説明

径方向膨張力の測定装置および径方向膨張力の測定方法

【課題】ステントや他の製品の径方向の膨張力またはフープ力を測定するための装置を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1つの静止要素47と、これに対して移動しうる少なくとも1つの回転要素50と、それぞれが、径方向外側及び内側の端部、並びに径方向外側及び内側の連結部を有する複数のセグメントとを備える製品係合機構20であって、セグメントの径方向内側の連結部は静止要素に回動可能に連結され、セグメントの径方向外側の連結部は回転要素に回動可能に連結されており、径方向内側の端部は、この製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ回転要素が所定の方向に回転したときに、開口に配置される製品と係合するようになっている製品係合機構と、(b)回転要素を回転させうる駆動機構22と、(c)駆動機構と電気的に接続し、回転要素を回転させるのに要する力を測定する力変換機構とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における一部の表現は、著作権による保護を受ける。本著作権者は、米国特許商標局のファイルまたは記録から、この表現がファクシミリによって再製されたり、または特許法に基づいて公表されたりしても異議はない。
【0002】
本明細書は、米国仮特許出願第60/518,773号(2003年11月10日出願)明細書を参考として作成されたものであり、本願については、米国特許法第119条(e)項による優先権を主張する。
【0003】
本発明は、力の測定装置と測定方法に係り、詳しくは、患者の脈管に挿入されるバルーン、自己膨張型ステント、ステントグラフト等の医療装置の径方向膨張力(「フープ力」として知られている)の測定装置と測定方法に関する。本発明は、医療の分野で用いられるものであるか否かを問わず、カテーテル、バルーン、チューブ、導管、フィルタ等の装置の径方向膨張力の測定にも適用しうるものである。
【背景技術】
【0004】
患者の脈管に医療装置を挿入する医療行為には、内視鏡検査、生検、血管造影法、血管拡張術、アテローム切除術等、種々のものがある。なかでも、経皮経管冠動脈拡張術(PTCA)は、冠動脈の閉塞を軽減するか、または除去し、心臓組織における血液の流れを回復または改善するために行われる血管形成術の1つである。
【0005】
PTCAにおいては、大腿部の動脈に至るように鼠径部に形成されるか、または上腕部の動脈に至るように上腕に形成される経皮針用の穿孔を介して、カテーテルを進め、動脈に到達させる。カテーテルにはバルーンが取り付けられ、このバルーンは、冠動脈に形成された血小板による閉塞箇所に配置され、膨張することによって閉塞箇所を開放する。
【0006】
ステントは、薬剤が塗布された管状の構造体であり、カテーテルによって閉塞箇所に埋設され、PTCAの後に冠動脈を開放状態に保ち、血小板の塊の再成長、またはこれによる血管の再狭窄を防止する。
【0007】
フープ強度は、内側に向かう圧力、曲げ、押し潰す力等に抗しうる管状構造体の物理的な特性であり、ステントの重要な特性の1つである。
【0008】
フープ力を測定するための装置と方法は、これまでに種々のものが開発されている。例えば、特許文献1は、静止ディスク、駆動ディスク、均一に離間され、かつ互いに概ね摩擦のない移動がなされる複数の楔形状の部材、および駆動ディスクの前面に取り付けられる直線状のスライダを含むアセンブリを開示している。
【0009】
しかし、この特許文献に記載されている技術には、制約と短所があると思われる。
【0010】
本発明においては、上記の制約と短所を克服するために、ニードルを用いる。
【0011】
なお、特許文献1において引用されているすべての米国特許、米国特許出願、および他の公知文献は、いずれも、本明細書において参考としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,568,235号(発明者:Kokish,2003年5月27日出願,発明の名称:「管腔装置の捲縮アセンブリ、管腔装置の径方向膨張強度の測定方法、およびその使用方法」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑み、従来の技術を改善し、種々の要求に応えうる、実用的で、信頼性が高く、正確で、かつ効率的な径方向の膨張力を測定する装置および方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明の製品に関連する力を検知するための装置は、(a) 少なくとも1つの静止要素と、この静止要素に対して移動しうる少なくとも1つの回転要素と、それぞれが、径方向外側の端部および径方向内側の端部、ならびに径方向外側の連結部および径方向内側の連結部を有する複数のセグメントとを備える製品係合機構であって、前記セグメントの径方向内側の連結部は、前記静止要素に回動可能に連結され、前記セグメントの径方向外側の連結部は、前記回転要素に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部は、この製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ前記回転要素が所定の方向に回転したときに、前記開口に配置される製品と係合するようになっている製品係合機構と、
(b) 前記回転要素を回転させうる駆動機構と、
(c) 前記駆動機構と電気的に接続し、前記回転要素を回転させるのに要する力を測定する力変換機構とを具備することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、上記製品係合機構は、径方向に延びる複数のセグメントからなり、上記製品に関連する力は、ステントのフープ強度である。
【0016】
上記少なくとも1つの静止要素は、上記複数のセグメントの軸方向の両端部にそれぞれ配置される2つの静止要素からなるのが好ましい。
【0017】
上記静止要素は、上記開口を取り囲むリングプレートであるのが好ましい。
【0018】
上記静止要素は、上記セグメントを係合させるための軸方向に延びる回動可能な複数の接続部材を受け入れるために、所定の位置に複数の孔を有するのが好ましい。
【0019】
上記回動可能な複数の接続部材は、少なくとも1つのベアリングであるのが好ましい。
【0020】
上記静止要素は、固定されたハウジングに連結されているのが好ましい。
【0021】
上記回転要素は、合力器であるのが好ましい。
【0022】
上記回転要素は、上記静止要素に回動可能に連結された軸方向を向く円筒形の要素であるのが好ましい。
【0023】
上記回転要素は、上記セグメントと係合するための軸方向に延びる回動可能な複数の接続部材を受け入れるために、所定の位置に複数の連結部を有するのが好ましい。
【0024】
上記複数の回動可能な接続部材は、少なくとも1つのベアリングであるのが好ましい。
【0025】
上記複数の回動可能な接続部材は、上記各セグメントの径方向外側の連結部をスライド可能に挟む2つのベアリングを含むのが好ましい。
【0026】
好ましくは、上記回転要素は、所定の箇所で上記力変換機構に連結され、かつ上記力変換機構は、上記駆動機構に連結されており、上記力変換機構は、上記回転要素を回転させるために上記駆動機構によって加えられた力を測定する。
【0027】
上記各セグメントの径方向内側の端部と径方向外側の端部は、上記開口の半径上に位置するように配置されるのが好ましい。
【0028】
上記各セグメントは、上記静止要素に連結される軸方向を向く複数の回動連結部材を収容するために、径方向内側の端部に、軸方向を向く複数の連結部を有するのが好ましい。
【0029】
好ましくは、上記各セグメントは、径方向外側の端部に、上記回転要素と移動可能に連結される径方向を向く尾部を有し、上記回転要素は、回転すると、上記セグメントを上記尾部の回りで回動させる。
【0030】
上記各セグメントの尾部は、ベアリングを介して、上記回転要素に連結されているのが好ましい。
