説明

導電性バンプ形成用組成物及びそれを用いてなるプリント配線基板

【課題】バンプ形状が細長くなったり曲がったりすることなくバンプの先端部が丸みを帯びて積層時の絶縁体層貫通時に折れ難い構造となり且つ印刷時のバンプ高さのばらつきが小さくなると共に、連続印刷によるバンプ高さの変化及びバンプ高さのばらつきの変化が小さく、導電性バンプ形成用組成物及び印刷版の交換を削減することができ、プリント配線基板の生産性を向上させることができる導電性バンプ形成用組成物を提供すること。
【解決手段】p−ビニルフェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性粉末及び溶剤からなる導電性バンプ形成用組成物であって、該p−ビニルフェノール樹脂の重量平均分子量が1,000〜10,000であり、該エポキシ樹脂の軟化点が80℃未満で且つエポキシ当量が150〜400であり、全樹脂成分中該p−ビニルフェノール樹脂が5〜50質量%且つ該エポキシ樹脂が50〜95質量%であることを特徴とする導電性バンプ形成用組成物及びそれを用いたプリント配線基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性バンプ形成用組成物に関し、特に、プリント配線基板の生産性を向上させることができる導電性バンプ形成用組成物及びそれを用いてなるプリント配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板の製造方法として、一方の面の所定位置に導電性ペーストで作った円錐状の導電バンプが設けられた第一の基板と、少なくとも一方の面に配線パターンが設けられた第二の基板とを、前記導電バンプが設けられた面及び前記配線パターンが設けられた面を内側にして対向させ、前記第一の基板と前記第二の基板との間に絶縁体層を配置して積層体を構成し、該積層体を積層プレスすることにより絶縁体層の厚さ方向に前記バンプを貫通させて導電配線部を形成するプリント配線基板の製造方法が提案されている。(特許文献1参照)
【0003】
また、基板との接着力、耐熱性や硬度の要求に対応すべく、エポキシ樹脂、潜在性硬化剤、導電粉末及び溶剤を含み、官能数の異なるエポキシ樹脂を混合し、該エポキシ樹脂の軟化点が80〜130℃であるプリント配線板層間接続のための導電性バンプ形成用組成物が提案されている。(特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開平6−350258号公報
【特許文献2】特開2000−261116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術では、特定の多官能エポキシ樹脂を一定量以上使用することで、上記特性を達成させてはいるものの、導電性バンプ形成用組成物を使用してバンプを形成する印刷時においては、多官能であるために反応性が高く、時間の経過とともに導電性バンプ形成用組成物の粘度が上昇し、印刷後にバンプ形状が細長くなったり曲がったりしてバンプ形状が不良となったり、連続印刷時にバンプ高さ及び形状のばらつきが大きくなり導電性バンプ形成用組成物及び印刷版の交換を削減することができなかった。
【0006】
本発明は、このような状況下で、バンプ形状が細長くなったり曲がったりすることなくバンプの先端部が丸みを帯びて積層時の絶縁体層貫通時に折れ難い構造となり且つ印刷時のバンプ高さのばらつきが小さくなると共に、連続印刷によるバンプ高さの変化及びバンプ高さのばらつきの変化が小さく、導電性バンプ形成用組成物及び印刷版の交換を削減することができ、プリント配線基板の生産性を向上させることができる導電性バンプ形成用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも2種類の特定の樹脂を所定量用いることにより上記課題を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)p−ビニルフェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性粉末及び溶剤からなる導電性バンプ形成用組成物であって、該p−ビニルフェノール樹脂の重量平均分子量が1,000〜10,000であり、該エポキシ樹脂の軟化点が80℃未満で且つエポキシ当量が150〜400であり、全樹脂成分中該p−ビニルフェノール樹脂が5〜50質量%且つ該エポキシ樹脂が50〜95質量%であることを特徴とする導電性バンプ形成用組成物。
(2)前記組成物中の全樹脂成分量が5〜20質量%であることを特徴とする上記(1)に記載の導電性バンプ形成用組成物。
