説明

寸法安定性の低炭水化物ペットフード

寸法安定性の低炭水化物ペットフードの製造法及び、かかる方法を使用して製造したペットフード。本ペットフードは、このフードを食べるペットで所望のレベルのケトン症を誘発させるか、または維持する。そのようなケトン症レベルを制御することによって、ペットの体重を減らし、ペットの体重管理に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2004年10月4日出願の米国特許出願第10/958,128号に優先権を主張し、且つ2003年4月2日出願の米国特許出願第10/405,742号の一部継続出願であり、これに優先権を主張する。いずれの出願の開示も本明細書中、参照として含まれる。
発明の背景
【0002】
イヌ・ネコ用のドライペットフードは主に押出によって製造されてきた。通常のスクリュー式押出機ではフード塊(food mass)が膨張するが、これを使用して押出すのに十分に可塑性の加熱フードの固まりを押出機でこねて、ダイ形状に依存して、通常、ストランド型か平坦な長方形シートに押出機から出して、一つ一つの粒に切断/成形する。このようにして、キブル(kibble)、個別の粒の乾燥飼料(dry diet)を製造する。これらのキブルは、寸法安定性であるべきである。即ち、これらは製造直後と同じ形状を維持し、そして包装される。軽く圧力をかけても、少しも自然に砕けたり細粒形を失わない。キブルの物理的及び寸法安定性は、長期間保持される。
【0003】
押出形状の物理的完全性(physical integrity)は、押出した材料の化学的性質に少なくとも一部依存する。炭水化物含有量が低いと、一般にフード組成物の約19重量パーセント(重量%)未満であると、スターチまたは穀物などの炭水化物が含まれるために通常、マトリックス形成が少ないので、押出プロセスの間のフード塊の膨張が抑えられる。通常の条件下で押し出すと、比較的低い炭水化物、高タンパク質、高脂肪フード塊は大きくは膨張しないので、一つ一つの粒子を与えるが、これは寸法安定性ではない。さらに、特に脂肪を粒子の外側にスプレーなどで添加する場合には、一つ一つの粒子は添加した脂肪を保つのが難しいことがある。そのような押出粒子は寸法安定性ではなく、特定の商業利用のためにパッケージ化できない。
【0004】
比較的少量の炭水化物、比較的高タンパク質及び脂肪含有量のペットフードは、寸法安定性である一つ一つの粒子にうまく押し出せることが判明した。これは、もっとずっと高レベルの炭水化物を含む典型的な市販のペットフードの物理的特質をもつ。さらに、脂肪吸収が問題となり得る場合には、品物のマトリックスは脂肪を吸収し、且つ保持することができる。
発明の概要
【0005】
本発明は寸法安定性の低炭水化物ペットフードの製造法を提供する。
【0006】
本発明は、フードを食べるペットでケトン症を誘発または維持し得る寸法安定性の低炭水化物ペットフードも提供する。
【0007】
さらに本発明は、フードを食べるペットの体重減少を誘発し、体重を管理する方法を提供する。
【0008】
本発明の適用可能な追加の分野については、以下に述べる詳細な説明から明らかになるだろう。詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の好ましい態様を示すものであるが、説明の目的だけのものであって、本発明の範囲を限定するものではないことは理解すべきである。
【0009】
図1は、本発明の実施において使用する延長デバイスを図式的に示すものである。
【0010】
図2は、体重管理用組成物を製造するために本発明で使用する変形ダイアセンブリを(説明の目的のために拡大した)図式的に示すものである。
発明の詳細な説明
【0011】
本発明は、寸法安定性の低炭水化物ペットフードの製造法、及びかかる方法を使用して製造したペットフードを提供する。本方法は、乾燥ベースで約19重量%未満の無窒素抽出物(nitrogen free extract)をベースとする炭水化物含有量のペットフード組成物を準備する;出口端部に高剪断ダイアセンブリを備えた押出機に前記ペットフード組成物を通して前記ペットフード組成物を供給する;高剪断でダイアセンブリを通して前記ペットフード組成物を前進させる;押出されたペットフード組成物を所望のサイズ片に切断する;及び、前記小片を乾燥して、低炭水化物の寸法安定性ペットフードを得る、各段階を含む。このペットフードは、フードを食べるペットにおいてケトン症を誘発または維持することができる寸法安定性の低炭水化物ペットフードである。ケトン症を制御することによって体重を減らすことができるので、フードを食べるペットの体重管理に役立つ。
