説明

手乾燥装置

【課題】箱体の本体内部に手を挿入し、箱体内部に向けて高速で気流を送ることにより手を乾燥させる手乾燥装置において、運転開始時の手の水濡れ度合いに応じて運転時の風量を変化させることにより、無駄がなく快適な風量で運転ができる手乾燥装置を提供する。
【解決手段】手乾燥装置本体に水濡れ度検知装置6を備え、運転開始時に水濡れ度算出手段11で水濡れ度合いを段階的に評価し、水濡れ度合いに応じて風量制御手段12で風量を決定する構成としたことにより、手の濡れ度合いに応じた風量の調節ができるため、無駄がなく快適な風量で運転ができる手乾燥装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄後の濡れた手に風を当てて乾燥させる手乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手乾燥装置は、箱体の本体内部に手を挿入し、箱体内部に向けて高速で気流を送ることにより、手を乾燥させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−178744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の手乾燥装置においては、運転開始時の手の水濡れ度合いに応じた運転をしていないため、手に付着している水分が少ない場合には必要以上の風量で運転することによる無駄が発生し、手に付着している水分が多い場合には強い風量で吹き始めるために水分の飛散による不快感を与えるといった課題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、手の水濡れ度合いを評価し、評価結果によって風量を決定することで、手の濡れ度合いに応じて風量の調節をし、無駄がなく、快適な風量で運転ができる手乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明は、上面または前面から手を挿入できる手挿入部を有する箱体の本体であり、前記本体には、前記手挿入部に風量を多段階に調節して送風する送風装置と、前記手挿入部内の手を検知する手検知装置と、手の水濡れ度合いを検知する水濡れ度検知装置と、前記手検知装置と前記水濡れ度検知装置からの情報を用いて前記送風装置の運転を制御する制御装置を備え、前記制御装置には、前記手検知装置からの信号をもとに手挿入部内の手の有無を判定する手検知判定手段と、前記水濡れ度検知装置の信号をもとに手の水濡れ度合いを段階的に評価する水濡れ度算出手段と、前記水濡れ度算出手段によって算出された水濡れ度合いの段階に応じて前記送風装置の風量を決定する風量制御手段を備えた手乾燥装置としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手乾燥装置本体に水濡れ度検知装置を備え、運転開始時に水濡れ度算出手段で水濡れ度合いを段階的に評価し、水濡れ度合いに応じて風量制御手段で風量を決定する構成としたことにより、手の濡れ度合いに応じた風量の調節ができるため、無駄がなく、快適な風量で運転ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1の手乾燥装置の構成を示す側断面図
【図2】同実施の形態1の手乾燥装置の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態2の手乾燥装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の請求項1記載の手乾燥装置は、上面または前面から手を挿入できる手挿入部を有する箱体の本体であり、前記本体には、前記手挿入部に風量を多段階に調節して送風する送風装置と、前記手挿入部内の手を検知する手検知装置と、手の水濡れ度合いを検知する水濡れ度検知装置と、前記手検知装置と前記水濡れ度検知装置からの情報を用いて前記送風装置の運転を制御する制御装置を備え、前記制御装置には、前記手検知装置からの信号をもとに手挿入部内の手の有無を判定する手検知判定手段と、前記水濡れ度検知装置の信号をもとに手の水濡れ度合いを段階的に評価する水濡れ度算出手段と、前記水濡れ度算出手段によって算出された水濡れ度合いの段階に応じて前記送風装置の風量を決定する風量制御手段を備えた構成を有する。
【0010】
これにより、制御装置は、水濡れ度算出手段によって手の水濡れ度合いを段階的に評価し、算出された段階に応じて風量制御手段で風量を決定することで、手の濡れ度合いに応じた風量の調節ができ、無駄がなく快適な風量で運転ができる。
【0011】
また、請求項2記載の手乾燥装置は、制御装置は、手検知判定手段で手検知ありと判断した際、運転開始前に、水濡れ度算出手段により水濡れの度合いを「水濡れ度小」、「水濡れ度中」、「水濡れ度大」の3段階で評価し、前記風量制御手段により「水濡れ度小」の場合は小さい風量で運転をし、「水濡れ度中」の場合には中程度の風量で運転をし、「水濡れ度大」の場合は運転開始後所定の時間小さい風量で運転した後、大きい風量で運転するという構成を有する。
【0012】
これにより、風量制御手段では、水濡れ度算出手段によって算出した水濡れ度合い「水濡れ度小」、「水濡れ度中」、「水濡れ度大」に応じて風量を切り替えるため、無駄のない運転ができる。特に、「水濡れ度大」の場合は小さい風量で運転した後、大きい風量に切り替えることにより、水の飛散を押さえつつ手を素早く乾燥させることができることができ、快適な風量で運転できるという効果も得られる。
【0013】
