説明

工事用足場

【課題】高層建物の清掃等の改修工事を行う際に、ビル風が発生してもベランダに堅固に支持できて、傾くことのない工事用足場を提供すること。
【解決手段】足場10は、下部区域M1に配置される下部枠体11と、上部区域M2と側部区域M3に跨る上部枠体13とを備えて構成する。下部枠体11はベランダ床面4に接地するキャスタ12を備え、上部枠体3の上部には係止部材ユニット20を装着する。係止部材ユニット20の係止部材21をベランダ天井壁5に面接触で押し当てることにより、ベランダ床面4とベランダ天井壁5との間で足場10を固く支持する。上部枠体13の上面とベランダ天井壁5との間の隙間Sを僅かにして、足場10が傾いても上部枠体13でベランダ天井壁5に干渉させる。また、係止部材ユニット20には、室内側に延びるアームジャッキ29を備えて補助係止部材30でベランダ天井壁5に係止可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高層建物又は超高層建物等におけるベランダ外壁等の清掃工事を行うための工事用足場に関する。
【背景技術】
【0002】
地上20階以上を越える高層建物や超高層建物でのベランダ外壁等の改修工事を行う場合、高層で発生するビル風が、建物に当たった風が舞い上がったり、吹き抜けたりすることによって、地上では考え難い風の影響を受けやすい。このため、従来から行われていた改修工事、例えば、屋上からゴンドラを吊り下げて行う作業は、危険が大きいことから実施できにくい状況にあった。また、地上から積み上げて構成するピケ足場の場合、高層建物の場合では、足場作りが大掛かりな作業となって工事の長期化又は莫大な工事費用がかかり、現実には無理が生じていた。
【0003】
このことから、従来においては、特許文献1に知られるように、ベランダで組み付けることができる足場が提供されていた。これによると、足場は、ベランダの床面と天井壁とを突っ張るように支持する支柱を設けて足場本体を構成し、足場本体からベランダ外側に、張り出し枠体を突出させて作業枠体としていた。これによって、足場本体を簡略化することができるとともに、工期も短くすることができ、工事費用も廉価にすることができることとなっていた。
【特許文献1】特開平11−223012公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、高層建物が20階を越えて50階以上に至る、いわゆるタワー型超高層マンション群では、冒頭に述べた、ビル風の影響を大いに受けることとなり、少しでも危険な作業を想定できるような構成にすることはできない。つまり100%近い安全な足場を構成する必要があり、また、工事の長期化を防止して廉価な費用で提供できる足場でなくてはならない。
【0005】
特許文献1の足場では、確かに簡略された構成の足場が開示されているものの、100%近い安全な足場とはいえない。つまり、ベランダ天井壁とベランダ床面とを突っ張って支持する支柱は、ベランダ床面に接地する4本とベランダ天井壁に接地するベランダ室内側の端部の2本で構成されている。また、作業を行うための張り出し枠は、上段枠の外側部分から張出しているから、万が一天井壁を突っ張っている支柱が破損した場合には、張り出し枠にかかるモーメントにより足場自体がベランダの外側に大きく傾く。張り出し枠が傾くことによって、最悪の場合には、足場自体が落下する虞を生じ、また落下しないまでも、張り出し枠に仮置きした道具や金具等が落下する虞がある。たとえ小さなものでも、高層建物の上階から落下したものは、地上に達する際には、加速度を大きくして事故の要因となりやすい。したがって、上記のような高層建物で改修工事を行うための足場としては、安全な構成を第1に考慮することが特に必要となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、超高層建物を含む高層建物で改修工事を行う際に、簡略化できて廉価な費用で工事を行うとともに、たとえ、一部に破損が生じても、ベランダ外側に傾き難い工事用足場を提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る工事用足場は、上記の目的のために、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、高層住宅のベランダの清掃工事をするための工事用足場であって、ベランダ床面に当接する下部区域と、前記ベランダ天井壁に係止可能な係止部材を備える上部区域と、ベランダ外側に突出して作業可能な側部区域とを備え、前記上部区域と前記側部区域には一体的に連接した枠体状の上部枠体が配設され、前記下部区域には枠体状に形成された下部枠体が配設され、前記上部枠体は前記下部枠体に着脱可能に構成され、前記上部枠体の上面は、前記上部枠体の上面が前記ベランダ外側方向に傾いたときに、前記ベランダ天井壁に干渉できる隙間を有して配設され、前記係止部材は、前記ベランダ天井壁におけるベランダ室内側からベランダ室外側に向かう方向に沿って、前記ベランダ天井壁と面接触可能に係止されて、前記上部枠体に対して昇降可能に配設されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1の発明に係るものであって、前記係止部材は、前記上部枠体の上面に着脱可能に配設される係止部材ユニットに、前記ベランダの長さ方向に沿って一対装着されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2の発明に係るものであって、前記係止部材ユニットには、前記係止部材ユニットから前記ベランダ室内側に向かって延設可能なアームが長さ調整可能に配設され、前記アームの先端に前記ベランダ天井壁に係止する補助係止部材が配設されