説明

引抜作業機

【課題】比較的軽い力で補助輪等を上方に浮かせて旋回できる引抜作業機を提供することである。
【解決手段】機体上に圃場に植生する作物を引き抜き収穫するための引抜搬送装置51と、作物の茎葉のカッター64を備え、機体に基部を回動自在に装着して上下動自在に設けた左右チェーンケース17の前部と中間部に各々駆動輪27,26を設け、ケース17の後部に左右補助輪32を上下位置調節自在に設けた引抜作業機であり、補助輪32を下方回動させて接地させることによって機体の水平が保持されるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を安定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に畝等の起伏があっても適切に走行して引抜作業をする引抜作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引抜作業機としては、特許文献1に示されるように、圃場を走行しながら地上に伸びる生姜等の茎葉を掴んで引き抜き、地中の収穫部分を地上に引き上げる引抜作業機がある。
【0003】
上記引抜作業機は、圃場に生育している作物を収穫するための搬送装置を装備すると共に、後部に操縦ハンドルを設けた車体フレームに、前輪と後輪と補助輪を前側からこの順番に配置して走行機体を構成し、補助輪は、基部を車体フレーム側に枢着したスイングケースの先端部に軸架して、後輪に対して上下回動自由で且つ上下方向の位置をロック装置によってロックできる構成とし、補助輪は、操縦ハンドルを押し下げることによって後輪の接地位置を支点にして車体フレームを後下がりの傾斜姿勢にすると、スイングケースと一体に操縦ハンドルに接近する方向に回動して、後輪よりも上動した位置でロック装置によってロックされる構成からなる。
【特許文献1】特開2007−089503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される引抜作業機は、旋回時には操作ハンドルを押し下げて後輪の接地位置を支点として車体フレームを後下がりの傾斜姿勢にして、補助輪を操作ハンドルに接近した位置に保つ。このとき補助輪をロック装置によりロックしておけば、補助輪を上方に移動させたまま旋回できる。しかし、旋回時に補助輪を上方に移動させる時に大きな力が必要であるので、もっと軽い力で補助輪などの機体を浮かせて旋回できることが求められている。
【0005】
本発明の課題は、比較的軽い力で補助輪等を上方に浮かせて旋回できる引抜作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
請求項1記載の発明は、作物を挟持して引き抜き機体後方へと搬送する引抜搬送装置(51)と、作物の茎葉を切断する切断装置(64)と、機体を操作する操縦部(B)と、左右前駆動輪(27,27)及び左右後駆動輪(26,26)を駆動させる機体上下方向に回動自在な左右伝動ケース(17,17)を備えた引抜作業機において、左右伝動ケース(17,17)の後部に設けた左右支持部材(28,28)と、左右支持部材(28,28)の下部に設けた機体上下方向に回動自在な左右補助輪機枠(30,30)と、該左右補助輪機枠(30,30)に設けた左右補助輪(32,32)と、左右支持部材(28,28)の上部と左右補助輪機枠(30,30)との間に設けた伸縮及び回動自在な左右ロックアーム(29,29)と、左右ロックアーム(29,29)に設けた切欠溝(29a1〜29b2)と左右ロック部材(31,31)を有するロック機構(R,R)と、操縦部(B)の下部に機体上下方向に回動自在に設けた左右補助輪上下用ハンドル(100,100)と、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)の回動支点と左右補助輪機枠(30,30)との間に設けた左右リンクアーム(33,33)と、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)に設けた左右補助輪上下用レバー(101,101)と、左右補助輪上下用レバー(101,101)と左右ロック機構(R,R)との間に設けた左右連係部材(102,102)とを備えた引抜作業機である。
【0007】
従って、左右補助輪(32,32)が非接地状態のとき、左右補助輪上下用レバー(101,101)を引くとロック機構(R)の左右ロック部材(31,31)が左右連係部材(102,102)によって引っ張られ、該左右ロック部材(31,31)が切欠溝(29a1,29b2)から離間して左右ロック機構(R,R)のロック状態を解除するので、左右補助輪(32,32)を少ない労力で接地させることができる。
【0008】
また、左右補助輪(32,32)が接地状態のとき、左右補助輪上下用レバー(101,101)を引きながら左右補助輪上下用ハンドル(100,100)を下方回動させると、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)の回動支点に取り付けられた左右リンクアーム(33,33)が左右連係部材(102,102)に引っ張られて左右ロックアーム(31,31)と左右補助輪機枠(30,30)とを上昇させるので、左右補助輪(32,32)を少ない労力で非接地状態にすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)の間に連結片(104)と連結部材(105)とを備えた請求項1記載の引抜作業機である。
従って、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)を左右連結機枠100a,100bを介して連結片(104)と連結部材(105)で連結することによって、左右補助輪(32,32)の上下位置を左右同時に切り替えることができる。