また、請求項3記載の手乾燥装置は、水濡れ度検知装置として、手挿入部の底部に滴った水滴の重さを検知する水滴重量検知装置を備え、水濡れ度算出手段では手挿入部に手が挿入された際に滴った水滴による水滴重量検知装置の重量の増加量をもとに水濡れ度を検知するという構成を有する。
【0014】
これにより、水濡れ度検知装置として水滴重量検知装置を用いることにより、手挿入部に滴る水滴の重量をもとに、水濡れ度算出手段で手の水濡れ度合いを算出することができ、算出された段階に応じて風量制御手段で風量を決定することで、手の濡れ度合いに応じた風量の調節ができ、無駄がなく快適な風量で運転ができる。
【0015】
また、請求項4記載の手乾燥装置は、手検知装置と水濡れ度検知装置は、非接触で手挿入部内の物体の温度を検知する温度検知装置で構成し、手挿入部の側面に配置するものであり、手検知判定手段はあらかじめ登録された手挿入時の検知温度の変化パターンと前記温度検知装置での検知温度の変化を比較することによって手を検知し、前記検知温度をもとに水濡れ度を検知するという構成を有する。
【0016】
これにより、手検知装置と水濡れ度検知装置を温度検知装置で構成することにより、水濡れ度算出手段は温度検知装置の検知温度によって手の水濡れ度合いの算出ができ、算出された段階に応じて風量制御手段で風量を決定することで、手の濡れ度合いに応じた風量の調節ができるため、無駄がなく、快適な風量で運転ができる。特に、温度検知装置は手検知装置と水濡れ度検知装置を兼用できることになり、構成要素を少なくすることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明実施の形態1における手乾燥装置の構成を表す側断面図である。図1に示すように、手乾燥装置本体1は、この手乾燥装置本体1の上面または前面から手を抜き差しできる手挿入部2と、手挿入部2に空気を送る送風装置3と、送風装置3から送られた空気を手挿入部2に送出する吹き出し口4と、手挿入部2内の手を検知する手検知装置5と、挿入された手の濡れ度合いを検知する水濡れ度検知装置6と、手検知装置5と水濡れ度検知装置6からの情報を用いて送風装置3の運転を制御する制御装置7を備えている。送風装置3はDCモータで駆動するものであり、DCモータの回転を制御して風量を多段階に調節して送風する。DCモータを回転させることにより、手乾燥装置本体下部にある吸い込み口8から空気を取り込み、吹き出し口4から空気を送り出す。手検知装置5は、赤外線発光LEDとその対面に配置した受光素子の対で構成しており、赤外線発光LEDの発光に対して受光素子で受光があればセンサ入力なし、受光がなければセンサ入力ありとするものである。
【0019】
図2は、本発明実施の形態1における手乾燥装置の構成を表すブロック図である。図2に示すように、水濡れ度検知装置6は水滴重量検知装置9からなる。水滴重量検知装置9は、手挿入部2の底部に滴った水滴の重さを検知するものである。手挿入部2の底部に水滴を受ける平面の受け皿を設け、受け皿の重量を計量する。受け皿は、穴を開けるかまたはやや傾けて設置することにより、水が排水される。制御装置7には、手検知装置5の信号に対して手検知の有無を判定する手検知判定手段10と、水濡れ度検知装置6の信号をもとに手の水濡れ度合いを段階的に評価する水濡れ度算出手段11と、水濡れ度算出手段11によって算出された水濡れ度合いの段階に応じて送風装置3の風量を決定する風量制御手段12を備えている。
【0020】
このような手乾燥装置において、従来の手乾燥装置では、運転開始時の手の水濡れ度合いに応じた運転をしていないため、手に付着している水分が少ない場合には必要以上の風量で運転することによる無駄が発生し、手に付着している水分が多い場合には強い風量で吹き始めるために水分の飛散による不快感を与えるといった課題があった。
【0021】
そこで本実施の形態では、手乾燥装置本体1に水濡れ度検知装置6を備え、運転開始時に水濡れ度算出手段11で水濡れ度合いを段階的に評価し、水濡れ度合いに応じて風量制御手段12で風量を決定する構成とした。
【0022】
このような構成とすることにより、手の濡れ度合いに応じた風量の調節ができ、無駄がなく、快適な風量で運転ができる。以下、その詳細な流れについて説明する。
【0023】
手乾燥装置本体1は、電源が入ると待機状態となり、手検知装置5のセンシングを開始する。同時に水濡れ度検知装置6として用いる水滴重量検知装置9の計量を開始する。手検知判定手段10は、手検知装置5の信号を一定間隔で読み取って手検知の有無を判断する。手検知判定手段10によって手検知ありと判断された場合、水濡れ度算出手段11では、直前の手検知なし時点からの水滴重量検知装置9の重量の増加分を3段階で評価する。ここで、重量の増加分が最も少ない段階のときは「水濡れ度小」、重量の増加分が中間の段階のときは「水濡れ度中」、重量の増加分が最も多い段階のときは「水濡れ度大」と判断する。
【0024】
水濡れ度算出手段11によって水濡れ度が算出された後、風量制御手段12は、算出された水濡れ度に応じて送風装置3の風量を調整する。具体的には、「水濡れ度小」の場合は小さい風量で運転を開始し、手検知判定手段10によって手検知なしと判断されるまで同風量で運転を継続する。「水濡れ度中」の場合は中程度の風量で運転を開始し、手検知判定手段10によって手検知なしと判断されるまで同風量で運転を継続する。「水濡れ度大」の場合は小さい風量で運転を開始し、所定の時間経過後、大きい風量に切り替え、手検知判定手段10によって手検知なしと判断されるまで同風量で運転を継続する。小さい風量から大きい風量へ切り替える際は、段階的に風量を増加させても良い。水濡れ度合いの大きい場合は、大きい風量で運転を開始すると多くの水滴が飛散するため、このようにあらかじめ小さい風量で水滴をある程度落としてから大きい風量に切り替えることで、より快適に使用することができるようになる。