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の発明に係るものであって、前記下部枠体には、下部に第1のキャスタを備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明では、高層住宅のベランダの清掃工事をするための工事用足場であって、ベランダ床面側に配設される下部区域と、前記ベランダ天井壁に係止可能な係止部材を備える上部区域と、ベランダ外側に突出して作業可能な側部区域とを備え、前記上部区域と前記側部区域には一体的に連接した枠体状の上部枠体が配設され、前記下部区域には枠体状に形成された下部枠体が配設され、前記上部枠体は前記下部枠体に着脱可能に構成され、前記上部枠体の上面は、前記上部枠体の上面が前記ベランダ外側方向に傾いたときに、前記ベランダ天井壁に干渉できる隙間を有して配設され、前記係止部材は、前記ベランダ天井壁におけるベランダ室内側からベランダ室外側に向かう方向に沿って、前記ベランダ天井壁と面接触可能に係止されて、前記上部枠体に対して昇降可能に配設される、足場ユニットが構成され、前記ベランダには、前記ベランダ床面と前記ベランダ天井壁とを突っ張るように配設された側部レール枠体と、前記側部レール枠体から延設されて前記足場ユニットの下部枠体を支持するとともに前記ベランダ床面に支持される下部レール枠体と、を備えるレールユニットが配設されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5の発明に係るものであって、前記係止部材は、前記上部枠体の上面に着脱可能に配設される係止部材ユニットに、前記ベランダの長さ方向に沿って一対装着されていることを特徴としている。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6の発明に係るものであって、前記係止部材ユニットには、前記係止部材ユニットから前記ベランダ室内側に向かって延設可能なアームが長さ調整可能に配設され、前記アームジャッキの先端に前記レールユニットの上端部に係止可能な連結係止部材が配設されていることを特徴としている。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5乃至7の発明に係るものであって、前記下部レール枠体には、前記足場ユニットの下部枠体に配設された第1のキャスタを支持する支持レールを備えるとともに、前記ベランダ床面を走行可能な第2のキャスタを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の工事用足場は、上部枠体に配設された係止部材が、ベランダ天井壁に対して、ベランダ室内側からベランダ室外側に向かって面接触可能に係止してベランダ床面とベランダ天井壁とを突っ張るように支持されている。したがって、工事用足場は、ベランダ天井壁に広い接触面で支持されているから、工事用足場を安定した状態で支持することができる。また、上部区域と側部区位置に跨るように一体的に連結された上部枠体が、天井壁との間の隙間を僅かな寸法で設定している、つまり、上部枠体が傾いても、上部枠体が天井壁に干渉してその傾きを防止することができることから、足場自体をベランダから落下させる虞はない。したがって、ビル風の発生で、万が一、係止部材の損傷が発生して上部枠体がベランダ外側に傾向くことがあっても、足場自体を僅かな傾きで抑えることができ、事故を発生させる虞はない。
【0016】
また、係止部材を上部枠体と着脱可能な係止部材ユニットとして構成することによって、高層建物の上階に移動する際に、持ち運びを容易にするとともに、係止部材の交換を容易に行うことができる。
【0017】
また、係止部材ユニットに室内側に延びるアームを配設して、先端に、ベランダ天井壁に係止可能な補助係止部材を設けることによって、工事用足場は、ベランダ天井壁に、上部枠体から上方に向かって延設する係止部材と、アームの先端から上方に向かって配設される補助係止部材との両方で支持されることになるから、さらに安全に構成できて安全作業を行うことができる。しかも、アームは、係止部材ユニットに対して長さ調整することによって、適度な位置で補助係止部材をベランダ天井壁に係止させることができる。
【0018】
また、下部枠体に設けられたキャスタによって、工事用足場はベランダ床面を走行できることから、所定の場所で改修作業を終えた後は、即座に次の作業場所に移動することができる。
【0019】
また、本発明の工事用足場では、略上述のように構成された足場ユニットをレールユニットで支持することによって、さらに安全な構成とすることができる。
【0020】
この場合、上部枠体に対して着脱可能に配設された係止部材ユニットから延びるアームをレールユニットの上部に係止させることによって、足場ユニットがレールユニットに支持されることから、足場ユニットは、ベランダに堅固に支持されて、傾く虞は皆無となる。
【0021】
また、足場ユニットは、レールユニットに対してキャスタで走行可能に設けられているから、所定の作業を終了した後は、レールユニット内で次の箇所に容易に移動することができる。さらに、レールユニット自体もベランダ上を走行できることから、足場ユニットを支持したレールユニットをベランダに沿って移動することによって、長い距離を移動することができ、ベランダの外壁の改修工事を短期で行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の工事用足場における実施形態について、図面に基づいて説明する。この工事用足場(以下、単に足場ともいう)は、高層住宅のベランダに設置し、そして、ベランダ天井壁下面の塗装、あるいはベランダ外壁の外面の塗装等の清掃工事等を行うことに好適に使用される。なお、以下の説明では、図1において、足場10における部屋1に向かう側を前側又は前部といい、部屋1から離れる方向を後側又は後部あるいは外側という。また、足場10をベランダに作業可能に設置した状態で、ベランダ3の長手方向に沿って配置される方向を足場10の幅方向(図1における紙面と直交する方向)という。
