説明

履物

【課題】各部分が分離可能であるとともに全体が緩みなくまとまり、かつ多様なデザインと色の組み合わせを実現することができる履物を提供する。
【解決手段】ソール・ホルダーアセンブリ11は、ソールアセンブリ111と、ソールアセンブリ111を下側からカバーするホルダー部112とを有している。ソールアセンブリ111は、第1のソール部1111と、第2のソール部1112と、それらを留めるピン1113とを有している。第1のソール部1111と第2のソール部1112とは互いに係合する形状を有し、それらが互いに係合した状態で、第1のソール部1111の少なくとも一部分が第2のソール部1112の少なくとも一部分の上側に接するように位置し、第2のソール部1112の少なくとも一部分が第1のソール部1111の少なくとも一部分の上側に接するように位置する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関し、特に組み立て式の履物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な履物は、甲皮の部分と、インナーソールの部分と、アウターソールの部分とが全て固定されて成形されている。したがって、単一の履物のデザインや色をユーザが自由に変えることは一般的には不可能である。
【0003】
ユーザは、複数の履物を所有することによって、その都度、着る服や持ち運ぶ鞄等のデザインや色に合わせて一つの履物を選び出して使用しているのが現状である。
【0004】
そのような課題に対して、以下のような解決手段が開示されている。例えば、特許文献1の分離可能なシューズは、甲皮の部分とその他の部分とを分離可能とすることにより、甲皮の部分のみを交換することで複数の履物を所有するのと同様の効果を実現している。
【0005】
また、特許文献2の組み立て式サンダルは、甲掛帯の部分と、インナーソールの部分と、アウターソールの部分とを分離可能とすることにより、サンダルを長く使えるようにするともに、デザインや色の組み合わせによるファッション性を高めている。
【0006】
また、特許文献3のモジュール式靴構造は、接着剤なしで互いに固定することが可能な履物の構造を提供している。当該構造は、屋内で使用する履物と屋外で使用する履物とを組み合わせる等、履物の多様な使用方法を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−512471号公報
【特許文献2】実登3045031号公報
【特許文献3】特開2008−178687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術においては、履物の各部分を分離可能としたために、当該履物が全体としてしっかり緩みなくまとまるということが困難であった。すなわち、履物にはユーザの体重がかかるため、応力のかかり方によっては履物が分解するおそれがある。
【0009】
また、従来技術においては、履物の各部分の組み合わせによって様々なデザインおよび色を楽しむことができるが、当該各部分の構造に新しい工夫を施すことによって従来技術にはなかったような、より多くのデザインおよび色の組み合わせを実現できる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、各部分が分離可能であるとともに全体が緩みなくまとまり、かつ多様なデザインと色の組み合わせを実現することができる履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
第1のソール部と第2のソール部とを有するソールアセンブリを備える履物であって、
前記第1のソール部と前記第2のソール部とは互いに係合する形状を有し、
前記第1のソール部と前記第2のソール部とが互いに係合した状態で、前記第1のソール部の少なくとも一部分が前記第2のソール部の少なくとも一部分の上側に接するように位置し、前記第2のソール部の少なくとも一部分が前記第1のソール部の少なくとも一部分の上側に接するように位置する
構造を備える履物
を提供する(第1の実施態様)。
【0012】
また、上記の第1の実施態様において、
前記第1のソール部は上下方向に貫通する孔を有し、
前記第2のソール部が前記孔を貫通し、前記第2のソール部の爪先側の部分の少なくとも一部が前記第1のソール部の下側に接するように位置し、前記第2のソール部の踵側の部分の少なくとも一部が前記第1のソール部の上側に接するように位置した状態で、前記第1のソール部と前記第2のソール部が係合する
構成を採用してもよい(第2の実施態様)。
【0013】
また、上記の第2の実施態様において、
前記第1のソール部の前記孔を取り囲む内側面と前記第2のソール部の爪先側の外側面とが互いに係合する
構成を採用してもよい(第3の実施態様)。
【0014】
また、上記の第1の実施態様において、
