説明

弁制御機構

【課題】 アクチュエータを大型化することなく閉弁速度を高めることができる弁制御機構を提供する。
【解決手段】 流体圧を利用してバルブ12を駆動する弁制御機構であって、バルブ12に流体圧を作用させるための制御室32と、制御室32に流体を供給してバルブ12を一方向に作動するための流体供給手段33と、制御室32内の流体圧を開放してバルブ12を他方向に作動するための圧力開放手段55とを備え、圧力開放手段55は、制御室32に連通した開口部64を開閉するためのポペット弁61を備え、ポペット弁61は、開口部64よりも大きなサイズに形成されると共に中央部に貫通穴83が形成されたアウターシート82と、開口部64よりも小さな受圧面を有すると共にアウターシート82に対して所定距離だけ相対移動可能に設けられ、貫通穴83を開閉するインナーシート81とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの動弁機構等の弁制御機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧などの流体圧を利用して弁を開閉する弁制御機構としては、エンジンの吸気弁又は排気弁を開閉駆動するカムレス式動弁機構等が知られている。
【0003】
カムレス式動弁機構は、エンジンの運転状態に応じて排気弁及び/又は吸気弁の開閉時期やリフト量等を細かく制御できるように開発されたものであり、本出願人は先に特許文献1に開示されるような動弁機構を発明した。
【0004】
図6を用いて、カムレス式動弁機構の概略構造を説明する。
【0005】
この動弁機構100は、エンジンの吸気弁又は排気弁をなすバルブ101を流体圧を用いて開閉するものであり、バルブ101の上側に形成され、バルブ101の上面に流体圧を作用させるための制御室102と、その制御室102に高圧流体を供給してバルブ101を開方向(図の下側)に作動するための高圧流体供給手段103と、制御室102内の流体圧を開放するための圧力開放手段104と、バルブ101を閉方向(図の上側)に付勢する付勢手段105とを備える。
【0006】
高圧流体供給手段103は、高圧ポンプ等の高圧流体供給源106と、その高圧流体供給源106と制御室102とを連通する供給通路107を開閉して、制御室102への流体の供給・供給停止を切り換えるための第一作動弁109とを備える。
【0007】
圧力開放手段104は、制御室102に連通した開口部110を開閉して、制御室102からの流体の排出・排出停止を切り換えるための第二作動弁からなる。
【0008】
付勢手段105は、バルブ101に形成された鍔部101aを上方(バルブ101の閉弁方向)に付勢するスプリング112と、鍔部101aを上方に吸引する磁石113とを備える。
【0009】
係る動弁機構100によりバルブ101を開弁する場合、第二作動弁104を閉じた状態で、第一作動弁109のみを所定期間だけ開弁する。これにより、制御室102内に高圧流体供給源106から高圧流体が供給され、その流体圧がバルブ101の上面に作用してそれを押し下げる。その結果、バルブ101がスプリング112及び磁石113の吸引力に対抗して下方に移動し、開弁される。バルブ101は、制御室102内の圧力とスプリング112及び磁石113の付勢力とが釣り合った位置で停止する。この位置がバルブ101の最大リフト位置であり、このときの制御室102内の圧力を平衡圧力と言う。
【0010】
この状態からバルブ101を閉弁する場合、第一作動弁109を閉じた状態で、第二作動弁104のみを開弁する。図から分かるように、第二作動弁104を開くときは、その弁体114を制御室102内の圧力(平衡圧力)に対抗させて(図の右側に)移動させることになる。第二作動弁104が開かれると、制御室102内の流体が開口部110を通じて図示しないリリーフ通路から排出される。この結果、制御室102内の圧力が低下し、スプリング112及び磁石113の付勢力によりバルブ101が上方に移動し、閉弁される。
【0011】
【特許文献1】特開2003−328713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、このような動弁機構100において、吸気弁又は排気弁の制御性を高めるために、バルブ101の閉弁速度(つまり上昇速度)を高めることが要求される場合がある。
【0013】
上述したように、バルブ101を閉弁方向に作動する手段はスプリング112と磁石113であるので、バルブ101の閉弁速度を高めるためには、スプリング112の付勢力(弾性力)を高めるか、磁石113の磁力を高めることが考えられる。しかしながら、バルブ101が開弁状態であるときには、バルブ101の鍔部101aと磁石113との間隔が大きいため、磁石113の磁力はほとんどバルブ101(鍔部101a)に作用せず、閉弁初期は実質的にスプリング112の付勢力のみにより閉弁がなされることになる。従って、実際上はバルブ101の閉弁速度を高めるにはスプリング112の付勢力を高めることが必要となる。
【0014】
