説明

寿命を拡大させ、かつ加齢関連疾患の発症を遅らせるための方法

【課題】個体の寿命を拡大させ、加齢関連疾患の発症を遅らせるための組成物、および方法の提供。
【解決手段】オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される組成物、および有効な寿命拡大量を使用する方法。該組成物は、経口投与、局所投与、非経口投与であることが好ましい。有益な効果として、体重減少、心機能の改善、皮膚の老化防止、癌の発生低減、骨粗鬆症、骨量減少、関節炎、白内障、黄斑変性等が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、生物における寿命を拡大させて、癌を含む加齢関連疾患に関連した合併症の発症および多くを遅らせる方法に関する。より詳しくは、本発明は、カロリー制限において活性化される場合と同じ有益な遺伝子の発現(すなわち遺伝子の活性化)をアップレギュレートおよびダウンレギュレートするために、化学物質を投与することに関する。遺伝子は、カロリー摂取を低減する必要なく、カロリー制限下において認められる条件と同じ細胞内条件を模倣することによって活性化される。寿命を延長させて、生物を加齢関連疾患から保護するための組成物および方法も同様に提供される。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
単細胞生物および多細胞生物における寿命を拡大させるために多くの試みがなされている。これらの試みには、様々な栄養に基づく介入、ビタミンサプリメント、抗酸化剤サプリメント、運動、ホルモン的、薬学的および他の範例が含まれている(Lane, M. et al. Nutritional Modulation of aging in nonhuman primates, 1999 The Journal of Nutrition, Health & Aging, Vol. 3, No. 2 pp 69-76)。これらの試みによって時に、よりよい健康が得られるが、過去70年間において有益な遺伝子の活性化のみが寿命の増加を引き起こした。これらの有益な遺伝子の活性化法は、平均寿命および最大寿命を拡大させることが証明されている:1)カロリー制限(CR)による遺伝子活性化;2)遺伝子操作(遺伝子の人工的な付加または欠失)を受ける動物の特定のタイプ;および3)共基質NAD+[24]に関するSir-2酵素のミカエリス定数Kmを低下させることによってSir2遺伝子を活性化する化学物質の使用。CRは、糖質、脂質、またはタンパク質に由来する総カロリーを、自由に食餌を与えた対照動物のカロリーの25%〜60%低いレベルまで制限することである(Koubova et al, How does calorie restriction work? 2003 Genes & Development. Vol. 17 pp 212-221)。CRによる遺伝子活性化によって寿命を拡大させることの成功には、酵母、輪形動物、グッピー、クモ、ショウジョウバエ、ハムスター、ラット、マウスを含む広範囲の異なる生物が含まれ、現在、霊長類において寿命を拡大させることが示されている(Lane et al.;Koubova et al.;Lane et al, Short-term calorie restriction improves disease-related markers in older male rhesus monkeys (Macaca mulatta) 1999 Mechanisms of Ageing and Development Vol. 112 pp 185-196)。遺伝子操作によって寿命を拡大させることの成功は、酵母、ぜん虫、ショウジョウバエ、およびマウスにおいて成功している(Hekimi, S. et al, Genetics and the Specificity of the Aging Process, Science. 2003 Feb 28;299(5611):1351-4. Review; Guarente, L. SIR2 and aging- the exception that proves the rule, Trends Genet. 2001 Jul;17(7):391-2; Tissenbaum, H et al. Increased dosage of a sir-2 gene extends lifespan in Caenorhabditis elegans, 2001 Nature VoI 410 pp 227-230; Lin, S et al, Requirement of NAD and SIR2 for Life-Span Extension by Calorie Restriction in Saccharomyces cerevisiae 2000 Science Vol. 289 pp 294-297; Lin, S et al, Calorie restriction extends Saccharomyces cerevisiae lifespan by increasing respiration 2002 Nature, Vol. 110 pp 244-248; Guarente, L. Mutant mice live longer, 1999 Nature Vol. 402 pp 243-245)。NADに関するSir-2酵素のミカエリス定数を低下させる化学物質による寿命の延長の成功は、酵母およびぜん虫において示されている(Howitz et al., Small molecule activators of sirtuins extend Saccharomyces cerevisiae lifespan, Nature 425: 191-196; Wood et al., Sirtuin activators mimic caloric restriction and delay ageing in metazoans, Nature, Volume 430, 5 August 2004)。全ての場合において、寿命の拡大は有益な遺伝子の活性化を必要とした。
【0003】
CRが、単細胞生物から非常に複雑な生物(霊長類を含む)までの広範囲の生物に対して作用することは重要である。CRが広範囲で成功することは、寿命の拡大のプロセスが生物の個々の細胞内での効果に基づくこと、および寿命を拡大させるプロセスが種を超えて保存されることを示している。齧歯類において、寿命の拡大は50%に達しうる(Koubova et al)。しかし、生物がとる必要があるカロリーは通常消費するであろうより少なくとも25%少ないことから、この寿命はかなりの犠牲を払って得られる。
【0004】
CRの利益は非常に多い。寿命の拡大の他に、加齢関連疾患の発症も同様に遅れ、それによってより長期間より健康な生物が得られる。哺乳動物において、CRは全ての腎疾患、自己免疫疾患、および糖尿病を遅らせる。CRは、パーキンソン病およびアルツハイマー病のマウスモデルにおける加齢関連ニューロン喪失を低減させる(Koubova et al)。同様に、中等度のCRでさえも哺乳動物における癌のリスクを低下させることが認められる(Mai, V. Even Moderate Caloric Restriction Lowers Cancer Risk in Mice, Experimental Biology Conference 2002 April 23 meeting)。さらに、CR哺乳動物はより体脂肪が少ないことが観察された(Picard, et al., Sirtl promotes fat mobilization in white adipocytes by repressing ppar gama, Nature, Vol. 429, 17 June 2004.)。CRは、紫外線に対する暴露後、皮膚および他の組織におけるDNAの修復を増強することが示されている(Lipman et al,「The influence of dietary restriction on DNA repair in rodents: a preliminary study」, Mech Ageing Dev 1989: 48: 135-43; Weraarchakul et al,「The effect of aging and dietary restriction on DNA repair」, Exp Cell Res 1989; 181 : 197-204; Licastro et al,「Effect of dietary restriction upon the age-associated decline of lymphocyte DNA repair activity in mice」, Age 1988: 11: 48-52; Srivastava et al,「Decreased fidelity of DNA polymerases and decreased DNA excision repair in aging mice: Effects of caloric restriction」, Biochem Biophys Res Commun 1992: 182: 712-21; Tilley et al,「Enhanced unscheduled DNA synthesis by secondary cultures of lung cells established from calorically restricted aged rats」, Mech Ageing Dev 1992: 63" 165-76)。DNAの修復は皮膚の修復および皮膚の加齢の予防にとって不可欠である。同様にこれは皮膚癌の発生率を低減させる。CRを3〜15年間受けている人に関する研究から、同等の年齢をマッチさせた対照と比較して、絶食時グルコース、絶食時インスリン、Hs-CRPレベル、収縮期圧および拡張期圧、トリグリセリド、総コレステロール、ならびにLDLコレステロールの低減と共に、アテローム性動脈硬化症のリスクの低減が示された(Fontana, et al,「Long-term calorie restriction is highly effective in reducing the risk for atherosclerosis in humans, PNAS, April 27, 2004, Vol.101, no. 17, pp 6659-6663)。
【0005】
抗酸化剤は単剤または併用しても、寿命の増加を生じず、腫瘍発生もしくは他の加齢関連疾患を遅らせないことから、CRの利益は、食事中の抗酸化剤によるのではない。その代わりに、CRは細胞増殖を低減する、またはアポトーシスを増加させる遺伝子発現を活性化するシグナル伝達の変化により作用する。電子輸送鎖、免疫応答、タンパク質代謝回転、およびタンパク質合成に関係する多数の遺伝子がCRにおいて変化する(Lee, et al., The impact of α-Lipoic Acid, Coenzyme Ql0, and Caloric Restriction on Life Span and Gene Expression Patterns in Mice, Free Radical Biology & Medicine, Vol. 36, No. 8, pp. 1043-1057, 2004)。Masternakらは、代謝の制御ならびに脂肪貯蔵細胞の蓄積および保存において重要な役割を有することが示唆されている遺伝子であるPPARαを含む、インスリンおよびインスリン増殖因子1(IGF1)に関連する遺伝子が変化することを示している(Masternak, et. al., Divergent Effects of Caloric Restriction on Gene Expression in Normal and Long-Lived Mice, Journal of Genontology, 2004, Vol. 59A, No. 8, 784-788)。FOXO遺伝子の活性も同様に、カロリー制限下で変化することが示されている(Daitoku, et al., Silent information regulator 2 potentates Foxo l-mediated transcription through its deacetylase activity, PNAS, July 6, 2004)。
【0006】
過去10年の間に、酵母およびぜん虫におけるSilenced Information Regulator 2(Sir2)(ぜん虫におけるSir2.1、ヒトにおけるSIRT1)も同様に、寿命を調節して、CRにおいて活性化される遺伝子の一つであることが決定された。Sir2またはSir2.1の余分のコピーを有する変異体のぜん虫および酵母は、より長く生きるが、Sir2遺伝子における変異は、寿命を重度に低減させる。例えば、Tissenbaumらを参照されたい。ヒトを含む他の動物は、類似の遺伝子またはSir2遺伝子に対する相同体を含む(SIRT1遺伝子)。CRは、有益な遺伝子を活性化して、寿命を長くするおよび加齢関連疾患の発症を遅らせるようにシグナルを伝達する一連の条件を細胞において作製する。CRによるSir2の活性化は、寿命を増加させるための一つの経路である。CRはまた、平行な経路においてSir2とは無関係に寿命を増加させる他の遺伝子を刺激する。Kaeberlein et al,「Sir2 -Independent Life Span Extension by Calorie Restriction in Yeast」 2004, PloS Biology: 2: 9: e296: 1381-1387。
【0007】
Sir2の活性化は、FOXO型の遺伝子を含む他の遺伝子およびタンパク質を活性化または沈黙化できることが示されている。同様に、CRにおいて通常スイッチが入るSir2遺伝子(ヒトにおけるSIRT1)の活性化は、脂肪貯蔵遺伝子を活性化するタンパク質PPARγを鈍らせ、脂肪細胞は脂肪を落とし、細胞の脂肪細胞への分化を防止するであろう。例えば、Picardら、前記を参照されたい。これは、CR下で哺乳動物において認められる脂肪量が低いことを説明するであろう。
【0008】
Linらは、有益な遺伝子を活性化するためにCRによって生成された内部細胞シグナル伝達条件が、非CR条件と比較して、細胞内のNAD+/NADH(酸化および還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)比の増加であると決定した。Lin, S. et al, Calorie restriction extends yeast life span by lowering the level of NADH. 2004 Genes & Development Vol. 18 pp 12-16。Linはまた、細胞におけるNAD+レベルがCRおよび非CR条件の間で一定のままであるが、少なくとも一つの有益な遺伝子、Sir2型の遺伝子を活性化させるNAD+の還元型であるNADHは、CRにおいて有意に低下する(50%まで)ことを認めた。高レベルNADHは、Sir2遺伝子の阻害剤である。
【0009】
Linの研究は、有益な遺伝子の活性化のシグナル伝達にとっての細胞内必要条件の少なくとも一つによって、CRの際に見いだされる増加した寿命および健康利益が得られることをを示した。試験は、NAD+/NADHの比の増加を達成するために組換えによる遺伝子改変を用い(カロリーの制限なく)、それによって寿命の増加および健康の全般的改善というカロリー制限の結果を「模倣する」。示された重要な特徴は、CRの同じ利益を達成するためには、カロリーを低減する必要はないが、有益な遺伝子が個々の細胞内で活性化される必要があることであった。
【0010】
Horitz、WoodおよびLammingによる他の研究において、研究者らは、少なくとも一つの有益な遺伝子を刺激するためにNAD+/NADH比を増加するためにCRおよび遺伝子操作とは異なる、寿命を増加させるためのもう一つの経路を発見した。NAD+/NADH比を改変するために、または遺伝子操作によって有益な遺伝子のさらなるコピーを付加するために遺伝子を挿入する代わりに、彼らは化学物質を用いてNAD+とSir2との基質結合親和性を低下させて、Sir2(ヒトにおけるSIRT1)をより容易に活性化させた。Howitz et al., Small molecule activators of sirtuins extend Saccharomyces cerevisiae lifespan, Nature 425: 191-196; Wood et al., Sirtuin activators mimic caloric restriction and delay ageing in metazoans, Nature, Volume 430, 5 August 2004; Lamming et al., Small molecules that regulate lifespan: evidence for xenohormesis, Molecular Microbiology, 2004, Vol. 53(4), 1003-1009。発見された化学物質はポリフェノールであり、これには化合物レスベラトロールが含まれる。ポリフェノールは植物において見いだされるが、ヒトを含む哺乳動物の天然の化学的構成の一部ではない。ポリフェノールはSir2遺伝子およびその相同体の活性化において非常に特異的である。Sir2遺伝子は寿命を拡大させるが、CRによって活性化される有益な遺伝子の全てを活性化しない。この結果として、Sir2活性化ポリフェノールによって生じる寿命の拡大の増加はCRより少ない。 Kaeberlein et al,「Sir2-Independent Life Span Extension by Calorie Restriction in Yeast」 2004, PloS Biology: 2: 9: e296: 1381-1387。
【0011】
寿命を増加させるために、脂肪の蓄積を低減するために、癌および加齢関連疾患を遅らせるために、ならびに全般的健康を改善するために、化学物質によって、または遺伝子操作を用いることによって細胞間結合能を変化させることは、驚くべき業績である。しかし、警告として、遺伝子操作は十分に理解されている分野ではなく、近い将来においてヒトの寿命を増加させるために役立たない可能性がある。Sir2またはSirt1(ヒトにおける)を刺激するために、特定の酵素の結合親和性を低下させる化学物質を用いることはまた、長期間のリスクが決定されていないことから、不確実な道でもある。さらに、Sir2またはSirt1遺伝子は寿命を増加させるために活性化されうる遺伝子の一つに過ぎず、この遺伝子は中等度の増加を生じるが、より有益な遺伝子が活性化されれば、それによって寿命のより長い増加が得られうる。最後に、レスベラトロールのような外来化学物質の適用がヒトの体内のいくつかの単離された領域に害を引き起こせばどうなるであろう?