前記第2のソール部は上下方向に貫通する孔を有し、
前記第1のソール部が前記孔を貫通し、前記第1のソール部の踵側の部分の少なくとも一部が前記第2のソール部の下側に接するように位置し、前記第1のソール部の爪先側の部分の少なくとも一部が前記第2のソール部の上側に接するように位置した状態で、前記第1のソール部と前記第2のソール部が係合する
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0015】
また、上記の第4の実施態様において、
前記第2のソール部の前記孔を取り囲む内側面と前記第1のソール部の爪先側の外側面とが互いに係合する
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【0016】
また、上記の第1乃至5のいずれかの実施態様において、
前記ソールアセンブリを下側からカバーするホルダー部を備え、
前記ソールアセンブリと前記ホルダー部とは互いに係合する
構成を採用してもよい(第6の実施態様)。
【0017】
また、上記の第6の実施態様において、
前記ホルダー部の前記ソールアセンブリと係合する部分は、前記ソールアセンブリの前記ホルダー部と係合する部分と比較して硬い
構成を採用してもよい(第7の実施態様)。
【0018】
また、上記の第1乃至7のいずれかの実施態様において、
前記ソールアセンブリは、前記第1のソール部と前記第2のソール部とを土踏まず部分において上下方向に貫通するピンを有し、
前記ピンは、前記第1のソール部と前記第2のソール部とが前後方向にずれることを防止する
構成を採用してもよい(第8の実施態様)。
【0019】
また、上記の第1乃至8のいずれかの実施態様において、
前記ホルダー部は上下方向に貫通する孔を有し、
前記ソールアセンブリの一部が前記ホルダー部の孔を貫通するように突出する突出部を有し、
前記突出部が前記履物のアウターソールを構成する
構成を採用してもよい(第9の実施態様)。
【0020】
また、上記の第1乃至9のいずれかの実施態様において、
前記第1のソール部および前記第2のソール部の少なくとも一方は、第1の素材のインナーソールと、前記第1の素材と異なる第2の素材のアウターソールとを有する
構成を採用してもよい(第10の実施態様)
【0021】
また、上記の第1乃至10のいずれかの実施態様において、
前記第1のソール部と前記第2のソール部とが互いに係合している状態において、前記第1のソール部が前記第2のソール部と接する部分と、前記第2のソール部が前記第1のソール部と接する部分との少なくとも一方に、凹凸が設けられており、
前記凹凸は、前記第1のソール部と前記第2のソール部とが左右方向もしくは上下方向にずれることを防止する
構成を採用してもよい(第11の実施態様)。
【0022】
また、上記の第1乃至11のいずれかの実施態様において、
甲皮部を備え、
前記甲皮部は、前記第1のソール部から上方に延伸する第1のパーツと、前記第2のソール部から上方に延伸する第2のパーツと、前記第1のパーツと前記第2のパーツとを互いに着脱可能に連結する連結機構とを有する
構成を採用してもよい(第12の実施態様)。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の実施態様にかかる履物によれば、各部分が分離可能であるとともに全体が緩みなくまとまり、かつ多様なデザインと色の組み合わせを実現することが可能である。
【0024】
本発明の第2の実施態様にかかる履物によれば、組み立てが容易であるとともにソールアセンブリがよりしっかりと緩みなくまとまる。
【0025】
本発明の第3の実施態様にかかる履物によれば、やはり組み立てが容易であるとともにソールアセンブリがよりしっかりと緩みなくまとまる。
【0026】
本発明の第4の実施態様にかかる履物によれば、やはり組み立てが容易であるとともにソールアセンブリがよりしっかりと緩みなくまとまる。
【0027】
本発明の第5の実施態様にかかる履物によれば、やはり組み立てが容易であるとともにソールアセンブリがよりしっかりと緩みなくまとまる。
【0028】
本発明の第6の実施態様にかかる履物によれば、ホルダー部の存在が全体をしっかりと緩みなくまとめるとともに、多様なデザインおよび色の組み合わせを楽しむことが可能である。
【0029】
本発明の第7の実施態様にかかる履物によれば、ホルダー部とソールアセンブリとの係合が容易に外れない。
【0030】
本発明の第8の実施態様にかかる履物によれば、ピンによって第1のソール部と第2のソール部との主に前後方向のずれを防止することが可能である。
【0031】
本発明の第9の実施態様にかかる履物によれば、好適な素材のアウターソールを選択できるとともに、アウターソールを含めた多様なデザインおよび色の組み合わせ楽しむことが可能である。
【0032】