【0012】
一態様において、寸法安定性のキブル状態の低炭水化物ペットフードを製造する方法は、乾燥ベースで約19重量%未満の無窒素抽出物をベースとする炭水化物含有量のペットフード組成物を準備する;出口端部に高剪断ダイアセンブリを備えた押出機に前記ペットフード組成物を通して前記ペットフード組成物を供給する;高剪断でダイアセンブリを通して前記ペットフード組成物を前進させて押出物を形成する;押出物を所望のキブル片に切断する;及び、前記小片を乾燥して、低炭水化物の寸法安定性ペットフードを形成する、各段階を含む。キブルは、このペットフードを食べるペットにおいてケトン症を誘発または維持することができるので、体重減少を誘発させ、体重管理に有用である。
【0013】
本発明のペットフードは、主にイヌ及びネコで有用なものである。これらのフードは高タンパク質及び高脂肪であり、タンパク質及び脂肪と比較して炭水化物が比較的少ない。得られたペットフードは、湿った塊及び/または肉汁とは対照的に乾燥している。タンパク質レベルは、最小で全組成物の約25、30または40重量%であり、最大で全組成物の約50、60または70重量%である。脂肪含有量は最小で約15、20、25または30重量%であり、約70、60、50または45重量%を超えない。無窒素抽出物(nitrogen free extract)、「NFE」をベースとする炭水化物含有量は最小で組成物の0、5または7重量%であり、最大で組成物の約22、15または10重量%である。全ての数字は乾燥物質ベースである。「常用飼料:diet」なる用語を使用する場合には、この用語は最も多く供給する食品を指すだけでなく、全部ではないがペット用栄養物は、間食(スナック)、ごちそう(トリート)またはサプリメントなどのアイテムも指す。
【0014】
炭水化物レベルが比較的低いので、タンパク質はどの供給源由来であってもよいが、低炭水化物のタンパク質供給源が特に好ましい。そのようなタンパク質供給源の例としては、ブタタンパク質単離物(isolate)、子牛タンパク質単離物などの動物性供給源、ならびに大豆タンパク質単離物、トウモロコシ・グルテン・ミールなどの植物性供給源がある。
【0015】
脂肪供給源は、ペットフードに脂肪を供給するどの供給源であってもよい。そのような供給源の例としては、牛脂、家禽脂、大豆脂、菜種油、ひまわり油、魚油、ラード及び高級ホワイトグリース(choice white grease)がある。脂肪はペットフード中に完全に配合するか、フードの外側につけるか、この二つの方法を合わせてもよい。通常、フード外側に脂肪があると、ペットが好む美味しさがアップする。
【0016】
たとえあったとしても、フードにはじめから含まれる炭水化物は殆どない。炭水化物はタンパク質などの別の供給源の一部としてフードの中に入り込むこともあるが、スターチ及び穀物などの特別に添加した炭水化物によって含まれることもある。そのような炭水化物供給源の例としては、コーンスターチ若しくは小麦スターチ若しくはその混合物などのスターチと、トウモロコシ、ソルガム、大麦、小麦、米などの50%スターチを超えてもよい穀物並びにその混合物が挙げられる。しかしながらスターチなどの特別な炭水化物供給源は必要ではない。
【0017】
非常に低い量の炭水化物を含み、寸法安定性の一つ一つの粒になった乾燥押出ペットフードの製造は、容易には完成しない。「寸法安定性」なる用語は、十分に乾燥させたときに得られた押出製品が物理的完全性をもつこと、即ち、フードがキブル、小片などの一つ一つの粒で、フードで一杯になった袋に入っているときに、その形状を簡単に失ったり、かなりの量の細粒を失ったりしないことを意味する。さらに、特に脂肪が一つ一つの粒の外側についている場合、そのようなフードは粘着性のままでその脂肪含有量を容易に保持しないことが多い。非付着性は視覚的に観察することができる。これらの問題点は、高タンパク質含有量とすることによってさらに倍加する。高タンパク質含有量である、通常使用されるタンパク質単離物、特に植物単離物(vegetable isolate)は、寸法安定性の一つ一つの粒となっているドライペットフードをうまく押出すのをさらに困難にしている。
