説明

屋根断熱構造

【課題】本発明は断熱効率の高い屋根を提供することを課題とする。
【解決手段】小屋梁103の上面を水平に形成し、該小屋梁103の縦横梁木3A,3Bに囲繞される四辺形空間6内に面板7Aと断熱材7Bとからなる小屋梁パネル7を嵌め込む。該小屋梁パネル7の断熱材7Bは該小屋梁103の四辺形空間6にぴったり嵌まる形状寸法とされ、隙間のない断熱構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根断熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の屋根断熱構造にあっては、図8に示すように小屋梁13の縦横梁木13A,13Bから吊木14を垂下して野縁15を支持し、該野縁15下側に天井板16を支持し、該天井板16上にガラスウールあるいはロックウールからなる断熱材17を敷設する構成が提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3065505号公報
【0004】
上記従来の屋根断熱構造にあっては、小屋梁13の縦横梁木13A,13Bに曲がりのある自然木を使用していたので、小屋梁13の上面を水平に設定することは不可能であり、小屋梁13に断熱材を張設することが困難であったので、上記したように天井板16上に断熱材17を敷設しているのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、天井板16上に断熱材17を敷設しているから、吊木14や野縁15に干渉されて全面的に隙間なく断熱材17を敷設することが出来ず、機密性の高い断熱構造を得ることが出来ない、と云う問題点があった。
更にガラスウールやロックウールは繊維細片が飛散して作業環境を悪化させるし、また水分によって腐食されると云う問題点もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、建物100天井部分に縦横同一平面で交差する横断面四辺形直棒状の梁木3A,3Bからなり水平上面を有する小屋梁103を設定し、該縦横梁木3A,3Bの交点または中間点に屋根構造を支持する束柱5を立設し、該縦横梁木3A,3Bに囲繞される複数の四辺形空間6内に面板7Aと該面板7A表面に接着した断熱材7Bとからなる小屋梁パネル7をそれぞれ嵌め込んだ構造であって、該小屋梁パネル7の面板7Aの四辺は該断熱材7Bの四辺から梁木3A,3B巾の略1/2巾で外出している耳部7Cとなり、該耳部7Cの四隅角または中間点には束柱5貫通切欠き7Dが設けられており、該断熱材7Bは該小屋梁103四辺形空間6に適嵌する形状寸法に設定されており、該小屋梁パネル7を該断熱材7Bを下向きにして該小屋梁103の各四辺形空間6に嵌め込み、該小屋梁パネル7の面板7Aの耳部7Cを該小屋梁103の縦横梁木3A,3Bに支持固定せしめかつ該耳部7Cの切欠き7Dに束柱5を貫通せしめた屋根断熱構造を提供するものである。
該小屋梁103の縦横梁木3A,3Bの寸法および配置はCADによって作図され、該縦横梁木3A,3Bの寸法はCAMによって加工され、それに対応して該小屋梁パネル7の面板7Aおよび断熱材7Bの形状および寸法もCADによって作図され、CAMによって加工されることが好ましい。また該小屋梁パネル7の断熱材7Bはプラスチック発泡体板であることが好ましく、また該小屋梁103の梁木3A,3Bは乾燥材または集成材からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
〔作用〕
本発明では小屋梁103は水平上面を有するから小屋梁103の縦横梁木3A,3Bに囲繞される複数の四辺形空間6内に面板7Aと断熱材7Bとからなる小屋梁パネル7をそれぞれ嵌め込み、該小屋梁103から立設される束柱5を該小屋梁パネル7の面板7Aの耳部7Cの切欠き7Dに貫通させた場合、該小屋梁パネル7の面板7Aの耳部7Cは該小屋梁103の縦横梁木3A,3Bの上面にぴったり当接させることが出来る。屋根工事等は上記のように小屋梁103に固定された小屋梁パネル7上に作業者が乗って安全に行なうことが出来る。
そして該小屋梁パネル7の断熱材7Bは、該小屋梁103の四辺形空間6に適嵌する形状寸法に設定されているから、断熱材7Bは全面的に隙間なく小屋梁103に設定することが出来、機密性の高い断熱構造が得られる(請求項1)。