本発明の第10の実施態様にかかる履物によれば、インナーソールおよびアウターソールの素材の好適な組み合わせを選択することができ、結果として、組み立てやすさ、履き心地のよさ、アウターソールのグリップ性能、アウターソールの過剰な摩耗の防止、全体としての過剰な変形の防止等を実現することができる。
【0033】
本発明の第11の実施態様にかかる履物によれば、第1のソール部と第2のソール部との主に左右方向もしくは上下方向のずれを防止することが可能である。
【0034】
本発明の第12の実施態様にかかる履物によれば、甲皮部に高さを持つ例えばブーツ等の靴を構成した際に、甲皮部を構成する第1のソール部の上側に設けられた部分と、第2のソール部の上側に設けられた部分とが互いに分離することにより生じる不便が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、組み立てる前の本発明の実施形態にかかるソール・ホルダーアセンブリを示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる靴の組み立て方法の一例を説明する図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる靴を前後方向に垂直な平面で切った場合の断面図等である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかる靴を前後方向に垂直な平面で切った場合の断面図等である。
【図5】図5は、本発明の実施形態の変形例にかかる靴を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態にかかる靴と当該実施形態の一変形例にかかる靴との違いを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施形態)
以下、本発明の一具体例である実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本実施形態においては、履物の一例として靴1について説明する。
【0037】
靴1は、ユーザが足を載せるソール・ホルダーアセンブリ11と、ソール・ホルダーアセンブリ11の側端部から延伸しユーザの足の甲等を覆う甲皮部12とを備えている。
【0038】
図1は、組み立てる前の本実施形態にかかるソール・ホルダーアセンブリ11を示す図である。
【0039】
ソール・ホルダーアセンブリ11は、ソールアセンブリ111と、ソールアセンブリ111を下側からカバーするホルダー部112とを有している。
【0040】
ソールアセンブリ111は、第1のソール部1111と、第2のソール部1112と、第1のソール部1111と第2のソール部1112とを留めるピン1113とを有している。
【0041】
第1のソール部1111は、第1のインナーソール11111と、第1のアウターソール11112とを有している。
【0042】
第2のソール部1112は、第2のインナーソール11121と、第2のアウターソール11122とを有している。
【0043】
第1のインナーソール11111は、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(以下、「EVA」という)で作られている。EVAは、比較的柔らかい素材なので、後述のようにソールアセンブリ111を組み立てる際に便利であると同時に、第1のインナーソール11111は足の裏に触れる部分でもあるため、ある程度柔らかいことが望ましいことからEVAが採用されている。
【0044】
第1のインナーソール11111の爪先側の付近には、例えば、上下方向に貫通する孔が設けられている。
【0045】
第1のインナーソール11111は、例えば、当該孔を取り囲む部分と、第2のソール部1112の一部分を載せるための円盤形状を有する部分とを有している。
【0046】
使用時には、例えば、当該孔を取り囲む部分が爪先側にきて、当該円盤形状を有する部分が踵側にくる。
【0047】
第1のアウターソール11112は、例えば、ゴムで作られている。上述のように第1のインナーソール11111が比較的柔らかいEVAで作られているため、第1のアウターソール11112を比較的硬いゴムで作ることによって、靴1全体の変形およびアウターソールの過剰な摩耗を防止している。
【0048】
第1のアウターソール11112は、略半円形状を有する板状の部材である。
【0049】
第1のアウターソール11112の上側は、例えば、接着剤によって第1のインナーソール11111の踵側の下側に接着される。
【0050】
第1のアウターソール11112の下側は、使用時に地面に接する部分が凹凸を有しており、前後左右方向に強い摩擦力を有する。
【0051】
第2のインナーソール11121は、例えば、EVAで作られている。EVAは、比較的柔らかい素材なので、後述のようにソールアセンブリ111を組み立てる際に便利であると同時に、第2のインナーソール11121は足の裏に触れる部分でもあるため、ある程度柔らかいことが望ましいことからEVAが採用されている。
