説明

形状測定方法及び形状測定装置

【課題】側面形状測定において形状測定プローブの先端の移動量をレーザ光と4分割フォトダイオードを用いて高精度に測定する。
【解決手段】Z軸に沿って移動可能な形状測定プローブと、該形状測定プローブ内に一点で支持され先端がXY方向の力により傾斜可能でかつレーザ光を反射するミラーを有するスタイラスがあり、反射するレーザ光を4分割フォトダイオードに集光して得られる電気信号出力から該スタイラスの傾斜を検知して該スタイラス先端のXY方向移動量を得る3次元形状測定方法において、実測定に先んじて該電気信号出力から得られるXY方向移動量(TXm,TYm)の生データと真のXY方向移動量(TX、TY)の関係を求める参照テーブル測定工程によって参照テーブルを作成し該参照テーブルを用いて実測定した生データから補正した真のデータを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の形状をした被測定物の3次元形状を高精度に測定する形状測定装置における誤差補正方法及び形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の工学素子や部品の測定などにおいて、0.1ミクロン以下の測定精度が必要とされることが多くなってきた。この精度で測定できる装置としては、従来からZ軸方向のみ形状を測定する装置は一般的になってきている。しかし、Z軸方向のみの形状測定だけでは不十分であることから、最近では側面の測定(XY平面に垂直な面の測定)ができる装置も現れてきた。
【0003】
側面の測定を可能とする装置においては、測定面である側面に接触したスタイラスが鉛直方向から任意の方向に傾くことを利用し、当該スタイラスの傾きを測定することによって非測定物の側面形状を測定することを可能にする。かかる形状測定技術は、特許文献1に開示されている。
【0004】
図9に特許文献1に記載の形状測定装置の構成を示す。形状測定装置100は、被測定物200の側面にプローブ102の先端に取付けられるスタイラスを移動させるためのX軸ステージ112、Y軸ステージ113及びZ軸ステージ114を備える。形状測定装置100は、スタイラス先端が概略一定の測定力となるように被測定物200に接触させるための追従制御及び、測定方向への操作を行うための位置決め制御をX軸ステージ112、Y軸ステージ113及びZ軸ステージ114を駆動させることにより行う。これらの制御は制御装置111が司る。
【0005】
図9においては、レーザ光源101より発生される測定用レーザ光と参照ミラー115(Z参照ミラーのみを図示している。XY軸についても同様に構成される。)を備え、参照ミラー115によって反射された測定用レーザ光に基づいて、スタイラスの相対的な位置座標を決定する。形状測定装置100は、上記のようにして決定された各ステージとスタイラス先端との相対的な位置関係に基づいて被測定物200の外形形状を測定することができる。
【0006】
図10に前記形状測定装置100の測定点情報決定部の具体的構成を示す。プローブ102には、鉛直方向から任意の方向に傾くことが可能に設けられたスタイラス103が取付けられており、スタイラス103の先端(図10では下端)には真球度の高い球体(スタイラス先端球)104が取付けられている。レーザ光源101より発生する測定用レーザ光Lは、反射ミラー91や半透過ミラー92で構成される光学系90を使用して、スタイラス103の基端(図10では上端)に取付けられたミラー105に照射される。レーザの反射光Lは、光学系90を通って位置座標測定部108でスタイラス103の相対位置を測長し、スタイラスの位置座標データが取得される。
【0007】
スタイラス103は外力を受けて支点(回転中心を意味する)を中心として任意方向に傾くことが可能であり、前述の反射光Lの一部は光学系90の半透過ミラー92により、スタイラス傾き角度検出部106に入射される。スタイラス傾き角度検出部106の表面におけるレーザ光のスポット位置の変位(変位量)に基づいて、スタイラスの傾きの変化(変化量)を検出することができる。前記スタイラス傾き角度検出部106に接続されたスタイラス先端変位演算部107においては、スタイラス傾き角度検出部106(以下、単に角度検出部と略記する場合がある。)で検出されたスタイラス103の傾きの情報に基づいて、スタイラス103の傾きにより発生するスタイラス先端球104の変位、すなわちスライラス変位量を算出する。前記位置座標測定部108と前記スタイラス先端変位演算部107とに接続された加算部109は、前記位置座標測定部108で取得された前記スタイラス位置座標データと、前記スタイラス変位演算部107で算出された前記スタイラス変位量を加えることにより、スタイラス103の先端の相対位置座標、すなわち、スタイラス位置座標に対するスタイラス先端の位置座標を算出する。
【0008】
スタイラス103を被測定物200の側面に接触させた際の角度検出方法について図11を参照して以下に示す。図11では理解を容易にするために図10の光学系90の構成にミラー116を追加している。また、図11では煩雑な表記を避けるためレーザ光軸のみを記述している。スタイラス103が傾いていない場合には、反射光Lの光スポット中心が角度検出部106の中心位置300aに一致する。これに対し、スタイラス103の先端がX軸+方向(図11の右方向)に押された場合は、反射光Lの光スポット中心である反射光Lの照射位置が、中心位置300aから左側に外れた位置300bに移動する。
【0009】
同様に、スタイラス103が任意の方向に傾く事により、図12に示すように、その傾きの方向及び大きさに合わせて、反射光Lの光スポット位置が2次元的に変化する。位置301bはX軸+側に向けてスタイラス103を接触させた状態、位置301cはX軸−側に向けてスタイラス103を接触させた状態、位置301dはY軸+側に向けてスタイラス103を接触させた状態、位置301eはY軸−側に向けてスタイラス103を接触させた状態をそれぞれ示している。角度検出部106において、前記光スポット位置の変位量を検出する事により、スタイラス103の傾きを取得することができる。角度検出部106には、例えば4分割フォトダイオードや2次元PSDなど、光スポット位置を2次元で検出できるものであれば適用可能である。以降では、角度検出部106に適用されるセンサを総称して「角度検出器」とよぶ。
【0010】
また、従来技術では、測定力を概略一定とするために追従制御が行われる。例えば、図11に示すようにX軸方向のスタイラス103の傾きが概略一定値θxとなるようにX軸ステージ112が位置制御される。この制御は、測定用レーザ光Lが、傾いたスタイラス103の基端に存在するミラー105に反射されて、反射光Lが角度検出部106の受光面に照射される場合において、その光スポット中心が受光面の中心から距離Xだけ離れた位置300bの直線上に追従するように制御系を構成することで実現される。ここで、前記距離Xに相当する、角度検出部106上の目標値Xは、測長座標系におけるスタイラス103の傾き目標値θxに対応する。
【0011】
以下では、従来技術を用いて、被測定物200の測定面を測定する際の、被測定物200とスタイラス103の位置関係及び角度検出器106と光スポット位置の関係について説明する。
【0012】
以降の説明を容易にするため、角度検出器と光スポット位置の関係を簡易的な表記として図14及び図15に示す。図14は被測定物200にスタイラス103を押込む量が目標値120となるように接触させている状態の上面図と正面図を含む説明図、図15はスタイラス103の傾きに対する角度検出器106と光スポット中心302及び制御目標値119を示している。図14の上面図においては、被測定物200、スタイラス103の支点117及び接触点118のみを示し、スタイラス103については省略している。スタイラス103の支点117を三角形の印で、スタイラス103の接触点118を星印でそれぞれ示している。以下では、図14の上面図及び図15の表記を用いて説明を行う。
