説明

建築物の外壁構造及び二重窓ユニット

【課題】 二重窓構造の空隙間の空気のショートサーキットの発生を低減し、かつ、通気口面積を確保し、換気効率を向上させ、二重窓構造の薄型化を図ること。
【解決手段】 本発明は、従来のように、ダブルスキンの下方、上方ではなく、ダブルスキンの側方から外気を導入し、排出する。このため、本発明ではサッシの無目部ではなく、方立部に通気口を設ける。方立部は上下方向に縦長となっているため、従来例の通気口と比較して、本発明の通気口は縦長で、かつ、面積を拡大することが可能となる。各層ダブルスキンタイプのものでは、層間で、排気用の通気口の上端と、外気導入用通気口の下端とは近接するものの、両者の平均離間距離は従来例の場合よりも大きくなる。よって、ショートサーキットの発生を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルスキンカーテンウォールに代表される、二重窓構造に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁を構成するにあたり、ダブルスキンカーテンウォールに代表されるように、ガラス板等の窓板を二重構造とする二重窓構造が提案されている。この二重窓構造は建築物の外観を向上させるだけではなく、自然換気機能を発揮して室内空調の省エネルギー化に資することが知られている。より詳細には、二重構造とした窓板間に形成される空隙が断熱層としての役割を有するので、例えば、冬季等においては二重窓構造内に対する外気の侵入を防止し、日射による二重窓構造内の空気の加温を利用することで、外気の影響による室内温度の低下を抑制することができる。また、加温された空気を二重窓構造内から室内に導入することで室内温度の上昇にも寄与させることも可能となる。
【0003】
一方、外気温が高く、日射が強い時には、ブラインド、窓ガラス等により遮蔽された日射による発熱分を、二重窓構造内の空気と外気とが交換されるようにすることで、二重窓構造内の温度上昇も抑制できる。その基本的な方法として、全層連通型ダブルスキンタイプと各層区画型ダブルスキンタイプとが提案されている。全層連通型ダブルスキンタイプでは、二重窓構造内を建築物の各階において連通させ、下部に外気の導入用の通気口を設け、上部に二重窓構造内の空気の排出用の通気口が設けられる。下部から導入された外気は二重窓構造内で加温され、上昇気流となるので上部から自然排気されることになる。しかし、全層連通型ダブルスキンタイプでは、二重窓構造内の空気が上層階においてより高温となるため、階数が多くなると春秋季の日差しが強い場合や夏季の場合においては上層階において二重窓構造内の温度が上昇することから、室内負荷の削減が十分に図れない。
【0004】
一方、各層区画型ダブルスキンタイプでは、各階毎又は複数階毎に外気の導入用の通気口と排気用の通気口とがそれぞれ繰り返し設けられる。この各層ダブルスキンタイプでは、各階単位は又は複数階単位で二重窓構造内の空気が外気と交換されるため、上層階における二重窓構造内の空気の高温化を抑制することができる。各階毎に外気の導入用の通気口と排気用の通気口とを設ける例は、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−256637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、二重窓構造の設置空間の低減や施工コスト低減のため、二重窓構造はできるだけ薄型化できることが望ましい。つまり、二重窓構造を薄型化できれば、それだけ室内空間を大きく取れる。また、二重窓構造をより薄型化できれば、予めこれをユニット化することも可能であり、二重窓構造を施工する際、現場での組立てを省略し、各階にクレーン等で搬送して施工性を向上できる。更に、二重窓構造のユニット化はその製造コストの削減等にも寄与し得る。
【0007】
しかし、二重窓構造を薄型化すると、それだけ窓板間に形成される空隙、つまり、二重窓構造内の空間が狭くなる。このため、上述した自然換気機能のうち、とりわけ日射の影響による二重窓構造内の温度上昇の抑制機能が劣ることになる。詳細には、薄型化による通風量の単純な減少だけでなく、薄型化による通風抵抗の増大により、通風量がさらに減少することから、二重窓構造内の空気が上層階においてより一層高温となり易く、上層階において二重窓構造内の温度上昇の抑制が困難となる。この場合、上述した各層区画型ダブルスキンタイプを採用して、各階毎又は複数階毎に二重窓構造内の空気と外気との交換を行うことも考えられる。しかし、従来のように通気口を各階層の無目に設けた場合、上下の階層間で排気用の通気口と外気導入用の通気口とが近接するため、下層階から排気された空気が上層階の二重窓構造内に導入される、ショートサーキットが生じる。図8(a)及び(b)は従来の二重窓構造における、空気のショートサーキットの説明図である。
【0008】
