説明

工作機械装置

【課題】筐体に形成された開口部を介して治具の被保持面に対する被加工物の着脱を行う工作機械装置において、開口部から被加工物を着脱できる被保持面の面積を広く確保できる工作機械装置を提供する。
【解決手段】筐体3の内部に、被加工物Wが保持される被保持面10を有する治具2と、この被保持面10に保持された被加工物Wを加工する工具Dとが配置され、工具Dと被加工物Wとの相対位置を制御することで工具Dによる被加工物Wの加工を行うとともに、筐体3に形成された開口部5を介して被保持面10に対する被加工物Wの着脱を行う工作機械装置において、被保持面10は、開口部5の方向に所定角度で向き、互いに交わるように隣接配置された複数の被保持面10,10からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具に保持された被加工物と工具との相対位置を制御することで、工具による被加工物の加工が行われる工作機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマシニングセンタ(工作機械)は、例えば、特許文献1に示すように、垂直方向に立設されたワークテーブル装置(治具)の正面(被保持面)にワーク(被加工物)を取り付け、ワークテーブル装置を水平方向に回動させることで、ドリルによるワークの加工を治具の正面側と側面側の2つの方向から行えるようにしている。
【0003】
また、一般的な工作機械は、加工時における切粉や切削油の飛散防止のために、保護カバー(筐体)で覆われており、この保護カバーの正面側には、例えば、特許文献2に示すような扉が設けられ、使用者は扉を開放したときの開口部から保護カバー内部のワークテーブル装置(治具)にワーク(被加工物)を着脱させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−94264号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】特開2006−55976号公報(第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されているマシニングセンタ(工作機械)にあっては、使用者が保護カバー(筐体)の開口部からワークテーブル装置(治具)の正面(被保持面)にワーク(被加工物)を取り付けるようにしており、ワークテーブル装置におけるワークを保持する面の広さが、開口部を向く正面の広さのみに限られ、マシニングセンタを用いて多くのワークを加工する際には、ワークの着脱作業の回数が増加するとともに、着脱工程が煩雑になり、作業効率が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、筐体に形成された開口部を介して治具の被保持面に対する被加工物の着脱を行う工作機械装置において、開口部から被加工物を着脱できる被保持面の面積を広く確保できる工作機械装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の工作機械装置は、
筐体の内部に、被加工物が保持される被保持面を有する治具と、該被保持面に保持された被加工物を加工する工具とが配置され、前記工具と前記被加工物との相対位置を制御することで前記工具による前記被加工物の加工を行うとともに、前記筐体に形成された開口部を介して前記被保持面に対する前記被加工物の着脱を行う工作機械装置において、
前記被保持面は、前記開口部の方向に所定角度で向き、互いに交わるように隣接配置された複数の被保持面からなることを特徴としている。
この特徴によれば、被保持面同士が開口部の方向に所定角度で向き、互いに交わることで、開口部から筐体の奥行き方向に被保持面の面積が広く確保され、開口部から使用者がアクセスできる被保持面の面積を広く形成できる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の工作機械装置は、請求項1に記載の工作機械装置であって、
前記被保持面は平坦状に形成されるとともに、互いに隣接する少なくとも2つの被保持面間の頂部が前記開口部側に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、使用者が被加工物を斜め方向から被加工物を視認しながら着脱できるため、確実に被加工物の設置が可能となる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の工作機械装置は、請求項1または2に記載の工作機械装置であって、
前記所定角度を略45度としたことを特徴としている。
