説明

戸車ユニット及び戸車ユニットの取付構造

【課題】耐久性が高く構造が簡単で、確実な防音性能を発揮できるような戸車ユニット及び戸車ユニットの取付構造を提供する。
【解決手段】下面に開口部9を有する箱状枠体3の内部に、車軸2を介して車輪1を回転自在にかつ車輪1下部が開口部9から突出するように取り付けてなる戸車ユニット10を、引き戸11の底面に形成された凹部12に嵌着してなる戸車ユニットの取付構造において、箱状枠体3の上面と凹部12の天井壁13との間に緩衝材6又は制振材を挟み込む。さらに、箱状枠体3の側面と凹部12の側壁14との間にも緩衝材又は制振材を挟み込むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸等に使用される戸車に関する。
【背景技術】
【0002】
洋風住宅の扉に関しては、ドアが一般的であるが、開閉に場所を取らず、車椅子の走行にも適しているので、引き戸を使用する場合も多くなっている。引き戸の構造に関して、上部に戸車を装着した「上吊戸」もあるが、一般には、構造が簡単で施工も容易な、下部に戸車を装着した例が多い。
図7乃至図9は、このような、引き戸の下部に戸車を装着した従来例を示したものである。図7に示す引き戸11の下部には、左右二箇所に戸車ユニット100が取り付けられている。図8は、図7の左下部分を拡大したものであり、図9は、図8のD−D断面図である。
【0003】
戸車ユニット100は、下面に開口部9を有する箱状枠体3と、その内部に取り付けられた車輪1から構成されている。車輪1は車軸2を介して回転自在に取り付けられているとともに、車輪1の下部は箱状枠体3の開口部9からはみ出すように突出している。
一方、引き戸11の底面には、箱状枠体3の形状に合わせて凹部12が形成されている。そして、戸車ユニット100が凹部12に嵌め込まれ、両側の取付座4,4にネジ5,5を通すことにより固定されている。
引き戸11は、敷居に設けられたレール上に設置され、車輪1がレール上を走行することで左右に開閉されるようになっている。
なお、戸車ユニットとしては、上記のような箱状のものに限らず様々な構成のものが用いられている。
【0004】
上記のような下部に戸車を装着した引き戸においては、引き戸の走行音が敷居を通して躯体に伝わり、隣室や階下に大きな騒音となって伝わる傾向がある。又、引き戸自体が振動板のようになって騒音を発生する場合もある。
こうした戸車の走行による騒音の発生原因としては、レール頭部にネジや釘の固定用穴が開けられて車輪と接触する場合、油切れにより金属同士が接触して軋み音が発生する場合、車輪がクリープ変形を生じ接触面がいびつとなる場合、レール部分にゴミが溜まって車輪と接触する場合、固定が不十分であったり取り付けに使用した釘やネジが緩んで「ばたつき」が生じる場合等が考えられる。
【0005】
このようにして発生した振動は、戸車から、敷居や戸車に一体化された引き戸本体に伝わる。引き戸本体に伝わると、引き戸はあたかもスピーカーの「振動板」に相当するような薄く面積の大きな面状体なので、引き戸全体から音となって空気中に放出される傾向がある。
そのため、このような騒音の発生に対して従来、戸車の改良や、戸車が走行するレールの改良等による対策が行われてきた。
【0006】
戸車の改良としては、金属製車輪に替えて、柔軟なゴム製車輪を使用する方法が挙げられる。また、特許文献1には、車輪自体を防振構造とする発明が開示されている。
また、戸車が走行するレールの改良として特許文献2には、レールの周囲に弾性材を設けた発明が開示されている。
【特許文献1】特開2000−291319号公報
【特許文献2】実開平3−126982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の方法においては、それぞれ以下のような問題点を有していた。
金属製車輪に替えてゴム製車輪を使用した場合には、磨耗しやすくカスがレール等に付着して汚染すること、劣化しやすく長期間の使用に適さないこと、軟質になるほど変形が大きくなり転がり抵抗が増大すること、長期間一定の位置にあるとクリープ変形を生じること等の問題が生じる。
また、特許文献1に記載された発明のように車輪自体を防振構造とした場合、構造が複雑で破損や部品の磨耗の恐れが大きい。
