説明

径方向流路を含む超音速圧縮機ロータを組み立てるシステム及び方法

【課題】流体が略径方向の流路を流れ易くする超音速圧縮機ロータを提供する。
【解決手段】速圧縮機ロータは、略円筒形の端壁60と、径方向内側の表面56と、径方向外側の表面58とを含むロータディスク48であって、端壁が径方向内側の表面と径方向外側の表面との間に延在する構成のロータディスク48と、端壁に結合された複数のベーン46であって、該ベーンが端壁から外側に延在し、隣接するベーンが対偶74を形成し、周方向で隣接する各対のベーン間に流路が画成されるように端壁から周方向距離で離間され、流路が流入口78と流出口80との間に略径方向に延在する構成のベーン46と、端壁に結合され、流路内に少なくとも1つの圧縮波102が形成されることを促進するため流路内に配置される第1の超音速圧縮ランプ100とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して超音速圧縮機システムに関し、特に超音速圧縮機システムで使用される超音速圧縮機ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の超音速圧縮機システムの少なくとも幾つかは、駆動アセンブリと、駆動軸と、流体を圧縮するための少なくとも1つの超音速圧縮機ロータとを含む。駆動アセンブリは、駆動軸と超音速圧縮機ロータとを回転させるため、駆動軸で超音速圧縮機ロータに結合される。
【0003】
公知の超音速圧縮機ロータは、ロータディスクに結合された複数のストレークを含む。各ストレークはロータディスクの周りに周方向に配向され、隣接するストレーク間に軸方向流路を画成する。公知の超音速圧縮機ロータの少なくとも幾つかは、ロータディスクに結合された超音速圧縮ランプを含む。公知の超音速圧縮ランプは軸方向流路内に配置され、流路内に圧縮波を形成するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7337606B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の超音速圧縮機システムの動作中、駆動アセンブリは高い回転速度で超音速圧縮機ロータを回転させる。流体は、流路で超音速圧縮機ロータに対して超音速であることが特徴となるように超音速圧縮機ロータへと流れる。公知の超音速圧縮機ロータの少なくとも幾つかは、流路から軸方向に流体を流出する。流体が軸方向に流れる際に、超音速圧縮機ロータの下流の超音速圧縮機システムの構成部品は、軸方向の流れを受けるように設計される必要がある。従って、公知の超音速圧縮機システムは、流体を軸方向に流出するための追加の構成部品を必要とした。公知の超音速圧縮機システムは、例えば2005年3月28日、及び2005年3月23日にそれぞれ出願された米国特許第7,334,990号、及び7,293,955号、及び2009年1月16日に出願された米国特許出願公開第2009/0196731号に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、超音速圧縮機ロータを提供する。超音速圧縮機ロータは、略円筒形の端壁と、径方向内側の表面と、径方向外側の表面とを含むローラディスクを含む。端壁は、径方向内側の表面と径方向外側の表面との間に延在する。複数のベーンが端壁に結合される。ベーンは端壁から外側に延在する。隣接するベーンは対偶を形成し、周方向で隣接する各対のベーン間に流路が画成されるように周方向距離で離間される。流路は流入口と流出口との間に略径方向に延在する。第1の超音速圧縮ランプが端壁に結合される。流路内に少なくとも1つの圧縮波が形成されることを促進するため、第1の超音速圧縮ランプは流路内に配置される。
【0007】
別の実施形態では、超音速圧縮機システムを提供する。超音速圧縮機システムは、流入口と流出口との間に延在する空洞を画成する内表面を含む。ロータ軸はハウジング内に配置される。ロータ軸は駆動アセンブリに回転可能に結合される。超音速圧縮機ロータはロータ軸に結合される。超音速圧縮機ロータは、流体を流入口から流出口へと流すために流入口と流出口との間に配置される。超音速圧縮機ロータは、略円筒形の端壁と、径方向内側の表面と、径方向外側の表面とを含むロータディスクを含む。端壁は、径方向内側の表面と径方向外側の表面との間に延在する。複数のベーンが端壁に結合される。ベーンは端壁から外側に延在する。隣接するベーンは対偶を形成し、周方向で隣接する各対のベーン間に流路が画成されるように周方向距離で離間される。流路は流入口と流出口との間に略径方向に延在する。第1の超音速圧縮ランプが端壁に結合される。流路内に少なくとも1つの圧縮波が形成されることを促進するため、第1の超音速圧縮ランプは流路内に配置される。
