説明

手持ち式ベルトサンダ

【課題】操作性のよい手持ち式ベルトサンダを提供する。
【解決手段】把持部11を有する本体4と、本体4内に設けられるモータ5と、モータ5の出力軸5Aに対して直交する方向へ延びる回転軸21と、回転軸21に設けられる傘歯車22と、回転軸21に一体回転自在に設けられる駆動プーリ18と、本体4の前部に設けられた支持部13dに取り付けられ、前方側へ延びるように設けられるアーム20と、アーム20の先端側に取り付けられることで、駆動プーリ18よりも前方に位置する従動プーリ19とを備え、駆動プーリ18及び従動プーリ19に亘ってサンダベルト6が巻回され、回転軸21は、出力軸5Aに対して交差するように軸方向の一方側と他方側の両方が延びており、駆動プーリ18は、回転軸21の一方側に配置され、支持部13dは、回転軸21の他方側における本体4の前部に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木工製品や金属製品の加工仕上げなどに用いる手持ち式ベルトサンダに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる手持ち式ベルトサンダは、把持部を有する本体と、該本体の前部に設けられ、モータからの駆動力を受けて駆動する駆動プーリと、本体の前部から前方側へ延びるように設けられたアームと、該アームの先端側に取り付けられることで、駆動プーリよりも前方に位置する従動プーリと、駆動プーリ及び従動プーリに亘って巻回された無端状のサンダベルトとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
更に詳述すれば、上記手持ち式ベルトサンダでは、モータの出力軸と直交する方向であって、出力軸から離間する方向に延びるように回転軸が設けられ、該回転軸の一方側に、モータの出力軸に噛合って出力軸の回転力を受け取る傘歯車が設けられるとともに、回転軸の他方側に、前記駆動プーリが設けられ、そして、前記アームの基端部を取り付け支持する支持部が、回転軸における傘歯車及び駆動プーリ間を取り囲むように本体の前部の部分に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−22240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の手持ち式ベルトサンダでは、傘歯車及び駆動プーリが出力軸から離間する方向に延びるように設けられた回転軸に設けられるだけでなく、アームの支持部が傘歯車及び駆動プーリ間を取り囲むように本体の前部の部分に設けられている。このため、モータの出力軸に近い側から傘歯車、支持部の順で設けられ、支持部よりもモータの出力軸から離間した位置に駆動プーリが設けられることになる。つまり、駆動プーリがモータの出力軸から最も遠くなる位置に配置されるため、モータの出力軸とサンダベルトとのオフセット量は大きくなる。その結果、把持部を持ってサンダベルトを処理対象物に押し付けて作業する際に、手持ち式ベルトサンダを把持部周りで回転させる大きな偶力が発生する。
【0006】
このため、作業者は、偶力による加工仕上げ精度の低下を抑えるために、把持部を強い力で把持しなければならず、操作性が悪いという不都合がある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、操作性のよい手持ち式ベルトサンダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る手持ち式ベルトサンダは、把持部を有する本体と、該本体内に設けられる動力源としてのモータと、前記本体の前部に設けられ、前記モータの出力軸に対して直交する方向に延びる回転軸と、該回転軸に前記モータからの動力を伝達すべく該回転軸に設けられる傘歯車と、前記回転軸に一体回転自在に設けられる駆動プーリと、前記本体の前部に設けられた支持部に取り付けられ、前方側へ延びるように設けられるアームと、該アームの先端側に取り付けられることで、駆動プーリよりも前方に位置する従動プーリとを備え、前記駆動プーリ及び従動プーリに亘って無端状のサンダベルトが巻回される手持ち式ベルトサンダであって、前記回転軸は、前記出力軸に対して交差するように軸方向の一方側と他方側の両方が延びており、前記駆動プーリは、前記回転軸の一方側に配置され、前記支持部は、前記回転軸の他方側における前記本体の前部に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、回転軸の一方側に駆動プーリを配置し、回転軸の他方側における前記本体の前部にアームの支持部を配置することによって、出力軸に対して一方側に延びる回転軸に駆動プーリと支持部の両方を備えさせる構成に比べて、駆動プーリをモータの出力軸に近付けることができ、出力軸からの駆動プーリのオフセット量を小さくできる。