また、特許文献2に記載された発明のようにレールの周囲に弾性材を設けた場合には、長年の使用により緩衝材が部分的に潰れレールが歪んでしまい、引き戸上部が鴨居から外れて脱落したり、引き戸を閉じた場合に枠材との間に隙間を生じる恐れがある。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、耐久性が高く構造が簡単で、確実な防音性能を発揮できるような戸車ユニット及び戸車ユニットの取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の戸車ユニットは、車輪を回転自在に支持する車軸を軸受部材に軸着してなる戸車ユニットであって、前記軸受部材のまわりの少なくとも一部に緩衝材又は制振材を取り付けたことを特徴とする。
なお、緩衝材とは、二つの物の間の衝突や衝撃を緩め、やわらげることが可能な材料をいう。また、制振材とは、外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収してしまう能力の大きい材料をいう。
また、「緩衝材又は制振材」とは、緩衝材と制振材のいずれか一方のみを使用する場合と、緩衝材と制振材の両方を使用する場合を含み、さらに1つの部材で緩衝材と制振材の両方の特徴を有するようなものであってもよい。
【0010】
また、請求項2に係る発明の戸車ユニットは、下面に開口部(9)を有する箱状枠体(3)の内部に、車軸(2)を介して車輪(1)を回転自在にかつ車輪(1)下部が前記開口部(9)から突出するように取り付けてなる戸車ユニット(10)であって、前記箱状枠体(3)の上面に緩衝材(6)又は制振材を取り付けたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記箱状枠体(3)の側面のうち少なくとも1面に緩衝材(7)又は制振材(8)を取り付けたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明の戸車ユニットの取付構造は、車輪を回転自在に支持する車軸を軸受部材に軸着してなる戸車ユニットを、引き戸の底面に形成された凹部に嵌着してなる戸車ユニットの取付構造において、前記軸受部材と前記凹部との間の少なくとも一部に緩衝材又は制振材を挟み込んだことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明の戸車ユニットの取付構造は、下面に開口部(9)を有する箱状枠体(3)の内部に、車軸(2)を介して車輪(1)を回転自在にかつ車輪(1)下部が前記開口部(9)から突出するように取り付けてなる戸車ユニット(10)を、引き戸(11)の底面に形成された凹部(12)に嵌着してなる戸車ユニットの取付構造において、前記箱状枠体(3)の上面と前記凹部(12)の天井壁(13)との間に緩衝材(6)又は制振材を挟み込んだことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の発明において、前記箱状枠体(3)の側面のうち少なくとも1面と前記凹部(12)の側壁(14)との間に緩衝材(7)又は制振材(8)を挟み込んだことを特徴とする。
【0015】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、戸車ユニットの軸受部材のまわりの少なくとも一部に、緩衝材又は制振材を取り付けているので、この戸車ユニットを引き戸の底面に形成された凹部に嵌着することにより、引き戸走行時の騒音発生を抑制することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、戸車ユニットを構成する箱状枠体の上面に緩衝材又は制振材を取り付けているので、この戸車ユニットを引き戸の底面に形成された凹部に嵌着することにより、引き戸走行時の騒音発生を抑制することができる。
特に、請求項2に記載の発明においては、箱状枠体のうち、車輪がレール上を走行するときに生じる振動がもっとも伝わりやすい上面部分に緩衝材又は制振材を取り付けているので、騒音防止効果が大きい。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、戸車ユニットを構成する箱状枠体の側面のうち少なくとも1面に緩衝材又は制振材を取り付けるので、箱状枠体の側面に伝わる振動に対しても対処することができ、騒音防止効果をさらに高めることができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明によれば、戸車ユニットの軸受部材と引き戸の底面に形成された凹部との間の少なくとも一部に、緩衝材又は制振材を挟み込んでいるので、引き戸走行時の騒音発生を抑制することができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明によれば、戸車ユニットを構成する箱状枠体の上面と引き戸の底面に形成された凹部の天井壁との間に、緩衝材又は制振材を挟み込んでいるので、引き戸走行時の騒音発生を抑制することができる。