【0018】
標準的な操作条件下、プレコンディショナーと一緒に標準的な一軸押出機を使用しても、本明細書に記載のペットフードの寸法安定性である、一つ一つの粒は得られなかった。色々検討した結果、押出機の中の剪断を大きくすると、本明細書に記載の比較的低レベル炭水化物を一緒に使用しても、寸法安定性の一つ一つの粒子に加工できたペットフードを押し出せた。高剪断によって一つ一つの粒子のペットフードを製造し、この一つ一つの粒子は、通常の剪断加工条件下で製造した一つ一つの粒子よりも密度が高い。加工時の高剪断は、たとえばカット・フライト・スクリュー(cut flight screw)、ローベロック(love lock)、及びまっすぐな畝付きライナー(straight ribbed liner)を使用するなど、種々の手段によって生み出すことができる。
【0019】
本明細書に記載のペットフード組成物の剪断を高めるもう一つの手段は、押出機の断面を覆う、または本質的に覆う金属製ベンチュリプレートを使用することによる。このベンチュリプレートは限られた数の貫通孔、好ましくは一つの貫通孔を含み、押出機バレル内の押出物の流れを制限することによって剪断を高める。ベンチュリプレート内に通して製造した一つ一つの粒子は、そのような装置を使わずに製造した粒子よりも通常、密度が大きい。これらは崩れにくいこと、及び製造後に有意量の微細粒子を形成しないという点で、寸法安定性である。
【0020】
剪断を高めるために押出プロセスでベンチュリプレートを使用することによって、特定の加工問題が解決する。第一に、この配合物はスターチが少なくなるように設計されており、押出製品の粘着性と、高剪断の非存在下では一つ一つの粒子を形成する能力とを制限する。第二に、配合物の残余は、通常、植物ベースのタンパク質であるが、これはもともと押出及び調理が非常に難しい。剪断を高めることによって、かなりの量の植物ベースのタンパク質を場合により含む寸法安定性の製品が可能である。
【0021】
本発明の方法によって低炭水化物ペットフードを製造する際に、低炭水化物寸法安定性ペットフードを製造するために選択した炭水化物、タンパク質、脂肪及び十分量のビタミンと、ミネラルとの混合物を混合し、プレコンディショナー内または混合シリンダー内でプレコンディショニングまたは湿らせて、そこで成分を水蒸気と水分と接触させる。次いで湿らされた混合物を押出機のバレル内に導入し、この押出機は一軸または二軸型押出機のいずれかであってもよく、混合物を加熱して押出製品を製造する。この押出機バレルには、押出機バレルを通して材料を前進させるために軸方向に回転する少なくとも一つのらせんスクリューが備わっている。
【0022】
好ましい処理条件は、ドライフード成分を最初にプレコンディショニングして、均一に湿らせ、材料を予熱して、本発明の装置に通すために少なくとも一部殺菌済み混合物を形成する。これに関連してこの種のプレコンディショニングは、通常、はげしく攪拌しながら水及び/または蒸気を注入することを含む。好都合には、初期成分の水分レベルは約10〜14重量%であり、プレコンディショニング後では、この水分レベルはm通常、約20〜30重量%、より好ましくは約20〜25重量%MCWB(水分量、湿潤ベース:moisture content,wet basis)レベルに上昇する。
【0023】
温度に関しては、プレコンディショナー中の混合物の温度を約160〜210°F(70〜100℃)のレベル、より好ましくは約190〜205°F(88〜96℃)に上昇させるのが好ましい。プレコンディショナー中の混合物の滞留時間は、選択した装置及び所望の混合具合に依存する。しかし、一般に、プレコンディショナー中のフード混合物の平均滞留時間は約0.5〜8分であるべきで、より好ましくは約4〜7分である。
【0024】
プレコンディショニング後、このフード混合物を押出機バレルに供給し、バレルの外側端部に向かってスクリューで運ぶ。バレル内のフード混合物温度は、通常、約165〜240°F(74〜116℃)、好ましくは約180〜240°F(82〜116℃)に保持する。
【0025】
