説明

感熱記録装置、画像形成方法及び中間転写媒体

【課題】サーマルヘッドに蓄積される熱の影響を受けずに滑らかな階調画像を与え、白の裏打ちやポリカーボネイト等への転写時に、白部の印画抜けや密着不良を軽減する感熱記録装置等を提供する。
【解決手段】サーマルプリンタ1の制御部9は、入力された画像データ3の解像度変換、階調変換をし、CMYK分版処理を行う。CMYK分版した各画像データに対して、サーマルプリンタ1の解像度、線数に応じてダブルトーン、シフト処理で重ね印画することにより、サーマルヘッドの蓄熱によるつぶれがなく、ざらつき感のない滑らかな階調画像となる出力画像15を印画出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドに蓄積される熱の影響を受けずに滑らかな階調画像を与える感熱記録装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタは、記録紙に重ねたインクリボンの背後をサーマルヘッドで加熱し、インクリボンのインクを記録紙に熱転写して印画する装置である。インクリボンは、熱溶融性着色インク層を有する熱転写シートであり、記録紙は紙やプラスチックシート等の受像シートである。
【0003】
サーマルヘッドは、基板上に一列に形成される複数の発熱抵抗体から成る。サーマルプリンタは複数のインクリボンを備え、記録紙の同一位置に複数色のインクリボンのインクを重ねて転写することで、カラー印刷をすることができる。例えば、複数のインクリボンは回転式に設置され、熱転写を行うインクリボンをサーマルヘッドの位置に移動するようになっている。また、記録紙搬送装置は、記録紙を印画位置であるサーマルヘッドの位置に搬送し、記録紙の所定の印画範囲が印刷される。
【0004】
各サーマルヘッドは、段階的に加熱量の制御ができるが、色材を溶融して転写する際には、ドットの密度や隣接ドットの影響を受けやすく、各画素毎に階調をコントロールすることは難しいため、溶融して転写する/転写しないの2値で行う。この場合、一定の大きさのドットを描画することで面積変調によって階調表現を行う。例えば、有理正接マトリクスを用いた網点発生方法や、この手法を基本として複数のマトリクスを用いて、階調数を擬似的に増加させるスーパーセル方式の網点発生方法が用いられる。
【0005】
階調補正テーブルを含む画像信号処理用補正回路により画像信号を処理し、処理した画像信号と外部装置からの画像信号を択一的に切り替えて、切り替え出力される画像信号を階調処理して出力して出力する方法がある。また、入力画像データを空間的にマトリクスで区分し、区分されたマトリクスの中央に位置する画素から、マトリクスの外縁に位置する画素に向かって順に決定された優先順位に従って定められた成長開始階調値に基づいて階調変換を行うという方法がある。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】特開平11−177826号公報
【特許文献2】特願2005−096406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サーマルヘッドの高解像度化による画像の解像度の向上に相反して、サーマルヘッドの蓄熱の影響が大きくなり、画像のシャドー部において網点が不規則につながってつぶれてしまうため、ざらつき感があり、滑らかな階調画像を得られなかった。
【0008】
また、図15に示すように、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKをドットオンドット方式による2度印字で、中間転写フィルム61にイエローY55、マゼンタM53、シアンC57、ブラックK59を重ね印画して、更に白部51の裏打ちを行い、図16に示すように、この中間転写フィルム61をポリカーボネイト63に転写する場合、重ね印画しているため段差が大きくなり、白部51の印画抜け65が発生したり、密着不良67が生じたりする。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、サーマルヘッドに蓄積される熱の影響を受けずに滑らかな階調画像を与え、白の裏打ちやポリカーボネイト等への転写時に、白部の印画抜けや密着不良を軽減する感熱記録装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、サーマルヘッドを有する感熱記録装置において、RGBの原画像データをCMYKに分版された画像データに変換する手段と、前記分版された各画像データを、夫々異なる画素分だけシフトさせる手段と、前記シフトされた各画像データに対して網点変換処理を行う手段と、前記網点変換処理された各画像データを、重ね合わせ、画像データを生成する手段と、を具備することを特徴とする感熱記録装置である。