この特徴によれば、従来のような開口部の方向を向いて配置される被保持面と比較して、被保持面の面積を略1.4倍ほど増大することができ、かつ略45度の所定角度が、開口部から被保持面に被加工物を着脱し易い角度の限界近傍であり、着脱し易い状態を確保しながら、被保持面の面積を広くできる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の工作機械装置は、請求項3に記載の工作機械装置であって、
前記治具は、水平方向に回動可能となっており、かつ該治具には、前記被保持面から該被保持面の反対側の面まで貫通された貫通孔が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、被保持面の反対側の面からドリル工具を挿入して被加工物を加工できるようになり、複数の被加工物を工具によって加工する際に、略90度の角度で治具を水平方向に回動させるだけで、ドリル工具の配置位置を変化させることなく、治具の少ない回動角度で被保持面に保持された被加工物を様々な方向から加工することができ、工作機械装置の加工速度が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る工作機械装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例におけるNC工作機械を示す斜視図であり、図2は、NC工作機械を示す正面図であり、図3は、治具を示す斜視図であり、図4は、治具を示す横断平面図であり、図5は、NC工作機械を示す横断平面図であり、図6は、NC工作機械を用いたワークの加工作業を示す概念図である。以下、図4から図6の紙面下方側をNC工作機械の正面側(前方側)として説明する。
【0013】
図1の符号1は、本発明の工作機械装置としてのNC工作機械1であり、本実施例におけるNC工作機械1では、後述するドリル工具Dの位置や本発明の被加工物としてのワークWの位置が座標値によって定義されており、その位置情報に基づいて制御装置(図示略)が、ドリル工具Dの位置や後述する治具2の位置を変化させるようになっている。つまり、ドリル工具DとワークWとの相対位置の制御が、制御装置(図示略)によって自動化された数値制御方式の工作機械として構成されている。
【0014】
このNC工作機械1は、ドリル工具DによるワークWの加工時に研削液や切粉などが飛散しないように、NC工作機械1の全体が筐体3で覆われた構成となっており、この筐体3の正面側には、スライド扉4によって開閉される開口部5が形成されている。また、筐体3の内部には、ワークWを保持する治具2が配置され、開口部5を開放すると治具2が開口部5から露出されるようになっている。
【0015】
尚、開口部5の近傍には操作パネル6が設けられており、使用者Uは操作パネル6を操作して制御装置(図示略)に指示を与えることで、NC工作機械1による加工作業を行うようになっており、使用者Uは治具2にワークWを着脱する着脱作業のみを行うだけで、多数のワークWの連続的な加工が行えるようになっている。
【0016】
図2に示すように、治具2は、後述する移送装置7上に固定される台部8を有し、この台部8上に垂直方向に延びるように立設された立設部9が形成されており、この立設部9には、正面視で左右に並んで配置され、各々異なる方向、つまり外側を向く2つの被保持面10,10が隣接配置されて形成されている。また、立設部9は左右の被保持面10,10が高さ及び幅が同一をなすように左右対称の形状となっている。
【0017】
尚、治具2における被保持面10,10同士が交わる部位には、頂部11が形成されており、この頂部11には、治具2の芯出し(座標取り)用の測定工具(図示略)が当接される芯出部12が設けられている。複数のワークWを加工する際には、ドリル工具Dによる加工作業の開始前に、測定工具を芯出部12に当接させて芯出しを行えば、ワークWを交換する度に芯出しを行わないで済むようになっている。
【0018】
図3に示すように、被保持面10は平坦状をなす垂直面として構成されており、1つ被保持面10には、ワークWが取り付けられる2つの取付部13が上下に並んで配置されている。各々の取付部13の近傍には、取付部13に取り付けられたワークWを取付部13側に押圧して固定するための複数のチャッカ14が配置されている。
【0019】
チャッカ14は被保持面10に配置された油圧部15の先端に設けられ、治具2の内部には、油圧部15に連結された流体枝管(図示略)が配管されている。治具2の頂部11には、流体枝管(図示略)内部の圧力を検出する圧力計16が設けられ、開口部5から治具2を見たときに、圧力計16が見やすくなっている(図2参照)。
【0020】
使用者Uが治具2にワークWを取り付ける際には、使用者Uが取付部13にワークWを取り付け、制御装置(図示略)による制御により流体枝管(図示略)内部の油液(流体)の油圧を上げると、その油圧力によりチャッカ14が取付部13に近づく方向に移動され、このチャッカ14の押圧力によりワークWを取付部13に固定するようになっている。