【0031】
本発明の製品に関連する力を検知するためのシステムは、上記力変換機構によって測定された力を、上記開口に配置された製品の径方向の膨張力に変換する演算装置を備えたことを特徴とする。
【0032】
上記システムの一実施例では、上記演算装置は、上記力変換機構によって測定された力を、Hf=(P・L・D)/2(ここで、Hfは径方向の膨張力、Lは製品の長さ、Dは開口の直径、およびP=(N・FN)/(π・D・L)(Nはセグメントの数、FNは、1つのエレメントの表面に法線方向に加わる力)である)の式に従って、上記開口に配置された製品の径方向の膨張力に変換する。
【0033】
本発明の装置の好ましい一実施例では、次の各機構を備える、製品に関連する力を測定する装置が提供される。
(a) 2つの静止プレートと、この一方の静止プレートの片側に配置され、この静止プレートに対して移動しうる回転可能な合力器と、前記2つの静止プレートの間に配置され、それぞれが、径方向外側の端部および径方向内側の端部、ならびに径方向外側の連結部および径方向内側の連結部を有する、概ね楔形状の複数の負荷エレメントとを備える製品係合機構であって、前記負荷エレメントの径方向内側の連結部は、前記静止プレートに回動可能に連結され、前記負荷エレメントの径方向外側の連結部は、前記合力器に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部は、製品を収容するこの製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ前記合力器が所定の方向に回転したときに、前記開口に収容されている製品と係合するようになっている製品係合機構、
(b) 前記合力器を回転させるアクチュエータ、および
(c) 前記アクチュエータと電気的に接続し、前記合力器を回転させるのに要する力を検知する力変換器。
【0034】
本発明の製品に関連する力を測定する方法は、次の過程を含むことを特徴とする。
a. 少なくとも1つの静止プレートと、この静止プレートに対して移動しうる少なくとも1つの回転可能な合力器と、それぞれが、径方向外側の端部および径方向内側の端部、ならびに径方向外側の連結部および径方向内側の連結部を有する複数の負荷エレメントとを備える製品係合機構であって、前記負荷エレメントの径方向内側の連結部は、前記静止プレートに回動可能に連結され、前記負荷エレメントの径方向外側の連結部は、前記合力器に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部は、この製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ前記合力器が所定の方向に回転したときに、前記開口の直径を狭めるようになっている製品係合機構を提供する過程と、
b. 製品を前記製品係合機構の開口に配置する過程と、
c. 前記合力器を回転させ、前記負荷エレメントの径方向内側の端部を介して、製品に力を加える過程と、
d. 前記合力器を回転させ、前記負荷エレメントが製品に係合するのに必要な力(製品の径方向膨張力に替わるものとして捉える)を測定する過程。
【発明の効果】
【0035】
本発明の効果は、次の通りである。
1. フープ力対直径の値、および単位長さ当りのフープ力対直径の値の測定、表示、および読取りが可能となる。
2. 製品を固定するための摩擦が小さい。
3. 製品の把持に要する力が小さい。
4. 再現性、正確性、および分解能が高い。
5. 各種の設定に要する時間が短く、データの取得および較正が容易で、かつ保守に要する負担も小さく、使いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る膨張力測定システムを示す正面写真である。
【図2A】図1の膨張力測定システムにおいて用いられる膨張力測定装置の斜視写真である。
【図2B】同じく、他の方向から視た斜視図である。
【図3A】同じく、さらに他の方向から視た斜視写真である。
【図3B】同じく、さらに他の方向から視た斜視写真である。
【図3C】同じく、さらに他の方向から視た斜視図である。
【図4】同じく、正面図である。
【図5】同じく、背面図である。
【図6A】同じく、平面写真である。
【図6B】同じく、平面図である。
【図7】同じく、側面図である。
【図8】同じく、反対側から視た側面図である。
【図9】図1の膨張力測定システムにおいて用いられる膨張力測定装置の正面のカバーを除去して視た正面図である。
【図10】同じく、拡散分解図である。
【図11】図1〜図10に示す膨張力測定装置における負荷エレメントの斜視図である。
【図12】図1〜図10に示す膨張力測定装置に係合されたステントの斜視写真である。
【図13】同じく、正面写真である。
【図14】図1の膨張力測定システムの制御パネルを示す写真である。
【図15】本発明に係る膨張力測定システムにおいて用いられる制御用ソフトウエアによって表示されるメイン制御画面を示す写真である。
【図16】上記ソフトウエアによって表示される直径および力の較正のための画面を示す写真である。
【図17】本発明に係る膨張力測定装置における直径と力の較正を設定する部分を示す斜視写真である。
【図18】同じく、他の方向から視た斜視写真である。
【図19】上記ソフトウエアによって表示される直径の較正のための画面を示す写真である。
【図20】同じく、力の較正のための画面を示す写真である。
【図21】本発明に係る膨張力測定システムにおける負荷エレメント、合力器、力変換器、およびアクチュエータの静止状態を示す正面写真である。
【図22】同じく、作動状態を示す斜視写真である。
【図23】本発明に係る膨張力測定装置における開口の直径を示す部分的な正面図である。
【図24】開口の直径との関係において、本発明に係る膨張力測定装置の作動状況を示す正面図である。
【図25】本発明に係る膨張力測定装置においてフープ力を測定される製品にかかる力の分布を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る膨張力測定装置における1個の負荷エレメントにかかる力FNを示す部分的な正面図である。
【図27】本発明に係る膨張力測定装置の作動時に製品係合機構に発生する力を示す正面図である。
【図28】同じく、力の較正時に発生する力を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の特徴、効果、および目的は、以下の説明、特許請求の範囲の記載、および添付の図面により、当業者に明らかになると思う。
【0038】
1.緒言
本発明に係る膨張力測定システム、膨張力測定装置、および膨張力測定方法においては、負荷エレメントの数が比較的大きく、かつフープ力を直線的な力に変換する際の摩擦が小さいアセンブリを用いる。本発明に係る膨張力測定システム、膨張力測定装置、および膨張力測定方法は、種々の製品の径方向膨張力、とりわけ、図12と図13に示す医療用ステント15のフープ力を測定する上で有用である。
【0039】
膨張力測定装置11は、製品を摘むようなことはなく、製品に対する静止摩擦係数も小さい。膨張力測定装置11は、80Nまでの力を測定することができる。本発明に係る膨張力測定システム10、膨張力測定装置11、および膨張力測定方法は、ヒステリシス、フープ強度、およびクリープを測定する際に用いることができる。
【0040】
ステントのような円筒形貝殻状の医療装置における「フープ力」を表すのに一般的に用いられている定義は、装置の壁体を貫いて延びる仮想的な長さ方向を横断する方向に伝達される全周方向の力というものである。本発明の膨張力測定システム10は、製品15によって、製品を包囲する多角形の各辺に加えられる力を測定し、ついでこの力と等価なフープ力を算出する。
【0041】
2.本発明のシステムと装置
