説明

屋根補修用金具とこれを用いた屋根補修構造

【課題】既設の屋根材固定ボルトが錆びていても、簡単な取付作業で確実かつ強固に取付固定できる屋根補修用金具と、これを用いた屋根補修構造を提供する。
【解決手段】ボルト挿通孔2eと複数のネジ挿通孔2fを有する支持金具2と、開口3bと複数のネジ孔3cを有し且つ開口3bの口縁から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片3dを形成した座金3と、複数本の座金引き上げ用ネジ5とを具備した屋根補修用金具1とする。座金3の開口3bと支持金具2のボルト挿通孔2eに既設の屋根材固定ボルト6を挿通し、座金引き上げ用ネジ5を支持金具2のネジ挿通孔2fから座金3のネジ孔2fにねじ込んで座金3を引き上げることにより、かしめ片3dを開口3bの中心部の方へかしめ、かしめ片3dの先端で屋根材固定ボルト6を外側から押圧して強固に取付ける。屋根補修構造は、屋根補修用金具に母屋材を取付けて屋根材を張付けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化が進んだ工場などの波形屋根材の上に新たな屋根材を張り付けるための屋根補修用金具と、この金具を用いた屋根補修構造に関する。
【背景技術】
【0002】
戦後、工場などの建物の屋根材として、安価で耐火性、耐水性、耐久性に優れる、石綿にセメントを混ぜ込んだ波形スレート板などが使用されてきたが、それらの老朽化に伴い雨漏りなどの補修を行う必要が生じてきた。既存の波形スレート板を張り替える補修は、工場の業務を停止して行う必要があるため、通常は、既存の波形スレート板をそのまま残して、その上に新たに波板や折版などの屋根材を張り付ける補修方法が採用されている。
【0003】
周知のように、波形スレート板には人体に悪影響を及ぼすアスベストが含有されており、波形スレート板を切断したり孔を開けたりする必要がある補修方法は、粉塵が工場内に飛散、落下する恐れがあるので好ましくない。このような事情から、既設の波形スレート板の山部を覆う座面部と、該座面部の左右両端から下方へ延びる脚部を一体に備え、該座面部の左右中間部に段差を設けて高段座面部と下段座面部を形成すると共に、下段座面部に貫通孔を設けたクランプ金具を使用し、このクランプ金具を既設の波形スレート板にその山部を跨ぐように設置して、該山部から突出する既設のフックボルトの上端を下段座面部の貫通孔に挿入し、リング状で内周から複数の板バネの爪が中心方向へ突出する板バネナットをフックボルトに嵌め込んで爪の先端をフックボルトのネジ溝に係止させることにより、クランプ金具を波形スレート板に固定し、その高段座面部に屋根下地材を架設して金属製の屋根板を取付ける屋根補修工法が既に提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−100239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の屋根補修工法は、板バネナットをフックボルトに嵌め込んで爪の先端をフックボルトのネジ溝に係止させることにより、板バネナットでクランプ金具を押圧固定しているため、例えば、フックボルトが錆びてネジ山やネジ溝がつぶれかけているような場合には、板バネナットの爪をネジ溝に確実に係止させてクランプ金具を強固に固定することが難しい。そのため、新しい屋根板に風圧等が作用すると、クランプ金具がガタついたり、最悪の場合には、クランプ金具がフックボルトから外れて屋根板が捲れるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、フックボルト等の既設の屋根材固定ボルトが錆びていても、簡単な取付作業で確実かつ強固に取付固定することができる屋根補修用金具と、この金具を用いた屋根補修構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る屋根補修用金具は、既設の波形屋根材の上に新たな屋根材を張り付けるための母屋材を支持する屋根補修用金具であって、(1)既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトを挿通するボルト挿通孔と座金引き上げ用ネジを挿通する複数のネジ挿通孔が形成された凹部を有する母屋材支持面と、この母屋材支持面の両端から下方へ折り曲げられて形成された一対の支持脚部とからなる支持金具と、(2)屋根材固定ボルトを挿通する開口と座金引き上げ用ネジをねじ込む複数のネジ孔が形成され、開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された座金と、(3)支持金具のネジ挿通孔から座金のネジ孔にねじ込んで座金を引き上げる複数本の座金引き上げ用ネジと、を具備したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の屋根補修用金具においては、支持金具と座金との間に介在される副座金であって、屋根材固定ボルトを挿通する開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された副座金を、更に具備していることが好ましい。