また、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)を連結させる連結片(104)と連結部材(105)とを外すと、左右補助輪(32,32)を各々独立して上下動させることができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、引抜搬送装置(51)と機体左右一側の伝動ケース(17)との間で、且つ引抜搬送装置(51)の搬送終端部よりも前方に第1伸縮部材(36a)を設け、第1伸縮部材(36a)の操作部材(36d)を操縦部(B)に配置し、引抜搬送装置(51)と機体左右他側の伝動ケース(17)との間で、且つ引抜搬送装置(51)の搬送終端部よりも前方に第2伸縮部材(36b)を設け、該第2伸縮部材(36b)の上部に第2伸縮部材(36b)を伸縮させる調節部材(36c)を配置した請求項1記載の引抜作業機である。
【0011】
従って、引抜搬送装置(51)と機体左右一側の伝動ケース(17)との間に第1伸縮部材(36a)(操縦部(B)に設けた操作部材(36d)の操作により伸縮する)を設けたことによって、作業条件に合わせて機体左右一側の伝動ケース(17)を上下動させて機体の作業姿勢を略水平となるように調節することができる。
【0012】
また、機体を操縦中に作業条件が変化しても、作業者は機体を操縦しながら操作部材(36d)を操作して機体左右一側の伝動ケース(17)を上下動させて機体を作業条件に合わせることができる。
【0013】
さらに、引抜搬送装置(51)と機体左右他側の伝動ケース(17)との間に第2伸縮部材(36b)を設けると共に、第2伸縮部材(36b)の上部に該第2伸縮部材(36b)を伸縮させる調節部材(36c)を設けたことによって、機体左右一側の伝動ケース(17)の上下動に加えて機体左右他側の伝動ケース(17)を別個に上下動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、左右補助輪(32,32)が非接地状態のとき、左右補助輪上下用レバー(101,101)を引いて左右ロック機構(R,R)のロック状態を解除することによって、左右補助輪(32,32)を少ない労力で接地させることができるので、作業者の労力が軽減される。
【0015】
また、左右補助輪(30,30)が接地状態のとき、左右補助輪上下用レバー(101,101)を引きながら左右補助輪上下用ハンドル(100,100)を下方回動させて左右補助輪機枠(30,30)を上昇させることによって、左右補助輪(32,32)を少ない労力で非接地状態にすることができるので、作業者の労力が軽減される。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、左右補助輪上下用ハンドル(100,100)を連結片(104)と連結部材(105)とで連結することによって、左右補助輪(32,32)の上下位置を左右同時に切り替えることができ、圃場に凹凸が多いとき等には左右補助輪(32,32)を降ろして6輪で走行することにより機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を安定させることができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0017】
また、旋回時に左右補助輪(32,32)を同時に上げることによって、容易に機体を旋回体勢にすることができるので、旋回動作をスムーズに行うことができると共に、圃場の端近くまで左右補助輪(32,32)を接地させておくことができるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢が安定し、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0018】
さらに、左右ハンドル(100,100)を連結させる連結片(104)と連結部材(105)とを外すと左右補助輪(32,32)を各々独立して上下動させることができるので、機体の左右一側が畝溝を走行する場合でも、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を略水平に保つことができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、作業条件に合わせて操作部材(36d)を操作して第1伸縮部材(36a)を伸縮させることによって、機体左右一側の伝動ケース(17)を上下動させて機体の作業姿勢を略水平となるように調節することができるので、機体の左右一側が畝溝を走行する場合でも、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を略水平に保つことができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0020】
また、機体を操縦中に作業条件が変化しても、作業者は機体を操縦しながら操作部材(36d)を操作して機体左右一側の伝動ケース(17)を上下動させて機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を略水平に保つことができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0021】
さらに、第1伸縮部材(36a)の伸縮に加えて、調節部材(36c)を操作して第2伸縮部材(36b)を伸縮させることによって、機体左右一側の伝動ケース(17)の上下動に加えて機体左右他側の伝動ケース(17)を別個に上下動させることができるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を略水平に保つことができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、一実施例として生姜の引抜作業を行う引抜作業機を説明する。
本実施例の引抜作業機の全体の側面図を図1に示し、図2に引抜作業機の全体平面図を示す。引抜作業機は、作動部に動力を供給する動力部Aと、機体の走行や旋回を操作する操縦部Bと、機体を走行させる走行部Cと、圃場に植生する生姜の茎葉を挟持して引き抜く引抜搬送部Dと、引き抜いた茎葉を圃場に排出する排葉部Eとから構成される。
以下、各部の詳細を具体的に記載する。なお機体前進方向を前、後進方向を後といい、機体正面視における左、右方向をそれぞれ左、右という。
【0023】
まず、動力部Aの構成について説明する。
