説明

射出成形用金型

【課題】 ベント部材を射出成形用金型に対して正確に位置決めすることができ、しかも目詰まりやベント部材の膨張による閉塞によって、間隙を流体が通過できなくなるようなことがない射出成形用金型を提供する。
【解決手段】 射出成形用金型は、キャビティに溶融樹脂を射出して樹脂成形品を成形する。射出成形用金型は、樹脂成形品の表面を成形する表側キャビティ面と、樹脂成形品の裏面を成形する裏側キャビティ面28と、裏側キャビティ面28に開口する開口部32に連通する流路31と、開口部32に挿入されているベント部材36を備えている。そして、ベント部材36は、開口部32の内壁35に当接することによって位置決めされており、開口部32の内壁35とベント部材36との間に流体通過用の間隙70が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品を成形するために用いられる射出成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形用金型のキャビティに溶融した樹脂を射出することによって樹脂成形品を成形する射出成形技術が普及している。射出成形技術では、キャビティに射出した溶融樹脂が凝固するのを待って、樹脂成形品を射出成形用金型から取り出す。
樹脂は凝固するときに収縮する。樹脂が収縮すると、樹脂成形品がキャビティ面から剥がれてしまう。樹脂成形品がキャビティ面から剥がれてしまうと、樹脂成形品を意図した形状に仕上げることができない。
多くの樹脂成形品には、意図した形状に仕上げる必要がある面(意匠面又は表面)と、その裏側であって仕上がりが悪いことが許容される面(裏面)がある。特許文献1には、射出成形用金型のキャビティに溶融樹脂を射出した後に、樹脂成形品の裏面を成形するキャビティ面に開口する流路から、樹脂成形品の裏面に流体を注入する技術が開示されている。樹脂成形品の裏面に流体を注入すると、樹脂成形品の裏面がキャビティ面から剥離するとともに、樹脂成形品の意匠面(表面)はキャビティ面に密着した状態を維持する。樹脂成形品の意匠面がキャビティ面に密着した状態を維持すると、樹脂成形品の意匠面が意図した形状に仕上げられる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−58493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、樹脂成形品の裏面に注入する流体の圧力で樹脂成形品の裏面をキャビティ面から剥離させるものであるために、高い注入圧力が必要とされるのみならず、下記の問題を備えている。
樹脂成形品の裏面を成形するキャビティ面には、流体を注入する流路が開口している。そこでキャビティに射出した溶融樹脂が開口部に侵入しないようにしなければならない。開口部に溶融樹脂が侵入すると、樹脂成形品にバリが形成されてしまうし、開口部から流体を注入することができなくなってしまう。溶融樹脂は侵入せず、流体は通過する開口部を設けるのは簡単でない。
発明者は、流路の開口部にベント部材を挿入し、開口部内壁とベント部材の外壁との間に小さな隙間を設けることを試みた。その隙間を十分に小さくすると、溶融樹脂は粘度が高いので隙間に侵入できないのに対し、粘度が低い流体は隙間を通過して樹脂成形品の裏面に注入されるはずだからである。
確かに開口部内壁とベント部材の外壁との間の隙間を小さくすることによって、隙間に溶融樹脂が侵入することを防止できるようになったが、溶融樹脂の揮発成分がその隙間に析出して隙間が目詰まりしてしまう現象が生じる。また、ベント部材が熱膨張することによって、間隙が閉塞してしまうこともある。このために、樹脂成形品の裏面に注入したい流体が間隙を通過できないという問題が生じてしまう。析出しても目詰まりが生じなかったり、ベント部材が膨張しても閉塞しないほど大きな間隙を設ければ流体は通過することができるが、今度はベント部材を射出成形用金型に対して位置決めするのが困難となり、開口部内壁とベント部材の外壁との間の隙間を一定に管理するのが難しい。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ベント部材を射出成形用金型に対して正確に位置決めすることができ、しかも目詰まりやベント部材の膨張による閉塞によって、流体が通過できなくなるようなことがない間隙を確保できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が提供する射出成形用金型は、キャビティに溶融樹脂を射出して樹脂成形品を成形する。射出成形用金型は、樹脂成形品の表面を成形する表側キャビティ面と、樹脂成形品の裏面を成形する裏側キャビティ面と、裏側キャビティ面に開口する開口部に連通する流路と、開口部に挿入されているベント部材を備えている。そして、ベント部材は、開口部の内壁に当接することによって位置決めされており、開口部の内壁とベント部材との間に流体通過用の間隙が形成されている。