押出機内を通過する間、フード混合物に大量の剪断と圧力をかける。押出機バレル内で達成される最大圧力条件は、通常、約250〜500psiの範囲である。スクリューのrpm(1分あたりの回転数)は、通常、250〜500rpmを変動する。またそのように通過する間、バレルを通過するフード材料に、水分を注入水(injected water)及び/または蒸気の形態で直接添加してもよい。
【0026】
押出機バレル出口を出るフード混合物は、本発明のダイアセンブリに直行し、それから、混合物は層流状態でダイプレートのオリフィスを通るストランドとして外側に押される。ついで押出物ストランドを、回転しているナイフまたは他の好適な切断手段によって、好適なサイズ片にスライスする。スライス片の水分レベルは約15〜25重量%であり、より好ましくは約18〜22重量%である。
【0027】
図1〜2を参照して、図1において押出装置10は、プレコンディショナー18の出口下に配置された入口16を備えたバレル14をもつ押出機12を含み、押出機12は、ダイアセンブリ22が取り付けられている出口20も有する。ホッパー11は、プレコンディショニング前に成分を予備混合するために備えられる。図1に示されているようにバレル14は、7つのバレル区分24、25、26、27、28、29、30を含むが、バレルの数は、本発明の理念から逸脱せずに変動することができる。このバレル区分は、押出機12のバレル14を通る細長い穴を提供するように相互接続している。材料を前進させるスクリュー(示されていない)はバレル孔で受けられ、押出機バレル14の長さの大部分に沿って互いにかみ合わされ、出口20で終端する。スクリューはフード混合物を好適な速度且つ、層流状態で、ダイアセンブリ22に、そしてダイアセンブリ22を通して供給する。図1に示されている型の押出装置10は、Wenger Manufacturing Companyより、Wenger X-135の機種が利用可能である。図1に示されているプレコンディショナー18も、Wenger Manufacturing Company製である。
【0028】
本発明のペットフード製品の製造において、成分を最初に、リボンミキサーなどのミキサーで混合し、ホッパー11に供給する。混合した成分を200〜300ポンド/分(lb/分)の速度でプレコンディショナー18に計量し、10〜40lb/分の速度でプレコンディショナーに導入する水とさらに混合する。混合物の温度は、10〜40lb/分の速度で、プレコンディショナー18に蒸気を注入することによって、周囲温度から170〜210°F(77〜100℃)に上昇させる。プレコンディショナー18内の滞留時間は、通常0.5〜3.5分である。
【0029】
一度、成分と水の混合物を押出機バレル14に導入したら、スクリューの軸回転によってバレル14の長さに沿って前進させる。混合物を順に押出機を通し、最後にダイアセンブリ22を通して前進させる。
【0030】
図2に示されているように、ダイアセンブリ22は、ベンチュリプレート36と、第一のスペーサプレート34と第二のスペーサプレート35との間にクランプで止められて平衡にかみ合わされて据え付けられたダイプレート37とからなる。これらのプレートは、上記プレートの周囲面40、41、42及び43上に形成された、通常、数字38で表されるボルト受け孔を通って伸張する、複数のボルト(示されていない)によって押出機バレル14の出口端部20上に据え付けられる。
【0031】
図2に示される第一のスペーサプレート34は、プレート34を通って伸張し、第二のスペーサプレート35の環状開口部45に直径が対応する環状開口部44をもつ。スペーサプレート34と35の環状開口部44と45の直径は、通常、約3.5〜約4.5インチであり、好ましくは約3.75〜約4.25インチである。上記のサイズは特定の押出機モデルに関しては好適であるが、サイズ及びプロセスパラメーターは、使用する押出機モデルに依存して変動し得ることは理解すべきである。
【0032】
第一のスペーサプレート34の環状開口部44は、押出物の軸に沿って安定化且つ流線化、即ち、より滑らかな流れを付与するのに十分な長さである。可塑化フード混合物の流れは、その中を進んで、フード混合物中の繊維質材料を密集した、ランダム構造の塑性状態(plastic state)に圧縮する。通常、スペーサプレート34は、そのようなフードの流れを安定化させるために、約0.25〜約1.0インチ、好ましくは約0.35〜約0.75インチの長さである。