図1、図12、および図13に示すように、本発明の膨張力測定システム10は、ステントのような製品15によって、膨張力測定装置11のヘッド部30に形成される概ね円筒形の開口の境界に加えられる外向きの力を測定する。膨張力測定システム10は、引張り試験機における「伸び」と「力」のパラメータが、「直径」と「フープ力」のパラメータによって置き換えられていることを除き、材料の引張り試験機に類似したものである。本発明に係る膨張力測定システム、膨張力測定装置、および膨張力測定方法によれば、公知の膨張力測定に係るシステム、装置、および方法よりも良好に、開口において径方向外側へ向かう圧力を測定することができる。
【0042】
図1に示すように、本発明に係る膨張力測定システム10は、制御モジュール12と電気的に接続された膨張力測定装置11を備えている。膨張力測定システム10は、マイクロコンピュータ13、最も好ましくはノートパソコンにインストールされたソフトウエアによって制御するのが好ましい。
【0043】
図2〜図10に示す膨張力測定装置11(膨張力測定システム10の一部をなす)は、製品係合機構20と、オプティカルエンコーダまたはロードセルのような力変換器21と、モータ等のアクチュエータを含む駆動機構22とを備えている。これらの要素は、すべて、公知の接続部材および接続方法を介して、互いに電気的に接続されている。また、これらの要素は、すべて、安全性、処理効率、および耐久性を考慮して、公知の手段によって固定され、かつ公知の手段に収容されているのが好ましい。
【0044】
図4、図9、図10、および図11に示すように、製品係合機構20は、複数、好ましくは12個の楔形の負荷エレメント35a〜35lを有するヘッド部30を備えている。負荷エレメント35a〜35lは、軸方向に延びる概ね円筒形の開口40(実際には、断面は多角形(この場合12角形)である)を区画している。各負荷エレメント35a〜35lは、径方向内側の端部60と外側の端部61とを有している。ヘッド部30は、円筒形のハウジング25に固定されている。また、ハウジング25には、不動のリングプレート47が取り付けられている。
【0045】
前方と後方のリングプレート47,48にピンで留められたボールベアリング46a〜46lには、ヒンジ45a〜45lが組み合わされており、負荷エレメント35a〜35lは、それぞれ、ヒンジ45a〜45lの回りで、自由に回転する。ヒンジ45a〜45lは、負荷エレメント35a〜35lの径方向内側に設けられた孔36に装着されている。この孔36は、切込み39と連なっている。
【0046】
負荷エレメント35a〜35lは、ヘッド部30において、互いに接してはいない。しかし、製品15は、すべての負荷エレメント35a〜35lに接している。ヘッド部30の開口40において製品15によって径方向外側へ加えられる力は、12個の力に分割され、各負荷エレメント35a〜35lの径方向内側の尖端領域37に加えられる。
【0047】
膨張力測定装置11は、さらに、中心軸の回りで自由に回転しうるリング状の合力器50を備えている。合力器50の中心軸は、ヘッド部30および製品15の中心軸と一致するのが好ましい。図10に示すように、各負荷エレメント35a〜35lの径方向外側の尾部38a〜38lは、それぞれ、合力器50におけるピンの組52a〜52lに取り付けられたボールベアリングの組51a〜51lの間に嵌め込まれている。したがって、合力器50は、負荷エレメント35a〜35lと連結されており、負荷エレメント35a〜35lを動かすことができる。
【0048】
負荷エレメント35a〜35lの尾部38a〜38lは、ボールベアリング51a〜51lに対して移動しうるように嵌め込まれているため、負荷エレメント35a〜35lの回転は、制約を受ける。ヘッド部30における開口40の直径は、合力器50の回転の程度によって決まる。
【0049】
図21に示すように、合力器50は、ボールベアリング取付けアセンブリ53を介して、駆動機構22の近傍に位置する力変換器21に取り付けられている。駆動機構22は、力変換器21を左右の方向に移動させることによって、合力器50を回転させる。駆動機構22が力変換器21を移動させると、開口40の直径は縮小し、開口40に製品を係合させることができる。力変換器21は、オプティカルエンコーダとするのが好ましい。
【0050】
力変換器21は、合力器50の回転角を測定する。力変換器21は、データ収集ボード(図示せず)にパルスを送信し、このパルスは、膨張力測定システム10のソフトウエアによって読み取られる。このソフトウエアは、電圧に基づいて開口40の直径を算出するため、経験的に決定された多項式の曲線を用いる。
【0051】
ヘッド部30における摩擦力による圧力Pによって1個の負荷エレメントにかかる力FN、およびヘッド部30の幾何形状が、力変換器21によって検知される。力FNは、フープ力Hfを算出するため、開口40の直径Dとともに、膨張力測定システム10のアルゴリズムに入力される。
【0052】
フープ力Hfは、次式:Hf=(P・L・D)/2によって計算される。ここで、Lは製品の長さ、Dは開口40の直径である。また、P=(N・FN)/(π・D・L)である(Nは負荷エレメントの数)。
【0053】
ヘッド部30は、概ね円筒形の開口40を有し、開口40の直径は、ユーザが膨張力測定システムのソフトウエアに従って入力した設定値(一定値または時間によって変化する値)に合わせて制御される。所望の直径(設定値)および実際に測定された直径は、連続的に表示される。表示される直径は、12個の負荷エレメント35a〜35lの径方向内側の尖端領域37と接する円筒の直径、すなわちヘッド部30に嵌まるゲージピンの大きさである。
【0054】
開口40における直径の制御と解析のためのハードウエアおよびソフトウエアは、製品係合機構20と電気的に接続されている。
【0055】
以上を要約すると、本発明に係る膨張力測定装置11は、(a) 少なくとも1つの不動のプレート部材47,48と、この不動のプレート部材47,48に対して移動しうる少なくとも1つ、好ましくは2つの合力器50と、径方向内側と外側にそれぞれ尖端37,38を有する概ね楔形の複数の負荷エレメント35とを有する製品係合機構20、(b) 合力器50を回動させる駆動機構22、ならびに(c) 駆動機構22と電気的に接続され、合力器および負荷エレメントの径方向内側端部60を介して、負荷エレメントに係合している製品15と関連づけられた力を検出する力変換器21からなる。ここで、前記負荷エレメントの径方向内側の孔36には、前記不動のプレート部材47,48が回動可能に嵌め込まれ、負荷エレメントの径方向外側の尾部38は、前記合力器50とスライド可能に連結されている。また、負荷エレメント35は、この負荷エレメントの径方向内側端部60が、不動のプレート部材47,48の中心に位置する開口40に隣接し、かつ合力器50が所定の方向に回転したときに、製品15と係合するように配置される。
【0056】
3.操作原理
再度述べるが、図12と図13に示すステントのような円筒形貝殻状をなす医療装置のフープ力は、装置の壁体を貫いて延びる仮想的な長さ方向を横断する方向に伝達される全周方向の力である。製品15の内部における実際のフープ力は、測定することはできない。膨張力測定システム10は、製品15によって多角形の各辺に加えられる力を測定し、ついでこの力と等価なフープ力を算出する。
【0057】
本発明において想定するフープ力と均等な力は、直径と力に係る複数の関係から導かれる。直径に係る関係は、次のように表される。
駆動機構の位置x⇔合力器の回転角Ac⇔負荷エレメントの回転角Ae⇔開口の直径D
【0058】
一方、力に係る関係は、次のように表される。
〔4〕 〔5〕 〔6〕 〔7〕
フープ力Hf⇔径方向の⇔負荷エレメントに⇔ベアリング⇔力変換器
力RF加わる通常の力FNの力Fbの力Ft
〔4〕製品に加わる力のバランス
〔5〕負荷エレメントに分配される
〔6〕負荷エレメントにおけるモーメントのバランス
〔7〕合力器におけるモーメントのバランス
【0059】
A.直径の定義
図23に示すように、開口40の「直径」は、12個の負荷エレメント35の径方向内側の端面とそれぞれ接する円筒の直径、すなわちヘッド部に嵌め込まれるゲージピンの大きさである。この直径は、ユーザが膨張力測定システムのソフトウエアに従って入力した設定値(一定値または時間によって変化する値)に合わせて制御される。
【0060】
B.直径に係る関係式