【0012】
寿命を拡大させるため、体脂肪を低減させるため、癌および他の加齢関連病態を遅らせるために行われた唯一の長期研究は、実際のカロリー制限に焦点を合わせた。1930年代以降実施された研究はカロリー制限の多くの恩恵を示しており、唯一認められた起こりうる短所は、生物が生殖年齢に達するまでにより長期間を要すること、および生物が非カロリー制限生物より小さい傾向があることであった。
【0013】
本発明者らは、有益な遺伝子を活性化するためにCRにおいて認められた細胞内の状態には、NAD+/NADH比の増加が含まれ、これは細胞に関するスイッチ切り替えメカニズムとして作用することを教示してきた。全体的なリスクを低下させるために、CRに関係する遺伝子に関して同一のシグナル伝達法を用いることによって、CRにおいて認められる有益な遺伝子の同じ組を刺激することがより好ましいと考えられる。Sir2遺伝子に加えて、またはSir2遺伝子の他に他の寿命拡大遺伝子を活性化することが有益であろう。その上、NAD+/NADH比を増加する化学物質を発見することは非常に有益であろう。NAD+/NADHを増加させる化学物質は、寿命の拡大に関して証明された安全な経路(70年間の研究)を提供して、加齢関連疾患の発症の遅れを提供することができるであろう。同様に、NAD+/NADH比を増加させる活性化物質が、ヒトを含む哺乳動物において既に見いだされている化学物質であれば、長期の結果がわかっていない異物化合物を導入するより有益となるであろう。
【0014】
細胞に対して利用可能な広く多様な化学反応のために、各細胞はNAD+/NADH比を保存するように反応する。実際に、これは緩衝反応である。比を増加させることは特に難しい。しかし、エタノールはNAD+/NADH比を減少させることができ、それによってより高いトリグリセリドおよび「脂肪肝」疾患が起こる。
【0015】
有益な遺伝子を活性化させるためにNAD+/NADH比を増加させる化合物を発見することは、ささいなことではない。この理由の一つは、現在の技術によってNAD+/NADH比を直接測定することが難しいことによる。NAD+/NADHを直接測定する代わりに、ピルベート/ラクテート比を測定することによって比を間接的に推定する。典型的に、ラクテートに対するピルベートの量が増加すれば、NAD+/NADHが増加する。
【0016】
このように、細胞におけるNAD+/NADH比を増加させる一つの方法は、細胞へのピルベートの量を増加させることであろう。糖新生において、ピルベートはグルコースに変換されて、NADHをNAD+に変換し、これはNAD+/NADH比を増加させるであろう。同様に、嫌気的条件において、ピルベートは、酵素乳酸デヒドロゲナーゼによってラクテートに変換される。嫌気的条件でのピルベートからラクテートへの変換は、再度、NADHをNAD+に変換する。ピルベートをラットに注射することによってNAD+/NADH比が増加するという報告がある。Idoによって行われた、網膜および視覚皮質の血流の研究に関する研究は、サイトゾルにおけるNADHレベルを50%下落させると、NAD+/NADH比が倍加することを示している。Ido, et al, NADH augments blood flow in physiologically activated retina and visual cortex, PNAS, January 13, 2004, Vol. 101, no. 2 pp 653-658。ピルベートはまた、ミトコンドリア内膜に浸透して、クエン酸サイクルを通してNAD+/NADH比を低下させることに選択的に関与していることから、この報告された比の一時的な変化にもかかわらず、ピルベートに関して寿命の拡大は起こらない。ピルベートによって一時的に上昇した比は、ピルベートがクエン酸サイクルを通して処理されると低下する。典型的な細胞は、NAD+/NADH比の増加に対して緩衝作用を示す。
【0017】
Andersonらはまた、NAD+/NADH比を増加させて、有益な遺伝子を活性化するために化学物質を用いることに困難を有した。Andersonは、細胞においてNADHを低減させることが知られているアセトアルデヒドを用いたが、有益な遺伝子の活性に如何なる増加も認めなかった。同様に、NAD+/NADH比を変化させれば有益な遺伝子を全く活性化するであろうことに関して、何らかの論争がある。彼の研究に基づいて、Andersonは、「NADHにおける変化は、Sir2またはSIRT1(有益な遺伝子)の活性に影響を及ぼす可能性は低い」と教示している。Anderson et al., Yeast Life-Span Extension by Calorie Restriction Is Independent of NAD Fluct..., Science 2003 302: 2124-2126。
【0018】
有益な遺伝子を実行させるであろうカロリー制限「模倣」化学物質によって、CRと類似の(すなわち、NAD+/NADH比の増加)細胞内条件を作製することが現在必要である。このように、CRによって課された重い食事制限、または個々の生物の遺伝子改変を行うことなく、増加した寿命、より低い癌発生率、より低い体脂肪含有量、および加齢関連疾患の遅延の恩恵を、実現することができる。優先的に行うことは、化学物質をヒト代謝の現在の一部にすることであろう。本発明は、有益な遺伝子の新規活性化のためのそのような化学物質および方法を提供する。
【発明の概要】
【0019】
発明の概要
本発明の開示は、寿命を拡大させるための、およびそれを必要とする個体における加齢関連疾患の発症を遅らせるための方法および組成物に関する。本発明の一つの局面において、生物の寿命を拡大させるための方法が提供される。方法には、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、またはその代謝的前駆体であるα-ケトグルタレートまたはアスパルテートのような化合物の有効量を投与する段階が含まれる。化合物は、経口、局所、および/または非経口投与することができる。化合物は緩衝剤と共に調剤されることが都合がよい。任意で、生物は哺乳動物である。本発明の一つの局面において、哺乳動物はヒトである。
【0020】
本発明のもう一つの局面において、カロリー摂取を低減させることなく、カロリー制限の有益な健康効果を模倣する方法が記述され、方法には、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、またはオキサロアセテート塩の有効量を投与する段階が含まれる。カロリー制限の有益な健康効果には、体重の減少、心機能の改善、糖尿病の逆転、および寿命の拡大が含まれうる。化合物は、経口、非経口、または局所投与のために調剤されることが都合がよい。本発明のさらなる局面において、化合物には緩衝剤が含まれうる。任意で、方法には、抗菌剤、抗真菌剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質、酵素、ホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、免疫刺激化合物、またはステロイドのような治療物質を投与する段階が含まれうる。治療物質は、化合物とは別個に、または化合物と実質的に同時に投与されてもよい。
【0021】
本発明のもう一つの局面において、皮膚の加齢の症状を処置するための組成物が記述される。組成物には、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートの有効量と、薬学的に有効な担体とが含まれうる。都合良くは、薬学的に有効な担体は、クリーム、石けん、シャンプー、コンディショナー、軟膏、ローション、ゲル、膏剤、またはエアロゾルスプレーでありうる。任意で、組成物には、皮膚軟化剤、サンスクリーン、保湿剤、および/または緩衝剤のような第二の有益な物質が含まれうる。組成物は、皺皮、しわ、たれ肉、日焼けによる損傷、皮膚の艶のない外観、皮膚のトートネス(taughtness)の喪失、角化症、色素沈着過度、黒皮症、および皮膚の退色のような皮膚の加齢の症状を処置するために有用となりうる。組成物にはさらに、組成物の吸収速度を改変するように作用する親油剤が含まれうる。
【0022】
皮膚の加齢の徴候を低減させる方法も同様に提供される。方法には、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートの有効量と薬学的に許容される担体とを局所投与する段階が含まれる。
【0023】
本発明のさらにもう一つの局面において、太陽への曝露からDNAを保護するための、およびDNA損傷の修復を増強するための方法が記述される。方法には典型的に、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、およびアスパルテートの有効量と薬学的に許容される担体とを局所投与する段階が含まれる。
【0024】
本発明のなおもう一つの局面において、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートが含まれる、動物の寿命を増加させるための改善された動物固形飼料製剤が記述される。
【0025】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートの有効量を投与することによって、有益な遺伝子および遺伝子相同体を活性化するための方法も同様に記述される。オキサロアセテートの投与は、カロリー制限下で動物によって発現される方法と類似の方法で、肝組織において遺伝子356個の発現の変化を誘導する。これらの遺伝子の変化は、健康な期間および寿命の増加を誘導するために十分であった。オキサロアセテートは経口、局所、または非経口投与することができ、緩衝剤と共に調剤されることが都合がよい。
【0026】
本発明のもう一つの局面において、癌の発生を低減させる、癌を処置する、および癌の処置の有効性を増加させるための方法が記述される。方法には、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、およびアスパルテートのような化合物の薬学的有効量をそれを必要とする個体に投与する段階が含まれる。任意で、方法には、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、エストラムスチン、イフォスファミド、プレドニムスチン、ブスルファン、チオテパ、カルムスチン、ロムスチン、メソトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、ダクチノムシン、ドキソルビシン、デュノルビシン(dunorubicine)、エピルビシン、ブレオマイシン、ニトマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、アマクリン、ミトキサントロン、タモキシフェン、ニルタミド、またはアミノグルテミドのような化学療法剤の投与が含まれうる。化合物は、経口、局所、または非経口投与することができる。本発明のいくつかの局面において、化学療法剤は、オキサロアセテート化合物を投与する前に投与される。他の局面において、化学療法剤は、化合物の投与後または実質的に同時に投与される。癌は原発または転移した悪性固形腫瘍疾患または血液悪性疾患でありうる。癌が血液悪性疾患である場合、これには、急性および慢性骨髄性白血病、急性および慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群、真性赤血球増加症、および本態性血小板増加症が含まれてもよい。
【0027】
本発明のもう一つの局面において、加齢に関連した疾患を処置する方法が記述される。方法には、薬学的に許容される担体と共に調剤される、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、およびアスパルテートからなる群より選択される化合物の薬学的に許容される量を投与する段階が含まれる。加齢に関連する疾患には、骨粗鬆症、骨量減少、関節炎、こわばった関節、白内障、黄斑変性、糖尿病、炎症、および心疾患が含まれうる。任意で、疾患はアルツハイマー病またはパーキンソン病のような神経変性疾患でありうる。
【0028】
本発明のさらにもう一つの局面において、アルコールの過剰消費に関連した症状を低減させる方法が提供される。方法には、アルコールの過剰消費に苦しむ個体を同定する段階、およびオキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートの薬学的有効量を投与する段階が含まれる。アルコールの過剰消費の症状には、例えば頭痛、全般的な健康感不良、下痢、食欲不振、ふらつき、疲労、および悪心が含まれる。
【0029】
本発明のもう一つの局面において、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテート、およびサンスクリーンが含まれる、局所投与のために調剤された問題の組成物が記述される。
【0030】
本発明のなおもう一つの局面において、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートのような化合物、および化粧品担体が含まれる、局所投与のために調剤された化粧品組成物が提供される。
【0031】
本発明のさらにもう一つの局面において、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテート、およびビタミンが含まれる、経口投与のために調剤された問題の組成物が開示される。
【0032】
本発明のもう一つの局面において、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレート、またはアスパルテートのような化合物、および治療物質が含まれる、治療的組成物が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】生物学的ダイオードを作製するためのNAD+/NADH比の増加に及ぼすオキサロアセテート補給の効果の略図である。
【図2】C.エレガンス線虫の寿命の拡大に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図3】C.エレガンス線虫の寿命に及ぼすスプリットマイシン(選択的Sir2阻害剤)およびオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図4】D.メラノガスターショウジョウバエの寿命の拡大に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図5】ハエをストレス下に置いた場合のD.メラノガスターショウジョウバエの寿命の拡大に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図6】老齢のC57BL/6系マウスの体重獲得低減に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図7】より若いC57BL/6系マウスの体重獲得低減に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図8】C57Bl/6系マウスの寿命の拡大に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示すグラフである。
【図9】カロリー制限を行ったマウスおよびオキサロアセテートを補給したマウスと、自由に飼料を与えた対照群との間の遺伝子発現の変化の重なりを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