【0013】
スタイラス103を被測定物200のX軸+側に概略一定の測定力で接触させつつ、Y軸方向に走査するときのスタイラス103の支点117及び接触点118の位置関係を図16A〜図16Fに示す。図16A〜図16Cは、スタイラス103がY軸方向に対して静止している状態からY軸+方向に相対移動し始めるまでの状態を示しており、図16D〜図16Fはスタイラス103がY軸方向に対して静止している状態からY軸−方向に相対移動し始めるまでの状態を示している。また、図16A〜図16Fにおいて上側の図は被測定物200とスタイラス103が接触する際のスタイラス103の支点117と接触点118の位置関係を示しており、下側の図は角度検出器106における光スポット中心300aから303fの位置関係を示している。
【0014】
スタイラス103がY軸方向に静止している図16Aの状態では、スタイラス103の支点117と接触点118を結ぶベクトルはX軸と平行になり、スタイラス103にはY軸方向の傾きは発生しない。次に、スタイラス103がY軸+方向に移動し始めた瞬間の状態である図16Bの状態では、被測定物200からの抗力がスタイラス103の接触点118に働くため、走査方向に対して摩擦力が発生する。スタイラス103の傾き方向のモーメントよりも静摩擦力が大きい場合においては、スタイラス103の接触点118がその場に留まろうとするため、スタイラス103の支点117のみがY軸+方向へ変位することになる。そして、スタイラス103の支点117と接触点118のY軸方向の相対距離が大きくなり、スタイラス103の傾き方向のモーメントが静摩擦力よりも大きくなる瞬間に、スタイラス103の接触点118が移動し始めて、静摩擦力から動摩擦力に切り替わる。
【0015】
この状態を図16Cに示す。動摩擦力は静摩擦力より小さいため、X軸方向のスタイラス103の傾きが一定である場合には、接触点118が一度移動し始めた後は、スタイラス103の支点117と接触点118のY軸方向の相対距離が一定となるようにスタイラス103が傾いて移動していくことになる。このとき、角度検出器106と光スポット中心の位置関係が図16Cの下側の図に示すようになる。スタイラス103がY軸−側に走査するときの状態の推移を示す図16D〜図16Fについては、前述の内容と同様に説明できるため省略する。
【0016】
最後に、被測定物200の側面にスタイラス103を接触させ、スタイラス103が任意の方向に傾いた状態において被測定物200とスタイラス103の接触点118の座標値を取得する技術について説明する。
【0017】
まず、簡単のため、図13Aに示すように被測定物200にスタイラス103を接触させて測定する際に、スタイラス103を傾かせないで測定できるものと仮定する。この仮定においては、スタイラスの先端が接触した場合のスタイラスの位置に基づいて、スタイラス先端位置の相対位置座標(X,Y,Z)が取得できる。
【0018】
図13B〜図13Dに示すような、スタイラス103が支点117を中心として鉛直方向より傾いて測定された場合について説明する。ここでは、スタイラス103の鉛直方向に対するX軸上の傾きθxとY軸上の傾きθyは、誤差を含むことなく検出できると仮定する。前述と同様に、スタイラス103が傾いていないと仮定した場合のスタイラス103の先端位置104aの相対位置座標(X,Y,Z)が、従来の3次元測定技術により取得できる。以下では、スタイラス103が傾いていないと仮定した場合のスタイラス103の先端球104の中心の座標値(X,Y,Z)を、「相対位置座標データ」と呼ぶ。
【0019】
実際には、スタイラス103が傾いているため、前記相対位置座標データ(X,Y,Z)は、被測定物200とスタイラス103先端球104の接触点104bの座標値(X',Y',Z')を示すものではないことがわかる。なお、以下では前記接触点の座標値(X',Y',Z')を「接触点位置座標データ」と呼ぶ。このため、相対位置座標データ(X',Y',Z')とスタイラス103の傾きデータ(θx、θy)を用いて、接触点位置座標データ(X',Y',Z')を求めることが必要となる。なお、スタイラス103と被測定物200の接触点118とは、スタイラス103と被測定物200が接触した状態におけるスタイラス先端球104の中心点を指す。スタイラス103が鉛直方向に静止していた初期状態より(θx、θy)だけ傾くと、スタイラス103の先端球中心座標は、初期位置(X,Y,Z)よりも下記の計算式(数1)で得られる(δx、δy、δz)だけ変位することになる。
【0020】
【数1】

【0021】
上式において、変数Lはスタイラス103の支点117からスタイラス先端球104の中心までの長さを表す。以上より、相対位置座標データ(X,Y,Z)にスタイラス103の傾きによるスタイラス先端の変位量(δx、δy、δz)を加えることにより、接触点位置座標データ(X',Y',Z')を求めることができる。
【特許文献1】特開2006−284410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、上述したように、0.1ミクロンの精度での3次元形状測定は、スタイラスの傾斜を4分割フォトダイオード上でのスタイラス基端に取り付けたレーザ反射ミラーで反射したレーザ光の位置による電気信号出力により測定する。この方式では、マイケルソン干渉計のように精度のよい測定をすることができない。特に4分割フォトダイオードの電気信号出力はスタイラスの先端のXY移動量に対して非直線であり、また4分割フォトダイオードの取り付け方向の歪み及び取り付け位置のズレ、集光レーザビームの形状の歪み、各電気信号出力の増幅器のゲイン等により異なる出力を示すなど、精度のよい測定は困難であった。
【0023】
図8にスタイラスをX方向に傾斜させたときの、スタイラスの傾きに相当するプローブの押込み移動量TXと、4分割フォトダイオードの各領域の電圧の関係を示す。測定精度を向上させるためには、押込み移動量のわずかな変化に対して、電圧変化を大きくとる必要があり、そのためには、レーザビームの大きさを小さくし、信号処理回路のゲインを上げる必要がある。しかし、その副作用として、押込み量が大きいときに電圧の飽和が生じる。電圧の飽和は、図8に示すように、押込み移動量TXが大きくなると、電圧変化がほとんど起こらない状態となり、この領域においては、押込み移動量に応じた位置計算において誤差を含むこととなる。この電圧飽和により、スタイラスの傾き量として、単純に4分割フォトダイオードからの出力信号電圧にある係数を乗じて計算すると、正確なスタイラスの傾きを計算できなくなる。
【0024】
この対策として、あらかじめ、押込み移動量に対する信号の飽和の情報を持っておき、正確なスタイラスの傾きを計算することが考えられる。しかし、任意のXY平面上を移動するプローブにおいてある特定の領域についてのみの補正を行うことが必要であることから、4分割フォトダイオードの4つの電気信号出力をそのまま4つのパラメータとして補正するのは困難である。また、たとえ、上記補正を行ったとしても、4つのパラメータに基づいて測定値の補正を行うことは処理の煩雑を招くこととなる。したがって、上記の電圧飽和に基づく測定結果に生じる誤差を少なくすることは困難であり、誤差に基づく測定結果を高精度に得ることができなかった。
【0025】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、多領域分割フォトセンサを用いた形状測定装置において、高精度に側面形状測定を行うことができる形状測定装置及び形状測定装置の誤差補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の形状測定装置の誤差補正方法を提供する。