【0023】
図1は、ベランダ3内に配置される足場10の側面を示すものであり、各階のベランダ3は、部屋1の外側に配置されている。足場10はベランダ床面4に当接する区分を含む下部区域M1と、ベランダ天井壁5に係止する区分を含む上部区域M2と、ベランダ外壁6から外方部位に突出する区分を含む側部区域M3とを備えている。側部区域M3は作業区域として構成されている。
【0024】
下部区域M1には、枠状に形成された下部枠体11が配置され、上部区域M2及び側部区域M3には、上部区域M2と側部区域M3に跨って上部枠体13が配置されている。上部枠体13は、下部枠体11に対して着脱可能に構成されるとともに、上面がベランダ天井壁5の下面との間に隙間Sを有して形成されている。この隙間Sは、足場10がベランダ外壁6側に傾いたときに、上部枠体13の上面がベランダ天井壁5に干渉する程度の隙間を有している。また、上部枠体13は、部屋1とベランダ外壁6との間に配置されるとともに外側端面はベランダ外壁6の外端面より外側に突出して配置されている。ベランダ外壁6より外方に突出した区域は作業区域(側部区域M3)を示している。
【0025】
下部枠体11は、図2に示すように、平面視、前部を開口したコ字状枠体112を3段に積み重ね、4隅にL字状に形成された縦カバー111で覆うようにして構成している。各コ字状枠体112は、L字状の単体部材112aを上下2段に配置してそれぞれ連結し、それぞれネジ固定又は接着・溶着固定して構成している。各コ字状枠体112の上段部に配置された単体部材112aには各段のコ字状枠体112を積み重ねて固定するためのリーマボルト112bが下方から上方に突出するように装着されている。さらに、最下段のコ字状枠体112に配置される一対の下段の単体部材112a、112aは、それぞれ後方が縦カバー111より後方に延設され、延設された部位には、床面に接地可能なアジャスタ113が高さ調整可能に配置されている。また、最下段のコ字状枠体112の下段においては前方にも単体部材112aが配置されて平面視、ロ字状に形成されている。さらに最下段のコ字状枠体112の下方には、4隅に配置されたキャスタ12が装着されている。
【0026】
また、下部枠体11には、下段のコ字状枠体112に敷板114を敷設するとともに、敷板114の前方から上部枠体13に向かって昇降できるように階段115を配置している。
【0027】
上部枠体13は、足場10の幅方向に配置される一対の側部枠体部14、15と側部枠体部14、15の後端部に配置される後枠体部16とを備えて枠体状に構成されている。
【0028】
側部枠体部14、15は、下部枠体11の前側2本の縦カバー111の上端から上方に延びる2本の上部前縦支柱141、151と、上部区域M2と側部区域M3との境に配置される上部中縦支柱142、152と、側部区域M3の後端部に配置される上部後縦支柱143、153と、上部前縦支柱141、151から上部後縦支柱143、153にわたって両側に一対配置される3本の横支柱(上部横支柱144、154、中部横支柱145、155、下部横支柱146,156)とを備えて枠体状に形成されている。一対の上部前縦支柱141、151、上部中縦支柱142、152、上部後縦支柱143、153、上部横支柱144、154、下部横支柱146、156はL字状部材で形成され、一対の中部横支柱145、155は平板部材で形成されている。
【0029】
後枠体部16は、L字状部材で形成された縦支柱161と横支柱162とを組みつけて枠体状に形成するとともに、中央部に水平方向に配置する平板で形成された補強支柱163とを備えている。このように構成された後枠体部16は側部枠体部14、15の各構成支柱内の後部裏面側に装着されている。
【0030】
なお、上部枠体13の一対の下部横支柱146、156は、下部枠体11に対して、下部枠体11における上段のコ字状枠体112に下方から上方に向かって装着されたリーマボルト112bに、ナットを螺着することによりネジ締結されている。これによって下部枠体11と上部枠体13とは着脱可能に配置される。また、下部横支柱146、156の後部(側部区域M3)には、作業をするための敷板17が敷設されている。
【0031】
上部枠体13の後部上方には、上階のベランダ外壁6の外側に突出するカバー枠体部18が配置されている。カバー枠体部18は、平面視、前部を開口したコ字状に形成され、上段と下段及び前部と後部に、それぞれL字状部材で形成された縦支柱181と横支柱182とを組み付けて構成されている。下段の横支柱182は、上部枠体13の側部枠体部14、15の下部横支柱146、156の後部に、下方から上方に向かって装着されたリーマボルト144a、154aにネジ締結により着脱可能に固定されている。
【0032】
上部枠体13及びカバー枠体部18には、側部区域M3の周りを囲うように平板のカバー板19が装着されている。つまり、カバー板19は、上部枠体13の側部枠体部14、15と後枠体部16、及びカバー枠体部18に装着されて、作業者及び道具や部品の落下防止を図っている。
【0033】
上部枠体13の上方には、ベランダ天井壁5に係止する係止部材21を備える係止部材ユニット20が配置されている。
【0034】