【0008】
更に別の実施形態では、超音速圧縮機ロータの組み立て方法を提供する。方法は、端壁と、径方向内側の表面と、径方向外側の表面とを含むロータディスクを備えるステップを含む。端壁は径方向内側の表面と径方向外側の表面との間に延在する。複数のベーンが端壁に結合される。隣接するベーンは対偶を形成し、周方向で隣接する各対のベーン間に流路が画成されるように周方向距離で離間される。流路は流入口と流出口との間に略径方向に延在する。第1の超音速圧縮ランプが端壁に結合される。第1の超音速圧縮ランプは、流路内に少なくとも1つの圧縮波を形成できるように構成される。
【0009】
本発明の上記及びその他の特徴、態様、及び利点は、全図面を通して同様の参照符号が同様の部品を示す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによってより明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的な超音速圧縮機システムの概略図である。
【図2】図1の超音速圧縮機システムに使用し得る例示的な超音速圧縮機ロータの分解斜視図である。
【図3】図2の超音速圧縮機ロータの断面図である。
【図4】図2の超音速圧縮機ロータの別の断面図である。
【図5】図4の超音速圧縮機ロータの代替実施形態の断面図である。
【図6】図4の超音速圧縮機ロータの別の代替実施形態の断面図である。
【0011】
別途指示がない限り、本明細書に記載の図面は、本発明の重要な発明的特徴を示すことを意味する。これらの重要な発明的特徴は、本発明の1つ又は複数の実施形態を含む多様なシステムに応用できると思われる。従って、図面は、当業者には公知の本発明を実施するために必要な従来の特徴の全てを含むことを意味するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の明細書、及びその後の請求項で、以下の意味を有するものと定義される幾つかの用語を参照する。
【0013】
単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈が別段の明確な指示をしない限り複数の指示対象を含む。
【0014】
「任意の」又は「任意に」は、以下に記載の事象又は環境が生じても生じなくてもよく、且つ記載は事象が生じる例と、生じない例とを含むことを意味する。
【0015】
明細書と請求項を通して本明細書で用いる近似的用語は、それが関連する基本的機能を変えることなく変化できる任意の量的表現を修飾するために用いることができる。従って、「約」及び「実質的に」などの1つ又は複数の用語で修飾された値は、指定された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも幾つかの場合は、近似的用語は数値を測定する計器の精密度に対応することがある。ここで、及び明細書及び請求項を通して、範囲の限定性を組み合わせ、且つ/又は入れ替えてもよく、このような範囲は、文脈又は用語が別段の指示をしない限り、そこに含まれる部分範囲として特定され、且つ部分範囲を含み得る。
【0016】
本明細書で用いる「超音速圧縮機ロータ」は、超音速圧縮機ロータの流体流路内に配置される超音速圧縮ランプ備える圧縮ロータを指す。超音速圧縮機ロータは、回転軸を中心に高速度で回転するように設計されるので「超音速」と言われ、従って、ロータの流路内に配置された超音速圧縮ランプで回転する超音速圧縮機ロータに遭遇する、例えば移動ガスなどの移動流体は、超音速である相対流速を有するものと言われる。相対流速は超音速圧縮ランプでのロータ速度と、超音速圧縮ランプに遭遇する直前の流体速度とのベクトル和として定義することができる。この相対流速は、場合によっては「局部超音速流入口速度」と呼ばれ、これはある実施形態では、流入ガス速度と、超音速圧縮機ロータの流路内に配置された超音速圧縮ランプの接線速度との組み合わせである。超音速圧縮機ロータは、例えば300メートル/秒〜800メートル/秒の範囲の接線速度などの極めて高速の接線速度用に稼働するように設計される。
【0017】
本明細書に記載の例示的システム及び方法は、流体が略径方向の流路を流れ易くする超音速圧縮機ロータを設けることによって、公知の圧縮機アセンブリの欠点を克服する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、ロータディスクの端壁に結合されて径方向の流路を画成する超音速圧縮ランプを含む。加えて、超音速圧縮機ロータに径方向流路を設けることによって、径方向吐出口を有するように超音速圧縮機システムを設計することが可能になる。