ところが、スプリング112の付勢力を高めると、バルブ開弁時の制御室102内の平衡圧力もそれに伴って大きくなるため、従来使用していた第二作動弁104では弁体114を開くことができないという事態が生じる。上述したように、第二作動弁104を開く際には、弁体114を制御室102内の平衡圧力に対抗させて移動する必要があるからである。
【0015】
この結果、第二作動弁104のアクチュエータ115(図例では電磁ソレノイド)の推力を高める必要が生じ、アクチュエータ115の大型化・高コスト化を招いてしまうという問題があった。特に、エンジンの動弁機構では、他の弁の動弁機構やインジェクタとの干渉問題等、レイアウト上の制約が厳しいため、アクチュエータ115を大型化することは現実的に困難な場合が多い。
【0016】
そこで、アクチュエータ115を大型化することなく第二作動弁104を開弁可能とするために、開口部110及び弁体114を小型化して、弁体114の受圧面積を小さくすることが考えられる。こうすれば、弁体114が受ける圧力が小さくなるため、アクチュエータ115を大型化せずとも第二作動弁104(弁体114)を開くことが可能となる。
【0017】
しかしながら、この場合、開口部110の面積が小さくなるため、制御室102から排出される流体の流量・流速が小さく(低く)なり、バルブ101の閉弁速度が低下してしまう。これでは、閉弁速度を高めることを目的としてスプリング112の付勢力を高めたことが無に帰してしまうことになる。
【0018】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、アクチュエータを大型化することなく閉弁速度を高めることができる弁制御機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、流体圧を利用してバルブを駆動する弁制御機構であって、上記バルブに流体圧を作用させるための制御室と、上記制御室に流体を供給して上記バルブを一方向に作動するための流体供給手段と、上記制御室内の流体圧を開放して上記バルブを他方向に作動するための圧力開放手段とを備え、上記圧力開放手段は、上記制御室に連通した開口部を開閉するためのポペット弁を備え、上記ポペット弁は、上記開口部よりも大きなサイズに形成されると共に中央部に貫通穴が形成されたアウターシートと、上記開口部よりも小さな受圧面を有すると共に上記アウターシートに対して所定距離だけ相対移動可能に設けられ、上記貫通穴を開閉するインナーシートとを備えたものである。
【0020】
ここで、上記ポペット弁は、上記開口部に対して上記制御室側から係合することで上記開口部を閉じ、その状態から上記制御室内の圧力に対抗して移動することで上記開口部を開くものであっても良い。
【0021】
また、上記ポペット弁は、上記インナーシートが、上記アウターシートの上記貫通穴を閉鎖した位置から所定距離だけ相対移動したときに、上記アウターシートと上記インナーシートとの間に流体の排出通路を形成する開放機構を備えても良い。
【0022】
また、上記ポペット弁は、上記インナーシートが先端に連結されたステムを備え、上記インナーシートが上記アウターシートの上記貫通穴を閉鎖した状態では上記ステムと上記アウターシートとが所定距離を隔てて対向し、その状態から上記インナーシートが上記アウターシートに対して所定距離だけ相対移動すると上記ステムと上記アウターシートとが当接するものであって、上記開放機構は、上記アウターシート及び/又は上記ステムの対向面に形成された溝を備えても良い。
【0023】
また、上記アウターシートの上記貫通穴は、上記制御室側に位置されたテーパ状のシート部と、そのシート部に連続して形成された直線部とを備え、上記インナーシートは、上記制御室側に位置されたテーパ状のシート部と、そのシート部に連続して形成された直線部とを備え、上記開放機構は、上記インナーシート及び/又は上記アウターシートの上記直線部に形成された溝を備えても良い。
【0024】
また、上記アウターシートと上記インナーシートとが同軸状に配置されても良い。
【0025】
また、上記バルブがエンジンの吸気弁又は排気弁であっても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アクチュエータを大型化することなく閉弁速度を高めることができるという優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る弁制御機構の概略図、図2は図1の弁制御機構を構成する部材の一つである第一作動弁の断面図、図3及び図4は図1の弁制御機構を構成する部材の一つである第二作動弁の断面図、図5は第二作動弁の特徴部分を示す拡大断面図である。
【0029】
本実施形態の弁制御機構は、コモンレール式燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジンにおいて吸気弁又は排気弁を開閉駆動するためのカムレス式動弁機構に適用したものである。
【0030】
まず、図1を用いてコモンレール式燃料噴射装置について説明する。
【0031】