【0025】
以上のように、運転開始時に滴る水滴の重量を用いて評価した、手の濡れ度合いに応じて風量を変化させる(手の濡れ度合いが小さいときには風量を小さく、大きいときには風量を大きくする)ことにより、風量の無駄を省いて必要以上の電力の消費を抑えることができ、かつ手の濡れ度合いが大きい場合でも水の飛散を抑えて快適な風量で運転することができる。
【0026】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図3を参照しながら説明する。なお、図3において、図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図3に示すように、実施の形態2の手乾燥装置の構成は、実施の形態1の手乾燥装置の構成に対して、手検知装置5と水濡れ度検知装置6を兼用するものとして温度検知装置13を設けた構成とする。
【0027】
このような構成によれば、温度検知装置13は手検知装置5と水濡れ度検知装置6を兼用できることになり、構成要素を少なくすることができる。
【0028】
温度検知装置13は非接触で手挿入部内の物体の温度を検知する温度センサである。温度検知装置13を手挿入部2の側面に設置することにより、手挿入部2内に手がない場合は手挿入部2内の空気の温度が検知され、手挿入部2内に手がある場合は手挿入部2内の手の温度が検知できる。手検知判定手段10には、あらかじめ手挿入部2に手が挿入されたときの検知温度の変化パターンが登録されてあり、登録されたパターンと温度検知装置13によって検知した温度変化を比較することにより、手検知の有無を判断する。水濡れ度算出手段11では、水の付着によって手の温度が下がることを利用し、温度検知装置13で検知した温度のデータから、手への水の付着量を推定し、「水濡れ度小」、「水濡れ度中」、「水濡れ度大」の3段階で評価する。
【0029】
以上のように、手挿入部2内の温度変化を用いて評価した、手の濡れ度合いに応じて風量を変化させることにより、無駄がなく快適な運転ができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかる手乾燥装置は、運転開始時の手の濡れ度合いに応じて運転風量を調節するものであり、洗面所やトイレ等で手を洗い、濡れた手を乾燥させる手乾燥装置として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 手乾燥装置本体
2 手挿入部
3 送風装置
4 吹き出し口
5 手検知装置
6 水濡れ度検知装置
7 制御装置
8 吸い込み口
9 水滴重量検知装置
10 手検知判定手段
11 水濡れ度算出手段
12 風量制御手段
13 温度検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面または前面から手を挿入できる手挿入部を有する箱体の本体であり、前記本体には、前記手挿入部に風量を多段階に調節して送風する送風装置と、前記手挿入部内の手を検知する手検知装置と、手の水濡れ度合いを検知する水濡れ度検知装置と、前記手検知装置と前記水濡れ度検知装置からの情報を用いて前記送風装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置には、前記手検知装置からの信号をもとに手挿入部内の手の有無を判定する手検知判定手段と、前記水濡れ度検知装置の信号をもとに手の水濡れ度合いを段階的に評価する水濡れ度算出手段と、前記水濡れ度算出手段によって算出された水濡れ度合いの段階に応じて前記送風装置の風量を決定する風量制御手段を備えたことを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
制御装置は、手検知判定手段で手検知ありと判断した際、運転開始前に、水濡れ度算出手段により水濡れの度合いを「水濡れ度小」、「水濡れ度中」、「水濡れ度大」の3段階で評価し、風量制御手段により「水濡れ度小」の場合は小さい風量で運転をし、「水濡れ度中」の場合には中程度の風量で運転をし、「水濡れ度大」の場合は運転開始後所定の時間小さい風量で運転した後、大きい風量で運転することを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
水濡れ度検知装置として、手挿入部の底部に滴った水滴の重さを検知する水滴重量検知装置を備え、水濡れ度算出手段では手挿入部に手が挿入された際に滴った水滴による前記水滴重量検知装置の重量の増加量をもとに水濡れ度を検知することを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
手検知装置と水濡れ度検知装置は、非接触で手挿入部内の物体の温度を検知する温度検知装置で構成し、手挿入部の側面に配置するものであり、手検知判定手段はあらかじめ登録された手挿入時の検知温度の変化パターンと前記温度検知装置での検知温度の変化を比較することによって手を検知し、前記検知温度をもとに水濡れ度を検知することを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−102985(P2013−102985A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249269(P2011−249269)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】