【0027】
上記目的を達成するために、本発明の第1態様によれば、2次元平面に沿った方向の外力により先端が傾斜可能でかつレーザ光を反射するミラーを有するスタイラスと、前記スタイラスに設けられたミラーによって反射されたレーザ光を集光してそれぞれの領域についての電気信号を出力する多領域分割フォトセンサとを備えた3次元形状測定装置を用いた3次元形状の測定方法において、
前記スタイラスを平面上で所定量移動させた場合の前記多領域分割フォトセンサからの電気信号出力値を前記スタイラスの移動量情報と対応づけて記録し、
前記電気信号出力値に基づいて、前記出力値が示す前記多領域分割フォトセンサの出力値から示される平面上の出力位置情報を算出し、
前記平面を構成する第1次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの平面上での移動量情報に対応づけた第1対応情報を作成し、
前記平面を構成する第2次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの前記平面上での移動量情報に対応づけた第2対応情報を作成し、
第1次元軸における任意の値における前記第1対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第1近似関数を作成し、
第2次元軸における任意の値における前記第2対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第2近似関数を作成し、
前記第1近似関数と第2近似関数の交点を算出し、前記算出された交点の前記平面上座標値をそれぞれ第1次元値及び第2次元値とする推定値を作成し、
前記任意の値における第1対応情報及び第2対応情報をパラメータとする対応軸に対して、前記推定値を対応づけた参照テーブルを作成し、
実測定した測定値データについて、実測時の前記スタイラスの位置情報が前記参照テーブルの前記対応軸に対応する前記推定値を用いて、前記実測値データを補正し、実測定の補正後の平面上の位置情報を得ることを特徴とする形状測定方法を提供する。
【0028】
本発明の第2態様によれば、2次元平面に沿った方向の外力により先端が傾斜可能でかつレーザ光を反射するミラーを有するスタイラスと、前記スタイラスに設けられたミラーによって反射されたレーザ光を集光してそれぞれの領域についての電気信号を出力する多領域分割フォトセンサと、前記スタイラスの位置及び前記多領域分割フォトセンサからの出力値に基づいて、前記スタイラスの位置を演算する制御演算部を備えた3次元形状測定装置において、
前記制御演算部は、
前記スタイラスを平面上で所定量移動させた場合の前記多領域分割フォトセンサからの電気信号出力値を前記スタイラスの移動量情報と対応づけて記録し、
前記電気信号出力値に基づいて、前記出力値が示す前記多領域分割フォトセンサの出力値から示される平面上の出力位置情報を算出し、
前記平面を構成する第1次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの平面上での移動量情報に対応づけた第1対応情報を作成し、
前記平面を構成する第2次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの前記平面上での移動量情報に対応づけた第2対応情報を作成し、
第1次元軸における任意の値における前記第1対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第1近似関数を作成し、
第2次元軸における任意の値における前記第2対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第2近似関数を作成し、
前記第1近似関数と第2近似関数の交点を算出し、前記算出された交点の前記平面上座標値をそれぞれ第1次元値及び第2次元値とする推定値を作成し、
前記任意の値における第1対応情報及び第2対応情報をパラメータとする対応軸に対して、前記推定値を対応づけた参照テーブルを作成し、
実測定した測定値データについて、実測時の前記スタイラスの位置情報が前記参照テーブルの前記対応軸に対応する前記推定値を用いて、前記実測値データを補正し、実測定の補正後の平面上の位置情報を得ることを特徴とする形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、スタイラスの位置を任意の移動量動かしたときの多領域分割フォトセンサの出力信号に基づいて、信号値からスタイラスの移動量情報を演算する。そして、このスタイラスの移動量情報を実際のスタイラスの移動における位置情報と対応づけて第1及び第2の対応情報を作成する。この第1及び第2の対応情報は、実測値と出力値とを関連づけるものであり、第1及び第2情報に基づいて作成される第1及び第2近似関数上のある点に真の値が含まれるものと考えることができる。したがって、第1及び第2近似関数が交差する交点については、第1次元及び第2次元の双方共に真の値であると考えられる数値であり、この推定値に基づいて作成された参照テーブルは高精度となる。
したがって、本発明によれば、このようにして作成された高精度の参照テーブルに基づいて、実測定データの測定値を参照テーブルの推定値によって誤差補正することができるため、精密に高精度の側面測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る形状測定装置について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
(第1実施形態)
本発明を適用する形状測定装置について簡単に説明する。本実施形態にかかる形状測定装置は、装置の物理的構成としては、基本的には図9に示した従来例にかかる装置と同じ構成である。以下、特徴部分を中心に説明を進める。
【0032】
図1Aは、本実施形態にかかる形状測定装置の部分構成図である。スタイラス3は、形状測定プローブ2内の1点を支点とし、XY平面内で傾斜可能に設置されている。スタイラス3の先端球4を測定物5の外郭に沿わせることで、形状測定プローブ2及びスタイラス3が相対的に移動し測定を行う。形状測定プローブ2はZ軸方向にのみ移動可能で、Z方向の走査を行うことができる。スタイラス3の上端には、プローブミラー1がXY平面に平行に固定されている。このプローブミラー1にプローブZ位置測長レーザ9、スタイラス傾き検出レーザ光10を照射し、それぞれの反射光により形状測定プローブ2のZ方向位置とスタイラスの傾きを検出することができる。
【0033】
また、測定物5はXYステージ上に設置され、XY平面内で移動することができる。このXYステージ4により、形状測定プローブ2と測定物5とを相対的にXY平面内で移動可能とする。XYステージには、ステージの位置測定のためのX参照ミラー17、Y参照ミラー16、Z参照ミラー15が固定され、それぞれのミラーにX測長レーザ7、Y測長レーザ8、Z測長レーザ6を照射することによってXYステージ4及び測定物5のXYZの位置を高精度に測定することができる。
【0034】
なお、ここでは図示しないが、測定物5を固定し、形状測定プローブをXYステージに搭載して移動させる構成であってもよい。形状測定プローブ2が移動する構成であっても、形状測定プローブ2と測定物5を相対的にXYZ方向で移動可能となり、同様に高精度な測定が可能である。
【0035】