【0011】
感熱装置は、重ね合わせた画像データを印画する印画手段を更に具備する。
感熱装置は、RGBの原画像データを画像データをC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)に色分解し、色分解した各画像データに対してシフト処理、網点変換処理、重ね合わせ処理を行う。
【0012】
第2の発明は、RGBの原画像データをCMYKに分版された画像データに変換する手段と、前記分版された各画像データを、夫々異なる画素分だけシフトさせる手段と、前記シフトされた各画像データに対して網点変換処理を行う手段と、前記網点変換処理された各画像データを、重ね合わせ、画像データを生成する手段と、を具備することを特徴とする画像形成方法である。
【0013】
重ね合わせた画像は、中間転写媒体に印画し、この中間転写媒体を被印刷物に転写する。
【0014】
第3の発明は、画像形成方法により、重ね合わせた画像が印画された中間転写媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サーマルヘッドに蓄積される熱の影響を受けずに滑らかな階調画像を与え、白の裏打ちやポリカーボネイト等への転写時に、白部の印画抜けや密着不良を軽減する感熱記録装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る感熱記録装置等の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係る感熱記録装置(サーマルプリンタ1)の構成について説明する。
図1は、サーマルプリンタ1の構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、サーマルプリンタ1は、記録紙(図示せず)に重ねたインクリボン(図示せず)の背後をサーマルヘッド(図示せず)で加熱し、インクリボンのインクを記録紙に熱転写して印画する装置である。サーマルプリンタ1は、画像入力部5、記憶部7、制御部9、印画部11等から構成され、それぞれがバス13で接続される。
【0019】
画像入力部5は、印画する画像データ3が入力される。記憶部7は、入力される画像データ3や、算出途中の一時保存データ、処理した画像データ、画像処理用のパラメータ等を保存する。制御部9は、プログラムの実行を行うCPU(central processing unit)と、プログラム命令あるいはデータ等を格納するためのROM(read only memory)、RAM(random access memory)等のメモリから構成され、画像入力部5に対して画像データ3の取り込みや画像データ3の処理を指示したり、印画部11に処理後の画像データを送り、印画指示等を行う。
【0020】
印画部11は、図示していないが、基板上に一列に形成される複数の発熱抵抗体からなるサーマルヘッドとサーマルヘッド駆動部等から構成される。印画部11は、制御部9の指示で印画する画像データを送られると、画素値に応じたエネルギーをサーマルヘッドに印加し、これにより印加部分のインクが溶けて記録紙に付着し、出力画像15を出力する。画素値が大きければ印画記録濃度が高く、反対に画素値が小さければ印画記録濃度は低い。
なお、インクリボンには、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの4種類があり、これらのインクを重ねて転写することでカラー印画を行う。
【0021】
図2は、図1のサーマルプリンタ1の構成と処理内容の関係を示す図である。画像入力部5は、画像データ3の画像読み取り21を行い、読み取った画像を記憶部7の画像メモリ27に記録すると同時に、制御部9に送る。制御部9は、画像データ3に対して画像処理23を行う。
【0022】
