説明

履物用靴底のための回転式抗スリップ装置

本発明は、履物産業に関し、さらに詳しくは履物用靴底の中に挿入され、雪又は氷又は舗装された表面上の別の滑り易い材質の存在下において、使用者が、彼又は彼女自身が所有する履物に、機械的に及び容易に、抗スリップの鋸歯状の爪部を装備することを可能にする装置に関わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物産業に関し、さらに詳しくは履物用靴底の中に挿入され、雪又は氷又は舗装された表面上の別の滑り易い材質の存在下において、使用者が、彼又は彼女自身が所有する履物に、機械的に及び容易に、抗スリップの鋸歯状の爪部を装備することを可能にする装置に関わる。舗装された表面上の氷又は雪の存在下では、滑り易く、人、とりわけ特定の人、又は特定の環境におかれる人は、非常に深刻な事態となる場合がある肉体的損傷の原因になる可能性を伴っていることはよく知られている。
【背景技術】
【0002】
山岳域又は長く、厳しい冬によって特徴付けられる地域においては、爪部を備えている専門の靴が、長い間使用されている。しかし、その構造によって、この靴は、普通の靴のように使用することはできず、靴の普通の使用と両立できない。
【特許文献1】国際公開第2000/004803号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この欠点を避けるため、通常、爪のある靴は、普通の履物に置き換えられており、この普通の履物にはシールスキン(sealskin)又は同類の覆い、又は取り外し可能なゴムのクリートが適用されている。これらは、スパイク又は所定の数の爪部を備えている。この解決法は、使用者が、彼又は彼女が家の中又は建物の中に入るときには必ず、爪部又はスパイクが床を損傷させるのを避けるために、クリートを靴から取り除くことを強いられるという不利点を有している。
【0004】
この操作は、この操作自体が面倒であるが、また、後に再びクリートを付けるために、クリートを運ぶ必要がある使用者にとっての不都合、及びクリートがクリート上に溜まる物質により汚れているだろうという不都合を有している。
【0005】
最近、これらの欠点を避けるために、180(度)の回転動作が特徴であるスパイク又は爪部のシステムを装備した靴底のために特許文献1が記述され、この発明は、雪又は氷で覆われた舗装された表面の事例において使用することができ、逆に、舗装面が氷で覆われていないかまたは雪で覆われていない場合に、手動で引込むとともに、靴底に形成された溝の中の見えないところに摺動させることができる。
【0006】
この解決法は、抗スリップシステムを収容する設計の靴底内の溝の中に溜まった、泥又は土の堆積物の事前の除去の必要性によって、爪部又はスパイクの回転操作が、使用者には難しく思われる、という不利点を有している。
【0007】
最終的には、スパイク又は爪部に取付けられたバンドを機械的にひっくり返すことを可能にする装置が市場に存在している。
【0008】
上述の発明は、実施形態において重大な問題が存在する、なぜならば、靴底の内側に挿入される機械装置が、通常の使用では、靴が重く、そして不快感を与えるからである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、回転装置を作ることによって、上述した不利点を排除することであり、この回転装置は、履物用の靴底の中に組み込まれるとともに、2つの部分:通常の天候の下では地面の方に向く、平坦な部分、及び地面が雪又は氷で覆われている場合に、小さな鍵の簡単な使用によって、機械的に地面の方に向く爪部のある部分、を備えている。
【0010】
本発明の別の目的は、必須とされる、爪の付いたスパイクが収容される溝の、前もっての清掃から派生する任意の問題なしに、使用者が、いつでも、極めて簡単に抗スリップ爪部を挿入したり引込んだりする機械的操作を実施することを可能にすることである。
【0011】
本発明の別の目的は、使用者が、抗スリップ靴から普通の靴へ変化させることができること、又は逆に靴を重くしない機能的な装置を備えることを可能にし、よって、使用者の快適性を保証することである。これら及び別の目的は、本願の目的である本発明によって達成され、本願は、2つの雌ねじ付き金属差込み部材により靴の靴底の中に固定される抗スリップ装置に関し、差込み部材の機能は、回転要素がねじ留めされており、靴底の外形と一致する外形を備えた、2つの側面支持部材を固定することであり、回転要素は、2つの部分を有しており、1つは、舗装された表面が、雪又は氷によって覆われていない場合に、舗装された表面の方に向く、靴底の外形に一致した外形を備えた平坦部分であり、別の部分は、爪部であって、機械的に地面の方に向き、靴底の外形から突出しており、氷又は雪が舗装された表面の上に存在する場合に、必要とされるグリップ、抗スリップ効果を確保するのに十分な爪部が取付けられている部分である。2つの側面固定支持部材に対する回転要素の機械的回転は、鍵によって容易に実施され、使用者は、彼又は彼女の手を汚す、又は様々な溝を清掃する問題をかかえる必要がない。