図1Bに本実施形態にかかる形状測定装置に搭載されているスタイラス傾き検出部の構成を示す。スタイラス3は、形状測定プローブ内のA点を支点として、XY平面内で傾斜可能に設置されている。半導体レーザ11でプローブミラー1にスタイラス傾き検出レーザ光10を照射し、その反射光を4分割フォトダイオード12で検出することにより、プローブミラー1の傾きを検出することができる。4分割フォトダイオード部の詳細を図1Cに示す。スタイラス傾き検出レーザ光10の反射光は、スタイラス3が基準位置にあるとき、4分割フォトダイオード12の4ヶ所の受光部にまたがるように照射される。4つの領域a,b,c,dの受光量に比例して信号電圧Va,Vb,Vc,Vdを得ることができる。すなわち、スタイラス3が傾き、4分割フォトダイオード12に照射されるスタイラス傾き検出レーザ光10の反射光の位置が変動することで、4つの領域a,b,c,dにそれぞれ照射される受光量が変化し、それぞれの領域から出力される電圧Va,Vb,Vc,Vdの値が変動する。
【0036】
次に、本実施形態にかかる形状測定装置において行われる形状測定の工程について説明する。図1Dは、形状測定の工程を示すフロー図である。形状測定の工程は、図10の制御装置111が動作を司る。本実施形態にかかる形状測定装置は、実測定に先立ち参照テーブル測定を行い参照テーブルを作成する動作を伴う。すなわち、本実施形態にかかる形状測定装置は、実測定に先んじて参照テーブル測定を行い(#1)、この補正データに基づいて参照テーブルを作成する(#2)。その後、実測定(#3)した生データを該参照テーブルに基づいて補正した真のデータを演算する(#4)ように構成されている。上記各工程は、4分割フォトダイオード12の出力及びXYテーブルの位置に関する情報を受信して、これに基づいて演算を行う制御装置111によって行われる。
【0037】
まず、本実施形態にかかる形状測定装置の参照テーブル測定工程について説明する。図3Aは、補正データの作成及び参照テーブルを作成するアルゴリズムを示すフロー図である。
【0038】
補正データの測定においては、参考データ作成用の基準となる円筒形状の測定物13をXYステージ4上に設置し、各周方向から円筒形状の中心に向かって、形状測定プローブ2を押し当てる動作を行う(図1B参照)。実際の動作はXYステージ4を移動させ、スタイラス3に対し測定物13を相対的に移動させることで上記動作を行う(#11)。本実施例ではX軸の−方向を0度として、30度ごとに押し当てる方向を変え、押込み角度TΘとして、0度、30度、60度、・・・330度の12方向で、押し当て動作を行う。押し当てる移動量TRは、スタイラス3が測定物13の表面に接触し始める位置を0として、40μmまで押込みを行う。
【0039】
以上の動作において、押込み量TR及び押込み角度TΘを4分割フォトダイオード12の各電圧値と対応づけて記録する(#12)。すなわち、上記のように、押込み角度TΘの12方向それぞれに関して、押し込み量TR(最大40μm)のサンプリング数ごとに各領域から出力された電圧値Va,Vb,Vc,Vdをマトリクス状に記録する。4分割フォトダイオード12の各電圧値Va,Vb,Vc,Vdは、本発明の電気信号出力値の一例に相当するものである。
【0040】
#12で行う処理の理解のために、図2A,図2B,図2C,図2Dに示すようなグラフを一例として示す。図2A,図2B,図2C,図2Dに示す各グラフにおいては、横軸に押込み移動量TRと、押込み角度TΘをとり、高さ軸方向に各受光部の電圧をプロットし、3次元的に表示している。実際に得られる電圧値の数は、TΘ−TR平面のサンプリングポイントについてのみであるが、図2A,図2B,図2C,図2Dにおいては、サンプリングポイントの間の電圧値Va,Vb,Vc,Vdについて補間して図示している。実際の処理においては、#12において電圧値Va,Vb,Vc,Vdの補間をしてもよいが、必ずしも補間を行う必要はない。
【0041】
図2Aから図2Dに示すグラフの形状からわかるように、このグラフを使用して測定時に得られるVa,Vb,Vc,Vdから、押込み移動量TR及び押込み方向TΘを逆に推定することは困難である。すなわち、図2Aを例として説明すると、ある電圧値Vaをとるときの押込み移動量TR及び押込み方向TΘは一義的に決定されない。このため、ある電圧値Vaが検出された時の実際のプローブのXY平面上での位置は、明確に求めることができず、推定することは困難である。
【0042】
次に#13において、それぞれのサンプリングポイントについて、4分割フォトダイオードの各電圧Va,Vb,Vc,Vdを用い、下記数式2に基づいてX方向傾き電圧、Y方向傾き信号に相当するTXm、TYmに変換する。
【0043】
【数2】

【0044】
数式2では、TXm、TYmの演算において、半導体レーザ11の出力変動の影響を受けないように、レーザの総出力を分母にとっている。また、電圧値Va,Vb,Vc,Vdの各値はスタイラス傾き検出レーザ光10のビームのひずみ、4分割フォトダイオード12の各受光部の感度のバラツキなどの影響を受けることがあるため、これらを考慮し、適宜、一定の係数を乗じてもよい。
【0045】
さらに、スタイラス3の現実の位置を示す極座標に対応させてスタイラスの傾きから求められる座標位置を求めるために、数式3に基づいて、上記TXm、TYmを押込み移動量に相当するTRm、押込み方向の角度に相当するTΘmに変換する。本実施形態におけるTRm、TΘmは、本発明の出力位置情報の一例に相当するものである。
【0046】
【数3】

【0047】
図2EにTX,TYとTR,TΘの関係を示す。TX・TYは、XY直交座標として認識されている4分割フォトダイオードにおけるX座標値及びY座標値として認識される。すなわち、検出レーザ光10のビームの位置基準点(通常中心点である。)がS点であるとすれば、S点のX座標Y座標に基づいてTX・TYが認識される。一方、本実施形態では、スタイラスの押し込み位置を特定するための座標として、極座標(Rとθを次元軸とする。)を用いているため、S点を示すθと原点からの距離Rに基づいて座標位置の特定がされる。
【0048】
TRmとTΘmに変換した数値に基づいて、図3B,図3Dに一例として示す第1対応情報及び第2対応情報の表を作成する(#14)。図3Bにおいて縦軸はプローブ2の押込み方向を示す角度TΘ(この場合は0度、30度・・・360度)とし、横軸はプローブ2の押込み移動量TR(単位μm)として、各TΘ、TRにおけるスタイラスの傾きから求められたTRmの値(電圧値)を記載している。図3Bに示す第1対応情報では、横軸のプローブ2の押込み移動量TRについてのサンプリング数は4μmごとに11個のデータを有している。よって、TRmの値は、12個のTΘ(0度と360度は等価)と11個のTRとのマトリクスである132個である。
【0049】
同様に図3Dに示す第2対応情報は、各TΘ、TRにおけるスタイラスの傾きから求められたTΘmの値を示している。TΘmの値は、図2Eに示す角度θとして表されるため、測定装置に誤差がなければ、TΘの値と同じになる。すなわち、TΘとTΘmとの値の違いが測定装置の誤差分に相当する。
【0050】
なお、実際の処理においては、TRm及びTΘmのそれぞれ132個のサンプリング数に基づいて、間の値を補間処理により追加して、第1対応情報及び第2対応情報を作成してもよい。
【0051】
図3B及び図3Dに示す第1対応情報及び第2対応情報の表をそれぞれ、3次元グラフにプロットしたものが図3Cと、図3Eである。図3Cにおいて横軸にTΘ、TRをとり、縦軸にTRmをプロットしている。図3Cからわかるように押込み移動量TRが大きくなるにつれて、TRmの値が飽和していることが分かる。また、その飽和の度合いは押込み角度によりばらつきがあり、変化していることがわかる。
【0052】
また、図3Eから、TΘとTΘmは必ずしも正比例の関係になく、若干変化していることが分かる。ただし、どちらのグラフも、変数TR、TΘに対して、それぞれTRm、TΘmが単調増加関数となっているため、測定で得られたTRm、TΘmから、真の押込み移動量TR、押込み角度TΘを求めやすい形になっていることがわかる。
【0053】