画像処理23は、解像度変換処理、階調変換処理、CMYK分版処理、画像シフト処理、網点処理、画像逆シフト処理等の処理工程であり、記憶部7の画像メモリ27内の画像データをそれぞれの処理パラメータ29を用いて画像処理し、最終的な画像データを得る。処理途中の画像データは、記憶部7の画像メモリ27内に記憶する。制御部9は、最終的に得られた画像データを印画部11に送り、印画部11が画像印画25を行う。
【0023】
図3は、サーマルプリンタ1の記憶部7の詳細を示す図である。記憶部7は、画像処理する対象となる画像データを記憶する画像メモリ27と、画像処理を行う際に用いるパラメータを記憶する処理パラメータ29とから構成される。また、図示しないが記憶部7には他に制御プログラムや、サーマルヘッド等の印画部11の制御パラメータ等も記憶している。
【0024】
画像メモリ23には、サーマルプリンタ1が取得した元画像であるR(赤)、G(緑)、B(青)の画像データ3を画像G31−1として登録する。画像G31−2、画像G31−3、画像G31−4、画像G31−5、画像G31−6、画像G31−7、画像G31−8、画像G31−9は、画像処理23の過程で算出される画像データとして登録される。
尚、元画像である画像G31−1と最終的な画像データとなる画像G31−9以外の算出過程で得られる画像データは、特に画像メモリ27に残しておかなくてもよい。
また、画像G31−4、画像G31−5、画像G31−6、画像G31−7、画像G31−8、画像G31−9は、画像G31−3をCMYKデータに変換(CMYK分版)した後、処理した画像データで、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4個の画像データから構成される。
【0025】
記憶部7の処理パラメータ29は、画像処理23が用いる解像度変換パラメータ33、階調変換パラメータ35、シフト処理パラメータ37、網点処理パラメータ39を記録している。
【0026】
次に、サーマルプリンタ1における画像処理の流れについて説明する。図4は、画像処理23による動作のフローチャートを示す図、図5は、階調変換及びシフト処理のパラメータの一例を示す図、図6は、階調変換及びシフト処理のパラメータの一例を示す図、図7は画像処理23による画像データを示す図、図8は、画像データG5c(G5M、G5Y、G5K)31−5の横方向へのシフトを示す図、図9は、画像データG5c(G5M、G5Y、G5K)31−5の下方向へのシフトを示す図、図10は、色毎に網点位置をシフトして重ね印画し、白の裏打ちをした例を示す図、図11は、色毎に網点位置をシフトして重ね印画し、ポリカーボネイトに転写した例を示す図である。
【0027】
サーマルプリンタの画像入力部5は、画像データ3を読み込み(ステップ101)、制御部9は、取得した画像G31−1を記憶部7の画像メモリ27に保存する(ステップ102)。
【0028】
次に、サーマルプリンタ1の制御部9は画像処理23を実行し、まず、サーマルプリンタ1の解像度に合わせて、画像G31−1の解像度変換処理を行い、画像G31−2を生成し(ステップ103)、記憶部7の画像メモリ27に保存する。例えば、サーマルプリンタ1の解像度は600dpi(dots per inch)とする。
【0029】
サーマルプリンタ1の制御部9は、画像G31−2の階調変換を行い、画像G31−3を生成し(ステップ104)、記憶部7の画像メモリ27に保存する。
同一色を2つに分解し、ずらし、重ね印画するダブルトーンの場合、理想的には50%の階調変換をすればよいことになるが、実際には50%では重ね印画したときに隙間ができてしまうため、60〜65%の階調変換を行う。最適な階調変換はサーマルプリンタ1の解像度、印画画像の線数により異なり、例えば、図5、6に示すように解像度が600dpiで線数が60lpi(dots per inch)の場合は60%、75lpiの場合は60%、100lpiの場合は65%、120lpiの場合は65%となる。
【0030】
サーマルプリンタ1の制御部9は、階調変換して得られた画像G31−3をCMYKデータに変換し(CMYK分版処理)、画像G31−4を生成し(ステップ105)、記憶部7の画像メモリ27に保存する。画像G31−4は、シアンG4C、マゼンタG4M、イエローG4Y、ブラックG4Kの4個の画像データから構成される。
【0031】