添付図面に示した負荷エレメント35と合力器50は、直径が約14mmまでの製品のフープ力を測定する膨張力測定装置に適している。図24に示すように、回転角は、開口の直径が2.5mmのときに、負荷エレメントの回転角、合力器の回転角、および駆動機構(または力変換器)の行程が、いずれも0となるように設定される。
【0061】
駆動機構(または力変換器)の行程xは、合力器の回転角、および回転の中心から力変換器の取付箇所までの距離に比例する(行程=半径ラ回転角(ラジアン単位)である)。
【0062】
[1] Ac=x/6.88〔cm〕(2.51〔インチ〕)
合力器と負荷エレメントの間におけるボールベアリングの接点の変位を直線的とみなすと、第2の関係式が得られる。
【0063】
[2] Ae=(Ac・6.88〔cm〕(2.71〔インチ〕))/3.43〔cm〕(1.35〔インチ〕)
製品の直径の変化は、負荷エレメントの転向角を2倍したものに等しい。負荷エレメントの転向角は、回転の中心から先端までの距離に回転角を乗じたものである。
【0064】
[3] D=2ラ3.43〔cm〕(1.35〔インチ〕)ラAe+2.5〔mm〕
上記の式[1]、[2]、および[3]から、D=2.16x+2.5〔mm〕となる。
【0065】
C.製品に加わる力
再度いうが、膨張力測定システム10は、製品15の内部における実際のフープ力は、測定することはできない。膨張力測定システム10は、製品15によって12角形の各辺に加えられる力を測定し、ついでこの力と等価なフープ力を計算するのである。この計算は、上記の関係〔4〕、〔5〕、〔6〕、および〔7〕によって近似される。
【0066】
フープ力と径方向の力の関係〔4〕については、図25に示す壁体が薄い円筒形の製品を参照してほしい。「フープ力」の一般的な定義は、装置の壁体を貫いて延びる仮想的な長さ方向を横断する方向に伝達される全周方向の力というものである。
【0067】
垂直方向の力の合計を0とおくと、Hf=(P・L・D)/2となる。ここで、Lは製品の長さであり、Pは製品に加わる圧力の平均値である。
【0068】
フープ力の計算においては、直径Dとは、ヘッド部の開口の直径を指す。この計算式は、中程度の厚さの壁体をもつ製品の場合には適用できない。しかし、必要ならば、この計算で得られるデータから、表計算ソフトを用いて、他の定義によるフープ力を求めることができる。
【0069】
径方向外側へ向かう力の合計は、圧力に表面積を乗じたものとして定義される。すなわち、RF=P・π・L・Dと表される。上記Hfについての式とRFについての式を組み合わせると、次式[4]:RF=2・π・Hfが得られる。
【0070】
図26に示すように、径方向の力RFは、12個の負荷エレメントに分配される。FNは、1個の負荷エレメントの法線方向に加わる力として、次式[5]:FN=RF/Nのように定義される。ここで、Nは、負荷エレメントの数、ここでは12である。
【0071】
ここで、力FNが加わる位置は、ほぼ負荷エレメントの先端である。この位置は、力FNが多角形の各辺の中心に加わるように、開口の大きさに伴ってわずかに変化する。式[4]と[5]は、開口が完全な円でないこと、および製品と負荷エレメントの間にいくらかの摩擦が存在するために、近似式にとどまる。
【0072】
D.装置の機構による力
図27に示す負荷エレメント35と合力器50において、力Fbは、負荷エレメント35と合力器50の界面において、ボールベアリングに加わる力である。負荷エレメント35においては、FNとFbは、互いに釣合う点の回りで、モーメントを生じさせ、次式[6]:Fb=FNが成立する。
【0073】
Ft(図28参照)は、力変換器21によって合力器50に加わる力である。この力Ftは、力変換器21によって測定される。力Ftと、12個の力Fbは、互いに釣合う合力器の中心の回りでモーメントを生じさせる。すなわち、次式[7]が成立する。
[7] Ft=(6.88〔cm〕(2.71〔インチ〕)ラ12ラFb)/6.38〔cm〕(2.51〔インチ〕)
【0074】
上記の式[4]、[5]、[6]、および[7]を組み合わせることにより、Hf=0.145Ft、またはFt=6.88Hf、およびRF=0.926Ft、またはFt=1.08RFが得られる。
【0075】
E.較正の最中における力
図17と図18に示すように、膨張力測定装置11において、力の較正が行われている間、ヘッド部30に製品は係合していない。製品の力を力変換器21で読取る代わりに、較正錘100からの力が、合力器50の段付きねじ110に加わる。力の較正については、図25を参照してほしい。
【0076】
較正錘に係るモーメントの距離は、力変換器の取付箇所におけるモーメントの距離と同じである。したがって、Ft=Fc(較正のための力)となる。
【0077】
よって、十分に較正された力変換器は、製品に加わる力を直接読み取ることができる。通常の大きさの較正錘で、より大きな力をつくり出すため、すなわち、より大きなモーメント距離で較正錘を吊り下げることによって、較正錘から生まれる力を増大させるため、較正ヨーク115が取り付けられる。較正ヨーク115によって加わる力、および増倍率は、較正ヨークに刻まれている。
【0078】
F.FNと力変換器に測定される力Ftとの関係
NとFtの関係は、ヘッド部30の形状によって決まり、この関係は膨張力測定システムのソフトウエアに入力される。FNとFtの関係は、装置の型式および負荷エレメントの数によって変わる。直径が約14mmまでの開口を有するヘッド部の場合、概算で、Ft=(12ラFN)/0.93である。一方、直径が約42mmまでの開口を有するヘッド部の場合、概算で、Ft=(12ラFN)/0.98である。このように、Ft=f(FN)である。
【0079】
ヘッド部における摩擦は、一般に、測定される力に比して小さい。開口の直径が12または14mmで長さが60mmのヘッド部における通常の摩擦は、45.3gf(0.1lbf)である。
【0080】
上記3つの関係を組み合わせると、開口の直径が14mmまでの比較的小型のヘッドにおけるフープ力(Hf)と力変換器の力(Ft)との関係は、Hf=(0.93ラFt)/(2π\och)、またはHf=0.148ラFtである。また、開口の直径が42mmまでの比較的大型のヘッドにおけるフープ力(Hf)と力変換器の力(Ft)との関係は、Hf=(0.98ラFt)/(2π\och)、またはHf=0.156ラFtである。
【0081】
膨張力測定システムにおけるソフトウエアは、ヘッド部の形状の種類による効果を含む、より正確な機能を含むのが好ましい。
【0082】
ユーザは、製品15における実際のフープ力は、製品とヘッド部の間の摩擦により、表示されている「フープ力」とは、大きく異なることを考慮に入れるべきである。製品15の壁体は伸縮するため、ヘッド部30における12個の剛性の平面と擦ることとなる。ヘッド部と製品との摩擦は、製品15の材質により異なる。摩擦は、力の較正プロセスにおいては対処されないけれども、システムに固有のもので、繰り返し生じるため、多くの場合、製品間の測定値の差に反映される。
【0083】
駆動機構の力(Ft)は、歪みゲージタイプの力変換器を用いて、連続的に測定される。このタイプの力変換器における信号処理回路は、アナログ電圧を、ソフトウエアによって読み取られることとなっているA/Dカードに送る。力の測定範囲は、力変換器を取り替えることによって、いくつか選択することができる。ソフトウエアは、測定されたFtの値から、連続的にフープ力を計算する。計算されたフープ力は、ディスプレー上に表示され、かつグラフ上にプロットされる。また、表計算ソフトのファイル(csv形式)に書き出せるよう、データアレーに格納される。
【0084】
ユーザは、他のタイプの膨張力の大きさも、計算することができる。例えば、ユーザは、次式:P・L=(2ラHf)/Dで表される圧力ラ長さ(P・L)を計算するために、表計算ソフトを使用することができる。ここで、HfとDは、それぞれ、フープ力と、RX型較正ヨークの場合にソフトウエアによって表示され、かつ書き出される直径である。ユーザは、下記のもう1つの例に示すように、異なる定義によるフープ力を計算する場合には、異なるパラメータを用いることができる。このようにする理由は、ユーザが、フープ力の計算において、ヘッド部の開口の直径とは別の直径を用いることを希望する場合に備えたものである。