好ましい態様の詳細な記述
本発明は、それを必要とする個体における寿命を拡大させるための、および加齢に関連した障害を処置するための組成物および方法に関する。本発明は、オキサロアセテート、ならびにα-ケトグルタレートおよびアスパルテートを含む化学前駆体の投与によって、線虫C.エレガンス(C. elegans)のような単純な動物、より複雑なD.メラノガスター(D. melanogaster)および複雑な哺乳動物を含む多細胞対照生物の類似の集団と比較して、平均集団寿命の36%までの増加、および最高寿命の40%までの用量依存的な寿命の増加が得られる、という驚くべき発見に一部基づいている。特定の理論に拘束されることなく、オキサロアセテート化合物またはその前駆体との細胞外接触およびオキサロアセテートのその後の細胞内への転移によって、生物の寿命を増加させる有益な遺伝子を活性化させる代謝的シグナル伝達の変化が起こると考えられている。本明細書において用いられるように、「オキサロアセテート」という用語には、オキサロアセテート、その塩、ならびにα-ケトグルタレートおよびアスパルテートが含まれるがそれらに限定されるわけではないオキサロアセテートの化学前駆体が含まれる。「それを必要とする個体」という句は、オキサロアセテートの寿命拡大および/または抗加齢効果から恩恵を受けるであろう任意の多細胞生物を指す。個体には、オキサロアセテートの投与に対して感受性がある任意の脊椎動物または無脊椎動物が含まれるがそれらに限定されるわけではない。例としての脊椎動物には、魚類、両生類、は虫類、鳥類、およびヒト、霊長類、イヌ、ネコ、または他の動物のような哺乳動物が含まれる。
【0035】
本発明は、細胞に導入されたオキサロアセテートがミトコンドリア内膜を通過できないという観察に一部基づいている[23]。サイトゾルに導入されたさらなるオキサロアセテートは、酵素リンゴ酸デヒドロゲナーゼによってマレートへと還元される。この反応はまた、NADHをNAD+に変換し、NAD+/NADH比を増加させる。サイトゾルへのさらなるオキサロアセテートの導入によって形成されたマレートは、α-ケトグルタレートとの交換を通してミトコンドリア膜を通過することができる。ミトコンドリアに入ると、マレートはクエン酸サイクルによってオキサロアセテートへと元に変換されうる。マレートがオキサロアセテートに変換されると、NAD+からNADHを生成して、寿命の増加を防止するピルベートの場合に起こるように、NAD+/NADH比を低下させる。しかし、マレートからオキサロアセテートへの反応に関して、ギブスの自由エネルギーΔGが高度に正の値である(+29.7)ことから、サイトゾルにオキサロアセテートを加えた場合には、NAD+/NADH比の低下は起こらない。正常な条件において、マレートからオキサロアセテートへの反応が全てクエン酸サイクルで進行する唯一の理由は、ミトコンドリアにおけるオキサロアセテートのアセチルCoAへの変換によって得られたエネルギー(ΔG−32.2)およびクエン酸サイクルの他の中間体のエネルギーによるためである。サイトゾルに加えられたオキサロアセテートは、ミトコンドリア膜を貫通できないことから、クエン酸サイクルにおいてマレートのオキサロアセテートへの反応に力を与えるためのさらなるオキサロアセテートはミトコンドリアには存在しない。このように、サイトゾルにオキサロアセテートを加えると、NAD+/NADH比は高いままである。実際に、電子生物学的ダイオードは、サイトゾルにオキサロアセテートを加えること、オキサロアセテートがミトコンドリアを浸透できないこと、およびミトコンドリアにおいてマレートがオキサロアセテートに戻る反応のΔGが高いことによって作製される。図1は、NAD+/NADH比の増加に及ぼすオキサロアセテート補給の効果を示す。図1に示されるように、細胞外オキサロアセテートの補給は細胞膜を浸透するように作用するが、ミトコンドリア内膜に浸透することはできない。NAD+/NADH比の増加の維持は、有益な遺伝子の発現の増加、および関連する有益なタンパク質の増加と共に非有益遺伝子の発現の減少および関連する非有益タンパク質の減少によって開始するシグナル伝達効果である。NAD+/NADH比を通常起こるであろうより高く維持することによって、オキサロアセテートは、CRの効果を有効に模倣して、有益な修復を生じるように、癌および他の加齢関連疾患の発生を低減させるように、脂肪の産生を遮断するように、アポトーシスを低減させるように、ならびに生物の全体的な寿命を増加させるように、遺伝子の調節を促進する。
【0036】
オキサロアセテートによるNAD+/NADH比の増加は有益な遺伝子を活性化させ、シグナル伝達メカニズムが類似であることから、それによってCRにおいて認められる恩恵と同じ恩恵が得られる。CRにおいてアップレギュレートされる有益な遺伝子には、以下のクラスの遺伝子が含まれる:脂質の異化および酸化的ストレス反応の活性化;SAMおよび尿素サイクルを含む中心代謝経路の調節;ホルモン経路の調節;DHEAおよびインスリン/Igfシグナル伝達;ゲノム不安定性およびアポトーシス。これらの遺伝子型の論評は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Bauer (Bauer, et al,「Starvation response in mouse liver shows strong correlation with lifespan prolonging processes」, Physiologicaly Genomics, February 3, 2004, 10.1152/physiolgenomics.00203.2003)、Cao(Cao, et al,「Genomic profiling of short-and long-term caloric restriction effects in the liver of aging mice」, Proc Natl Acad Sci 98: 10630-10635, 2001)、およびLee(Lee, et al., The impact of α-Lipoic Acid, Coenzyme QlO, and Caloric Restriction on Life Span and Gene Expression Patterns in Mice, Free Radical Biology & Medicine, Vol. 36, No. 8, pp. 1043-1057, 2004)による研究において見いだされうる。本発明者らは、カロリー制限に供したマウスでは、自由に飼料を与えた対照群と比較して肝組織における遺伝子1,763個において遺伝子発現レベルの変化が起こることを示す。オキサロアセテートを与えて自由に飼料を与えたマウスでは、遺伝子765個に発現の変化が起こった。これらはプールされた結果であることから、遺伝子発現の変化の多くはマウス間の個々の変動による。しかし、対照群から変化した遺伝子は、カロリー制限マウスおよびオキサロアセテート投与マウスの双方によって共通に発現され、これらの遺伝子は、比較される自由に飼料を与えた対照群と比較して身体的変化の類似性に関する促進理由として見なされうる。報告された身体的変化には体重の減少、健康な期間および疾患に対する抵抗性の増加、ならびに寿命の増加が含まれる。遺伝子363個は、対照マウスから共通の変化を示した。これらの遺伝子363個の中で、357個は、対照群と同じ方向に、遺伝子の発現のアップレギュレーションまたは遺伝子の発現のダウンレギュレーションのいずれかを示す。対照群と比較して類似のように発現されたこれらの遺伝子357個が、寿命の正の変化の原因であることは明白である(全ての遺伝子の98%が対照群と比較して共通に変化した)。他の動物において発現されたこれらの遺伝子の相同体は、類似の身体効果を有すると考えられる。寿命の拡大に明白に役立つ肝臓以外の他の組織において発現される他の遺伝子が存在する可能性があることに留意されたいが、肝臓は代謝の調節に関する重要な臓器の一つであり、カロリー制限を通して、哺乳動物の寿命および健康期間の増加にとって不可欠であることが示されている。
【0037】
肝組織において活性化された有益な遺伝子およびダウンレギュレートされた非有益遺伝子を表1および2に示す。
【0038】
(表1)一般的なAffymatrixマウスゲノム430 2.0アレイを変化させることが示されている遺伝子に関して、オキサロアセテートおよびCRマウス対対照マウスによって発現された遺伝子活性における、カロリー制限マウスおよびオキサロアセテートマウス対対照マウスの変化に関する遺伝子発現比較の方向性分析






























































【0039】
(表2)一般的なAffymatrixマウスゲノム430 2.0アレイを変化させることが示されている遺伝子に関して、オキサロアセテートおよびCRマウス対対照マウスによって発現された遺伝子活性における、カロリー制限マウスおよびオキサロアセテートマウス対対照マウスの変化に関する遺伝子発現比較の、カロリー制限またはオキサロアセテート遺伝子発現の方向性分析における1.7倍カットオフ






【0040】
表1は、遺伝子発現の方向性分析であり、対照群から発現が変化した遺伝子の98%が同様にオキサロアセテート補給群およびカロリー制限群においても共通に発現され、同じ方向(アップレギュレートまたはダウンレギュレート)に移動したことを示している。表1はさらに、カロリー制限および飼料におけるオキサロアセテート補給の双方が、望むだけ餌を食べた(自由に餌を与えた)対照群における発現遺伝子と比較して、遺伝子発現の変化を引き起こすことを説明している。表は、対照群から共通に発現が変化する遺伝子363個、および対照群と比較してオキサロアセテートおよびカロリー制限マウスに関する遺伝子発現における変化の方向性分析を報告する。
【0041】
表2は、オキサロアセテート補給マウスまたはカロリー制限マウスのいずれかにおいて共通に発現された遺伝子の、対照群と比較して変化した遺伝子発現の1.7倍増加および減少を示す。表2は、カロリー制限群のマウスまたはオキサロアセテート補給群のマウスのいずれかによって発現され、対照群と比較して発現が1.7倍またはそれより大きく増加(または減少)した遺伝子を明らかにする。個体の平均寿命および最大寿命はいずれも、過剰量のオキサロアセテートを生物に適用すると実質的に増加する。しかし、CRとは異なり、カロリー摂取を低減する必要はない。肝臓において、マウスにおけるSirt1遺伝子の増加は観察されなかったが、このことは他の組織におけるSirt1遺伝子の増加を除外するものではないことに注目することは興味深い。図3に示した本発明者らのC.エレガンスの実験において、Sir2(およびヒトにおけるSirt1のようなその相同体)は、対照動物に対して寿命の約10%の増加を加えることを示した。CRにおいてスイッチが入る他の有益な遺伝子は、平行して、しかしSir2型遺伝子とは独立した経路で作動するが、同様にオキサロアセテートによって活性化されて、より大きい量、さらに26%まで寿命を増加させる。Sir2型遺伝子と他の有益な遺伝子との活性化の間では、対照動物と比較して寿命の36%までの全体的な増加を得ることができることが示されている。
【0042】
本発明の一つの態様において、個体の寿命を拡大させるため、および加齢関連疾患の発症を低減させるために、オキサロアセテートの有効量を含む栄養サプリメントが提供される。オキサロアセテートは、細胞のサイトゾルにおいてNADHレベルを低減するように作用して、個体のカロリー制限または遺伝子改変を必要とすることなく、CRの際に観察されたレベルまでNAD+/NADH比を増加させる。オキサロアセテート化合物との細胞外接触およびその後のオキサロアセテートの細胞への移入により、NAD/NADH比を増加させて、有益な遺伝子を活性化させる代謝的変化が起こる。オキサロアセテートは、サイトゾルのリンゴ酸デヒドロゲナーゼとの相互作用によってマレートに変換される。この変換において、NADHはNAD+に変換され、これは細胞内NAD+/NADH比を増加させる。本発明は、NAD+/NADH比の増加が有益な遺伝子の活性化のシグナルを伝達し、それが細胞に作用して寿命を増加させて、加齢関連疾患の発症を低減させるという驚くべきそして新規発見に一部基づいている。
【0043】
本発明のもう一つの態様において、オキサロアセテートの有効量を、それを必要とする個体に投与する段階を含む、寿命を拡大させるための、および加齢関連疾患の発症を低減させるための方法が提供される。本明細書において用いられるように、「加齢関連疾患」という句は、年齢の進行に帰因することができる任意の数の病態を指す。これらの病態には、骨粗鬆症、骨量喪失、関節炎、こわばった関節、白内障、黄斑変性、ならびにアテローム性動脈硬化症および脂質異常症を含む心疾患が含まれるがそれらに限定されるわけではない。「加齢関連疾患」という句はさらに、アルツハイマー病および関連障害、パーキンソン病のような神経変性疾患、ならびに癌を含む。CRを受ける哺乳動物は、アルツハイマー病を含む神経障害の発生率が低減することが観察されている。細胞のサイトゾルへの過剰量のオキサロアセテートの添加によって、細胞においてCRと同じシグナル伝達メカニズムが起こり、神経保護にとって必要な有益な遺伝子のスイッチが入る。
【0044】
皮膚のハリおよび弾性の喪失と共に、加齢に関連したしわの深さの増加および毛穴の大きさの増加のような美容上の懸念も、「加齢関連疾患」の意味に同様に含まれる。「加齢関連疾患」にはさらに、しわ、皺皮、日焼けによる損傷、皮膚の艶のない外観、皮膚のたるみ、たれ肉、角化症、黒皮症、および色素沈着過度のような、加齢皮膚に関連した他の症状が含まれる。
【0045】
オキサロアセテートは、紫外(UV)光に供された皮膚および他の組織におけるDNAを保護するためおよびDNA修復を増強するために用いることができる。UVを遮断するサンスクリーンとは異なり、過剰量のオキサロアセテートの添加がCRにおいて存在する条件と同じ細胞内シグナル伝達条件を模倣することから、オキサロアセテートは、CRにおいて起こる場合と同じようにDNAに対する修復を増強する(Lipman et al.)。CRは、参考文献36、37、38、39、40、および44において概要されるメカニズムにより、多くの試験においてDNAに対する修復を増強することが示されている。CRを利用するのではなくて、CRを模倣するオキサロアセテートを用いる一つの長所は、CRの他の全ての型が生物全体で起こるのに対し、オキサロアセテートが皮膚に局在して、まさに接触した皮膚において「局所的なCR」条件を作製する点である。このように、オキサロアセテートを、UVサンブロックまたは化粧品と組み合わせて、UV損傷から皮膚細胞に対するDNA修復の進行中の増強を生じることができる。この損傷の低減および損傷の修復によって、より若く見える皮膚がより長期間維持され、皮膚癌の発生率が低減され、および皮膚癌の処置として用いられる、または皮膚癌の処置において役立つ可能性がある。
【0046】