【0010】
また、本発明に係る手持ち式ベルトサンダは、前記傘歯車が、前記駆動プーリとは反対側となる回転軸の他方側から前記出力軸に噛合うように該回転軸の他方側に配置されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、傘歯車を駆動プーリとは反対側となる回転軸の他方側から前記出力軸のギヤ部に噛合うように回転軸の他方側に配置しておけば、駆動プーリを出力軸側により一層近付けることができ、出力軸からの駆動プーリのオフセット量を更に小さくできる。
【0012】
また、本発明に係る手持ち式ベルトサンダは、前記回転軸を回転自在に支持する軸受けが設けられ、該軸受けは、前記回転軸の他方側に配置されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、軸受けを他方側となる傘歯車側に配置しておけば、軸受けを駆動プーリ側へ配置する構成に比べて、駆動プーリを出力軸側により一層近付けることができ、出力軸からの駆動プーリのオフセット量を更に小さくできる。
【0014】
また、本発明に係る手持ち式ベルトサンダは、前記軸受けが、前記支持部の内側に配置されていてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、軸受けを支持部の内側の空間を有効利用して配置しておけば、回転軸の途中に軸受けを配置するための専用のスペースを確保することが不要になり、設計の自由度を高めることができるだけでなく、出力軸からの駆動プーリのオフセット量を小さくすることができる。さらに、支持部の内側に軸受けを配置したことで軸受けの固定力を増加することができると共に、支持部の剛性が高くなりアームを安定して取り付けることができる。
【0016】
また、本発明に係る手持ち式ベルトサンダは、前記出力軸が、前記本体のほぼ中心に配置され、前記駆動プーリは、前記本体の外形ラインよりも内側に位置するように配置されていてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、駆動プーリを本体の外形ラインよりも内側に位置するように配置しておけば、手持ち式ベルトサンダの先端部のコンパクト化を図ることができ、取扱面において有利になる。
【発明の効果】
【0018】
以上の如く、本発明によれば、回転軸の軸方向両側のうちの一方側に駆動プーリを配置し、回転軸の他方側における本体の前部に支持部を備えさせることによって、駆動プーリをモータの出力軸に近付けることができ、出力軸からの駆動プーリのオフセット量を小さくできる。従って、偶力の発生を抑えることができる操作性のよい手持ち式ベルトサンダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る手持ち式ベルトサンダの縦断側面図を示す。
【図2】同実施形態に係る手持ち式ベルトサンダの底面図を示す。
【図3】同実施形態に係る手持ち式ベルトサンダの前部の平面図を示す。
【図4】他の実施形態に係る手持ち式ベルトサンダの前部の縦断側面図を示す。
【図5】他の実施形態に係る手持ち式ベルトサンダの要部の縦断側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る手持ち式ベルトサンダの一実施形態について、図1〜図3を参酌して説明する。
【0021】
手持ち式ベルトサンダ1は、上下に分割可能な一対の分割ケース2,3からなる本体4と、該本体4の前方に配置されてモータ5の駆動力により被加工部を研磨加工する無端状のサンダベルト6を有する加工部7とを備えている。また、本体4のほぼ中央部内には、動力源としての前記モータ5を有する駆動部8を備え、また、本体4の前部には、駆動部8からの動力を加工部7に伝達する伝動機構部9を備えている。