【0018】
図1は、例示的超音速圧縮機システム10の概略図である。例示的実施形態では、超音速圧縮機システム10は吸込部12と、吸込部12の下流に結合された圧縮部14と、圧縮部14の下流に結合された吐出部16と、駆動アセンブリ18とを含む。圧縮部14は、駆動軸22を含むロータアセンブリ20によって駆動アセンブリ18に結合される。例示的実施形態では、吸込部12、圧縮部14、及び吐出部16は各々、圧縮機ハウジン部24内に位置する。より具体的には、圧縮機ハウジング24は、流入口26、流出口28、及び空洞32を画成する内表面30を含む。空洞32は流入口26と流出口28との間に延在し、流体を流入口26から流出口28へと流すように構成される。吸込部12、圧縮部14、及び吐出部16の各々は空洞32内に位置する。あるいは、吸込部12及び/又は吐出部16は、圧縮機ハウジング24内に位置しなくてもよい。
【0019】
例示的実施形態では、流入口26は、流体の流れを流体源34から吸込部12へと流すように構成される。流体は、例えば液体、ガス、ガス混合物、及び/又は液体−ガス混合物などの任意の流体である。吸込部12は、流体を流入口26から圧縮部14に流すために圧縮部14と流体連通するようにこれに結合される。吸込部12は、速度、質量流量、圧力、温度、及び/又は任意の適宜の流れパラメータなどの1つ又は複数の所定のパラメータを有する流体の流れ状態を調節するように構成される。例示的実施形態では、吸込部12は、流体を流入口26から圧縮部14に流すように流入口26と圧縮部14との間に結合された流入口ガイドベーンアセンブリ36を含む。流入口ガイドベーンアセンブリ36は、圧縮機ハウジング24に結合され、圧縮部14に対して静置された1つ又は複数の流入口ガイドベーン38を含む。
【0020】
圧縮部14は、流体の少なくとも一部を吸込部12から吐出部16に流すために吸込部12と吐出部16との間に結合される。圧縮部14は、駆動軸22に回転可能に結合された少なくとも1つの超音速圧縮機ロータ40を含む。超音速圧縮機ロータ40は、流体の圧力を高め、流体の容積を低減し、且つ/又は吐出部16に流れる流体の温度を高めるように構成される。吐出部16は、流体を超音速圧縮機ロータ40から流出口28に流すために超音速圧縮機ロータ40と流出口28との間に結合された流出口ガイドベーンアセンブリ42を含む。流出口28は、流体を流出口ガイドベーンアセンブリ42及び/又は超音速圧縮機ロータ40から、例えばタービンエンジンシステム、流体処理システム、及び/又は流体貯蔵システムなどの出力システム44に流すように構成される。
【0021】
動作中、吸込部12は流体を流体源34から圧縮部14の方向に流す。圧縮部14は流体を圧縮し、圧縮された流体を吐出部16の方向に吐出する。吐出部16は圧縮された流体を圧縮部14から流出口28を通って出力システム44へと流す。
【0022】
図2は、超音速圧縮機ロータ40の分解斜視図である。図3は、超音速圧縮機ロータ40の断面図である。図4は、超音速圧縮機ロータ40の一部の別の断面図である。例示的実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、ロータディスク48に結合された複数のベーン46を含む。ロータディスク48は、中心線軸54に沿ってディスク本体50を通って略軸方向に延在する円筒形の内部空洞52を画成する環状ディスク本体50を含む。ディスク本体50は、径方向内側の表面56と、径方向外側の表面58と、端壁60とを含む。径方向内側の表面56は円筒形の内部空洞52を画成する。円筒形の内部空洞52は略円筒形の形状を有し、中心線軸54を中心に配向される。円筒形の内部空洞52は、これを貫通する(図1に示す)駆動軸22を受けるようなサイズである。端壁60は円筒形の内部空洞52から外側に、且つ径方向内側の表面56と径方向外側の表面58との間に延在する。端壁60は、中心線軸54に対して垂直方向の径方向64に画成された幅62を含む。
【0023】