そして、サーマルプリンタ1の制御部9は、CMYK分版処理した画像G31−4の各色の画像データシアンG4C、マゼンタG4M、イエローG4Y、ブラックG4Kに対して画像シフト処理を行い、図7で示すように、画像G5c(G5M、G5Y、G5K)31−5とG6c(G6M、G6Y、G6K)31−6を生成する(ステップ106)。画像G31−5は、シアンG5C、マゼンタG5M、イエローG5Y、ブラックG5Kの4個の画像データから、画像G31−6は、シアンG6C、マゼンタG6M、イエローG6Y、ブラックG6Kの4個の画像データから構成される。
また、画像データはCMYKを同角で表現しているということを前提としており、例えば、万線タイプの90°であるとする。
【0032】
この画像シフト処理では、色毎のシフト処理と、ダブルトーンでずらすためのシフト処理を同時に行う。
図5は、画像G31−4のシアンG4C、マゼンタG4M、イエローG4Y、ブラックG4Kに対して色毎のシフト処理を行い、画像G31−5のシアンG5C、マゼンタG5M、イエローG5Y、ブラックG5Kを生成するためのシフトする画素数を、図6は、画像G31−4のシアンG4C、マゼンタG4M、イエローG4Y、ブラックG4Kに対して色毎のシフト処理とダブルトーンでずらすためシフト処理を行い、画像G31−6のシアンG6C、マゼンタG6M、イエローG6Y、ブラックG6Kを生成するためのシフトする画素数を示している。
図5、6では、各色毎の右シフト、下シフトの画素数を示しているが、例えば、右シフトの「5+1」という値のうち、前の数字「5」はダブルトーンでずらす処理のためのシフト画素数を表し、後ろの数字「1」は色毎のシフト処理のためのシフト画素数を表す。
【0033】
色毎のシフト処理では、画像G31−4のシアンG4C、マゼンタG4M、イエローG4Y、ブラックG4Kを、色毎に異なる画素数分、横方向にシフト処理して画像G31−5のシアンG5C、マゼンタG5M、イエローG5Y、ブラックG5Kを生成する。
後述するように、中間転写フィルム61に印刷を行う場合、図10に示すように、マゼンタM53、イエローY55、シアンC57、ブラックK59を色毎に異なる画素数分、横方向にシフトし、中間転写フィルム61に重ね印画して、更に白部51の裏打ちを行い、図11に示すように、この中間転写フィルム61をポリカーボネイト63に転写する。
【0034】
線数が多くなると、色毎にシフト処理しても異なる色が重なってしまう可能性もあるが、できる限り平らになるようにする。
基本的には、マゼンタMを中心としてシフト処理を行う。ブラックKは段差が大きいため、シフト量を大きくすると共に、他の色からできるだけ離すようにする。また、シアンCとマゼンタMは色差が大きいため、できるだけ離すようにする。
【0035】
色毎のシフトする画素数は、サーマルプリンタ1の解像度、印画画像の線数により異なる。図5に示すように、例えばサーマルプリンタ1の解像度が600dpiの場合、線数60lpiではイエローYが右へ1画素、マゼンタMは0画素、シアンCは右へ2画素、ブラックKは右へ3画素シフトする。また、線数75lpiでは、イエローYが右へ1画素、マゼンタMは0画素、シアンCは右へ2画素、ブラックKは右へ3画素、線数100lpiでは、イエローYが右へ1画素、マゼンタMは0画素、シアンCは右へ1画素、ブラックKは右へ2画素、120lpiでは、ブラックKのみを右へ1画素シフトさせる。
例えば、図10では、イエローY、シアンC、ブラックKがマゼンタMに対してそれぞれ1画素、2画素、3画素分シフトされている。
【0036】
ダブルトーンでずらすためのシフト処理では、図8に示すように画像G31−5をCMYK分版したシアンG5C、マゼンタG5M、イエローG5Y、ブラックG5KをそれぞれL1画素数分だけ横方向へシフトし、さらに、図9に示すように画像G31−5のシアンG5C、マゼンタG5M、イエローG5Y、ブラックG5Kをそれぞれ下方向へL2画素数分だけ下方向にシフトして、画像G31−6のシアンG6C、マゼンタG6M、イエローG6Y、ブラックG6Kを生成する。
【0037】
横方向、下方向へシフトする画素数L1、L2は、サーマルプリンタ1の解像度、印画画像の線数により異なる。
ダブルトーンでずらす処理のためのシフト処理では、例えば図6で示すように、サーマルプリンタ1の解像度が600dpiの時、線数が60lpiの場合は右へ5画素、下へ5画素、75lpiの場合は右へ4画素、下へ4画素、100lpiの場合は右へ3画素、下へ3画素、120lpiの場合は右へ2画素、下へ2画素シフトする。