【0021】
図4に示すように、治具2の立設部9は、横断平面視において略V字形状をなすように略90度の角度で屈曲されており、立設部9の正面側(表側)には、2つの被保持面10,10が形成されている。これらの被保持面10,10が互いに所定角度θで頂部11を介して交わっている。詳述すると各々の被保持面10,10から延長された線H,H同士が略90度の所定角度θで交わっている。
【0022】
治具2は、後述するターンテーブル20の回動によって、台部8の中心を回動の中心として水平方向に回動されるようになっており、治具2に設けられた立設部9、取付部13、チャッカ14及び被保持面10に保持されたワークWなどは、台部8の回転半径R内に全て納まるようになっている。そのため筐体3の内部に、回転半径Rほどの空間を最低限確保できれば、治具2を水平方向に自在に回動させることができる。
【0023】
また、立設部9には、取付部13が形成された位置に対応して、正面側(表側)から背面側(裏側)まで貫通された貫通孔17が形成されている。この貫通孔17には、背面側からドリル工具Dが挿入できる大きさに形成されており、治具2に保持された状態のワークWを裏側からドリル工具Dを当接させて加工が行える。そのためワークWの表側及び裏側の両面をドリル工具Dで加工する場合であっても、ワークWを治具2から取り外すことなく、治具2を回動させるだけで、ワークWの両面を加工できるようになっている。
【0024】
図5に示すように、NC工作機械1の内部は、使用者Uが治具2に対してワークWの着脱を行う着脱部αと、ドリル工具DによってワークWの加工が行われる加工部βとが設けられている。着脱部αは筐体3の正面側に配置され、着脱部αにて使用者Uが1つの開口部5から手を入れて治具2の被保持面10,10に対してワークWの着脱作業を行うことができる。加工部βには、治具2に保持されたワークWを加工するための複数種類のドリル工具Dが配置され、このドリル工具Dは、加工部βにおいて背面側及び側面側からワークWに当接できるようになっている。
【0025】
また、着脱部αと加工部βとが開閉可能なスライド扉18によって仕切られており、治具2が着脱部αと加工部βとの間を移動する2つの移送装置7,7が設けられ、この移送装置7は、筐体3内部に配設された1つの回転装置19によって筐体3内部を回転移動されるようになっており、一方の移送装置7が着脱部αに配置されているときには、他方の移送装置7が加工部βに配置されるようになっている。尚、ドリル工具Dや移送装置7,7及び前述したスライド扉4,18の動作は、制御装置(図示略)によって制御されるようになっている。
【0026】
各々の移送装置7,7の上面側には、水平方向に回動可能なターンテーブル20が設けられている。前述した治具2は、その台部8が移送装置7に設けられたターンテーブル20上にボルト21等を用いて固着されるようになっている。治具2は、移送装置7の回転移動により、着脱部αと加工部βとの間を自在に移動でき、かつターンテーブル20の回動により移送装置7上において前述した回転半径Rの範囲内で水平方向に自在に回動できる。
【0027】
使用者Uが開口部5から手を挿入して治具2にアクセスしてワークWを着脱させるとき、すなわち治具2が移送装置7とともに着脱部αに移動され、かつスライド扉4が開放されて開口部5が開かれている状態では、制御装置(図示略)がターンテーブル20の作動を停止させ、ターンテーブル20を固定状態とし、治具2が水平方向に回動することを防止するようになっている。そのため使用者UがワークWの着脱作業の際に誤って治具2が回動してしまい、使用者Uの体に治具2がぶつかる虞がなく、NC工作機械1の安全性が向上され、かつ着脱作業も行い易くなっている。
【0028】
尚、着脱部αにおいて一方の治具2にワークWが着脱されているときに、加工部βでは他方の治具2に保持されたワークWの加工がドリル工具Dによって行われており、加工部βに配置された治具2に保持されたワークWの加工時間を利用して、使用者Uが着脱部αに配置された治具2に対してワークWを着脱することができる。
【0029】
使用者UがワークWを着脱させるときに、ターンテーブル20は、治具2の頂部11が開口部5側に位置する状態になるように固定され、各々の被保持面10,10は、開口部5に対して略45度ほど傾けられた状態で配置される。図4を用いて詳述すると開口部5と平行な線Fに対して各々の被保持面10,10から延長された線H,Hが略45度の所定角度θで交わっている。そのため使用者Uは開口部5から左右両方の被保持面10,10に対して手が届く(アクセスできる)ようになっており、両方の被保持面10,10に対してワークWの着脱が行えるようになっている。
【0030】