例示的実施形態では、各ベーン46は端壁60に結合され、端壁60から外側に、中心線軸54に略平行な軸方向66に延在する。各ベーン46は、流入口縁部68と、流出口縁部70と、流入口縁部68と流出口縁部70との間に延在する側壁72とを含む。流出口縁部68は、径方向内側の表面56の近傍に位置する。流出口縁部70は径方向外側の表面58の近傍に位置する。例示的実施形態では、隣接するベーン46はベーン46の対偶74を形成する。各対偶74は、隣接するベーン46の間に流路76と、流入口78と、流出口80とを画成するような向きに配置される。流路76は流入口78と流出口80との間に延在し、流入口78から流出口80までの(図3に示す)流れ経路82を画成する。流れ経路82は、側壁72に略平行の方向を向いている。例示的実施形態では、流れ経路82は径方向のベクトル成分と接線方向のベクトルとを含む。流路76は、流体が流れ経路82を通る矢印83で示す接線方向の流動ベクトルと、矢印85で示す径方向の流動ベクトルとを有することが特徴となるように、流体を流れ経路82に沿って流入口76から流出口78へと流すようなサイズ、形状、向きとされる。流入口78は、隣接するベーン46の隣接する流入口縁部68の間に画成される。流出口80は、隣接するベーン46の隣接する流出口縁部70の間に画成される。側壁72は、ベーン46が径方向内側の表面56と径方向外側の表面58との間に延在するように、流入口縁部68と流出口縁部70との間に径方向に延在する。側壁72は、外表面84と反対側の内表面86を含む。側壁72は外表面84と内表面86との間に延在し、外表面84から内表面86までの流路76の軸方向高さ88を画成する。
【0024】
各側壁72は第1の側面、すなわち圧力側90と、反対側の第2の側面、すなわち吸込側92とを含む。圧力側90と吸込側92とは各々、流入口縁部68と流出口縁部70との間に延在する。各ベーン46は、流路76が流入口78と流出口80との間で略径方向を向くように、円筒形の内部空洞52の周りで周方向に離間される。各流入口78は、流入口縁部68でベーン46の圧力側90と隣接の吸込側92との間に延在する。各流出口80は、流れ経路82が径方向内側の表面56から径方向外側の表面58へと径方向64の径方向外側に画成されるように、流出口縁部70で圧力側90と吸込側92との間に延在する。あるいは、隣接するベーン46は、流入口78が径方向外側の表面58に画成され、流出口80が径方向内側の表面56に画成されることによって、流れ経路82が径方向外側の表面58から径方向内側の表面56へと径方向内側に画成されるような向きに配置されてもよい。
【0025】
例示的実施形態では、流路76は、圧力側90と隣接の吸込側92との間に画成され、流れ経路82に対して垂直な幅94を含む。流入口78は、流出口80の第2の周方向幅98よりも広い第1の周方向幅96を有する。あるいは、流入口78の第1の周方向幅96は、流出口80の第2の周方向幅98より狭くてもよく、又はこれに等しくてもよい。
【0026】
例示的実施形態では、少なくとも1つの超音速圧縮ランプ100が端壁60に結合され、端壁60から外側に軸方向66に延在する。超音速圧縮ランプ100は流入口78と流出口80との間に位置し、端壁60から少なくとも部分的に流路76内に延在する。超音速圧縮ランプ100は、1つ又は複数の圧縮波を流路76内に形成できるようなサイズ、形状、及び向きとされる。
【0027】
シュラウドアセンブリ104は、流路76がシュラウドアセンブリ104と端壁60との間に画成されるように各ベーン46の外表面84に結合される。シュラウドアセンブリ104は、内縁部106と、外縁部108と、内縁部106と外縁部108との間に径方向に延在するシュラウドプレート110とを含む。内縁部106は略円筒形の開口112を画成する。シュラウドアセンブリ104は、円筒形の内部空洞52が開口112と同心になるように、ロータディスク48に対して同軸の向きに配置される。シュラウドアセンブリ104は、ベーン46の内縁部68がシュラウドアセンブリ104の内縁部106に隣接する位置にあり、ベーン46の外縁部70がシュラウドアセンブリ104の外縁部108に隣接する位置にあるように各ベーン46に結合される。各ベーン46はシュラウドプレート110の内表面114と端壁60との間に軸方向に延在する。あるいは、超音速圧縮機ロータ40はシュラウドアセンブリ104を含まない。このような実施形態では、ダイアフラムアセンブリ(図示せず)が流路76を少なくとも部分的に画成するように、ダイアフラムアセンブリがベーン46の各外表面に隣接して配置される。
【0028】
超音速圧縮機ロータ40の動作中、(図1に示す)吸込部12は流体116を流路76の
流入口78に向かって流す。流体116は、流入口78に流入する直前に第1の速度、すなわち接近速度を有する。超音速圧縮機ロータ40は、流路76に流入する流体116が流入口78で第3の速度、すなわちベーン46に対する超音速である流入速度を含むように、矢印118で表される第2の速度、すなわち回転速度で中心線軸54の周囲を回転する。流体116が超音速で流路76を通って流れると、超音速圧縮ランプ100は流路76内に圧縮波102を形成させて流体116の圧縮を促進し、流体116が流出口80で上昇した圧力と温度とを含み、且つ/又は低減した容積を含むようにする。
