説明

快適性布帛

【課題】軽量で、かつ清涼感を長時間にわたって維持することができる、清涼性を有する快適性布帛を提供する。
【解決手段】20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK以上の有機高分子繊維を少なくとも1種類含んでなる布帛であり、該布帛の20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率(A)が0.08W/mK以上で、接触冷温感(B)が0.13W/cm以上で、かつ、前記熱伝導率(A)を布帛の目付け(g/m)で割った値が0.001Wm/gK以上であることを特徴とする快適性布帛。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で、かつ清涼性を有する快適性布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夏場の暑熱感を解消するために用いられる快適性衣料は、地球温暖化、環境問題の加速により重要度を増しつつある。快適衣料用布帛については、これまで多くの研究、開発がなされてきている。布帛に快適性、清涼感を付与する検討手段は、(a)暑熱感を増大する因子の遮蔽、(b)肌からの熱の除去、の効率化に大別される。
【0003】
暑熱因子の除去としては、日光を遮蔽する方法があり、無機化合物の付与による光遮蔽、微粒子による光散乱などが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、肌からの熱の除去としては、通気性を向上させる検討、繊維の吸湿特性など汗の蒸発潜熱を利用する方法(例えば、特許文献2〜4)、あるいは肌から繊維への熱伝達の利用、などが挙げられる。
【0005】
肌から繊維への熱伝達向上の手段としては、肌と繊維との接触面積を増やす方法が検討され、例えば、使用繊維形状の検討(特許文献5)、布帛自体の熱伝導性の向上などが挙げられる。
【0006】
光を遮蔽する方策を衣料として利用する場合、その快適化機能は日照状態に左右されるという問題点がある。また色合い、風合いなどに制限が求められる。
【0007】
一方、汗の蒸発潜熱を利用する方法の場合、その機能は湿度などの天候、また利用者の体質に依存する。またカーテン、カーペットなど常に肌と密着していない状態で快適性が求められる布帛には適さない。
【0008】
カーペットの場合、汗の蒸発潜熱の替わりに適切な温度で相転移を起す潜熱蓄熱材を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献6)。しかしこの手法の場合、使用できる温度領域は、相転移温度近辺に限られる。
【0009】
以上のように、肌から布帛への熱伝達以外の手法の場合、熱、温度以外の要因の影響を受けるという問題点がある。次の肌から布帛への熱伝達に関する検討について着目する。
【0010】
先に述べた布帛と肌の接触面積を増やし、熱伝達効率を向上せしめる方法の場合、逆に通気性などの低下を招く可能性がある。
【0011】
そのため、通気性の低下にともなう快適性の低下をしのぐ熱伝達や、あるいは通気性を重視し、接触面積を低減せしめてもなお天候に依存しない高い快適性を付与する方策が要望されている。
【0012】
このような方策としては、布帛を構成する材料に熱伝導率の高い材料を利用する方法が挙げられる。例えば、繊維に熱伝導率の高い粒子を付着させる方法(特許文献7)、高熱伝導性無機粒子をポリマーに練りこんで繊維化する方法、また金属メッキする方法などが挙げられる。これらの手法は、布帛を構成する繊維自体に高熱伝導性を付与するため、湿度、日照などの外因の影響を受けないという長所がある。
【0013】
しかしながら、これら無機材料を用いる方法の場合、比重が高いため十分な快適性を付与するには布帛の重量が大きくなるという問題点、また肌と接触するものが無機粒子である場合、風合いや肌触りに悪影響がでるという問題点がある。
【0014】
一方、高熱伝導性繊維を用いる伝熱性に優れた布帛が提案されている(例えば、特許文献8)。この布帛は、半導体集積回路等の発熱体の放熱材としては有効である。しかしながら、衣料に用いた場合、着用直後には清涼感が得られるが、長時間着用するとムレ感が強まり、清涼感を長時間にわたって維持できるものではなく、衣料用としては着用快適性などの改善が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−292982号公報
【特許文献2】特許第3758076号公報
【特許文献3】特開2002−266206号公報
【特許文献4】特開2002−235278号公報
【特許文献5】特開2009−24272号公報
【特許文献6】特開2008−285803号公報
【特許文献7】特許第4227837号公報
【特許文献8】特開2004−60111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、軽量で、かつ清涼感を長時間にわたって維持することができる、清涼性を有する快適性布帛を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の快適性布帛は、上記課題を達成するため、鋭意研究した結果得られたものであり、以下の構成を採用する。
【0018】
すなわち、本発明は、20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK以上の有機高分子繊維を少なくとも1種類含んでなる布帛であり、該布帛の20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率(A)が0.08W/mK以上で、接触冷温感(B)が0.13W/cm以上で、かつ、前記熱伝導率(A)を目付け(g/m)で割った値が0.001Wm/gK以上であることを特徴とする快適性布帛である。
【0019】