オキサロアセテートは、インスリンシグナル伝達を妨害することによって、寿命を拡大させて加齢関連疾患の発症を低減させるためのもう一つの経路として作用しうる。インスリン様シグナル伝達は、加齢、代謝、および発達を制御することが示されている。シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)のdaf-2遺伝子およびage-1ホスホイノシチド3-キナーゼ遺伝子における変異によって、寿命の増加が起こる。インスリン様シグナル伝達経路はまた、加齢を遅らせるためのカロリー制限によって影響を受ける可能性がある。オキサロアセテートは、Kahn(Kahn, et al, Insulin Increases NADH/NAD+ Redox State, Which Stimulates Guanylate Cyclase in Vascular Smooth Muscle, American Journal of Hypertension, Ltd. 2002, Vol.15, 273-279)によって、インスリンシグナル伝達経路の少なくとも一部を遮断することが示されている。NADHはまた、MacDonald(MacDonald, et al, Histochemical Evidence for Pathways Insulin Cells Use to Oxidize Glycolysis-Derived NADH, Metabolism, Vol. 51, No. 3 (March), 2002, pp 318-321)によって示されるように、インスリンシグナル伝達にとって重要であり、サイトゾルに加えられたオキサロアセテートは、NADHの利用率を低減させる。
【0047】
オキサロアセテートによって寿命を拡大させて、加齢関連疾患の発症を低減させるための第三の経路は、ミトコンドリアDNAに対するオキサロアセテートの保護効果である可能性もある。Yamamoto, et al(Yamamoto et al,「Effect of alpha-ketoglutarate and Oxaloacetate on brain mitochondrial DNA damage and seizures induced by kainic acid in mice」, Toxicology Letters: 2003: 143: 115-122)は、オキサロアセテートおよびその前駆体であるα-ケトグルタレートがマウスにおいて脳のミトコンドリアDNAを損傷から保護することを示した。しかし、Yamamotoは、本発明において発見されたように、この保護が寿命を増加させうるか、または加齢関連疾患の発症を低減させうるかを教示することができなかった。
【0048】
オキサロアセテートは、寿命を拡大させて、加齢関連疾患の発症を低減させるために、単独で、またはもう一つの治療物質と併用して投与することができる。本明細書において用いられるように、「治療物質」という用語は、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質、酵素、ホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、サイトカインのような免疫刺激化合物、およびステロイドが含まれる広い用語である。適した抗生物質には、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、インダニル、メズロシリン、ペペラシリン、チカルシリン、アモキシシリン-クラブラン酸、アンピシリン-スルバクタム、ベンジルペニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン+タゾバクタム、チカルシリン+クラブラン酸、ナフシリン、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、セファジン、セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォテタン、セフォキシチン、セフプロジル、セフトメタゾール、セフロキシム、セフロキシムアクセチル、ラルカルベフ、セフジニル、セフチブテン、セフォペラゾン、セフィキシム、セフォタキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、リンコマイシン、トロレアンドマイシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキシン、スパーフロキサシン、トロバフロキサシン、オキソリン酸、ゲミフロキサシン、ペルフロキサシン、イミペネム、シラスタチン、メロペネム、アズトレオナム、アミカシン、ゲンタミシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パアロモマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、マフェニド、銀スルファジアジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、スルファメチゾール、リファブチン、リファンピン、リファペンチン、リネゾリド、キノプリスチン+ダルフォプリスチン、クロロアンフェニコ、コリステメテート、ホスホマイシン、イソニアジド、メテナミン、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、ニトロフラゾン、ノボビオシン、スペクチノマイシン、トリメトプリム、コリスチン、シクロセリン、カプレオマイシン、エチオナミド、ピラジナミド、パラ-アミノサリチル酸、およびエリスロマイシンエチルスクシネート+スルフイソキサゾールが含まれるがそれらに限定されるわけではない。適した化学療法剤の例には、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、エストラムスチン、イフォスファミド、プレドニムスチン、ブスルファン、チオテパ、カルムスチン、ロムスチン、メソトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、ダクチノムシン、ドキソルビシン、デュノルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、ニトマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、アマクリン、ミトキサントロン、タモキシフェン、ニルタミド、またはアミノグルテミドのような抗癌剤が含まれる。免疫刺激化合物には、ワクチンアジュバント、ワクチン、ペプチド、 IL-1、IL-2、IL- 12、IL-15、IFN-α、IFN-β、もしくはIFN-γのようなサイトカイン、またはフラボン酢酸のようなフラボノイド、およびキサンテノン-4-酢酸が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0049】
もう一つの治療物質と併用投与する場合、オキサロアセテートは、別個に、または抗生物質との単一製剤として投与することができる。別個に投与する場合、オキサロアセテートは、抗生物質と時間的に近位となるように投与すべきである。一つの態様において、治療物質とオキサロアセテートは、互いに1週間以内に投与される。もう一つの態様において、治療物質とオキサロアセテートは、互いに24時間以内に投与される。さらにもう一つの態様において、治療物質とオキサロアセテートは、互いに1時間以内に投与される。投与は経口、局所、または全身注射もしくは注入によって行うことができる。当業者によって認識されるように、他の投与法も同様に適している可能性がある。
【0050】
本明細書において、体重を調節するための、脂肪を低減させるための、肥満を処置するための、セルライト蓄積を低減するための方法および組成物が記述される。有益なCR遺伝子の活性化の他に、オキサロアセテートの投与によって、摂取した食物量によらず、細胞の脂肪細胞への分化がSir2(ヒトにおけるSirt1)の活性化によって遮断され、これはまた現在の脂肪細胞にその脂肪を落とさせることから、脂肪の低減が起こる。CRにおいて通常活性化されるヒトSirt1遺伝子の活性化は、脂肪貯蔵遺伝子を活性化させるタンパク質PPARγを鈍らせる。Sirt1活性化はまた、形成された脂肪細胞にその脂肪を落とさせる。本発明のいくつかの態様において、オキサロアセテートの有効量を投与することによって肥満を処置する方法が提供される。徐脂肪体重に対する過剰量の体脂肪として定義される肥満はまた、冠動脈疾患、脳卒中、および糖尿病の発生率の増加が含まれるがそれらに限定されるわけではない、多くの他の疾患にも寄与する。したがって、オキサロアセテートの投与は、肥満を処置するのみならず、肥満に関連した疾患を処置するために有益であると考えられる。一つの態様において、オキサロアセテートの有効量を投与する段階を含む、望ましくない体脂肪を低減するために非肥満個体を処置する方法が提供される。
【0051】
本発明のもう一つの態様において、オキサロアセテートは、癌の発生を低減させるために、または非癌様細胞に対する癌の拡散を停止させるために用いることができる。CRを受ける哺乳動物は40%まで低い癌の発生率を有する。CRは、DNAの修復を増強することが示されており(Lipman et al,「The influence of dietary restriction on DNA repair in rodents: a preliminary study」, Mech Ageing Dev 1989: 48: 135-43; Weraarchakul et al,「The effect of aging and dietary restriction on DNA repair」, Exp Cell Res 1989; 181:197- 204; Licastro et al,「Effect of dietary restriction upon the age-associated decline of lymphocyte DNA repair activity in mice」, Age 1988: 11: 48-52; Srivastava et al,「Decreased fidelity of DNA polymerases and decreased DNA excision repair in aging mice: Effects of caloric restriction」, Biochem Biophys Res Commun 1992: 182: 712-21; Tilley et al,「Enhanced unscheduled DNA synthesis by secondary cultures of lung cells established from calorically restricted aged rats」, Mech Ageing Dev 1992: 63" 165-76)、これは癌の発生率の低減に関する一つの理由であるかも知れない。過剰量のオキサロアセテートを細胞のサイトゾルに加えると、CRと同じシグナル伝達メカニズムが細胞において起こり、癌の保護にとって必要な有益な遺伝子のスイッチが入る。それに対して処置が向けられる悪性疾患には、原発性および転移性悪性固形腫瘍疾患、ならびに、急性および慢性骨髄性白血病、急性および慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群、真性赤血球増加症、および本態性血小板増加症が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0052】
アルコール組成物の効果に対抗するための方法および組成物が本明細書において開示される。オキサロアセテートの投与によって、NAD+/NADH比の増加が起こり、これは、アルコール摂取の効果に急速に対抗して、アルコールへの耽溺に関連した症状を低減させることができる。これらの症状には、頭痛、全般的な健康感不良、下痢、食欲減退、ふらつき、疲労、および悪心が含まれるがそれらに限定されるわけではない。他の症状には、より明白な二日酔い症状のいくつかが消失して、アルコールがもはや血液中に検出できなくなった後の、反応時間の減少、集中力の低下、取り扱い熟練の低下、および傷害に対するリスクの増加が含まれる。方法には、アルコールの量を消費した個体を同定する段階、およびオキサロアセテートの有効量をその個体に投与する段階が含まれる。本明細書において用いられるように、オキサロアセテートの有効量には、体重1 kgあたりオキサロアセテート約0.5 mg〜約75 mgが含まれる。好ましい態様において、オキサロアセテートの有効量は体重1 kgあたりオキサロアセテート約2 mg〜約40 mgの範囲である。以下により詳細に記述するように、好ましい態様において、オキサロアセテートは注射または経口摂取によって投与することができる。
【0053】
薬学的調製物および投与法
オキサロアセテートは、寿命を延長させるため、および/または加齢関連疾患および体重障害を改善するために、治療的有効量で個体に投与することができる。本明細書において用いられるように、「オキサロアセテート」には、オキサロ酢酸、酸の塩、またはオキサロアセテートの緩衝溶液、ならびにそれらの混合物が含まれる。この用語には同様に、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートのようなオキサロアセテートの前駆体が含まれる。
【0054】
治療的有効量は、寿命の延長、加齢関連障害の処置、および/または体重障害の症状の改善のような、望ましい効果が起こるために十分なオキサロアセテートの量を指す。
【0055】
有効量
オキサロアセテートの毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物において、標準的な薬学的技法によって、例えばLD50(集団の50%に対して致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)を決定することによって決定することができる。毒性対治療効果の用量比は治療指数であり、これは比LD50/ED50として表記されうる。マウスに関するα-ケトグルタレートのLD50は、5 g/kg体重より上である。オキサロアセテートのLD50は、5 g/kg体重より上である。オキサロアセテートは、あらゆる細胞のクエン酸サイクルに関係する化学物質から予想されるように、非常に毒性が低い。
【0056】
1968年に日本において行われたラットに関するオキサロアセテートの毒性試験は、83 mg/kg体重のレベルのオキサロアセテートが膵島に変化を引き起こしたことを示している。膵島のいくつかは大きさが減少して充血しており、α細胞は萎縮しているが、β細胞は過栄養で密に染色された。低用量の41 mg/kg体重では、ラットの膵臓は島細胞の増殖および過栄養のみを示した。肝臓、脳下垂体、副腎、および性腺は、特に変化を示さなかった(Yoshikawa, Kiyohiko,
「Studies on Anti-diabetic Effect of Sodium Oxaloacetate」, Tohoku Journal of Experimental Medicine, 1968, volume 96, pp. 127-141)。ヒトにおいて提唱されているより300%〜50,000%高い用量でマウスにおいてオキサロアセテートを用いた本発明者らによるさらなる試験は、毒性が陰性であることを示しており、マウスは対照群より長く生存する。妥当な量における本化合物の安全性は、化合物がヒト代謝物であることから保証される。
【0057】
ヒトにおける糖尿病に及ぼすオキサロアセテートの効果を調べる臨床試験において、糖尿病患者21人に100 mg〜1,000 mg(2〜10 mg/kg体重)を投与した。負の副作用を認めなかった。絶食時血糖レベルは患者において平均で24%下落して、患者21人中19人において尿中グルコースレベルが低下した(Yoshikawa)。
【0058】