【0029】
例示的実施形態では、超音速圧縮ランプ100は、端壁60に結合されて、流れ経路82に沿って変化する断面領域120を有する流路76を画成する。流路76の断面領域120は流れ経路82に垂直に画成され、流路76の幅94と流路76の軸方向高さ88との積に等しい。流路76は第1の領域、すなわち流入口78の流入断面領域122と、第2の領域、すなわち流出口80の流出断面領域124と、第3の領域、すなわち流入口78と流出口80との間に画成される最小断面領域126とを含む。例示的実施形態では、超音速圧縮ランプ100は流路76のスロート領域128を画成する。スロート領域128は流路76の最小断面領域126を含む。最小断面領域126は流入断面領域122及び流出断面領域124よりも小さい。一実施形態では、最小断面領域126は流出断面領域124に等しく、流出断面領域124及び最小断面領域126はそれぞれ、流入断面領域122よりも小さい。
【0030】
例示的実施形態では、超音速圧縮ランプ100は圧縮面130と末広面132とを含む。圧縮面130は第1の縁部、すなわち前縁部134と、第2の縁部、すなわち後縁部136とを含む。前縁部134は後縁部136よりも流入口78に近い位置にある。圧縮面130は前縁部134と後縁部136との間に延在し、端壁60から流路76へと斜角α1をなす方向を向いている。例示的実施形態では、圧縮面130は、端壁60と圧縮面130との間で計測して角度α1が約2°から約10°の間で画成されるように端壁60から流路76へと外側に延在する。あるいは、圧縮面130は、角度α1が、超音速圧縮ランプ100が本明細書に記載の機能を果たすのに十分な適宜の角度になるように、端壁60に対して配置されてもよい。例示的実施形態では、圧縮面130は、前縁部134と後縁部136との間に延在する略平坦な表面138を含む。代替実施形態では、圧縮面130は、前縁部134と後縁部136との間に延在する(鎖線で示す)アーチ状の表面140を含む。
【0031】
例示的実施形態では、圧縮面130は、圧縮領域142が前縁部134と後縁部136との間に画成されるようにシュラウドプレート110に向かって先細になっている。圧縮領域142は、流れ経路82に沿って前縁部134から後縁部136へと縮小する流路76の断面領域144を含む。圧縮面130の後縁部136はスロート領域128を画成する。末広面132は圧縮面130に結合され、圧縮面130から下流側に流出口80へと延在する。末広面132は第1の端部146と、第1の端部146よりも流出口80に近い第2の端部148とを含む。末広面132の第1の端部146は、圧縮面130の後縁部136に結合される。末広面132は第1の端部146と第2の端部148との間に延在し、端壁60に対して斜角α2をなす方向を向いている。末広面132は、圧縮面130の後縁部136から流出口80へと増大する末広の断面領域152を含む末広領域150を画成する。末広領域150は、スロート領域128から流出口80へと延在する。
【0032】
超音速圧縮機ロータ40の動作中、流体116はロータディスク48に対して超音速である速度で円筒形の内部空洞52から流入口78へと流れる。円筒形の内部空洞52から流路76に流入する流体116は圧縮領域142を通って流れ、超音速圧縮ランプ100に接触する。超音速圧縮ランプ100は、圧縮波102のシステム154を流路76内に形成させるようなサイズ、形状、向きとされる。システム154は、流体116が超音速圧縮ランプ100を横切り、圧縮領域142を通って流れると形成される第1の斜め衝撃波156を含む。圧縮面130は、圧縮面130の前縁部134に第1の斜め衝撃波156を形成させる。第1の斜め衝撃波156は、流れ経路82を横切って前縁部134からシュラウドプレート110へと延在し、流れ経路82に対して斜角をなす方向を向いている。第1の斜め衝撃波156はシュラウドプレート110に接触し、流れ経路82に対して斜角をなしてシュラウドプレート110から圧縮面130の後縁部136へと反射される第2の斜め衝撃波158を形成する。超音速圧縮ランプ100は、第1の斜め衝撃波156と第2の斜め衝撃波158とを圧縮領域142内に形成させるように構成される。流体がスロート領域128を通って流出口80に向かって流れると、末広領域150内に垂直衝撃波160が形成される。垂直衝撃波160は流れ経路82に対して垂直方向を向き、流れ経路82を横切って延在する。
【0033】