係止部材ユニット20は、上部枠体13の上部横支柱144、154上に装着される横ベース23、24と、横ベース23、24を連結する前連結支柱25、後連結支柱26と、前連結支柱25、後連結支柱26の両端部にわたって配置されたL字状のジャッキ取付けベース27、27と、を備えるベース体22と、ジャッキ取付けベース27上に配置される一対のメインジャッキ28、28と、を備えている。L字状に形成されたジャッキ取付けベース27の下面は前連結支柱25と後連結支柱26の上面にネジ締結され、側面は横ベース23(又は24)の内側側面に溶着されている。なお、横ベース23、24は角筒状に形成されている。
【0035】
メインジャッキ28、28の上部には、ベランダ天井壁5を係止して押圧可能な係止部材21が装着されている。一対の角筒状の横ベース23、24には、ベランダ室内側に延設して、長さ調整可能なアーム(以下、アームジャッキという)29、29が挿入されている。アームジャッキ29、29の先端には、ベランダ天井壁5を係止する補助係止部材30が配置され、ベランダ天井壁5を押圧可能としている。
【0036】
実施形態で使用するメインジャッキ28は、L字状のジャッキ取付けベース27の下辺上にネジ締結で載置され、例えば、高さ方向に伸縮自在に構成された4本リンクを備えるジャッキで構成されている。つまり、中央部に水平方向に配置された調整ネジ281と、調整ネジ281によって一端が高さ方向に移動可能に構成された4本のリンク282と、を備えている。4本のリンク282のうち、上部に延びる2本のリンク282a、282aには、ベランダ天井壁5に係止して押圧可能な係止部材21が配置されている。係止部材21は、図1及び図3〜4に示すように、ベランダ室内側からベランダ室外側に沿って延びる棒状部材で形成され、2本のリンク282a、282aに枢着可能に配置された略U字状のブラケット31に、ネジ締結又は接着によって収納されている。係止部材21の長さは、実施形態においては、上部枠体13の上部前縦支柱141(151)から上部中縦支柱142(152)にわたって延設する長さに形成されている。なお、メインジャッキ28を最小寸法まで下げた状態では、係止部材21の上面は、横ベース23、24の上面と略同一面となるように設定されている。
【0037】
係止部材21は、木材あるいは樹脂材で形成され、ベランダ天井壁5を押圧する際に、係止部材21の上面全面で受けてベランダ天井壁5の凹凸状表面に追随できるように、ベランダ天井壁5より軟質の材料で形成されている。また、係止部材21の幅方向の寸法は、特に規制するものではないが、繰り返しの使用で、一部に集中的な圧力を受けない程度の広さに形成することが望ましい。
【0038】
実施形態のアームジャッキ29は、横ベース23(24)に摺動可能に挿入され、断面角筒状に形成されている。アームジャッキ29の側面には、複数の貫通孔291が形成され、アームジャッキ29を部屋1側に延設したときに、いずれかの貫通孔291に、横ベース23(24)に形成された貫通孔291と対向する対向孔231(241)とともに、図示しないピンを挿入することによって、アームジャッキ29の位置決めがなされる。また、アームジャッキ29の先端部位には雌ネジ部材292が一体的に配置されている。雌ネジ部材292には、前述の補助係止部材30が螺着されて、補助係止部材30をベランダ天井壁5に係止可能にしている。
【0039】
補助係止部材30は、雌ネジ部材292に羅着するネジ部301と、頭部に配置された押圧部302と、を備えている。押圧部302は、樹脂材で形成されるとともに、ベランダ天井壁5を押圧するために、ネジ部301より大径に形成されている。
【0040】
次に、上述のように構成された足場10の組付手順および作用について説明する。
【0041】
まず、作業を行う階層に、分割された足場10のそれぞれの部位をエレベータによって運搬する。分割された部位は、下部枠体11における縦カバー111及び3段のコ字状枠体112、上部枠体13における側部枠体部14、15、後枠体部16、カバー枠体部18、係止部材ユニット20、が主であり、そのほか、各枠体に付随するもの、例えば、敷板114や17、また階段115やカバー板19、及びキャスタ12やアジャスタ113等、それに各枠体を組み付ける道具や、ボルト・ナット等の締結部材、及び作業を行うための清掃道具等となる。これ等は、全てエレベータに収納できる大きさに形成されている。
【0042】
上記の部位をベランダ3内に持ち運んだ後、足場10を組み立てる。この場合、まず、上部枠体13の長手方向を、ベランダ3の長手方向となるように、下部枠体11の方向を決める。下部枠体11を組み付ける際、3段のコ字状枠体112を、下段から順に積み重ねた後、4本の縦カバー111を4隅に装着する。下段の3段のコ字状枠体112には、キャスタ12とアジャスタ113を装着し、上段のコ字状枠体112を装着する際に、下段のコ字状枠体112に装着されたリーマボルト112bに嵌め込むように積み上げる。積み上げた後には、リーマボルト112bをナットで締結する。その後、敷板114、階段115等を装着する。
【0043】
次に、上部枠体13を順に組み付ける。
【0044】
下部枠体11における上段のコ字状枠体112に装着されたリーマボルト112bに一対の側部枠体部14、15を嵌合して位置決めする。その後、後枠体部16を装着して、下部枠体11の最下段のコ字状枠体112に敷板114を装着し、上部枠体13の側部枠体部14、15と後枠体部16の下部に架け渡すように敷板17を装着する。また、カバー板19を上部枠体13の後部の周りに装着する。
【0045】
なお、この状態で、下部枠体11の前部と上部枠体13の前部との繋ぎ目に、図2に示すようなジョイント金具33で連結すれば、下部枠体11と上部枠体13との間での開き防止となることから望ましい。また、図1に示すように、下部枠体11における最下段のコ字状枠体112の延長部分と縦カバー111との間をジョイント金具34で連結することによって、足場10を補強することができる。