(3)前記組成物中の前記導電性粉末の含有量が70〜90質量%であり、且つ該導電性粉末の中心粒径が0.1〜5.0μmである上記(1)又は(2)に記載の導電性バンプ形成用組成物。
(4)前記硬化剤が潜在性イミダゾール化合物を含むものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性バンプ形成用組成物。
(5)前記組成物の粘度がシアレート4.0sec-1、25℃のときに100〜500Pa・sであり、粘度比{(シアレート2.0sec-1、25℃のときの該組成物の粘度)/(シアレート4.0sec-1、25℃のときの該組成物の粘度)}が1.2〜1.9である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性バンプ形成用組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性バンプ形成用組成物を用いてなるプリント配線基板である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導電性バンプ形成用組成物は、プリント配線基板の絶縁層のバンプ貫通に十分な硬度が得られると共に、良好な導電性を有するものであり、バンプ形状が細長くなったり曲がったりすることなくバンプの先端部が丸みを帯びて積層時の絶縁体層貫通時に折れ難い構造となり且つ印刷時のバンプ高さのばらつきが小さくなる効果を奏する。
そして、本発明の導電性バンプ形成用組成物は、印刷条件下(例えば、温度25℃、湿度55%)で長時間印刷を続けたとしても連続印刷によるバンプ高さの変化及びバンプ高さのばらつきの変化が小さく、良好な導電性バンプを安定的かつ効率的に形成できるものである。これにより、導電性バンプ形成用組成物及び印刷版の交換を削減することができ、プリント配線基板の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の導電性バンプ形成用組成物は、p−ビニルフェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性粉末及び溶剤からなる導電性バンプ形成用組成物であって、該p−ビニルフェノール樹脂の重量平均分子量が1,000〜10,000であり、該エポキシ樹脂の軟化点が80℃未満で且つエポキシ当量が150〜400であり、全樹脂成分中該p−ビニルフェノール樹脂が5〜50質量%且つ該エポキシ樹脂が50〜95質量%であることを特徴とする。
【0010】
本発明の導電性バンプ形成用組成物に含まれるp−ビニルフェノール樹脂は、p−ビニルフェノールのホモポリマーであり、重量平均分子量が1,000〜10,000であることを要する。重量平均分子量が1,000未満であると十分なバンプ高さを得ることができず、10,000を超えるとバンプ形状が不良となり、形状のバラツキが大きくなるからである。
p−ビニルフェノール樹脂の具体例としては、丸善石油化学(株)製の商品名「マルカリンカーM」が挙げられ、分子量の違いによるグレードを選択できる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリエチレン換算により求められた値である。
本発明の導電性バンプ形成用組成物の全樹脂成分中、p−ビニルフェノール樹脂が5質量%未満であるとバンプ形状が不良となり、50質量%を超えるとバンプのプリント配線基板等への接着力が低くなる。
【0011】
本発明の導電性バンプ形成用組成物に含まれるエポキシ樹脂は、軟化点が80℃未満で且つエポキシ当量が150〜400であることを要する。エポキシ樹脂の軟化点が80℃以上であるとプリント配線基板等への接着力が低下するからである。また、エポキシ当量が150未満では硬化速度が速すぎる点で好ましくないからであり、400を超えると体積収縮が大きくなり、導電性層の厚さの制御が難しいからである。これらの観点からエポキシ当量が150〜380であればより好ましい。
なお、エポキシ樹脂の軟化点は、メイテック社製環球式自動軟化点試験器ASP−MG型によって1℃/minの条件にて測定されたときのものである。エポキシ樹脂の軟化点は、10℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
また、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量をいい、JIS K 7236:2001に基づき測定される。
本発明の導電性バンプ形成用組成物の全樹脂成分中、エポキシ樹脂が50質量%未満であるとバンプのプリント配線基板等への密着が悪くなり、95質量%を超えるとバンプ高さのばらつきが大きくなる。