流体116が圧縮領域142を通過する際、流体116が第1の斜め衝撃波156と第2の斜め衝撃波158の各々を通過すると、流体116の速度は低下する。加えて、流体116の圧力が高まり、流体116の容積が低減する。流体116がスロート領域128を通過すると、流体116の速度はスロート領域128の下流側の垂直衝撃波160に向かって上昇する。流体が垂直衝撃波160を通過すると、流体116の速度はベーン46に対して亜音速まで低下する。
【0034】
図5は、代替形態の超音速圧縮ランプ200を含む超音速圧縮機ロータ40の代替実施形態の断面図である。代替実施形態では、超音速圧縮ランプ200は、(図4に示す)垂直衝撃波160が流路76内に形成されることを防止するように構成される。超音速圧縮ランプ200は、スロート領域128が流出口80の近傍に画成されるように流路76内に位置する圧縮面130を含む。更に、圧縮面130の後縁部136は、超音速圧縮ランプ200が末広面132を含まないように流出口80の近傍に位置する。動作中、流体116が流路76を通って流れると、超音速圧縮ランプ200は、スロート領域128を通って流れる流体116を、ロータディスク48に対して超音速である流出口80での速度を含むように調節する。
【0035】
図6は、超音速圧縮機ロータ40の別の代替実施形態の断面図である。この代替実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、第1の超音速圧縮ランプ202と、第2の超音速圧縮ランプ204とを含む。第1の超音速圧縮ランプ202は端壁60に結合され、流路76内の流入口78と流出口80との間に位置する。第2の超音速圧縮ランプ204は、シュラウドプレート110の内表面114に結合され、シュラウドプレート110から端壁60の方向に流路76内に延在する。第2の超音速圧縮ランプ204は、スロート領域128が第1の超音速圧縮ランプ202と第2の超音速圧縮ランプ204との間に画成されるように第1の超音速圧縮ランプ202に対して位置する。第1の超音速圧縮ランプ202は、第1の圧縮面206と、第1の末広面208とを含む。第2の超音速圧縮ランプ204は、第2の圧縮面210と第2の末広面212とを含む。第1の圧縮面206と第2の圧縮面210は各々、前縁部134と後縁部136とを含む。スロート領域128は各後縁部136の間に画成される。圧縮領域142は、第1の圧縮面206と第2の圧縮面210との間に画成される。末広領域150は、第1の末広面208と第2の末広面212との間に画成される。
【0036】
代替実施形態では、動作中、流体116が流路76を通って流れると、第1の超音速圧縮ランプ202は圧縮波102の第1のシステム214を流路76の圧縮領域142内に形成させる。第2の超音速圧縮領域142は、圧縮波102の第2のシステム216を第1のシステム214とは概ね反対側の圧縮領域142内に形成させる。第1のシステム214は、流れ経路82を横切って第1の圧縮面206の前縁部134から第2の圧縮面210へと延在する第1の斜め衝撃波218を含む。第1の斜め衝撃波218は第2の圧縮面210に接触し、第2の圧縮面210から第1の圧縮面206の後縁部136に向かって反射される第2の斜め衝撃波220を形成する。第2のシステム216は、流れ経路82を横切って第2の圧縮面210の前縁部134から第1の圧縮面206へと延在する第3の斜め衝撃波222を含む。第1の圧縮面206は第3の斜め衝撃波222を反射して、第1の圧縮面206から第2の圧縮面210の後縁部136に向かって延在する第4の斜め衝撃波224を形成する。第1の超音速圧縮ランプ202と第2の超音速圧縮ランプ204は各々、スロート領域128の下流の末広領域150内に垂直衝撃波160を形成させるように構成される。
【0037】
上記の超音速圧縮機ロータは、超音速圧縮機システムを通って径方向に流体を流すためのコスト効率の高い信頼できる方法を提供する。より具体的には、本明細書に記載の超音速圧縮機ロータは、ロータディスクの端壁に結合されて径方向の流路を画成する超音速圧縮ランプを含む。超音速圧縮機ロータに径方向の流路を設けることによって、径方向吐出口を有するように超音速圧縮機システムを設計できる。その結果、この超音速圧縮機ロータは、軸方向の流れ方向を径方向の流れ方向に調整する必要がある、公知の超音速圧縮機アセンブリの構成部品数を低減する。従って、超音速圧縮機システムを補修するコストを節減できる。
【0038】