【0052】
第2のインナーソール11121は、第1のソール部1111の上に載る円盤形状を有する部分と、当該円盤形状を有する部分から延伸する胴体が膨らんだひょうたんのような板材の部分とを有し、上から見たときに全体として中心がくびれた板材の構成を有している。
【0053】
使用時には、上述の円盤形状を有する部分が踵側にきて、上述のひょうたんのような板材の部分が爪先側にくる。
【0054】
第2のアウターソール11122は、例えば、ゴムで作られている。上述のように第2のインナーソール11121が比較的柔らかいEVAで作られているため、第2のアウターソール11122を比較的硬いゴムで作ることによって、靴1全体の変形およびアウターソールの過剰な摩耗を防止している。
【0055】
第2のアウターソール11122は、略楕円形状を有する板状の部材である。
【0056】
第2のアウターソール11122の上側の中心付近は、例えば、接着剤によって第2のインナーソール11121の下側に接着される。
【0057】
第2のアウターソール11122は、上から見たときに、第2のインナーソール11121よりも広い領域をカバーしている。
【0058】
第2のアウターソール11122の下側は、使用時に地面に接する部分が凹凸を有しており、前後左右方向に強い摩擦力を有する。
【0059】
第1のソール部1111と第2のソール部1112とが係合する際には、第1のインナーソール11111が有する孔に対して、上側から第2のソール部1112の爪先側が入り込んで、第1のインナーソール11111における孔を取り囲む部分が、第2のインナーソール11121のひょうたんのような板材の部分と係合すると同時に、第2のアウターソール11122の上に載る。
【0060】
そして、第2のインナーソール11121における円盤形状を有する部分が、第1のインナーソール11111の円盤形状を有する部分の上に載る。
【0061】
その結果として、第2のソール部1112が第1のソール部1111の有する孔を貫通し、第2のソール部の爪先側の部分の少なくとも一部が第1のソール部1111の下側に接するように位置し、第2のソール部1112の踵側の部分の少なくとも一部が第1のソール部1111の上側に接するように位置した状態で、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが係合することとなる。
【0062】
この場合、第1のソール部1111の有する孔を取り囲む内側面と第2のソール部1112の爪先側の外側面とが互いに係合する。
【0063】
このような構造を有することにより、ユーザが足をソールアセンブリ111の上に載せた場合、爪先側では第1のソール部1111が第2のソール部1112を上側から下側へ押さえつけ、踵側では第2のソール部1112が第1のソール部1111を上側から下側へ押さえつけ、全体として緩みのないしっかりとまとまったソールアセンブリ111が構成される。
【0064】
第1のインナーソール11111および第2のアウターソール11122において、爪先側から踵側に向かう方向(以下、「前後方向」という)の中心付近(土踏まず部分)の左右両側には、当該左右のそれぞれに対して第1のソール部1111と第2のソール部1112とを連結するピン1113を通すための孔が上下方向に貫通している。
【0065】
ピン1113は、皿部および軸部を有しており、1つのソールアセンブリ111に対して2個用いられる。ピン1113の存在は、使用時に第1のソール部1111と第2のソール部1112とが、主に前後方向に相互に移動し、ずれることを防止する。ピン1113は土踏まず部分に配置されているため、ユーザの足から直接、下方への押圧を受けることがない。そのため、靴1の使用に伴いピン1113が変形し破損する、といったリスクが少ない。
【0066】
なお、ピン1113を第1のソール部1111および第2のソール部1112に貫通した状態で、ピン1113の先端付近を支持するストッパーが設けられてもよい。
【0067】
また、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが互いに係合している状態において、第1のソール部1111が第2のソール部1112と接する部分、および第2のソール部1112が第1のソール部1111と接する部分には、例えば水平方向に凹凸が設けられており、当該凹凸は第1のソール部1111と第2のソール部1112とが左右方向もしくは上下方向にずれることを防止する。
【0068】
ホルダー部112は、熱可塑性ウレタン樹脂(以下、「TPU」という)で作られている。
【0069】