次に、後述する参照テーブル(図4)の縦軸及び横軸を構成する任意のTXm、TYm(ここでは、TXma、TYmaとする)に基づいて、X方向押込み移動量の推定値TXe、Y方向押込み移動量の推定値TYeを求める(#15)。
【0054】
任意のTXm、TYmは、任意のサンプリング値を採用することができるが、図3B、図3Dに示した第1対応情報及び第2対応情報の表を用いて、作成されるため、#11において測定した参照テーブルの押し込み量を超えない範囲とすることが好ましい。TXma、TYmaの個数は、#12において電圧値Va,Vb,Vc,Vdを記録した場合のサンプリング数(数2に基づいてTX,TYに変換された後の値である。)としてもよい。また、#14において補間処理をして、#12におけるサンプリング値の補間がされているのであれば、必ずしも#12におけるサンプリング数に一致させる必要はない。
【0055】
#15の処理において、まず、最初に図3B、図3Dに示した第1対応情報及び第2対応情報の表(第1対応情報及び第2対応情報について補間処理がされていてもよい)を用いTXma、TYmaを前記と同様に変換を行い、数式4に基づいてTRma、TΘmaを算出する。TRma、TΘmaの算出は、表に用いられている2次元座標である極座標の次元軸に合わせるためである。
【0056】
【数4】

【0057】
このように変換された任意のTRma、TΘmaに対して、TRの推定値TRe、TΘの推定値TΘeを推定するアルゴリズムを図3Fに示す。#151では図3Gのように図3Cに示すグラフ又は図3Bに示す表を用いて、TRmの値が、TRmaとなっている部分を抽出し、これらを第1近似関数の一例である曲線TRCとして認識する(図3Gの一点鎖線)。具体的には、各TΘにおいてTR−TRmのグラフから、値がTRmaとなるTRの値を求める。図3Bに示す表を用いて具体的に説明すると、任意に定められたTRmaを0.16とすると、(TΘ、TR)が(0,8),(90,8),(150,8),(180,8),(210,8),(240,8),(270,8),(300,8)が選択される。このように抽出された各TRmについて、補完されていない表を用いてTRmaの抽出が行われた場合などは、前述したようにこのグラフはTRに対してTRmが単調増加関数となるので、容易にTRmの値を補間することができる。このグラフにおいてTRの値は離散的な数値であるため、任意のTRmaの値に対して正確なTRの値を求めるには、直線補間、またはスプライン補間等の補間関数によって各TRmの点をつなぎ、その関数により、任意のTRmaに対するTRを求める必要がある。
【0058】
一方、図3Bに示す表においてすでに補間処理がなされている場合は、TRmの抽出の処理において、TRmの抽出数が多いことから、抽出されたTRmのみでTRCを認識可能である。したがって、この処理において必ずしも補間処理をする必要はない。
【0059】
また、図3Bの表の各値がノイズを含んでいる場合、適宜、フィルタ処理等により、平滑化処理を行う必要がある。平滑化処理を行わない場合は、各TRmの値を正確につなぐのではなく、多項式の近似関数を用いてもよい。例えば最小自乗法により関数と各TRmの値との誤差が最も小さくなる、TRを変数とした3次関数を求めることでノイズ成分を取り除きながら、任意のTRmaに対するTRを求めることができる。このようにして各TΘでのTRを求め、それぞれの値をつなぐスプライン関数を求めることにより、第1近似関数である曲線TRCを求めることができる。曲線TRCを求める方法としてはスプライン関数以外にも、直線補間関数、ラグランジュ補間関数等が考えられる。また、それぞれの値を正確につなぐのではなく、多項式の近似関数を用いてもよい。
【0060】
次に、#152では、図3Hに示すように図3Eに示すグラフ又は図3Dに示す表を用いて、グラフのTΘmの値が、TΘmaとなる部分を抽出し、これらの抽出点をつないだ第2近似関数の一例である曲線TΘCを求める(図3H参照)。求め方は曲線TRCと同様である。
【0061】
上記のようにして得られた第1近似関数の一例である曲線TRCはTΘに対するTRの関数であり、第2近似関数の一例である曲線TΘCはTRに対するTΘの関数である。すなわち、上記曲線TRC及び曲線TΘC上のいずれかの点に、真の値に最も近い補正値が含まれているであろうことが想定される。したがって、これらの曲線TRCと曲線TΘCとの交点位置は、TR、TΘ共に、補正値として高精度の推定値であるものと考えることができる。
【0062】
したがって、上記の処理(#151,#152)により求められた曲線TRC及び曲線TΘCの交点座標を求め、当該交点座標をTR、TΘの推定値TRe、TΘeとする。(#153、図3I参照)
【0063】
求められたTRe、TΘeを下記の数式5に基づいて変換するとTXe、TYeを求めることができる。これらの処理を所望のサンプリング数TRma、TΘmaに関して、TRe、TΘeの演算を行う。
【0064】
【数5】

【0065】
#16では、上記工程で得られた値TRe、TΘeに基づいて、縦軸にTXm、横軸にTYmとして、推定値TXe、TYeを記載した参照テーブルを作成する。図4に参照テーブルの一例を示す。
【0066】
この例では簡略化のため、縦軸と横軸の刻み値(TRma、TΘmaのサンプリング数)は大きくとっているが、実際には精度を上げるためにもっと小さい刻み値にすることができる。例えば参照テーブルの補正範囲を40μm以下の押込み移動量に適用する場合は、刻みを1000分割にすると、0.04μm刻みでのテーブルができ、それを直線補間することにより、0.01μm程度の精度の補正が可能となる。
【0067】
以上のようにして作成された参照テーブルを用い、実測定(#3)時に得られた測定データの補正方法(#4)について図5により説明する。図1Aに示すように、測定物を測定する場合、スタイラスの傾き検出信号として4分割フォトダイオードから、実測定時における4領域の信号Va,Vb,Vc,Vdを得る。(#31)この信号から、下記の式6により、X方向傾き信号TXm、Y方向傾き信号TYmに変換する。(#32)
【0068】
【数6】

【0069】
上記TXm、TYmから、図4の参照テーブルにより、TX、TYを求める(#33)。例えば、実測値の測定値TXmが−0.3、実測値の測定値TYmが−0.1である場合は、補正推定値はTX−13.9が、TYが−6.6となる。なお実測定により得られたTXm、TYmは離散的な数字なので、補間式を用いて、任意のTXm、TYmに対するTX、TYを求めるようにしてもよい。なお、図4に示す参照テーブルのTXm、TYmの刻み値が十分に小さければ、2次元の直線補間法であるバイリニア法により求めることができる。
【0070】
上記のTX、TYは形状測定プローブ2に対してスタイラス先端が相対的な変位であり、形状測定プローブの測定物に対する相対的な位置はX、Y、Z測長レーザにより求める。図1AにおけるX測長レーザ7、Y測長レーザ8、Z測長レーザ6により、XYステージ及び測定物5のXYZ位置を求め、プローブ高さ測長レーザ9により形状測定プローブ2のZ位置を求めることができ、この値を演算することにより形状測定プローブの測定物に対する相対的な位置(X、Y、Z)を求めることができる。この位置に対して、下記の数式7により、測定物に対するスタイラスの接触位置X'、Y'、Z'を求めることができる。
【0071】
【数7】

【0072】
上記計算式は、スタイラス3の傾き量が小さいときの近似式であるが、スタイラス長さが20mm程度、スタイラス先端移動距離が10μm程度では、0.0025μmの誤差となる。さらに正確に求めるためには、下記数式8に基づいて演算する。
【0073】
【数8】

上記数式において、Lはスタイラス3の長さである。
【0074】