静脈内注射によって投与されたオキサロアセテートの有効量の例は、体重1 kgあたりオキサロアセテート約0.5 mg〜約1 gの範囲である。好ましい態様において、オキサロアセテートの有効量は、体重1 kgあたりオキサロアセテート約2.0 mg〜40 mgの範囲である。有効量は、数時間の間に多数回、または連続的に注射することができる。有効経口量も同様に、体重1 kgあたりオキサロアセテート約0.5 mg〜約1 gの範囲であり、好ましい有効量の範囲は体重1 kgあたりオキサロアセテート約2 mg〜約40 mgである。例えば、体重約80 kgの成人男性には、オキサロアセテート約150 mg〜約3.5 g/日が経口投与されるであろう。オキサロアセテート濃度約0.5〜16 mMを含む皮膚局所製剤は有効である。CR試験は、1日おきにカロリーを制限することは毎日のCRと同じ有益な結果を生じることを示している。同様に、いくつかの態様において、一度遺伝子が活性化されれば、その効果は少なくとも2日間持続することから、オキサロアセテートは、1日おきに投与することができる。他の態様において、オキサロアセテートは毎食後3回投与される。
【0059】
製剤
本発明に従って用いるための薬学的組成物は、一つまたは複数の生理的に許容される担体または賦形剤を用いて通常のように調剤してもよい。このように、オキサロアセテートおよびその生理的に許容される塩および溶媒和化合物は、吸入もしくは吹送(口または鼻のいずれかを通して)による投与、または経口、口腔内、局所、経皮、非経口、もしくは直腸内投与のために調剤されてもよい。吸入の場合、オキサロアセテートの投与は、たとえ投与されたオキサロアセテートの用量が、生物全体に恩恵を与えるために必要な用量より少ない場合であっても、肺組織に直接加齢恩恵を提供するであろう。オキサロアセテートの吸入は、肺の加齢関連疾患の発症を遅らせて、肺疾患からの保護を提供するであろう。
【0060】
オキサロアセテートは酸性である。胃の内部条件も同様に非常に酸性であることから、酸性であることは、有益な量で化合物を摂取する生物に影響を及ぼす可能性が低い。酸性であることは、オキサロアセテートの直接適用によって恩恵を受ける可能性がある皮膚または肺が含まれるがそれらに限定されるわけではない他の組織に影響を及ぼす可能性がある。したがって、もう一つの態様において、問題の組成物は、オキサロアセテートを緩衝液もしくは塩基と混合することによって作製することができ、または送達された化合物が苛性でないようにオキサロアセテートの塩として用いることができる。これによって、特にオキサロアセテートが経口摂取によって送達されなくても、より高濃度のオキサロアセテートを生物に安全に送達することができる。
【0061】
経口投与の場合、薬学的組成物は、例えば結合剤(例えば、予めゼラチン処置されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、乳糖、微結晶セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、またはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容される賦形剤と共に通常の手段によって調製された、錠剤またはカプセル剤の形となりうる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングされてもよい。経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップ剤、もしくは懸濁液の形であってもよく、またはそれらは水もしくは他の適した媒体によって使用前に溶解される乾燥品の形であってもよい。そのような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素添加食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性媒体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または精製植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート、またはソルビン酸)のような薬学的に許容される添加剤と共に通常の手段によって調製されてもよい。調製物はまた、適当に応じて緩衝塩、着香料、着色料、および甘味料を含んでもよい。
【0062】
消化管からオキサロアセテートが吸収されると生物全体のオキサロアセテートレベルが増加するが、消化管における細胞とのオキサロアセテートの即時接触は、優先的に消化管細胞との接触であり、たとえオキサロアセテートの摂取量が生物全体に対して恩恵を提供するために不十分である場合であっても、結腸癌のような加齢関連疾患を低減させるであろう。
【0063】
経口投与のための調製物は、ふさわしくは活性化合物の制御された放出を生じるように調剤されてもよい。口腔内投与の場合、組成物は、通常の方法で調剤された錠剤またはロゼンジの形であってもよい。吸入によって投与する場合、本発明に従って用いるための化合物は、適した噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適した気体を用いることによって、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形で簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、一定量を送達するための弁を提供することによって決定してもよい。吸入器または吹き入れ器において用いるための、化合物と乳糖またはデンプンのような適した粉剤基剤との粉末混合物を含む、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジを調剤してもよい。
【0064】
UV曝露からDNAを保護するため、およびUV損傷のDNA修復を増強するため、同様に皺皮または皮膚のしわの処置のために、オキサロアセテートの好ましい投与法は局所適用である。本発明の局所薬学的および化粧品組成物は、広範な製品タイプに作成してもよい。これらには、ローション、クリーム、ビーチオイル、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、パスタ剤、ムース、および化粧品が含まれるがそれらに限定されるわけではない。これらの製品タイプは、溶液、乳剤、ゲル、および固体が含まれるがそれらに限定されるわけではないいくつかのタイプの薬学的または化粧品担体系を含んでもよい。溶液として調剤される本発明の局所薬学的および化粧品組成物には、典型的に薬学的に許容される水性または有機溶媒が含まれる。「薬学的に許容される水性溶媒」および「薬学的に許容される有機溶媒」という用語は、その中に抗しわオキサロアセテートを溶解することができ、許容される安全性特性(例えば、刺激および感作特徴)を有する溶媒を指す。適した薬学的に許容される水性溶媒の一例は蒸留水である。適した薬学的に許容される有機溶媒の例には、エタノールのような一価のアルコールおよびグリコールのような多価アルコールが含まれる。本開示の局所薬学的および化粧品組成物が、エアロゾルとして調剤されて、スプレーとして皮膚に適用される場合、噴射剤が溶液組成物に加えられる。
【0065】
一つの態様において、本発明の局所薬学的および化粧品組成物は、局所薬学的および化粧品として許容される皮膚軟化剤の適量をさらに含む。本明細書において用いられるように、「皮膚軟化剤」は、乾燥の予防または軽減と共に皮膚の保護のために用いられる材料を指す。広く多様な適した皮膚軟化剤が公知であり、本明細書において用いられてもよい。Sagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 32-43 (1972)は、適した材料の多数の例を含む。有用な皮膚軟化剤のクラスの例には、鉱油、ワセリン、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微結晶ロウ、ポリエチレンおよびペルヒドロスクアレンのような炭化水素油およびロウ;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ならびに水溶性およびアルコール溶解性のシリコングリコールコポリマーのようなシリコン油が含まれる。他の適した皮膚軟化剤には、植物および動物性脂肪のようなトリグリセリドエステル、ひまし油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、および大豆油を含む油;アセチル化モノグリセリドのようなアセトグリセリドエステル;エトキシル化グリセリルモノステアレートのようなエトキシル化グリセリド;脂肪酸のメチル、イソプロピルおよびブチルエステルを含む脂肪酸のアルキルエステル;ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、および乳酸セチルを含むアルキルエステル;ならびにミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、およびオレイン酸オレイルのような脂肪酸のアルケニルエステルが含まれる。他の適したクラスの皮膚軟化剤には、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸、およびエルカ酸のような脂肪酸;ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、およびエルシルアルコールのような脂肪アルコールと共に2-オクチルドデカノール;脂肪アルコールエーテル;エトキシル化脂肪アルコール;エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルのようなエーテル-エステル;ラノリンおよびラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキソール化コレステロール、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、リノレン酸ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコールのアセテート、リシノール酸ラノリンアルコールのアセテート、エトキシル化アルコールエステルのアセテート、ラノリンの水素化分解、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリンが含まれ、ならびに液体および半固体ラノリン吸収塩基は、ラノリンに由来する皮膚軟化剤の例である;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール2000および4000、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200〜6000、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000、および5000、ポリ[エチレンオキサイド]ホモポリマー(100,000〜5,000,000)、ポリアルキレングリコールおよび誘導体、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトヘキサジオールUSP(2-エチル-3-ヘキサンジオール)、C15〜C18ビシナルアルコール、およびトリメチロールプロパンのポリオキシプロピレン誘導体;エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸エトキシル化プロピレングリコール、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、モノステアリン酸エトキシル化グリセリル、モノステアリン酸1,3-ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3-ブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのような多価アルコールおよびポリエーテル誘導体;蜜ロウ、クジラロウ、ミリスチン酸ミリスチル、およびステアリン酸ステアリルのようなロウエステル;蜜ロウ誘導体、例えばポリオキシエチレンソルビトール蜜ロウ;カルナウバロウおよびカンデリラロウを含む植物性ロウ;レシチンおよび誘導体のようなリン脂質;例えばコレステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルを含むステロール;脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アミド、および固体脂肪酸アルカノールアミドのようなアミドが含まれる。皮膚のコンディショニングを提供する特に有用な皮膚軟化剤は、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、乳酸およびその塩、尿素、ピロリドンカルボン酸およびその塩、アミノ酸、グアニジン、ジグリセロールおよびトリグリセロールである。
【0066】
または、組成物はローションとして調剤されうる。ローションは、溶液担体系から作成されうる。いくつかの態様において、ローションには、皮膚軟化剤約1%〜約20%、例えば約5%〜約10%、および水約50%〜約90%、例えば約60%〜約80%が含まれる。
【0067】
溶液担体系から調剤されてもよいもう一つのタイプの製品は、クリームまたは軟膏である。軟膏は、動物または植物性の油または半固体炭化水素(油性)の単純な基剤を含みうる。軟膏にはまた、水を吸収して乳剤を形成する吸収軟膏基剤が含まれうる。任意で、軟膏担体は水溶性である。軟膏には、皮膚軟化剤約2%〜約10%に加えて濃化剤約0.1%〜約2%が含まれうる。適した濃化剤の例には:セルロース誘導体(例えば、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース)、合成高分子量ポリマー(例えば、カルボキシビニルポリマーおよびポリビニルアルコール)、植物性親水コロイド(例えば、カラヤゴムおよびトラガカントゴム)、粘土濃化剤(例えば、コロイド性ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよびベントナイト)、およびカルボキシビニルポリマー(CARBOPOLS(登録商標);B.F. Goodrich Companyより販売、そのようなポリマーは1975年7月2日に公表されたBrown、米国特許第2,798,053号において詳細に記述されている)が含まれる。本明細書において有用な濃化剤のより完全な開示は、Sagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 72-73 (1972)において見いだされうる。担体が、乳剤として調剤される場合、担体系の約1%〜約10%、例えば約2%〜約5%が乳化剤を含む。適した乳化剤には、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性乳化剤が含まれる。例としての乳化剤は、例えばMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers, North American Edition, pages 317-324 (1986)において開示されている。好ましい乳化剤は陰イオンまたは非イオン性であるが、他のタイプも同様に用いることができる。
【0068】
水中油型および油中水型のローションおよびクリームのような単一の乳液スキンケア調製物は、化粧品の技術分野において周知であり、本発明の態様において有用である。水中油中水型のような多相乳剤組成物も同様に本発明の態様において有用である。一般的にそのような単相または多相乳剤は、必須成分として水、皮膚軟化剤、および乳化剤を含む。シリコン中水中油型液体乳剤組成物を含む三剤乳剤担体系も同様に本発明の態様において有用である。