そして、開口の口縁部から中心部上方に向かって4つのかしめ片が斜めに突き出していること、及び、かしめ片の先端側の傾斜角が徐々に小さくなるように、かしめ片の先端側が湾曲していることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る屋根補修構造は、上記の本発明の屋根補修用金具を用いた屋根補修構造であって、座金の開口に既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトが挿通され、その上から被せられた支持金具のボルト挿通孔に屋根材固定ボルトが挿通されると共に、支持金具の支持脚部が既設の波形屋根材の谷部に載置され、支持金具の複数のネジ挿通孔から座金の複数のネジ孔にそれぞれねじ込まれた複数本の座金引き上げ用ネジによって引き上げられた座金の複数のかしめ片が、支持金具の凹部の下面に圧接して座金の開口の中心部の方にかしめられ、各かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを外側から押圧することで屋根補修用金具が取付固定されており、この屋根補修用金具の支持金具の母屋材支持面に、新たな屋根材を張り付けるための母屋材が取付けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の屋根補修構造においては、前記の副座金が支持金具と座金との間に介在されて、屋根材固定ボルトが副座金の開口に挿通され、副座金の複数のかしめ片も開口の中心部の方にかしめられて、各かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを外側から押圧していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の屋根補修用金具は、次の要領で取付固定されて使用される。即ち、既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトを座金の開口に挿通し、その上から支持金具を被せてそのボルト挿通孔に屋根材固定ボルトを挿通すると共に、支持金具の支持脚部を既設の波形屋根材の谷部に載置する。そして、支持金具の複数のネジ挿通孔から座金の複数のネジ孔に複数本の座金引き上げ用ネジをそれぞれねじ込んで座金を引き上げ、座金の複数のかしめ片を支持金具の凹部の下面に圧接させて座金の開口の中心部の方にかしめることにより、各かしめ片の先端を屋根材固定ボルトに外側から押圧させて強固に屋根補修用金具を取付固定し、この屋根補修用金具の支持金具の母屋材支持面に、新たな屋根材を張り付けるための母屋材を取付ける。
【0011】
このように、本発明の屋根補修用金具は、座金の各かしめ片を開口の中心部の方にかしめて既設の屋根材固定ボルトを外側から押圧して取付けるため、屋根材固定ボルトが錆びてネジ山やネジ溝がつぶれかけているような場合でも、確実かつ強固に取付けることができ、支持金具の母屋材支持面に母屋材を介して取付けられた新たな屋根材に風圧等が作用しても、屋根補修用金具がガタついたり、屋根材固定ボルトから外れたりする心配を解消することができる。しかも、本発明の屋根補修用金具は、座金引き上げ用ネジを座金のネジ孔にねじ込むだけで極く簡単に取付けることができ、座金引き上げ用ネジをねじ込めばねじ込むほど、座金のかしめ片が開口の中心部の方へ大きくかしめられて屋根材固定ボルトを強く押圧し、強固に取付固定される利点がある。
【0012】
そして、前記の副座金を更に具備した屋根補修用金具は、座金のかしめ片に加えて、この副座金のかしめ片も開口の中心部の方へかしめられて屋根材固定ボルトを外側から強く押圧するので、固定強度が更に向上する利点がある。
【0013】
また、座金や副座金の開口の口縁部から中心部上方に向かって4つのかしめ片が斜めに突き出している屋根補修用金具は、2つ又は3つのかしめ片が突き出したものよりも、容易にかしめ片をかしめることができ、しかも、5つ以上のかしめ片が突き出したものよりも、強く屋根材固定ボルトを押圧できる利点がある。
【0014】
更に、かしめ片の先端側の傾斜角が徐々に小さくなるように、かしめ片の先端側が湾曲している屋根補修用金具は、かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを略直角に押圧するため、取付強度を一層向上させることができる。
【0015】
そして、本発明の屋根補修用金具を前記の要領で取付けて、その支持金具の母屋材支持面に新たな屋根材を張り付けるための母屋材を取付けた本発明の屋根補修構造は、既述したように屋根補修用金具の取付強度が大きいため、母屋材に張り付ける新たな屋根材に風圧等が作用しても、屋根補修用金具がガタついたり、屋根補修用金具が屋根材固定ボルトからはずれて新たな屋根材が捲れたりする心配が解消され、また、屋根補修用金具の取付作業が容易であるから施工性も向上するといった利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図、図2は座金引き上げネジをねじ込む前の同屋根補修用金具の取付状態を示す断面図、図3は同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す断面図である。