【0012】
本発明の導電性バンプ形成用組成物に含まれるエポキシ樹脂は、上記の軟化点範囲及びエポキシ当量範囲を満足すれば良く、特に限定されないが、二官能エポキシ樹脂及び三官能以上のエポキシ樹脂が好適に用いられる。
二官能エポキシ樹脂の好ましい具体例としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型等のエポキシ樹脂を挙げることができる。
また、三官能以上のエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、例えばフェノールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、オルソクレゾールノボラック型等の多官能タイプエポキシ樹脂を挙げることができる。
これらの二官能エポキシ樹脂及び三官能以上のエポキシ樹脂は、二種以上併用することができる。
なお、本発明の目的に反しない範囲で、本発明の導電性バンプ形成用組成物の粘度調節や硬化後の硬度調節等のため単官能エポキシ樹脂や上記の軟化点範囲外又は上記のエポキシ当量範囲外のエポキシ樹脂を上記エポキシ樹脂の一部として用いても良い。
さらに、本発明の導電性バンプ形成用組成物においては、必要に応じて樹脂成分としてp−ビニルフェノール樹脂及びエポキシ樹脂以外の樹脂が含まれていても良く、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。
また、本発明の導電性バンプ形成用組成物中の全樹脂成分量が5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。5質量%未満であると、接着力が不足し、20質量%を超えると導電性が低下する。
【0013】
本発明の導電性バンプ形成用組成物に用いられる硬化剤としては、エポキシ樹脂との配合状態において室温にて安定して貯蔵でき、熱、光あるいは圧力などによって硬化反応を生じさせる潜在性硬化剤を用いることが好ましい。そのような硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、三フッ化ホウ素‐アミン錯体、有機酸ヒドラジット等を挙げることができる。本発明において特に好ましい硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド、2‐フェニル‐4,5‐ジヒドロキシメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾールを挙げることができる。これらの硬化剤は、二種以上併用することができる。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは0.2〜60質量部、より好ましくは0.3〜50質量部、特に好ましくは0.4〜40質量部である。含有量が0.2質量部以上であれば十分な架橋密度が得られ、また60質量部以下では硬化後の制御がし易くなり好ましい。
【0014】
本発明で用いられる導電性粉末としては、各種の導電性微粉末、例えば銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉、白金粉、パラジウム粉、はんだ粉、前記金属の合金粉末等の金属粉末等を使用することができる。これらの導電性粉末は二種以上併用することもできる。また、金属以外の導電性粉末、例えばカーボン粉末、を使用することもできる。導電性粉末は、表面処理されたものであっても良い。
【0015】
上記導電性粉末の形態及び大きさは、本発明の目的に反しない限り任意である。本発明では、例えば樹枝状、りん片状、球状、フレーク状の形態のもの、特に好ましくは、りん片状と球状の混合物、を使用することができる。導電性粉末の中心粒径は、0.1〜5.0μmのものが好ましく、さらに0.5〜5.0μmのものが好ましく、特に1.0〜5.0μmのものが好ましい。0.1μm以上であれば十分な帯電性が得られ、5.0μm以下であればスクリーン版の目詰まりが発生しにくいので好ましい。
本発明においては、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、米国ベックマン・インスツルメンツ・インク製、高精度型レーザー回折散乱法 粒度分布測定装置、商品名「LS 13 320」)により導電性粉末の粒度分布を測定し、その粒度分布の最頻値(モード)の粒径を中心粒径とした。
【0016】
導電性粉末の含有量は、本発明の導電性バンプ形成用組成物中に好ましくは70〜90質量%、より好ましくは75〜90質量%である。含有量が90質量%以下であれば導電性バンプ形成用組成物の流動性が良好であり好ましい。また、含有量が70質量%以上であれば必要な導電性が得られる。