ホルダー部112のソールアセンブリ111と係合する部分は、ソールアセンブリ111のホルダー部112と係合する部分と比較して硬い。その結果として、ホルダー部112とソールアセンブリ111とが係合して、ソール・ホルダーアセンブリ11が完成した場合に、ホルダー部112とソールアセンブリ111とが容易に外れないという利点を有する。
【0070】
ホルダー部112の底面には、上下方向に貫通する複数の孔があいている。当該孔の存在により、第1のアウターソール11112および第2のアウターソール11122の一部分が、直接地面と接することとなる。
【0071】
以上のような構成を有する靴1の組み立て方法の一例を、図面を用いて説明する。図2は、本実施形態にかかる靴1の組み立て方法の一例を説明する図である。
【0072】
先ず、第1のソール部1111と、第2のソール部1112とが用意されている。第1のソール部1111および第2のソール部1112の各々には、甲皮部12が取り付けられている。
【0073】
第1のソール部1111が有する孔に、上側から第2のソール部1112の爪先側を挿入する。そして、第2のソール部1112の中間付近にあるくびれた部分を、第1のソール部1111が有する孔を取り囲む部分にはめ込む。
【0074】
その状態で、第1のソール部1111に対して第2のソール部1112を、上述のくびれた部分を中心として回転させ、第1のソール部1111と第2のソール部1112とを係合させる。
【0075】
具体的には、第1のインナーソール11111における孔を取り囲む部分(すなわち、爪先側の部分)が、第2のインナーソール11121と係合すると同時に第2のアウターソール11122の上に載るようにする。そして、第2のインナーソール11121の円盤形状を有する部分(すなわち、踵側の部分)が、第1のインナーソール11111の円盤形状を有する部分の上に載るようにする。
【0076】
次に、上側から左右2個のピン1113を、第1のインナーソール11111および第2のアウターソール11122が有する孔に貫通させる。そして、2個のピン1113の先端付近を上述のストッパーで支持する。これにより、甲皮部12が付いたソールアセンブリ111が完成する。
【0077】
その状態のソールアセンブリ111を下側からカバーするように、ホルダー部112でホールドする。上述したように、ソールアセンブリ111とホルダー部112との係合部分においては、ホルダー部112の方が硬いので、両者が係合されると容易に外れることがない。これにより、甲皮部12が付いたソール・ホルダーアセンブリ11、すなわち靴1が完成する。
【0078】
なお、上述したように、ホルダー部112が有する孔から第1のアウターソール11112および第2のアウターソール11122の一部分が突出し、当該突出部が靴1のアウターソールを構成するため、靴1のグリップ性能は高いものとなっている。また、第1のアウターソール11112および第2のアウターソール11122は、ゴムで作られているため、アウターソールの過剰な摩耗が防止される。
【0079】
また、第1のソール部1111と第2のソール部1112との係合は、極めて容易に行うことが可能であり、またピン1113および上述のストッパーの着脱も容易であり、結果として、靴1の組み立ては簡単に行うことができる。
【0080】
したがって、ユーザは、第1のソール部1111、第2のソール部1112、およびホルダー部112の色およびデザインの組み合わせを、気軽に変えることが可能である。
【0081】
次に、完成した状態の靴1における第1のソール部1111と第2のソール部1112との係合状態を、図面を用いて説明する。
【0082】
図3および図4は、靴1を前後方向に垂直な平面で切った場合の断面図等を表している。なお、図3および図4の靴1は、図1および図2の靴1とは若干異なる構成を有しているが、説明上問題がない程度の差異であるため、当該差異の説明は割愛する。
【0083】
爪先側から見ていくと、BB’矢視断面図においては、第1のインナーソール11111が、第2のインナーソール11121に係合すると同時に第2のアウターソール11122の上に載っている状態が示されている。
【0084】
次に、CC’矢視断面図においては、BB’矢視断面図と比較して、甲皮部12が高くはなっているが、第1のインナーソール11111と第2のインナーソール11121との係合状態は、略同様である。
【0085】
さらに、DD’矢視断面図においては、第2のインナーソール11121は、中央のくびれた部分を表しており、その左右にはピン1113および上述のストッパーが見えている。
【0086】
最後に、EE’矢視断面図においては、第1のソール部1111の踵側の円盤形状を有する部分の上に、第2のソール部1112の踵側の円盤形状を有する部分が載っている。
【0087】
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形が可能である。
【0088】