2つの被保持面10,10が開口部5に対して略45度ほど傾けられた状態となっていることで、被保持面10が正面側を向いている場合と比較して、被保持面10の面積が約1.4倍に増大される。この被保持面10について詳述すると、治具2の正面視において立設部9を同一高さ、同一幅で形成したときに、被保持面10が開口部5に対して傾けられていない場合には、正面視における被保持面10の高さと幅を乗じた値が被保持面10の面積となる。しかしながら本実施例の被保持面10は、開口部5に対して略45度傾けられていることで、正面視において立設部9が同一高さ、同一幅で形成されていても、被保持面10の幅は約1.4倍(√2倍)となるので、被保持面10の面積も約1.4倍となる。
【0031】
尚、2つの被保持面10,10が交わる所定角度θが略90度よりも鋭角であると、被保持面10を開口部5から奥行き方向に広くすることはできるが、使用者Uが開口部5から手を挿入してアクセスし難くなるため、略90度の所定角度θが、開口部5から被保持面10,10にワークWを着脱し易い角度の限界近傍となっており、所定角度θが略90度であることで、被保持面10,10にワークWを着脱し易い状態を確保しながら、被保持面10,10の面積を広くできる。
【0032】
本実施例のNC工作機械1によれば、治具2の被保持面10,10同士が開口部5の方向に所定角度θで向き、互いに交わることで、開口部5から筐体3の奥行き方向に被保持面10の面積が広く確保され、開口部5から使用者Uが手を挿入してアクセスできる被保持面10の面積を広く形成でき、被保持面10に配置される取付部13及びチャッカ14を増やすことができるようになり、より多くのワークWを被保持面10に保持させることができる。
【0033】
また、治具2は、所定角度θで交わり互いに隣接する少なくとも2つの被保持面10,10を有することで、筐体3の開口部5から少なくとも立設部9の2つの被保持面10,10にワークWを取り付けることができるようになり、使用者Uが1回のワークWの交換作業でより多くのワークWを治具2に保持させることができ、複数のワークWを加工する際に、NC工作機械1を一旦停止させて行うワークWの交換作業の回数を減らせるので、NC工作機械1の作業効率を向上させることができる。
【0034】
尚、治具2に形成された複数の被保持面10,10の全てが、スライド扉4が開かれた状態のとき、開口部5の方向に所定角度θの傾きで向けられるため、例えば、使用者Uが操作パネル6を操作することにより、着脱部αに配置された移送装置7のターンテーブル20の固定状態を解除し、使用者Uが手動でターンテーブル20及び治具2を水平方向に回動させて複数の被保持面10,10の向きを変化させ、開口部5から各々の被保持面10にアクセスできるようにする必要がなく、ワークWの着脱作業時間を短縮できるばかりか、使用者Uの疲労を軽減させ、作業効率が向上するようになる。
【0035】
また、被保持面10は平坦状に形成されるとともに、2つの被保持面10,10間の頂部11が開口部5側に配置されることで、使用者がワークWを斜め方向から見ながら被保持面10に対して着脱作業を行えるので、ワークWの着脱状態を視認し易くなるとともに、被保持面10が開口部5から奥に行くにしたがって広がるためワークWを着脱し易くなる。
【0036】
また、2つの被保持面10,10が1つの開口部5に対して略45度の傾きであることで、被保持面10,10を開口部5に向かせて、開口部5から被保持面10,10にワークWを着脱し易い状態を確保しながら、開口部5から筐体3の奥行き方向に被保持面10の面積を広げて、より多くのワークWを治具2に保持させることができる。
【0037】
また、使用者Uが開口部5からワークWを斜め方向から見ながら被保持面10に対して着脱作業を行えるので、使用者Uは、ワークWと被保持面10との間の距離や、チャッカ14によるワークWの設置状態の確認が容易に行える。つまり使用者Uは開口部5から被保持面10を見たときに、被保持面10に対して垂直方向のみならず、該垂直方向とは異なる角度からワークWを見ながら確実に設置が可能となる。
【0038】
次に、図6を参照して複数のワークWの加工する際の加工作業について説明する。先ず、使用者Uが着脱部αに配置された治具2の2つの被保持面10,10にワークWを保持させ、制御装置(図示略)の制御により移動される移送装置7によって、治具2が着脱部αから加工部βに移動される。
【0039】
そして、図6(a)に示すように、制御装置(図示略)がターンテーブル20を動作させることにより治具2が、平面視で反時計回りに回動され、ドリル工具Dを立設部9の裏側から一方の貫通孔17に挿入し、一方の被保持面10に保持されたワークWを裏側から加工する。
【0040】