エンジン(内燃機関)の各気筒毎に燃料噴射を実行するインジェクタ1が設けられ、このインジェクタ1には、コモンレール2に貯留されたコモンレール圧Pc(例えば数10〜数100MPa程度)の高圧燃料が常時供給される。燃料タンク3内の燃料は燃料フィルタ4を通じてフィードポンプ5によって吸引された後、高圧ポンプ6に送られる。コモンレール2への燃料圧送は、この高圧ポンプ6によって行われる。フィードポンプ5のフィード圧Pfは、リリーフ弁からなる圧力調整弁7によって調整され、一定に保たれる。フィード圧Pfは常圧よりは大きい(つまり燃料は加圧された状態にある)が、コモンレール圧Pcよりは著しく小さい値で、例えば0.5MPa程度である。
【0032】
図示する装置全体を総括的に制御する制御装置として電子制御ユニット(以下ECUという)8が設けられる。このECU8には、エンジンの運転状態(エンジンのクランク角、回転速度、エンジン負荷等)を検出するセンサ(図示せず)が接続される。ECU8は、これらセンサの検出信号に基づいてエンジン運転状態を把握すると共に、その運転状態に基づいた駆動信号をインジェクタ1の電磁ソレノイド(図示せず)に送ってインジェクタ1を開閉制御する。電磁ソレノイドのON/OFFに応じて燃料噴射が実行・停止される。燃料噴射停止時にはインジェクタ1から常圧程度の燃料がリターン回路9を通じて燃料タンク3に戻される。ECU8は、エンジンの運転状態に基づいて実際のコモンレール圧を目標圧に向けてフィードバック制御する。このため、実際のコモンレール圧を検出するためのコモンレール圧センサ10が設けられる。
【0033】
次に、本実施形態の動弁機構について説明する。
【0034】
エンジンのシリンダヘッド11には、エンジンの吸気弁或いは排気弁をなすバルブ12が昇降自在に支持される。バルブ12は全体的に軸状に形成され、その下端部に傘状の弁体13が設けられる。バルブ12の閉弁時、バルブ12はその弁体13にてシリンダヘッド11のシート部14に着座するようになっている。バルブ12の上端部には、ピストン15が一体的に設けられる。
【0035】
シリンダヘッド11の上端部にはアクチュエータボディ17が固設され、ピストン15はこのアクチュエータボディ17内に軸シールをなしつつ昇降自在に支持される。なお、本実施形態ではバルブ12とピストン15とを一体的に形成したが、両者を別体として構成しても構わない。
【0036】
バルブ12の長手方向中間部には鍔部18が設けられ、この鍔部18とシリンダヘッド11との間にはバルブ12を閉弁方向(図1中の上側)に付勢するバルブスプリング19が圧縮状態で配設される。本実施形態のバルブスプリング19はコイルスプリングからなる。
【0037】
また、アクチュエータボディ17の下端部には鍔部18を上方(つまりバルブ12の閉弁方向)に吸引するための磁石20が埋設され、この磁石20によってもバルブ12が閉弁方向に付勢される。本実施形態の磁石20は、バルブ12を囲繞するリング状の永久磁石からなる。これら、バルブスプリング19と磁石20とにより、バルブ12を閉弁方向に付勢する付勢手段が構成される。
【0038】
特筆すべき点は、本実施形態のバルブスプリング19のセットフォース及び/又はバネ定数が、従来のスプリング112(図6参照)と比較して大きい点にある。これによってバルブ12を閉弁方向に付勢する力が大きくなるため、バルブ12の閉弁速度が高まり、バルブ12の制御性を向上させることができる。
【0039】
アクチュエータボディ17内には、ピストン15の上面に面した制御室(圧力室)32が設けられる。制御室32は、バルブ12を開弁方向(図1中の下方)にリフトするための作動流体が供給されるもので、その底面がピストン15の上面によって区画形成される。
【0040】
本実施形態では、バルブ12を開弁するための作動流体としてエンジンの燃料と共通の軽油が用いられる。制御室32内に高圧の燃料が供給されるとバルブ12がピストン15を介して開弁方向に押され、この押圧力がバルブスプリング19の付勢力及び永久磁石20の吸引力を上回るとバルブ12が開弁(リフト)する。一方、制御室32から燃料が排出される(圧力が開放される)と、バルブ12がバルブスプリング19の付勢力及び永久磁石20の吸引力により閉弁する。つまり、制御室32内に燃料を供給することでバルブ12が開弁し、制御室32内の圧力を開放することでバルブ12が閉弁する。
【0041】
図1及び図2に示すように、制御室32の側方(図1中の左側)には、制御室32への高圧燃料の供給・供給停止を切り換えるための第一作動弁(流体供給手段)33が設けられる。
【0042】
図2に示すように、本実施形態の第一作動弁33は圧力バランス式制御弁からなり、アクチュエータボデイ17の一側に取り付けられたハウジング34と、そのハウジング34内に横方向に摺動自在に配置されたバランス弁35とを有する。バランス弁35の先端部36は半球状に形成されており、この先端部36が制御室32(図1参照)と連通した供給通路42を開閉するシート部として機能する。バランス弁35の先端部36側(図2中の右側)には圧力溜まり37が、バランス弁35の後端部側(図2中の左側)には弁制御室38がそれぞれ区画形成される。これら圧力溜まり37と弁制御室38とは、バランス弁35に形成された連通孔39を介して互いに連通される。