【0046】
次に、係止部材ユニット20を上部枠体13上に装着する。係止部材21及び補助係止部材30は、ベランダ天井壁5より低い位置に設定する。
【0047】
この状態で、カバー枠体部18が装着されていない仮組みされた足場10を正規の位置に配置する。つまり、足場10の前面を部屋1側に向け、足場10の側部区域M3をベランダ外壁6より外方に突出させる。
【0048】
そして、下部枠体11に装着されているアジャスタ113をベランダ床面4に接地して、仮組み状態の足場10を床面に支持させる。この際、キャスタ12は、ベランダ3の長手方向に向いていることを確認する。
【0049】
次に、上部枠体13の2本の上部横支柱144、154上に装着された、一対の係止部材ユニット20のメインジャッキ28、28を操作して、一対の係止部材21、21をベランダ天井壁5に接地して押し当てる。この操作は、調整ネジ281を回転させて4本のリンク282を上下方向に延ばして係止部材21を上昇させる。係止部材21をベランダ天井壁5に接地させた後、さらに調整ネジ281を回転させてベランダ天井壁5を押し付ける。これによって、仮組みされた足場10は、ベランダ床面4とベランダ天井壁5とを突っ張らせることになり、ベランダ3内で固定支持される。
【0050】
この状態で、さらに補助係止部材30をベランダ天井壁5に押し付ける。この操作は、アームジャッキ29を横ベース23、24に対して部屋1側に延ばして、一対の補助係止部材30、30を、ベランダ天井壁5の部屋1側縁部付近で接地できる位置に移動させる。その位置付近で、横ベース23、24に形成された複数の対向孔231のいずれかと、アームジャッキ29、29に形成された貫通孔291、291のいずれかの孔にピンを挿入してアームジャッキ29、29の位置決めを行なう。このピンは、少なくとも2箇所に挿入させることが望ましい。
【0051】
仮組みされた足場10をベランダ3内で固定支持した後、上部枠体13の後方において、カバー枠体部18を装着する。
【0052】
カバー枠体部18は、下段の横支柱182、182を、上部枠体13の上部横支柱144、154に装着したリーマボルト144a、154aに嵌め込んで位置決めした後、ナットで締結し、カバー枠体部18の周りにカバー板19を装着する。これによって、足場10の組付が完了する。
【0053】
足場10の組付が完了すると、次にベランダ清掃作業を行う。清掃作業を行うにあたって、水洗浄やバイオ洗浄を行うために、清掃作業を行う場所に図示しない防水シートを掛けて水や塗料等の落下防止を図る。この防水シートの取付けは、足場10の周りを防水シートで囲み、下端部をベランダ3内に架け渡すようにすれば、水や塗料等の落下を防止することができる。例えば、上部枠体13の後枠体部16の幅方向に配置された両側の縦支柱161、161にポールを立て、各ポールの上端部に水平方向に横ポールを取付け、横ポールに防水シートを巻き付けるようにして装着し、防水シートの両側部を、側部枠体部14、15の外側を囲いながら、防水シートの下端部を下部枠体11とベランダ外壁6との間に架け渡すようにすればよい。
【0054】
次に、清掃作業を行う。作業者は、下部枠体11に装着された階段115を上って上部枠体13の後部に敷設された敷板17上に載って、所定の作業を行う。この際、図5に示すように、梯子36をかけるようにしてもよい。梯子36は、上部枠体13の側部枠体部14、15の上部横支柱144、154に、2段の係着棒39を備えた梯子支持部材37、38を係着し、2個の梯子36、36をそれぞれ係着棒39、39に係着して構成する。この梯子36、36は使用しないときには、例えば、下部枠体11に敷設された敷板114上に収納しておく。
【0055】
敷板17は、側部区域M3内、つまりベランダ外壁6の外方に位置しているから、作業者が敷板17に載ることによって、足場10は、外側に向かうモーメントがかかる。しかし、係止部材21が、ベランダ室内側から室外側に向かって長くなるような面接触でベランダ天井壁5を突っ張るように押し付けているから、ベランダ外壁6側に傾く虞はほとんどない。しかも、上部枠体13の上面とベランダ天井壁5との間の隙間Sは僅かであり、たとえ、ビル風の影響によって係止部材ユニット20が破損したとしても、上部枠体13の上部横支柱144、154がベランダ天井壁5に干渉することによって、足場10は、僅かに傾くだけで、ベランダ天井壁5に支えられて、やはり落下する虞はほとんどない。
【0056】
また、上部枠体13の側部区域M3では、周りがカバー板19で囲われてあることから、作業者が落下する虞もほとんどない。
【0057】
作業内容は、主に、ベランダ天井壁5の下面を塗装する作業、及びベランダ外壁6の水洗浄あるいはバイオ洗浄作業を行うものであって、敷板17の高さ位置は、通常の背の高さ(170CM前後)を有する作業者の場合、目の位置が上層階のベランダ外壁6より僅かに上方となるように設定されているから、作業を容易に行うことができる。
【0058】
所定の場所での作業を終了すると、係止部材21、補助係止部材30を僅かに緩めてベランダ天井壁5との間にわずかな隙間Sを作る。また、ベランダ床面4に接地していたアジャスタ113を僅かに緩めて、キャスタ12を走行可能にする。補助作業者がいる場合には、清掃工事作業者は、足場10内に乗ったまま、補助作業者が足場10を走行させる。
【0059】
そして、次の場所での作業を上述と同様に行う。予定されていた作業を全て終了すると、組み立てた手順と逆の手順を行うことによって、足場10を分解する。そして、分割された部位をエレベータで運ぶことになる。
【0060】
次に、第2の実施形態の足場50について、図5〜8に沿って説明する。
【0061】