図8(a)は2階から7階まで二重窓構造が採用された例を示しており、各階毎に外気導入用の通気口と排気用の通気口とを設け、かつ、各階毎に二重窓構造の内部を仕切った例を示している。この例の場合、各階の外側スキンの下方から外気が二重窓構造内に導入され、各階の外側スキンの上部から排出される。しかし、例えば、2階と3階とに着目すると、2階の排気用の通気口と、3階の外気導入用の通気口とが近接しているため、2階の排気用の通気口から排出された空気が、3階の外気導入用の通気口に侵入する、ショートサーキットが生じている。他の各階間においても同様である。従って、下層階の二重窓構造内の暖気が上層階の二重窓構造内に導入されてしまい、上層階の二重窓構造内の空気がより高温化されることになる。図8(b)は2階から4階と、5階から7階とにおいて、それぞれ二重窓構造内を連通させた例であり、2階と5階の下部にそれぞれ外気導入用の通気口を、また、4階と7階の上部にそれぞれ外気導入用の通気口を、設けた例を示している。この例の場合も、4階の排気用の通気口と5階の外気導入用の通気口とが近接しているため、4階の排気用の通気口から排出された空気が、5階の外気導入用の通気口に侵入する、ショートサーキットが生じている。
【0009】
更に、従来のように無目に通気口を設ける場合、通気口やこれを開閉するシャッター機構が外壁表面に露出することになり、その意匠性が必ずしもよくない。
【0010】
従って、本発明の主たる目的は、二重窓構造の空隙内の空気のショートサーキットの発生を低減し、二重窓構造の薄型化を図ることにある。また、本発明の他の目的は、二重窓構造においてその意匠性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、相互に離間して二重に配置された一対の窓板と、前記一対の窓板を支持するサッシと、を備えた二重窓部を、建築物の外壁面に設けた建築物の外壁構造において、前記サッシの方立部に、前記一対の窓板間の空隙と外気とを流通させる通気口を備えたことを特徴とする建築物の外壁構造が提供される。
【0012】
この外壁構造では、通気口がサッシの方立部に設けられるので、従来のように無目に通気口を設けた場合と比較して、外気導入用の通気口と排気用の通気口との平均離間距離が大きくなる。従って、二重窓構造の空隙内の空気のショートサーキットの発生を低減でき、かつ、必要な通気口面積も確保できることから、二重窓構造の薄型化を図ることができる。
【0013】
なお、本発明において、前記窓板としては例えばガラス板を挙げることができる。この場合、一対の前記窓板の各窓板は、必ずしも単枚の板である必要はなく、例えば、ペアガラスのように複数の板体が一体的に積層され、実質的に1つの窓板と評価できるものも含まれる。
【0014】
本発明においては、前記通気口が前記方立部の側面に設けられてもよい。通気口を方立部の側面に設けることにより、建築物の外壁を正面視した場合、通気口が露出せず、その意匠性を向上することができる。
【0015】
また、本発明においては、前記通気口を前記方立部の長手方向に沿って複数設けることが望ましい。この構成により、熱溜まりの発生を抑制し、通気口を通過する空気量を増加させることができ、二重窓部内外の空気の交換効率を高めることができる。この場合、通気口を方立部の長手方向全体に渡って複数設けることで更に熱溜まりの発生の抑制及び通気口を通過する空気量の増加を図ることができる。
【0016】
また、本発明においては、前記通気口を開閉する通気口開閉機構を備えることもできる。この構成によれば、二重窓部内を外気と遮断するか、開放するかを選択することが可能となり、例えば、季節や天候、降雨の有無に応じた換気性能の選択が可能となる。
【0017】
また、本発明においては、前記通気口を開閉する通気口開閉機構を備え、前記通気口が前記方立部の側面に設けられると共に前記方立部の長手方向に沿って複数設けられ、前記通気口開閉機構が、前記方立部に沿って平行移動可能に設けられ、複数の前記通気口に対応した複数の孔を有し、当該通気口を開口及び閉鎖する可動板を備えることもできる。この構成によれば、可動板を平行移動することで通気口の開口及び閉鎖を行え、更に、可動板の平行移動量を少なくでき、コンパクト化が図れる。
【0018】
この場合、前記可動板を前記方立部の前記側面よりも前記一対の窓板間の空隙側に設け、前記可動板を平行移動させる駆動手段を前記可動板よりも更に前記一対の窓板間の空隙側に設け、前記可動板と前記駆動手段とを前記方立部に収納することもできる。この構成によれば、可動板及び駆動手段が方立部に隠れるので、建築物の外壁を正面視した場合、これらが露出せず、その意匠性を向上することができる。
【0019】
また、この場合、前記可動板に、前記通気口から前記一対の窓板間の空隙への異物の侵入を防止する網戸を設けることもできる。この構成によれば、外部から昆虫等の異物が二重窓部内に侵入することを防止できるだけでなく、室内から見た場合、可動板が全体的に又は部分的に網戸により隠れるので、これらを目立ち難くすることができる。なお、前記駆動手段はエアシリンダであることが望ましい。エアシリンダは棒状であるので、方立部に収納し易いという利点がある。
【0020】
また、本発明においては、前記通気口が前記方立部の側面に設けられると共に前記方立部の長手方向に沿って複数設けられ、前記二重窓部が所定の間隔をおいて左右方向に連続して複数設けられ、前記間隔と前記方立部の長手方向の長さとから特定される面積と、前記通気口の総開口面積と、が略一致していることが望ましい。方立部の側面に通気口を設けた場合、隣接する二重窓部間のスリット及び通気口を通って外気が二重窓部内へ導入されるため、導入される外気の量は隣接する二重窓部間のスリットの面積に左右される。従って、隣接する二重窓部間の間隔はより広い方が外気の導入量が多くなるが、建築物の外壁を正面視した場合、意匠性が劣る。そこで、隣接する二重窓部間の間隔と方立部の長手方向の長さとから特定される、スリットの面積と、通気口の総開口面積と、を略一致させることにより、導入される外気の量と意匠性との調和を図ることができる。
