寸法測定方法及び寸法測定装置
【課題】 測定対象物及び該測定対象物の面上に配置された基準長を示す基準尺を含む1つの画像から前記測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置を提供する。
【解決手段】 直方体形状の測定対象物1及び該測定対象物1の面上に予め配置された基準長を示す基準尺2を含む画像を撮像する撮像手段20と、該撮像手段20により撮像された前記画像から前記測定対象物1の頂点及び前記基準尺2を抽出する画像処理手段と、抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物1の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺2を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物1の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備える寸法測定装置100。
【解決手段】 直方体形状の測定対象物1及び該測定対象物1の面上に予め配置された基準長を示す基準尺2を含む画像を撮像する撮像手段20と、該撮像手段20により撮像された前記画像から前記測定対象物1の頂点及び前記基準尺2を抽出する画像処理手段と、抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物1の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺2を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物1の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備える寸法測定装置100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物を撮像した画像から測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法及び寸法測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宅配便等で荷物を送る場合、その配送料金は、当該荷物の重量と共に荷物の長さ、幅、高さを合計した値により決定される場合が多い。そのために、通常の宅配便等の荷物の配送を受付ける業務においては、荷物の長さ、幅、高さの寸法を測定するために、巻尺や定規等を使用して、3方向の長さを測定している。しかしながら、巻尺や定規等を使用する場合、3方向の長さを手作業で測定しなければならないため、測定作業に時間を要するという問題がある。
【0003】
そこで、上記の問題を解決するために、特許文献1では、予め一辺の長さが既知の正方形のコードを備えた表示媒体が面上に印刷された荷物を前記表示媒体が印刷された面を含む方向から撮影した第1の画像及び前記荷物の他の面を含む方向から撮影した第2の画像から荷物の立体寸法を算出する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、予め長さ方向、幅方向、高さ方向の3方向の長さが既知の立体形状のマーカを寸法測定の対象となる貨物の角に取り付け、マーカが取り付けられている貨物の角を含む画像を撮影し、前記マーカの長さに基づいて貨物の各辺の寸法を求めている。
【特許文献1】特開2003−303222号公報
【特許文献2】特開2002−286420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、荷物の寸法を測定するために、表示媒体が印刷された面及び他の面を撮影した2つの画像が必要となる。そのため、カメラを移動させて2回撮影を行うか、予め2台のカメラを設置しておく必要がある。また、測定精度を上げるために、夫々の面の真正面から撮影する必要がある。更に又、正方形のコードを備えた表示媒体を予め荷物に印刷しておかなければならないという手数を要する。
【0006】
特許文献2では、貨物の各辺の寸法を測定するために、マーカは、長さ、幅、高さの三方向の長さが既知である必要がある。また、マーカは、貨物の角に合わせて取り付けられる必要がある。そのため、マーカを配置する位置は、限定されることになり、マーカの位置がずれた場合には、貨物の各辺の正確な寸法を測定することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に配置された基準長を示す基準尺を含む1つの画像から前記測定対象物の各辺の寸法を測定することができる寸法測定方法及び寸法測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る寸法測定方法は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に基準長を示す基準尺を配置し、前記測定対象物及び前記基準尺の全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出し、抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴としている。
【0009】
また、基準尺として、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えているもの又は寸法が既知のパターンを備えているものを用いることができる。
【0010】
また、本発明に係る寸法測定方法は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に寸法が既知の基準パターンを投影し、前記測定対象物及び前記基準パターンの全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出し、抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴としている。
【0011】
本発明に係る寸法測定装置は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に予め配置された基準長を示す基準尺を含む画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出する画像処理手段と、抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
また、基準尺として、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えているもの又は寸法が既知のパターンを備えているものを用いることができる。
【0013】
また、本発明に係る寸法測定装置は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、寸法が既知の基準パターンを投影する投影手段と、前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に前記投影手段により投影された前記基準パターンを含む画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出する画像処理手段と、抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
また、前記投影手段として、複数のレーザ光を平行に照射するものを用いることができる。
【0015】
また、前記寸法測定装置において、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記画像から前記測定対象物を指定する指定手段と、を更に備えることもできる。
【0016】
また、前記撮像手段として、CCDカメラ又はCMOSカメラを用いることができる。また、CCDカメラは、1次元バーコード及び/又は2次元バーコードを読取る機能を有することが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る寸法測定方法では、宅配便等の荷物の配送料金を決定するために、荷物の各辺の寸法を測定する際、当該荷物が直方体形状の測定対象物であれば、荷物の面上又は荷物の面の延長平面上に基準長を示す基準尺を配置し、荷物及び前記基準尺の全体が収まり、且つ、前記荷物の2つ以上の面が写るように撮影した1つの画像から、前記荷物の各辺の寸法を測定することができる。そのため、荷物の長さ方向、幅方向、高さ方向に関して、それぞれ一方向ずつ測定する必要がなく、1つの画像から荷物の各辺の寸法を測定することができるので、作業効率を格段に向上させることができる。また、基準尺は、荷物の面上又は荷物の面の延長平面上であれば、どのような方向に配置しても良いので、基準尺の配置位置等を気にすることなく、簡易な作業で荷物の各辺の寸法を測定することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、基準尺が、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えるものであれば、各マーカ間の距離を利用することにより、測定対象物の各辺の寸法を測定することができる。
【0019】
また、基準尺は、寸法が既知のパターンを備えるものでも良く、例えば、宅配物の送り状等のように寸法が予め決まっているものをパターンとして利用することにより、測定対象物の各辺の寸法を測定することもできるので、より作業効率を向上させることができる。
【0020】
また、寸法が既知の基準パターンを測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に投影する場合も、基準尺を配置する場合と同様に、測定対象物及び前記基準パターンの全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影した1つの画像から、前記測定対象物の各辺の寸法を測定することができるので、寸法測定の作業効率を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る寸法測定装置によれば、撮像手段により測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に予め配置された基準尺を含む画像を撮像すれば、測定対象物の各辺の寸法を算出することができるので、寸法測定の作業を効率良く行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る寸法測定装置によれば、撮像手段により測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に投影手段により投影された前記基準パターンを含む画像を撮像すれば、測定対象物の各辺の寸法を算出することができるので、寸法測定の作業を効率良く行うことができる。
【0023】