機体後端部に設けるエンジン1の上に燃料タンク2を取り付け、該エンジン1の出力軸3にてミッションケース4に動力を伝達する。また、該ミッションケース4の左右出力軸4a,4aを機体外側方向に延出すると共に、前部駆動軸4cを機体前方に向けて延出させる。そして、該前部駆動軸4cの先端に第1ベベルギア5aを取り付け、該第1ベベルギア5aと第2ベベルギア5bを噛合させる。さらに、該第2ベベルギア5bはシャフト6に一体回転するように設けられている。また、該シャフト6の左右両端に左右第3ベベルギア5c,5cを取り付け、該左右第3ベベルギア5c,5cに、左右シャフト7,7に一体回転するように設けられている左右第4ベベルギア5d,5dを咬合させる。そして、左右第3ベベルギア5c,5c及び左右第4ベベルギア5d,5dを内装するベベルケース5は、ミッションケース4の前方に取り付けられている。さらに、前記左右シャフト7,7に左右駆動スプロケット9,9を取り付けて、該左右駆動スプロケット9,9をメインフレーム8の後端部に配置する。
【0024】
そして、左右回転軸63、63に取り付けられた左右第1従動スプロケット10,10を、メインフレーム8の略中央に配置する。また、前記左右駆動スプロケット9,9と第1従動スプロケット10,10との間に、左右第2従動スプロケット11,11を、後述する引抜搬送部Dの左右駆動回転軸40,40の下端部に装着して配置する。そして、該左右駆動スプロケット9,9と左右第1従動スプロケット10,10と左右第2駆動スプロケット11,11との間に左右チェーン12,12を巻き掛ける。
【0025】
上記のように、機体後側にエンジン1やミッションケース4等の重い部材が設けられていることによって、重心が機体後側となるため、茎葉が後述の引抜搬送部Dに詰まるなどして、茎葉の引き抜きを行う機体前側に過重がかかっても機体が前傾しにくくなるので、作業性が向上すると共に、作業の安全性を向上させることができる。
【0026】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
前記メインフレーム8の後端部に左右操縦ハンドル13,13を取り付けると共に、メインフレーム8の後部から後上り傾斜姿勢に、該左右操縦ハンドル13,13や前記動力部Aのミッションケース3やベベルケース5を覆うカバー14を設ける。そして、機体の走行と停止を切り換える走行クラッチレバー15と、挟持引抜搬送装置Dの駆動を入切する作業クラッチレバー16をミッションケース4に取り付ける。また、後述する走行部Cの左右チェーンケース17,17への動力伝達を入切する左右サイドクラッチレバー18,18を、左右操縦ハンドル13,13の下部に取り付ける。
【0027】
次に、走行部Cの構成について説明する。
左右チェーンケース17,17は、機体下方に向けて延伸される途中で屈曲し、機体前後方向に延伸された形状をしており、その上端内部に該左右チェーンケース17,17の回動支点Pとなる左右出力軸4a,4aに取り付けた左右駆動ギア20a,20aを備える。そして、該左右駆動ギア20a,20aの直下に左右駆動ギア20a,20aに噛合する回転軸に軸着された左右従動ギア20b,20bを取り付けると共に、該左右従動ギア20b,20bを軸着する回転軸に左右駆動スプロケット21,21を軸着する(図2ではギア20a,20aは前後にずらして図示した。)。
【0028】
また、左右チェーンケース17,17の屈曲部に、回転自在に装着した左右第1従動スプロケット22,22を前記回動支点Pよりも機体前側に取り付け、左右チェーンケース17,17の先端部に、回転自在に装着した第2従動スプロケット23,23を取り付ける。さらに、左右第1従動スプロケット22,22の上方に左右テンションスプロケット24,24を回転自在に取り付け、左右駆動スプロケット21,21と、左右第1従動スプロケット22,22と、左右第2従動スプロケット23,23と、左右テンションスプロケット24,24との間に各々左右チェーン25,25を巻き掛ける。そして、前記左右第1従動スプロケット22,22に設けた左右後車軸26a,26aに左右後駆動輪26,26を装着すると共に、左右第2従動スプロケット23,23を設けた左右前車軸27a,27aに左右前駆動輪27,27を装着する。
【0029】
また、前記左右チェーンケース17,17の後部に左右プレート28,28を取り付け、該左右プレート28,28の上部に大径の筒状のアーム29aと該アーム内に挿脱自在の小径のアーム29bからなる一対の伸縮アーム29,29の端部を回動自在に設けている。
【0030】
また、左右プレート28,28の下部には左右補助輪アーム30,30の前端部を機体上下方向に回動自在に取り付けると共に、左右補助輪アーム30,30の後端部に左右後補助輪32,32を取り付ける。
【0031】
図3はロック機構Rを構成する二股状のロックアーム31のロッド31bがアーム29の溝に係合した状態を示し、図3(a)には伸縮アーム29の伸張時、図3(b)には短縮時、図3(c)には図3(a)の矢印A方向から見た図を示す。図4は補助輪32を上方に移動させて、その位置で保持するロック機構Rについて説明する作業機の側面図を示す。
【0032】
上記伸縮アーム29の筒状アーム29aには上下に溝部29a1を設け、該アーム29a上には前記溝部29a1に挿入可能なロッド31bを備えた二股状のロックアーム31を中心軸31aを回動自在に取り付けている。小径のアーム29bには長手方向に2対の溝29b1と29b2が設けられている。
【0033】
また、ロックアーム31の二股状の一方の端部と筒状アーム29aの基部の間にはスプリング31cが設けられ、ロックアーム31の二股状端部の一方は常時筒状アーム29aの表面に接当するように付勢されている。またロックアーム31の二股状の他方の端部にはケーブル102の一端が接続している。また該ケーブル102の他の端部は補助輪上下用レバー101に接続している。
図1の補助輪32が接地した位置にあるときには小径のアーム29bの溝29b1と筒状アーム29aの溝29a1にロッド31bが嵌った状態にある(図3(a)の状態)。
【0034】
なお補助輪上下用レバー101は左右操縦ハンドル13,13の下部に設ける左右補助輪上下用ハンドル100,100に取り付けられている。
【0035】