【0012】
本発明の更なる特徴及び有利点は、好適に、しかし本願にとどまらず、図面のセットの中に単に制限のない例として、図示されている実施形態の記述内により詳細に示されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本願の発明は、要素のセットの組合せから成る装置から構成されており、これらの要素は、ねじによって結合され、舗装された表面上の雪又は氷が存在する状態に抗スリップ爪部を備えた彼又は彼女の履物を容易に適応させることができる可能性を、使用者に与える。
【0014】
本願の主題である装置は、靴底2の基部に固定されている、各々の回転要素6に対して2つの、雌ねじ付き金属差込み部材1を備えている。
【0015】
各々の雌ねじ付き金属差込み部材1には、ねじ山付きピン5の手段で、側面支持部材3が固定されるねじ山付き孔部4が備えられており、側面支持部材は、各々の回転要素6に対して2つである。組み合わせるように設計されている2つの側面支持部材3の表面11及び回転要素6の表面12には、ぎざぎざが付けられているか、又はいったんこの要素が、鍵9によって事前に選択された段階にねじ留めされれば、2つの側面支持部材3上に、回転要素6の阻止効果が得られるように、いずれにせよ加工される。
【0016】
2つの側面支持部材3の別の特徴は、いったんそれらが金属差込み部材1にねじ留めされれば、側面支持部材の外形が、靴底の外形と一致することである。
【0017】
舗装された表面が通常の状況である場合に使用される、靴底の外形と一致する平坦部6bを装備する、又は、あるいは、舗装された表面が雪又は氷で覆われている場合には、爪部を備えた鋸歯状部6aによる、回転要素6が、2つの側面支持部材3にねじで留められる。
【0018】
雪又は氷の場合においては、本発明は、使用者が、鍵9によって、回転要素を回転要素の2つの側面支持部材3からねじを戻す操作で、回転要素6の鋸歯状爪部6aを地面に向けて回転できることを可能にする。
【0019】
鍵9は、付属物として履物と一緒に供給され、靴の甲に設けられた特別な容器10に収容することができる。
【0020】
上述したデバイスは、靴又は使用者の必要性に応じて、1以上の回転要素6、好適には本願に記述されたように3つの回転要素を備えた、履物用の任意の靴底の中に挿入することができる。
【0021】
上述され、添付の図面に図示されるとともに、請求の範囲に記載されたような本発明の材料及び寸法は、要求に応じて任意とすることができる。加えて、全ての詳細は、発明のための本特許出願が保護する範囲から逸脱することなしに、技術的に同等な別なものと置き換えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】差込み部材が靴底の基部2の中に挿入される前の、各々の回転要素6に対して2つの、雌ねじ付き差込み部材1の上方からの図である。
【図2】側面支持部材がねじ山付き差込み部材1の孔部4の中にねじで留められる前の、靴底2の基部に設置された雌ねじ付き差込み部材1、及びねじ山付きピン5を備えた側面支持部材3の上方からの図である。
【図3】基部2の内部に組立てられた、雌ねじ付き差込み部材1、及び側面支持部材3の上方からの図である。
【図4】鋸歯状部材6aが地面の方に向いた状態で示されている回転要素6がねじ7で留められている、及び回して戻されている、2つの側面支持部材3からなる要素を備えた抗スリップ装置の実際の図である。
【図5】抗スリップ装置の回転要素6が、ねじ7によって、その2つの側面支持部材3に留める、又は回して戻すことができる抗スリップ装置であって、鍵が中に挿入され、よって、地面の状況によって回転要素6を回して外す、及びねじで留めることを通じての回転を可能にする、雌型空洞8による外側部分を特徴とする、抗スリップ装置の上方からの図である。
【図6】抗スリップ装置であって、地面が雪又は凍りに覆われていない場合に、側面支持部材3と一列になるとともに、地面の方へ向く平坦部6bを備えた、回転要素の2つの側面支持部材3に、回転要素6がねじで留められている、抗スリップ装置の上方からの図である。
【図7】鋸歯状部6aが地面の方に向いた状態の抗スリップバージョン、及び回転要素6の平坦部6bが地面の方に向いた状態の通常バージョン、両方において、2個以上の要素、好適には記述されているように3個の本発明の主題である抗スリップ装置が嵌合している靴底、回転要素の側面支持部材3に、回転要素6をねじで留める、及び回して戻すための、鍵9によって調節可能な全体を示す図である。