また、前記寸法測定装置において、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記画像から前記測定対象物を指定する指定手段と、を更に備えることにより、画像を撮像する環境や背景等の影響により画像処理手段による測定対象物の抽出が行えない場合でも、測定者が表示手段に表示された画像から測定対象物を指定することができる。これにより、測定者が測定対象物を判断できる程度の画像であれば、画像処理手段により測定対象物の頂点が抽出できなかった場合でも、測定対象物の各辺の寸法を算出することが可能になる。
【0024】
また、撮像手段として、1次元バーコード及び/又は2次元バーコードを読取る機能を有するCCDカメラを用いることにより、例えば、1次元バーコード又は2次元バーコードに測定対象物に関する情報を予め格納し、該測定対象物に貼付しておけば、CCDカメラからその情報を読取ることで、測定対象物の種類等を把握することも可能となる。また、CCDカメラの撮像機能を共有することにより、ハード機能を単純化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施形態に係る寸法測定方法及び寸法測定装置について、図面に基づき説明する。本発明の第1の実施形態に係る寸法測定装置100は、測定対象物となる略直方体形状の荷物1の各辺の寸法を測定するためのものであり、図1に示すように、荷物1を撮像するための撮像手段20と、該撮像手段20に接続されたコンピュータ30を備えている。
【0026】
図2に示すように、コンピュータ30は、制御部(CPU:Central Processing Unit)31、入出力インタフェース32、画像処理部(画像処理手段)33、操作部34、表示部35、画像メモリ36、RAM(Random Access Memory)37、及びROM(Read Only Memory)38等を備えたものであって、各部31〜38はバス39を介して通信可能に接続されている。
【0027】
撮像手段20は、測定対象物となる荷物1等の画像を撮像するものであり、CCDカメラ20により構成されている。具体的には、2次元にCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)画素が配置されたCCDセンサを用いたデジタルカメラ或いはデジタルビデオカメラ等から成る。CCDカメラ20で撮像された画像は、入出力インタフェース32を介してコンピュータ30に自動的に取込まれ、画像処理部33に出力される。尚、撮像手段20は、CCDカメラ20に限定されるものではなく、CMOSカメラ或いはその他の撮像素子を備えるものを用いることも可能である。
【0028】
制御部31は、ROM38に予め格納されている制御プログラムに従って寸法測定装置100を構成する各部の動作の制御や後述する画像処理部33での所定の画像処理により得られる画像処理データ及びRAM38に予め格納されているデータに基づいて、荷物1の各辺の寸法を算出する処理(寸法算出手段31a)等を行う。
【0029】
入出力インタフェース32は、各種データのやり取り等を行うためのものであり、CCDカメラ20で撮像された画像等は、この入出力インタフェース32を介して、コンピュータ30に取込まれる。
【0030】
画像処理部33は、CCDカメラ20から出力された画像に対して所定の画像処理を行う。CCDカメラ20は、レンズ歪み等の各種の幾何学的な歪みにより生じる画像のゆがみ等、一定固有の特性を有しており、これらの特性を校正するための内部パラメータがRAM37に格納されている。画像処理部33では、計測精度を向上させるために、CCDカメラ20から出力された画像に対して、CCDカメラ20の内部パラメータに基づいて、レンズ歪みの補正処理を行った画像処理データ等を生成する。
【0031】
操作部34は、各種の設定等を行うためのものであり、例えば、後述する図1に示す基準尺2の長さのデータ等をRAM37に書込む作業等の所定の入力を行うことができる。表示部35は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathod Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置から構成されており、CCDカメラ20により撮像された画像や荷物1の各辺の寸法を算出した結果等を表示する。
【0032】
画像メモリ36は、CCDカメラ20により撮像された画像や画像処理部33にて画像処理された画像処理データ等を格納する。
【0033】
RAM37は、寸法測定装置100の処理動作に用いる設定データや動作データ等の各種データを読出し及び書込み可能な状態で格納するメモリであり、例えば、CCDカメラ20の内部パラメータや寸法を算出する際に用いる基準尺2の長さを示すデータ等を格納している。
【0034】
ROM38は、制御部31により寸法測定装置100を構成する各部の動作を制御するための各種プログラムを格納するメモリであり、荷物1の各辺の寸法を算出するためのプログラム等を格納している。
【0035】
本実施形態に係る寸法測定方法は、このような寸法測定装置100によって、測定対象となる荷物1の各辺の寸法を測定するものである。尚、荷物1は、図1に示すように立方体を含む直方体形状で形成されるものである。
【0036】
まず、荷物1の各辺の寸法を測定する際、測定者は、図1に示すように、荷物1の上面4に2つのマーカ3をそれぞれ両端付近に備える基準尺2を配置する。この際、測定者は、基準尺2を上面4の辺と平行になるように配置する必要はなく、図1に示すように上面4上の任意の位置に基準尺2を配置することができる。以下、寸法測定装置100を用いて実行される寸法測定方法の流れについて図4のフローチャートを用いて説明する。尚、寸法測定装置100が行う以下の処理動作は、ROM38に格納されるプログラムに基づいて、制御部31が発行する命令に従って、行われるものである。
【0037】
S1では、測定者は、CCDカメラ20により荷物1及び上面4に配置された基準尺2の全体が収まり、且つ、荷物1の少なくとも2つの面が写る方向から撮像する。尚、撮像された画像は、表示部35で確認することができ、撮像された画像に荷物1の全体が収まってない場合や荷物1の面が1つしか写っていない場合等は、再びCCDカメラ20により画像を撮像する。
【0038】
図3に示すように、CCDカメラ20により撮像された画像が、荷物1及び上面4に配置された基準尺2の全体が収まり、且つ、荷物1の2つ以上の面を含むものであれば、その画像をコンピュータ30の画像処理部33に出力する。尚、ここでは、図3に示すように、荷物1の上面4、正面5、側面6の3つの面を含む画像を例に説明する。
【0039】
次に、S2では、画像処理部33が、図5に示すようにCCDカメラ20で撮像された画像から背景部分と荷物1の境界線、荷物1の内部輪郭線、及び基準尺2に備えられた2つのマーカ3の射影点Q1,Q2を抽出する。そして、画像処理部33は、抽出された境界線及び内部輪郭線のそれぞれの交点を抽出することにより荷物1の頂点P1〜P7を抽出する。尚、図5では、画像平面Iに射影された荷物1の7個の頂点P1〜P7全てを抽出した例を示しているが、全ての頂点を抽出する必要はなく、後述するように画像の主点座標及びCCDカメラの焦点距離が分かっている場合には、荷物1の1つの面に属する3個の頂点と他の面に属する1個の頂点を合わせた4個の頂点のみを抽出すれば良い。
【0040】
そして、S3では、S2で抽出された荷物1の頂点P1〜P7の2次元座標を基に制御部31の寸法算出手段31aが、図3に示す荷物1の3次元空間における3次元位置・姿勢及び寸法等のパラメータを算出する。
【0041】
具体的に寸法算出手段31aでは、図3に示すように、ワールド座標系の原点(0,0,0)を荷物1の中心に設定し、荷物1の長さ方向、幅方向、高さ方向にそれぞれX軸、Y軸、Z軸を設定する。そして、荷物1の長さを2L、幅を2W、高さを2Hと設定すると、3次元空間における荷物1の8個の頂点は、図3に示すようにそれぞれ(L,W,H)、(−L,W,H)、(L,−W,H)、(−L,−W,H)、(L,W,−H)、(L,−W,−H)、(−L,W,−H)、(−L,−W,−H)の3次元座標として表される。
【0042】
そして、CCDカメラ20と荷物1との間を回転行列Rと並進ベクトルtで座標変換できるとすると、荷物1の頂点が画像平面I上に射影したときの画像座標、つまり画像平面I上のP1〜P7の2次元座標ui,νiは、数式(1)に示す射影方程式で表される。但し、数式(1)におけるnは画像平面I上における荷物1の頂点の数、fはCCDカメラ20の焦点距離、u0,ν0は画像の主点座標、XiはL,W,Hで表される荷物1の頂点座標ベクトル、t1,t2,t3は並進ベクトルt=[t1,t2,t3]Tの3成分、r1,r2,r3は回転行列R=[r1,r2,r3]Tの3個の行ベクトルである。尚、頂点座標Xi,並進ベクトルt,回転行列Rは、それぞれ荷物1の寸法を表すパラメータ、荷物1の3次元位置を表すパラメータ、荷物1の姿勢を表すパラメータである。
【数1】
【0043】
数式(1)における未知パラメータは、焦点距離f、画像の主点座標u0,ν0、荷物1の頂点座標ベクトルXiに含まれる3個のパラメータL,W,H、CCDカメラと荷物の間の変換を表す並進ベクトルt及び回転行列Rの6個のパラメータである。つまり、数式(1)には、合計12個の未知パラメータが含まれている。一方、数式(1)により、画像平面I上に射影された荷物1の1個の頂点につき2個の射影方程式が得られる。従って、荷物1の6個の頂点を用いれば、計12個の射影方程式が得られるので、この射影方程式を解くことにより、12個の未知パラメータの解を得ることができる。
【0044】
尚、上記では、未知パラメータを12個としているが、画像の主点座標u0,ν0が、既知の場合には、未知パラメータは10個になる。また、焦点距離fが既知である場合には、未知パラメータは9個に減るが、3次元空間における距離に対する実空間における距離の比率である空間のスケールを任意とすることができるので、独立変数は8個になる。その場合は、荷物1の4個の頂点の座標を用いることにより、8個の射影方程式が得られるので、この射影方程式を解くことにより8個の未知パラメータの解を得ることが可能である。但し、荷物1の1つの面に属する4個の頂点だけでは、求まらない寸法があるため、少なくとも荷物1の1つの面に属する3頂点と他の面に属する1頂点を合わせた4頂点の座標を用いることが必要である。
【0045】
また、数式(1)を変形すると、数式(2)が得られる。但し、siは、荷物1の各頂点の奥行を示す未知パラメータである。数式(2)の頂点座標Xiに数式(1)の射影方程式を解くことにより得られたL,W,Hをそれぞれ代入することにより、siを直接解くことができる。尚、数式(3)の逆射影誤差Cを最小化する方法で未知パラメータを求めることもできる。
【数2】
【数3】
【0046】
数式(1)、(2)、(3)においては、3次元空間における距離に対する実空間における距離の比率である空間のスケールは決定できない。なぜなら、数式(1)の分子と分母をともに拡大又は縮小しても、画像平面Iに射影された画像座標は変わらないためである。従って、空間のスケールを別途求める必要がある。そこで、S4では、空間のスケールを求める。具体的にS4では、寸法算出手段31aは、S3で得られた荷物1の頂点の3次元座標から、荷物1の各面の方程式を求める。例えば、荷物1の座標系における上面と底面の平面方程式は、それぞれ数式(4)のように表される。また、厚みTを有する基準尺2が配置される場合、平面方程式は数式(5)のように表される。尚、基準尺2が用紙等の非常に薄い素材から成る場合には、T=0として扱うこともできるが、ここでは、基準尺2の厚みTは分かっているものとして説明する。