前記の快適性布帛は、接触冷温感(B)を目付け(g/m)で割った値が8W/g以上であることが好ましい。さらに、前記の有機高分子繊維が、高配向ポリエチレン繊維または高配向ポリベンズビスオキサゾール繊維であることが好ましい。また、前記有機高分子繊維の体積含有率が30%以上であることが好ましい。また、前記の快適性布帛は、作業衣または寝装品の用途に好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の快適性布帛は、高い熱伝導性を有する有機高分子繊維を用いているため、軽量で、厚み方向の熱伝導率と接触冷温感が高く、しかも清涼感を長時間にわたって維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】繊維の熱伝導率測定装置の概略説明図である。
【図2】布帛の厚み方向の熱伝導率及び接触冷温感の測定装置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 冷凍機冷却ヘッド
2 試料台
3 熱電対
4 試料繊維
5 接着剤
6 ヒーター
7 繊維測定距離:L
8 布帛設置下面(20℃)
9 試料布帛
10 上面(30℃)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の快適性布帛は、20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が少なくとも5W/mK以上、好ましくは8W/mK以上である少なくとも1種類の有機高分子繊維を用いてなることを特徴とする。本繊維の繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK未満の場合、快適性布帛として要求される除熱量が不足し、接触冷温感が低くなり、快適性布帛として機能しなくなる。
【0024】
本発明の快適性布帛は、20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が少なくとも5W/mK以上、好ましくは8W/mK以上である、少なくとも1種類の有機高分子繊維から構成される。
【0025】
上記の有機高分子繊維は、高結晶化度、高配向性を有する、高強力ポリエチレン繊維、高強度ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリアゾール系繊維などが好ましい。なお、軽量性、熱伝導性の観点から、高強力ポリエチレン繊維が最も望ましい。以下、これらの繊維を高熱伝導性繊維という。
【0026】
本発明の快適性布帛は、これを構成する繊維の熱伝導によって、肌と接触した際の清涼感に優れ、快適性が得られる。よって、本発明の布帛の快適性能は、日照条件、湿度などによる影響を受けることがない。また、カーペット、カーテンなど肌への密着時間の短い布帛においても、快適性を発現することが可能となる。
【0027】
また、本発明の快適性布帛は、有機高分子繊維によって熱伝導性を発現させているため、熱伝導性を付与するために、繊維に無機粒子を含有させる、あるいは布帛に金属メッキ加工することなどが不要である。そのため、肌触りへの悪影響がなく、軽量性に優れた快適性布帛が得られる。
【0028】
本発明において、高熱伝導性繊維の横断面形状は、一般的な丸断面形状、三角断面形状、扁平断面形状、多葉断面形状、中空断面形状以外に、繊維表面に長手方向に沿って複数の凹溝を形成している繊維を使用することができる。例えば、横断面形状の例を、文字もしくは記号などでモデル的に示すと、E、F、H、I、K、M、N、O,T、W、X、Y、Z、+などが挙げられる。
【0029】
本発明の快適性布帛の形態は、織物、編物、不織布のいずれであってもよい。また、布帛を構成する糸や繊維は、上記の高熱伝導性繊維のみでもよいが、熱伝導率をさらに高めるために、あるいは他の機能を付与するために、他の種類の有機繊維を混用してもよい。他の有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、羊毛、アクリル繊維、アクリレート繊維、綿、ポリウレタン繊維、麻繊維、ビニロン繊維などが挙げられる。
【0030】
本発明の快適性布帛において、他の種類の有機繊維を混用する場合、高熱伝導性繊維の比率は、体積比率として30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。高熱伝導性繊維の体積比率が30%未満の場合、高熱伝導性繊維による効果が発現しにくくなる。
【0031】
高熱伝導性繊維を主体とする糸の形態、混用の形態は特に限定されないが、一般的なマルチフィラメント糸、紡績糸、混紡糸や混繊糸、交絡糸、カバリング糸、芯鞘型複合糸などの複合糸を用いることができ、これらの糸を合撚したり、交織、交編することもできる。
【0032】
マルチフィラメントの単繊維繊度やステープルの繊度は、特に限定されないが、0.1〜6dtex程度が好ましい。
【0033】
織物の場合、経糸緯糸の少なくとも一方に高熱伝導性繊維を用い、平織、綾織、朱子織、多重織などとすることができる。パイル二重織物のパイル糸に高熱伝導性繊維を用い、パイル二重織物の構造をそのまま利用して、パイル糸を切断せずにそのままパイル糸が表地と裏地の熱伝熱を担うようにした織物は好ましい態様である。
【0034】
編物の場合、特に編組織等には限定されるものではない。例えば、丸編地であれば、シングルジャージ、ダブルジャージを使用することができ、経編地であれば、シングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセルを使用することができ、横編地であれば、シングルベットニット、ダブルベットニットを使用することができる。
【0035】