【0022】
本体4は、前後方向に長い形状に構成され、後端の角部を取ってスリム化した後方部10と、前後方向においてほぼ同一径を有し、縦長状の前記モータ5をそれの長さ方向が前後方向に沿うように収納するためのスペースを有している中央部11と、該中央部11の前方に位置し、中央部11よりも径が少し大きくなった部分を有する前方部12と、この前方部12の前端から前方に更に延びる前方延出部13とを有している。
【0023】
本体4の中央部11は、片手で容易に把持することができる径寸法に設定されており、把持部として利用できるようになっている。また、前方部12の内部には、モータ5の出力軸5Aに一体回転自在に取り付けられた排気ファン14が収納されており、モータ5の駆動により排気ファン14を回転させることによって、本体4内に溜まっている熱気などを前方部12に形成された複数(底面に9個(図2参照)、上面に9個(図3参照))の排出孔15を通して外部に排出することができるようにしている。また、ほぼ中央部11の底面には、複数(7個)の外気取入口11Aが形成されている。尚、ほぼ中央部11の上面にも、複数(7個)の外気取入口(図示せず)を形成してもよい。
【0024】
前記分割ケース2,3のうちの上側の第1分割ケース2の前方部12の前端には、該分割ケース2の分割ライン(下端)から上方(垂直)に延びるとともに左右方向両端側ほど外側に位置するように湾曲した凹状の第1縦壁部12Aを備え、また、下側の第2分割ケース3の前方部12の前端には、該分割ケース3の分割ライン側(上端側)に延びる第2縦壁部12Bを備えている。そして、第1縦壁部12Aの下端から前方に向けて延びる上側延出部13Aと、第2縦壁部12Bの上端から前方に延びる下側延出部13Bとから前記前方延出部13を構成している。
【0025】
図1の拡大図に示すように、前方延出部13の下側延出部13Bは、第2縦壁部12Bの上端から前方に水平に延びる板状の前板部13cと、前板部13cの前後方向ほぼ中央部でかつ左右方向ほぼ中央部から下方に向けて突出形成された上方開放型の円筒状部13dと、前板部13cの前端から上方へ立ち上げ形成された縦板部13eとを備え、下側延出部13Bの上端開口13Kが前記上側延出部13Aで閉じられている。尚、円筒状部13dが、後述するアーム20の基端部26を取り付け支持する支持部を構成している。
【0026】
前記本体4をモータ5の出力軸5Aの中心で上下に分割された第1分割ケース2と第2分割ケース3の2つの部材で構成することで3つ以上の部材で構成する場合に比べて、部品点数を削減することができ、その分製造コストの低減化を図ることができる。しかも、組立誤差に起因する精度低下が発生する虞を排除することができる。
【0027】
駆動部8は、本体4内に収納された前記モータ5を備えている。モータ5は、前後方向に突出する出力軸5Aを備え、該出力軸5Aは、分割ケース2,3の前後端部の内面それぞれから中心部に向かって延出された一対ずつの延出部16,16に支持された前後の軸受け17,17に回転自在に支持されている。出力軸5Aは、本体4の径方向ほぼ中心に前後方向に沿うように配置され、その前端の外周には、ギヤ部5aが形成されている。
【0028】
加工部7は、前記モータ5の駆動力により回転されるように前記前方延出部13の上端に備えた駆動プーリ18と、駆動プーリ18よりも前方に位置する従動プーリ19と、これら駆動プーリ18と従動プーリ19とに亘って巻回された前記サンダベルト6と、本体4から前方側へ延びるように円筒状部13dに取り付けられ、先端側に従動プーリ19が回転自在に取り付けられたアーム20とを備えている。
【0029】
伝動機構部9は、モータ5からの動力を出力する出力軸5Aに対して直交する方向(図1では上下方向)へ延び、かつ、出力軸5Aの軸方向に対して交差するように一方側と他方側の両方に延びる回転軸21と、前記出力軸5Aに形成のギヤ部5aに噛合って回転軸21にモータ5からの動力を伝達すべく回転軸21に取り付けた傘歯車22とを備えている。
【0030】