【数4】
【数5】
【0047】
数式(5)をカメラ座標系Xcに変化すると、数式(6)のように表される。但し、cは回転行列Rの3列目のベクトルを表している。
【数6】
【0048】
そして、図6に示すように、焦点Fと2つのマーカ3の画像平面I上の射影点Q1(q1u,q1ν)、Q2(q2u,q2ν)とを結ぶ2本の直線l1,l2を引き、3次元空間における荷物1の上面4との交点R1,R2を求めることにより、マーカ3のそれぞれの3次元座標を得る。この場合、カメラ座標系Xcでは、焦点と画像平面I上の1点を結ぶ直線の式は、数式(7)で表される。但し、sは未知のパラメータである。従って、2本の直線l1,l2の式は、以下の数式(8)のように表される。但し、sq1,sq2は未知のパラメータである。そして、この数式(8)と数式(6)に示す荷物1の上面4の平面を表す方程式cT(Xc−t)=H+Tから3次元空間におけるマーカ3のそれぞれの3次元座標が求められる。このようにして求められたマーカ3のそれぞれの3次元座標からマーカ3間の距離dを求める。そして、予めRAM37に格納されている実空間におけるマーカ3間の距離Dとの比率(D/d)を計算することにより空間のスケールを算出する。
【数7】
【数8】
【0049】
S5では、S4で得られた空間のスケール(D/d)を全ての3次元座標に乗ずることにより、実空間上の寸法における荷物1の各頂点の3次元座標及び各辺の寸法を算出する。
【0050】
S6では、S5で得られた荷物1の各辺の寸法を表示部35に出力する。このようにして、寸法測定装置100は、CCDカメラ20により撮像された1つの画像から荷物1の各辺の寸法を算出することができる。これにより、寸法測定装置100を用いれば、宅配便等の配送料金を決定するために、荷物1の各辺の寸法を測定する際、荷物1の長さ方向、幅方向、高さ方向に関して、それぞれ一方向ずつ測定する必要がなく、1つの画像から荷物1の各辺の寸法を測定することができるので、作業効率を格段に向上させることができる。尚、ここでは、図3に示すように、荷物1の上面4、正面5、側面6の3つの面を含む画像を例に説明したが、基準尺2が配置されている上面4を含む2つの面が写っている画像であれば、荷物1の頂点を6個抽出することできるので、荷物1の各辺の寸法を算出することは可能である。
【0051】
以上の説明では、CCDカメラ20により撮像された画像から自動的に測定対象物である荷物1の各辺の寸法を算出する流れについて示したが、図4に示す画像処理部33によるS2での処理において、撮像された画像から画像処理部33が、荷物1の頂点を抽出できなかった場合には、表示部35に撮像された画像を表示するとともに、操作部34から測定対象物の頂点を指定する構成を採るようにしても良い。
【0052】
この場合、S2の処理において、画像処理部33による荷物1の頂点の抽出ができないと判断した場合には、CCDカメラ20により撮像された画像を表示部35に表示する。そして、表示部35に表示された画像から測定対象物である荷物1の頂点を測定者が、操作部34により指定する。具体的には、例えば、画像処理部33による荷物1の頂点の抽出ができないと判断された場合は、表示部35に表示された画像上にポインタを表示するように設定する。そして、測定者は、ポインタをマウス(登録商標)等のポインティングデバイスにより操作し、荷物1の頂点にポインタを合わせて指定する。これにより、荷物1の頂点を示す指定信号が生成される。
【0053】
測定者は、荷物1の各辺の寸法を算出するのに必要な数の頂点を指定し終えると、操作部34により指定の終了を決定する。このようにして得られた画像上の荷物1の頂点を示す指定信号は、画像処理部33へ送られる。そして、画像処理部33は、送られた指定信号が示す画像上の点を荷物1の頂点と判断する。これにより、荷物1の頂点が抽出されたものと判断され、その後、図4に示すS3以降の処理を行う。尚、画像処理手段33が、荷物1の上面4に配置される基準パターン2に備えられたマーカ2の射影点Q1,Q2も抽出できない場合には、操作部34によりマーカ2の射影点Q1,Q2も指定できるように構成しても良い。
【0054】
以上のような構成を備えることにより、例えば、撮像する環境の影響により画像処理部33が、撮像された画像から荷物1の頂点を抽出できなかった場合でも、測定者が表示部35に表示された画像から荷物1の頂点を操作部34により指定することで、荷物1の各辺の寸法を算出することが可能になる。尚、画像処理部33が、荷物1の頂点を抽出できた場合には、操作部34による指定を省くように構成しても構わない。また、画像処理部33が、荷物1の頂点を抽出できなかった場合には、その旨を表示部35に表示したり、不図示のスピーカー等によりエラーを報知するように構成することもできる。
【0055】
本実施形態では、各マーカ3間の距離dが既知のマーカ3を2つ備えた基準尺2を利用した場合を示しているが、基準尺2は、寸法が既知である四角形や三角形等のパターンを備えたものでも良い。また、パターンとして、例えば、図7に示すように、宅配便等の荷物に貼付される大きさが規定された長方形状の送り状7等を利用することも可能である。その場合には、基準尺2を配置する作業を省くこともできるので、より効率よく測定を行うことができる。
【0056】
この場合、S2の処理において、画像処理部33は、送り状7を抽出することになる。そして、S4の処理において、送り状7の大きさが既知であることを用いて、空間のスケールを求める。
【0057】
また、本実施形態では、基準尺2を荷物1の上面4に配置した例について説明したが、基準尺2は荷物1の正面5、側面6、又は荷物1が載置されている平面上に配置した場合でも同様に荷物1の各辺の寸法を算出することができる。例えば、荷物1が載置されている平面上に基準尺2を配置した場合、荷物1の底面と基準尺2が配置される平面とは、ほぼ同一平面上とみなすことができるので、S4の処理において基準尺2が配置される平面の平面方程式として数式(6)に示すcT(Xc−t)=T−Hを用いれば良い。
【0058】
また、測定対象物は、荷物1のような直方体形状のものを複数積み重ねたもの或いは複数並べて配置したものであっても良い。この場合も、以上説明した方法と同様の方法により直方体形状の荷物1が複数組み合わさって構成される測定対象物の各辺の寸法を測定することが可能である。
【0059】
次に、本発明の第2の実施形態に係る寸法測定装置100aについて説明する。図8に示すように、寸法測定装置100aの外観は、ハンディターミナル型のものであり、人の手で掴むことができる程度の大きさを有して形成されている。寸法測定装置100aは、先端部分に撮像手段として、CCDカメラ20a(不図示)を搭載している。従って、測定者は、図8に示すように寸法測定装置100aの先端を測定対象物である荷物1の方向に向けて撮影する。
【0060】
また、寸法測定装置100aの外部には、操作部34及び表示部35が設けられている。操作部34には、CCDカメラ20aの撮像開始ボタンや所定の設定を行うための複数の操作ボタンが設けられている。また、表示部35は、CCDカメラ20aで撮像した画像や寸法測定の結果等を表示するためのものであり、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)により構成されている。
【0061】
また更に、CCDカメラ20aには、図8に示す荷物1の正面5に貼付されている1次元バーコード8や2次元バーコード9を読取る機能を有している。従って、荷物1の各辺の寸法を測定するための撮像とは別に、CCDカメラ20aは、CCDカメラ方式により、これらの1次元バーコード8或いは2次元バーコード9を読取ることができる。これにより、CCDカメラ20の撮像機能を共有することで、ハード機能を単純化することができる。
【0062】
1次元バーコード8や2次元バーコード9は、荷物1に関する色々な情報を含ませることが可能である。従って、CCDカメラ20aからバーコード8,9を読取ることにより、容易に荷物1に関する情報を把握することができるので、荷物1の管理等が行い易くなる。また、バーコード8,9から読取ったデータは、表示部35に表示させるようにしても良い。
【0063】
図9は、寸法測定装置100aの構成の一例を示しており、寸法測定装置100aは、CCDカメラ20a、制御部31、入出力インタフェース32、画像処理部33、操作部34、表示部35、画像メモリ36、RAM37、ROM38等を備えている。
【0064】
尚、上記各部の機能については、第1の実施形態と同様の機能を有するものであるので、ここでは、詳細な説明は省略する。また、荷物1の各辺の寸法を算出する処理についても第1の実施形態と同様の処理を行うものである。
【0065】
本発明の第3の実施形態に係る寸法測定装置100bは、図10に示すように、荷物1を撮像するための撮像手段(CCDカメラ)20及び基準パターン10を投影する投影手段40とを備えた複合装置50と、該複合装置50に接続されたコンピュータ30から構成されている。尚、コンピュータ30については、図11に示すように、第1の実施形態と同様の構成から成るものであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0066】
投影手段40は、測定対象物となる荷物1の面上に基準パターン10を投影するためのレーザ光照射部(不図示)と荷物1の面上からの反射光を受光する受光部(不図示)を備えている。尚、基準パターン10を投影する位置は、荷物1の面の延長平面上でも良い。また、本実施形態では、スポット状の基準パターン10を投影する例を示しているが、基準パターン10の形状は、これに限定されるものではない。
【0067】
寸法測定装置100bでは、操作部34からを入力された操作に基づいて、制御部31から投影手段40に対して基準パターン10を投影するための制御信号が送られる。これにより、図10に示すように、投影手段40は、荷物1の面上に基準パターン10を投影する。尚、予め投影手段40が、基準パターン10を投影しておき、測定者が荷物1を移動させることにより、荷物1の面上に基準パターン10が投影されるようにしても良い。
【0068】
投影手段40が基準パターン10を投影する角度θは、予め操作部34で設定することができるので、図10に示す角度θは既知である。そして、投影手段40から荷物1の上面4に投影された基準パターン10までの距離A,Bは、レーザ光照射部から投影された基準パターン10の荷物1からの反射光を受光部で受光するまでの時間からそれぞれ計測することができる。従って、基準パターン10間の距離D1は、数式(9)から求めることができる。このようにして、得られた距離D1は、RAM37に格納され、荷物1の各辺の寸法を算出する際に利用される。尚、図10では、基準パターン10を上面4に対して、斜めから投影する場合を示しているが、投影手段40を上面4と平行になるように設置した場合には、距離A,Bは等しいものとして扱うことができる。