【0043】
圧力溜まり37は外部配管71を介して高圧燃料供給源としてのコモンレール2(図1参照)に接続されており、圧力溜まり37にはコモンレール圧Pcの高圧燃料が常時供給される。
【0044】
弁制御室38内には、バランス弁35を閉弁方向(図2中の右側)に付勢するためのバネ43と、このバネ43を保持するための鍔部44を有する軸状のバネ保持部材45とが配置される。バネ保持部材45の鍔部44には、その左右両端部を連通するための連通溝46が形成されている。本実施形態のバネ43はコイルスプリングからなり、バランス弁35とバネ保持部材45の鍔部44との間に圧縮状態で配設される。
【0045】
弁制御室38は、オリフィス47を介してリターン通路9に連通される。オリフィス47の側方にはこれを開閉する開閉弁としてのアーマチュア48が横方向に移動自在に設けられる。アーマチュア48の背面側には、アーマチュア48を開弁方向(図2中の左側)に移動するための電気アクチュエータとしての電磁ソレノイド49と、アーマチュア48を閉弁方向(図2中の右側)に付勢するためのアーマチュアスプリング50と、このアーマチュアスプリング50を保持するための鍔部51を有する軸状のアーマチュアスプリング保持部材52とが設けられる。アーマチュアスプリング保持部材52には、弁制御室38とリターン通路9とを連通するための連通孔(図示せず)が形成される。本実施形態のアーマチュアスプリング50はコイルスプリングからなり、アーマチュア48とアーマチュアスプリング保持部材52の鍔部51との間に圧縮状態で配設される。電磁ソレノイド49はECU8(図1参照)に接続され、ECU8から与えられる駆動信号によりON/OFF制御される。
【0046】
電磁ソレノイド49がOFF(非通電)のときは、図2(a)に示すように、アーマチュアスプリング50の付勢力によりアーマチュア48が閉弁方向に付勢され、オリフィス47が閉じられる。このとき、圧力溜まり37に供給された燃料の一部は、圧力溜まり37内に留まってバランス弁35を開弁方向に付勢し、残りの燃料は連通孔39を通って弁制御室38内に移動してバランス弁35を閉弁方向に付勢する。ここで、バランス弁35の後端側の受圧面35aの面積が、先端側の受圧面35bの面積よりも大きいため、高圧燃料による閉弁方向への付勢力の方が開弁方向への付勢力よりも大きくなる。この高圧燃料による付勢力とバネ43の付勢力とによりバランス弁35が閉方向に付勢され、供給通路42が閉じられる。
【0047】
一方、電磁ソレノイド49がON(通電)となると、図2(b)に示すように、アーマチュア48がアーマチュアスプリング50の付勢力に対抗して開弁方向に移動し、オリフィス47が開かれる。こうなると、弁制御室38内に供給された高圧燃料がオリフィス47を通じてリターン通路9へと排出され、バランス弁35を閉弁方向へと付勢する力が低減する。この結果、バランス弁35を開弁方向に付勢する力が閉弁方向に付勢する力よりも大きくなり、バランス弁35がバネ43の付勢力に対抗して開弁方向に移動し、供給通路42が開かれる。これによって、コモンレール2が供給通路42を介して制御室32に連通され、高圧燃料が制御室32へ瞬時に勢いよく供給される。
【0048】
図1及び図3に示すように、制御室32の上方には、制御室32への低圧燃料の供給・供給停止及び制御室32からの高圧燃料の排出・排出停止を切り換えるための第二作動弁(圧力開放手段)55が設けられる。
【0049】
図3に示すように、アクチュエータボデイ17には制御室32と連通した供給通路56が形成されており、第二作動弁55はこの供給通路56と制御室32との接続部に形成された開口部64を開閉する。供給通路56は、外部配管72を介して低圧作動流体供給源としての低圧室57(図1参照)に接続される。低圧室57は、圧力調整弁7の上流側且つ高圧ポンプ6の上流側のフィード通路58(図1参照)に接続され、フィード通路58からフィード圧Pfの低圧燃料が常時導入、貯留される。
【0050】
図3に示すように、第二作動弁55は、供給通路56内に配置された有底二重円筒状のバルブ保持部材59を備える。このバルブ保持部材59はその底部を制御室32側に向けて配置され、底部には、その上下端部を連通するオリフィス孔60が設けられる。バルブ保持部材59の中央部には、弁体(ポペット弁)61が昇降自在に配置される。
【0051】
ポペット弁61は全体として軸状に形成され、その下端部には傘弁部62が、上端部には鍔部63が設けられる。傘弁部62は制御室32内に配置され、制御室32に連通した開口部64に対して制御室32側から係合することで開口部64を閉じるようになっている。より詳しくは、傘弁部62の上端が、開口部64の縁部をなすテーパ状のシート部64aに着座することで開口部64が閉じられ、傘弁部62が制御室32内の圧力に対抗してシート部64aから離れることで開口部64が開かれるようになっている。