特に、請求項5に記載の発明においては、箱状枠体と凹部との間のうち、車輪がレール上を走行するときに生じる振動がもっとも伝わりやすい箱状枠体の上面と凹部の天井壁との間に緩衝材又は制振材を挟み込んでいるので、騒音防止効果が大きい。
【0021】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の作用効果に加えて、戸車ユニットを構成する箱状枠体の側面のうち少なくとも1面と引き戸の底面に形成された凹部の側壁との間に、緩衝材又は制振材を挟み込んでいるので、箱状枠体の側面に伝わる振動に対しても対処することができ、騒音防止効果をさらに高めることができる。
【0022】
なお、請求項1乃至請求項6に記載の発明における騒音防止効果は、いずれも以下の作用により生じるものである。
すなわち、緩衝材を取り付けた場合には、車輪がレール上を走行するときに生じる振動から発生する衝撃を緩衝材が緩め、やわらげることができるので、引き戸の走行音が躯体に伝わり騒音を発生するのを防止することができる。
また、制振材を取り付けた場合には、車輪がレール上を走行するときに生じる振動エネルギーを制振材が熱エネルギーに変換し、吸収してしまうことができるので、引き戸の走行音が躯体に伝わり騒音を発生するのを防止することができる。
【0023】
また、請求項1乃至請求項6に記載のいずれの発明においても、車輪としてゴム製車輪を使用する必要はなく、ナイロン製車輪を使用することができるので、十分な耐久性が得られる。長年の使用によって緩衝材や制振材の効果が減少した場合でも、戸車ユニットを取り外して緩衝材や制振材を交換することができるので効果を回復させるのが容易である。
また、車輪自体を複雑な構造にする必要がなく、破損や部品の磨耗の恐れが小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態1に係る戸車ユニット及び戸車ユニットの取付構造について説明する。
図1は、実施形態1に係る戸車ユニット10の取付構造を示す正面図であり、図7に示す引き戸11の左下部分を拡大したものに該当する。また図2は、図1のA−A断面図である。
【0025】
戸車ユニット10は、下面に開口部9を有する箱状枠体3と、その内部に取り付けられた車輪1から構成されている。車輪1は車軸2を介して回転自在に取り付けられているとともに、車輪1の下部は箱状枠体3の開口部9からはみ出すように突出している。
一方、引き戸11の底面には、箱状枠体3の形状に合わせて凹部12が形成されている。そして、戸車ユニット100が凹部12に嵌め込まれ、両側の取付座4,4にネジ5,5を通すことにより固定されている。なお、箱状枠体3の凹部12への取付方法は、図1のように取付座4とネジ5を用いた方法に限らず、例えば、箱状枠体3のまわりに接着剤を塗布してから嵌め込んで接着するといった方法であってもよい。
【0026】
さらに、箱状枠体3の上面と凹部12の天井壁13との間には、緩衝材6が挟み込まれている。
この緩衝材6は、二つの物の間の衝突や衝撃を緩め、やわらげることが可能な材料であれば特に限定されるものではないが、より具体的には、ウレタンフォーム、フェルト、ゴム、ポリエチレンフォーム、ゲル等を用いることができる。特に、防音効果と防音性能の長期安定性の両面からみて、厚さ3ミリ程度の発砲ゴムを用いると効果的である。
なお、緩衝材6をあらかじめ戸車ユニット10の箱状枠体3の上面に貼着するなどして取り付けて、緩衝材付き戸車ユニットとして製造してもよいし、戸車ユニット10の引き戸11への装着時に緩衝材6を挟み込んでもよい。その場合、緩衝材6を箱状枠体3の上面に貼着等する必要はない。
また、緩衝材6は、箱状枠体3の上面全体を覆うことが好ましいが、少なくとも上面が凹部12の天井壁13と直接触れることのない程度に覆われていれば、防音効果を得ることが可能である。
【0027】
実施形態1に係る戸車ユニット10の取付構造によれば、戸車ユニット10を構成する箱状枠体3の上面と引き戸11の底面に形成された凹部12の天井壁13との間に、緩衝材6を挟み込んでいるので、引き戸11走行時の騒音発生を抑制することができる。
特に、箱状枠体3と凹部12との間のうち、車輪1がレール上を走行するときに生じる振動がもっとも伝わりやすい箱状枠体3の上面と凹部12の天井壁13との間に緩衝材6を挟み込んでいるので、騒音防止効果が大きい。
上記の騒音防止効果は、緩衝材6が、車輪1がレール上を走行するときに生じる振動から発生する衝撃を緩め、やわらげることにより、引き戸11の走行音が躯体に伝わり騒音を発生するのを防止できることから生じるものである。
【0028】