この射出成形用金型のベント部材は、開口部の内壁に当接することによって位置決めされている。また、開口部の内壁とベント部材との間に流体通過用の間隙が形成されている。ベント部材が開口部の内壁に当接することによって位置決めされていると、間隙が正確に形成される。ベント部材と開口部の内壁が当接していると、ベント部材が膨張しても、間隙が閉塞することが防止される。従って、流体が通過できなくなるようなことがない間隙を確保することができる。
【0007】
上記の射出成形用金型において、ベント部材は、開口部の、裏側キャビティ面に近い側の内壁に当接する第1当接部と、開口部の、裏側キャビティ面から遠い側の内壁に当接する第2当接部によって位置決めされており、ベント部材の第1当接部と第2当接部の間の部位と、開口部の内壁とによって空間が形成されていることが好ましい。
このように構成されていると、精度良く形成しなければならない当接部が小さくても、ベント部材を正確に位置決めすることができる。
【0008】
上記の射出成形用金型において、第1当接部と第2当接部に形成されている流体通過用の間隙が前記空間に流通しており、第1当接部に形成されている流体通過用の間隙が第2当接部に形成されている流体通過用の間隙よりも大きいことが好ましい。
【0009】
上記の射出成形用金型において、第1当接部に形成されている流体通過用の各間隙は、流体通過抵抗が略等しく、隣り合う間隙間の開口部周方向に沿う距離は、略等しいことが好ましい。
このように構成されていると、ベント部材の周囲から、流体がキャビティ内に略均一に流れ込む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ベント部材を射出成形用金型に対して正確に位置決めすることができ、しかも目詰まりしたり、ベント部材の熱膨張によって閉塞してしまい、流体が通過できなくなるようなことがない間隙を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を例示する。
(形態1)
樹脂成形品の表面を成形する表側キャビティ面と、樹脂成形品の裏面を成形する裏側キャビティ面と、裏側キャビティ面に開口する流路が設けられている射出成形用金型と、
裏側キャビティ面に開口する流路の開口部に挿入されているベント部材と、
流路からキャビティに流体を注入する注入手段を備えており、
ベント部材の外壁に、射出成形用金型の開口部の内壁に当接する当接面と、開口部の内壁から離反して流体が通過する空間を確保する凹部が交互に形成されていることを特徴とする射出成形装置。
【実施例】
【0012】
本発明の射出成形技術に係る一実施例を、図面を参照しながら説明する。
本実施例では、後述する射出成形装置20を用いて、図1に示す樹脂成形品12を射出成形する。樹脂成形品12は、例えば、自動車のバンパーである。樹脂成形品12は、意匠面(表面)14と、裏面16を持っている。意匠面14は、意図した表面形状に仕上げる必要がある面である。裏面16は、表面形状が重視されない面である。
図2に示すように、射出成形装置20は、成形型(射出成形用金型)22と加圧部21を備えている。成形型22は、第1型24と第2型25を有している。図2は、第1型24と第2型25が組み合わされることによって、成形型22が閉じた状態を示している。成形型22が閉じた状態では、第1型24の第1キャビティ面27と、第2型25の第2キャビティ面28によって、キャビティ26が形成される。成形型22を開くときには、第1型24と第2型25を分離する。キャビティ26の形状は、樹脂成形品12のそれに対応している。すなわち、第1型24の第1キャビティ面27は、樹脂成形品12の意匠面14を成形する。第2型25の第2キャビティ面28は、樹脂成形品12の裏面16と端面を成形する。
第1型24には、成形型22の外部と第1キャビティ面27を連通するゲート30が設けられている。ゲート30には、成形型22の外部に配置された射出ノズル(図示省略)から、溶融樹脂が射出される。