【0052】
さて、本実施形態の動弁機構の特徴は、このポペット弁61の構造にあるので、以下、ポペット弁61の具体的な構造を図3及び図5を用いて説明する。
【0053】
図に示すように、本実施形態のポペット弁61は、その傘弁部62が二重弁構造となっており、上端部に上記鍔部63が形成された円柱状のステム80と、そのステム80の下端に連結されたインナーシート81と、インナーシート81の外周に摺動可能に嵌合されたアウターシート82とを備える。
【0054】
アウターシート82は、開口部64よりも大きなサイズに形成され、シート部64aと係合してそれを閉鎖できるようになっている。アウターシート82の上部にはシート部64aと線接触又は面接触するためのテーパ状のシート部82aが設けられる。また、アウターシート82の中央部には上下方向に延出する貫通穴83が形成される。貫通穴83は、開口部64の開口面積よりも小さな開口面積を有し、その内部にインナーシート81が配置される。貫通穴83はアウターシート82の中心に形成されており、アウターシート82とインナーシート81とは互いに同軸状に配置される。
【0055】
アウターシート82の貫通穴83は、制御室32側に位置したテーパ状のシート部83aと、そのシート部83aの上側に連続して形成された直線部83bとを備える。
【0056】
インナーシート81はアウターシート82の貫通穴83を開閉するためのものであり、制御室32側に位置し、アウターシート82のシート部83aとほぼ同じ角度で傾斜したテーパ状のシート部81aと、そのシート部81aの上側に連続して形成され、アウターシート82の直線部とほぼ同じ外径を有する円柱状の直線部81bとを備える。シート部81aは、その下面(受圧面)の面積が開口部64の開口面積よりも小さく形成される。直線部81bは、アウターシート82の貫通穴83を通って上方に延出し、その上端部がステム80の下端に形成された円穴80a内に挿入・連結される。
【0057】
ステム80は、インナーシート81の直線部81bよりも大径に形成され、その下端面がアウターシート82の上面と対向する。図5(a)から分かるように、インナーシート81のシート部81aがアウターシート82のシート部83aに着座して貫通穴83を閉鎖している状態では、ステム80の下端面(先端)とアウターシート82の上面との間に所定のクリアランスC(距離)が形成される。従って、ステム80及びインナーシート81とアウターシート82とは、このクリアランスC分だけポペット弁61の軸方向(図5中の上下方向)に相対移動することができる。
【0058】
本実施形態のポペット弁61は更に、ステム80及びインナーシート81がアウターシート82に対してクリアランスC分だけ相対移動して、ステム80の下端がアウターシート82の上端と係合したときに、アウターシート82とインナーシート81との間に流体の排出通路87(図5(b)参照)を形成するための開放機構を備えている。
【0059】
本実施形態では、開放機構はインナーシート81の直線部81bの外面に、その長手方向(図5中の上下方向)に沿って形成された第一溝85と、アウターシート82の上面(ステム80との対向面)に、その径方向(図5中の左右方向)に沿って形成された第二溝86とで構成される。図5(b)に示すように、インナーシート81が、アウターシート82に対して上記クリアランスC分だけ下方に移動すると、インナーシート81のシート部81aとアウターシート82のシート部83aとの間、インナーシート81の第一溝85とアウターシート82の直線部83bとの間、アウターシート82の第二溝86とステム80の下面との間に隙間がそれぞれ形成され、これら隙間により一連の排出通路87が形成される。
【0060】
なお、第一及び第二溝85,86は、インナーシート81及びアウターシート82に各々一つずつ形成しても良いし、周方向に沿って複数形成しても良い。いずれの場合であっても、排出通路87を形成するためには、第一溝85と第二溝86を形成する位置を周方向において一致させる必要がある。
【0061】
さて、図3に戻り、第二作動弁55のバルブ保持部材59内には第一リターンスプリング65が設けられる。本実施形態の第一リターンスプリング65はコイルスプリングからなる。第一リターンスプリング65はセットフォース及びバネ定数が比較的小さく、ポペット弁61の鍔部63とバルブ保持部材59との間に圧縮状態で配設される。この第一リターンスプリング65により、ポペット弁61が閉弁方向(図3中の上側)に常時付勢される。
【0062】
第二作動弁55を強制的に開弁するための電気アクチュエータ66が設けられる。本実施形態では、電気アクチュエータ66は、ポペット弁61の上方に同軸状に配置され、上端部にアーマチュア67aが取り付けられたロッド67と、そのロッド67の外周に配置された電磁ソレノイド89とを備える。電磁ソレノイド89はECU8(図1参照)に接続され、ECU8から与えられる駆動信号によりON/OFF制御される。
【0063】