回転軸21は、径の異なる複数(図1では5個)の軸部21A〜21Eを有する縦長状の段付き軸に構成され、長手方向一端(下端)が、前記円筒状部13dの内側に収容(配置)された軸受け23に回転自在に支持され、長手方向他端(上端)が、前記上側延出部13Aに形成の貫通孔13aを通して外部に突出されている。そして、回転軸21の長手方向他端から前記前方延出部13内に入った部分が、前記上側延出部13Aの内面(下面)に長手方向一端側(下端側)に突出するように備えた円筒状のボス部13Tに収容(配置)された軸受け24に回転自在に支持されている。
【0031】
回転軸21の突出端(上端)に位置する軸部21Eの外周には、ネジが形成されていて、回転軸21の突出端の軸部21Eに駆動プーリ18を嵌め込んだ後、ナット25を軸部21Eにねじ込むことによって、駆動プーリ18が回転軸21と一体回転するように組み付けられる。
【0032】
傘歯車22は、フェースギヤからなり、回転軸21の下から3番目の軸部21Cに嵌め込まれ、モータ5の出力軸5Aに回転軸21の下方側から噛合うようになっている。尚、傘歯車22の下端が、回転軸21の下から2番目の軸部21Bの上端に当接しており、傘歯車22が回転軸21の下端側へ移動することがないようにしている。
【0033】
アーム20は、本体4の前部の下端に位置する円筒状部13dに回転自在に外嵌されるリング状の基端部26と、基端部26の前端から下端とは反対側となる上端側に延びる縦部27と、縦部27の上端から前方に延びるとともに先端に前記従動プーリ19が回転自在に取り付けられた本体部28とを備えている。
【0034】
本体部28は、縦部27の上端から前方へ延出した筒状の固定部28Aと、この固定部28Aの内部に移動自在に挿入された可動部28Bとを備えている。固定部28Aには、コイルスプリング29が内装されており、このコイルスプリング29により可動部28Bが突出付勢されることで駆動プーリ18と従動プーリ19とに亘って巻回されたサンダベルト6に常に張力を付与することができるようになっている。
【0035】
尚、前記巻回されたサンダベルト6のベルト交換が容易に行えるように可動部28Bを固定部28A側に移動させた所定位置で保持するための係止保持機構を備えている。この係止保持機構は、可動部28Bの後端側に上方に突出するように形成した突出片30(後述するガイド部材34の後端部から上方に突出形成されている)と、可動部28Bを所定位置まで固定部28A側へ移動操作したときに可動部28Bの突出片30に係止すべく固定部28Aに備えさせた係止部材31とを備えている。係止部材31は、固定部28Aの上面に水平軸芯回りで揺動自在で、かつ、バネ32により時計回りに揺動付勢された状態で備えられている。従って、可動部28Bを固定部28A側の所定位置まで移動操作することによって、突出片30に係止部材31の係止爪31Aが自ずと係止し、この係止によって可動部28Bをその位置(短縮した位置)で係止保持することができる。これにより張力が作用していないサンダベルト6を容易に取り外すことができる。前記サンダベルト6を取り外した後は、新たなサンダベルト6を配置してから、係止部材31を反時計回りに揺動操作することによって、突出片30との係止を解除する。これに伴って、可動部28Bがコイルスプリング29の付勢力により突出してサンダベルト6を張った状態にすることができる。
【0036】
可動部28Bは、固定部28Aの内部に挿入可能な径を有する挿入部28bと、この挿入部28bの前端から挿入部28bの径よりも大きな径を有する先端部28cとを備えている。また、可動部28Bの挿入部28bの先端部28c側寄りに、固定部28Aに対する可動部28Bの回転を防止するためのピン33を貫通装着するための上下方向の貫通孔28Kが形成されている。さらに、可動部28Bの先端部28cには、サンダベルト6の内周面に摺接して案内するためのガイド部材34がビス止めされている。
【0037】
ガイド部材34は、図2及び図3に示すように、先端部28cの上下面を覆う一対の上下板部34A,34Bと、これら上下板部34A,34Bの左右幅方向一端側同士を上下方向で連結するとともにサンダベルト6の内周面に当接可能な縦板部34Cと、縦板部34Cの後端から後方に延びる補助案内部34Dとを備えている。
【0038】