【0021】
また、本発明においては、前記二重窓構造は、建築物の各階毎に上下方向に連続して複数設けられ、連続する複数階の各階間において、前記一対の窓板間の空隙が連通していることが望ましい。全階ではなく、複数階の各階間において、窓板間の空隙を連通させることにより、上層階の当該空隙内の空気が過剰に高温となることを防止し、二重窓部の薄型化を図り得ると共に、複数階に渡って当該空隙内の空気が流通することで、夏季等における日射の影響による上下温度差換気効率の上昇により、二重窓部内温度の抑制ができる。
【0022】
この場合、前記複数階毎に、その上下の階間において、前記一対の窓板間の空隙の連通を遮断する遮断板を前記サッシに固定して設けることもできる。サッシに遮断板を固定することで簡易な構成で、上下の階間に渡る、窓板間の空隙の連通を遮断できる。
【0023】
また、本発明において、前記二重窓構造は、建築物の各階毎に上下方向に連続して複数設けられ、各階間において前記一対の窓板間の空隙が連通しており、更に、各階毎に、又は、複数階毎に、前記一対の窓板間の空隙の連通を遮断する開閉自在な遮断機構を設けることもできる。遮断機構の開閉により、例えば、季節や天候に応じた換気性能の選択が可能となる。
【0024】
また、本発明においては、前記一対の窓板のうち、室内側の窓板を開閉可能に設けることもできる。この構成によれば、室内側の窓板を開放することで、二重窓構造内のメンテナンスを行うことができると共に、例えば冬季等において、日射により加温された、窓板間の空隙内の空気を室内に導入できる。
【0025】
また、本発明によれば、相互に離間して二重に配置された一対の窓板と、前記一対の窓板を支持するサッシと、を備え、建築物の外壁面に配設される二重窓ユニットにおいて、前記サッシの方立部に、前記一対の窓板間の空隙と外気とを流通させる通気口を備えたことを特徴とする二重窓ユニットが提供される。
【0026】
この二重窓ユニットは、通気口がサッシの方立部に設けられるので、従来のように無目に通気口を設けた場合と比較して、外気導入用の通気口と排気用の通気口との平均離間距離が大きくなる。従って、二重窓構造の空隙内の空気のショートサーキットの発生を低減でき、もって二重窓構造の薄型化を図ることができる。更に、二重窓構造をユニット化することにより、当該ユニットを工場で生産し、現場に搬送して、揚重し、建築物への取付けが可能となり、現場での組立作業が不要となり、施工性を向上できる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明によれば、二重窓構造の空隙内の空気のショートサーキットの発生を低減することができ、二重窓構造の薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<ショートサーキット低減原理>
まず、本発明におけるショートサーキット低減原理について説明する。図1は従来例と比較した、本発明のショートサーキット低減原理の説明図であり、図1(a)が本発明を、図1(b)が従来例を示す。従来例の場合、通気口がサッシの無目部に設けられる。従って、図1(b)に示すように通気口は横長となる。また、ダブルスキン(室内側スキンと外側スキン)内において、加温された空気は上昇気流となることを考慮して、ダブルスキンの下方から外気を導入し、上方から排気する形態となる。その結果、各層区画型ダブルスキンタイプのものでは、層間で排気用の通気口と外気導入用の通気口とは一様に近接する。従って、排気された空気のショートサーキットが発生し易いことになる。
【0029】
これに対し、本発明は、ダブルスキンの下方、上方ではなく、図1(a)に示すようにダブルスキンの側方から外気を導入し、排出することに着目している。このため、本発明ではサッシの無目部ではなく、方立部に通気口を設ける。方立部は上下方向に縦長となっているため、図1(b)の従来例の通気口と同じ開口面積で考えた場合、本発明の通気口は図1(a)に示すように縦長となる。各層ダブルスキンタイプのものでは、層間で、排気用の通気口の上端と、外気導入用通気口の下端とは近接するものの、両者の平均離間距離は従来例の場合よりも大きくなり、排気が外気とより混合されやすくなる。
【0030】
従って、従来例よりも、排気された空気のショートサーキットが発生し難いことになり、ダブルスキン内部の換気性能が向上する。そして、二重窓構造の薄型化、つまり、ダブルスキン間の間隔を短くする場合、ダブルスキン内の空間が狭くなると同時に通気抵抗の増大により、日射の影響による二重窓構造内の温度上昇の抑制機能が劣ることになる。しかし、本発明の構成によれば、ショートサーキットの抑制と通気面積の確保により、従来例よりも換気性能が向上するので、薄型化しても従来例レベルの二重窓構造内の温度上昇の抑制機能が発揮される。つまり、二重窓構造を薄型化して、更に、ユニット化することも可能となる。以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0031】