【0033】
第一のスペーサプレート34と第二のスペーサプレート35との間に固定されたベンチュリプレート36は、プレート36のコア46の中に食い込み、その中に伸張する数字48で通常示される限られた数の貫通孔から構成される。ベンチュリプレート36のコア46の直径は、スペーサプレート34と35の環状開口部44と45の直径に対応する。
【0034】
特定の態様のもとでは、一つの貫通孔48を使用する。この貫通孔は、フード混合物が加圧下でその中を進んでいく際に、予備の接合層状配置(preliminary pieced laminar configuration)にフード構造を分離且つ配列させるのに押出軸に沿って十分な長さである。その中を流れるペットフード混合物を予備的に配列させるための貫通孔48の好適な長さは、約0.25〜約1.0インチ、好ましくは約0.3〜約0.7インチである。貫通孔のサイズ及び限られた数によって、押出機の中にペットフード組成物がより長く滞留するので、組成物にかかる剪断量が増加する。高い剪断によって、寸法安定性の一つ一つの粒が、乾燥ベースで炭水化物約19重量%未満で製造される。ベンチュリプレートを含むダイアセンブリを通って加工された一つ一つの粒の破損率は、米国特許第5,500,239号に記載のダイアセンブリに関して2.5〜9%であるのに対し、1%未満のオーダーのようである。
【0035】
スペーサプレート35の環状開口部45は、一つ一つの小片を加圧下で再形成させて、ダイプレート37のコア50の中に切り込まれた数字49により通常示されるオリフィスに塊を向けさせるために押出物の軸に沿って十分な長さである。
【0036】
ダイプレート37のダイオリフィス49は、フード製品混合物中で材料の最終的な配列を促進させるために押出物の軸に沿って十分な長さである。フード製品押出物中に配列を促進させるためのオリフィス49の好適な長さは、約0.5〜約1.5インチ、好ましくは約0.66〜約1.0インチである。示されているように実質的に丸いダイオリフィスは、約0.5〜約1.25インチ、好ましくは約1.0インチの直径である。
【0037】
オリフィス49から排出する際、ペットフードを好適な長さに切断する。ダイオリフィスは丸いものとして示されているが、ダイオリフィスの形状は、ペットフード配合物の相関変化として変動することができる。ダイオリフィス49はそれぞれ、繊維筋状ペットフード製品(fiber striated pet food product)用の所望の形状である、特定の形状であってもよい。
【0038】
好ましくは、円形のダイオリフィス49は、その中に挿入されたダイインサートをもつ。ダイインサートは製品に所望の形状を与えるように働く。ダイインサートを使用することによって、ダイプレート37は、それぞれの所望の形状に特異的に製造する必要はないが、むしろダイインサートは、それぞれの特定の形状に対して製造することができる。現在製造されているものと異なる形状が好ましい場合、ダイインサートを取り替えることができるので、ダイプレート37を交換する必要性が排除できる。
【0039】
ダイプレート37は好ましくは、さらに出口20にダイプレート37を固定するために使用し得るフランジ51を含む。フランジ51は、プレート34、35及び36と、出口20上の相補フランジの孔に相当する孔をもつのが好ましい。ボルト(示されていない)または他の慣用の固定手段は、ダイフランジ51の孔と、ダイ出口にダイプレート37を固定するための他のプレートの対応する孔の中を通って配置することができる。
【0040】
ダイプレート37のオリフィス49によって形成したフード製品のサイズは、他の因子の中でも高度な寸法安定性を得るために要求によって決定される。通常、フード片は、特に小さなペットで安心して食べるのに大き過ぎることもあることが知見された。他方、小さすぎる片では、すぐに視覚できる領域をもつペットフードで望まれる視覚的イメージを伝えないかもしれない。たとえば、約5.7〜7.3ミリメートルの長さ、約6.5〜7.5ミリメートルの幅、及び約6.5〜7.5ミリメートルの厚さのペットフード片は、ネコに好まれるようである。
【0041】