測定物の測定パスに沿って、プローブを動作させることにより、上記接触位置の点群を求めることができ、測定物の形状を測定することができる。
【0075】
なお、前記参照テーブル測定工程において、形状測定プローブ2を円筒形状の測定物13に押し当てる動作は、XYステージの代わりに圧電素子を用いた駆動ユニットを設けて行ってもよい。また、円筒形状の測定物13の代わりに平面形状のものを用いて、押し当て方向に垂直に面が向くようにZ軸まわりに回転させながら、押し当て動作を行ってもよい。
【0076】
また、円筒形状の測定物13の代わりに球形状の測定物を使用しても同様の測定が可能である。
【0077】
参照テーブルとして、前記の説明ではTXm、TYmに対するTX,TYを対応付けるテーブルを作成したが、代わりにTRm、TYmに対するTR、TYを対応付けるテーブルを作成し、測定時にTRm、TΘmを求め、参照テーブルを用いて一旦TR、TΘを求め、そこからTX、TYに変換し、接触位置の計算を行ってもよい。
【0078】
(第2実施形態)
適用する形状測定装置は第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。参照テーブル測定工程が第1実施形態と異なり、その方法を以下に説明する。
【0079】
図6A、図6Bに示すように、本実施形態においては、スタイラス先端をXY方向に移動させる。図6A及び図6Bにおいて、14はスタイラス先端を移動させる冶具で、XY平面方向にV字型に開いた形状となっている。冶具14は形状測定装置のXYステージ上に固定され、図6Aにおいては、冶具14の二つの面をスタイラス先端に接触させ、Xの+方向、Yの+方向に任意に移動させることができる。上記冶具14の移動はXYステージの移動によるが、冶具14を圧電素子等の駆動ユニットを用いて、移動させてもよい。冶具14はZ軸まわりに回転することができ、図6BにおいてはXの−方向、Yの+方向に任意に移動させることができる。同様にして、Xの−方向、Yの−方向への移動、Xの+方向、Yの−方向への移動も冶具14を回転することにより可能である。
【0080】
図6Aにおいて、押込み移動位置、TX=0、4μm、8μm、12μm、・・・40μmの位置、TY=0、4μm、8μm、12μm、・・・40μmの位置の11x11の121回分の測定について4分割フォトダイオード12の各電圧値を取り込みを行う。残りの3象限に関しても同じように冶具14を回転して取り込みを行う。
【0081】
図7Aにおいて参照テーブル作成のアルゴリズムについて説明する。#41、#42は、上記第1実施形態において説明したとおりである。
【0082】
#43において、数式8に基づいて4分割フォトダイオードの各電圧をX方向の出力位置情報TXm、Y方向の出力位置情報TYmに変換する。
【0083】
【数9】

【0084】
ここで数式9では、TXm、TYmの演算において、半導体レーザ11の出力変動の影響を受けないように、レーザの総出力を分母にとっている。また、電圧値Va,Vb,Vc,Vdの各値はスタイラス傾き検出レーザ光10のビームのひずみ、4分割フォトダイオード12の各受光部の感度のバラツキなどの影響を受けることがあるため、これらを考慮し、適宜、一定の係数を乗じてもよい。
【0085】
この変換した数値により、図7B,図7Dに一例として示す表を作成する(#43)。図7Bにおいて縦軸はX方向を押込み移動量TX(ここでは−40μm〜40μm)とし、横軸は押込み移動量TY(ここでは−40μm〜40μm)として、各TX、TYにおけるTXmの値を記載した第1対応情報となる。また、図7Dは同様に、TYmの値を記載した第2対応情報となる。図7Bと、図7Dの表をそれぞれ、3次元グラフにプロットしたものが図7Cと、図7Eである。図7Cにおいて横軸にTX、TYをとり、縦軸にTXmをプロットしている。
【0086】
図7C,図7Eに示すように、どちらのグラフも押込み移動量が大きい場合に、飽和が起きていることがわかる。ただし、どちらのグラフも、変数TX、TYに対して、それぞれTXm、TYmが単調増加関数となっているため、測定で得られたTXm、TYmから、真の押込み移動量TX,TYを求めやすい形になっていることがわかる。
【0087】
#44において、任意のTXm、TYm(ここでは、TXma、TYmaとする)に対して図7B、図7Dの表を用いて、X方向押込み移動量の推定値TXe、Y方向押込み移動量の推定値TYeを求める。
【0088】
任意のTXma、TYmaに対して、TXの推定値TXe、TYの推定値TYeを推定するアルゴリズムを図7Fに示す。#441では図7Gのように図7Cのグラフ(図7Bの表)を用いて、グラフのTXmの値が、TXmaとなる部分の第1近似関数の例として曲線TXCを求める(図7Gの一点鎖線)。具体的には、各TYにおいてTX−TXmのグラフから、値がTXmaとなるTXの値を求める。このように抽出された各TXmについて、補完されていない表を用いてTXmaの抽出が行われた場合などは、前述したようにこのグラフはTYに対してTXmが単調増加関数となるので、容易にTXmの値を補間することができる。
【0089】
前述したようにこのグラフはTXに対してTXmが単調増加関数となるので、容易にTXの値を求めることができる。このグラフにおいてTXの値は離散的な数値であるため、任意のTXmaの値に対して正確なTXの値を求めるには、直線補間、またはスプライン補間等の補間関数によって各TXmの点をつなぎ、その関数により、任意のTXmaに対するTXを求める必要がある。
【0090】
また、図7Bの表の各値がノイズを含んでいる場合、適宜、フィルタ処理等により、平滑化処理を行う必要がある。平滑化処理を行わない場合は、各TXmの値を正確につなぐのではなく、多項式の近似関数を用いてもよい。例えば最小自乗法により関数と各TXmの値との誤差が最も小さくなる、TXを変数とした3次関数を求めることでノイズ成分を取り除きながら、任意のTXmaに対するTXを求めることができる。
【0091】
このようにして各TXでのTXmを求め、それぞれの値をつなぐスプライン関数を求めることにより、第1近似関数としての曲線TXCを求めることができる。関数TXCを求める方法としてはスプライン関数以外にも、直線補間関数、ラグランジュ補間関数等が考えられる。また、それぞれの値を正確につなぐのではなく、多項式の近似関数を用いてもよい。
【0092】
次いで、#442では図7Hに示すように図7Eのグラフ又は図7Dの表を用いて、グラフのTYmの値が、TYmaとなる部分の第2近似関数の例である曲線TYCを求める(図7Hの点線)。曲線TYCの求め方は曲線TXCと同様である。曲線TXCはTYに対するTXの関数であり、曲線TYCはTXに対するTYの関数である。
【0093】
上記の処理により求められた曲線TXC及び曲線TYCの交点座標を求め、当該交点座標をTX、TYの推定値TXe、TYeとする(#443、図7I参照)。
【0094】
#45では、上記で得られた値により、縦軸にTXm、横軸にTYmとして、推定値TXe、TYeを記載した参照テーブルを作成する。参照テーブルの一例としては、第1実施形態に示した図4と同様のものである。
【0095】
参照テーブルの使用方法については第1実施形態と同じであるので説明を省略する。第2実施形態では、パラメータとしてTXm、TYmを使用できるので、参照テーブルの作成が、簡単になるが、ディメリットとしては冶具14で、スタイラスをTX、TY方向に移動する際に、スタイラスにZ軸まわりのねじれ方向に力が加わる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば簡単な装置で高精度の測定ができるために形状測定装置にかかわらず微小な移動量を知る必要のあるもの例えば精密加工機などにも応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1A】本発明の第1、第2実施形態における形状測定装置の部分構成図