図2(a)は本発明の一実施形態に係る二重窓ユニットAの正面図(建築物の外壁表面を形成する面)、図2(b)は二重窓ユニットAの背面図(室内に露出する面)である。二重窓ユニットAは、窓板として、室外側の透明のガラス板1と、ガラス板1と離間して二重に配置された、室内側の透明のガラス板2及び3と、を備え、ガラス板1が外側スキンを、ガラス板2及び3が室内側スキンを構成する。ガラス板1は主サッシ10に支持されている。また、ガラス板2及び3は副サッシ20、30を介してそれぞれ主サッシ10に支持されている。
【0032】
主サッシ10は左右一対の方立部11と、上下一対の無目部12とを備え、二重窓ユニットA全体の支持体として機能する。副サッシ20はガラス板2のサッシとして機能し、主サッシ10に対して上下に回動自在に取り付けられている。つまり、ガラス板2は上下に開閉可能に構成されている。また、副サッシ30はガラス板3のサッシとして機能し、主サッシ10に対して左右に回動自在に取り付けられている。つまり、ガラス板3は左右に開閉可能に構成されている。
【0033】
次に、二重窓ユニットAの内部構造について説明する。図3は、二重窓ユニットAの主要な構成を図示した、図2(a)の線XXに沿う断面図であり、二重窓ユニットAを左右方向に連続して設けた場合の連結構造も示す。図中、破線で示す二重窓ユニットA'は二重窓ユニットAの側方に連結され、建築物の同一階層の外壁を二重窓ユニットAと共に構成する二重窓ユニットであり、細部を除きその構造は二重窓ユニットAと同じである。
【0034】
同図に示すように、ガラス板1はシール機能を有する固定材1aを介して主サッシ10に固定されている。また、主サッシ10の室内側には、ヒンジ部31を介して副サッシ30が支持されており、副サッシ30はヒンジ部31を回動中心として矢印d1の方向に回動可能となっている。ガラス板3はシール機能を有する固定材3aを介して副サッシ30に固定されている。副サッシ30を閉じた状態では、ガラス板1とガラス板3とは相互に略平行に離間して二重に配置された状態となり、これらの空隙は外気が導入される空間(以下、換気空間)を形成する。また、主サッシ10と副サッシ30との間には、シール材3bが配設されており、副サッシ30を閉じた状態では、換気空間内の空気が室内へ流出することが防止されている。
【0035】
一方、副サッシ30を室内側へ開放すると、換気空間内の空気が室内へ導入できることになる。春秋季など、気温がやや低く、室内が暑い場合には後述する通気口11aと副サッシ30を開放することにより、自然換気による外気冷房が可能となる。冬季や気温が低いが天気がよい場合には換気空間内の空気が日射により温められるので、これを室内に導入することで室内暖房の負荷軽減を図ることができる。また、副サッシ30を室内側へ開放することで作業員が室内側から二重窓ユニットA内のメンテナンスを行うことができる。とりわけ、二重窓ユニットAの薄型化を図ることで、室内からガラス板1までの距離が短く、室内からガラス板1の清掃作業等も行うことができる。
【0036】
次に、主サッシ10の左右の方立部11の各側面には、それぞれ換気空間と外気とを連通させる通気口11aが設けられている。二重窓ユニットAとA'との間のスリット(同図において幅dsで示す)を通過した外気は、太線矢印で示すようにこの通気口11aを通って換気空間内に導入される。また、換気空間内の空気は通気口11aを通って外部へ排気されることになる。方立部11の側面に通気口11aを設けたので、二重窓ユニットAを正面視した場合、これが露出することがなく、意匠性を向上することができる。通気口11aの内側(方立部11内)には通気口11aを開閉する開閉機構40が設けられている。開閉機構40は、方立部11の長手方向に沿って平行移動可能に設けられた可動板41と、可動板41を平行移動させる駆動手段であるエアシリンダ42と、を備える。
【0037】
ここで、図3と共に図5を参照して開閉機構40の構成及び動作について説明する。図5(a)及び(b)は開閉機構40の動作説明図であり、図5(a)は通気口11aの閉鎖時の態様を、図5(b)は通気口11aの開口時の態様を示す。
【0038】
図5に示すように、本実施形態において通気口11aは方立部11の側面において、方立部11の長手方向に沿って複数設けられている。とりわけ、本実施形態では通気口11aが方立部11の略長手方向全体に渡って複数設けられている。このように通気口11aを方立部11の略長手方向全体に渡って設けることにより、換気空間の側方から外気の導入又は排気を行ったとしても、換気空間内において空気の流れが悪くなる箇所の発生を低減でき、換気空間内における熱溜まりの発生の抑制を抑制することができると共に、通気口11aを通過する空気量の増加を図ることができる。また、各通気口11aは同じ形状をなしており、かつ、方立部11の長手方向に等間隔で配置されている。そして、各通気口11a間の間隔は、通気口11aの長さ(方立部11の長手方向の長さ)と略同じにされている。
【0039】
一方、図5に示すように、可動板41には、各通気口11aに対応して複数の孔41aが設けられている。各孔41aは通気口11aと略同じ形状をなしており、かつ、方立部11の長手方向に等間隔で配置されている。そして、各孔41a間の間隔は、各通気口11a間の間隔と同じにされている。また、可動板41のスリット側の表面にはシール材41bが配設されている。このシール材41bは各孔41a間にそれぞれ配設されている。可動板41の換気空間側の表面には網戸41cが配設されている。網戸41cを設けたことにより、外部から昆虫等の異物が換気空間内に侵入することを防止できるだけでなく、室内から見た場合、可動板41(特に孔41a等)が略網戸41cにより隠れるので、これらを目立ち難くすることができ、室内側から見た場合の意匠性を向上できる。