【数9】
【0069】
以下、寸法測定装置100bを用いて、荷物1の各辺の寸法を測定する寸法測定方法について説明するが、第1の実施形態と重複する処理については、詳細な説明は省略する。
【0070】
まず、測定者は、荷物1の各辺の寸法を算出するために、CCDカメラ20により荷物1及び基準パターン10の全体が収まり、且つ、荷物1の少なくとも2つの面が写る方向から撮像することにより、図12に示すような画像が得られる。得られた画像は、入出力インタフェース32を介して、画像処理部33に出力される。そして、画像処理部33では、第1の実施形態と同様に画像から荷物1の頂点及び基準パターン10を抽出する。
【0071】
抽出された荷物1の頂点の2次元座標を基に寸法算出手段31aでは、荷物1の3次元位置・姿勢及び寸法等のパラメータを算出する。そして、寸法算出手段31aは、荷物1の頂点の3次元座標から、荷物1の各面の方程式を求める。投影手段40の基準パターン10を用いた場合は、基準パターン10の厚みを考慮する必要はないので、荷物1の上面4の平面方程式である数式(6)のTを0としたcT(Xc−t)=Hを用いる。
【0072】
そして、図12に示すCCDカメラ20の焦点Fと2つの基準パターン10の画像平面I上の射影点とを結ぶ2本の直線を引き、3次元空間における荷物1の上面4との交点を求めることにより、基準パターン10のそれぞれの3次元座標を得ることができる。このようにして得られた基準パターン10のそれぞれの3次元座標から基準パターン10間の距離d1を求める。そして、予めRAM37に格納されている実際の基準パターン10間の距離D1との比率(D1/d1)を計算することにより空間のスケールを算出する。
【0073】
そして、得られた空間のスケール(D1/d1)を全ての3次元座標に乗ずることにより、実空間上の寸法における荷物1の各頂点の3次元座標及び各辺の寸法を算出し、その結果を表示部35に出力する。
【0074】
尚、投影手段40は、上記の構成に限定されるものではなく、図13に示すように、投影手段40(40a)と、CCDカメラ20をそれぞれ分けて設けても良く、投影手段40を天井等に固定しておいても良い。また、図13に示すように、投影手段40aが、平行にレーザ光A,Bを照射する2本のレーザポインタ41を備えるものであれば、投影手段40aを荷物1の上面4に向けて照射することにより、予めレーザ光A,Bの間隔D2が分かっている場合、その間隔D2を利用することにより、荷物1の各辺の寸法を算出することができる。従って、この場合には、受光部等を設けなくても良い。また、図13では、平行な2本のレーザ光A,Bが照射される場合を示しているが、レーザ光の数は、これに限定されるものでなく、夫々のレーザ光の間の距離が分かっていれば、3本以上のレーザ光を照射しても良い。
【0075】
また、図14に示すように、第2の実施形態に示したようなハンディターミナル型の寸法測定装置100cに平行なレーザ光A,Bを照射するレーザポインタ(不図示)を備えるように構成しても良い。この場合、寸法測定装置100cの先端部に備えられるCCDカメラ(不図示)の両隣に平行にレーザ光A,Bを照射するレーザポインタ等を備えるのが好適である。これにより、CCDカメラで撮像する方向と同一の方向に対してレーザ光A,Bを照射することができる。この場合も図13と同様に、レーザ光A,B間の距離D2を利用することにより荷物1の各辺の寸法を算出することができる。また、ここでは、上面4にレーザ光A,Bが照射された場合を例にしているが、レーザ光A,Bは、夫々異なる面に照射されても良い。
【0076】
また、図15に示すように、投影手段40bとして、投影する距離に関係なく、一定の長さ寸法D3を有するライン10b等を基準パターンとして投影するものを使用することも可能である。この場合、図15に示すように、投影手段40bをライン10bが投影される荷物1の上面4と平行になるように設定することにより、上面4上には投影手段40と上面4までの距離に関係なく、一定の長さ寸法D3を有するライン10bが投影されることになる。従って、ライン10bが投影された上面4を含む荷物1をCCDカメラ20により撮像することにより、以上説明した方法と同様の方法により、荷物1の各辺の寸法を算出することができる。また、基準パターンとして、ライン10bの代わりに、投影する距離に関係なく一定の直径を有するサークル或いは一定の長さ寸法を有するクロスライン等を投影しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る寸法測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】測定対象物の画像平面への射影を説明するための模式図である。
【図4】寸法測定装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】画像平面から測定対象物の頂点及びマーカを抽出する様子を示す模式図である。
【図6】空間スケールの求め方を説明するための模式図である。
【図7】測定対象物の画像平面への射影を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る寸法測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る寸法測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図12】測定対象物の画像平面への射影を説明するための模式図である。
【図13】平行するレーザ光を照射する投影手段を備えた寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図14】平行するレーザ光を照射する投影手段を備えた寸法測定装置の他の一例を示す概略説明図である。
【図15】基準パターンの例を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 荷物(測定対象物)
2 基準尺
3 マーカ
4 上面
5 正面
6 側面
7 送り状(パターン)
8 1次元バーコード
9 2次元バーコード
10、10a、10b 基準パターン
20、20a 撮像手段(CCDカメラ)
30 コンピュータ
33 画像処理部(画像処理手段)
31a 寸法算出手段
40、40a、40b 投影手段
41 レーザポインタ
100、100a、100b、100c 寸法測定装置
I 画像平面
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物を撮像した画像から測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法及び寸法測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宅配便等で荷物を送る場合、その配送料金は、当該荷物の重量と共に荷物の長さ、幅、高さを合計した値により決定される場合が多い。そのために、通常の宅配便等の荷物の配送を受付ける業務においては、荷物の長さ、幅、高さの寸法を測定するために、巻尺や定規等を使用して、3方向の長さを測定している。しかしながら、巻尺や定規等を使用する場合、3方向の長さを手作業で測定しなければならないため、測定作業に時間を要するという問題がある。
【0003】
そこで、上記の問題を解決するために、特許文献1では、予め一辺の長さが既知の正方形のコードを備えた表示媒体が面上に印刷された荷物を前記表示媒体が印刷された面を含む方向から撮影した第1の画像及び前記荷物の他の面を含む方向から撮影した第2の画像から荷物の立体寸法を算出する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、予め長さ方向、幅方向、高さ方向の3方向の長さが既知の立体形状のマーカを寸法測定の対象となる貨物の角に取り付け、マーカが取り付けられている貨物の角を含む画像を撮影し、前記マーカの長さに基づいて貨物の各辺の寸法を求めている。
【特許文献1】特開2003−303222号公報
【特許文献2】特開2002−286420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、荷物の寸法を測定するために、表示媒体が印刷された面及び他の面を撮影した2つの画像が必要となる。そのため、カメラを移動させて2回撮影を行うか、予め2台のカメラを設置しておく必要がある。また、測定精度を上げるために、夫々の面の真正面から撮影する必要がある。更に又、正方形のコードを備えた表示媒体を予め荷物に印刷しておかなければならないという手数を要する。
【0006】
特許文献2では、貨物の各辺の寸法を測定するために、マーカは、長さ、幅、高さの三方向の長さが既知である必要がある。また、マーカは、貨物の角に合わせて取り付けられる必要がある。そのため、マーカを配置する位置は、限定されることになり、マーカの位置がずれた場合には、貨物の各辺の正確な寸法を測定することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に配置された基準長を示す基準尺を含む1つの画像から前記測定対象物の各辺の寸法を測定することができる寸法測定方法及び寸法測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る寸法測定方法は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に基準長を示す基準尺を配置し、前記測定対象物及び前記基準尺の全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出し、抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴としている。
【0009】
また、基準尺として、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えているもの又は寸法が既知のパターンを備えているものを用いることができる。
【0010】
また、本発明に係る寸法測定方法は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に寸法が既知の基準パターンを投影し、前記測定対象物及び前記基準パターンの全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出し、抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴としている。
【0011】
本発明に係る寸法測定装置は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に予め配置された基準長を示す基準尺を含む画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出する画像処理手段と、抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