例えば、靴1は甲皮部12を備えるものとしたが、甲皮部12を備えないサンダルのようなものが採用されてもよい。
【0089】
また、ソール・ホルダーアセンブリ11には2個のピン1113が用いられるものとしたが、その数はそれに限られず、例えば3個もしくは1個でもよいし、特に問題がなければピン1113が用いられなくてもよい。上述のストッパーも同様である。靴1の組み立てを容易に行えることが、本発明の重要なポイントだからである。
【0090】
また、第1のソール部1111は、第1のインナーソール11111と第1のアウターソール11112とを有するものとしたが、インナーソールの部分とアウターソールの部分とが一体成形されてもよい。
【0091】
また、第2のソール部1112は、第2のインナーソール11121と第2のアウターソール11122とを有するものとしたが、インナーソールの部分とアウターソールの部分とが一体成形されてもよい。
【0092】
また、第1のインナーソール11111はEVAで作られており、第1のアウターソール11112はゴムで作られているものとしたが、特に問題がなければ、それらの素材はいかなるものであってもよい。したがって、例えば、第1のインナーソール11111および第1のアウターソール11112の両方がEVAで作られてもよい。
【0093】
また、第1のインナーソール11111の爪先側の付近には上下方向に貫通する孔が設けられているものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】
すなわち、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが互いに係合する形状を有し、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが互いに係合した状態で、第1のソール部1111の少なくとも一部分が第2のソール部1112の少なくとも一部分の上側に接するように位置し、第2のソール部1112の少なくとも一部分が第1のソール部1111の少なくとも一部分の上側に接するように位置するならば、第1のソール部1111および第2のソール部1112はいかなる形状を有してもよい。
【0095】
したがって、第1のインナーソール11111とともに、第1のアウターソール11112、第2のインナーソール11121、および第2のアウターソール11122も、上述した形状に限定されるものではない。
【0096】
また、第1のアウターソール11112の上側は接着剤によって第1のインナーソール11111の踵側の下側に接着されるものとしたが、他のいかなる方法によって両者が連結されてもよい。
【0097】
また、第1のアウターソール11112の下側は使用時に地面に接する部分が凹凸を有するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、当該部分に凹凸がなくてもよい。
【0098】
また、第2のインナーソール11121はEVAで作られており、第2のアウターソール11122はゴムで作られているものとしたが、特に問題がなければ、それらの素材はいかなるものであってもよい。したがって、第2のインナーソール11121および第2のアウターソール11122の両方がEVAで一体成形により作られてもよい。
【0099】
また、第2のアウターソール11122の上側の中心付近は接着剤によって第2のインナーソール11121の下側に接着されるものとしたが、他のいかなる方法によって両者が連結されてもよい。
【0100】
また、第2のアウターソール11122の下側は使用時に地面に接する部分が凹凸を有するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、当該部分に凹凸がなくてもよい。
【0101】
また、第1のインナーソール11111および第2のアウターソール11122において前後方法の中心付近の左右両側にはピン1113を通すための孔が上下方向に貫通しているものとしたが、上述のようにピン1113自体が設けられない構成の場合には、当該孔も設けられない。
【0102】
また、ピン1113は、皿部および軸部を有するものとしたが、特に問題がなければ、いかなる形状を有してもよい。上述のストッパーも、特に問題がなければ、いかなる形状を有してもよい。
【0103】
また、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが互いに係合している状態において第1のソール部1111が第2のソール部1112と接する部分、および第2のソール部1112が第1のソール部1111と接する部分には凹凸が設けられているものとしたが、特に問題がなければ、当該凹凸は設けられなくてもよい。
【0104】
また、ホルダー部112は、特に問題がなければ、設けられなくてもよい。
【0105】