また補助輪上下用ハンドル100と補助輪アーム30との間には連結した一対のリンク部材33a,33bが配置されており、補助輪上下用ハンドル100を上下させるときに補助輪32の上下移動方向の動きとハンドル100の上下移動方向の動きに追従し、且つ両者の動きを規制する機能を有する。
【0036】
機体の旋回時などにおいて、図4に示すように補助輪32を上方に移動して地面から浮き上がった位置に上方移動させるときにはハンドル100を押し下げると補助輪アーム30も上方に移動するが、このとき、レバー101を握るとケーブル102が二股ロックアーム31を回動させて小径のアーム29bの溝29b1と筒状アーム29aの溝29a1に嵌っているロッド31bが外れて、伸縮アーム29の大径の筒状アーム29a内に小径アーム29bが挿入される。この動きに連動して補助輪アーム30が上方に移動し、このときレバー101の握りを外すと、スプリング31cの付勢力により小径のアーム29bの溝29b2と筒状アーム29aの溝29a1が一致したときロッド31bが溝29b2、溝29a1に嵌って図3(b)に示す状態に保持される。
【0037】
補助輪アーム30が図4に示す位置にあるときに、その後レバー101を把持すると、二股状ロックアーム31のロッド31bが二つの溝29a1、29b2から外れて、補助輪32は自重で伸縮アーム29を伸し、補助輪32と補助輪アーム30は図4に示す地面(畝面)に接する位置に補助輪32を移動する。
また、補助輪32が畝から外れて図4に示す畝間の溝内に嵌り込んだ時には、図5に示す位置に補助輪32が回動する。
【0038】
ハンドル100にレバー101を取り付けているのでハンドル操作とレバー操作が同時に容易に行える。
図2の全体平面図に示すハンドル100を左右それぞれ独立に設けると、左右の補助輪32もそれぞれ独立に上下できるので、機体の姿勢が安定しない凹凸の多い圃場や、機体が水平を保てない傾斜した圃場などにおいても、左右補助輪32,32を接地させて機体の走行姿勢や作業姿勢を略水平することができるので、作業能率や作業の安全性が向上する。
【0039】
一般的に生姜を栽培する圃場は、圃場の両端の枕地以外には、碁盤の目のように縦横に畝を作る。これを縦あご・横あごと呼ぶ。縦あご・横あごはどこかの畝の生姜が病気にかかった場合、病気が他の畝に広がらないようにするためのものであり、枕地に対して平行に設けられた畦溝に沿って進むことを縦あご作業、枕地に対して直角に設けられた畦溝に沿って進むことを横あご作業という。縦あご作業の際、枕地では機体の片方が畝溝に降りるため畝溝側のチェーンケース17を下降させ、前駆動輪27と補助輪32を接地させて機体の水平を取る。その他の場合は前後駆動輪26,27が接地するようにチェーンケース17を調節し、補助輪32は状況に応じて接地させる。旋回時には左右補助輪32,32は両方とも上昇させる。横あごは、深い溝→浅い溝→深い溝→浅い溝→・・・が繰り返し設けられているため、機体は深い溝の方に傾く。そのため、左右チェーンケース17,17を夫々調節し、機体が圃場に対して略水平になるよう接地する車輪、補助輪を調節する。
【0040】
また、図6の要部平面図に示すように、左右のハンドル100,100に一端を回動自在に連結した左右連結機枠100a,100bの他端にそれぞれ連結カラー104、スプリング105を固着して、該連結カラー104とスプリング105を連結可能な構成にすることで、左右のハンドル100,100を一体化して使用する場合と左右ハンドル100,100を独立して使用する場合に使い分けができる。
【0041】
左右連結機枠100a,100bを連結カラー104とスプリング105により繋ぐことによって、スプリング105の張力が左右の連結を外れにくくし、逆に外すときはカラー104を引っ張るだけで容易に左右の連結を解除できる。
なお、左右連結機枠100a,100bの連結を解除したとき、左右連結機枠100a,100bがそのまま残っていると邪魔になるので、左右連結機枠100a,100bをそれぞれハンドル100,100の方へ回動して移動させてもよい。
【0042】
例えば、左右ハンドル100,100を連結すると、機体の旋回時等には左右補助輪32,32を両方とも上昇させて旋回動作をスムーズに行うことができると共に、圃場の端近くまで左右補助輪32,32を接地させておくことができるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢が安定し、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0043】
また、平地を走行する際、左右補助輪32,32を接地させておくと走行姿勢や引抜作業姿勢がいっそう安定するため、連結カラー104とスプリング105で左右ハンドル100,100を連結しておくことによって左右補助輪32,32の位置が変化しにくく、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を安定させることができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0044】
さらに、機体の左右一側が畝溝を走行する時には、連結を解除して畝溝側の補助輪32を畝溝に接地させ、反対側の補助輪30を畝に接地させることによって、機体を略水平に保つことができるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢が安定し、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。
【0045】
作業機が畝から外れて2つの畝の間の溝内に落ち込んだ場合、又は前後駆動輪27,26だけでは走行安定性が確保できないときには補助輪32と補助輪アーム30が図1または図5に示す位置にあると、走行安定性が得られる。
【0046】
上記のように、左右前駆動輪27,27と左右後駆動輪26,26とが、左右チェーン25,25によって駆動されるように取り付けられていることによって、前後一方の左右駆動輪26又は27が圃場の起伏等にスリップ率を大きく変動させられたり、圃場の窪み等に嵌り込んだりしても、前後他方の左右駆動輪27又は26が機体を走行させるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢が安定するため、引抜収穫の際に作物を傷めてしまうことを防止でき、作物の商品価値が向上する。