【0040】
可動板41の上端部にはブラケット42aを介してエアシリンダ40のロッド部が接続されている。エアシリンダ40はその長手方向が方立部11の長手方向に沿うように、支持板42bを介して主サッシ10に取り付けられている(取付け構造については図4を参照)。このエアシリンダ40はエアーの供給方向を選択することにより、ロッド部を伸長し又は収縮することができるものである。
【0041】
次に、係る構成からなる開閉機構40による通気口11aの開閉動作について説明する。図5(a)は通気口11aの閉鎖時の態様を示す。この態様の場合、可動板41の各孔41aと各通気口11aとは一コマ分ずれた状態にある。各孔41aと各通気口11aとはそれぞれ同じ間隔で配置されているので、全ての孔41aと通気口11aとは一コマ分ずれた状態にある。そして、この態様の場合、各通気口11aの周囲に各シール材41bが位置しており、各シール材41bの周縁部が方立部11の側面の板と可動板41との間の隙間をシールしている。従って、各シール材41bにより各通気口11aを通って換気空間へ外気が侵入することが遮断される。また、各孔41aを通って換気空間内の空気が外部へ流出することも遮断される。
【0042】
次に、エアシリンダ40を駆動してロッド部を伸長し、各孔41aと各通気口11aとの位置を一致させると通気口11aが開口状態となる。図5(b)は通気口11aの開口時の態様を示す。この態様の場合、可動板41の各孔41aと各通気口11aとは、それぞれ位置が一致した状態にある。従って、換気空間と外気とが流通可能な状態となる。ここで、本実施形態では、各孔41aと各通気口11aとを同形かつ同じ間隔で配置し、更に、その間隔はこれらの長さに一致している。従って、通気口11aの開閉にあたり、可動板41はその間隔分だけ平行移動すればよく、移動量を極めて小さくすることが可能となる。従って、開閉機構40のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
また、図3を参照して、本実施形態では可動板41を方立部11の側面よりも換気空間側に設け、エアシリンダ42を可動板41よりも更に換気空間側に設け、可動板41とエアシリンダ42とを方立部11内(左右方向の幅内)に収納された構成としている。この構成の場合、可動板41及びエアシリンダ42が方立部11に隠れるので、二重窓ユニットAを施工した建築物の外壁を正面視した場合、これらが露出せず、その意匠性を向上することができる。また、これらを方立部11内に組み込むことができるので、その搬送、揚重等において便利である。とりわけ、エアシリンダ42は棒状をなしているので、方立部11に収納し易いという利点がある。また、エアシリンダは駆動手段として比較的安価かつ小型で漏電の危険がないため、方立部11に収納する構成として好適であると言える。
【0044】
次に、図3に戻って、開閉機構40よりも換気空間側には、開口付き点検扉50が設けられている。この点検扉50は、室内からの意匠性の向上が主目的であり、主サッシ10のヒンジ部51に回動自在に取り付けられており、左右方向(同図矢印d2)に開閉可能である。図3において、実線は点検扉50の閉鎖時を、破線は開放時を示している。閉鎖時において点検扉50は方立部11内(左右方向の幅内)に収納された構成としている。点検扉50を回動可能としたことで、室内側から開閉機構40のメンテナンスが可能となる。
【0045】
次に、図3を参照して二重窓ユニットAを左右方向に連続して設けた場合の連結構造について説明する。建築物の同一階層の外壁を複数の二重窓ユニットAを連結して構成する場合である。この場合、同図に示すように、二重窓ユニットAと二重窓ユニットA'とは、通気口11aに外気が流通するように、所定間隔をおいて左右方向に連続して設けられ、通気口11aの近傍においては各々の方立部11の間に距離dsの幅を持つスリットが形成される。また、室内側の方立部11は通気口11aの近傍の部位よりも左右方向に出っ張っており、ここに、外気が室内に侵入することを防止する外部露出用のシール材61と、室内露出用のゴムガスケット62と、が配設される。
【0046】
ここで、本実施形態のように方立部11の側面に通気口11aを設けた場合、隣接する二重窓ユニットA間のスリット及び通気口11aを通って外気が換気空間内へ導入されるため、導入される外気の量は隣接する二重窓ユニットA間のスリットの面積に左右される。従って、隣接する二重窓ユニットA間の間隔dsはより広い方が外気の導入量が多くなるが、建築物の外壁を正面視した場合、意匠性が劣る。そこで、隣接する二重窓ユニットA間の間隔と方立部11の長手方向の長さとから特定される、スリットの面積と、通気口11aの総開口面積と、を略一致させることにより、導入される外気の量と意匠性との調和を図ることができる。つまり、(方立部11の長手方向の長さ×距離ds)≒通気口11aの総開口面積であることが望ましい。
【0047】