次に、図6(b)に示すように、治具2を平面視で反時計回りに90度ほど回動させ、ドリル工具Dを立設部9に近接させ、他方の被保持面10に保持されたワークWを表側から加工する。そして、図6(c)に示すように、治具2を平面視で反時計回りに90度ほど回動させ、ドリル工具Dを立設部9の表側から近接させ、一方の被保持面10に保持されたワークWを表側から加工する。
【0041】
更に、図6(d)に示すように、治具2を平面視で反時計回りに90度ほど回動させ、ドリル工具Dを立設部9の裏側から他方の貫通孔17に挿入し、他方の被保持面10に保持されたワークWを裏側から加工する。
【0042】
図6(a)から図6(d)に示すように、複数のワークWをドリル工具Dによって加工する際に、90度の角度で治具2を水平方向に回動させるだけで、治具2の少ない回動角度で被保持面10,10に保持されたワークWを順次加工することができ、一方のワークWの加工が終了したら即座に他方のワークWの加工を開始することができ、NC工作機械1の加工速度が向上されるようになっている。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例では、治具2が着脱部αに配置されているときに、横断平面視において略V字形状をなす立設部9の頂部11が、筐体3の開口部5側に位置する構成となっていたが、立設部9の頂部11の向きが、開口部5の反対側、すなわち背面側に位置する構成とし、被保持面10を立設部9における頂部11の裏側の面に形成するようにしてもよく、少なくとも2つの被保持面10,10が互いに所定角度θで交わるように治具2を形成することで、治具2に広い面積の被保持面10を形成でき、かつ両被保持面10,10を開口部5の方向に所定角度θで傾けられるようになる。
【0045】
また、前記実施例では、治具2の立設部9が横断平面視において略V字形状をなしているが、立設部9を横断平面視において略L字形状や略W字形状になるように形成することで、被保持面10の面積を増大させ、かつ開口部5から各々の被保持面10にワークWを着脱できるようにしてもよい。
【0046】
更に、前記実施例では、2つの被保持面10,10が所定角度θとしての略90度の角度で交わっていたが、被保持面10,10同士が交わる角度θは略90度に限ることなく、被保持面10,10同士が90度よりも鈍角や鋭角な角度θで交わるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例におけるNC工作機械を示す斜視図である。
【図2】NC工作機械を示す正面図である。
【図3】治具を示す斜視図である。
【図4】治具を示す横断平面図である。
【図5】NC工作機械を示す横断平面図である。
【図6】NC工作機械を用いたワークの加工作業を示す概念図である。
【符号の説明】
【0048】
1 NC工作機械(工作機械装置)
2 治具
3 筐体
5 開口部
10 被保持面
11 頂部
17 貫通孔
D ドリル工具
W ワーク(被加工物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に、被加工物が保持される被保持面を有する治具と、該被保持面に保持された被加工物を加工する工具とが配置され、前記工具と前記被加工物との相対位置を制御することで前記工具による前記被加工物の加工を行うとともに、前記筐体に形成された開口部を介して前記被保持面に対する前記被加工物の着脱を行う工作機械装置において、
前記被保持面は、前記開口部の方向に所定角度で向き、互いに交わるように隣接配置された複数の被保持面からなることを特徴とする工作機械装置。
【請求項2】
前記被保持面は平坦状に形成されるとともに、互いに隣接する少なくとも2つの被保持面間の頂部が前記開口部側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の工作機械装置。
【請求項3】
前記所定角度を略45度としたことを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械装置。
【請求項4】
前記治具は、水平方向に回動可能となっており、かつ該治具には、前記被保持面から該被保持面の反対側の面まで貫通された貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の工作機械装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−313577(P2007−313577A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143250(P2006−143250)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(399059809)株式会社オーケイエス (4)
【Fターム(参考)】