また、基準尺として、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えているもの又は寸法が既知のパターンを備えているものを用いることができる。
【0013】
また、本発明に係る寸法測定装置は、直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、寸法が既知の基準パターンを投影する投影手段と、前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に前記投影手段により投影された前記基準パターンを含む画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出する画像処理手段と、抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
また、前記投影手段として、複数のレーザ光を平行に照射するものを用いることができる。
【0015】
また、前記寸法測定装置において、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記画像から前記測定対象物を指定する指定手段と、を更に備えることもできる。
【0016】
また、前記撮像手段として、CCDカメラ又はCMOSカメラを用いることができる。また、CCDカメラは、1次元バーコード及び/又は2次元バーコードを読取る機能を有することが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る寸法測定方法では、宅配便等の荷物の配送料金を決定するために、荷物の各辺の寸法を測定する際、当該荷物が直方体形状の測定対象物であれば、荷物の面上又は荷物の面の延長平面上に基準長を示す基準尺を配置し、荷物及び前記基準尺の全体が収まり、且つ、前記荷物の2つ以上の面が写るように撮影した1つの画像から、前記荷物の各辺の寸法を測定することができる。そのため、荷物の長さ方向、幅方向、高さ方向に関して、それぞれ一方向ずつ測定する必要がなく、1つの画像から荷物の各辺の寸法を測定することができるので、作業効率を格段に向上させることができる。また、基準尺は、荷物の面上又は荷物の面の延長平面上であれば、どのような方向に配置しても良いので、基準尺の配置位置等を気にすることなく、簡易な作業で荷物の各辺の寸法を測定することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、基準尺が、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えるものであれば、各マーカ間の距離を利用することにより、測定対象物の各辺の寸法を測定することができる。
【0019】
また、基準尺は、寸法が既知のパターンを備えるものでも良く、例えば、宅配物の送り状等のように寸法が予め決まっているものをパターンとして利用することにより、測定対象物の各辺の寸法を測定することもできるので、より作業効率を向上させることができる。
【0020】
また、寸法が既知の基準パターンを測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に投影する場合も、基準尺を配置する場合と同様に、測定対象物及び前記基準パターンの全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影した1つの画像から、前記測定対象物の各辺の寸法を測定することができるので、寸法測定の作業効率を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る寸法測定装置によれば、撮像手段により測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に予め配置された基準尺を含む画像を撮像すれば、測定対象物の各辺の寸法を算出することができるので、寸法測定の作業を効率良く行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る寸法測定装置によれば、撮像手段により測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に投影手段により投影された前記基準パターンを含む画像を撮像すれば、測定対象物の各辺の寸法を算出することができるので、寸法測定の作業を効率良く行うことができる。
【0023】
また、前記寸法測定装置において、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記画像から前記測定対象物を指定する指定手段と、を更に備えることにより、画像を撮像する環境や背景等の影響により画像処理手段による測定対象物の抽出が行えない場合でも、測定者が表示手段に表示された画像から測定対象物を指定することができる。これにより、測定者が測定対象物を判断できる程度の画像であれば、画像処理手段により測定対象物の頂点が抽出できなかった場合でも、測定対象物の各辺の寸法を算出することが可能になる。
【0024】
また、撮像手段として、1次元バーコード及び/又は2次元バーコードを読取る機能を有するCCDカメラを用いることにより、例えば、1次元バーコード又は2次元バーコードに測定対象物に関する情報を予め格納し、該測定対象物に貼付しておけば、CCDカメラからその情報を読取ることで、測定対象物の種類等を把握することも可能となる。また、CCDカメラの撮像機能を共有することにより、ハード機能を単純化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施形態に係る寸法測定方法及び寸法測定装置について、図面に基づき説明する。本発明の第1の実施形態に係る寸法測定装置100は、測定対象物となる略直方体形状の荷物1の各辺の寸法を測定するためのものであり、図1に示すように、荷物1を撮像するための撮像手段20と、該撮像手段20に接続されたコンピュータ30を備えている。
【0026】
図2に示すように、コンピュータ30は、制御部(CPU:Central Processing Unit)31、入出力インタフェース32、画像処理部(画像処理手段)33、操作部34、表示部35、画像メモリ36、RAM(Random Access Memory)37、及びROM(Read Only Memory)38等を備えたものであって、各部31〜38はバス39を介して通信可能に接続されている。
【0027】
撮像手段20は、測定対象物となる荷物1等の画像を撮像するものであり、CCDカメラ20により構成されている。具体的には、2次元にCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)画素が配置されたCCDセンサを用いたデジタルカメラ或いはデジタルビデオカメラ等から成る。CCDカメラ20で撮像された画像は、入出力インタフェース32を介してコンピュータ30に自動的に取込まれ、画像処理部33に出力される。尚、撮像手段20は、CCDカメラ20に限定されるものではなく、CMOSカメラ或いはその他の撮像素子を備えるものを用いることも可能である。
【0028】
制御部31は、ROM38に予め格納されている制御プログラムに従って寸法測定装置100を構成する各部の動作の制御や後述する画像処理部33での所定の画像処理により得られる画像処理データ及びRAM38に予め格納されているデータに基づいて、荷物1の各辺の寸法を算出する処理(寸法算出手段31a)等を行う。
【0029】
入出力インタフェース32は、各種データのやり取り等を行うためのものであり、CCDカメラ20で撮像された画像等は、この入出力インタフェース32を介して、コンピュータ30に取込まれる。
【0030】
画像処理部33は、CCDカメラ20から出力された画像に対して所定の画像処理を行う。CCDカメラ20は、レンズ歪み等の各種の幾何学的な歪みにより生じる画像のゆがみ等、一定固有の特性を有しており、これらの特性を校正するための内部パラメータがRAM37に格納されている。画像処理部33では、計測精度を向上させるために、CCDカメラ20から出力された画像に対して、CCDカメラ20の内部パラメータに基づいて、レンズ歪みの補正処理を行った画像処理データ等を生成する。
【0031】
操作部34は、各種の設定等を行うためのものであり、例えば、後述する図1に示す基準尺2の長さのデータ等をRAM37に書込む作業等の所定の入力を行うことができる。表示部35は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathod Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置から構成されており、CCDカメラ20により撮像された画像や荷物1の各辺の寸法を算出した結果等を表示する。
【0032】
画像メモリ36は、CCDカメラ20により撮像された画像や画像処理部33にて画像処理された画像処理データ等を格納する。
【0033】
RAM37は、寸法測定装置100の処理動作に用いる設定データや動作データ等の各種データを読出し及び書込み可能な状態で格納するメモリであり、例えば、CCDカメラ20の内部パラメータや寸法を算出する際に用いる基準尺2の長さを示すデータ等を格納している。
【0034】
ROM38は、制御部31により寸法測定装置100を構成する各部の動作を制御するための各種プログラムを格納するメモリであり、荷物1の各辺の寸法を算出するためのプログラム等を格納している。
【0035】
本実施形態に係る寸法測定方法は、このような寸法測定装置100によって、測定対象となる荷物1の各辺の寸法を測定するものである。尚、荷物1は、図1に示すように立方体を含む直方体形状で形成されるものである。
【0036】
まず、荷物1の各辺の寸法を測定する際、測定者は、図1に示すように、荷物1の上面4に2つのマーカ3をそれぞれ両端付近に備える基準尺2を配置する。この際、測定者は、基準尺2を上面4の辺と平行になるように配置する必要はなく、図1に示すように上面4上の任意の位置に基準尺2を配置することができる。以下、寸法測定装置100を用いて実行される寸法測定方法の流れについて図4のフローチャートを用いて説明する。尚、寸法測定装置100が行う以下の処理動作は、ROM38に格納されるプログラムに基づいて、制御部31が発行する命令に従って、行われるものである。
【0037】
S1では、測定者は、CCDカメラ20により荷物1及び上面4に配置された基準尺2の全体が収まり、且つ、荷物1の少なくとも2つの面が写る方向から撮像する。尚、撮像された画像は、表示部35で確認することができ、撮像された画像に荷物1の全体が収まってない場合や荷物1の面が1つしか写っていない場合等は、再びCCDカメラ20により画像を撮像する。
【0038】
図3に示すように、CCDカメラ20により撮像された画像が、荷物1及び上面4に配置された基準尺2の全体が収まり、且つ、荷物1の2つ以上の面を含むものであれば、その画像をコンピュータ30の画像処理部33に出力する。尚、ここでは、図3に示すように、荷物1の上面4、正面5、側面6の3つの面を含む画像を例に説明する。
【0039】