ダイアセンブリ22の部品は、ステンレススチールなどの金属などの必要な構造的完全性及び衛生的特徴を提供する任意の材料で製造することができる。材料に備わっているべき他の特性としては、熱安定性と耐蝕性、さらに、アメリカ食品医薬品局または食品との接触に関する他のそのような政府機関からの承認も有益である。
【0042】
押出物がダイプレート37のオリフィス49から排出されるにつれて、押出物33は、本発明の製品を形成するためにオリフィス49から排出されるにつれて押出物の流れをスライスするように機能する回転ナイフアセンブリなどのスライス手段(示されていない)によってフード片に形成される。
【0043】
約12〜約20インチ/秒の速度で本発明の実施に従ってダイアセンブリ22の中にフード成分の混合物を流すことによって、層流に似た状態が押出物内に作り出される。バレル区分24、25、26、27、28、29及び30を通ってフード成分の混合物が通過するにつれて、成分は混合され、加熱され、約100〜250°F(38〜121℃)、好ましくは約170〜210°F(77〜100℃)の範囲のバレル温度に暴露される。フード混合物は、約240〜320°F(116〜160℃)の温度でダイアセンブリ22を通って流れる。ダイアセンブリ22での全滞留時間は、約0.10〜約0.35秒である。
【0044】
ペットフード組成物の押出物がダイアセンブリ22を離れるとき、この押出物は約15〜約30重量%、好ましくは約17〜約24重量%の水分をもつ。押出物は、水分が急激に蒸気になるため、ダイアセンブリ22を出る際に膨潤するかもしれない。この押出物を好適な長さに切断して小片を形成し、190〜230°F(88〜110℃)のオーブン中に、15〜30分間設置して、約7〜約9%の水分まで乾燥させる。乾燥機の後、所望の製品、または本明細書中ではキブルという製品をふるいにかけて微粒子を取り除き、製品を目的の栄養分と合うように、且つ動物許容性(食味)を改善するために、追加の液体(脂肪)と乾燥成分でコーティングする。
実施例
【0045】
本発明は、好ましい態様の以下の例によって詳細に説明することができるが、これらの実施例は単に説明のためだけに含まれるものであって、具体的に示さない限り、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されよう。
【0046】
以下に記載のものは、寸法安定性の一つ一つの粒子を製造しようとする二つの例並びに成功例である。全ての実施例において、標準的なWenger X135押出機を使用した。この機械には、Acrisonフィーダーと、DDC-7プレコンディションニングシリンダーが備え付けられていた。
比較例1
【0047】
トウモロコシ・グルテン・ミール62重量%、家禽肉24重量%、大豆単離物11重量%並びにミネラル及びビタミン3重量%を含むペットフードは、以下の栄養素成分である。炭水化物は、NFEに関して表す。
【表1】

【0048】
この処方は、ベンチュリプレートを使用せずに製造した。キブルは脆かった。乾燥キブルの10〜25%が壊れたので、販売し難い。この製品は、冷却器から包装ラインへの過酷な取り扱いに耐えるに十分な強度ではないだろう。脂肪の約2〜10%はキブル内に残留しないので、脂肪吸収は問題であった。
比較例2
【0049】
トウモロコシ・グルテン・ミール51重量%、家禽肉29重量%、ブタタンパク質単離物12重量%、乾燥タマゴ2重量%、ビタミン5重量%、並びにミネラル、他の栄養素を含むペットフードは、以下の栄養素成分であった。
【表2】

【0050】
この処方は、ベンチュリプレートを使用せずに製造した。キブルは脆く、壊れたものは10%を超えた。脂肪の約2〜5%はマトリックスに結合しなかったので、脂肪吸収は課題であった。
実施例1
【0051】
比較例2と同じペットフードを、0.35インチ開口部と直径5.65インチのベンチュリプレート(Wenger,Part No.28299-3)の存在下で加工した以外には、同一操作条件下で製造した。5%未満の微粒子の丈夫なキブルが製造した。全脂肪の1%未満が製品から失われたので、このキブルには脂肪吸収問題がなかった。
【0052】