【0017】
本発明で使用される溶剤としては、例えば上記のエポキシ樹脂並びに導電性粉末と共に導電性バンプ形成用組成物を形成可能な各種の有機溶剤を用いることができる。そのような有機溶剤の好ましい具体例としては、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールn‐ブチルエーテル、ベンジルグリコール、メチルポリグリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、イソプロパノール、ブタノール、テルピネオール、チキサノール、ブチルセロソルブアセテート、イソホロンの単独又はこれらの混合溶剤を挙げることができる。
溶剤の含有量は、目標とする粘度等に応じて適宜調整することが可能である。通常は導電性バンプ形成用組成物中に2〜15質量%程度を配合する。
【0018】
本発明の導電性バンプ形成用組成物は、必要に応じて各種の成分を含むことができる。そのような必要に応じて含むことが可能な成分の具体例としては、各種の有機又は無機の顔料や、チクソトロピー付与剤、消泡剤、分散剤、防錆剤、還元剤等を挙げることができる。例えば、有機又は無機の顔料を含有することによって導電性バンプ形成用組成物の塗膜補強、機能付加、作業性改良、着色及び増量等を図ることが可能になる。
本発明では特に体質顔料、例えばマイクロシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等を単独又はこれらに混合物を用いることができる。
【0019】
本発明の導電性バンプ形成用組成物は、その組成物の粘度がシアレート4.0sec-1、25℃のときに100〜500Pa・sであることが好ましい。100Pa・s以上であればパターンのにじみがなく、印刷したバンプ形状を保持でき、500Pa・s以下であればメタルマスクの孔が目詰まりしにくく、良好な吐出を得られるからである。ここで、この粘度は、マルコム社製スパイラル粘度計で測定したときのものである。
また、本発明の導電性バンプ形成用組成物の粘度比{(シアレート2.0sec-1、25℃のときの該組成物の粘度)/(シアレート4.0sec-1、25℃のときの該組成物の粘度)}は、1.2〜1.9であることが好ましい。粘度比が1.2以上であればチクソトロピー性が高く、印刷時に塗工し易くなるからであり、1.9以下であれば十分なバンプ高さが得られるからである。
【実施例】
【0020】
本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、p−ビニルフェノール樹脂の重量平均分子量、エポキシ樹脂の軟化点及びエポキシ当量、導電性バンプ形成用組成物の粘度及び粘度比、導電性バンプ形成用組成物硬化物の電気抵抗値、導電性バンプ形成用組成物を硬化して得た導電性バンプのバンプ高さ、バンプ高さばらつき及びバンプ形状並びに連続印刷性の評価は、下記の方法に従って実施した。
【0021】
(1)p−ビニルフェノール樹脂の重量平均分子量
上記記載の方法により行った。
(2)エポキシ樹脂の軟化点及びエポキシ当量
上記記載の方法により行った。
(3)粘度及び粘度比
上記記載の方法により行った。
(4)電気抵抗値
ガラス板に導電性バンプ形成用組成物を塗布し、180℃のオーブン内で20分間放置して該組成物を硬化させた。硬化した該組成物の体積抵抗値を測定した。1×10-3Ω・cm以下のものを「良」とし、1×10-3Ω・cmを超えるものを「不良」と判定した。
【0022】
(5)バンプ高さ及びバンプ高さばらつき
スクリーン印刷機で1回印刷操作に付して形成したバンプをレーザー顕微鏡にて測定した。無作為に抽出したバンプ200個につき相加平均を求めてバンプ高さ(μm)とし、その3σを求めてバンプ高さばらつきとした。3σが10以下のものが良好である。
(6)バンプ形状
スクリーン印刷機にて印刷したバンプの形状をレーザー顕微鏡にて観察して、バンプ先端が尖ってなく砲弾状であるものを「良」とし、バンプ先端が尖っており細いものや曲がっているものを「不良」と判定した。
【0023】
(7)連続印刷性
スクリーン印刷機で1000ショット印刷した時のバンプ高さの変化をレーザー顕微鏡にて測定した。1000ショット/1ショットの高さの変化率が15%以下であるものを「良」とし、15%を超えるものを「不良」と判定した。
【0024】
実施例1及び比較例1〜3