次に、S2では、画像処理部33が、図5に示すようにCCDカメラ20で撮像された画像から背景部分と荷物1の境界線、荷物1の内部輪郭線、及び基準尺2に備えられた2つのマーカ3の射影点Q1,Q2を抽出する。そして、画像処理部33は、抽出された境界線及び内部輪郭線のそれぞれの交点を抽出することにより荷物1の頂点P1〜P7を抽出する。尚、図5では、画像平面Iに射影された荷物1の7個の頂点P1〜P7全てを抽出した例を示しているが、全ての頂点を抽出する必要はなく、後述するように画像の主点座標及びCCDカメラの焦点距離が分かっている場合には、荷物1の1つの面に属する3個の頂点と他の面に属する1個の頂点を合わせた4個の頂点のみを抽出すれば良い。
【0040】
そして、S3では、S2で抽出された荷物1の頂点P1〜P7の2次元座標を基に制御部31の寸法算出手段31aが、図3に示す荷物1の3次元空間における3次元位置・姿勢及び寸法等のパラメータを算出する。
【0041】
具体的に寸法算出手段31aでは、図3に示すように、ワールド座標系の原点(0,0,0)を荷物1の中心に設定し、荷物1の長さ方向、幅方向、高さ方向にそれぞれX軸、Y軸、Z軸を設定する。そして、荷物1の長さを2L、幅を2W、高さを2Hと設定すると、3次元空間における荷物1の8個の頂点は、図3に示すようにそれぞれ(L,W,H)、(−L,W,H)、(L,−W,H)、(−L,−W,H)、(L,W,−H)、(L,−W,−H)、(−L,W,−H)、(−L,−W,−H)の3次元座標として表される。
【0042】
そして、CCDカメラ20と荷物1との間を回転行列Rと並進ベクトルtで座標変換できるとすると、荷物1の頂点が画像平面I上に射影したときの画像座標、つまり画像平面I上のP1〜P7の2次元座標ui,νiは、数式(1)に示す射影方程式で表される。但し、数式(1)におけるnは画像平面I上における荷物1の頂点の数、fはCCDカメラ20の焦点距離、u0,ν0は画像の主点座標、XiはL,W,Hで表される荷物1の頂点座標ベクトル、t1,t2,t3は並進ベクトルt=[t1,t2,t3]Tの3成分、r1,r2,r3は回転行列R=[r1,r2,r3]Tの3個の行ベクトルである。尚、頂点座標Xi,並進ベクトルt,回転行列Rは、それぞれ荷物1の寸法を表すパラメータ、荷物1の3次元位置を表すパラメータ、荷物1の姿勢を表すパラメータである。
【数1】
【0043】
数式(1)における未知パラメータは、焦点距離f、画像の主点座標u0,ν0、荷物1の頂点座標ベクトルXiに含まれる3個のパラメータL,W,H、CCDカメラと荷物の間の変換を表す並進ベクトルt及び回転行列Rの6個のパラメータである。つまり、数式(1)には、合計12個の未知パラメータが含まれている。一方、数式(1)により、画像平面I上に射影された荷物1の1個の頂点につき2個の射影方程式が得られる。従って、荷物1の6個の頂点を用いれば、計12個の射影方程式が得られるので、この射影方程式を解くことにより、12個の未知パラメータの解を得ることができる。
【0044】
尚、上記では、未知パラメータを12個としているが、画像の主点座標u0,ν0が、既知の場合には、未知パラメータは10個になる。また、焦点距離fが既知である場合には、未知パラメータは9個に減るが、3次元空間における距離に対する実空間における距離の比率である空間のスケールを任意とすることができるので、独立変数は8個になる。その場合は、荷物1の4個の頂点の座標を用いることにより、8個の射影方程式が得られるので、この射影方程式を解くことにより8個の未知パラメータの解を得ることが可能である。但し、荷物1の1つの面に属する4個の頂点だけでは、求まらない寸法があるため、少なくとも荷物1の1つの面に属する3頂点と他の面に属する1頂点を合わせた4頂点の座標を用いることが必要である。
【0045】
また、数式(1)を変形すると、数式(2)が得られる。但し、siは、荷物1の各頂点の奥行を示す未知パラメータである。数式(2)の頂点座標Xiに数式(1)の射影方程式を解くことにより得られたL,W,Hをそれぞれ代入することにより、siを直接解くことができる。尚、数式(3)の逆射影誤差Cを最小化する方法で未知パラメータを求めることもできる。
【数2】
【数3】
【0046】
数式(1)、(2)、(3)においては、3次元空間における距離に対する実空間における距離の比率である空間のスケールは決定できない。なぜなら、数式(1)の分子と分母をともに拡大又は縮小しても、画像平面Iに射影された画像座標は変わらないためである。従って、空間のスケールを別途求める必要がある。そこで、S4では、空間のスケールを求める。具体的にS4では、寸法算出手段31aは、S3で得られた荷物1の頂点の3次元座標から、荷物1の各面の方程式を求める。例えば、荷物1の座標系における上面と底面の平面方程式は、それぞれ数式(4)のように表される。また、厚みTを有する基準尺2が配置される場合、平面方程式は数式(5)のように表される。尚、基準尺2が用紙等の非常に薄い素材から成る場合には、T=0として扱うこともできるが、ここでは、基準尺2の厚みTは分かっているものとして説明する。
【数4】
【数5】
【0047】
数式(5)をカメラ座標系Xcに変化すると、数式(6)のように表される。但し、cは回転行列Rの3列目のベクトルを表している。
【数6】
【0048】
そして、図6に示すように、焦点Fと2つのマーカ3の画像平面I上の射影点Q1(q1u,q1ν)、Q2(q2u,q2ν)とを結ぶ2本の直線l1,l2を引き、3次元空間における荷物1の上面4との交点R1,R2を求めることにより、マーカ3のそれぞれの3次元座標を得る。この場合、カメラ座標系Xcでは、焦点と画像平面I上の1点を結ぶ直線の式は、数式(7)で表される。但し、sは未知のパラメータである。従って、2本の直線l1,l2の式は、以下の数式(8)のように表される。但し、sq1,sq2は未知のパラメータである。そして、この数式(8)と数式(6)に示す荷物1の上面4の平面を表す方程式cT(Xc−t)=H+Tから3次元空間におけるマーカ3のそれぞれの3次元座標が求められる。このようにして求められたマーカ3のそれぞれの3次元座標からマーカ3間の距離dを求める。そして、予めRAM37に格納されている実空間におけるマーカ3間の距離Dとの比率(D/d)を計算することにより空間のスケールを算出する。
【数7】
【数8】
【0049】
S5では、S4で得られた空間のスケール(D/d)を全ての3次元座標に乗ずることにより、実空間上の寸法における荷物1の各頂点の3次元座標及び各辺の寸法を算出する。
【0050】
S6では、S5で得られた荷物1の各辺の寸法を表示部35に出力する。このようにして、寸法測定装置100は、CCDカメラ20により撮像された1つの画像から荷物1の各辺の寸法を算出することができる。これにより、寸法測定装置100を用いれば、宅配便等の配送料金を決定するために、荷物1の各辺の寸法を測定する際、荷物1の長さ方向、幅方向、高さ方向に関して、それぞれ一方向ずつ測定する必要がなく、1つの画像から荷物1の各辺の寸法を測定することができるので、作業効率を格段に向上させることができる。尚、ここでは、図3に示すように、荷物1の上面4、正面5、側面6の3つの面を含む画像を例に説明したが、基準尺2が配置されている上面4を含む2つの面が写っている画像であれば、荷物1の頂点を6個抽出することできるので、荷物1の各辺の寸法を算出することは可能である。
【0051】
以上の説明では、CCDカメラ20により撮像された画像から自動的に測定対象物である荷物1の各辺の寸法を算出する流れについて示したが、図4に示す画像処理部33によるS2での処理において、撮像された画像から画像処理部33が、荷物1の頂点を抽出できなかった場合には、表示部35に撮像された画像を表示するとともに、操作部34から測定対象物の頂点を指定する構成を採るようにしても良い。
【0052】
この場合、S2の処理において、画像処理部33による荷物1の頂点の抽出ができないと判断した場合には、CCDカメラ20により撮像された画像を表示部35に表示する。そして、表示部35に表示された画像から測定対象物である荷物1の頂点を測定者が、操作部34により指定する。具体的には、例えば、画像処理部33による荷物1の頂点の抽出ができないと判断された場合は、表示部35に表示された画像上にポインタを表示するように設定する。そして、測定者は、ポインタをマウス(登録商標)等のポインティングデバイスにより操作し、荷物1の頂点にポインタを合わせて指定する。これにより、荷物1の頂点を示す指定信号が生成される。
【0053】
測定者は、荷物1の各辺の寸法を算出するのに必要な数の頂点を指定し終えると、操作部34により指定の終了を決定する。このようにして得られた画像上の荷物1の頂点を示す指定信号は、画像処理部33へ送られる。そして、画像処理部33は、送られた指定信号が示す画像上の点を荷物1の頂点と判断する。これにより、荷物1の頂点が抽出されたものと判断され、その後、図4に示すS3以降の処理を行う。尚、画像処理手段33が、荷物1の上面4に配置される基準パターン2に備えられたマーカ2の射影点Q1,Q2も抽出できない場合には、操作部34によりマーカ2の射影点Q1,Q2も指定できるように構成しても良い。
【0054】
以上のような構成を備えることにより、例えば、撮像する環境の影響により画像処理部33が、撮像された画像から荷物1の頂点を抽出できなかった場合でも、測定者が表示部35に表示された画像から荷物1の頂点を操作部34により指定することで、荷物1の各辺の寸法を算出することが可能になる。尚、画像処理部33が、荷物1の頂点を抽出できた場合には、操作部34による指定を省くように構成しても構わない。また、画像処理部33が、荷物1の頂点を抽出できなかった場合には、その旨を表示部35に表示したり、不図示のスピーカー等によりエラーを報知するように構成することもできる。
【0055】
本実施形態では、各マーカ3間の距離dが既知のマーカ3を2つ備えた基準尺2を利用した場合を示しているが、基準尺2は、寸法が既知である四角形や三角形等のパターンを備えたものでも良い。また、パターンとして、例えば、図7に示すように、宅配便等の荷物に貼付される大きさが規定された長方形状の送り状7等を利用することも可能である。その場合には、基準尺2を配置する作業を省くこともできるので、より効率よく測定を行うことができる。
【0056】
この場合、S2の処理において、画像処理部33は、送り状7を抽出することになる。そして、S4の処理において、送り状7の大きさが既知であることを用いて、空間のスケールを求める。
【0057】
また、本実施形態では、基準尺2を荷物1の上面4に配置した例について説明したが、基準尺2は荷物1の正面5、側面6、又は荷物1が載置されている平面上に配置した場合でも同様に荷物1の各辺の寸法を算出することができる。例えば、荷物1が載置されている平面上に基準尺2を配置した場合、荷物1の底面と基準尺2が配置される平面とは、ほぼ同一平面上とみなすことができるので、S4の処理において基準尺2が配置される平面の平面方程式として数式(6)に示すcT(Xc−t)=T−Hを用いれば良い。
【0058】