【図1B】本発明の第1、第2実施形態におけるスタイラス傾き検出部の構成を示す図
【図1C】本発明の第1実施形態における4分割フォトダイオード部の構成を示す図
【図1D】本発明の第1、第2実施形態における形状測定の工程を示すフロー図
【図2A】本発明の第1実施形態における4分割フォトダイオードの領域aの電圧のグラフ
【図2B】本発明の第1実施形態における4分割フォトダイオードの領域bの電圧のグラフ
【図2C】本発明の第1実施形態における4分割フォトダイオードの領域cの電圧のグラフ
【図2D】本発明の第1実施形態における4分割フォトダイオードの領域dの電圧のグラフ
【図2E】本発明の第1実施形態におけるTX,TY及びTR,TΘの関係を示す図
【図3A】本発明の第1実施形態における参照テーブル作成アルゴリズムを示す図
【図3B】本発明の第1実施形態における信号TRmの表の一例を示す図
【図3C】本発明の第1実施形態における信号TRmのグラフの一例を示す図
【図3D】本発明の第1実施形態における信号TΘmの表の一例を示す図
【図3E】本発明の第1実施形態における信号TΘmのグラフの一例を示す図
【図3F】本発明の第1実施形態におけるTRe、TΘeを求めるアルゴリズムを示す図
【図3G】本発明の第1実施形態における曲線TRCを表すグラフの一例を示す図
【図3H】本発明の第1実施形態における曲線TΘCを表すグラフの一例を示す図
【図3I】本発明の第1実施形態におけるTRe、TΘe算出を説明するグラフの一例を示す図
【図4】本発明の第1、第2実施形態における参照テーブルの一例を示す図
【図5】本発明の第1実施形態における参照テーブルの使用方法の説明図
【図6A】本発明の第2実施形態における補正データの測定方法の説明図
【図6B】本発明の第2実施形態における補正データの測定方法の説明図
【図7A】本発明の第2実施形態における参照テーブル作成アルゴリズムを示す図
【図7B】本発明の第2実施形態における信号TXmの表の一例を示す図
【図7C】本発明の第2実施形態における信号TXmのグラフの一例を示す図
【図7D】本発明の第2実施形態における信号TYmの表の一例を示す図
【図7E】本発明の第2実施形態における信号TYmのグラフの一例を示す図
【図7F】本発明の第2実施形態におけるTXe、TYeを求めるアルゴリズムを示す図
【図7G】本発明の第2実施形態における曲線TXCを表すグラフの一例を示す図
【図7H】本発明の第2実施形態における曲線TYCを表すグラフの一例を示す図
【図7I】本発明の第2実施形態におけるTXe、TYe算出を説明するグラフの一例を示す図
【図8】スタイラスをX方向に傾斜させたときの、スタイラスの傾きに相当するプローブの押込み移動量TXと、4分割フォトダイオードの各領域の電圧の関係を示す図
【図9】従来の3次元測定装置の構成図
【図10】図9における測定点情報決定部の構成図
【図11】図9における傾き検出光学系の構成図
【図12】角度検出器と光スポット中心の変位方向に関する説明図
【図13A】相対位置座標データ及び傾きデータと接触点の関係図
【図13B】相対位置座標データ及び傾きデータと接触点の関係図
【図13C】相対位置座標データ及び傾きデータと接触点の関係図
【図13D】相対位置座標データ及び傾きデータと接触点の関係図
【図14】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、被測定物とスタイラスの位置関係及び角度検出器と光スポット中心位置の関係について簡易的に説明するための、被測定物にスタイラスを押込みが目標値となるように接触させている状態の上面図と正面図を含む説明図
【図15】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、被測定物とスタイラスの位置関係及び角度検出器と光スポット中心位置の関係について簡易的に説明するための、スタイラスの傾きに対する角度検出器と光スポット中心及び制御目標値を簡易的に示す表現図
【図16A】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、測定動作の説明図であって、上側の図は被測定物とスタイラスが接触する際のスタイラスの支点と接触点の位置関係を示す説明図であり、下側の図は角度検出器における光スポット中心の位置関係を示す説明図
【図16B】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、測定動作の説明図であって、上側の図は被測定物とスタイラスが接触する際のスタイラスの支点と接触点の位置関係を示す説明図であり、下側の図は角度検出器における光スポット中心の位置関係を示す説明図
【図16C】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、測定動作の説明図であって、上側の図は被測定物とスタイラスが接触する際のスタイラスの支点と接触点の位置関係を示す説明図であり、下側の図は角度検出器における光スポット中心の位置関係を示す説明図
【図16D】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、測定動作の説明図であって、上側の図は被測定物とスタイラスが接触する際のスタイラスの支点と接触点の位置関係を示す説明図であり、下側の図は角度検出器における光スポット中心の位置関係を示す説明図
【図16E】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、測定動作の説明図であって、上側の図は被測定物とスタイラスが接触する際のスタイラスの支点と接触点の位置関係を示す説明図であり、下側の図は角度検出器における光スポット中心の位置関係を示す説明図
【図16F】従来技術を用いて、被測定物の測定面を測定する際の、測定動作の説明図であって、上側の図は被測定物とスタイラスが接触する際のスタイラスの支点と接触点の位置関係を示す説明図であり、下側の図は角度検出器における光スポット中心の位置関係を示す説明図
【符号の説明】
【0098】
1 プローブミラー
2 形状測定プローブ
3 スタイラス
4 XYステージ
5 測定物
6 Z測長レーザ
7 X測長レーザ
8 Y測長レーザ
9 プローブ高さ測長レーザ
10 スタイラス傾き検出レーザ
11 半導体レーザ
12 4分割フォトダイオード
13 円筒形状の測定物
14 冶具
15 Z参照ミラー
16 Y参照ミラー
17 X参照ミラー
100 3次元形状測定装置
101 レーザ光源
102 プローブ
103 スタイラス
104 スタイラスの先端球
104a〜104g スタイラス先端球の中心
105 ミラー
106 スタイラス傾き角度検出部(角度検出部)
108 位置座標測定部
109 加算部
111 制御装置
112 X軸ステージ
113 Y軸ステージ
114 Z軸ステージ
115 Z参照ミラー
116 ミラー
117 スタイラス回転中心
118 被測定物とスタイラスの先端球との接触点
119 角度検出器上における制御目標位置
120 測長座標系上における制御目標位置
200 被測定物
200a 被測定面
300a〜300c 光スポット中心
302 光スポット中心
301a〜301e 光スポット中心
303a〜303f 光スポット中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元平面に沿った方向の外力により先端が傾斜可能でかつレーザ光を反射するミラーを有するスタイラスと、前記スタイラスに設けられたミラーによって反射されたレーザ光を集光してそれぞれの領域についての電気信号を出力する多領域分割フォトセンサとを備えた3次元形状測定装置を用いた3次元形状の測定方法において、