二重窓ユニットAを建築物に適用する場合、スリットの幅dsを狭くすれば、建物水平方向単位長さ当たりの通気口11aの総面積(以下、単位長総面積という)を増加させることができ、換気空間内の熱をより逃がしやすくなる。例えば、ガラス板1とガラス板2、3との距離が200mm、内外の無目12間の距離が100mmとすると、単位長総面積は、0.1乃至0.2m程度である。二重窓ユニットAの割付幅が1500mmとすると、スリット幅dsが70mm、方立部11の小口の開口面積が単位長当たりスリットの面積の1/2でかつ方立部11の全長の80%とし、建築物に適用された複数の二重窓ユニットAの高さを40m(各二重窓ユニットAの高さ:4m×10階)とすると、単位長総面積は、1.49m(40×1/2×2×0.8×0.07/1.5)となり、全層連通型ダブルスキンのように最下部だけ開口した場合の10倍程度の開口面積とすることができ、建築物内に入ろうとする余計な熱エネルギーをよりすみやかに外部に排出できる。
【0048】
なお、本実施形態では、通気口11aが二重窓ユニットA間のスリット内にあることから、通気口11aが降雨に叩かれ難く、漏水しにくくなる。また、漏水した場合でも、方立部11に沿って水が流れ易いので、例えば、方立部11に排水溝を設けることにより、ガラス板等を汚すことが少なく出来る。また、ガラス板が二重になっており、実際の外壁としての水密性能は内側のガラス板(2、3)等で確保している。
【0049】
次に、図4を参照して、二重窓ユニットAの上部の構成について説明する。図4は二重窓ユニットAの主要な構成を図示した、図2の線YYに沿う断面図である。同図に示すように、主サッシ10の室内側には、ヒンジ部21を介して副サッシ20が支持されており、副サッシ20はヒンジ部21を回動中心として矢印d1の方向に回動可能となっている。ガラス板2はシール機能を有する固定材2aを介して副サッシ20に固定されている。副サッシ30と同様に、副サッシ20もこれを閉じた状態では、ガラス板1とガラス板2とは相互に略平行に離間して二重に配置された状態となり、これらの空隙は換気空間を形成する。また、主サッシ10と副サッシ20との間には、シール材2bが配設されており、副サッシ20を閉じた状態では、換気空間内の空気が室内へ流出することが防止されている。
【0050】
一方、副サッシ20を室内側へ開放すると、換気空間内の空気が室内へ導入できることになる。副サッシ30を開放した場合と同様に、春秋季など、気温がやや低く、室内が暑い場合には、自然換気による外気冷房が可能となり、冬季や気温が低いが天気がよい場合には換気空間内の空気が日射により温められるので、これを室内に導入することで室内暖房の負荷軽減を図ることができる。また、副サッシ20を室内側へ開放することで作業員が室内側から二重窓ユニットA内のメンテナンスを行うことができる。上述したエアシリンダ42は、支持板42b及び主サッシ10に固定されたブラケット42cを介して主サッシ10に固定されている。そして、上述した可動板41がブラケット42aを介して、エアシリンダ42のロッド部に吊り下げられるようにして取り付けられている。
【0051】
以上の構成からなる二重窓ユニットAでは、通気口11aが主サッシ10の方立部11に設けられるので、従来のように無目に通気口を設けた場合と比較して、外気導入用の通気口と排気用の通気口との平均離間距離が大きくなる。従って、換気空間内の空気のショートサーキットの発生の低減と通気口面積の確保ができ、もって二重窓ユニットAの薄型化を図ることができる。二重窓構造をユニット化することにより、当該ユニットを工場で生産し、現場に搬送して、揚重し、建築物への取付けが可能となり、現場での組立作業が不要となり、施工性を向上できる。
【0052】
なお、主サッシ10の方立部11を構成する部材は、1ダイスから押し出したアルミ型材を加工して製作するのが望ましく、主サッシ10のトータルの幅は250mm程度がコストパフォーマンスに優れる。なお、無目部12間は、後述するように複数階層に渡って二重窓ユニットAの換気空間を連通させる際の自然換気流の通路となるので、この部分の空気抵抗を減少すべく、なるべく広い間隔とすることが望ましい。
【0053】
<建築物の外壁構造>
図6(a)及び(b)は二重窓ユニットAを適用した建築物の外壁構造の例を示す模式図である。図6(a)及び(b)は7階建ての建築物に二重窓ユニットAを適用した例を示しており、二重窓ユニットAは建築物の外壁面に設けられて二重窓部を形成している。また、両例に共通して、二重窓ユニットAは、建築物の各階毎に上下方向に連続して複数設けられ、連続する複数階の各階間において、換気空間が連通するように配置されている。なお、同図の各階間の破線は各二重窓ユニットAの境界を示す。
【0054】
ここで、図6(a)の例の場合、4階の二重窓ユニットAの換気空間と5階の二重窓ユニットAの換気空間との連通を遮断する遮断板70が4階の二重窓ユニットAの主サッシ10の上部に固定して設けられている。従って、図6(a)の例の場合、2階から4階までの各二重窓ユニットA間においてそれらの換気空間は連通して空気の流通が可能となっており、また、5階から7階までの各二重窓ユニットA間においてそれらの換気空間は連通して空気の流通が可能となっている。このように、二重窓ユニットAを設けるべき全ての階(2階から7階)ではなく、複数階の各階間において、換気空間を連通させることにより、上層階の二重窓ユニットAの換気空間内の空気が過剰に高温となることを防止し、二重窓ユニットAの薄型化を図り得る。また、主サッシ10に遮断板70を固定することで簡易な構成で、上下の階間に渡る、換気空間の連通を遮断でき、とりわけ、遮断板70を予め二重窓ユニットAに取り付けておくことにより、現場での取付け作業が不要となる。
【0055】