足場50は、第1の実施形態の足場10と略同様の足場ユニット51と、足場ユニット51を支持するレールユニット60とを備えて構成されている。足場ユニット51は、一部について変更されているものの略同様に構成されている。なお、以下の説明にあたっては、第1の実施形態と同様の部位については第1の形態で付記した符号をそのまま使用するものとする。つまり、足場ユニット51は、足場ユニット51全体が、ベランダ3内に設置されたレールユニット60上を走行可能に構成されるものである。そのため、足場ユニット51の下部に配置された4個のキャスタ12はレールユニット60の下部に支持され、足場ユニット51の上部に配置された後述の連結アーム52が、レールユニット60の上部で係止されることとなる。
【0062】
実施形態のレールユニット60は、ベランダ床面4とベランダ天井壁5とを突っ張るように配置された側部レール枠体61と、ベランダ床面4上を走行可能に支持され足場ユニット51を走行可能に載置する下部レール枠体67と、を備えて構成されている。
【0063】
側部レール枠体61は、ベランダ3の長手方向に沿って部屋1側に配置された複数の縦サポート62(両端の端部縦サポート62Aと中間に配置された複数の中間縦サポート62B)と、両端に配置された端部縦サポート62A、62Aより後方の位置(ベランダ外壁6側付近)にそれぞれ配置された外側縦サポート62Cとを備えて平面視コ字状に形成されている。両端の端部縦サポート62Aと複数の中間縦サポート62Bとは中間連結ステー63A(63)で連結され、両端の端部縦サポート62Aと外側縦サポート62Cとは上方位置において端部連結ステー63B(63)で連結されている。中間連結ステー63A及び端部連結ステー63BはL字状に形成された材料を逆L字状に配置して、上面の平面部とL字金具64を介して各縦サポート62とを連結している。なお、L字金具64は、それぞれ、縦サポート62に溶着されている。
【0064】
各縦サポート62は、上端部に上ジャッキ部621、下端部に下ジャッキ部622を、備え、上ジャッキ部621の直下及び下ジャッキ部622の直上には隣り合わせの縦サポート62側に向かって延びるジョイント片623をそれぞれ形成している。このジョイント片623に関して、両端に配置された端部縦サポート62Aでは、隣り合う縦サポート(中間縦サポート62Bと外側縦サポート62C)とが直交して配置されているため、隣り合う中間縦サポート62Bと外側縦サポート62Cにそれぞれ上下に一対向かい合うように直交して配置され、中間縦サポート62Bでは、隣り合う縦サポート62(端部縦サポート62A又は中間縦サポート62B)に向かい合うように、上下に一対両開き状に配置されている。また、ベランダ外壁6側に配置された外側縦サポート62Cでは、それぞれ上下に一対の端部縦サポート62A、62Aに向かうように配置されている。
【0065】
隣り合う縦サポート62(端部縦サポート62Aと中間縦サポート62B、中間縦サポート62B、62B同士)の各上下のジョイント片623を、それぞれターンパックル65で交差するようにX字状に配置して連結している。
【0066】
下部レール枠体67は、中間縦サポート62Bの下部からベランダ外壁6側に向かって延びる複数の横サポート68A(68)と、両端部の端部縦サポート62Aの下部からベランダ外壁6側に向かって延びる各端部横サポート68B(68)及び外側縦サポート62Cから外側に向かって延設する延設横サポート68Cと、両端の端部横サポート68B、68Bに跨るように、横サポート68A上に平行して載置されて上部を開口したコ字状の2本のレール69と、を備えている。
【0067】
端部横サポート68B及び延設横サポート68Cには、それぞれベランダ床面4に接地可能な第2のアジャスタ70が高さ調整可能に装着され、2本のレール69の両端部付近には、ベランダ床面4に接地する第2のキャスタ71がそれぞれに装着されている。
【0068】
上述のレールユニット60に走行可能に支持される足場ユニット51は、足場ユニット51のキャスタ12がレールユニット60のレール69内に挿入されるために、実施形態1の足場10の下部枠体11より高さ方向が短く形成される。この場合、下部枠体11の3段のコ字状枠体112のうち、上段のコ字状枠体112と下段のコ字状枠体112を定型寸法で形成し、中段のコ字状枠体112を現場のクリアランスに合わせて形成することが望ましい。
【0069】
また、係止部材ユニット20では、第1の実施形態における足場10におけるアームジャッキ29の代わりに配置される連結アーム52が、係止部材ユニット20と別体で配置され、それぞれ上部枠体13の上部横支柱144、154上にネジ締結によって固着されている。連結アーム52は、ベランダ3の部屋1側に延びて、先端に、上部を開口したU字状係止部材53を備えている。U字状係止部材53は、レールユニット60の中間連結ステー63Aの下方から挿入されて係止される。レールユニット60と足場ユニット51とは、レール69によって、その位置が定められることから、連結アーム52には、長さ調整の必要はない。
【0070】
連結アーム52によって、足場ユニット51がレールユニット60に係止されることから、メインジャッキ28でベランダ天井壁5を押圧することに加えて、足場ユニット51をレールユニット60で支持することになる。
【0071】
次に、上述のように構成された足場50の組付手順および作用について説明する。まず、レールユニット60を分解した状態で、作業する階層にエレベータで運搬する。レールユニット60は、側部レール枠体61や下部レール枠体67を構成する部品、つまり、縦サポート62、連結ステー63、横サポート68、ターンパックル65等であり、前述と同様に分解された足場ユニット51(連結アーム52とU字状係止部材53で構成される係止部材ユニット20を含む)とともに運搬する。