電気アクチュエータ66のロッド67の下端部には有底円筒状のスプリングシート68がその底部をロッド67側に位置させて取り付けられる。このスプリングシート68とバルブ保持部材59との間に第二リターンスプリング69が設けられる。本実施形態の第二リターンスプリング69はコイルスプリングからなり、そのセットフォース及びバネ定数は上述した第一リターンスプリング65よりも大きい。第二リターンスプリング69は、スプリングシート68とバルブ保持部材59との間に圧縮状態で配設され、スプリングシート68及びロッド67を上方(ポペット弁61の閉弁方向)に常時付勢する。
【0064】
電磁ソレノイド89がOFF(非通電)であるときは、第一リターンスプリング65の付勢力により、インナーシート81のシート部81aがアウターシート82の貫通穴83のシート部83aに着座すると共に、ポペット弁61のアウターシート82上部に形成されたシート部82aが開口部64の縁部をなすシート部64aに着座し、開口部64が閉鎖される(図3及び図5(a)参照)。
【0065】
一方、電磁ソレノイド89がON(通電)されると、アーマチュア67aが電磁ソレノイド89に引き付けられ、ロッド67及びスプリングシート68が下方に移動する。この結果、スプリングシート68がポペット弁61と係合し、ポペット弁61が強制的に押し下げられて、開口部64が開かれる(図4(b)参照)。
【0066】
特筆すべき点は、本実施形態では電気アクチュエータ66として、従来用いていたアクチュエータ115(図6参照)と同等の推力を発揮するものを用いる点にある。つまり、本実施形態の動弁機構では、バルブスプリング19(図1参照)の付勢力を高めてバルブ12の閉弁速度を高めつつも、第二作動弁55のアクチュエータ66の推力を従来と同等に維持することができるのだが、その理由については後程説明する。
【0067】
図1及び図3に示すように、アクチュエータボデイ17に形成された供給通路56には、電気アクチュエータ66内を介して第三作動弁70が接続される。本実施形態の第三作動弁70は機械式逆止弁からなる。第三作動弁70は、その入口側が供給通路56に接続され、出口側がフィード通路58に接続される。第三作動弁70は入口側と出口側との圧力差に基づいて開閉するものであり、入口側の圧力が出口側の圧力よりも所定圧力だけ高くなったときのみ開弁する。
【0068】
ここで、第三作動弁70の開弁圧力は、フィード圧Pfより若干高く、コモンレール圧Pcよりは著しく低い値に設定される。従って、第三作動弁70の入口側に低圧燃料が作用しても第三作動弁70は開弁しないが、第三作動弁70の入口側に高圧燃料が作用すると第三作動弁70は直ちに開弁する。
【0069】
以上が本実施形態の動弁機構の概略構成であり、これと同じ構成の動弁機構がエンジンの各気筒の吸気弁及び排気弁にそれぞれ設けられることになる。
【0070】
次に、本実施形態の動弁機構の作用を説明する。
【0071】
まず、バルブ12を開弁するときには、第二作動弁55の電磁ソレノイド89をOFF(非通電)として第二作動弁55を閉に保持した状態で、第一作動弁33の電磁ソレノイド49を所定期間だけON(通電)して第一作動弁33を所定期間だけ開く。すると、コモンレール2からの高圧燃料が供給通路42を通って制御室32へと供給され、この高圧燃料がバルブピストン15の上面(受圧面)に作用し、バルブ12に初期エネルギが与えられる。このエネルギにより、バルブ12はバルブスプリング19の付勢力及び磁石20の吸引力が作用する条件下で慣性運動し下方にリフトされる。このバルブ12の慣性運動の過程で制御室32の容積が次第に増加すると、制御室32の圧力が供給通路56の圧力(つまり低圧室57の圧力)よりも低くなる。
【0072】
そして、制御室32と供給通路56との圧力差が第一リターンスプリング65の付勢力よりも大きくなると、図4(a)に示すように、第二作動弁55のポペット弁61が開弁側(図4中の下側)に移動し、第二作動弁55(開口部64)が開となる。これにより、低圧室57内の低圧燃料が供給通路56を介して制御室32に導入され、制御室32の容積増加による圧力低下が抑制・防止される。
【0073】
バルブ12のリフト量が最大リフト量に達すると、制御室32と供給通路56との圧力差がなくなり、第一リターンスプリング65の付勢力によって第二作動弁55が閉となる。そして、バルブスプリング19の付勢力及び磁石20の吸引力と制御室32内の圧力とが釣り合った位置でバルブ12が停止する。このときの制御室32内の圧力が平衡圧力である。
【0074】
上述したように、本実施形態の動弁機構では、バルブスプリング19の付勢力が従来よりも高いので、制御室32の平衡圧力は従来よりも大きくなる。なお、バルブ12のリフト量が最大リフト量に達した状態では、バルブ12の鍔部18と磁石20との間隔が大きく、磁石20の吸引力がバルブ12(鍔部18)にほとんど作用しないので、バルブ12を閉弁方向に付勢する力は実質上バルブスプリング19の付勢力のみとなる。
【0075】