該小屋梁103の縦横梁木3A,3Bの寸法および配置はCADによって作図され、該縦横梁木3A,3Bの寸法はCAMによって加工され、それに対応して該小屋梁パネル7の面板7Aと断熱材7Bの形状および寸法もCADによって作図され、CAMによって加工されると、該小屋梁103の四辺形空間6にぴったり嵌め込まれる断熱材7Bを有する高精度の小屋梁パネル7を簡単に加工することが出来る(請求項2)。
該小屋梁パネル7の断熱材7Bはプラスチック発泡体板であると機密性のあるまた耐久性のある断熱構造が得られ、また該プラスチック発泡体は実質的に環境を汚染しない(請求項3)。
該小屋梁の梁木は乾燥材または集成材からなると、横断面四辺形直棒状かつ上面水平な梁木3A,3Bが容易に加工される(請求項4)。
【0008】
〔効果〕
したがって本発明では断熱効果の非常に高い屋根が提供され、また屋根工事も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施例を図1〜図7に示す。図1には建物躯体100が示される。該建築躯体100は土台101、壁躯体102、小屋梁103からなる。
該壁躯体102、小屋梁103はCADによって作図され、該壁躯体102や小屋梁103の要素である壁躯体柱2や小屋梁103の縦横梁木3A,3Bは上記CADによる作図にもとづいてCAMにより所定の寸法に精度よく加工されている。
【0010】
該小屋梁103の梁木3A,3Bは乾燥材または集成材からなり上面は水平にされている。上記縦横の梁木3A,3Bの交点においては、図2に示すように梁木3Aの端部にはほぞ31Aが形成され、梁木3Bの両側にはほぞ溝31B,31Bが形成され、梁木3Aのほぞ31Aを該梁木3Bのほぞ溝31B,31Bに嵌合することによって縦横梁木3A,3Bの交点は同一平面内に設定され、かくして該小屋梁103の上面は水平(同一平面内)にされている。
【0011】
上記小屋梁103の縦横梁木3A,3Bの交点または中間所定位置には図3に示す母屋4A、棟木4B、隅木4C、谷木4Dからなる屋根躯体104を支持する束柱5の複数本が立設されている。そして図4に示すように、該母屋4A、棟木4Bに直交して垂木10が取付けられる。
【0012】
上記小屋梁103の縦横梁木3A,3Bに囲繞される四辺形空間6には小屋梁パネル7が嵌め込まれる。図2に示すように、該小屋梁パネル7は面板7Aと該面板7Aの表面に接着される断熱材7Bとからなり、該面板7Aの四辺は該断熱材7Bの四辺から外出して耳部7Cとなっており、該耳部7Cの巾は該梁木3A,3Bの巾Wの1/2(W/2)に設定されている。そして該耳部7Cの四隅角および中間点には束柱を貫通する切欠き7Dが設けられている。
【0013】
上記小屋梁パネル7の面板7A、断熱材7Bの寸法、形状は該小屋梁103の四辺形空間6の寸法形状に適合するように該小屋梁103のCADによる作図からCAMによって精度よく加工され、また該小屋梁パネル7の耳部7Cの切欠き7Dも上記CADによる作図からCAMによって精度よく加工される。
【0014】
例えば、上記小屋梁パネル7は平面形状が正方形、矩形等にされ、図1に示す小屋梁103の場合には、該小屋梁103の四辺形空間6の形状寸法に合わせて、小屋梁パネル7の形状寸法はA,B,C,D,Eの5種類準備される。
【0015】
上記小屋梁パネル7において、面板7Aとしては、例えば合板、ハードボード、MDF、USB、パーチクルボード、積層紙、プラスチック板、木質セメント板、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、ダイライト等の木質材、プラスチック板、無機質板等の作業者がその上に乗っても充分耐える曲げ強度を有するものが望ましい。また断熱材7Bとしてはグラスウールマット、ロックウールマット等の無機繊維マット、ポリスチレン発泡体板、ポリエチレン発泡体板、ポリプロピレン発泡体板、フェノール樹脂発泡体板、メラミン樹脂発泡体板、ウレタン樹脂発泡体板等のプラスチック発泡体板等が使用されるが、環境汚染のおそれのないプラスチック発泡体板の使用が望ましい。
【0016】
