、他の三箇所は、その外周側を保護板18で覆い隠している。なお欠損部20と保護板18との間は、接続板19が途切れており、欠損部20の下方は解放している。
【0038】
図5は、フタ31の裏面に凸部33を設けた形態を示している。本体11とフタ31との密閉性を一段と強固にするため、フタ31の封止体34の内面を部分的に突出させた凸部33を設けることもできる。凸部33は、封止体34の外板37の内面を突出させたもので、これが欠損部20の上端付近に入り込むことで、フタ31が本体11に引っ掛かったような状態になり、フタ31が外れにくくなる。なお凸部33は、欠損部20の形状に応じた位置に設けて、全体が欠損部20に入り込む必要がある。
【0039】
図5のフタ31の凸部33は、四隅に設けてある。そのため、このフタ31と対になる本体11は、図4のように、欠損部20を四隅に設ける必要がある。なお図5の端面図は、本体11の四隅のうち、ツマミ23のない箇所を示しており、欠損部20の外側は保護板18で覆い隠されている。
【0040】
図6は、突出体14と封止体34の断面形状例を示している。本発明では、フタ31の封止体34の外板37を下すぼみ状とする必要がある。対して本体11の突出体14の外板17は、図1などに示すように、垂直としても構わない。しかし、突出体14と封止体34との密閉性を確保できるならば、この図のように、突出体14の外板17についても、下すぼみ状に傾斜させることもできる。この場合においても、密閉性を確保するため、突出体14側の傾斜角は、封止体34側よりも緩くする必要がある。
【0041】
この図の欠損部20は、突出体14のほぼ中間の高さで打ち切っており、その上には外板17が残っている。この場合でも、封止体34が突出体14を噛み込むことに変わりはなく、一定の密閉性を確保できる。そのほか、突出体14の外板17の傾斜は、欠損部20の有無に関わらず一定である。
【符号の説明】
【0042】
11 本体
12 底板
13 側板
14 突出体
15 内板(本体側)
16 中板(本体側)
17 外板(本体側)
18 保護板
19 接続板
20 欠損部
23 ツマミ
24 脆弱部
31 フタ
33 凸部
34 封止体
35 内板(フタ側)
36 中板(フタ側)
37 外板(フタ側)
38 外縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(12)と該底板(12)の外縁から立ち上がる側板(13)とを有する本体(11)と、該本体(11)上部の開口を覆うフタ(31)と、を備え、
前記側板(13)の上部には、内板(15)と外板(17)と中板(16)とからなる逆U字状断面で前記本体(11)を取り囲む突出体(14)と、該突出体(14)の外側を取り囲み且つ前記フタ(31)の外縁部(38)を覆い隠す保護板(18)と、を設け、
前記フタ(31)の外縁部(38)近傍には、内板(35)と外板(37)と中板(36)とからなる逆U字状断面で前記突出体(14)に覆い被さる封止体(34)を設け、
前記封止体(34)の外板(37)は下すぼみ状に傾斜しており、前記突出体(14)の外板(17)には、下方から切り欠いた欠損部(20)を一箇所以上設けたことを特徴とする密閉容器。
【請求項2】
前記欠損部(20)の外周側には、二箇所の脆弱部(24)によって前記保護板(18)から切り離し可能なツマミ(23)を設けたことを特徴とする請求項1記載の密閉容器。
【請求項3】
前記封止体(34)の外板(37)の内面には、前記欠損部(20)に入り込む凸部(33)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の密閉容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240699(P2012−240699A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111732(P2011−111732)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(594009151)酒井容器株式会社 (2)
【Fターム(参考)】