【図8】ポケット10が、抗スリップ履物と共に供給される鍵9を保持するように設計されている靴の甲を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 雌ねじ付き金属差込み部材
2 基部
3 側面支持部材
4 ねじ山付き孔部
5 ねじ山付きピン
6 回転要素
6a 鋸歯状部
6b 平坦部
7 ねじ
8 雌型空洞
9 鍵
10 容器
11 側面支持部材の表面
12 回転要素の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装された表面上に雪又は氷が存在する場合において、履物用靴底が、機械的にかつ容易に鋸歯状の爪部を装備することを可能にする回転式抗スリップ装置であって、
2つの金属差込み部材によって前記履物用靴底の中に固定される回転要素であって、前記金属差込み部材の機能は、2つの側面支持部材のねじ山付きピンを固定することであり、2つの前記側面支持部材には、一方が平坦で、もう一方に爪部が取付けられている、2つの部分を装備している回転要素が、ねじで留める、又は回して外すことができることを特徴とする回転式抗スリップ装置。
【請求項2】
前記靴底の基部上に設置されている2つの前記金属差込み部材は、2つの対応する前記側面支持部材のねじ山付きピンが収容されるねじ山付き空洞部によって特徴付けられる請求項1に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項3】
外形が前記靴底の外形と一致する、2つの前記側面支持部材によって特徴付けられる請求項1及び2に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項4】
請求項3に記載された、前記回転要素の2つの前記側面支持部材に対する前記回転要素の回転は、ねじ溝をきられたねじに特徴付けられる請求項1,2,及び3に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項5】
請求項4の前記ねじ溝をきられたねじは、前記ねじの端部及び雌空洞による外側部分によって特徴づけられる請求項1,2,3,及び4のいずれか一項に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項6】
前記回転要素は、2つの部分であって、一方は、平坦部であり、前記靴底の外形と一致する外形を備え、通常の気象条件下においては地面の方に向く部分であり、他方は、爪部が取付けられており、地面が雪又は氷で覆われている場合に、地面の方に向く部分である、2つの部分に特徴付けられる請求項1,2,3,4,及び5のいずれか一項に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項7】
前記回転要素の2つの前記側面支持部材に対する前記回転要素の回転は、ねじ溝をきられたねじの戻しと、それに続くねじ留めを受けて生じ、よって、前記回転要素の前記平坦部は、通常の気象条件においては地面を向くように配置され、又は代わりに、前記回転要素の鋸歯状部は、舗装された表面上に、氷又は雪がある場合に、地面を向くように配置されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,及び6のいずれか一項に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項8】
前記回転要素の2つの前記側面支持部材に対して前記回転要素をねじで留める、及びねじを戻す機械的動作は、前記ねじ溝をきられたねじの前記雌空洞の中への鍵の挿入によって特徴付けられる請求項1,2,3,4,5,6,及び7のいずれか一項に記載の回転式抗スリップ装置。
【請求項9】
ともに固定されるように設計された、前記側面支持部材及び前記回転要素の表面の部分は、前記表面にぎざぎざが付けられているか、又はいったん前記回転要素が事前に選択された使用の段階にねじ留めされれば、前記回転要素6が固定されるように、いずれの場合にも加工されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,及び8のいずれか一項に記載の回転式抗スリップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−506638(P2010−506638A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532695(P2009−532695)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008321
【国際公開番号】WO2008/046491
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(508257407)
【Fターム(参考)】