【0085】
もう1つの例:ユーザが、次式で表される径方向の力の合計(圧力ラ接触面積)を計算するのに表計算ソフトを用いる場合である。RF=(πラHf)/2(RFは、径方向の力の合計である)
【0086】
G.正確さ
直径の正確さについて述べると、測定される直径の誤差の主たる原因は、ヘッド部30の形状にある。誤差は、ゲージピンを用いた較正によって、概ね除去することができる。直径の較正を日常的に行うと、ヘッド部30における開口の直径の最大誤差を、概ねア0.8%以下にとどめることができる。また、計測の前に較正を行うと、開口の直径の最大誤差は、概ねア0.4%以下に保つことができる。
【0087】
単一のゲージピンを、膨張力測定装置11で繰返し計測すると、読取りの標準偏差は、ヘッド部の開口の最大直径の0.15%以下となる。膨張力測定装置11も、簡単な較正であれば行うことができる。「直径」の意味は、12角形の開口40のそれであることに留意する必要がある。とりわけ、12角形の辺の合計は、その内接円の円周よりも、2.35%大きいことに留意する必要がある。
【0088】
フープ力の正確さについて述べると、主として考慮しなければならないのは、ヘッド部と製品15の摩擦である。以下に示す信号の伝達経路における誤差原因は、有意差の中におさまる小さいものである。
[フープ力信号の伝達経路]
↓FN(製品によって負荷エレメントに加えられる通常の力)
ヘッド部
↓Ft
力変換器
↓mVの信号
シグナルコンディショナ
↓電圧信号
A/Dボード
↓12ビット数
ソフトウエアのアルゴリズム
↓Hfの表示
【0089】
力変換器の力Ftから力FNを再構成するソフトウエアのアルゴリズムは、ヘッド部30の形状の解析的な表示に基づいている。計算の誤差は、測定されたフープ力のア3%以下に収まると考えられる。計算の誤差は、較正の過程では処理されないが、システムに固有のもので、繰り返され、時間を経ても変化することはない。
【0090】
力変換器の特性は、次の通りである。
i. 非線形性:定格出力の0.05%
ii. ヒステリシス:定格出力の0.05%
iii. 非再現性:定格出力の0.05%
iv. ゼロバランス:定格出力の1.0%
v. 出力への温度の効果:摂氏1度当たり負荷の0.0028%(華氏1度当たり負荷の0.005%)
vi. ゼロバランスへの温度の効果:摂氏1度当たり負荷の0.0028%(華氏1度当たり負荷の0.005%)
上記iv、v、およびviの項目は、力の較正過程で概ね除去される。
【0091】
アナログ−デジタルボード(A/Dボード)の正確さは、力変換器の全目盛の概ねア0.25%である。誤差の大部分は、力の較正過程で除去される。
【0092】
力変換器のシグナルコンディショナの特性は、次の通りである。
vii. 非線形性:最大で0.01%
viii. 正確さ:連邦規格の0.05%
iv. 安定性:24時間で0.1%
上記viiおよびviiiの項目は、力の較正過程で概ね除去される。
【0093】
力の較正過程の正確さは、較正錘の正確さと、この較正錘が吊り下げられる較正ヨークに依存する。例えば、ヘッド部の開口の直径が14mmの膨張力測定装置における較正ヨークに基づく誤差は、ア6.795g(ア0.015ポンド)であり、同じく直径が42mmの膨張力測定装置における較正ヨークに基づく誤差は、ア11.325g(ア0.025ポンド)である。開口がこれよりも大きい装置用の較正ヨークは、吊り下げ重量を4.0ア0.003倍するモーメントの距離を有する。
【0094】
小型の膨張力測定装置の場合、力の全許容誤差=11.37g(0.0251ポンド)+3.0ラ(較正錘の誤差)+0.002ラ(重量)である。
【0095】
例えば、453ア0.00045g(10ア0.001ポンド)+227ア0.00022g(5ア0.0005ポンド)の較正錘が吊り下げられると、22.65kg(50ポンド)の力が加わる。この場合、力の全許容誤差は、全目盛のア(6.795g(0.015ポンド)+3ラ0.680g(0.0015ポンド)+0.002ラ6795g(15ポンド))、または226.5g(ア0.05ポンド)、または0.1%である。フープ力は、概ね、力変換器の力の15%であるため、この場合、フープ力の許容誤差は、0.15ラ226.5g(0.05ポンド)、またはア34.0g(0.0075ポンド)である。
【0096】
H.分解能
直径に関していうと、直径の分解能は、ヘッド部の開口の直径が14mmの場合、0.01mm、同じく直径が42mmの場合、0.02mmが好ましい。エンコーダの分解能は、開口の直径が14mmまでのヘッド部の場合、概ね0.002mmであり、開口の直径が42mmまでのヘッド部の場合、概ね0.004mmである。
【0097】
力に関していうと、フープ力の分解能は、0.01Nである。力変換器の力信号用A/Dコンバータの分解能は、概ね、力変換器の力の全目盛の0.06%である。例えば、力変換器の力が22.65kg(50ポンド)の場合、分解能は13.59g(0.03ポンド)である。フープ力は、概ね、力変換器の力の15%であるため、この場合、フープ力の分解能は、2.04g(0.0045ポンド)となる。
【0098】
製品係合機構は、米国特許第6629350号(発明者:Motsenbocker,発明の名称:「ステントのクリンプ装置およびステントのクリンプ方法」)明細書に開示されているような一般的な設計でよく、本明細書においては、この米国特許明細書を参考にしている。
【0099】
4.膨張力測定システムの操作
膨張力測定システムを据付け、電源の投入、各種の設定に続いて、オペレータは、状況に応じてヘルプのウィンドーを開く際には、「ctrl」キーを押しながら、「h」のキーを押せばよい。カーソルを適当な表示の上に動かせば、詳細な説明を得ることができる。ヘルプのウィンドーが開いているか否かに拘らず、すべての項目を網羅するようにマウスを移動させると、「tooltip」の短い説明が表示される。図15に示すように、設定が完了すると、メイン画面が表示される。
【0100】
A.制御の説明
画面上の「モーションコマンド(Motion Command)」は、ヘッド部の開口の直径を制御するために用いられる。
【0101】
図15に示すパネルの頂部における2つの表示は、現在制御中の直径をmm単位とインチ単位で示している。メイン画面の制御は、次のものからなる。なお、直径入力選択タブ(Dia Input Selection Tab;図16参照)は、直径制御のモード(手動式、傾斜式、循環式)を選択するために用いられる。
【0102】
手動(Manual)モード:
直径の設定値(mm単位)を手動で入力することを意味する。入力は、キーボード入力、スライド入力、またはクリックで行う。
【0103】
傾斜(Ramp)モード:
「Rate」ボタン:このボタンは、傾斜式の直径制御を選択した場合に、直径の変化率を入力するためのものである。
「Init Dia」ボタン:このボタンは、傾斜式の直径制御を選択した場合に、直径の初期値を入力するためのものである。ヘッド部の開口の直径を初期値に戻すには、「GoTo」ボタンを押す。
「Final Dia」ボタン:このボタンは、傾斜式の直径制御を選択した場合に、最終的な直径の値を入力するためのものである。
「GoTo(Init Dia)」ボタン:このボタンを押すと、ヘッド部の開口の直径が初期値に戻って停止する。
【0104】
循環(Cycle)モード:
「Rate」ボタン:このボタンは、循環式の直径制御を選択した場合に、直径の変化率を入力するためのものである。
「Dia2」ボタン:このボタンは、循環式の直径制御を選択した場合に、2つの設定値のうちの一方である「直径2」を入力するためのものである。
「Dia1」ボタン:このボタンは、循環式の直径制御を選択した場合に、2つの設定値のうちのもう一方である「直径1」を入力するためのものである。
「GoTo(Dia1)」ボタン:このボタンを押すと、ヘッド部の開口の直径が、「直径1」に戻って停止する。