次に、バルブ12を閉弁するときには、第一作動弁33を閉に保持した状態で、第二作動弁55を開いて制御室32内の燃料圧力を開放するのであるが、制御室32の平衡圧力が従来より高いにもかかわらず、第二作動弁55の推力が従来と同等であるので、ポペット弁61全体をいきなり開とすることはできない。しかしながら、本実施形態のポペット弁61は二重弁構造であり、図5(a)に示すようにポペット弁61が閉じられた状態では、ステム80とアウターシート82との間に所定のクリアランスCが形成されるため、第二作動弁55の電磁ソレノイド89がON(通電)された当初は、その推力がステム80を介してインナーシート81にのみ伝達される。ここで、インナーシート81は、その受圧面積(下面の面積)が開口部64の面積よりも小さく、制御室32から受ける圧力が小さいので、従来と同等の推力でも制御室32内の圧力に対抗して移動することができる。
【0076】
従って、第二作動弁55の電磁ソレノイド89がON(通電)されると、インナーシート81及びステム80がアウターシート82に対して下方に相対移動し、制御室32内の圧力が開放される。インナーシート81がアウターシート82に対して所定距離Cだけ相対移動すると、図5(b)に示すように、ステム80の下面がアウターシート82の上面に当接する。これによって、電磁アクチュエータ66の推力がアウターシート82にも伝達されることになるが、当接当初は制御室32内の圧力が依然として高いため、アウターシート82を制御室32内の圧力に対抗して移動させることができず、ポペット弁61はその位置で一時的に停止する。
【0077】
このとき、図5(b)に示すように、インナーシート81とアウターシート82との間に燃料の排出通路87が形成されるため、制御室32内の燃料がこの排出通路87を通って供給通路56へと流れ、第三作動弁70(図1参照)を押し開いてフィード通路58に排出される。これにより、制御室32内の圧力が徐々に低下していく。
【0078】
制御室32内の圧力が所定圧まで低減すると、電磁アクチュエータ66の推力によりアウターシート82を移動させることが可能となり、図5(c)及び図4(b)に示すように、インナーシート81とアウターシート82とが一体的に移動して開口部64が開となる。こうなると、制御室32の高圧燃料が開口部64、供給通路56を経て第三作動弁70の入口側に至り、第三作動弁70を押し開いてフィード通路58に排出される。
【0079】
この結果、制御室32の圧力が著しく下がるため、バルブ12がバルブスプリング19の付勢力及び磁石20の吸引力により閉弁方向に移動される。
【0080】
このように、本実施形態の動弁機構によれば、ポペット弁61を二重弁構造とし、インナーシート81の受圧面積を開口部64の開口面積よりも小さくしているので、電磁アクチュエータ66の推力を小さくしても第二作動弁55を開くことができる。従って、電磁アクチュエータ66の小型化・低コスト化が図れる。
【0081】
また、制御室32内の圧力が所定圧まで低減した後は、アウターシート82をも移動させて開口部64全体を開くことができるので、制御室32から排出される燃料の流量・流速を充分に大きく(速く)することができ、バルブ12の閉弁速度を高めることができる。
【0082】
従って、本実施形態の動弁機構によれば電磁アクチュエータ66を大型化することなくバルブ12の閉弁速度を高めることができ、バルブ12の制御性を高めることができる。
【0083】
ところで、第二作動弁55のポペット弁61の傘弁62を供給通路56内に配置して、開口部64に対して供給通路56側から係合するようにすれば、ポペット弁61を開くときに制御室32内の圧力に対抗させる必要がなくなるので、上述した問題は生じないと考えられる。しかしながら、上記のように、ポペット弁61に逆止弁としての機能を持たせて、バルブ開弁時の制御室32の容積増加に伴う圧力低下を補うようにするためには、ポペット弁61の傘弁62を制御室32側に配置せざるを得ない。つまり、バルブ12の開弁性を向上させるためには、傘弁62は制御室32内に配置せざるを得ないのである。
【0084】
本発明は以上説明した実施形態に限定はされない。
【0085】
例えば、上記実施形態では燃料の排出通路87を形成するための開放機構として、インナーシート81の直線部81bに溝85を形成するとしたが、この溝はアウターシート82の直線部83bの内面に形成しても良いし、インナーシート81及びアウターシート82双方に形成しても良い。また、インナーシート81の直線部81bの径をアウターシート82の直線部83bの径よりも小さくして両者の間に予め若干の隙間を設けておけば、溝85を省略することもできる。
【0086】
また、上記実施形態では開放機構を構成する溝86をアウターシート82の上面に形成するとしたが、これと同じ機能を果たす溝をステム80の下面(先端)に形成しても良いし、アウターシート82及びステム80双方に形成しても良い。
【0087】
また、上記実施形態では第一作動弁33及び第二作動弁55のアクチュエータとして電磁ソレノイドを用いたが、本発明はこの点において限定されず、磁歪素子を用いるタイプや、油圧を用いるもの等、他の様々なアクチュエータを適用することができる。
【0088】