【0069】
本開示の局所薬学的および化粧品組成物において有用なもう一つの乳剤担体系は、マイクロエマルジョン担体系である。そのような系は好ましくは、スクアラン約9%〜約15%;シリコン油約25%〜約40%;脂肪アルコール約8%〜約20%;ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸(商標Tweenとして市販されている)または他の非イオン乳剤約15%〜約30%;および水約7%〜約20%を含む。この担体系は、先に記述した治療物質と併用される。
【0070】
本開示の局所薬学的および化粧品組成物が、ゲルまたは化粧品スティックとして調剤される場合、上記で開示された適量の濃化剤をクリームまたはローション製剤に加える。本開示の局所薬学的および化粧品組成物はまた、ファンデーション、ほお紅、および口紅のようなメーキャップ製品として調剤されてもよく、染料、乳白剤、顔料、および香料のような通常の化粧品補助剤を含みうる。ファンデーションは、アルギン、キサンタンガム、セルロースガム、コカミドDEA、グアーガム、ラノリンアルコール、パラフィン、およびプロピレングリコールのような濃化剤、ウルトラマリンブルー、二酸化チタン、およびカルミンを含む顔料、FD&C Red No.40およびFD&C Yellow No. 5のような着色剤、保湿剤、ならびに芳香剤の適量を有する液体またはローション基剤のファンデーションである。任意で、ファンデーションには、サンスクリーンが含まれうる。本開示の局所薬学的および化粧品組成物は、上記の成分の他に、局所組成物において通常用いられる広範なさらなる脂溶性材料および/または水溶性材料をその確立されたレベルで含んでもよい。様々な水溶性材料も同様に本発明の組成物に存在してもよい。これらには、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、アルコキシル化グルコース、およびヘキサントリオール、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、植物性ゴムおよびVEEGUM(登録商標)(ケイ酸アルミニウムマグネシウム、R. T. Vanderbilt, Inc.)のような粘土のような保水剤;タンパク質およびポリペプチド、ヒドロキシ安息香酸のメチル、エチル、プロピル、およびブチルエステル(Parabens(登録商標)-- Mallinckrodt Chemical Corporation)、EDTA、メチルイソチアゾリノンおよびイミダゾリジニルウレア(Germall 115(登録商標)-- Sutton Laboratories)のような保存剤;ならびに望ましければ、存在する可能性がある脂肪酸または濃化剤の一部を中和するための水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのようなアルカリ剤が含まれる。
【0071】
いくつかの態様において、オキサロアセテートは、シャンプーまたはコンディショナーのようなヘア製品として調剤されうる。これらの製品の使用は、皮膚の加齢の低減および癌を含む加齢関連皮膚疾患の発症の遅延を含む、ユーザーに対して二重の恩恵を有するであろう。オキサロアセテートは、髪に局所適用した場合に、同様に抜け毛および白髪化を予防または低減することができる。
【0072】
本開示の局所薬学的および化粧品組成物にはまた、浸透増強物質の安全かつ有効量が含まれうる。他の通常のスキンケア製品添加剤も同様に本発明の組成物に含まれてもよい。例えば、コラーゲン、エラスチン、加水分解物、桜草油、ホホバ油、上皮細胞増殖因子、ダイズサポニン、ムコ多糖類、およびその混合物を用いてもよい。様々なビタミンも同様に本発明の組成物に含まれうる。例えば、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンB2、ビオチン、パントテン酸、ビタミンDおよびその混合物を用いることができる。
【0073】
いくつかの態様において、オキサロアセテートを含む組成物を抗しわ皮膚洗浄組成物に組み入れる。皮膚洗浄組成物は、オキサロアセテートの他に化粧品として許容される界面活性剤を含む。「化粧品として許容される界面活性剤」という用語は、有効な皮膚クレンザーのみならず、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を示すことなく用いることができる界面活性剤を指す。さらに、界面活性剤は、哺乳動物の皮膚におけるしわを処置するための組成物の有効性を実質的に低減するであろう相互作用がないように、抗しわ成分と混合されることができなければならない。活性成分の化粧品有効量の他に、本開示の皮膚洗浄組成物は、化粧品として許容される界面活性剤約1%〜約90%、好ましくは約5%〜約10%を含む。皮膚洗浄組成物の物理的形状は重要ではない。組成物は、例えば化粧用バー、液体、パスタ剤、またはムースとして調剤されうる。化粧用バーは、これが皮膚を洗浄するために最も一般的に用いられる洗浄剤の形であることから最も好ましい。開示の組成物の界面活性剤成分は、陰イオン、非イオン、両イオン、両性、および両性界面活性剤と共にこれらの界面活性剤の混合物からなる群より選択される。そのような界面活性剤は洗浄剤技術分野の当業者に周知である。本開示の洗浄組成物は任意で、皮膚洗浄組成物において通常用いられる材料をその技術分野で確立されたレベルで含みうる。
【0074】
皮膚のしわの処置のための他のスキンケア製品は、さらなる活性成分の組み合わせを含んでもよい。そのような組み合わせには、例えばサンスクリーンおよびサンブロックが含まれる。U.V.光に対する曝露に帰因する皮膚のしわの最適な調節は、サンスクリーンまたはサンブロックと共にオキサロアセテートの組み合わせを用いることによって得ることができる。有用なサンブロックには、例えば酸化亜鉛および二酸化チタンが含まれる。光による損傷は皮膚のしわの主な原因である。このように、しわの予防の目的のために、開示の組成物とUVAおよび/またはUVBサンスクリーンとの併用が最も望ましいであろう。本発明の組成物にサンスクリーンを含めることは、急激なUV損傷に対して即時の保護を提供するであろう。このように、サンスクリーンはUV照射によって引き起こされるさらなるしわの形成を予防し、一方抗しわ剤は、既存のしわおよび皮膚の萎縮を処置して、皮膚の細胞におけるDNA修復を増強する。
【0075】
広く多様な通常のサンスクリーン物質が抗しわ製剤と併用して用いるために適している。Sagarin, et al., at Chapter VII, pages 189 et seq., of Cosmetics Science and Technologyは、多数の適した物質を開示している。特に適したサンスクリーン物質には、例えばp-アミノ安息香酸、その塩、およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル;p-ジメチルアミノ安息香酸);アントラニレート(すなわち、o-アミノベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル);サリチレート(アミル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステル);桂皮酸誘導体(メチルおよびベンジルエステル、α-フェニルシナモニトリル;ピルビン酸ブチルシナモイル);ジヒドロ桂皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセトウンベリフェロン);トリヒドロキシ桂皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド、エスクレチンおよびダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザラクトンおよびベンザルアセトフェノン;ナフトスルホネート(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸および2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩)、ジヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o-およびp-ヒドロキシビフェニルジスルホネート;(7-ヒドロキシ、7-メチル、3-フェニル);ジアゾール(2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンズオキサゾール、メチルナフトキサゾール、様々なアリールベンゾチアゾール);キニン塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8-ヒドロキシキノリン塩、2-フェニルキノリン);ヒドロキシまたはメトキシ置換ベンゾフェノン;尿酸およびビロ尿酸(vilouric acid);タンニン酸およびその誘導体(例えば、ヘキサエチルエーテル);(ブチルカルボトル)(6-プロピルピペロニル)エーテル;ハイドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゼンスルイソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、2,2',4,4'-テトラヒドロキシ-ベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン;4-イソプロピイ(isopropyi)ジベンゾイル-メタン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン;および4-イソプロピル-ジベンゾイルメタン)が含まれる。製剤の望ましいサンスクリーン特性を最適にするために、サンスクリーン化合物の混合物を用いてもよい。サンスクリーンの安全かつ有効量を、本発明の組成物において用いてもよい。サンスクリーン物質は、抗しわ剤と適合性でなければならない。一般的に、組成物は、サンスクリーン物質約1%〜約20%、好ましくは約2%〜約10%を含んでもよい。正確な量は、選択したサンスクリーンおよび望ましいサンプロテクションファクター(SPF)に依存して変化するであろう。それらの組成物の皮膚直接性を改善するために、特に水によって洗浄除去されるまたは擦り落とされることに対するその抵抗性を増強するための物質を、本発明の任意の組成物に加えてもよい。
【0076】
本発明のなおさらなる態様において、局所に送達されるオキサロアセテートは、ジメチルスルホキシド(DMSO)、蔗糖脂肪酸エステルのスルホキシドもしくはリン酸オキシドとの組み合わせ、またはオイゲノールのような浸透増強剤と混合することができ、それによってオキサロアセテートは皮膚組織により急速に移動することができ、次にそこでのSirt1遺伝子の刺激が脂肪組織の低減を引き起こすであろうセルライト組織を含む、より深い細胞組織へと移動することができる。
【0077】
一つの態様において、開示の化合物は、局所送達系を通して投与される。そこから活性成分が徐々に放出される埋め込み型または注射型ポリマーマトリクス、および経皮製剤も同様に、周知であり、開示の方法において用いることができる。先に記述された徐放性成分は、開示の化合物を送達する手段として用いることができる。組成物にはさらに、保存剤、抗酸化剤、皮膚浸透増強剤、および徐放性材料のような、適用された製剤の安定性または有効性を改善するように適合させた成分が含まれうる。そのような成分の例は、参照により本明細書に組み入れられる、以下の参照研究において記述されている:Martindale - The Extra Pharmacopoeia (Pharmaceutical Press, London 1993) and Martin (ed.), Remington 's Pharmaceutical Sciences。
【0078】
徐放性調製物は、オキサロアセテートと複合体を形成する、または吸収するためにポリマーを用いることによって得ることができる。制御された送達は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレンビニル酢酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および硫酸プロタミンのような適当な高分子を選択することによって行うことができ、活性化合物の放出の制御を得るために、これらの高分子の濃度ならびに組み入れる方法が選択される。
【0079】
オキサロアセテートが経時的に徐々に放出するように水性構成成分に溶解されているハイドロゲルは、エチレングリコールメタクリレートのような親水性モノオレフィンモノマーの共重合によって調製されうる。オキサロアセテートが担体材料のマトリクスに分散されるマトリクス装置を用いることができる。担体は、多孔性、非多孔性、固体、半固体、透過性、非透過性でありうる。または、速度制御膜によって取り囲まれたオキサロアセテート化合物の中心リザーバーを含む装置を用いて、オキサロアセテートの放出を制御することができる。速度制御膜には、エチレン酢酸ビニルコポリマーまたはブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレンエーテルテレフタレートが含まれる。シリコンラバーデポーの使用も同様に企図される。
【0080】
もう一つの態様において、経皮パッチ、不浸透性の裏打ち剤と膜面とに挟まれた定常状態リザーバー、および経皮製剤も同様に、オキサロアセテートを送達するために用いることができる。経皮投与システムは当技術分野で周知である。活性物質を皮膚または粘膜に投与するための密封性の経皮パッチは、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,573,996号、第4,597,961号、および第4,839,174号において記述されている。一つのタイプの経皮パッチは、その中を通って活性物質が皮膚に拡散するポリマーマトリクスに、活性物質が溶解されているポリマーマトリクスである。そのような経皮パッチは、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,839,174号、第4,908,213号、および第4,943,435号において開示されている。一つの態様において、定常状態リザーバーは、約2 mg〜40 mg/日の用量でオキサロアセテートの用量を有する。
【0081】
本発明の経皮パッチ系は、数日および数週間までのより長期間にわたって少量を送達するように設計される。シリコンポリマーマトリクスを通して開示のオキサロアセテートが分散している速度制御微小多孔性の外膜、またはマイクロポケットを用いて、放出速度を制御することができる。そのような速度制御手段は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,676,969号において記述されている。もう一つの態様において、オキサロアセテートは、患者の皮膚にパッチから約20〜30分またはそれ未満で放出される。
【0082】
これらの経皮パッチおよび製剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、蔗糖脂肪酸エステルとスルホキシドもしくはリン酸オキシドとの組み合わせ、またはオイゲノールのような浸透増強剤を伴って、または伴わずに用いることができる。電解質経皮パッチを用いることもまた、本明細書に開示された方法の範囲内である。電解質経皮パッチは、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,474,527号、第5,336,168号、および第5,328,454号において記述されている。