【0038】
色毎のシフト処理とダブルトーンでずらす処理のためのシフト処理は、合わせて同時にシフト処理してもよいし、あるいは、別々にシフト処理してもよい。
【0039】
画像シフト処理後、サーマルプリンタ1の制御部9は画像G31−5のシアンG5C、マゼンタG5M、イエローG5Y、ブラックG5K、画像G31−6のシアンG6C、マゼンタG6M、イエローG6Y、ブラックG6Kの網点処理を行い、画像G31−7と画像G31−8を生成する(ステップ107)。
画像G31−7は、シアンG7C、マゼンタG7M、イエローG7Y、ブラックG7Kの4個の画像データから、画像G31−8はシアンG8C、マゼンタG8M、イエローG8Y、ブラックG8Kの4個のデータから構成される。
【0040】
網点のマトリクスサイズはサーマルプリンタ1の解像度、線数により異なり、図6に示すように、解像度が600dpiの場合、線数60lpiでは10×10画素、線数75lpiでは8×8画素、100lpiでは6×6画素、120lpiでは5×5画素となる。
【0041】
サーマルプリンタ1の制御部9は、画像G31−8のシアンG8C、マゼンタG8M、イエローG8Y、ブラックG8Kに対して画像逆シフト処理を行い、網点処理したG31−7のシアンG7C、マゼンタG7M、イエローG7Y、ブラックG7Kと重ね合わせて、画像G31−9を生成する(ステップ108)。
この画像逆シフト処理では、ステップ106の画像シフト処理と逆の方向に同じ画素数分シフトさせる。
シフト処理は、階調変換した階調画像データをシフトすることを意味し、そのデータを網点変換処理した網点画像データは、シフトされていない状態になっているため、網点変換処理データを正しい位置に移動するため、逆シフト処理をする。
画像G31−9は、シアンG9C、マゼンタG9M、イエローG9Y、ブラックG9Kの4個のデータから構成される画像データで、サーマルプリンタ1の最終的なデータとして記憶部7の画像メモリ27に保存される。
【0042】
サーマルプリンタ1の制御部9は、画像処理23の工程を終了し、シアンG9C、マゼンタG9M、イエローG9Y、ブラックG9Kから構成される画像G31−9を印画部11に送る(ステップ109)。
印画部11は、制御部9の指示により画像G31−9を出力画像15として印画出力する(ステップ110)。ダブルトーン及びシフト処理で重ね印画することにより、サーマルヘッドの蓄熱によるつぶれがなく、ざらつき感のない滑らかな階調画像として出力画像15が得られる。
前述したように、中間転写フィルム61に印刷を行う場合、色毎に異なる画素数分、横方向にシフトして、YMCKの網点位置をシフトしてから重ね印画することにより、図10、11に示すように段差が最小限となり、白の裏打ちやポリカーボネイトへの転写時等における白部の印画抜け、密着不良を軽減することができる。
【0043】
次に、画像シフト処理の最適化について説明する。図12は、サーマルプリンタ1の線数が90lpiの場合の出力画像の一例を示す図、図13は、サーマルプリンタの線数が75lpiの場合の出力画像の一例を示す図、図14は、サーマルプリンタの線数が100lpiの場合の出力画像の一例を示す図である。
【0044】
図12は、サーマルプリンタ1の解像度を600dpi、線数を90lpiとし、右へ3画素シフト処理して得た出力画像である。網点のマトリクスサイズは、600/90≒7より網点のマトリクスサイズは7×7画素となるため配置が片寄り、また、上下方向のシフト処理を行っていないため固まりができてしまっている。
【0045】
図13は、シフト処理を最適化したもので、サーマルプリンタ1の解像度を600dpi、線数を75lpiとし、右へ4画素、下へ4画素シフト処理して得た出力画像である。網点のマトリクスサイズは、600/75=8より網点のマトリクスサイズは8×8画素となるため配置が均等となり、図12の出力画像と比べて粒状感がなくなっている。
【0046】
図14は、シフト処理を最適化し、さらに高線数化したもので、サーマルプリンタ1の解像度を600dpi、線数を100lpiとし、右へ3画素、下へ3画素シフト処理して得た出力画像である。網点のマトリクスサイズは、600/100=6より網点のマトリクスサイズは6×6画素となるため配置が均等となり、また、線数を増やしたことにより、図13の出力画像よりもさらに粒状感が軽減されている。