第2型25には、流路31と流路33が形成されている。流路31は、その一端が開口部32として第2キャビティ面28に開口するとともに、他端が外部に開口している。流路33も流路31と同様に、その一端が開口部34として第2キャビティ面28に開口するとともに、他端が外部に開口している。流路31の開口部32には、ベント部材36が挿入されている。流路33の開口部34にも、ベント部材38が挿入されている。ベント部材36、38は、挿入された状態で、図示しないボルトによって第2型25に固定されている。ベント部材36、38については、後述にて詳細に説明する。
【0013】
加圧部21は、流体配管40、フィルタ43、レギュレータ44、ソレノイドバルブ45、タイマー部46、コントローラ48を備えている。
流体配管40の一端42には、高圧な工場エアーが供給されている。流体配管40の他端側は、二叉に分岐している。流体配管40は、二叉に分岐してから流路31と流路33に接続されている。
フィルタ43、レギュレータ44、ソレノイド45は、流体配管40に介装されている。フィルタ43は、工場エアーから異物を除去する。レギュレータ44は、工場エアーの圧力を所定値(例えば、0.5MPa)に調圧(減圧)する。ソレノイドバルブ45は、通過流路を開閉する弁である。ソレノイドバルブ45が開いているときには、第2型25の流路31と流路33に、レギュレータ44によって調圧された加圧空気(工場エアー)が供給される。
タイマー部46は、ソレノイドバルブ45に接続されている。コントローラ48は、タイマー部46に接続されている。コントローラ48は、タイマー部46や、成形型22の開閉や、射出ノズルの動作等を統合的に制御している。コントローラ48は、成形型22が閉じ始めたタイミングで、タイマー部46に型閉信号を出力する。さらにコントローラ48は、成形型22が開き始めたタイミングで、タイマー部46に型開信号を出力する。タイマー部46が、入力された型閉信号と型開信号に基づいて実行する処理については、後述にて詳細に説明する。
【0014】
ベント部材36とベント部材38は同様の形状を有している。従って、以下においては、ベント部材36とベント部材38を、ベント部材36で代表して説明する。
図3に示すように、ベント部材36は、流路31の開口部32に挿入されている。説明の便宜上、図3における上下を、ベント部材36の上下とする。図4に示すように、ベント部材36は、第1当接部(浅部)52と、第2当接部(深部)55と、第1当接部52と第2当接部55の間に設けられた中間部54を有している。第1当接部52の側部には、上下方向に延びる凹部57が複数形成されている。以下においては、凹部57、57の間に形成されている凸部の頂面を第1当接面56と言う。なお、図4では、図示の明瞭化を目的として、凹部57の深さを大き目に図示している。
第2当接部55の側部61には、上下方向に延びる凹部60が4つ形成されている。図4では、その4つの凹部60の内の2つが図示されている。残りの2つの凹部60は、図4では裏側に隠れている。第2当接部55の下部には、水平方向に延びるとともに十字状に交差する凹部63が形成されている。以下においては、第2当接部55の側部61の凹部60以外の部分を第2当接面66と言う。また、第2当接部55の下部の凹部63以外の部分を第3当接面67と言う。
中間部54は、その側面65が、第1当接部52の凹部57の底と、第2当接部55の第2当接面66よりも内側に配置されている。
【0015】
図3に示すように、ベント部材36は、開口部32に挿入された状態で、第1当接部52の第1当接面56と第2当接部55の第2当接面66が、開口部32の内面35と当接するとともに、第2当接部55の第3当接面67が開口部32の下面69と当接する。ベント部材36が、第1当接面56と第2当接面66と第3当接面67によって開口部32と当接することで、ベント部材36はガタがない状態で、正確に位置決めされる。ベント部材36の上面68は、ベント部材36が開口部32に挿入された状態で、第2型25の第2キャビティ面28と面一に配置される。
図5に示すように、開口部32の内面35と、ベント部材36の凹部57によって、上下方向に延びる空間である通過孔70が形成される。
流路31に供給された加圧空気は、図4に矢印64で図示した位置からベント部材36の凹部63に流入する。凹部63に流入した加圧空気は、さらに中間部54と開口部32の内面35によって形成されている空間に入り込む。加圧空気は、この空間から、通過孔70(図5参照)を通過して成形型22のキャビティ26に流入する。中間部54と内面35によって形成されている空間が存在することによって、加圧空気の圧力が安定するとともに、加圧空気が通過孔70から均一にキャビティ26に流入する。