前記スタイラスを平面上で所定量移動させた場合の前記多領域分割フォトセンサからの電気信号出力値を前記スタイラスの移動量情報と対応づけて記録し、
前記電気信号出力値に基づいて、前記出力値が示す前記多領域分割フォトセンサの出力値から示される平面上の出力位置情報を算出し、
前記平面を構成する第1次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの平面上での移動量情報に対応づけた第1対応情報を作成し、
前記平面を構成する第2次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの前記平面上での移動量情報に対応づけた第2対応情報を作成し、
第1次元軸における任意の値における前記第1対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第1近似関数を作成し、
第2次元軸における任意の値における前記第2対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第2近似関数を作成し、
前記第1近似関数と第2近似関数の交点を算出し、前記算出された交点の前記平面上座標値をそれぞれ第1次元値及び第2次元値とする推定値を作成し、
前記任意の値における第1対応情報及び第2対応情報をパラメータとする対応軸に対して、前記推定値を対応づけた参照テーブルを作成し、
実測定した測定値データについて、実測時の前記スタイラスの位置情報が前記参照テーブルの前記対応軸に対応する前記推定値を用いて、前記実測値データを補正し、実測定の補正後の平面上の位置情報を得ることを特徴とする形状測定方法。
【請求項2】
前記多領域分割フォトセンサは、前記スタイラスの傾斜可能方向であるXY方向に対応して格子状に配列された4つの分割領域を有する4分割フォトセンサであることを特徴とする、請求項1に記載の形状測定方法。
【請求項3】
前記スタイラス先端をXY平面上で2軸直交座標に沿って移動して得られる多領域分割フォトセンサの4つの電気信号出力に対して、X軸方向に隣り合う2つの領域の出力和同士の差に基づいて得られるデータをX軸の出力位置情報とし、
Y軸方向に隣り合う2つの領域の出力和同士の差に基づいて得られるデータをY軸の出力位置情報することを特徴とする請求項2に記載の形状測定方法。
【請求項4】
曲座標の円周角方向について外周から中心方向に沿ってスタイラス先端を所定の移動量だけ移動し得られる多領域分割フォトセンサの4つの電気信号出力に対して、X軸方向に隣り合う2つの領域の出力和同士の差に基づいて得られるXデータ及び、Y軸方向に隣り合う2つの領域の出力和同士の差に基づいて得られるYデータを求めた後、XデータをX方向のベクトル成分、YデータをY方向のベクトル成分として、ベクトルの大きさを示すスカラー情報、ベクトルの方向を示すベクトル情報を有する出力位置情報とすることを特徴とする請求項2に記載の形状測定方法。
【請求項5】
該多領域分割フォトセンサの4つの電気信号出力に対して、それぞれの相互差を補正する一定の係数を乗じる工程を備えることを特徴とする、請求項2から4のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項6】
X軸方向に隣り合う2つの領域の出力和同士の差及び、Y軸方向に隣り合う2つの領域の出力和同士の差をそれぞれ、前記4つの電気信号の総和で除した値に基づいて、出力位置情報を演算することを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項7】
前記スタイラスを平面上で所定量移動させた場合のサンプリング値に関して、前記多領域分割フォトセンサからの電気信号出力値を補間処理を行うことによって、前記出力位置情報の個数を増大させることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項8】
前記平面を構成する第1次元軸及び第2次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記移動量情報のサンプリング値に対して、補間処理を行うことによって、第1対応情報及び第2対応情報の個数を増大させることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項9】
第1次元軸及び第2次元軸における任意の値のサンプリング値に対して、前記スタイラスの移動量情報について補間処理を行うことによって、前記スタイラスの移動量情報の個数を増大抽出し、前記抽出及び補間された移動量情報を包含する関数である第1近似関数及び第2近似関数を作成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項10】
2次元平面に沿った方向の外力により先端が傾斜可能でかつレーザ光を反射するミラーを有するスタイラスと、前記スタイラスに設けられたミラーによって反射されたレーザ光を集光してそれぞれの領域についての電気信号を出力する多領域分割フォトセンサと、前記スタイラスの位置及び前記多領域分割フォトセンサからの出力値に基づいて、前記スタイラスの位置を演算する制御演算部を備えた3次元形状測定装置において、
前記制御演算部は、
前記スタイラスを平面上で所定量移動させた場合の前記多領域分割フォトセンサからの電気信号出力値を前記スタイラスの移動量情報と対応づけて記録し、
前記電気信号出力値に基づいて、前記出力値が示す前記多領域分割フォトセンサの出力値から示される平面上の出力位置情報を算出し、
前記平面を構成する第1次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの平面上での移動量情報に対応づけた第1対応情報を作成し、
前記平面を構成する第2次元軸に対する前記出力位置情報の値を、前記スタイラスの前記平面上での移動量情報に対応づけた第2対応情報を作成し、
第1次元軸における任意の値における前記第1対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第1近似関数を作成し、
第2次元軸における任意の値における前記第2対応情報が示す前記スタイラスの移動量情報を抽出し、前記抽出された移動量情報を包含する関数である第2近似関数を作成し、
前記第1近似関数と第2近似関数の交点を算出し、前記算出された交点の前記平面上座標値をそれぞれ第1次元値及び第2次元値とする推定値を作成し、
前記任意の値における第1対応情報及び第2対応情報をパラメータとする対応軸に対して、前記推定値を対応づけた参照テーブルを作成し、
実測定した測定値データについて、実測時の前記スタイラスの位置情報が前記参照テーブルの前記対応軸に対応する前記推定値を用いて、前記実測値データを補正し、実測定の補正後の平面上の位置情報を得ることを特徴とする形状測定装置。
【請求項11】
前記多領域分割フォトセンサは、前記スタイラスの傾斜可能方向であるXY方向に対応して格子状に配列された4つの分割領域を有する4分割フォトセンサであることを特徴とする、請求項10に記載の形状測定装置。
【請求項12】
前記スタイラス先端の移動量を測定するための圧電素子をさらに備えることを特徴とする請求項10又は11に記載の形状測定装置。
【請求項13】
前記スタイラス先端の移動量をXYステージの動作より得ることを特徴とする請求項10から12のいずれか1つに記載の形状測定装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【公開番号】特開2009−287991(P2009−287991A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139071(P2008−139071)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】