第1表に示す配合処方により3本ロールで混練して導電性バンプ形成用組成物を調製した。次に、銅箔上にスクリーン印刷機でバンプを印刷した(開口径:φ220μm)。印刷後に185℃のオーブン内にて20分間加熱し導電性組成物を硬化し、導電性バンプを形成した。得られた実施例1及び比較例1〜3の導電性バンプ形成用組成物の粘度及び粘度比、導電性バンプ形成用組成物硬化物の電気抵抗値、導電性バンプ形成用組成物を硬化して得た導電性バンプのバンプ高さ、バンプ高さばらつき及びバンプ形状並びに連続印刷性の評価を上記方法に従って評価した。結果を第1表に示す。
【0025】
【表1】

[注]
*1: ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200、軟化点70℃)、DIC(株)製、商品名「N−670」
*2: ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量920、軟化点97℃)、ジャパン エポキシ レジン(株)製、商品名「1004」
*3: p−ビニルフェノール樹脂−1(重量平均分子量:2,000)、丸善石油化学(株)製、商品名「マルカリンカーM S−1」
*4: p−ビニルフェノール樹脂−2(重量平均分子量:11,000)、丸善石油化学(株)製、商品名「マルカリンカーM S−3」
*5: 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、四国化成(株)製、商品名「2P4MHZ」
*6: ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
*7: 銀粉(中心粒径:3.0μm)
【0026】
第1表から明らかなように、実施例1の本発明の導電性バンプ形成用組成物は、電気抵抗値及びバンプ形状が良好であり、バンプ高さのばらつきが小さく連続印刷性も良好であった。一方、比較例1及び2の導電性バンプ形成用組成物は、バンプ高さのばらつきが大きく連続印刷性も不良であった。比較例2の導電性バンプ形成用組成物はバンプ形状も不良であった。また、比較例3の導電性バンプ形成用組成物は粘度が高すぎるため印刷が不可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の導電性バンプ形成用組成物は、例えばスクリーン印刷法などの公知の印刷法によって基板上に印刷可能なものであり、特に、プリント配線板層間接続バンプの形成に有用なものである。従って、本発明の導電性バンプ形成用組成物は、従来同様に広範な分野において利用可能なものであり、特に、高品質で生産性の高いプリント配線基板を得ることを可能とするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p−ビニルフェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性粉末及び溶剤からなる導電性バンプ形成用組成物であって、該p−ビニルフェノール樹脂の重量平均分子量が1,000〜10,000であり、該エポキシ樹脂の軟化点が80℃未満で且つエポキシ当量が150〜400であり、全樹脂成分中該p−ビニルフェノール樹脂が5〜50質量%且つ該エポキシ樹脂が50〜95質量%であることを特徴とする導電性バンプ形成用組成物。
【請求項2】
前記組成物中の全樹脂成分量が5〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性バンプ形成用組成物。
【請求項3】
前記組成物中の前記導電性粉末の含有量が70〜90質量%であり、且つ該導電性粉末の中心粒径が0.1〜5.0μmである請求項1又は2に記載の導電性バンプ形成用組成物。
【請求項4】
前記硬化剤が潜在性イミダゾール化合物を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の導電性バンプ形成用組成物。
【請求項5】
前記組成物の粘度がシアレート4.0sec-1、25℃のときに100〜500Pa・sであり、粘度比{(シアレート2.0sec-1、25℃のときの該組成物の粘度)/(シアレート4.0sec-1、25℃のときの該組成物の粘度)}が1.2〜1.9である請求項1〜4のいずれかに記載の導電性バンプ形成用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の導電性バンプ形成用組成物を用いてなるプリント配線基板。

【公開番号】特開2010−153507(P2010−153507A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328502(P2008−328502)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【Fターム(参考)】