アーム20の縦部27の上部には、サンダベルト6に作用するテンションの大きさによりアーム20の先端が上方に浮き上がることを阻止するための調整ボルト35が螺合するねじ孔27Nが形成されている。従って、調整ボルト35のねじ孔27Nに対するねじ込み量を変更することによって、調整ボルト35の先端が前方延出部13の前端面13Fを押す押圧力を調整することで、アーム20の先端が上方に浮き上がることがなく、図1に示すようにアーム20を常に水平姿勢に保持することができるようにしている。尚、図示していないが、調整ボルト35が不測に回転することがないように回り止め手段を備えて実施することが好ましい。
【0039】
図2に示すように、アーム20の基端部26は、両端部36a,36bが接離可能に構成され、円筒状部13dの上下寸法とほぼ同一の上下幅を有する帯状で環状に構成された外嵌部36と、外嵌部36の両端部36a,36bから外嵌部36の外側に突出する一対の片部36c,36dと、片部36c,36dを接近又は離間することにより外嵌部36の両端部36a,36bを接離させるためのカム機構37とを備えている。
【0040】
カム機構37は、一対の片部36c,36dに形成の貫通孔36e,36fに挿入される頭付ピン38と、頭付ピン38の先端に枢支連結される揺動操作具39とを備えている。従って、図2に示す固定状態から、揺動操作具39を矢印で示す方向(時計回り)に揺動操作することによって、揺動操作具39から離間する側(図2では下側)へ頭付ピン38が移動する。これによって、一対の片部36c,36dが互いに離間可能となり、外嵌部36の両端部36a,36bが離間することで、円筒状部13dに固定されている閉じ状態の外嵌部36が開き、アーム20を円筒状部13dの中心を通る上下軸芯X周りで左右方向に角度調整することができる(図3の実線で示す位置から左右にそれぞれ所定角度振った2つの位置を破線で示している)。角度調整終了後は、揺動操作した揺動操作具39を図2で示す位置に戻すことにより頭付ピン38が揺動操作具39側へ移動し、これにより頭付ピン38の頭部38Aが一方の片部36dを他方の片部36c側へ移動する。これにより、一対の片部36c,36dが互いに接近して、外嵌部36を円筒状部13dに締め付け固定することができる。この締め付け固定により、円筒状部13dの内径が縮径し、この縮径で軸受け23の外輪の固定力が増加するため、ベルトサンダ1の運転時に軸受け23の外輪が回転することを確実に防止できる。さらに、軸受け23の剛性が円筒状部13dの剛性に寄与するため、円筒状部13dの剛性も高められる。従って、剛性が高められた円筒状部13dにアーム20を安定して取り付けることができる。
【0041】
前記のように構成された手持ち式ベルトサンダ1は、駆動プーリ18を回転軸21の軸方向両側のうちの一方側(図1において上端部)に配置し、アーム20の基端部26を本体4に取り付け支持する支持部である円筒状部13dを、回転軸21の他方側における本体4の前部(図1において本体4の前方で下端部)に備えさせることによって、駆動プーリ18をモータ5の出力軸5Aに近付けることができ、出力軸5Aからの駆動プーリ18のオフセット量を小さくできる。
【0042】
また、傘歯車22を、駆動プーリ18とは反対側となる回転軸21の他方側(図1では下側)から出力軸5Aのギヤ部5aに噛合うように回転軸21の他方側(図1では下側)に駆動プーリ18と対向配置しておけば、駆動プーリ18を出力軸5A側により一層近付けることができ、出力軸5Aからの駆動プーリ18のオフセット量を更に小さくできる。
【0043】
また、図1に示すように、本発明では、駆動プーリ18及びサンダベルト6が本体4の外形ラインGよりも内側に位置するように配置することによって、手持ち式ベルトサンダ1の先端部のコンパクト化を図ることができ、取扱面においても有利になる。
【0044】
さらに、軸受け23を、支持部である円筒状部13dの内側の空間を有効利用して配置しておけば、回転軸21の途中に軸受け23を配置するための専用のスペースを確保することが不要になり、設計の自由度を高めることができるだけでなく、出力軸5Aからの駆動プーリ18のオフセット量を小さくすることができる。さらに、支持部である円筒状部13dの内側に軸受け23を配置したことで軸受け23の固定力を増加することができると共に、円筒状部13dの剛性が高くなりアーム20を安定して取り付けることができる。
【0045】