また、ホルダー部112はTPUで作られているものとしたが、特に問題がなければ、他のいかなる素材で作られてもよい。
【0106】
また、ホルダー部112のソールアセンブリ111と係合する部分はソールアセンブリ111のホルダー部112と係合する部分と比較して硬いものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、ホルダー部112と比較してソールアセンブリ111の方が硬くてもよい。
【0107】
また、ホルダー部112の底面には複数の孔があいているものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、当該底面に単一の孔があいていてもよいし、全く孔があいていなくてもよい。
【0108】
また、靴1はあくまでも履物の一例であって、本発明を限定するものではない。したがって、上述したようにサンダルのようなものも本発明の技術的思想の範囲内に入り得る。また、第1のソール部1111の爪先側上部と、第2のソール部1112の踵側上部に高さのある半円筒形状の甲皮部12を各々一体成形したり、同様の形状の甲皮部12を皮革等の素材で作り、第1のソール部1111および第2のソール部1112に縫いつけたりすることにより、ブーツ等の様々な形状の靴1を構成するようにしてもよい。
【0109】
甲皮部12に高さが生じると、第1のソール部1111の爪先側上部に設けられた甲皮部12の一部と、第2のソール部1112の踵側上部に設けられた甲皮部12の一部が使用時に分離しやすくなる。そのような分離を回避するために、これらの甲皮部12を構成する2つのパーツを互いに着脱可能に連結する連結機構を設けるようにしてもよい。図5は、そのような連結機構を備えた靴1の外観を模式的に示した図である。
【0110】
図5において、第1のソール部1111の爪先側上部に設けられた甲皮部12の一部は前方パーツ121、第2のソール部1112の踵側上部に設けられた甲皮部12の一部は後方パーツ122として示されている。なお、図5においてソールアセンブリ111はホルダー部112にカバーされ見えない。前方パーツ121と後方パーツ122は、連結機構13により互いに連結される。なお、図5において見えない反対側(図5に示されるものが内踝側であるとすれば、外踝側)も同様に連結機構13により前方パーツ121と後方パーツ122が互いに連結される。
【0111】
なお、図5に例示した靴1においては、連結機構13は後方パーツ122の外側表面に縫いつけられたボタンを前方パーツ121に設けられたボタンホールに通すことでそれらのパーツを着脱可能に連結するが、連結機構13が前方パーツ121と後方パーツ122を互いに着脱可能に連結する機構はボタンとボタンホールによるものに限られない。例えば、ボタンとボタンホールに代えて、線ファスナーや面ファスナーが連結機構13として採用されてもよいし、複数の紐孔に紐を通し結ぶ方式が連結機構13として採用されてもよい。
【0112】
また、上述した靴1の組み立て方法はあくまでも一例であって、本発明を限定するものではない。
【0113】
(変形例)
上述した実施形態の変形例について、図面を用いて説明する。なお、当該変形例も、当然に本発明の技術的思想の範囲内に含まれるものである。以下、上述した実施形態との差異を中心に説明する。
【0114】
図6は、上述した実施形態と本変形例との違いを説明する図である。
【0115】
図6(a)に模式的に示されるように、上述した実施形態においては、第1のソール部1111が爪先付近で上下方向に貫通する孔を有し、第2のソール部1112が当該孔を貫通し、第2のソール部1112の爪先側の部分の少なくとも一部が第1のソール部1111の下側に接するように位置し、第2のソール部1112の踵側の部分の少なくとも一部が第1のソール部の上側に接するように位置した状態で、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが係合している。
【0116】
これに対し、本変形例においては、図6(b)に模式的に示されるように、第2のソール部1112が爪先付近で上下方向に貫通する孔を有し、第1のソール部1111の踵側の部分の少なくとも一部が第2のソール部1112の下側に接するように位置し、第1のソール部1111の爪先側の部分の少なくとも一部が第2のソール部1112の上側に接するように位置した状態で、第1のソール部1111と第2のソール部1112とが係合する。
【0117】
このように、第1のソール部1111と第2のソール部1112との係合の仕方に様々なバリエーションがあることによって、通常の靴を組み立てる場合やサンダルを組み立てる場合等色々な状況に対して好適な構成を選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明にかかる履物は、緩みのない安定性および高いファッション性によって様々なシチュエーションで利用されることが期待でき、いわゆる生産業に貢献すると考えられる。