また、車輪1としてゴム製車輪を使用する必要はなく、ナイロン製車輪を使用することができるので、十分な耐久性が得られる。長年の使用によって緩衝材6の効果が減少した場合でも、戸車ユニット10を取り外して緩衝材6を交換することができるので効果を回復させるのが容易である。
また、車輪1自体を複雑な構造にする必要がなく、破損や部品の磨耗の恐れが小さい。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態2に係る戸車ユニット及び戸車ユニットの取付構造について説明する。
図3は、実施形態2に係る戸車ユニット20の取付構造を示す正面図であり、図7に示す引き戸11の左下部分を拡大したものに該当する。また図4は、図3のB−B断面図である。
【0030】
実施形態2に係る戸車ユニット20の取付構造は、実施形態1に係る戸車ユニット10の取付構造とほぼ同様の構成であるが、以下の点が異なる。
戸車ユニット20の取付構造においては、戸車ユニット10における緩衝材6に加えて、箱状枠体3の側面と凹部12の側壁14との間にも緩衝材7を挟み込んである。箱状枠体3には4つの側面が存在するため、それぞれの側面と側壁14の間に、合計4枚の緩衝材7が挟み込んである。
この緩衝材7も緩衝材6と同様に、ウレタンフォーム、フェルト、ゴム、ポリエチレンフォーム、ゲル等を用いることができる。特に、側面に用いる緩衝材7は、防音効果と防音性能の長期安定性の両面からみて、厚さ1ミリ程度の発砲ゴムを用いると効果的である。
【0031】
なお、緩衝材7もあらかじめ箱状枠体3の側面に貼着しておいてもよいし、引き戸11への装着時に緩衝材7を挟み込んでもよい。
また、緩衝材7は、箱状枠体3の4つの側面すべてを覆うことが好ましいが、少なくとも1面が覆われていれば、防音効果を得ることが可能である。さらに、1つの側面についても全体を覆うことが好ましいが、少なくとも側面が凹部12の側壁14と直接触れることのない程度に覆われていれば、防音効果を得ることが可能であり、箱状枠体3の側面に表出する車軸2の端部の部分等については、覆わないように回避することが可能である。
【0032】
実施形態2に係る戸車ユニット20の取付構造によれば、戸車ユニット20を構成する箱状枠体3の側面と引き戸11の底面に形成された凹部12の側壁14との間に、緩衝材6を挟み込んでいるので、箱状枠体3の側面に伝わる振動に対しても対処することができ、騒音防止効果をさらに高めることができる。
【0033】
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施形態3に係る戸車ユニット及び戸車ユニットの取付構造について説明する。
図5は、実施形態3に係る戸車ユニット30の取付構造を示す正面図であり、図7に示す引き戸11の左下部分を拡大したものに該当する。また図6は、図5のC−C断面図である。
【0034】
実施形態3に係る戸車ユニット30の取付構造は、実施形態2に係る戸車ユニット20の取付構造とほぼ同様の構成であるが、以下の点が異なる。
戸車ユニット30の取付構造においては、戸車ユニット20における緩衝材7に替えて、箱状枠体3の側面と凹部12の側壁14との間に制振材8を挟み込んである。箱状枠体3には4つの側面が存在するため、それぞれの側面と側壁14の間に、合計4枚の制振材8が挟み込んである。
この制振材8は、外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収してしまう能力の大きい材料であれば特に限定されるものではないが、より具体的には、塩化ビニール系、アスファルト系、ブチルゴム、ポリウレタン等を用いることができる。また、厚さ0.5〜2.0ミリ程度のものを用いると効果的である。
制振材8として、例えば、住友スリーエム株式会社製のSJ−5600シリーズ(クリアウレタンロールストック)や、SJ5800シリーズ(ウレタンロールストック)を用いることができる。
【0035】
なお、制振材8もあらかじめ箱状枠体3の側面に貼着しておいてもよいし、引き戸11への装着時に制振材8を挟み込んでもよい。
また、制振材8は、箱状枠体3の4つの側面すべてを覆うことが好ましいが、少なくとも1面が覆われていれば、防音効果を得ることが可能である。さらに、1つの側面についても全体を覆うことが好ましいが、少なくとも側面が凹部12の側壁14と直接触れることのない程度に覆われていれば、防音効果を得ることが可能であり、箱状枠体3の側面に表出する車軸2の端部の部分等については、覆わないように回避することが可能である。
【0036】