【0083】
オキサロアセテートは、注射による非経口投与のために、例えばボーラス注射または持続的注入のために調剤されてもよい。注射されたオキサロアセテートは、注射前に、抗生物質および他の薬剤、生理食塩液、血漿、および他の液体が含まれるがそれらに限定されるわけではない他の有益な物質と混合することができる。上昇レベルのオキサロアセテートと血管系の細胞との即時接触によって、オキサロアセテートの量が生物全体に加齢関連恩恵を提供するためには不十分である場合であっても、動脈の硬化のような加齢関連疾患の低減が得られる。注射用製剤は、単位投与剤形で、例えばアンプルまたは多用量容器で、保存剤を加えて呈されてもよい。組成物は、油性または水性媒体における浮遊液、溶液、または乳液のような形状をとってもよく、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤のような調剤用物質を含んでもよい。または、活性成分は、適した媒体、例えば滅菌の発熱物質を含まない水によって使用前に溶解するための粉末形状であってもよい。
【0084】
オキサロアセテートは、カカオバターまたは他のグリセリドのような通常の坐剤基剤を含む、坐剤または浣腸のような直腸組成物に調剤されてもよい。
【0085】
先に記述した製剤の他に、オキサロアセテートはまた、デポー剤調製物として調剤されてもよい。そのような長期間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与されてもよい。このように、例えば化合物は、適したポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容される油における乳剤として)もしくはイオン交換樹脂と共に、または溶解度の低い誘導体として、例えば溶解度の低い塩として調剤されてもよい。
【0086】
組成物は、望ましければ、活性成分を含む一つまたは複数の単位投与剤形を含んでもよいパックまたはディスペンサー装置として呈されてもよい。パックは、例えばブリスターパックのような金属またはプラスチックホイルを含んでもよい。パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書を伴ってもよい。
【0087】
さらになおもう一つの態様において、オキサロアセテートは、ペットおよび他の動物の寿命および全般的健康を増加させるために動物用飼料と混合することができる。オキサロアセテートは、動物飼料の一部として調剤されうる、または動物の飼料に対するサプリメントとして個々に投与されうる。当業者に公知であるように、乾燥ペットフード、典型的に乾燥ドッグフードは通常、タンパク質、脂肪、繊維、非繊維炭水化物、無機質、ビタミンおよび水分成分を含む。例えば、主成分として、典型的に一種または二種の穀粒、一般的にトウモロコシ、小麦、および/またはコメが存在する。さらに、タンパク質源に関してそれらは家禽の粉、副産物肉、肉、および骨粉、または他の動物もしくは魚粉副産物を含んでもよい。同様に時に、トウモロコシグルテン、大豆粉、または他の脂肪種子粉のような穀類タンパク質補給剤を加えてもよい。固形飼料の重量で約0.01%〜0.1%のオキサロアセテートの有効量の他に、本発明の動物固形飼料にはさらに以下が含まれる:飼料乾燥物質における典型的な栄養含有量には、粗タンパク質約14%〜50%、通常20%〜25%;粗脂肪約5%〜25%が含まれ;および粗繊維は、通常約3%〜14%、通常約5%〜7%で存在し、総無機質または灰含有量は3%〜10%、通常4%〜7%の範囲である。本発明と共に用いるための多くの通常のおよび満足のゆく飼料が市販されていることから、重要な点は、ペットフードの正確な処方ではない。むしろ、成功への鍵は、どの処方を用いても、寿命を増加させるため、体重を低減させるため、および加齢関連障害を処置するために必要な範囲のオキサロアセテート活性レベルを提供するために、オキサロアセテート成分の十分量がペットフード糧食に加えられる点である。
【実施例】
【0088】
実施例
本明細書の特定の局面は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されうるが、これらの実施例は本明細書の教示を例示することを意図しており、特定の例示された態様にその範囲を制限しない。
【0089】
実施例1
シノラブディス・エレガンス線虫の遺伝子学は十分に理解され、基礎細胞エネルギー経路がヒトを含む全ての動物種を通して良好に保存されていることから、シノラブディス・エレガンス線虫が試験動物として一般的に用いられる。代謝エネルギー経路に関するこれらの十分に理解された虫による試験は、動物界における試験である。エネルギー経路の保存は、CRが、調べた全ての動物種において作用する理由である。
【0090】
C.エレガンス(N2野生型、Carolina Biological Supply)を試験生物として用いて、寿命を拡大させるため、およびカロリー制限の「模倣」として作用させるために、細胞に適用されたオキサロアセテート(Sigma Aldrich Company)療法の付加を評価した。オキサロアセテートを、C.エレガンスが存在する実験プレート8枚において線虫成長寒天(Carolina Biological Supply Company)に16 mMの濃度で混合した。同じ線虫成長寒天を有する対照プレート8枚の類似の組も同様に調製した。オキサロアセテートプレート8枚および対照プレート8枚にはいずれも、卵が生きている子孫へと生育しないように、80 μMの5'フルオロデオキシウリジン(Sigma Aldrich Company)が含まれた。さらに、線虫成長寒天を用いて、5'フルオロデオキシウリジンを含まない「スタータープレート」5枚を作成した。
【0091】
全てのプレートに、線虫の食物源として大腸菌(E. coli)を含む細菌ルリアブロス0.5 mlを画線した。細菌をプレート上で37℃で数日間成長させてからC.エレガンスを加えた。
【0092】
C.エレガンス線虫10匹を「スタータープレート」5枚のそれぞれに移して、プレートを12時間放置して産卵させた。次に、C.エレガンスを除去して卵を若い成体まで2日間成長させた。次に線虫10匹を、スタータープレートからマイクロプローブによって虫を「つまむ」こと、および標的試験プレートにそれを移すことによって、各対照プレートおよびオキサロアセテートプレートに移した。
【0093】
C.エレガンス10匹によってスタータープレートを開始した翌日を「0日」とし、これを推定の誕生日とした。C.エレガンスに直射日光が当たらないようにして、温度を21℃に上昇させた。C.エレガンスを有するプレートを毎日計数して死亡した線虫の数を決定した。線虫は、プローブによって軽く突いてもはや反応しなくなった場合に死亡したと採点した。寿命は、線虫が孵化した時(寿命=0)から死亡したと採点された時まで経過した時間として定義した。プレートからはい出る、またはそうでなければアッセイの間に失った線虫は計算から除外した。死亡した線虫をプレートから毎日マイクロプローブによって除去した。総集団は見いだされた全ての死亡線虫の合計である。線虫の計数は、全ての線虫が死亡するまで継続した。次に、データを図表にして、図2に表す。
【0094】
データは、対照群に対してオキサロアセテートプレート上で生存している線虫において23.6%の平均寿命の増加を示した。最大寿命も同様に、オキサロアセテート含有プレートにおいて40%増加した。
【0095】
実施例2
実施例1における実験を、線虫成長寒天においてオキサロアセテートの濃度範囲に関して繰り返した。C.エレガンスに関する寿命の増加は、寒天における2 mMオキサロアセテートで認められ、4 mM、6 mM、8 mM、10 mM、12 mM、14 mM、および16 mM濃度で増加した。寿命の最高の増加は、調べた濃度に関して16 mM(約25%)であり、最低の増加は2 mM(約10%)であった。
【0096】
実施例3
スプリットマイシン単独と寒天、ならびにスプリットマイシンとオキサロアセテートおよび寒天を含むさらなるプレートも同様に用いたことを除き、実施例1における実験を繰り返した。スプリットマイシンは、Sir2遺伝子(酵母におけるSir2a、ヒトにおけるSirt1)に関する選択的阻害剤である。Sir2機能を阻害したがオキサロアセテートを含まないプレート上の線虫は、図3において反映されるように対照群より生存期間が短かった。図3は、CRと同様に、オキサロアセテートがSilent Information Regulator遺伝子(Sir2)をアップレギュレートして寿命を増加させることを図示している。これは同様に、他の有益なCR活性化遺伝子がオキサロアセテートによってアップレギュレートおよびダウンレギュレートされて、Sir2活性化がなくとも寿命を増加させることを示している。オキサロアセテートを含むプレート上の線虫は、対照群より約36%長く生存した。Sir2機能が阻害されたがオキサロアセテートを含むプレート上の線虫は、対照群より15%の寿命の増加を有した。このことは、Sir2がCRにおける寿命の増加の約1/3を構成するが、他のCR有益遺伝子が、寿命の増加の2/3もの多くに寄与することを証明している。これはまた、オキサロアセテートの添加によって活性化された遺伝子の一つがSir2(酵母におけるSir2a、ヒトにおけるSirt1)であることを証明する。
【0097】
ショウジョウバエ、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)(Vestigal型、Carolina Biological Supply)を試験生物として用いて、寿命を拡大させるため、およびカロリー制限「模倣体」として作用させるために、細胞に適用されたオキサロアセテート療法(Sigma Aldrich Company)の付加を評価した。ショウジョウバエはC.エレガンスより複雑であるが、カロリー制限を伴う代謝経路は、生命の基本構築ブロックであり、動物界を通して保存されている。バイアル4個(未処置の雄2、未処置の雌2)にハエ53匹を入れた試験群において、オキサロアセテートを蒸留水15 mlに16 mMの濃度で混合して、これを用いてドライフライフード(Carolina Biological Supply Company)15 mlを湿らせた。少量の酵母をフライフードの上部に加えた。ハエ56匹をバイアル4個(未処置の雄2、未処置の雌2)に入れた類似の対照群を、オキサロアセテートを加えなかったことを除き、同様に調製した。
【0098】
ハエを温度21℃で、反射した自然の太陽光を受ける部屋で維持した。用いたハエはそれぞれ、裸蛹状態から互いに8時間以内に出現した。
【0099】
ハエが試験バイアルに移動した日を「0日」として、これは成体へのハエの出現を反映した。ハエを直接の太陽光に当たらないように維持して温度を21℃に維持した。フードバイアルを3〜4日毎に調製して、ダニおよび他の病原性微生物の外寄生を防止するためにハエを移した。ハエを有するバイアルを毎日計数して死亡数対生存数を決定した。ハエは、プローブによって軽くつついてももはや反応しなくなった場合に死亡したと採点された。寿命はハエが成体期に入った時(寿命=0)からそれらが死亡したと採点された時までに経過した時間として定義した。フードバイアル間の移動により失われた、またはそうでなければアッセイ中に失われたハエを計算から除外した。死亡したハエをマイクロプローブによってバイアルから毎日除去した。総集団は、見いだされた全ての死亡したハエの合計である。ハエの計数は全てのハエが死亡するまで継続した。次に、データを図表にして図4に表す。
【0100】
データは、対照群に対して、オキサロアセテート補給バイアルにおいて生存したハエにおける平均寿命の20%の増加を示した。
【0101】
実施例5
実施例4における実験を、フードバイアルを3〜4日毎に交換しなかったこと、およびハエ71匹にオキサロアセテートを補給してハエ70匹には補給しなかったことを除き、繰り返した。これによって、ハエを攻撃する微生物病原体の外寄生が起こり、ハエを「ストレス」下に置いた。カロリー制限動物は、自由に飼料を与えた対照動物より良好にストレスから生存することは文献において周知である。実験からのデータを図表にして、図5に表す。
【0102】
データは、ストレス下での平均寿命と寿命の最大増加がいずれも30%増加することを示した。オキサロアセテート補給群は有意により長く生存し、このことはストレスに対する抵抗性の改善を示している(カロリー制限動物においても見いだされる)。
【0103】
実施例6
約9ヶ月齢のC57Bl/6系雄性マウスを、Harlan, San Diego, CAから役目を終えた繁殖動物として得た。これらのマウスは全て同じ日に生まれた。C57Bl/6系マウスは、個体間の遺伝子変動を低減させるための近交系である。マウスを個別ケージに収容して、自由な量の栄養強化フードペレット(Kadee)を提供した。摂取された食物量の重量を毎日測定して、マウスの体重を毎週測定した。2週間後、マウスによって摂取された平均食物量のベースラインはマウス1日あたり7.1 gであると確立された。さらに、一晩絶食後、各マウスの血中グルコースの値を各マウスに関して記録した。2週目の時点でマウスを等しい三つの群(初回体重および絶食時血糖測定に基づいて)、I)自由に飼料を与える「対照群」8匹;II)「カロリー制限」マウス8匹、最初は対照群より20%少ない飼料を2週間与え、その後対照群より40%少ない量を与える;およびIII)その飼料中にオキサロアセテートの増加量を与えたが自由に餌をとらせた「オキサロアセテート」補給マウス9匹、に分けた。
【0104】
雄性のC57Bl/6系マウスは、自由に餌をとらせると、年齢と共に体重が直線的に増加する。体重を21週間毎週測定して、個々の体重を記録して、3群のそれぞれに関して平均して「群の平均値」を形成した。「対照」群と「オキサロアセテート」補給群の体重の増加を図6に表すように図表にした。データは、対照群のマウスは体重が直線的に増加するが、オキサロアセテート補給は自由に餌をとらせた場合にマウスが獲得するであろう体重の量を減少させることを示している。オキサロアセテートの補給量が多ければ多いほど、体重増加の低減は用量依存的により大きかった。食物中のオキサロアセテートが0.4%の場合、両群に餌を自由にとらせたにもかかわらず、オキサロアセテートマウスは対照群より体重獲得が20%少なかった。
【0105】
本実験の結果は、哺乳動物における体重を低減させるために、オキサロアセテート補給を用いることができることを示している。
【0106】
実施例7
実施例6における実験を1ヶ月齢の雄性マウスについて繰り返した(実施例6において用いたマウスが9ヶ月齢であるのに対し)。先の実施例6の場合のように、若いC57Bl/6系マウスを体重によって三群に分けた:I)対照;II)カロリー制限;およびIII)オキサロアセテート補給。しかし、オキサロアセテートの用量を徐々に増加させる代わりに、実験開始からマウスに濃度0.4%のオキサロアセテートを供して、カロリー制限マウスには40%制限食を直ちに与えた。マウスの体重を毎週測定して、結果を図7に表されるようにプロットした。
【0107】
図7は、若いマウスが体重獲得の低減に関してオキサロアセテート補給に反応することを示している。オキサロアセテートの効果が十分に認められるには約3週間を要することに注目されたく、それ以降では体重の差は、用量を変化させないことにより一定のままであった。
【0108】
実施例8