「Dwell sec」ボタン:このボタンは、循環式の直径制御を選択した場合に、上記2つの直径の設定値の下での滞留時間(秒単位)を入力するためのものである。
「Run」ボタン:このボタンは、「Start」ボタンを押した後の循環回数を入力するためのものである。移動とデータの収集は、循環の後には停止する。
「Count」ボタン:このボタンは、現在までに完了した循環の回数を表示させるためのものである。
【0105】
開始と停止の制御
「Start」ボタン:モータに「作動」の指令を送って、選択したモードでの作動を開始させるためのものである。
「Stop」ボタン:モータの「作動」を停止させるためのものである。
「Motion-On」ボタン:このボタンを押すと、ランプ(「Start」ボタンと「Stop」ボタンの間にある)が、システムが作動中であることを示す。
【0106】
開閉制御
「Jog-Close」ボタン:このボタンを押し続けると、ヘッド部は、開口が閉鎖するように移動する。「Collect Data(データ収集)」制御が「オン」の場合にのみ、データは、移動中に収集される。
「Jog-Open」ボタン:このボタンを押し続けると、ヘッド部は、開口が開放するように移動する。
【0107】
フープ力の制限値制御
「Hold Hoop Force Limit」ボタン:このボタンは、フープ力を上限値に留め置くためのものである。フープ力が上限値を超えると、閉鎖ループコントローラが、所定の制限値が維持されるよう、直径の設定値を拡大する。過度の拡大が望ましくない場合には、直径の設定値の変化を遅くする。
「Hoop Force Limit」ボタン:このボタンは、フープ力の制限値を制御するためのものである。制限値の単位は、フープ力の表示にあるものと同じである。
【0108】
「Current Measurement」インジケータは、測定値をリアルタイムで連続的に表示するためのものである。
【0109】
直径
「直径」インジケータは、オプティカルエンコーダの読取り値に基づいて、ヘッド部の開口の測定値をリアルタイムで表示する。
「mm/in」ボタン:このボタンは、画面、グラフ表示、およびファイルへの出力の際の直径の単位(mmまたはインチ)を選択するためのものである。
画面上の「min」の部分は、直径のデータアレーに含まれている直径の最小値を表示する(データアレーは消去されているため)。
【0110】

「Hoop Force」インジケータは、力センサのシグナルコンディショナによる出力電圧の測定値に基づいて、現在のフープ力の測定値を表示する。
「N/lbf」ボタン:このボタンは、画面、グラフ表示、およびファイルへの出力の際のフープ力の単位(Nまたは重量ポンド)を選択するためのものである。
「max」インジケータは、直径のデータアレーに含まれているフープ力の最大値を表示する(データアレーは消去されているため)。
「Data Collection and Graphing」インジケータは、直径とフープ力の測定値を表示し、かつデータ収集と表計算ソフトのファイルへの書き出しを制御するためのものである。
【0111】
グラフ表示
「Graph Type」ボタン:このボタンは、グラフの軸が何を表すか(「直径とフープ力」または「時間と直径」)を選択するためのものである。
【0112】
データ収集
「Collect Data」ボタン:このボタンは、グラフ表示およびディスクへの書き出しのためのデータアレーの収集を制御するためのものである。「Start」ボタンが押されたときのみに、On(データ収集)またはOffとすることができる。「Start」ボタンを押した後、「Stop」ボタンが押されるか、予め設定した循環回数が終了すると、データ収集は停止する。また、「Jog」ボタンが押されている間は、データは収集されない。
「Clear Data」ボタン:このボタンは、時間、直径、およびフープ力のデータを含むデータアレーを消去するためのものである。(このデータアレーは、グラフ表示したり、表計算ソフトによるディスクファイルに書き出したりすることもできる。)
「Sample Period」ボタン:このボタンは、直径とフープ力のデータをデータアレーに書き出す時間間隔を選択するために、プルダウンメニューを表示するためのものである。このボタンは、グラフ表示と、表計算ソフトのデータファイルへの書き出しにも用いることができる。
【0113】
ファイルへの出力
「File Path」ボタン:このボタンは、表計算ソフトにおけるファイル名とその格納場所を選択するためのダイアログボックスを表示させるためのものである。(選択を止める場合は、ダイアログが実行される前に行わなければならない。)
「Write to File」ボタン:このボタンは、データをデータアレー(グラフ表示されたデータ)から表計算ソフトのファイルへ書き出させるためのものである。(ファイルの行き先は選択されていなければならない。)
「Auto Write」スイッチ:このスイッチをONにすると、1回の循環が終了する度に、グラフのデータが、予め選択された表計算ソフトのファイルへ自動的に書き出される。
「SprSh File」インジケータは、表計算ソフトのデータが書き出されるファイルの行き先を表示する。
「Write to File」ボタン:このボタンは、データをデータアレー(グラフ表示されたデータ)から表計算ソフトのファイルへ書き出させるためのものである。(ファイルの行き先は選択されていなければならない。)
「Specimen ID Alpha」ボタン:このボタンによって、製品を識別するために英字を入力すると、データがファイルへ書き出される度に、表計算ソフトファイルのヘッダーにこのIDが書き込まれる。
「Specimen ID Numeric」ボタン:このボタンによって、製品を識別するために数字(整数)を入力すると、上記英字によるIDにこの数字によるIDが付け加えられて、データがファイルへ書き出される度に、表計算ソフトファイルのヘッダーにこのIDが書き込まれる。
「Auto Inc」スイッチ:このスイッチをONにすると、データがファイルへ書き出される度に、製品IDの数字の部分が自動的に増加する。
「Writing」インジケータは、データが、表計算ソフトのファイルへ書き出されている最中であることを表示する。
「Collect Data」ランプ:このランプは、時間、直径、およびフープ力が、リアルタイムでグラフ表示されるデータアレーに格納中であること、および後に表計算ソフトのファイルへ書き出しうることを表示する。
【0114】
上記以外の制御ボタンとインジケータは、次の通りである。
「Diameter Calibration」ボタン:このボタンは、直径の測定値を較正するためのダイアログボックスを表示するためのものである。(較正を止める場合は、ダイアログが実行される前に行わなければならない。)
「Force Calibration」ボタン:このボタンは、力の測定値を較正するためのダイアログボックスを表示するためのものである。(較正を止める場合は、ダイアログが実行される前に行わなければならない。)
「Home」ボタン:このボタンは、オプティカルエンコーダに参照マークを見つけ出させるためのダイアログボックスを表示するためのものである。(ホームルーチンは、プログラムが開始され、制御モジュールの電力消費が低下して、参照マークが失われると、自動的に実行される。しかし、このボタンは、ホームルーチンを手動で行うためのものである。)
「Xducer」インジケータは、力変換器の最大限対応しうる力(ポンド単位)を表示する。単位を変更するには、プログラムを再起動させ、ダイアログボックスを用いる。
「E-Stop or No Power」ランプは、モータに電力が供給されていないことを表示する。「E-Stop(電源停止)」ボタンが押されているか、またはモジュールを制御する電源がOFFとなっているか、もしくは接続されていないことを意味する。
「Exit」ボタンは、モータおよびコントローラの作動を停止させて、プログラムの実行を終了させるためのものである。
【0115】
B.製品の測定手順
以下においては、膨張力測定装置の設置、各要素の接続、測定の開始、および測定値の較正の手順を例示する。