実施形態3に係る戸車ユニット30の取付構造によれば、戸車ユニット30を構成する箱状枠体3の側面と引き戸11の底面に形成された凹部12の側壁14との間に、制振材8を挟み込んでいるので、箱状枠体3の側面に伝わる振動に対しても対処することができ、騒音防止効果をさらに高めることができる。
上記の騒音防止効果は、制振材8が、車輪1がレール上を走行するときに生じる振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収することにより、引き戸11の走行音が躯体に伝わり騒音を発生するのを防止できることから生じるものである。
【0037】
以上、実施形態1乃至実施形態3について説明したが、これに限らず、例えば、箱状枠体3の上面と凹部12の天井壁13の間に、緩衝材6に替えて制振材を挟み込むようにしてもよい。
また、緩衝材と制振材は、いずれか一方のみを使用してもよいし、緩衝材と制振材の両方を使用してもよい。さらに1つの部材で緩衝材と制振材の両方の特徴を有するようなものを使用してもよい。
また、実施形態1乃至実施形態3では、いずれも箱状枠体3と車輪1から構成される戸車ユニットについて説明したが、戸車ユニットは箱状のものに限られない。従って、車輪を回転自在に支持する車軸を軸受部材に軸着した構成の戸車ユニットであれば、軸受部材のまわりの少なくとも一部に緩衝材又は制振材を取り付ければよい。あるいは、軸受部材と引き戸の底面に形成された凹部との間の少なくとも一部に緩衝材又は制振材を挟み込めばよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態1に係る戸車ユニットの取付構造を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る戸車ユニットの取付構造を示す正面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態3に係る戸車ユニットの取付構造を示す正面図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】戸車を装着した引き戸を示す正面図である。
【図8】従来例に係る戸車ユニットの取付構造を示す正面図である。
【図9】図8のD−D断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 車輪
2 車軸
3 箱状枠体
4 取付座
5 ネジ
6 緩衝材
7 緩衝材
8 制振材
9 開口部
10 戸車ユニット
11 引き戸
12 凹部
13 天井壁
14 側壁
20 戸車ユニット
30 戸車ユニット
100 戸車ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を回転自在に支持する車軸を軸受部材に軸着してなる戸車ユニットであって、
前記軸受部材のまわりの少なくとも一部に緩衝材又は制振材を取り付けたことを特徴とする戸車ユニット。
【請求項2】
下面に開口部を有する箱状枠体の内部に、車軸を介して車輪を回転自在にかつ車輪下部が前記開口部から突出するように取り付けてなる戸車ユニットであって、
前記箱状枠体の上面に緩衝材又は制振材を取り付けたことを特徴とする戸車ユニット。
【請求項3】
前記箱状枠体の側面のうち少なくとも1面に緩衝材又は制振材を取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の戸車ユニット。
【請求項4】
車輪を回転自在に支持する車軸を軸受部材に軸着してなる戸車ユニットを、引き戸の底面に形成された凹部に嵌着してなる戸車ユニットの取付構造において、
前記軸受部材と前記凹部との間の少なくとも一部に緩衝材又は制振材を挟み込んだことを特徴とする戸車ユニットの取付構造。
【請求項5】
下面に開口部を有する箱状枠体の内部に、車軸を介して車輪を回転自在にかつ車輪下部が前記開口部から突出するように取り付けてなる戸車ユニットを、引き戸の底面に形成された凹部に嵌着してなる戸車ユニットの取付構造において、
前記箱状枠体の上面と前記凹部の天井壁との間に緩衝材又は制振材を挟み込んだことを特徴とする戸車ユニットの取付構造。
【請求項6】
前記箱状枠体の側面のうち少なくとも1面と前記凹部の側壁との間に緩衝材又は制振材を挟み込んだことを特徴とする請求項5に記載の戸車ユニットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−2631(P2007−2631A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187404(P2005−187404)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】