【符号の説明】
【0119】
1…靴、11…ソール・ホルダーアセンブリ、12…甲皮部、13…連結機構、111…ソールアセンブリ、1111…第1のソール部、11111…第1のインナーソール、11112…第1のアウターソール、121…前方パーツ、122…後方パーツ、1112…第2のソール部、11121…第2のインナーソール、11122…第2のアウターソール、1113…ピン、112…ホルダー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のソール部と第2のソール部とを有するソールアセンブリを備える履物であって、
前記第1のソール部と前記第2のソール部とは互いに係合する形状を有し、
前記第1のソール部と前記第2のソール部とが互いに係合した状態で、前記第1のソール部の少なくとも一部分が前記第2のソール部の少なくとも一部分の上側に接するように位置し、前記第2のソール部の少なくとも一部分が前記第1のソール部の少なくとも一部分の上側に接するように位置する
構造を備える履物。
【請求項2】
前記第1のソール部は上下方向に貫通する孔を有し、
前記第2のソール部が前記孔を貫通し、前記第2のソール部の爪先側の部分の少なくとも一部が前記第1のソール部の下側に接するように位置し、前記第2のソール部の踵側の部分の少なくとも一部が前記第1のソール部の上側に接するように位置した状態で、前記第1のソール部と前記第2のソール部が係合する
構造を備える請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記第1のソール部の前記孔を取り囲む内側面と前記第2のソール部の爪先側の外側面とが互いに係合する
構造を備える請求項2に記載の履物。
【請求項4】
前記第2のソール部は上下方向に貫通する孔を有し、
前記第1のソール部が前記孔を貫通し、前記第1のソール部の踵側の部分の少なくとも一部が前記第2のソール部の下側に接するように位置し、前記第1のソール部の爪先側の部分の少なくとも一部が前記第2のソール部の上側に接するように位置した状態で、前記第1のソール部と前記第2のソール部が係合する
構造を備える請求項1に記載の履物。
【請求項5】
前記第2のソール部の前記孔を取り囲む内側面と前記第1のソール部の爪先側の外側面とが互いに係合する
構造を備える請求項4に記載の履物。
【請求項6】
前記ソールアセンブリを下側からカバーするホルダー部を備え、
前記ソールアセンブリと前記ホルダー部とは互いに係合する
構造を備える請求項1乃至5のいずれかに記載の履物。
【請求項7】
前記ホルダー部の前記ソールアセンブリと係合する部分は、前記ソールアセンブリの前記ホルダー部と係合する部分と比較して硬い
請求項6に記載の履物。
【請求項8】
前記ソールアセンブリは、前記第1のソール部と前記第2のソール部とを土踏まず部分において上下方向に貫通するピンを有し、
前記ピンは、前記第1のソール部と前記第2のソール部とが前後方向にずれることを防止する
請求項1乃至7のいずれかに記載の履物。
【請求項9】
前記ホルダー部は上下方向に貫通する孔を有し、
前記ソールアセンブリの一部が前記ホルダー部の孔を貫通するように突出する突出部を有し、
前記突出部が前記履物のアウターソールを構成する
請求項1乃至8のいずれかに記載の履物。
【請求項10】
前記第1のソール部および前記第2のソール部の少なくとも一方は、第1の素材のインナーソールと、前記第1の素材と異なる第2の素材のアウターソールとを有する
請求項1乃至9のいずれかに記載の履物。
【請求項11】
前記第1のソール部と前記第2のソール部とが互いに係合している状態において、前記第1のソール部が前記第2のソール部と接する部分と、前記第2のソール部が前記第1のソール部と接する部分との少なくとも一方に、凹凸が設けられており、
前記凹凸は、前記第1のソール部と前記第2のソール部とが左右方向もしくは上下方向にずれることを防止する
請求項1乃至10のいずれかに記載の履物。
【請求項12】
甲皮部を備え、
前記甲皮部は、前記第1のソール部から上方に延伸する第1のパーツと、前記第2のソール部から上方に延伸する第2のパーツと、前記第1のパーツと前記第2のパーツとを互いに着脱可能に連結する連結機構とを有する
請求項1乃至11のいずれかに記載の履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−136111(P2011−136111A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299290(P2009−299290)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(509223184)OPEN YOUR EYES 株式会社 (1)
【Fターム(参考)】