【0047】
また、左右後駆動輪26,26を駆動させる左右第1従動スプロケット22,22を、左右チェーンケース17,17の回動支点Pよりも機体前側に設けたことによって、左右操縦ハンドル13,13と左右後駆動輪26,26との間隔が大きくなり、左右操縦ハンドル13,13を軽い力で押し下げるだけで左右後駆動輪26,26を支点として機体前側が上昇するようになるため、旋回動作を容易に行うことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0048】
そして、左右チェーンケース17,17と左右補助輪アーム30,30とが機体上下方向に回動自在に設けられているため、機体左右一側が畝上を走行し、機体左右他側が畝溝上を走行する際、畝溝側のチェーンケース17を下方回動させて前駆動輪27を接地させると共に、畝溝側の補助輪アーム30を下降させて後補助輪32を接地させることによって、機体の水平が保持されるので、畝を形成した圃場でも機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を安定させることができ、引抜収穫の際に作物を傷めてしまうことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0049】
さらに、左右補助輪アーム30,30が機体上下方向に回動自在に設けられていることによって、作業条件に合わせて接地させる車輪の数を変更できるので、機体の走行姿勢や作業姿勢を安定させることができると共に、旋回動作時に左右後補助輪32,32を上昇させることによって旋回動作を容易にすることができ、作業能率が向上する。
【0050】
次に、引抜搬送部Dの構成について説明する。
前記メインフレーム8の左右前端上部に左右延設プレート37,37を取り付け、該左右延設プレート37,37に左右従動回転軸38,38を取り付ける。そして、該左右従動回転軸38,38に左右従動プーリ39,39を取り付け、下端部に前記第2従動スプロケット11,11を装着した左右駆動回転軸40,40に、左右駆動プーリ41,41を取り付ける。そして、該左右従動プーリ39,39と左右駆動プーリ41,41との間に、各々左右挟持ベルト42,42を巻き掛ける。
【0051】
また、メインフレーム8に基部が取り付けられる左右テンションアーム43,43の先端部に左右外部テンションプーリ44,44を回転自在に装着し、該左右外部テンションプーリ44,44に左右挟持ベルト42,42の外側を押圧させる。さらに、左右内部テンションローラ45,45を回転自在に装着する左右テンションフレーム46,46を前記メインフレーム8に取り付け、該左右内部テンションローラ45,45に前記左右挟持ベルト42,42の内側を接当させる。
【0052】
そして、機体右側のテンションフレーム46に複数の長穴を開け、該テンションフレーム46の機体内側に、複数のテンションローラ47aを回転自在に装着すると共に、機体左側に複数の螺子孔を開けたローラフレーム47Rを設け、テンションフレーム46の長穴と前記螺子孔を合わせてボルト(図示せず)で固定する。
【0053】
さらに、機体左側の駆動プーリ41(図1)の前方に複数のテンションローラ47bを回転自在に備えるローラフレーム47Lを、駆動回転軸40に左右方向に回動自在に取り付ける。ローラフレーム47R,Lは前記挟持ベルト42,42の挟持作用部内側を互いに押圧するように取り付ける。そして、該ローラフレーム47Lの後端部の凸部47tを前記メインフレーム8に取り付けられるロックレバー49で固定する。また、前記左右従動回転軸38,38及び左右駆動回転軸40,40を支持体として、前記左右挟持ベルト42,42の巻掛域上部に左右カバー50,50を取り付けて、引抜搬送装置51を構成する。
【0054】
そして、前記左右従動回転軸38,38(図1)の上部に左右ユニバーサルジョイント52,52を取り付け、該左右ユニバーサルジョイント52,52に左右駆動回転軸53,53を取り付ける。また、該左右駆動回転軸53,53に左右駆動プーリ54,54を取り付けると共に、該左右駆動プーリ54,54の上部に左右カバー55,55を取り付ける。さらに、該左右カバー55,55の前端部に左右従動回転軸56,56を取り付け、該左右従動回転軸56,56に左右従動プーリ57,57を取り付ける。そして、該左右従動プーリ57,57と左右駆動プーリ54,54との間に、各々左右ラグ付掻き込みベルト59,59を巻き掛ける。さらに、前記左右延設プレート37,37に長穴を開けた左右調節プレート60,60を取り付け、前記左右カバー55,55の底面に、螺子孔を開けた左右調節ステー61,61を取り付ける。そして、長穴と螺子孔を合わせ、ボルト62によって左右調節プレート60,60と左右調節ステー61,61とを連結することによって、左右掻込装置65,65が構成される。
【0055】
さらに、メインフレーム8と引抜搬送装置51との間に、左右第1切断刃64,64を、左右第1スプロケット10,10を取り付けた左右回転軸63,63の上端部に取り付けて配置する。
【0056】
上記のように、該機体左側のローラフレーム47Lが左右方向に移動自在に設けられていることによって、引抜搬送装置51の挟持力を生姜の茎葉の植生等の条件に応じて調節することができるので、適切な農作業を行うことができる。
【0057】
また、左右方向に回動自在に設けられているローラフレーム47Lの凸部47tを、ロックレバー49で固定していることによって、生姜の茎葉が引抜搬送装置51に詰まったとき等に、ロックレバー49を機体外側に引くとローラフレーム47Lが機体外側方向に回動し、引抜搬送装置51の挟持力が弱まるため、詰まった茎葉の除去が簡単になり、メンテナンス性が向上する。
【0058】
そして、図2に示すように左右掻込装置65,65が左右ユニバーサルジョイント52,52を介して左右従動回転軸38,38に取り付けられていると共に、左右調節プレート60,60と左右調節ステー61,61とを、長穴と穴部の合わせ位置を変えて機体前後方向に動かすことによって、左右掻込装置65,65の傾斜姿勢を生姜の茎葉の植生状況等の条件に応じて調節することができるので、茎葉が左右掻込装置65,65に適切に掻き込まれると共に引抜搬送装置51に適切に引き継がれ、作業の能率が向上する。