上記小屋梁パネル7は、図5に示すように断熱材7Bを下にして小屋梁103の四辺形空間6に嵌め込まれる。そして面板7Aの耳部7Cは縦横梁木3A,3Bの上面にぴったり当接支持され、また耳部7Cの巾は縦横梁木3A,3Bの巾Wの1/2(W/2)に設定されているから隣り合う小屋梁パネル7の面板7Aの接続面は実質的に隙間がなく、また断熱材7Bの四辺を縦横梁木3A,3Bの側面とも実質的に隙間なく接している。また該小屋梁103に立設される束柱5は、図6イ、ロに示すように上記小屋梁パネル7の面板7Aの耳部7Cの切欠き7Dを貫通している。
【0017】
上記したように該小屋梁パネル7の面板7Aは高い曲げ強度を有するから、作業者はその上に乗って該小屋梁パネル7を該梁木3A,3Bに釘8を打って固定する作業が出来る。
このようにして上記小屋梁103には隙間なく小屋梁パネル7が嵌め込まれ、機密性の高い断熱構造が形成される。
【0018】
図7に示すように、上記束柱5に支持される母屋4A間または母屋4Aと棟木4B間には母屋ボード9が差渡され、垂木10上には野地板11が張設され、該野地板11上に屋根材12が葺設されて屋根が構築されるが、このような屋根工事も作業者は小屋梁パネル7の上に乗って安全に作業することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明はでは、断熱効果の高い屋根が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1〜図7は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】建物躯体斜視図
【図2】小屋梁パネルと小屋梁の説明斜視図
【図3】建物躯体斜視図(屋根躯体付)
【図4】垂木を取付けた屋根躯体説明斜視図
【図5】小屋梁に小屋梁パネルを嵌め込んだ状態の側断面図
【図6】イ・ロ束柱立設部分の小屋梁パネルを嵌め込んだ状態の説明斜視図
【図7】屋根側断面図
【図8】従来の断熱構造の説明図
【符号の説明】
【0021】
100 建物躯体
101 土台
102 壁躯体
103 小屋梁
104 屋根躯体
3A,3B 梁木
31A ほぞ
31B ほぞ溝
4A 母屋
4B 棟木
4C 隅木
4D 谷木
5 束柱
6 四辺形空間
7 小屋梁パネル
7A 面板
7B 断熱材
7C 耳部
7D 切欠き
8 釘
9 母屋ボード
10 垂木
11 野地板
12 屋根材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物天井部分に縦横同一平面で交差する横断面四辺形直棒状の梁木からなり水平上面を有する小屋梁を設定し、該縦横梁木の交点または中間点に屋根構造を支持する束柱を立設し、該縦横梁木に囲繞される複数の四辺形空間内に面板と該面板表面に接着した断熱材とからなる小屋梁パネルをそれぞれ嵌め込んだ構造であって、該小屋梁パネルの面板の四辺は該断熱材の四辺から梁木巾の略1/2巾で外出している耳部となり、該耳部の四隅角または中間点には束柱貫通切欠きが設けられており、該断熱材は該小屋梁四辺形空間に適嵌する形状寸法に設定されており、該小屋梁パネルを該断熱材を下向きにして該小屋梁の各四辺形空間に嵌め込み、該小屋梁パネルの面板の耳部を該小屋梁の縦横梁木に支持固定せしめかつ該耳部の切欠きに束柱を貫通せしめたことを特徴とする屋根断熱構造。
【請求項2】
該小屋梁の縦横梁木の寸法および配置はCADによって作図され、該縦横梁木の寸法はCAMによって加工され、それに対応して該小屋梁パネルの面板および断熱材の形状および寸法もCADによって作図され、CAMによって加工される請求項1に記載の屋根断熱構造。
【請求項3】
該小屋梁パネルの断熱材はプラスチック発泡体板である請求項1または2に記載の屋根断熱構造。
【請求項4】
該小屋梁の梁木は乾燥材または集成材からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の屋根断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−16493(P2007−16493A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199527(P2005−199527)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000104548)キッコーナ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】