また、測定対象物は、荷物1のような直方体形状のものを複数積み重ねたもの或いは複数並べて配置したものであっても良い。この場合も、以上説明した方法と同様の方法により直方体形状の荷物1が複数組み合わさって構成される測定対象物の各辺の寸法を測定することが可能である。
【0059】
次に、本発明の第2の実施形態に係る寸法測定装置100aについて説明する。図8に示すように、寸法測定装置100aの外観は、ハンディターミナル型のものであり、人の手で掴むことができる程度の大きさを有して形成されている。寸法測定装置100aは、先端部分に撮像手段として、CCDカメラ20a(不図示)を搭載している。従って、測定者は、図8に示すように寸法測定装置100aの先端を測定対象物である荷物1の方向に向けて撮影する。
【0060】
また、寸法測定装置100aの外部には、操作部34及び表示部35が設けられている。操作部34には、CCDカメラ20aの撮像開始ボタンや所定の設定を行うための複数の操作ボタンが設けられている。また、表示部35は、CCDカメラ20aで撮像した画像や寸法測定の結果等を表示するためのものであり、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)により構成されている。
【0061】
また更に、CCDカメラ20aには、図8に示す荷物1の正面5に貼付されている1次元バーコード8や2次元バーコード9を読取る機能を有している。従って、荷物1の各辺の寸法を測定するための撮像とは別に、CCDカメラ20aは、CCDカメラ方式により、これらの1次元バーコード8或いは2次元バーコード9を読取ることができる。これにより、CCDカメラ20の撮像機能を共有することで、ハード機能を単純化することができる。
【0062】
1次元バーコード8や2次元バーコード9は、荷物1に関する色々な情報を含ませることが可能である。従って、CCDカメラ20aからバーコード8,9を読取ることにより、容易に荷物1に関する情報を把握することができるので、荷物1の管理等が行い易くなる。また、バーコード8,9から読取ったデータは、表示部35に表示させるようにしても良い。
【0063】
図9は、寸法測定装置100aの構成の一例を示しており、寸法測定装置100aは、CCDカメラ20a、制御部31、入出力インタフェース32、画像処理部33、操作部34、表示部35、画像メモリ36、RAM37、ROM38等を備えている。
【0064】
尚、上記各部の機能については、第1の実施形態と同様の機能を有するものであるので、ここでは、詳細な説明は省略する。また、荷物1の各辺の寸法を算出する処理についても第1の実施形態と同様の処理を行うものである。
【0065】
本発明の第3の実施形態に係る寸法測定装置100bは、図10に示すように、荷物1を撮像するための撮像手段(CCDカメラ)20及び基準パターン10を投影する投影手段40とを備えた複合装置50と、該複合装置50に接続されたコンピュータ30から構成されている。尚、コンピュータ30については、図11に示すように、第1の実施形態と同様の構成から成るものであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0066】
投影手段40は、測定対象物となる荷物1の面上に基準パターン10を投影するためのレーザ光照射部(不図示)と荷物1の面上からの反射光を受光する受光部(不図示)を備えている。尚、基準パターン10を投影する位置は、荷物1の面の延長平面上でも良い。また、本実施形態では、スポット状の基準パターン10を投影する例を示しているが、基準パターン10の形状は、これに限定されるものではない。
【0067】
寸法測定装置100bでは、操作部34からを入力された操作に基づいて、制御部31から投影手段40に対して基準パターン10を投影するための制御信号が送られる。これにより、図10に示すように、投影手段40は、荷物1の面上に基準パターン10を投影する。尚、予め投影手段40が、基準パターン10を投影しておき、測定者が荷物1を移動させることにより、荷物1の面上に基準パターン10が投影されるようにしても良い。
【0068】
投影手段40が基準パターン10を投影する角度θは、予め操作部34で設定することができるので、図10に示す角度θは既知である。そして、投影手段40から荷物1の上面4に投影された基準パターン10までの距離A,Bは、レーザ光照射部から投影された基準パターン10の荷物1からの反射光を受光部で受光するまでの時間からそれぞれ計測することができる。従って、基準パターン10間の距離D1は、数式(9)から求めることができる。このようにして、得られた距離D1は、RAM37に格納され、荷物1の各辺の寸法を算出する際に利用される。尚、図10では、基準パターン10を上面4に対して、斜めから投影する場合を示しているが、投影手段40を上面4と平行になるように設置した場合には、距離A,Bは等しいものとして扱うことができる。
【数9】
【0069】
以下、寸法測定装置100bを用いて、荷物1の各辺の寸法を測定する寸法測定方法について説明するが、第1の実施形態と重複する処理については、詳細な説明は省略する。
【0070】
まず、測定者は、荷物1の各辺の寸法を算出するために、CCDカメラ20により荷物1及び基準パターン10の全体が収まり、且つ、荷物1の少なくとも2つの面が写る方向から撮像することにより、図12に示すような画像が得られる。得られた画像は、入出力インタフェース32を介して、画像処理部33に出力される。そして、画像処理部33では、第1の実施形態と同様に画像から荷物1の頂点及び基準パターン10を抽出する。
【0071】
抽出された荷物1の頂点の2次元座標を基に寸法算出手段31aでは、荷物1の3次元位置・姿勢及び寸法等のパラメータを算出する。そして、寸法算出手段31aは、荷物1の頂点の3次元座標から、荷物1の各面の方程式を求める。投影手段40の基準パターン10を用いた場合は、基準パターン10の厚みを考慮する必要はないので、荷物1の上面4の平面方程式である数式(6)のTを0としたcT(Xc−t)=Hを用いる。
【0072】
そして、図12に示すCCDカメラ20の焦点Fと2つの基準パターン10の画像平面I上の射影点とを結ぶ2本の直線を引き、3次元空間における荷物1の上面4との交点を求めることにより、基準パターン10のそれぞれの3次元座標を得ることができる。このようにして得られた基準パターン10のそれぞれの3次元座標から基準パターン10間の距離d1を求める。そして、予めRAM37に格納されている実際の基準パターン10間の距離D1との比率(D1/d1)を計算することにより空間のスケールを算出する。
【0073】
そして、得られた空間のスケール(D1/d1)を全ての3次元座標に乗ずることにより、実空間上の寸法における荷物1の各頂点の3次元座標及び各辺の寸法を算出し、その結果を表示部35に出力する。
【0074】
尚、投影手段40は、上記の構成に限定されるものではなく、図13に示すように、投影手段40(40a)と、CCDカメラ20をそれぞれ分けて設けても良く、投影手段40を天井等に固定しておいても良い。また、図13に示すように、投影手段40aが、平行にレーザ光A,Bを照射する2本のレーザポインタ41を備えるものであれば、投影手段40aを荷物1の上面4に向けて照射することにより、予めレーザ光A,Bの間隔D2が分かっている場合、その間隔D2を利用することにより、荷物1の各辺の寸法を算出することができる。従って、この場合には、受光部等を設けなくても良い。また、図13では、平行な2本のレーザ光A,Bが照射される場合を示しているが、レーザ光の数は、これに限定されるものでなく、夫々のレーザ光の間の距離が分かっていれば、3本以上のレーザ光を照射しても良い。
【0075】
また、図14に示すように、第2の実施形態に示したようなハンディターミナル型の寸法測定装置100cに平行なレーザ光A,Bを照射するレーザポインタ(不図示)を備えるように構成しても良い。この場合、寸法測定装置100cの先端部に備えられるCCDカメラ(不図示)の両隣に平行にレーザ光A,Bを照射するレーザポインタ等を備えるのが好適である。これにより、CCDカメラで撮像する方向と同一の方向に対してレーザ光A,Bを照射することができる。この場合も図13と同様に、レーザ光A,B間の距離D2を利用することにより荷物1の各辺の寸法を算出することができる。また、ここでは、上面4にレーザ光A,Bが照射された場合を例にしているが、レーザ光A,Bは、夫々異なる面に照射されても良い。
【0076】
また、図15に示すように、投影手段40bとして、投影する距離に関係なく、一定の長さ寸法D3を有するライン10b等を基準パターンとして投影するものを使用することも可能である。この場合、図15に示すように、投影手段40bをライン10bが投影される荷物1の上面4と平行になるように設定することにより、上面4上には投影手段40と上面4までの距離に関係なく、一定の長さ寸法D3を有するライン10bが投影されることになる。従って、ライン10bが投影された上面4を含む荷物1をCCDカメラ20により撮像することにより、以上説明した方法と同様の方法により、荷物1の各辺の寸法を算出することができる。また、基準パターンとして、ライン10bの代わりに、投影する距離に関係なく一定の直径を有するサークル或いは一定の長さ寸法を有するクロスライン等を投影しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る寸法測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】測定対象物の画像平面への射影を説明するための模式図である。
【図4】寸法測定装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】画像平面から測定対象物の頂点及びマーカを抽出する様子を示す模式図である。
【図6】空間スケールの求め方を説明するための模式図である。
【図7】測定対象物の画像平面への射影を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る寸法測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る寸法測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図12】測定対象物の画像平面への射影を説明するための模式図である。
【図13】平行するレーザ光を照射する投影手段を備えた寸法測定装置の一例を示す概略説明図である。
【図14】平行するレーザ光を照射する投影手段を備えた寸法測定装置の他の一例を示す概略説明図である。
【図15】基準パターンの例を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 荷物(測定対象物)
2 基準尺
3 マーカ
4 上面
5 正面
6 側面
7 送り状(パターン)
8 1次元バーコード
9 2次元バーコード
10、10a、10b 基準パターン
20、20a 撮像手段(CCDカメラ)
30 コンピュータ
33 画像処理部(画像処理手段)
31a 寸法算出手段
40、40a、40b 投影手段
41 レーザポインタ
100、100a、100b、100c 寸法測定装置