【0016】
射出成形装置20を用いて樹脂成形品12を成形する各工程について説明する。図6に示すように、樹脂成形品12を成形するときには、まず成形型22を型閉めする工程を実行する。ソレノイドバルブ45は、通常閉じている。よって、この時点では、成形型22の流路31、33に空気は供給されていない。
型閉工程に続いて、射出工程が実行される。射出工程が実行されると、射出ノズルから射出された溶融樹脂がゲート30を通過してキャビティ26に充填されてゆく。射出された溶融樹脂は、キャビティ26内を流動する。図7は、キャビティ26内を流動する溶融樹脂72の先端73(以下「メルトフロント73」と言う)がベント部材36上を通過する直前の状態を図示している。図8は、溶融樹脂72のメルトフロント73がベント部材36上を通過した直後の状態を図示している。
【0017】
タイマー部46は、コントローラ48から型閉信号が入力されると計時を開始する。そしてタイマー部46は、計時した時間に基づいて、溶融樹脂72のメルトフロント73がベント部材36上を通過した直後のタイミング(図8に示す状態)で、ソレノイドバルブ45に開弁信号を出力する。溶融樹脂72のメルトフロント75がベント部材36上を通過した直後のタイミングが、タイマー部46が計時を開始してからどれだけ時間が経過したときであるかは、あらかじめ設定されている。その設定にあたっては、開口部32の周囲近傍の圧力計測データや、キャビティ26内における溶融樹脂72の流動解析結果等が用いられる。
射出ノズルが溶融樹脂の射出を開始したタイミングで、コントローラ48が射出開始信号をタイマー部46に出力することもできる。その場合に、タイマー部46は、コントローラ48から射出開始信号が入力されてから計時を開始し、それに基づいて溶融樹脂72のメルトフロント75がベント部材36上を通過した直後のタイミングで、ソレノイドバルブ45に開弁信号を出力する。
ソレノイドバルブ45が開くと、流路31に加圧空気が供給される流体注入工程が行われる。図6に示すように、流体注入工程は、射出工程の途中から開始される。流路31に空気が供給されると、通過孔70から加圧空気がキャビティ26に注入される。キャビティ26に注入された溶融樹脂72は、温度が低下することによって収縮する。溶融樹脂72が収縮すると、溶融樹脂72と第2キャビティ面28との間に僅かな間隙が生じる。その僅かな間隙に、通過孔70から注入された加圧空気が入り込む。すると、溶融樹脂72と第2キャビティ面28が剥離する。なお、キャビティ26への溶融樹脂72の充填が完了してから、流路31、33に空気を供給することもできる。
【0018】
図6に示すように、射出工程が終了してから、保圧工程に移行する。保圧工程では、ゲート30からキャビティ26に加えられる圧力がほぼ一定に維持される。また、保圧工程の開始とともに、冷却工程も開始される。冷却工程では、第1型24と第2型25を通過している冷却配管(図2において図示省略)を通過する冷却水によって、樹脂72が冷却されて凝固する。冷却水は、全工程を通じて冷却配管を通過している。保圧工程が終了しても、流体注入工程と冷却工程は継続される。流体注入工程と冷却工程は、同時に終了される。流体注入工程と冷却工程が終了するタイミングで、タイマー部46はソレノイドバルブ45に閉弁信号を出力する。ソレノイドバルブ45が閉じると、キャビティ26への空気供給が停止される。
図9は、流体注入工程が終了したときの樹脂72の状態を図示している。空気が注入されたことによって樹脂72の裏面が第2キャビティ面28から剥離しており、樹脂72の表面は第1キャビティ面27に確実に密着している。よって、樹脂成形品12の意匠面は、良好に成形される。さらには、第2型25が中子を持っていることによって、第2キャビティ面28に段差が存在していても、裏面が第2キャビティ面28から剥離した状態で樹脂72の凝固が進行するので、段差の影響が意匠面14におよぶことがない。
次に、型開き工程に移行することによって、成形型22が開かれる。そして、最後に製品取出工程を実行して樹脂成形品12を成形型22から取り出す。
【0019】