【0018】
この屋根補修用金具1は、図3に示すように、既設の波形スレート板などの波形屋根材7の上に新たな屋根材8を張り付けるための母屋材9を取付けるものであって、図1に示すように、支持金具2と、座金3と、副座金4と、2本の座金引き上げ用ネジ5,5とで構成されている。
【0019】
支持金具2は、図1,図3に示すように、母屋材9を支持する母屋材支持面2aと、既設の波形屋根材7の山部7aを跨いでその両側の谷部7b,7bに載置される左右の支持脚部2b,2bを一体に形成したもので、この支持脚部2b,2bの下端は内側斜め上方に折り返されて位置決め片2c,2cが形成されている。従って、この支持金具2の支持脚部2b,2bを波形屋根材7の谷部7b,7bに載置すると、位置決め片2c,2cが波形屋根材7の斜面に当接して、支持金具2が左右に動かないように位置決めされるようになっている。
【0020】
この支持金具2の母屋材支持面2aの中央には横長の凹部2dが形成されており、この凹部2dの中心には、既設の波形屋根材7から突出している屋根材固定ボルト6を挿通するボルト挿通孔2eが形成されている。そして、この凹部2dのボルト挿通孔2eを挟んで両側には、座金引き上げ用ネジ5,5を挿通する2つのネジ挿通孔2f,2fが形成されており、凹部2dの深さは、座金引き上げ用ネジ5,5の頭部や屋根材固定ボルト6の上端が突き出さない深さとされている。
【0021】
この支持金具2は、金属板をプレス加工及び曲げ加工することで作製されるものであるが、強度のある合成樹脂で作製することも可能である。
【0022】
座金3は、両側に段差部3a,3aを有する長方形の金属板の中央に、屋根材固定ボルト6を挿通する大径の開口3bを形成すると共に、その両側に前記の座金引き上げ用ネジ5,5をねじ込む2つのネジ孔3c,3cを形成したものであり、上記の開口3bには、その口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す4つのかしめ片3dが形成されている。尚、座金3のネジ孔3cや前記支持金具2のネジ挿通孔2fの個数は2つに限定されるものではなく、2つ以上、例えば4つのネジ挿通孔2fを座金3の四隅に形成すると共に、これに対応して4つのネジ挿通孔2fを支持金具2の凹部2dの四隅に形成してもよい。
【0023】
これらのかしめ片3cの相対向する先端間の間隔は、屋根材固定ボルト6のネジ山径よりもわずかに大きく設定されており、屋根材固定ボルト6がこれらのかしめ片3cの先端間に遊挿できるようになっている。また、図2,図3に示すように、これらのかしめ片3cの先端側は、その傾斜角が徐々に小さくなるように湾曲しており、後述するように、かしめ片3dが開口3bの中心部の方にかしめられると、かしめ片3dの先端が屋根材固定ボルト6を略直角に押圧して、取付強度が一層向上するようになっている。かしめ片3dの個数は2つ以上であればよいが、この座金3のように4つのかしめ片3dが形成されたものは、2つ又は3つのかしめ片が形成されたものよりも、容易にかしめることができ、5つ以上のかしめ片が形成されたものよりも、強く屋根材固定ボルト6を押圧できる利点がある。
【0024】
また、副座金4は、上記座金3と上記支持金具2の凹部2dの下面との間に介在させるものであって、上記座金3の両側の段差部3a,3aに載置される脚片4a,4aを両側に備えた略正方形の金属板の中央に、屋根材固定ボルト6を挿通する大径の開口4bが形成されており、この開口4bの口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す4つのかしめ片4cが形成されている。そして、前記の座金3と同様に、かしめ片4cの相対向する先端間の間隔が屋根材固定ボルト6のネジ山径よりもわずかに大きく設定されて、屋根材固定ボルト6がこれらのかしめ片4cの先端間に遊挿できるようになっており、また、図2,図3に示すように、これらのかしめ片4cの先端側は、その傾斜角が徐々に小さくなるように湾曲して、かしめ片4cが開口4bの中心部の方にかしめられたときに、かしめ片4cの先端が屋根材固定ボルト6を略直角に強く押圧するようになっている。図1に示すように、この副座金4の4つのかしめ片4cと座金3の4つのかしめ片3dは、上下に重なり合わないように、周方向に45度ずれている。このようにかしめ片4c,3dが45度ずれていると、完全に重なり合っている場合に比べてかしめ易くなり、しかも、屋根材固定ボルト6がかしめ片4c,3dの先端によって八方からほぼ均等に押圧されるため、固定強度が一層向上する利点がある。
【0025】