【0072】
作業する階層のベランダ3に、各部品を搬送した後、まずレールユニット60を組み付ける。複数の縦サポート62をベランダ床面4とベランダ天井壁5との間に立てて、それぞれ、上ジャッキ部621と下ジャッキ部622とを調整して、各縦サポート62を仮設置する。各縦サポート62に、連結ステー63、ターンパックル65及び横サポート68を装着して、レールユニット60の仮組を行った後、レールユニット60を正規の位置に移動する。レールユニット60の位置が設置されると、縦サポート62の上ジャッキ部621及び下ジャッキ部622の高さ調整を行って、縦サポート62をベランダ床面4とベランダ天井壁5との間で固く接地させる。また、横サポート68の両端に装着された第2のアジャスタ70の高さ調整を行って、第2のアジャスタ70をベランダ床面4に固く接地させる。これによってレールユニット60が組み付けられて位置固定される。
【0073】
第2の実施形態の足場ユニット51の組付手順は、レールユニット60上で行われ、下部枠体11及び上部枠体13の組付は、キャスタ12が、レールユニット60のレール69、69内を走行可能に載置されるものであり、その他は、第1の実施形態の足場10で説明したとおりである。下部枠体11及び上部枠体13が仮組された状態で足場ユニット51の位置が設定されると、2箇所のアジャスタ113を横サポート68上に接地するとともに、係止部材ユニット20を装着する。
【0074】
この際、連結アーム52を、上部枠体13の上部横支柱144、154の上面にネジ締結にて装着し、連結アーム52をレールユニット60の中間連結ステー63Aに係止する。連結アーム52の先端に配置されたU字状係止部材53の開口部側を上方に向けて、U字状係止部材53を、中間連結ステー63Aの下側から押し当てることによって、足場ユニット51におけるベランダ外側に働くモーメントを受けることができて、足場ユニット51の傾きを防止することになる。
【0075】
係止部材ユニット20を上部枠体13に装着した後、メインジャッキ28を高さ調整して、係止部材21をベランダ天井壁5に固く係止する。係止部材21は、足場ユニット51の上部枠体13の側部枠体部14(15)から上方に延びて、足場ユニット51の上部前縦支柱141(151)と上部中縦支柱142(152)との間に配置されている。そして、メインジャッキ28でベランダ天井壁5に押し当てられた状態では、係止部材21がベランダ天井壁5における室内側から外側に向かって広くなるような面接触で係止されることとなる。
【0076】
これによって、足場ユニット51は、レールユニット60を介して、ベランダ床面4とベランダ天井壁5との間で固く支持されることとなる。その後の作業は、前述した通りである。
【0077】
上述のように、実施形態の足場10(又は足場ユニット51)は、上部枠体13の一対の側部枠体部14、15から延びた係止部材21が、ベランダ3の幅方向に沿って広い接触面積を有してベランダ天井壁5を押し付けていることから、足場10(又は足場ユニット51)を傾かせる虞が少ない。また、係止部材21が、ベランダ天井壁5を押し付ける位置が、足場10(又は足場ユニット51)の長さ方向において、上部区域M2の中央部、つまり上部前縦支柱141(151)と上部中縦支柱142(152)との間であることから、係止部材21をベランダ天井壁5に押し付けることによって受ける反力は、足場10(又は足場ユニット51)の上部枠体13の上部区域M2内および下部枠体11の略中心部で受けることになり、係止部材21が面接触でベランダ天井壁5を押圧していることも含めて、係止部材21に集中荷重がかかりにくく係止部材ユニット20の負担を軽減することができる。
【0078】
さらに、補助係止部材30がベランダ天井壁5の室内側端面で、ベランダ天井壁5を押圧するから、足場10(又は足場ユニット51)はベランダ内で強固に支持されることになる。
【0079】
したがって、予期しないビル風が発生して、足場10(又は足場ユニット51)を損傷させようとしても、ベランダ床面4とベランダ天井壁5との間で強固に支持された足場10(又は50)は、一部が損傷することによってベランダ外側に向かって倒れる虞はほとんどない。
【0080】
しかも、上部枠体13の上面が、ベランダ天井壁5との間で僅かな隙間を有するように構成されているから、足場10(又は足場ユニット51)にベランダ外側に働くモーメントがかかって、たとえ係止部材ユニット20又は補助係止部材30が破損しても、足場10(又は足場ユニット51)が僅かに傾いて、上部枠体13の上面がベランダ天井壁5に干渉することになり、足場10(又は50)の傾きはベランダ天井壁5で支持されることになる。そのため、足場の一部や、作業者が落下する虞がなく、高層建物、超高層建物の上層階で作業しても安全性を確保することができる。
【0081】
また、レールユニット60を介して設置する足場ユニット51の場合では、レールユニット60でさらに支持されることから、更なる安全性を確保することができる。特に、U字状係止部材53は、上方が開口してレールユニット60の中間連結ステー63Aの下側から係止しているため、足場ユニット51が傾くように働くモーメントを中間連結ステー63Aで受けることができ、傾きは防止される。
【0082】
また、足場10(又は50)やレールユニット60が、エレベータ等で搬送可能に分解できることから、装置の持ち運びは容易に行うことができる。
【0083】
なお、上述の足場10の構成は、あくまで一実施形態を示すものであり、高層階の作業を安全に、しかも短い作業時間で行えるようにすれば、上述の形態に限定するものではない。例えば、係止部材ユニット20を昇降させるメインジャッキ28や補助係止部材30を昇降するものは、空気圧シリンダや油圧シリンダ等のシリンダ手段を使用してもよい。また、足場10又は足場ユニット51を構成する各支柱は、L字上部材(アングル部材)やコ字状部材(チャンネル部材)等を適宜使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明における第1の実施形態による工事用足場の取り付け側面図である