【0059】
また、引抜搬送部Dの左右掻込装置65,65に端部を固定した油圧シリンダ36aによりチェーンケース17を回動支点P(4a)を中心に回動可能にすることで機体をスイングさせることができる。
操縦部Bには油圧シリンダ36aの操作レバー36dを設けており、該操作レバー36dを操作して油圧シリンダ36aを伸縮させるとチェーンケース17が回動支点P(4a)を中心にスイングする。この機体のスイングは、機体の左右一側が畝溝を走行し、機体が傾く時に行うことにより、機体の走行姿勢や作業姿勢を略水平に保ち、作業能率を向上させたり作業の安全性を向上させる効果がある。
なお、油圧シリンダ36aの代わりに電動シリンダやエアシリンダを用いてもよい。
【0060】
また操作レバー36dを左右操作レバー36d1,36d2(図2)から構成し、左の操作レバー36d1が左のチェーンケース17を、右の操作レバー36d2が右のチェーンケース17を上下動させることにより、作業者は単純な操作で機体の姿勢調節を行うことができるので、機体の扱いが簡単になる。
【0061】
さらに図1に示すように、機体前進方向に向かって右側のチェーンケース17とメインフレーム8との間に、高さ調整自在のターンバックル36bを設けても良い。また、該ターンバックル36b上にハンドル36cを設けていることによって、該ハンドル36cを操作してターンバックル36bの長さを調節することによって、右側のチェーンケース17を回動支点Pを中心に上下動できる。この構成により機体右側のチェーンケース17の上下高さを細かく調節することができるので、機体左側の油圧シリンダ36aを伸縮により上下動するチェーンケース17と組み合わせることにより、より正確に機体の走行姿勢や作業姿勢を圃場に対して水平にすることができるので、作業能率が向上すると共に作業の安全性が向上する。また、機体右側のチェーンケース17を油圧シリンダ36aよりも安いターンバックル36bで上下動させることによって、部品コストを抑えることができる。
【0062】
また、機体前方の左右のチェーンケース17,17をそれぞれ油圧シリンダ36aとターンバックル36bで作業機の前方を基本掘取り姿勢より上側に回動することで、作業機の前後方向の傾きの調節が出来る。
さらに、油圧シリンダ36aは、後述する排葉装置84の切断刃74,83の排出部より前方にあるので、葉の切断作業の邪魔にならず、また排葉が油圧シリンダ36aに引っ掛かって伸縮を邪魔したり油圧シリンダ36a内に排葉が入り込んで故障させたりすることを防止することができる。
【0063】
図7の全体側面図(作図の都合上、比率は正確ではない)に示すように、前輪補助輪90と前輪27との距離をL1、前輪27と後輪26との距離をL2、後輪26と補助輪32との距離をL3とすると、L2>L1、L2>L3とすることで、圃場に凹凸があり、いずれかの車輪26,27もしくは補助輪32,90が凹凸に嵌りかけても、嵌り込む前に前車輪27もしくは後車輪26が機体を前進させるので、車輪26,27もしくは補助輪32,90が圃場の凹凸に嵌ることが防止されるので、走行中には作業機が止まらない。
【0064】
また、前後車輪26,27の両方が畝上の凹部に入った場合でも、前後車輪26,27は共に駆動しているため、凹部を越えて前進するだけの推進力を得ることができる。
【0065】
次に、排葉部Eについて説明する。
機体左側の前記駆動回転軸40の上部に駆動プーリ66を取り付け、該駆動回転軸40の上端にカバーフレーム67Lを取り付ける。そして、該カバーフレーム67Lの機体外側に従動プーリ68及びアイドルプーリ69を回転自在に装着すると共に、該従動プーリ68とアイドルプーリ69と駆動プーリ66との間に排葉ベルト70を巻き掛ける。また、前記カバーフレーム67Lに、テンションプーリ71を回転自在に装着したテンションアーム72を取り付け、該テンションプーリ71に排葉ベルト70の非挟持作用部内側を押圧させる。さらに、前記従動プーリ68に従動回転軸73を取り付けると共に、該従動回転軸73の下端部に第2切断刃74を取り付ける。
【0066】
また、機体右側の前記駆動回転軸40の上部に駆動プーリ75を取り付け、該駆動回転軸40の上端にカバーフレーム67Rを取り付ける。さらに、該カバーフレーム67Rの機体外側に従動プーリ76及び第1アイドルプーリ77を回転自在に装着すると共に、機体前側に第2アイドルプーリ78を回転自在に装着する。そして、該従動プーリ76と、第1アイドルプーリ77と、第2アイドルプーリ78と、駆動プーリ75との間に排葉ベルト79を巻き掛ける。さらに、前記カバーフレーム67Rに、テンションプーリ80を回転自在に装着したテンションアーム81を取り付け、該テンションプーリ80を排葉ベルト79の外側に押圧させる。さらに、前記従動プーリ76に従動回転軸82を取り付けると共に、該従動回転軸82の下端部に第2切断刃83を取り付けることによって、排葉装置84が構成される。
【0067】
上記のように、引抜搬送装置51と排葉装置84は、共に左右駆動回転軸40,40を介して左右第2従動スプロケット11,11から駆動力を受けて駆動するため、機体を構成する部品数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。
また、排葉装置84の搬送終端部に左右第2切断刃74,83を取り付けていることによって、茎葉は短く切られてから圃場に排出されるので、茎葉が機体に絡み付いて作業を停止させることを防止でき、適切な農作業を行うことができる。
【0068】
図1および図2に示すように、メインフレーム8の左右前部に左右ジョイント85,85を取り付けると共に、該左右ジョイント85,85に複数の螺子孔を設ける。そして、前記左右ジョイント85,85の機体外側から、長穴88を設けた左右前補助輪アーム87,87を機体上下方向に回動自在に取り付け、螺子孔と長穴88とを合わせてボルト等の固定部材89によって固定する。また、該左右前補助輪アーム87,87の機体外側下端に、左右前補助輪90,90を取り付ける。