超音速圧縮機ロータを組み立てるシステムと方法の例示的実施形態を詳細に記載してきた。システム及び方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、システムの構成部品及び/又は方法のステップを本明細書に記載の別の構成部品及び/又はステップとは独立して別個に利用してもよい。例えば、システム及び方法を別のロータリーエンジンシステムと組み合わせて使用してもよく、本明細書に記載の超音速圧縮機システムだけと共に実施することに限定されない。むしろ、多くの別のロータリーシステムの用途と共に例示的実施形態を実装し、利用することができる。
【0039】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴をある図面では示し、他の図面では示さないことがあるが、単に便宜的なものである。更に、上記の記載での「一実施形態」は、言及した特徴をも組み入れた追加の実施形態の存在を排除するものと解釈されることを意図するものではない。本発明の原理に基づいて、図面のどの特徴も別のいずれかの図面のいずれかの特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求されてもよい。
【0040】
本明細書は、実施例を使用して、最良の形態を含めた本発明を開示し、当業者がデバイス又はシステムを製造し、使用すること、及び組み込まれたいずれかの方法を実行することを含めて本発明を実施できるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する別の実施例を含んでもよい。このような別の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字言語と相違しない構成要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字言語と非実質的な相違を有する等価な構成要素を含む場合は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図するものである。
【符号の説明】
【0041】
10 超音速圧縮機システム
12 吸込部
14 圧縮部
16 吐出部
18 駆動アセンブリ
20 ロータアセンブリ
22 駆動軸
24 圧縮機ハウジング
26 流入口
28 流出口
30 内表面
32 空洞
34 流体源
36 流入口ガイドベーンアセンブリ
38 流入口ガイドベーン
40 超音速圧縮機ロータ
42 流出口ガイドベーンアセンブリ
44 出力システム
46 ベーン
48 ロータディスク
50 ディスク本体
52 円筒形の内部空洞
54 中心線軸
56 径方向内側の表面
58 径方向外側の表面
60 端壁
62 幅
64 径方向
66 軸方向
68 流入口縁部
70 流出口縁部
72 側壁
74 対偶
76 流路
78 流入口
80 流出口
82 流れ経路
83 矢印
84 外表面
85 矢印
86 内表面
88 軸方向高さ
90 圧力側
92 吸込側
94 幅
96 第1の周方向幅
98 第2の周方向幅
100 超音速圧縮ランプ
102 圧縮波
104 シュラウドアセンブリ
106 内縁部
108 外縁部
110 シュラウドプレート
112 円筒形の開口
114 内表面
116 流体
118 矢印
120 断面領域
122 断面領域
124 断面領域
126 断面領域
128 スロート領域
130 圧縮面
132 末広面
134 前縁部
136 後縁部
138 平坦な表面
140 アーチ状の表面
142 第2の超音速圧縮領域
144 断面領域
146 第1の端部
148 第2の端部
150 末広領域
152 断面領域
154 システム
156 第1の斜め衝撃波
158 第2の斜め衝撃波
160 垂直衝撃波
200 超音速圧縮ランプ
202 第1の超音速圧縮ランプ
204 第2の超音速圧縮ランプ
206 第1の圧縮面
208 第1の末広面
210 第2の圧縮面
212 第2の末広面
214 第1のシステム
216 第2のシステム
218 第1の斜め衝撃波
220 第2の斜め衝撃波
222 第3の斜め衝撃波
224 第4の斜め衝撃波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音速圧縮機ロータであって、
略円筒形の端壁(60)と、径方向内側の表面(56)と、径方向外側の表面(58)とを含むロータディスク(48)であって、前記端壁が前記径方向内側の表面と前記径方向外側の表面との間に延在する構成のロータディスク(48)と、
前記端壁に結合された複数のベーン(46)であって、該ベーンが前記端壁から外側に延在し、隣接するベーンが対偶(74)を形成し、周方向で隣接する前記各対のベーン間に流路(76)が画成されるように周方向距離で離間され、前記流路が流入口(78)と流出口(80)との間に略径方向に延在する構成のベーン(46)と、