また、上記実施形態では作動流体をエンジンの燃料(軽油)としたが、本発明はこの点において限定されず、油等、他の流体を作動流体として用いても良い。
【0089】
また、上記実施形態では高圧燃料をコモンレール圧Pcの燃料とし、低圧燃料をフィード圧Pfの燃料としたが、他の装置により高圧燃料と低圧燃料とを別途作るようにしても良い。但し、コモンレールディーゼルエンジンの場合は元々高圧燃料と低圧燃料とが作られているので、上記実施形態のようにそれらを利用する方が構成がシンプル、低コストとなるため望ましい。
【0090】
また、上記実施形態ではバルブ12を閉弁方向に付勢するためにバルブスプリング19及び磁石20を併用したが、バルブスプリング19のみとしても良い。
【0091】
また、本発明の弁制御機構が適用されるエンジンはコモンレールディーゼルエンジンに限らず、通常の噴射ポンプ式ディーゼルエンジン或いはガソリンエンジン等であっても良い。更に言えば、本発明はエンジンの動弁機構に限定されず、制御室に流体を供給することでバルブを一方向に作動し、制御室内の流体圧を開放することでバルブを他方向に作動するタイプであれば他の弁制御機構にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係る弁制御機構(動弁機構)の概略図である。
【図2】第一作動弁の断面図である。
【図3】第二作動弁の断面図である。
【図4】第二作動弁の作用を説明するための断面図である。
【図5】第二作動弁の部分拡大断面図である。
【図6】動弁機構の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0093】
12 バルブ
32 制御室
33 第一作動弁(流体供給手段)
55 第二作動弁(圧力開放手段)
61 ポペット弁
64 開口部
80 ステム
81 インナーシート
81a シート部
81b 直線部
82 アウターシート
83 貫通穴
83a シート部
83b 直線部
85 第一溝(開放機構)
86 第二溝(開放機構)
87 流体排出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧を利用してバルブを駆動する弁制御機構であって、上記バルブに流体圧を作用させるための制御室と、上記制御室に流体を供給して上記バルブを一方向に作動するための流体供給手段と、上記制御室内の流体圧を開放して上記バルブを他方向に作動するための圧力開放手段とを備え、
上記圧力開放手段は、上記制御室に連通した開口部を開閉するためのポペット弁を備え、
上記ポペット弁は、上記開口部よりも大きなサイズに形成されると共に中央部に貫通穴が形成されたアウターシートと、上記開口部よりも小さな受圧面を有すると共に上記アウターシートに対して所定距離だけ相対移動可能に設けられ、上記貫通穴を開閉するインナーシートとを備えたことを特徴とする弁制御機構。
【請求項2】
上記ポペット弁は、上記開口部に対して上記制御室側から係合することで上記開口部を閉じ、その状態から上記制御室内の圧力に対抗して移動することで上記開口部を開くものである請求項1記載の弁制御機構。
【請求項3】
上記ポペット弁は、上記インナーシートが、上記アウターシートの上記貫通穴を閉鎖した位置から所定距離だけ相対移動したときに、上記アウターシートと上記インナーシートとの間に流体の排出通路を形成する開放機構を備える請求項1又は2記載の弁制御機構。
【請求項4】
上記ポペット弁は、上記インナーシートが先端に連結されたステムを備え、上記インナーシートが上記アウターシートの上記貫通穴を閉鎖した状態では上記ステムと上記アウターシートとが所定距離を隔てて対向し、その状態から上記インナーシートが上記アウターシートに対して所定距離だけ相対移動すると上記ステムと上記アウターシートとが当接するものであって、
上記開放機構は、上記アウターシート及び/又は上記ステムの対向面に形成された溝を備える請求項3記載の弁制御機構。
【請求項5】
上記アウターシートの上記貫通穴は、上記制御室側に位置されたテーパ状のシート部と、そのシート部に連続して形成された直線部とを備え、
上記インナーシートは、上記制御室側に位置されたテーパ状のシート部と、そのシート部に連続して形成された直線部とを備え、
上記開放機構は、上記インナーシート及び/又は上記アウターシートの上記直線部に形成された溝を備える請求項3又は4記載の弁制御機構。
【請求項6】
上記アウターシートと上記インナーシートとが同軸状に配置される請求項1〜5いずれかに記載の弁制御機構。
【請求項7】
上記バルブがエンジンの吸気弁又は排気弁である請求項1〜6いずれかに記載の弁制御機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−152873(P2006−152873A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342467(P2004−342467)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】