なお、左右ジョイント85,85と左右前補助輪アーム87,87とを固定部材89で固定するとき、固定部材89を取り付ける螺子孔を変更することによって、左右前補助輪90,90の上下位置を調節することができる。
【0069】
上記により、機体が左右前駆動輪27,27と、左右後駆動輪26,26と、左右後補助輪32,32と、左右前補助輪90,90の8輪によって圃場を走行できるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を安定させることができ、作業能率が向上するとともに、引抜収穫の際に作物を傷めてしまうことを防止でき、作物の商品価値が向上する。
【0070】
また、左右前補助輪90,90の上下位置が調節できることによって、圃場の起伏等に合わせた上下位置調節ができるので、機体の走行姿勢や引抜作業姿勢を安定させることができ、作業能率が向上するとともに、引抜収穫の際に作物を傷めてしまうことを防止でき、作物の商品価値が向上する。
【0071】
なお、左右前補助輪90,90を圃場面に接触させず、圃場面より僅かに高い位置に設定しておくことによって、左右前補助輪90,90と左右後補助輪32,32が圃場の起伏に乗り上げて、左右前駆動輪27,27と左右後駆動輪26,26とを浮き上がらせて走行不能にしてしまうことを防止でき、作業能率が向上する。
【0072】
また、左右前補助輪90,90の代わりに左右後補助輪32,32を圃場面より僅かに高い位置に設定してもよく(図示せず)、左右前補助輪90,90と左右後補助輪32,32の両方を圃場面より僅かに高い位置に設定してもよい(図示せず)。このとき、左右前補助輪90,90の設定高さを左右後補助輪32,32の設定高さよりも高くすることによって、圃場の起伏により機体が後方に沈むことを防止でき、作物が圃場から確実に引き抜かれるので、作業能率が向上する。
そして、左右前補助輪90,90に左右前スプリング98,98を取り付けて常に下方に付勢しておくことによって、左右前補助輪90,90は圃場の起伏に追従して上下動できるので、走行姿勢が常に安定し、作業能率が向上する。
【0073】
図8は本発明の他の実施例の作業機の側面図であり、補助輪32が単独で回動可能で、その支持部材の途中からも傾斜角度の調節を可能として、前記傾斜角度の微調整により機体の作物引き抜き角度が変わっても対応できる構成を示す。
補助輪アーム30は、その中間部を回動自在に接続した2つのロッド30a,30bで接続し、該2つのロッド30a,30bの各接続端部には円弧状の長穴30a1,30b1をそれぞれ有する突起部30a2,30b2を設け、ここに固定用ねじ30cを取り付けて2つのロッド30a,30bの回動角度を決めるとその位置でねじ30cを締めて2つのロッド30a,30bの回動角度を所定の傾斜角度に保持する。また、2つのロッド30a,30bの回動支点は、伸縮アーム29のアーム30側の支持部29cより後方に位置しているので伸縮アーム29の作動に影響を与えない。
【0074】
図9は本発明の他の実施例の作業機の平面図である。
本発明の引抜作業機は前側から順に掻き込みベルト59、挟持ベルト42、排葉ベルト79,70からなる搬送手段を備え、挟持ベルト42の後端部よりメインフレーム8の切欠き8aを長さLだけ後方に配置した。これはメインフレーム8の切欠き8aがないと、挟持ベルト42の搬送後端部で作物の第2切断刃83、74で切断された後の葉の上側部分が引きずられ、フレーム8の上部に入り込み、切断されてない生姜などの根部が傷つき商品価値が無くなるおそれがあるからである。
【0075】
同様に排葉ベルト79,70に挟持される切断後の茎葉の上方部が作業機の右側部側に排出されるようにそれぞれのベルト79,70を配置しているが、第2切断刃83,74で切断された茎葉が排葉ベルト79,70に挟持され始める位置が、前記メインフレーム8の切欠き8aより前方に配置される構成にして、茎葉がフレーム8に引っかかり難くしている。
また、掻き込みベルト59は作物の掻き込み開始位置より前側のベルト通過部分に作物の掻き込み防止部材59aを配置している。
【0076】
図10の作業機のメインフレーム8と後輪26と補助駆動輪114のレイアウトを機体背面図として示すように、後輪26と補助駆動輪114をダブルタイヤ方式とすることで、砂地などでの駆動力を増強できる。なお補助駆動輪114を外して後輪26だけにすることもできる構成にしても良い。このとき後輪26の車軸26aが外方にはみ出さないようにするため、補助駆動輪114の車軸部のハブ114aは後輪26の外側のタイヤ平面より後輪26の車軸26aの内側の食い込み位置に着脱自在に取り付ける構成とする。このため補助駆動輪114を取り外すと、その車軸部のハブ114aも補助駆動輪114と一緒に取り外され、後輪26の車軸26aは後輪26のタイヤの外側のなす平面より機体外側に突出することがないので、該車軸26aに作業者等が接触するおそれがなくなる。
【0077】
また、補助駆動輪114の径は後輪26の径より小さくすることで旋回時に補助駆動輪114が抵抗にならなく、スムーズな旋回が可能となる。
【0078】
図11に本発明の他の実施例の作業機の側面図を示し、図12にその平面図を示す。
上段には排葉ベルト112を配置し、下段には集葉ベルト113を配置する。そして上段の排葉ベルト112の前側と下段の集葉ベルト113の後側を生姜など葉の二段からなる引抜ベルトとすることにより、葉の挟持が安定し、さらに葉の引抜力が強くなる。
【0079】
また図13に本発明の他の実施例の作業機の側面図を示し、図14にその平面図を示す。
この作業機も上段には排葉ベルト112を配置し、下段には集葉ベルト113を配置するが、掻き込み装置65を上段の排葉ベルト112の先端部の上方に位置するように配置し、その上段の排葉ベルト112の下方に下段の集葉ベルト113を配置する構成であり、良好な集葉効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の作物の引抜作業機の側面図である。
【図2】図1の引抜作業機の平面図である。
【図3】本発明の引抜作業機の伸縮アームの伸張時(図3(a))と短縮時(図3(b))の側面図、および図3(a)の矢印A方向から見た図(図3(c))である。