実施例6のC57Bl/6マウスの3群のそれぞれのマウス3匹を21週間後に屠殺した。各動物の肝臓を抽出して、マウス3匹のそれぞれの組をプールして、Caoらによって記述されるように遺伝子活性に関して分析した。プールしたマウスの群の遺伝子発現は、オキサロアセテートの補給に反応して、対照群のマウスと比較してCR下のマウスと同様に変化することが示された。CRマウスは、遺伝子1,763個の発現において測定可能な変化を示したのに対し、オキサロアセテートマウスは遺伝子765個において測定可能な変化を示した。各群はマウス3匹のプールであることから、個々の反応には変動がある。群の身体の結果(体重減少、健康期間の増加、および寿命の増加)の変化は、群によって共通に発現される遺伝子により、個体間の変動ではない。このように、対照群から発現が変化したが、カロリー制限群とオキサロアセテート補給群の間で共通に発現される遺伝子を観察することが重要である。オキサロアセテート群とカロリー制限群で共通に発現され、対照群と比較してゲノム発現が変化した遺伝子は363個であった。これらの共通の遺伝子363個の方向性分析から、オキサロアセテート群のマウスとカロリー制限群のマウスで共通に発現された変化した遺伝子の98%が、対照群のマウスと比較して同じ方向に移動する(アップレギュレートまたはダウンレギュレート)ことが示された。このように、オキサロアセテートの補給は、カロリー制限下のマウスと同じゲノム変化を模倣し、遺伝子の98%が共通に対照群から発現が変化した。しかし、オキサロアセテートマウスは、その飼料を制限する必要はなく、自由に餌を食べた。オキサロアセテート摂取マウスとカロリー制限マウスとの変化における98%類似性はまた、オキサロアセテート補給マウスが対照マウスほど多くの体重獲得を示さず(先の実施例6および7)、より長生きしてより健康であった(以下の実施例9)という事実と結びつく。オキサロアセテート補給はカロリー制限と同じ不可欠なゲノム反応を模倣する(図8を参照されたい)。C.エレガンスおよびD.メラノガスターに与えたオキサロアセテートの有効量は、寿命を20〜36%増加させて、マウスの寿命の最小の増加は10%である。
【0109】
実施例9
実施例8において屠殺されなかった実施例6のC57Bl/6マウスを異なる三群として飼料を与え続けた:1)対照、2)カロリー制限、および3)オキサロアセテート補給(持続用量として飼料中に0.4%/重量)。カロリー制限群およびオキサロアセテート群は実験を通して最も健康な群であることが認められたが、対照群の一部は、間欠性の痒みの発作および皮膚の発赤を特徴とする炎症に罹患していた。本実験は特許のために本出願が提出された際に継続中であるが、オキサロアセテート群は対照群より長く生きて、カロリー制限群と少なくとも等しいことが最初に示されている。
【0110】
寿命のデータを図9に表し、これは生存21ヶ月目でオキサロアセテート補給が、群の寿命を対照群より少なくとも10%(なおも継続中)増加させ、カロリー制限群に少なくとも等しい(またはより良好である)。
【0111】
実施例10
体重約200 kgの肥満個体を同定して、オキサロアセテート1,000 mgを30日間1日おきに経口投与する。個体はカロリー制限を受けていない。体脂肪および体重の低減が処置後に観察される。
【0112】
実施例11
心疾患および骨粗鬆症を含む加齢関連障害を示す個体を同定する。個体の半数にオキサロアセテート約7 mg/kg体重の有効量を1日毎に30日間またはそれより多く投与する。残りの半数の個体にはプラセボを投与する。オキサロアセテートを投与された個体は、絶食時血糖値、絶食時インスリンレベル、トリグリセリド、Hs-CRPレベル、総コレステロール、LDLコレステロール、ならびに収縮期および拡張期圧の低減を含む、加齢に関連した症状の低減を示す。さらに、無処置個体と比較してアテローム性動脈硬化症のリスクの低減も同様に観察される。
【0113】
実施例12
2群の個体を太陽からのUV照射に曝露した。1群は、濃度8mMのオキサロアセテートを皮膚に塗布したが、対照群は塗布しない。両群の皮膚を、DNA修復の相対速度を測定するために、予定されていないDNA合成(UDS)に関して測定した。オキサロアセテートを有する群は、対照群よりUDSの有意な増加を有する。
【0114】
実施例13
2群の個体が、類似のタイプの癌腫瘍を有すると診断される。1群は、オキサロアセテート2,000 mg/日の用量のオキサロアセテートを服用し、対照群は服用しない。オキサロアセテートは、腫瘍が利用できるグルコース量を低減させ、カロリー制限において認められる方法と同様に腫瘍の成長を制限する。対照群は腫瘍の成長に制限を認めない。
【0115】
前述の説明は本発明の特定の態様を詳述する。しかし、前述の説明が本文においてどのように詳細に現れようとも、本発明は多くの方法で実践することができると認識されるであろう。同様に先に述べたように、本発明の特定の特色または局面を記述する際に特定の用語法を用いることは、用語法が関連する本発明の特徴または局面の特異的特徴を含むことに制限されるように、用語法が本明細書において再定義されていることを意味すると解釈してはならないことに注意しなければならない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその任意の同等物に従って解釈されるべきである。さらに、本出願を通して、様々な刊行物が参照されている。これらの刊行物における開示は、当技術分野の現状をより詳しく記述するために参照として本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の寿命を拡大させるための薬剤を製造するための、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される組成物の有効な寿命拡大量の使用。
【請求項2】
組成物が経口投与のために調剤される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
組成物が緩衝剤と共に調剤される、請求項1記載の使用。
【請求項4】
生物が哺乳動物である、請求項1記載の使用。
【請求項5】
哺乳動物がヒトである、請求項4記載の使用。
【請求項6】
化合物が局所投与される、請求項1記載の使用。
【請求項7】
化合物が非経口投与される、請求項1記載の使用。
【請求項8】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、およびオキサロアセテート塩からなる群より選択される化合物の有効量を投与する段階を含む、
カロリー摂取を低減させることなく、カロリー制限の有益な健康効果を模倣する方法。
【請求項9】
有益な健康効果が、体重減少、心機能の改善、および寿命の拡大からなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
化合物が経口投与のために調剤される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
化合物がさらに緩衝剤を含む、請求項8記載の方法。
【請求項12】
生物が哺乳動物である、請求項8記載の方法。
【請求項13】
哺乳動物がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
化合物が非経口投与される、請求項8記載の方法。
【請求項15】
抗菌剤、抗真菌剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質、酵素、ホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、免疫刺激化合物、およびステロイドからなる群より選択される治療物質を投与する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項16】
治療物質が化合物と別個に投与される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
治療物質が化合物と実質的に同時に投与される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物の有効量;ならびに
局所送達のために調剤される薬学的に有効な担体を含む、
皮膚の加齢の症状を処置するための組成物。
【請求項19】
薬学的に許容される担体が、クリーム、石けん、シャンプー、コンディショナー、軟膏、ローション、ゲル、膏薬、およびエアロゾルスプレーからなる群より選択される、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
皮膚軟化剤、サンスクリーン、保湿剤、および緩衝剤からなる群より選択される第二の有益な物質をさらに含む、請求項18記載の組成物。
【請求項21】
皮膚の加齢の症状が皺皮、しわ、たれ肉、日焼けによる損傷、皮膚の艶のない外観、皮膚のトートネス(taughtness)の喪失、角化症、色素沈着過度、黒皮症、および皮膚の退色からなる群より選択される、請求項18記載の組成物。
【請求項22】
組成物の吸収速度を改変するように作用する親油性物質をさらに含む、請求項18記載の組成物。
【請求項23】
皮膚の加齢の徴候を低減させるための薬剤の製造における、薬学的に許容される担体と共に局所投与のために調剤される、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される組成物の使用。
【請求項24】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を局所投与する段階を含む、太陽への曝露からDNAを保護するための、およびDNA損傷修復を増強するための方法。
【請求項25】
動物の寿命を増加させる、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物を含む、改善された動物固形飼料製剤。
【請求項26】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物の有効量を投与することによって、Sir2遺伝子および/または少なくとも一つの遺伝子相同体の活性を増加させるための方法。
【請求項27】
化合物が経口投与される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
化合物が緩衝剤と共に調剤される、請求項26記載の方法。
【請求項29】
生物が哺乳動物である、請求項26記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物がヒトである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
化合物が局所投与される、請求項26記載の方法。
【請求項32】
化合物が非経口投与される、請求項26記載の方法。
【請求項33】
遺伝子相同体がSirt1である、請求項26記載の方法。
【請求項34】
癌の発生率を低減するための薬剤の製造における、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される組成物の薬学的有効量の使用。
【請求項35】
シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、エストラムスチン、イフォスファミド、プレドニムスチン、ブスルファン、チオテパ、カルムスチン、ロムスチン、メソトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、ダクチノムシン、ドキソルビシン、デュノルビシン(dunorubicine)、エピルビシン、ブレオマイシン、ニトマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、アマクリン、ミトキサントロン、タモキシフェン、ニルタミド、およびアミノグルテミドからなる群より選択される化学療法剤を投与する段階をさらに含む、請求項34記載の使用。
【請求項36】
組成物が経口投与される、請求項34記載の使用。
【請求項37】
組成物が非経口投与される、請求項34記載の使用。
【請求項38】
化学療法剤が、化合物を投与する前に投与される、請求項35記載の使用。
【請求項39】
化学療法剤が、化合物の投与の後に投与される、請求項35記載の使用。
【請求項40】
化学療法剤が、化合物と実質的に同時に投与される、請求項35記載の使用。
【請求項41】
癌が、原発性および転移性悪性固形腫瘍疾患ならびに血液悪性疾患からなる群より選択される、請求項34記載の使用。
【請求項42】
血液悪性疾患が、急性および慢性骨髄性白血病、急性および慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群、真性赤血球増加症、および本態性血小板増加症からなる群より選択される、請求項41記載の使用。
【請求項43】
加齢に関連した疾患を処置するための薬剤の製造における、薬学的に許容される担体と共に調剤される、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される組成物の薬学的有効量の使用。
【請求項44】
疾患が骨粗鬆症、骨量減少、関節炎、こわばった関節、白内障、黄斑変性、および心疾患からなる群より選択される、請求項43記載の使用。
【請求項45】
疾患がアルツハイマー病およびパーキンソン病からなる群より選択される神経変性疾患である、請求項43記載の使用。
【請求項46】
アルコールの過剰消費に関連した症状を低減させるための薬剤の製造における、オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物の薬学的有効量の使用。
【請求項47】
症状が頭痛、全般的な健康感不良、下痢、食欲不振、ふらつき、疲労、および悪心からなる群より選択される、請求項46記載の使用。
【請求項48】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物と、サンスクリーン、化粧品担体、ビタミンからなる群より選択される第二の治療物質の少なくとも一つとを含む、局所投与のために調剤される問題の組成物。
【請求項49】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物と、治療物質とを含む治療的組成物。
【請求項50】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物の有効量を投与する段階を含む、
カロリー摂取を低減させることなく、カロリー制限の有益な健康効果の模倣をもたらす、細胞におけるNAD+対NADH比を増加させる方法。
【請求項51】
オキサロアセテート、オキサロ酢酸、オキサロアセテート塩、α-ケトグルタレートおよびアスパルテートからなる群より選択される化合物を投与する段階を含む、化合物の投与領域に限局して、動物の特異的組織においてカロリー制限を模倣する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−100323(P2013−100323A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−5607(P2013−5607)
【出願日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【分割の表示】特願2007−547024(P2007−547024)の分割
【原出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(507200570)
【Fターム(参考)】