本発明の屋根補修構造は、上記の支持金具2、座金3、副座金4、座金引き上げ用ネジ5,5からなる本発明の屋根補修用金具1を用いて、次の要領で施工されるものである。即ち、図2に示すように、既設の波形屋根材7から上方へ突出している屋根材固定ボルト6を、座金3の開口3b(かしめ片3dの先端間)とその上の副座金4の開口4b(かしめ片4cの先端間)に挿通し、更に、その上から支持金具2を被せてそのボルト挿通孔2eに屋根材固定ボルト6を挿通すると共に、支持金具2の支持脚部2b,2bを既設の波形屋根材7の谷部7bに載置する。そして、図3に示すように、支持金具2の2つのネジ挿通孔2f,2fから座金3の2つのネジ孔3c,3cに2本の座金引き上げ用ネジ5,5をねじ込んで座金3を引き上げ、副座金4の複数のかしめ片4cと座金3の複数のかしめ片3dを支持金具2の凹部2dの下面に圧接させて開口4b,3bの中心部の方にかしめることにより、各かしめ片4c,3dの先端で屋根材固定ボルト6を外側から略直角に押圧して強固に屋根補修用金具1を取付固定する。そして、この屋根補修用金具1の支持金具2の母屋材支持面2aに母屋材9を横架して止具(不図示)等で取付固定すると共に、この母屋材9の上に新たな屋根材8を屋根材固定ボルト等で張り付けると、本発明の屋根補修構造が完成する。新たな屋根材9としては、安価で耐久性のある軽量な合成樹脂製の波板等が好適に使用され、母屋材9としては、強度のある長尺の板金等が好適に使用される。
【0026】
上記のように、この屋根補修用金具1は、座金3と副座金4の各かしめ片3d,4cを開口3b,4bの中心部の方にかしめて既設の屋根材固定ボルト6を外側から略直角に押圧して取付けるものであるため、屋根材固定ボルト6が錆びてネジ山やネジ溝がつぶれかけているような場合でも、確実かつ強固に屋根補修用金具1を取付けることができる。しかも、座金引き上げ用ネジ5,5を座金3のネジ孔3c,3cにねじ込むだけで極く簡単に取付けることができ、座金引き上げ用ネジ5,5をねじ込めばねじ込むほど、座金3や副座金4のかしめ片3d,4cが開口3b,4bの中心部の方へ大きくかしめられて屋根材固定ボルト6を強く押圧し、一層強固に取付けることができる。従って、このような屋根補修用金具1を用いた屋根補修構造は、支持金具2の母屋材支持面2aに母屋材9を介して張り付けられた新たな屋根材8に風圧等が作用しても、屋根補修用金具1がガタついたり、屋根材固定ボルト6から外れたりする心配がなく、施工性も良好である。
【0027】
尚、上記の副座金4を省略して、支持金具2と、座金3と、座金引き上げ用ネジ5,5とで屋根補修用金具1を構成し、座金3のかしめ片3dで屋根材固定ボルト6を外側から押圧して取付固定してもよく、その場合も屋根補修用金具1を強固に取付けることができる。けれども、上記実施形態の屋根補修用金具1のように副座金4を組み込めば、座金3と副座金4の両方のかしめ片3d,4cで屋根材固定ボルト6を二重に押圧して、屋根補修用金具1の取付強度を更に高めることができるので、極めて好ましい。
【0028】
図4は本発明の他の実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図、図5は同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す横断面図、図6は同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す縦断面図である。
【0029】
この屋根補修用金具10も、支持金具20と、座金3と、副座金4と、2本の座金引き上げ用ネジ5,5とで構成されたものであるが、支持金具20が前記の支持金具2と異なっている。即ち、この支持金具20は、母屋材支持面2aの中心線上に溝形の凹部2gが形成されており、この溝形の凹部2gの中心に屋根材固定ボルト6を挿通するボルト挿通孔2eが穿孔されると共に、その前後に座金引き上げ用ネジ5,5を挿通する2つのネジ挿通孔2f,2fが穿孔されている。そして、この支持金具20の左右の支持脚部2b,2bの下端部は外側斜め下方へ折り曲げられて位置決め片2h,2hが形成されており、図5に示すように既設の波形屋根材7の山部7aを跨いでその両側の谷部7b,7bに支持金具20の左右の支持脚部2b,2bを載置すると、位置決め片2h,2hが波形屋根材7の斜面に当接して、支持金具20が左右に動かないようになっている。
【0030】
座金3、副座金4、座金引き上げ用ネジ5,5は、前記の屋根補修用金具1のそれらと同じものであるから、図4、図5、図6において同一部分に同一符号を付して説明を省略する。尚、この屋根補修用金具10においても、副座金4の省略は可能である。
【0031】
このような屋根補修用金具10は、次の要領で強固に取付けられる。即ち、座金3を支持金具20の凹部2gに沿う向きにして、座金3の開口3b(かしめ片3dの先端間)に屋根材固定ボルト6を挿通すると共に、その上に副座金4を重ねて屋根材固定ボルト6を副座金4の開口4b(かしめ片4cの先端間)に挿通し、更にその上から支持金具10を被せて屋根材固定ボルト6を支持金具のボルト挿通孔2eに挿通する。そして、図6に示すように、支持金具20の2つのネジ挿通孔2f,2fから座金3の2つのネジ孔3c,3cに2本の座金引き上げネジ5,5をねじ込んで座金3を引き上げ、副座金4の複数のかしめ片4cと座金3の複数のかしめ片3dを支持金具2の凹部2gの下面に圧接させて開口4b,3bの中心部の方にかしめると、各かしめ片4c,3dの先端が屋根材固定ボルト6を外側から略直角に押圧し、屋根補修用金具10が強固に取付けられる。そして、この屋根補修用金具10の支持金具2の母屋材支持面2aに母屋材9を横架して止具(不図示)等で固定し、更に、この母屋材9の上に新たな屋根材8を屋根材固定ボルト等で張り付けると、図5,図6に示す屋根補修構造が完成する。