1. 計測する製品のID(英字)を、「Specimen ID Numeric」ボタンを用いて入力する。(オプションとして、ID(数字)を入力することもできる。この場合、IDの数字部分は、測定の度に自動的に増加し、製品の数が多い場合、測定の迅速を図ることができる。
2. 「Cycle」タブを選択し、所望のサイクルにおける直径の最大値と最小値を入力する。その外、直径の変化率、周期、循環の回数も入力する。
3. 「GoTo」ボタンを押し、直径の初期値が得られるよう、ヘッド部を動かす。
4. 製品をヘッド部の開口に完全に挿入する。(このため、直径の初期値は、製品の直径よりも大きくする。さもないと、製品が嵌め込まれるよう、「Jog-Open」ボタンを押し続けなければならない。製品が嵌め込まれたら、「GoTo」ボタンを押す。
5. ディスクに書き出されるデータ用のファイル名を入力するために、「File Path」ボタンを用いる。
6. 直径とフープ力のデータを含むデータアレーを消去するために、「Collect Data」ボタンを押す。また、「Collect Data」セレクタを、「Use Start」位置までスライドさせる。グラフの「Hf vs Dia(フープ力−直径)」タブを選択する。
7. 「Start」ボタンを押し、膨張力測定装置に選択した循環を実行させる。グラフ上のリアルタイムデータ(データアレーにおけるすべてのデータが連続的に自動スケールで表示される)を観察する。
8. 開口の循環が終了したら、「Write Data」ボタンを押す。グラフに表示されていたデータは、予め特定しておいたディスクのファイルへ書き出される。
9. システムのソフトウエアを終了させるために、「Exit1」ボタンを押す。ついで、表計算ソフトを用いて、データを表示させ、処理し、グラフ表示させる。
【0116】
製品のフープ力を検知する方法は、以下の過程からなる。
a. 少なくとも1つ、好ましくは2つの不動のピンプレート部材47,48と、不動のピンプレート部材47,48に対して移動しうる少なくとも1つの回転可能な合力器50と、
それぞれが、径方向外側の端部61および径方向内側の端部60、ならびに径方向外側の連結部38および径方向内側の連結部36を有する複数の負荷エレメント35であって、前記径方向内側の連結部36は、不動のピンプレート部材47,48に回動可能に連結され、他方、前記径方向外側の連結部38は、前記合力器50に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部60は、開口40の境界に隣接し、移動したときに、開口40の直径を狭めるようになっており、かつ前記合力器50が所定の方向に回転したときに、開口に配置される製品と係合するようになっている負荷エレメント35とを備える製品係合機構20を設ける過程;
b. 製品15を前記開口40の中に配置する過程;
c. 前記合力器50を回転させることによって、前記負荷エレメント35の径方向内側の端部60を製品15に係合させる過程;および
d. 前記合力器50を回転させ、負荷エレメントを製品15に係合させるのに必要な力を測定する過程。
【0117】
C.較正の手順
再度、図17と図18を参照する。較正は、2つの過程を経て行われる。第1の過程は直径の較正であり、第2の過程は力の較正である。仮に、力の読取り値が、1回で較正しうるようなものでないときには、較正は、力、直径、再び力の順で行われる。力の較正は、物理的に、ハードウエアによって行われる。直径のずれと利得の調整量は、コンピュータのハードディスク上のファイルに格納される。「Find Home(ホーム探し)」のルーチンは、較正の前に実行される必要はない。しかし、仮に、「Find Home」ルーチンが実行されたときには、これに続いて直径の較正が行われた場合、最も正確な較正が得られる。
【0118】
最初に、較正ヨークから吊り下げられる較正錘が、テーブル面よりも下方に位置するように、膨張力測定装置の底部を、安定なテーブル面の縁の近傍に配置する。水準器を使って、膨張力測定装置の底部を水平に保つ。このため、膨張力測定装置の底部の高さをねじで調節する。水準器の泡は、概ね、水平を示す円の中に収まるようにする。
【0119】
直径の較正は、2段階にわたって行われる。第1段階は、ずれの調整であり、第2段階は、利得の調整である。ずれは、小型の第1ゲージピンを用いて調整される。利得の調整は、大型の第2ゲージピンを用いて行われる。利得の調整は、任意であり、度々行う必要はない。
【0120】
2つのゲージピンの直径は、負荷エレメントの品番によって、異なるものが用いられる。直径較正用のダイアログボックスは、プログラムの開始時にユーザが入力する負荷エレメントの品番に従って、ゲージピンの正確なサイズを自動的に特定する。(それまでは、ゲージピンを挿入してはならない。)
【0121】
力の較正を行う場合は、力の大きさを選択しなければならない。較正に係る力を合計したものは、力変換器が最大限対応しうる力と等しいか、またはその大部分を占めるものでなければならない。
【0122】
較正の間に力変換器から送られる信号は、表示される。力変換器における力は、フープ力と同じではない。通常の大きさの力を較正する場合には、較正ヨークが用いられる。較正ヨークは、既知の力を力変換器に加えうるように設計されている。較正ヨークの力の大きさは、較正ヨークに表示されている(RX500型の場合は、2.27kg(5ポンド)、RX600型の場合は、6.80kg(15ポンド))。
【0123】
較正ヨークに吊り下げられた較正錘は、力変換器において、実際の重量に対する乗数として働く。乗数値は、較正ヨークに表示されている(開口の直径が14mmのヘッド部の場合は3倍、開口の直径が42mmのヘッド部の場合は5倍)。例えば、開口の直径が14mmのヘッド部をもつ膨張力測定装置に22.7kg(50ポンド)の力変換器を用いる場合は、通常、較正ヨークに加えて、2.27kg(5ポンド)および4.53kg(10ポンド)の較正錘が用いられる。上記RX500型較正ヨーク(力の大きさは2.27kg(5ポンド))の場合、較正ヨークに加えて、2.27kg(5ポンド)および4.53kg(10ポンド)の較正錘にそれぞれ3倍の乗数が作用し、合計で22.7kg(50ポンド)となる。各較正錘の上下には、フックが付いており、複数の較正錘が連なって垂直に並ぶ。
【0124】
小さい力へ較正する場合には、段付きねじ(開口の直径が14mmの場合は品番が#1、開口の直径が42mmの場合は品番が#2)に、直接較正錘を吊り下げる。較正錘は、これに直接吊り下げられる錘の重量がどのようなものであっても、力変換器21に加わる力と等しくなるように配置する。較正錘の底部の孔は、吊下げ用の弦を通して、テーブル面の縁の下方に吊るすためのものである。開口の直径が14mmのヘッド部30の場合、較正錘が、水平な脚体から、支持テーブルの縁より張り出して吊り下がるように、膨張力測定装置の底部にねじ山付の孔が設けられる。
【0125】
図19と図20を参照してほしい。上述の較正のための準備の過程に続いて、以下の較正を行う。
1. ソフトウエアを始動させる。最初の設定ダイアログボックスにおいて、力変換器と負荷エレメントの物理的特性が、ソフトウエアに表示されているものと一致するか確認する。直径の較正を実行する前に、ヘッド部に何も係合していない場合に、フープ力の大きさが概ね0(ア1.0N程度)であることを確認する。仮にそうでない場合は、最初に力の較正を実行する。
【0126】
2.直径の較正
a. メイン画面で、「Diameter Calibration」ボタンを押す。すると、このシステムにおける直径用の較正画面が表示される。「1st Cal Dia」インジケータと「2nd Cal Dia」インジケータが、2つのゲージピンの直径を表示する。(まだゲージピンを挿入してはならない。)
b. ヘッド部に何も係合していない状態で、較正画面上の「Begin Cal1(較正開始)」ボタンを押す。
c. 第1のゲージピンのほぼ全部を、ヘッド部に挿入する(少なくとも3.81cm(1.5インチ))。スチール製のゲージピンを挿入する際には、負荷エレメントに引掻き傷が生じたり、損傷したりしないよう、十分注意しなければならない。