本発明の布帛に凹凸を形成することは、衣服用の場合、かかる凹凸面を人体の肌側の面として用いることにより、布帛が乾燥状態で清涼感のある肌ざわりが得られるとともに、布帛が湿潤状態であっても布帛が肌に密着せず、汗や水が肌側にぬれ戻りにくい、凹凸の表面積効果により湿度移行性が向上する点で、好ましい実施態様である。
【0036】
布帛に凹凸を形成させる方法としては、長さ方向の部位により太さが異なる糸を用いて凹凸を形成させる方法、撚糸による糸のねじれ及びうねりからなる凹凸を用いる方法(特に、凸部が疎水性繊維からなる場合に適する)、編組織により凹凸を形成させる方法(特に凸部が親水性繊維からなる場合に適する)等が挙げられる。また、複数の糸を用いて交編する場合には、太さの異なる糸を用いて編組織上に適切に配置することによっても凹凸を形成させることができる。
【0037】
本発明の快適性布帛は、20℃から30℃におけるその厚み方向の熱伝導率(A)が0.08W/mK以上であり、好ましくは0.1W/mK以上である。熱伝導率(A)が0.08W/mK未満の場合、熱伝達による除熱が不足となり、十分な快適性が得られない。
【0038】
本発明の快適性布帛は、20℃から30℃の厚み方向の熱伝導率(A)を、布帛の目付け(g/m)で割った値が0.001Wm/gK以上であり、好ましくは0.0016Wm/gK以上である。厚み方向の熱伝導率(A)を目付けで割った値が0.001Wm/gK未満の場合、十分な快適性を得るにはその目付け量を大きくする必要があり、軽量性に優れる快適性布帛を得ることが困難になる。
【0039】
本発明の快適性布帛は、20℃から30℃における接触冷温感(B)が0.13W/cm以上であり、好ましくは0.15W/cmである。接触冷温感(B)が0.13W/cm未満である場合、熱伝達速度が不十分であり、十分な快適性が得られない。
【0040】
また、本発明の快適性布帛は、20℃から30℃の接触冷温感(B)を、布帛の目付け(g/m)で割った値が8W/g以上であることが好ましく、より好ましくは10W/gである。接触冷温感(B)を目付けで割った値が、8W/g未満の場合、十分な快適性が得られにくくなる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明の代表例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更実施することは、すべて本発明の技術範囲に包含される。なお、各特性値の測定方法は以下の通りである。
【0042】
(1)繊維の熱伝導率(W/mK)
熱伝導率は、ヘリウム冷凍機付きの温度制御装置を有するシステムにて定常熱流法により測定した。また、試料繊維の長さは約25mmとし、繊維束は単繊維を約1000本引き揃えて束ねた。
【0043】
次いで、試料繊維の両端をスタイキャストGTにて固定し、試料台にセットした。温度測定にはAu−クロメル熱電対を用いた。ヒーターには1kΩ抵抗を用い、これを繊維束端にワニスで接着した。測定温度領域は27℃とした。測定は断熱性を保つため10−3Paの真空中で行った。なお測定は試料を乾燥状態にするため10−3Paの真空状態で24時間経過した後開始した。
【0044】
熱伝導率の測定は、2点間Lの温度差ΔTが1Kとなるように、ヒーターに一定の電流を流して行った。これを図1に示す。ここで、繊維束の断面積をS、熱電対間の距離をL、ヒーターにより与えた熱量をQ、熱電対間の温度差をΔTとすると、求める熱伝導率κは下式により算出することができる。本実験方法を用いて測定した実施例を以下に示す。
κ(W/mK)=(Q/ΔT)×(L/S)
【0045】
(2)布帛の熱伝導率(W/mK)
布帛の厚み方向の熱伝導率は、サーモラボII型を用いて定常熱流法にて測定した。これを図2に示す。なお、測定条件は、環境温度20℃、湿度65%RH、荷重6gf/cm、接触面積50mm×50mmとした。
【0046】
(3)布帛の接触冷温感(W/cm
布帛の接触冷温感は、サーモラボII型を用いて最大熱流速度を測定した。これを図2に示す。なお測定条件は環境温度20℃、湿度65%RH、荷重6gf/cm、接触面積50mm×50mmとした。
【0047】
実施例1
超高強力ポリエチレン繊維(ダイニーマ(登録商標)SK60、東洋紡績(株)社製;繊度440dtex、単糸繊度1.1dtex)を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは130g/mであった。
【0048】
実施例2
高強力ポリエチレン繊維(ツヌーガ(登録商標)、東洋紡績(株)社製;繊度440dtex、単糸繊度1.2dtex)を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは130g/mであった。
【0049】
実施例3
PBO繊維(ザイロン(登録商標)HM、東洋紡績(株)社製;繊度545dtex、単糸繊度1.7dtex)を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは161g/mであった。
【0050】
実施例4
PBO繊維(ザイロン(登録商標)AS、東洋紡績(株)社製;繊度555dtex、単糸繊度1.7dtex)を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは164g/mであった。
【0051】
実施例5
超高強力ポリエチレン繊維(ダイニーマ(登録商標)SK60、東洋紡績(株)社製;繊度440dtex、単糸繊度1.1dtex)とナイロン繊維(繊度78dtex)をより合わせてなる繊維束を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは153g/mであった。
【0052】
実施例6
超高強力ポリエチレン繊維(ダイニーマ(登録商標)SK60、東洋紡績(株)社製;単糸繊度1.1dtex、平均繊維長50mm)を用いて、不織布を作製した。目付けは105g/mであった。
【0053】
実施例7