【0032】
以上のような屋根補修用金具10を使用した屋根補修構造も、前記の屋根補修用金具1を使用した屋根補修構造と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図である。
【図2】座金引き上げネジをねじ込む前の同屋根補修用金具の取付状態を示す横断面図である。
【図3】同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す横断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図である。
【図5】同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す横断面図である。
【図6】同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1、10 屋根補修用金具
2 支持金具
2a 母屋材支持面
2b 支持脚部
2d,2g 凹部
2e ボルト挿通孔
2f ネジ挿通孔
3 座金
4 副座金
3b,4b 開口
3c ネジ孔
3d,4c かしめ片
4 副座金
5 座金引き上げ用ネジ
6 屋根材固定ボルト
7 既設の波形屋根材
7a 山部
7b 谷部
8 新たな屋根材
9 母屋材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の波形屋根材の上に新たな屋根材を張り付けるための母屋材を支持する屋根補修用金具であって、
既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトを挿通するボルト挿通孔と座金引き上げ用ネジを挿通する複数のネジ挿通孔が形成された凹部を有する母屋材支持面と、この母屋材支持面の両端から下方へ折り曲げられて形成された一対の支持脚部とからなる支持金具と、
屋根材固定ボルトを挿通する開口と座金引き上げ用ネジをねじ込む複数のネジ孔が形成され、開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された座金と、
支持金具のネジ挿通孔から座金のネジ孔にねじ込んで座金を引き上げる複数本の座金引き上げ用ネジと、
を具備したことを特徴とする屋根補修用金具。
【請求項2】
支持金具と座金との間に介在される副座金であって、屋根材固定ボルトを挿通する開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された副座金を、更に具備した請求項1に記載の屋根補修用金具。
【請求項3】
開口の口縁部から中心部上方に向かって4つのかしめ片が斜めに突き出している請求項1又は請求項2に記載の屋根補修用金具。
【請求項4】
かしめ片の先端側の傾斜角が徐々に小さくなるように、かしめ片の先端側が湾曲している請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の屋根補修用金具。
【請求項5】
請求項1に記載の屋根補修用金具を用いた屋根補修構造であって、座金の開口に既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトが挿通され、その上から被せられた支持金具のボルト挿通孔に屋根材固定ボルトが挿通されると共に、支持金具の支持脚部が既設の波形屋根材の谷部に載置され、支持金具の複数のネジ挿通孔から座金の複数のネジ孔にそれぞれねじ込まれた複数本の座金引き上げ用ネジによって引き上げられた座金の複数のかしめ片が、支持金具の凹部の下面に圧接して座金の開口の中心部の方にかしめられ、各かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを外側から押圧することで屋根補修用金具が取付固定されており、この屋根補修用金具の支持金具の母屋材支持面に、新たな屋根材を張り付けるための母屋材が取付けられていることを特徴とする屋根補修構造。
【請求項6】
請求項2に記載の副座金が支持金具と座金との間に介在されて、屋根材固定ボルトが副座金の開口に挿通され、副座金の複数のかしめ片も開口の中心部の方にかしめられて、各かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを外側から押圧している請求項5に記載の屋根補修構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−163623(P2008−163623A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353739(P2006−353739)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】