既に説明したように、流路31に供給された加圧空気は、開口部32の内面35と、ベント部材36の凹部57によって形成される複数の通過孔70を通過してキャビティ26に注入される。溶融樹脂72は粘度が高い。通過孔70の開口は、溶融樹脂72の粘度が高いことを利用して、溶融樹脂72が通過孔70に侵入しない大きさに設定されている。また、ベント部材36は、第1当接面56と第2当接面66が、開口部32の内面35と当接するとともに、第3当接面67が開口部32の下面69と当接することによって正確に位置決めされている。このため、通過孔70の開口の大きさを確実に確保することができる。ベント部材36が正確に位置決めされていないと、通過孔70の開口の大きさが、正規のものより大きくなったり、小さくなったりする。通過孔70の開口が正規のものよりも大きいと、そこに溶融樹脂72が侵入してしまい、バリが発生するとともに、通過孔70が塞がれてしまう。通過孔70の開口の大きさが正規のものよりも小さいと、溶融樹脂72から発生する揮発成分に含まれる析出物(例えば、タルク分散剤)によって、通過孔70が目詰まりしてしまう。
本発明の射出成形装置20は、成形型22の通過孔70に溶融樹脂72が侵入せず、かつ通過孔70が目詰まりしないことが実現されている状態で、通過孔70から加圧空気を注入することによって、良好な樹脂成形品を射出成形することができる。
【0020】
ベント部材36の凹部57の好ましい深さは、0.03〜0.08mm程度である。凹部57の好ましい幅は、1〜2mm程度である。凹部57、57同士の好ましい間隔は、5〜10mm程度である。
ベント部材36の第1当接面56を、図4に示したよりも少なくすることもできる。例えば、第1当接部52の4つの側面のそれぞれに、第1当接面56を1つずつ配置する。このようにしても、ベント部材36が正確に位置決めされることによって、通過孔70の開口の大きさを確実に確保することができる。
【0021】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】射出成形装置が成形する樹脂成形品の一例を示す斜視図。
【図2】射出成形装置の系統図。
【図3】流路の開口部にベント部材が挿入された状態の断面図。
【図4】ベント部材の斜視図。
【図5】図3のV−V線断面図。
【図6】射出成形の工程説明図。
【図7】キャビティ内を溶融樹脂が流動する状態の説明図。
【図8】キャビティ内を溶融樹脂が流動する状態の説明図。
【図9】樹脂成形品が成形された状態の説明図。
【符号の説明】
【0023】
12:樹脂成形品
14:意匠面
16:裏面
20:射出成形装置
21:加圧部
22:成形型
24:第1型
25:第2型
26:キャビティ
27:第1キャビティ面
28:第2キャビティ面
30:ゲート
31:流路
32:開口部
33:流路
34:開口部
35:開口部の内面
36:ベント部材
38:ベント部材
40:流体配管
42:流体配管の一端
43:フィルタ
44:レギュレータ
45:ソレノイドバルブ
46:タイマー部
48:コントローラ
52:第1当接部
54:中間部
55:第2当接部
56:第1当接面
57、60:凹部
61:側部
63:凹部
64:加圧空気の流入位置を示す矢印
65:側面
66:第2当接面
67:第3当接面
68:ベント部
69:開口部の下面
70:通過孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティに溶融樹脂を射出して樹脂成形品を成形する射出成形用金型であり、
樹脂成形品の表面を成形する表側キャビティ面と、
樹脂成形品の裏面を成形する裏側キャビティ面と、
裏側キャビティ面に開口する開口部に連通する流路と、
開口部に挿入されているベント部材を備えており、
ベント部材は、開口部の内壁に当接することによって位置決めされており、
開口部の内壁とベント部材との間に流体通過用の間隙が形成されていることを特徴とする射出成形用金型。
【請求項2】
ベント部材は、開口部の、裏側キャビティ面に近い側の内壁に当接する第1当接部と、開口部の、裏側キャビティ面から遠い側の内壁に当接する第2当接部によって位置決めされており、
ベント部材の第1当接部と第2当接部の間の部位と、開口部の内壁とによって空間が形成されていることを特徴とする請求項1の射出成形用金型。
【請求項3】
第1当接部と第2当接部に形成されている流体通過用の間隙が、前記空間に流通しており、
第1当接部に形成されている流体通過用の間隙が、第2当接部に形成されている流体通過用の間隙よりも大きいことを特徴とする請求項2の射出成形用金型。
【請求項4】
第1当接部に形成されている流体通過用の各間隙は、流体通過抵抗が略等しく、
隣り合う間隙間の開口部周方向に沿う距離は、略等しいことを特徴とする請求項2又は3の射出成形用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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