更に、複数階に渡って換気空間内の空気が流通することで、夏季等における日射の影響による換気空間内温度の上昇が抑制できる。図6(a)の場合、例えば、3階と6階の二重窓ユニットAの通気口11aを閉鎖し、他の階の二重窓ユニットAの通気口11aを開口したとすると、2階から4階部分においては、主に2階の二重窓ユニットAの通気口11aから外気が換気空間内に導入され、主に4階の二重窓ユニットAの通気口11aから換気空間内の空気が排気される。また、5階から7階部分においては、主に5階の二重窓ユニットAの通気口11aから外気が換気空間内に導入され、主に7階の二重窓ユニットAの通気口11aから換気空間内の空気が排気される。当然のことながら、風の影響により、同じ階の風上側の通気口11aから外気が入り、風下側の通気口11aから排気される場合もある。また、図6(a)の例の場合、固定の遮断板70により、換気空間内を2又は3階層間で連通させた状態とすることで、初期投資を抑えた上で、省エネルギー効果とぺリメータゾーン環境の向上を図ることができる。
【0056】
図6(b)の例の場合、各階毎に換気空間の連通を遮断する開閉自在な遮断機構としてダンパー71が設けられている。ダンパー71は遮断板を回転自在に制御することにより、各階毎の換気空間間の連通を遮断、又は、開放する。ダンパー71は二重窓ユニットの主サッシ10の上部に取り付けられる。ダンパー71を予め二重窓ユニットAに取り付けておくことにより、現場での取付け作業が不要となる。図6(b)の場合、4階及び7階の二重窓ユニットAに設けられたダンパー71が、その遮断板が水平方向を向いており、換気空間間を遮断した状態にあり、他の階の二重窓ユニットAに設けられたダンパー71が、その遮断板が鉛直方向を向いており、換気空間間を開放した状態にある。従って、図6(b)の例の場合、2階から4階までと、5階から6階までの各二重窓ユニットA間においてそれらの換気空間は連通して空気の流通が可能となっている。7階の二重窓ユニットAの換気空間のみ他の階の二重窓ユニットAの換気空間と連通しないようになっている。ダンパー71の開閉により、例えば、季節や天候に応じた換気性能の選択が可能となり、特に、通気口11aの開閉と組み合わせることで最適な換気性能の選択が可能となる。
【0057】
また、図6(b)の例の場合、換気空間内を各階層毎に分割可能とすることにより、日射や気温、室内冷暖房運転の有無、風向き、風速、降雨の有無などにより、省エネルギー効果とぺリメータゾーン環境のバランスを図ることができる。また、季節毎や日毎のみならず、時間単位で省エネルギーに最適な、換気空間の連通階層数を選択することができる。なお、図6(b)の例の場合、各階毎にダンパー71を設けたが、複数階毎であってもよい。
【0058】
図6(a)及び(b)に示す建築物の外壁構造によれば、換気空間を介して各階層間で通風可能なダブルスキンを一般のカーテンウォールと同等の厚さで実現することが可能となるため、スペースの制約を受けず、建築物にこれを導入することが可能となる。このため、既存建築物の外壁リニューアル工事にも適用できる。なお、図6(a)及び(b)に示す建築物の外壁構造では、日射が比較的弱い場合には、多階層間で換気空間を連通した方が、外気の導入部分と排気部分とで上下温度差が生じ易く、換気効率が向上する。尤も、4階層以上連通させると、上層階の換気空間内の温度が高くなる傾向にあり、上層階の温熱環境を悪化させる場合がある。従って、3階層分程度を連通させることが望ましいと言える。一方、冬季のように断熱性を要求される場合には、換気空間内の空気の対流による熱損失を防止する観点から、各階層単位で換気空間の連通を遮断することが望ましい。
【0059】
<他の実施形態>
上述した二重窓ユニットAでは、換気空間にブラインドを設けることもできる。ブラインドを設けることで、例えば、夏季のように日差しが強い場合にはブラインドにより室内に対する日射を規制することで、室内空調設備の負荷軽減を図ることができる。ここで、夏季のように日差しが強い場合には換気空間は外気と連通させることが望ましいことから、換気空間内に気流が生じる。そこで、換気空間内にブラインドを設ける場合には、ブラインドの振れ止め機構を設けておくことが更に好ましい。
【0060】
次に、上述した二重窓ユニットAでは方立部11の側面に通気口11aを設けたが、方立部11の正面に通気口を設けることもできる。この場合、建築物の外壁表面に通気口が露出してしまうが、換気空間に対してその側方から外気を導入し、また、その側方から換気空間内の空気を排気でき、排気のショートサーキットを抑制できる。図7は本発明の他の実施形態に係る二重窓ユニットBの模式図である。二重窓ユニットBは、方立部11'間に室外側のガラス板1'と室内側のガラス板2'とが相互に離間して二重に配置されており、換気空間が形成されている。また、方立部11'の正面に通気口11a'が設けられている。通気口11a'の内側には、上述した開閉機構40のような開閉機構40'が設けられ、通気口11a'を開閉可能に構成している。この二重窓ユニットBの場合、方立部11'の正面から外気を導入し、また、排出可能であるため、左右方向に連続して二重窓ユニットBを配設する場合、二重窓ユニットB間のスリットが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は従来例と比較した、本発明のショートサーキット低減原理の説明図であり、(a)が本発明を、(b)が従来例を示す。