上記のごとく、寸法安定性の低炭水化物ペットフードの製造法に加えて、本組成物は、体重減をもたらすケトン症を誘発することが知見された。28日間の研究によって、体重減の間に32匹の肥満ネコで糖尿病性ケトン症を誘発するための種々のレベルの炭水化物NFE(14.2,16.9,18.6及び21.6%)の表1に示された四種類の乾燥配合物の効能を評価した。以下の表2に示されているように、ネコが1週間あたり初期体重の1.00%の速度で平均して体重が0.243kg減ったという点で、肥満ネコで体重を減らすのに有効であった。研究の0日、14日及び28日目で、ベータ−ヒドロキシブチレート(BHBA)の血漿レベルを分析した。ドライフードを与えられたネコは、研究の開始時には少しケトン性であり、これらのネコは、初期値と比較したときに、実験14日目でケトン症を維持した。NFEベースで21.6%未満の炭水化物を含むドライフードを与えたネコでの研究の開始時のレベルと比較したときに、研究完了時のBHBAレベルは高いままであった。この研究では、高タンパク質、低炭水化物、中程度の繊維質ドライフードを与えた肥満ネコは、効果的なレベルで体重が減少し、食事NFEレベルが約19%以下であるとき、食事療法によるケトン症(dieraty ketosis)が維持された。21.6%のNFEレベルのドライフードを与えたネコは、以下の表3に示されているように28日間の研究の完了時でケトン症を維持することができなかった。全てのフードは、血漿化学パラメーターの変化が十分にないことをベースとして安全であるとみなされた。
【表3】

【表4】

【表5】

【0053】
本発明の記載は、単なる例示であるので、本発明の主旨を逸脱しない変形が本発明の範囲内で考えられよう。そのような変形は本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものとはみなさない。
【0054】
本明細書中に記載の全ての特許、特許出願、及び刊行物は、現在の発明と共に使用されるかもしれない、本明細書に開示の化合物、プロセス、技術、手順、物品および他の組成物について記述及び開示する目的に関し法律が許す範囲で参照として本明細書中に含まれる。しかしながら、本明細書のいかなるものも、本発明が、先の発明によるそのような開示に先行する権利が与えられないと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の実施において使用する延長デバイスを図式的に示すものである。
【図2】図2は、体重制御用組成物を製造するために本発明で使用する変形ダイアセンブリを(説明の目的のために拡大した)図式的に示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品の製造法であって、
乾燥ベースで約19重量%未満の無窒素抽出物をベースとする炭水化物含有量のペットフード組成物を準備する;
出口端部に高剪断ダイアセンブリを備えた押出機に前記ペットフード組成物を通して前記ペットフード組成物を供給する;
高剪断でダイアセンブリを通して前記ペットフード組成物を前進させる;
押し出されたペットフード組成物を所望のサイズ片に切断する;及び
前記小片を乾燥して、低炭水化物の寸法安定性ペットフードを得る、各段階を含む前記方法。
【請求項2】
前記高剪断ダイアセンブリがベンチュリプレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベンチュリプレートが、一つの貫通孔を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記貫通孔が約0.5〜約1.25インチ(1.27〜約3.18cm)の平均直径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記貫通孔が約1.0インチ(2.54cm)の平均直径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記高剪断ダイアセンブリがさらに、第一のスペーサプレートにして、押出機に一方の側が取り付けられ、ベンチュリプレートにもう一方の側が取り付けられた前記第一のスペーサプレート;第二のスペーサプレートにして、前記ベンチュリプレートの、前記第一のスペーサプレートが取り付けられた側とは反対側に取り付けられた、前記第二のスペーサプレート;及びペットフードを成形するためのオリフィスを含むダイプレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品が脂肪を保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフードが脂肪でコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフード中の低炭水化物含有量が、乾燥ベースで約19重量%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品が、