【図2】図1における足場の分解斜視図である。
【図3】図2における係止部材ユニットを示す斜視図である。
【図4】図3における係止部材を示す断面図である。
【図5】図1における側部区域(作業区域)の梯子を示す分解斜視図である。
【図6】第2の実施形態を示す足場の取り付け側面図である。
【図7】図6におけるレールユニットの一部を示す斜視図である。
【図8】同平面図である。
【図9】図8におけるIX矢視図である。
【符号の説明】
【0085】
3、ベランダ
4、ベランダ床面
5、ベランダ天井壁
6、ベランダ外壁
10、足場
11、下部枠体
113、アジャスタ
12、キャスタ
13、上部枠体
14、側部枠体部
15、側部枠体部
18、カバー枠体部
20、係止部材ユニット
21、係止部材
28、メインジャッキ
29、アームジャッキ
30、補助係止部材
50、足場
51、足場ユニット
52、連結アーム
53、U字状係止部材
60、レールユニット
61、側部レール枠体
62、縦サポート
63、連結ステー
67、下部レール枠体
68、横サポート
69、レール
70、第2のアジャスタ
71、第2のキャスタ
M1、下部区域
M2、上部区域
M3、側部区域
S、隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層住宅のベランダの清掃工事をするための工事用足場であって、
ベランダ床面に当接する下部区域と、前記ベランダ天井壁に係止可能な係止部材を備える上部区域と、ベランダ外側に突出して作業可能な側部区域とを備え、
前記上部区域と前記側部区域には一体的に連接した枠体状の上部枠体が配設され、前記下部区域には枠体状に形成された下部枠体が配設され、
前記上部枠体は前記下部枠体に着脱可能に構成され、
前記上部枠体の上面は、前記上部枠体の上面が前記ベランダ外側方向に傾いたときに、前記ベランダ天井壁に干渉できる隙間を有して配設され、
前記係止部材は、前記ベランダ天井壁におけるベランダ室内側からベランダ室外側に向かう方向に沿って、前記ベランダ天井壁と面接触可能に係止されて、前記上部枠体に対して昇降可能に配設されていることを特徴とする工事用足場。
【請求項2】
前記係止部材は、前記上部枠体の上面に着脱可能に配設される係止部材ユニットに、前記ベランダの長さ方向に沿って一対装着されていることを特徴とする請求項1記載の工事用足場。
【請求項3】
前記係止部材ユニットには、前記係止部材ユニットから前記ベランダ室内側に向かって延設可能なアームが長さ調整可能に配設され、前記アームの先端に前記ベランダ天井壁に係止する補助係止部材が配設されていることを特徴とする請求項2記載の工事用足場。
【請求項4】
前記下部枠体には、下部に第1のキャスタを備えていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の工事用足場。
【請求項5】
高層住宅のベランダの清掃工事をするための工事用足場であって、
ベランダ床面側に配設される下部区域と、前記ベランダ天井壁に係止可能な係止部材を備える上部区域と、ベランダ外側に突出して作業可能な側部区域とを備え、
前記上部区域と前記側部区域には一体的に連接した枠体状の上部枠体が配設され、前記下部区域には枠体状に形成された下部枠体が配設され、
前記上部枠体は前記下部枠体に着脱可能に構成され、
前記上部枠体の上面は、前記上部枠体の上面が前記ベランダ外側方向に傾いたときに、前記ベランダ天井壁に干渉できる隙間を有して配設され、
前記係止部材は、前記ベランダ天井壁におけるベランダ室内側からベランダ室外側に向かう方向に沿って、前記ベランダ天井壁と面接触可能に係止されて、前記上部枠体に対して昇降可能に配設される、
足場ユニットが構成され、
前記ベランダには、前記ベランダ床面と前記ベランダ天井壁とを突っ張るように配設された側部レール枠体と、前記側部レール枠体から延設されて前記足場ユニットの下部枠体を支持するとともに前記ベランダ床面に支持される下部レール枠体と、を備えるレールユニットが配設されていることを特徴とする工事用足場。
【請求項6】
前記係止部材は、前記上部枠体の上面に着脱可能に配設される係止部材ユニットに、前記ベランダの長さ方向に沿って一対装着されていることを特徴とする請求項5記載の工事用足場。
【請求項7】
前記係止部材ユニットには、前記係止部材ユニットから前記ベランダ室内側に向かって延設可能なアームが長さ調整可能に配設され、前記アームの先端に前記レールユニットの上端部に係止可能な連結係止部材が配設されていることを特徴とする請求項6記載の工事用足場。
【請求項8】
前記下部レール枠体には、前記足場ユニットの下部枠体に配設された第1のキャスタを支持する支持レールを備えるとともに、前記ベランダ床面を走行可能な第2のキャスタを備えていることを特徴とする請求項5,6又は7記載の工事用足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−59614(P2010−59614A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223578(P2008−223578)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(508058583)国際教育開発株式会社 (2)
【出願人】(508264195)株式会社旭学園グループ (12)
【Fターム(参考)】