【図2】(a)は本発明の一実施形態に係る二重窓ユニットAの正面図(建築物の外壁表面を形成する面)、(b)は二重窓ユニットAの背面図(室内に露出する面)である。
【図3】二重窓ユニットAの主要な構成を図示した、図2(a)の線XXに沿う断面図であり、二重窓ユニットAを左右方向に連続して設けた場合の連結構造も示す。
【図4】二重窓ユニットAの主要な構成を図示した、図2の線YYに沿う断面図である。
【図5】開閉機構40の動作説明図であり、(a)は通気口11aの閉鎖時の態様を、(b)は通気口11aの開口時の態様を示す。
【図6】(a)及び(b)は二重窓ユニットAを適用した建築物の外壁構造の例を示す模式図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る二重窓ユニットBの模式図である。
【図8】(a)及び(b)は従来の二重窓構造における、空気のショートサーキットの説明図である。
【符号の説明】
【0062】
A 二重窓ユニット
10 主サッシ
11 方立部
11a 通気口
40 開閉機構
41 可動板
42 エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に離間して二重に配置された一対の窓板と、前記一対の窓板を支持するサッシと、を備えた二重窓部を、建築物の外壁面に設けた建築物の外壁構造において、
前記サッシの方立部に、前記一対の窓板間の空隙と外気とを流通させる通気口を備えたことを特徴とする建築物の外壁構造。
【請求項2】
前記通気口が前記方立部の側面に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の外壁構造。
【請求項3】
前記通気口が、
前記方立部の長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物の外壁構造。
【請求項4】
前記通気口を開閉する通気口開閉機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の建築物の外壁構造。
【請求項5】
前記通気口を開閉する通気口開閉機構を備え、
前記通気口が前記方立部の側面に設けられると共に前記方立部の長手方向に沿って複数設けられ、
前記通気口開閉機構が、
前記方立部に沿って平行移動可能に設けられ、複数の前記通気口に対応した複数の孔を有し、当該通気口を開口及び閉鎖する可動板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の外壁構造。
【請求項6】
前記可動板を前記方立部の前記側面よりも前記一対の窓板間の空隙側に設け、
前記可動板を平行移動させる駆動手段を前記可動板よりも更に前記一対の窓板間の空隙側に設け、
前記可動板と前記駆動手段とを前記方立部に収納したことを特徴とする請求項5に記載の建築物の外壁構造。
【請求項7】
更に、
前記可動板に、前記通気口から前記一対の窓板間の空隙への異物の侵入を防止する網戸を設けたことを特徴とする請求項5又は6に記載の建築物の外壁構造。
【請求項8】
前記駆動手段がエアシリンダであることを特徴とする請求項6又は7に記載の建築物の外壁構造。
【請求項9】
前記通気口が前記方立部の側面に設けられると共に前記方立部の長手方向に沿って複数設けられ、
前記二重窓部が所定の間隔をおいて左右方向に連続して複数設けられ、
前記間隔と前記方立部の長手方向の長さとから特定される面積と、前記通気口の総開口面積と、が略一致していることを特徴とする請求項1に記載の建築物の外壁構造。
【請求項10】
前記二重窓構造は、建築物の各階毎に上下方向に連続して複数設けられ、
連続する複数階の各階間において、前記一対の窓板間の空隙が連通していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
【請求項11】
前記複数階毎に、その上下の階間において、前記一対の窓板間の空隙の連通を遮断する遮断板を前記サッシに固定して設けたことを特徴とする請求項10に記載の建築物の外壁構造。
【請求項12】
前記二重窓構造は、建築物の各階毎に上下方向に連続して複数設けられ、
各階間において前記一対の窓板間の空隙が連通しており、
更に、各階毎に、又は、複数階毎に、前記一対の窓板間の空隙の連通を遮断する開閉自在な遮断機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
【請求項13】
前記一対の窓板のうち、室内側の窓板を開閉可能に設けたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
【請求項14】
相互に離間して二重に配置された一対の窓板と、前記一対の窓板を支持するサッシと、を備え、建築物の外壁面に配設される二重窓ユニットにおいて、
前記サッシの方立部に、前記一対の窓板間の空隙と外気とを流通させる通気口を備えたことを特徴とする二重窓ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−2395(P2006−2395A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178508(P2004−178508)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】