I 画像平面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、
前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に基準長を示す基準尺を配置し、
前記測定対象物及び前記基準尺の全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、
生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出し、
抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、
前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、
該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴とする寸法測定方法。
【請求項2】
前記基準尺は、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えていることを特徴とする請求項1に記載の寸法測定方法。
【請求項3】
前記基準尺は、寸法が既知のパターンを備えていることを特徴とする請求項1に記載の寸法測定方法。
【請求項4】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、
前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に寸法が既知の基準パターンを投影し、
前記測定対象物及び前記基準パターンの全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、
生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出し、
抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、
前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、
該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴とする寸法測定方法。
【請求項5】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、
前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に予め配置された基準長を示す基準尺を含む画像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出する画像処理手段と、
抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項6】
前記基準尺は、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えていることを特徴とする請求項5に記載の寸法測定装置。
【請求項7】
前記基準尺は、寸法が既知のパターンを備えていることを特徴とする請求項5に記載の寸法測定装置。
【請求項8】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、
寸法が既知の基準パターンを投影する投影手段と、
前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に前記投影手段により投影された前記基準パターンを含む画像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出する画像処理手段と、
抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項9】
前記投影手段は、複数のレーザ光を平行に照射することを特徴とする請求項8に記載の寸法測定装置。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれかに記載の寸法測定装置において、
前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記画像から前記測定対象物を指定する指定手段と、を備えることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項11】
前記撮像手段は、CCDカメラ又はCMOSカメラであることを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の寸法測定装置。
【請求項12】
前記撮像手段は、CCDカメラであって、該CCDカメラは、1次元バーコード及び/又は2次元バーコードを読取る機能を有することを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の寸法測定装置。
【請求項1】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、
前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に基準長を示す基準尺を配置し、
前記測定対象物及び前記基準尺の全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、
生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出し、
抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、
前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、
該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴とする寸法測定方法。
【請求項2】
前記基準尺は、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えていることを特徴とする請求項1に記載の寸法測定方法。
【請求項3】
前記基準尺は、寸法が既知のパターンを備えていることを特徴とする請求項1に記載の寸法測定方法。
【請求項4】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定方法において、
前記測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に寸法が既知の基準パターンを投影し、
前記測定対象物及び前記基準パターンの全体が収まり、且つ、前記測定対象物の2つ以上の面が写るように撮影して、1つの画像を生成し、
生成した前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出し、
抽出した前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、
前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、
該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出することを特徴とする寸法測定方法。
【請求項5】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、
前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に予め配置された基準長を示す基準尺を含む画像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準尺を抽出する画像処理手段と、
抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項6】
前記基準尺は、各マーカ間の距離が既知である2つ以上のマーカを備えていることを特徴とする請求項5に記載の寸法測定装置。
【請求項7】
前記基準尺は、寸法が既知のパターンを備えていることを特徴とする請求項5に記載の寸法測定装置。
【請求項8】
直方体形状の測定対象物の各辺の寸法を測定する寸法測定装置において、
寸法が既知の基準パターンを投影する投影手段と、
前記測定対象物及び該測定対象物の面上又は該測定対象物の面の延長平面上に前記投影手段により投影された前記基準パターンを含む画像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により撮像された前記画像から前記測定対象物の頂点及び前記基準パターンを抽出する画像処理手段と、
抽出された前記頂点の前記画像平面上における2次元座標から前記測定対象物の3次元空間における位置・姿勢及び寸法のパラメータを求め、前記基準尺を用いて、実空間における距離と前記3次元空間における距離との比率である空間のスケールを求め、該空間のスケール及び前記パラメータに基づいて、前記測定対象物の各辺の寸法を算出する寸法算出手段と、を備えることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項9】
前記投影手段は、複数のレーザ光を平行に照射することを特徴とする請求項8に記載の寸法測定装置。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれかに記載の寸法測定装置において、
前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記画像から前記測定対象物を指定する指定手段と、を備えることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項11】
前記撮像手段は、CCDカメラ又はCMOSカメラであることを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の寸法測定装置。
【請求項12】
前記撮像手段は、CCDカメラであって、該CCDカメラは、1次元バーコード及び/又は2次元バーコードを読取る機能を有することを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の寸法測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−8352(P2010−8352A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170741(P2008−170741)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(301021658)株式会社三次元メディア (15)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(301021658)株式会社三次元メディア (15)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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