ラッピング糸に超高強力ポリエチレン繊維(ダイニーマ(登録商標)SK60、東洋紡績(株)社製;繊度440dtex、単糸繊度1.1dtex)を、芯糸にウレタン繊維156dtexからなるシングルカバリング糸を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは180g/mであった。
【0054】
比較例1
ポリプロピレン短繊維(繊度:531dtex、平均繊維長:30mm)を用いて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは173g/mであった。
【0055】
比較例2
ポリプロピレン長繊維(繊度:170dtex)を3本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは165g/mであった。
【0056】
比較例3
ポリエステル長繊維(繊度:330dtex)を2本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは195g/mであった。
【0057】
比較例4
ポリエステル長繊維(繊度:167dtex)を4本束ねてゲージ=10にてシングルニットを製編した。目付け195g/mであった。
【0058】
比較例5
麻短繊維(ラミー、繊度:250dtex、平均繊維長:65mm) を2本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは163g/mであった。
【0059】
比較例6
綿短繊維(繊度:531dtex、平均繊維長:38mm)を、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは173g/mであった。
【0060】
比較例7
テンセル短繊維(繊度:266dtex、平均繊維長:36mm)を2本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは173g/mであった。
【0061】
比較例8
ナイロン長繊維(繊度:78dtex)を7本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは159g/mであった。
【0062】
比較例9
ウール短繊維(繊度:150dtex、平均繊維長:40mm)を4本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは195g/mであった。
【0063】
比較例10
アクリル短繊維(繊度:470dtex、平均繊維長:50mm)を、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは163g/mであった。
比較例11
エチレンビニルアルコール繊維(繊度:167dtex)を4本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは195g/mであった。
【0064】
比較例12
レーヨン短繊維(繊度:150dtex、平均繊維長:56mm)を3本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは133g/mであった。
【0065】
比較例13
バンブー短繊維(繊度:256dtex、平均繊維長:36mm)を2本束ねて、ゲージ10にてシングルニットを製編した。目付けは151g/mであった。
【0066】
実施例、比較例で得られた布帛の評価結果を表1に示す。表1に示すように、本発明で得られた快適性布帛は、軽量で清涼性に優れていた。
【0067】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の快適性布帛は、軽量性、清涼性を生かして、暑熱感の低減が特に要求される分野である、衣料、手袋、靴下などの作業衣類、防護衣類、夏場での快適性が要求される布団、枕、座布団、クッションなどの寝装品、カーペット、カーテン、マットなどのインテリア品、その他の家庭用や産業用の分野での繊維製品としてあるいは製品の一部として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK以上の有機高分子繊維を少なくとも1種類含んでなる布帛であり、該布帛の20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率(A)が0.08W/mK以上で、接触冷温感(B)が0.13W/cm以上で、かつ、前記熱伝導率(A)を布帛の目付け(g/m)で割った値が0.001Wm/gK以上であることを特徴とする快適性布帛。
【請求項2】
前記接触冷温感(B)を布帛の目付け(g/m)で割った値が8W/g以上である請求項1記載の快適性布帛。
【請求項3】
前記有機高分子繊維が、高配向ポリエチレン繊維またはである請求項1または2記載の快適性布帛。
【請求項4】
前記有機高分子繊維が、高配向ポリベンズビスオキサゾール繊維である請求項1または2に記載の快適性布帛。
【請求項5】
布帛における前記有機高分子繊維の体積含有率が30%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の快適性布帛。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の快適性布帛を用いた作業衣。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の快適性布帛を用いた寝装品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−236130(P2010−236130A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85324(P2009−85324)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】