【図4】本発明の引抜作業機の側面図である。
【図5】本発明の引抜作業機の側面図である。
【図6】本発明の引抜作業機の要部平面図である。
【図7】本発明の引抜作業機の側面図である。
【図8】他の実施例の引抜作業機の側面図である。
【図9】他の実施例の引抜作業機の平面図である。
【図10】他の実施例の引抜作業機のメインフレームと後輪と補助輪のレイアウトの機体背面図である。
【図11】他の実施例のの引抜作業機の側面図である。
【図12】図11の引抜作業機の平面図である。
【図13】他の実施例の引抜作業機の側面図である。
【図14】図13の引抜作業機の平面図である。
【符号の説明】
【0081】
A 動力部 B 操縦部
C 走行部 D 引抜搬送部
E 排葉部
1 エンジン 2 燃料タンク
3 出力軸 4 ミッションケース
4a 出力軸 4c 前部駆動軸
5 ベベルケース 5a 第1ベベルギア
5b 第2ベベルギア 5c 第3ベベルギア
5d 第4ベベルギア 6 シャフト
7 シャフト 8 メインフレーム
9 駆動スプロケット 10 第1従動スプロケット
11 第2従動スプロケット 12 チェーン
13 操縦ハンドル 14 カバー
15 走行クラッチレバー 16 作業クラッチレバー
17 チェーンケース 18 サイドクラッチレバー
20a 駆動ギア 20b 従動ギア
21 駆動スプロケット 22 第1従動スプロケット
23 第2従動スプロケット 24 テンションスプロケット
25 チェーン 26a 後車軸
26 後駆動輪 27a 前車軸
27 前駆動輪 28 プレート
29 伸縮アーム 29a 大径の筒状アーム
29a1 溝部 29b 小径アーム
29b1 溝 29b2 溝
29c 支持部 30 左右補助輪アーム
30a,30b ロッド 30a1,30b1 長穴
30a2,30b2 突起部 31 二股状のロックアーム
31a 中心軸 31b ロッド
31c スプリング 32 補助輪
33a,33b リンク部材 36a 油圧シリンダ
36b ターンバックル 36c ハンドル
36d(36d1,36d2) 操作レバー
37 延設プレート 38 従動回転軸
39 従動プーリ 40 駆動回転軸
41 駆動プーリ 42 挟持ベルト
43 テンションアーム 44 外部テンションプーリ
45 内部テンションローラ 46 テンションフレーム
47a,47b テンションローラ
47R,47L ローラフレーム
47t ローラフレーム後端部の凸部
49 ロックレバー 50 左右カバー
51 引抜搬送装置
52 ユニバーサルジョイント
53 駆動回転軸 54 駆動プーリ
55 カバー 56 従動回転軸
57 従動プーリ 59 掻き込みベルト
59a 掻き込み防止部材 60 調節プレート
61 調節ステー 62 ボルト
63 回転軸 64 第1切断刃
65 掻込装置 66 駆動プーリ
67 カバーフレーム 68 従動プーリ
69 アイドルプーリ 70 排葉ベルト
71 テンションプーリ 72 テンションアーム
73 従動回転軸 74 第2切断刃
75 駆動プーリ 76 従動プーリ
77 第1アイドルプーリ 78 第2アイドルプーリ
79 排葉ベルト 80 テンションプーリ
81 テンションアーム 82 従動回転軸
83 第2切断刃 84 排葉装置
85 ジョイント 87 前補助輪アーム
88 長穴 89 固定部材
90 前輪補助輪 98 前スプリング
100 補助輪上下用ハンドル
101 補助輪上下用レバー 102 ケーブル
103a,103b 連結機枠
104 連結片(カラー) 105 連結部材(スプリング)
112 排葉ベルト 113 集葉ベルト
114 補助駆動輪 114a ハブ
P 回動支点 R ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を挟持して引き抜き機体後方へと搬送する引抜搬送装置(51)と、作物の茎葉を切断する切断装置(64)と、機体を操作する操縦部(B)と、左右前駆動輪(27,27)及び左右後駆動輪(26,26)を駆動させる機体上下方向に回動自在な左右伝動ケース(17,17)を備えた引抜作業機において、
左右伝動ケース(17,17)の後部に設けた左右支持部材(28,28)と、
左右支持部材(28,28)の下部に設けた機体上下方向に回動自在な左右補助輪機枠(30,30)と、
該左右補助輪機枠(30,30)に設けた左右補助輪(32,32)と、
左右支持部材(28,28)の上部と左右補助輪機枠(30,30)との間に設けた伸縮及び回動自在な左右ロックアーム(29,29)と、
左右ロックアーム(29,29)に設けた切欠溝(29a1〜29b2)と左右ロック部材(31,31)を有するロック機構(R,R)と、
操縦部(B)の下部に機体上下方向に回動自在に設けた左右補助輪ハンドル(100,100)と、
左右補助輪上下用ハンドル(100,100)の回動支点と左右補助輪機枠(30,30)との間に設けた左右リンクアーム(33,33)と、
左右補助輪上下用ハンドル(100,100)に設けた左右補助輪上下用レバー(101,101)と、
左右補助輪上下用レバー(101,101)と左右ロック機構(R,R)との間に設けた左右連係部材(102,102)と
を備えたことを特徴とする引抜作業機。
【請求項2】
左右補助輪上下用ハンドル(100,100)の間に連結片(104)と連結部材(105)とを備えたことを特徴とする請求項1記載の引抜作業機。
【請求項3】
引抜搬送装置(51)と機体左右一側の伝動ケース(17)との間で、且つ引抜搬送装置(51)の搬送終端部よりも前方に第1伸縮部材(36a)を設け、第1伸縮部材(36a)の操作部材(36d)を操縦部(B)に配置し、引抜搬送装置(51)と機体左右他側の伝動ケース(17)との間で、且つ引抜搬送装置(51)の搬送終端部よりも前方に第2伸縮部材(36b)を設け、該第2伸縮部材(36b)の上部に第2伸縮部材(36b)を伸縮させる調節部材(36c)を配置したことを特徴とする請求項1記載の引抜作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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