d. 較正画面上の「Cal on 1st Pin」ボタンを押す。
e. ヘッド部は、ゲージピンとの接触によってフープ力が上昇し始めるまで、ゆっくりと閉じる。ゲージピンの存在が検知されると、相殺値のデータが格納され、「Offset Saved」ランプが点灯する。
f. 第1のゲージピンを取り外す。
g. 直径較正のための零点合わせが完了する。次の過程は、利得調整(任意)のためのものである。利得調整の較正に占める効果は非常に小さい。「Dia Gain Factor」インジケータが、使用中の利得係数を表示する。所望の場合は、「Exit」ボタンを押して、利得の調整を省略することもできる。この場合、最終的な較正による利得の調整は、保存される。この外、「Save Gain = 1」ボタンを押すと、利得の調整はすべて取り消される。
h. 第2の大型のゲージピンをヘッド部30に挿入する。
i. 較正画面上の「Cal on 2nd Pin」ボタンを押す。ヘッド部は、ゆっくりと閉じ、ゲージピンと接触する。ゲージピンの存在が検知されると、利得値のデータが格納され、「Gain Saved」ランプが点灯する。
j. 第2のゲージピンを取り外す。
k. 「Exit」ボタンを押すと、相殺係数と利得係数は、RAMからコンピュータのハードディスクへ書き出される。直径用の較正画面を閉じるには、必ず「Exit」ボタンを押さなければならない。
【0127】
メイン画面で手動による直径制御を選択すれば、直径の較正はいつでも確認することができる。ヘッド部にどちらかのゲージピンを挿入し、ついで、ヘッド部がゲージピンと接触するまで、0.01mm刻みで、ゆっくりと直径を減少させる。こうすると、フープ力は、1.0Nよりも大きくなる。測定された直径を読取り(コンピュータに行わせるのではない)、ゲージピンの直径と比較する。
【0128】
3.力の較正
a. 力の較正に係る画面を表示するため、メイン画面において「Force Calibration」ボタンを押す。
b. 段付きねじを水平にするため、「Go To Cal Dia」ボタンを押す。ヘッド部の開口が、正確な直径に到達すると、力変換器の力の読取り値が表示される。
c. 力変換器の力の読取り値が限りなく0.0に近づくように、マイナスのねじ回しを用いて、制御モジュール(図11参照)の背面にあるポテンショメータの「零点」を調整する。
d. 較正錘と較正ヨークを用いて力の較正を行う。力変換器の力の読取り値が、加えられた力に限りなく近づくよう、ポテンショメータの「GAIN(利得)」の値を調整する。
e. 加えられていた力を取り去り、必要ならば、ポテンショメータの「零点」と「GAIN」を再度調整する。メイン画面に戻るには、「Exit」ボタンを押す。
【0129】
上記の説明や関連する資料は、例示のためのものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。これまで、本発明を好ましい実施形態に即して説明してきたが、上記以外の実施形態も、本発明の技術的範囲に包含されることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0130】
10 膨張力測定システム
11 膨張力測定装置
12 制御モジュール
13 マイクロコンピュータ
15 製品(医療用ステント)
20 製品係合機構
21 力変換器
22 駆動機構
25 ハウジング
30 ヘッド部
35a〜35l 負荷エレメント
36 孔
38a〜38l 尾部
40 開口
45a〜45l ヒンジ
46a〜46l ボールベアリング
47,48 リングプレート
50 合力器
51a〜51l ボールベアリングの組
52a〜52l ピンの組
60 径方向内側の端部
61 径方向外側の端部
100 較正錘
110 段付きねじ
115 較正ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 少なくとも1つの静止要素と、この静止要素に対して移動しうる少なくとも1つの回転要素と、それぞれが、径方向外側の端部および径方向内側の端部、ならびに径方向外側の連結部および径方向内側の連結部を有する複数のセグメントとを備える製品係合機構であって、前記セグメントの径方向内側の連結部は、前記静止要素に回動可能に連結され、前記セグメントの径方向外側の連結部は、前記回転要素に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部は、この製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ前記回転要素が所定の方向に回転したときに、前記開口に配置される製品と係合するようになっている製品係合機構と、
(b) 前記回転要素を回転させうる駆動機構と、
(c) 前記駆動機構と電気的に接続し、前記回転要素を回転させるのに要する力を測定する力変換機構とを具備する、製品に関連する力を検知するための装置。
【請求項2】
前記力変換機構によって測定された力を、前記開口に配置された製品の径方向の膨張力に変換する演算装置を備えた、請求項1記載の装置を含む、製品に関連する力を検知するためのシステム。
【請求項3】
(a) 2つの静止プレートと、この一方の静止プレートの片側に配置され、この静止プレートに対して移動しうる回転可能な合力器と、前記2つの静止プレートの間に配置され、それぞれが、径方向外側の端部および径方向内側の端部、ならびに径方向外側の連結部および径方向内側の連結部を有する、概ね楔形状の複数の負荷エレメントとを備える製品係合機構であって、前記負荷エレメントの径方向内側の連結部は、前記静止プレートに回動可能に連結され、前記負荷エレメントの径方向外側の連結部は、前記合力器に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部は、ステントを収容する製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ前記合力器が所定の方向に回転したときに、前記開口に収容されているステントと係合するようになっている製品係合機構と、
(b) 前記合力器と電気的に接続し、前記合力器を回転させるのに要する力を測定するオプティカルエンコーダと、
(c) 前記オプティカルエンコーダとの機械的な連結を介して、前記合力器を回転させるアクチュエータとを具備する、ステントの膨張力を検知するための装置。
【請求項4】
a. 少なくとも1つの静止要素と、この静止要素に対して移動しうる少なくとも1つの回転要素と、それぞれが、径方向外側の端部および径方向内側の端部、ならびに径方向外側の連結部および径方向内側の連結部を有する複数のセグメントとを備える製品係合機構であって、前記セグメントの径方向内側の連結部には、前記静止要素が回動可能に連結され、前記セグメントの径方向外側の連結部は、前記回転要素に回動可能に連結されており、前記径方向内側の端部は、この製品係合機構の中央の開口の境界に隣接し、かつ前記回転要素が所定の方向に回転したときに、前記開口に配置される製品と係合するようになっている製品係合機構を提供する過程と、
b. 製品を前記製品係合機構の開口に配置する過程と、
c. 前記回転要素を回転させる過程と、
d. 前記回転要素を回転させるのに必要な力を測定する過程とを含む、製品に関連する力を検知するための方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−103257(P2012−103257A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254311(P2011−254311)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【分割の表示】特願2006−539798(P2006−539798)の分割
【原出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(506157824)マシーン ソリューションズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】