約25〜約70重量%の範囲のタンパク質含有量;
乾燥ベースで約15〜約70重量%の範囲の脂肪含有量;及び
全て乾燥ベースで約14重量%〜約19重量%の範囲の無窒素抽出物ベースの炭水化物含有量
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ペットフードが、このペットフードを食べるペットにおいてケトン症を誘発または維持することができる、請求項1に従って製造した寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品。
【請求項12】
寸法安定性のキブルの形状で低炭水化物ペットフードを製造する方法であって、
乾燥ベースで約19重量%未満の無窒素抽出物ベースの炭水化物含有量のペットフード組成物を準備する;
押出機の出口端部に高剪断を誘発させる手段をもつ押出機に前記ペットフード組成物を通して供給する;
前記出口端部でダイアセンブリに通して高剪断で前記ペットフード組成物を前進させて押出物を形成する;
前記押出物を所望のサイズのキブル片に切断する;及び
前記小片を乾燥して寸法安定性のキブルを形成する、各段階を含む、前記方法。
【請求項13】
高剪断を誘発させる手段が、押出機内にペットフード組成物を維持するためのベンチュリプレートを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベンチュリプレートがダイアセンブリの一部である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ベンチュリプレートが一つの貫通孔を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ダイアセンブリがさらに、第一のスペーサプレートにして、一方は押出機に取り付けられ、他方はベンチュリプレートに取り付けられている前記第一のスペーサプレート;第二のスペーサプレートにして、前記ベンチュリプレートの、前記第一のスペーサプレートが取り付けられた側とは反対側に取り付けられた、前記第二のスペーサプレート;及びペットフードを成形するためのオリフィスを含むダイプレートを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品が脂肪を保持する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品が脂肪でコーティングされる、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記寸法安定性の低炭水化物ペットフード製品が、
約25〜約70重量%の範囲のタンパク質含有量;
乾燥ベースで約15〜約70重量%の範囲の脂肪含有量;及び
全て乾燥ベースで約14重量%〜約19重量%の無窒素抽出物ベースの炭水化物含有量
を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記ペットフードが、そのペットフードを食べるペットにおいてケトン症を誘発または維持することができる、請求項12に従って製造した寸法安定性キブルの形状の低炭水化物ペットフード。

【公表番号】特表2008−515429(P2008−515429A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535769(P2007−535769)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/035769
【国際公開番号】WO2006/047051
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】