【0047】
以上、説明したように本実施によれば、サーマルヘッドに蓄積される熱の影響を受けずに滑らかな階調画像を与え、白の裏打ちやポリカーボネイト等への転写時に、白部の印画抜けや密着不良を軽減する感熱記録装置等を提供できる。
【0048】
添付図面を参照しながら本発明に係る感熱記録装置の好適な実施形態について説明したが、前述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】サーマルプリンタ1の構成を示す図
【図2】サーマルプリンタ1の構成と処理内容の関係を示す図
【図3】サーマルプリンタ1の記憶部7の詳細を示す図
【図4】画像処理23による動作のフローチャートを示す図
【図5】階調変換及びシフト処理のパラメータの一例を示す図
【図6】階調変換及びシフト処理のパラメータの一例を示す図
【図7】画像処理23による画像データを示す図
【図8】画像データG5c(G5M、G5Y、G5K)31−5の横方向へのシフトを示す図
【図9】画像データG5c(G5M、G5Y、G5K)31−5の下方向へのシフトを示す図
【図10】色毎に網点位置をシフトして重ね印画し、白の裏打ちをした例を示す図
【図11】色毎に網点位置をシフトして重ね印画し、ポリカーボネイトに転写した例を示す図
【図12】サーマルプリンタ1の線数が90lpiの場合の出力画像の一例を示す図
【図13】サーマルプリンタの線数が75lpiの場合の出力画像の一例を示す図
【図14】サーマルプリンタの線数が100lpiの場合の出力画像の一例を示す図
【図15】従来の方法で重ね印画し、白の裏打ちをした例を示す図
【図16】従来の方法で重ね印画し、ポリカーボネイトに転写した例を示す図
【符号の説明】
【0050】
1………サーマルプリンタ
3………画像データ
5………画像入力部
7………記憶部
9………制御部
11………印画部
13………バス
15………出力画像
21………画像読み取り
23………画像処理
25………画像印画
27………画像メモリ
29………処理パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドを有する感熱記録装置において、
RGBの原画像データをCMYKに分版された画像データに変換する手段と、
前記分版された各画像データを、夫々異なる画素分だけシフトさせる手段と、
前記シフトされた各画像データに対して網点変換処理を行う手段と、
前記網点変換処理された各画像データを、重ね合わせ、画像データを生成する手段と、
を具備することを特徴とする感熱記録装置。
【請求項2】
前記重ね合わせた画像データを印画する印画手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の感熱記録装置。
【請求項3】
RGBの原画像データをCMYKに分版された画像データに変換する工程と、
前記分版された各画像データを、夫々異なる画素分だけシフトさせる工程と、
前記シフトされた各画像データに対して網点変換処理を行う工程と、
前記網点変換処理された各画像データを、重ね合わせ、画像データを生成する工程と、
を具備することを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
前記重ね合わせた画像を印画する工程を更に具備することを特徴とする請求項3記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記印画工程は、中間転写媒体に前記画像を印画し、この中間転写媒体を被印刷物に転写することを特徴とする請求項4記載の画像形成方法。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成方法により、重ね合わせた画像が印画された中間転写媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−125768(P2007−125768A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319583(P2005−319583)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】