前記端壁に結合され、前記流路内に少なくとも1つの圧縮波(102)が形成されることを促進するため前記流路内に配置される第1の超音速圧縮ランプ(100)とを備える、超音速圧縮機ロータ。
【請求項2】
前記第1の超音速圧縮ランプ(100)が前記端壁(60)から外側に斜角をなして前記流路(76)内に延在する圧縮面(130)と、前記圧縮面が前縁部(134)と後縁部(136)とを含み、前記後縁部が前記前縁部よりも前記流出口(80)に近い位置にあり、前記後縁部が前記流路のスロート領域を画成し、前記スロート領域(128)が前記流路の最小断面領域(120、122、124、126)を有する、請求項1に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項3】
前記圧縮面(130)が略平坦である、請求項2に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項4】
前記圧縮面(130)が略アーチ状である、請求項2に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項5】
前記圧縮面(130)が、前記端壁(60)に対して約2°から約10°の角度をなす方向を向く、請求項2に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項6】
前記圧縮ランプ(100)の前記後縁部が、前記流路(76)の前記流出口(80)の近傍に位置する、請求項2に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項7】
前記圧縮ランプ(100)が、前記圧縮面(130)の前記後縁部(136)に結合された末広面(208)を備え、該末広面が前記後縁部から斜角をなして前記端壁(60)に向かって内側に延在する、請求項2に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項8】
前記ベーン(46)に結合されたシュラウドアセンブリ(104)であって、前記ベーンが前記シュラウドアセンブリの内表面(114)と前記端壁(60)との間に延在する構成のシュラウドアセンブリと、
前記内表面(114)に結合され、前記内表面から前記端壁に向かって延在する第2の超音速圧縮ランプ(204)とを更に備える、請求項2に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項9】
前記流路の前記スロート領域(128)が前記第1の超音速圧縮ランプと前記第2の超音速圧縮ランプとの間に画成されるように、前記第2の超音速圧縮ランプ(204)が前記第1の超音速圧縮ランプ(200)に対して位置する、請求項8に記載の超音速圧縮機ロータ。
【請求項10】
超音速圧縮機システム(10)であって、
流入口と流出口との間に延在する空洞(32)を画成する内表面(114)を備えるハウジング(24)と、
駆動アセンブリ(18)に回転可能に結合され、前記ハウジング内に配置されるロータ軸と、
前記ロータ軸に結合され、前記流入口から前記流出口へと流体を流すため、前記流入口と前記流出口との間に位置する超音速圧縮機ロータとを備え、該超音速圧縮機ロータが、
略円筒形の端壁(60)と、径方向内側の表面(56)と、径方向外側の表面(58)とを含むロータディスク(48)であって、前記端壁が前記径方向内側の表面と前記径方向外側の表面との間に延在する構成のロータディスク(48)と、
前記端壁に結合された複数のベーン(46)であって、該ベーンが前記端壁から外側に延在し、隣接するベーンが対偶(74)を形成し、周方向で隣接する前記各対のベーン間に流路(76)が画成されるように、前記端壁から周方向距離で離間され、前記流路が流入口(78)と流出口(80)との間に略径方向に延在する構成のベーン(46)と、
前記端壁に結合され、前記流路内に少なくとも1つの圧縮波(102)が形成されることを促進するため前記流路内に配置される第1の超音速圧縮ランプ(100、200)とを備える、超音速圧縮機システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180833(P2012−180833A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−44898(P2012−44898)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】