尚、本発明に係る手持ち式ベルトサンダは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、実施形態で示したフェースギヤをベベルギヤに代えてもよい。尚、フェースギヤを用いる場合には、ベベルギヤを採用した場合と比べて設置位置の高い精度を必要としないため、製造面において有利になる。
【0047】
前記実施形態では、モータ5の出力軸5Aに直接、傘歯車22を噛み合わせたが、他のギヤなどを介在し、そのギヤに、傘歯車22を噛み合わせるようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、駆動プーリ18と傘歯車22とをモータ5の出力軸5Aを挟んで回転軸21の両側に対向配置したが、モータ5の出力軸5Aに対して回転軸21の一方側に駆動プーリ18及び傘歯車22の両方を配置し、モータ5の出力軸5Aに対して回転軸21の他方側における本体4の前部にアーム20の支持部13dを備えさせる構成であってもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、傘歯車22を挟んで両側に備えさせた軸受け23,24にて回転軸21の支持を行っているが、図4に示すように、下端(一端)に設けられた円筒状部13d内に備えさせた2個の軸受け40,41により回転軸21の支持を行わせてもよい。また、図1では、傘歯車22を構成する筒状の軸部22Aが下側になっているのに対して、図4では、傘歯車22の筒状の軸部22Bが上側になっている。また、図4では、2個の軸受け40,41を備えさせた場合を示したが、図4で示している1個の軸受け40又は41の上下幅よりも大きな上下幅を有する軸受けに構成すれば、1個の軸受けのみで回転軸21の支持を行うこともできる。図4で示した伝動機構部9以外の部分は、図1と同一であり、同一の符号を付すとともに、説明は省略する。
【0050】
また、前記実施形態では、モータ5の出力軸5Aに対するアーム20のオフセット量をできるだけ小さくする場合を示したが、図5に示すように、オフセット量を零にする構成であってもよい。つまり、モータ5の出力軸5Aに大径のギヤ42を装着することによって、このギヤ42に噛合う傘歯車22を、モータ5の出力軸5Aから離間するように回転軸21の長手方向一方(図では下方)側に移動させることができるから、他方に配置する駆動プーリ18をモータ5の出力軸5Aの直前方に配置することができる。これにより、オフセット量を零にすることができる。尚、図5では、図1で示した分割ケース2,3を備えた本体4を省略している。
【0051】
また、前記実施形態では、前後方向に沿って設けられたモータ5の出力軸5Aに対して回転軸21を上下方向に沿って設けたが、回転軸21を左右方向に沿って設けてもよく、出力軸5Aに対して直交する方向であれば、どのような方向であってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、アーム20を本体4に対して角度変更自在に備えさせたが、アーム20を本体4に対して角度変更不能となるように固定してもよい。この場合、アーム20を本体4に取り付け支持する支持部13dの形状を楕円形状や角形状あるいは多角形状に構成してもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、コンセントに繋いで交流電源で駆動される手持ち式ベルトサンダを示したが、直流バッテリにより駆動される手持ち式ベルトサンダであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…手持ち式ベルトサンダ、2,3…分割ケース、4…本体、5…モータ、5A…出力軸、5a…ギヤ部、6…サンダベルト、7…加工部、8…駆動部、9…伝動機構部、10…後方部、11…中央部(把持部)、11A…外気取入口、12…前方部、12A,12B…縦壁部、13…前方延出部、13A…上側延出部、13B…下側延出部、13K…上端開口、13T…ボス部、13F…前端面、13a…貫通孔、13c…前板部、13d…円筒状部(支持部)、13e…縦板部、14…排気ファン、15…排出孔、16…延出部、17…軸受け、18…駆動プーリ、19…従動プーリ、20…アーム、21…回転軸、21A〜21B…軸部、22…傘歯車、22A,22B…軸部、23,24…軸受け、25…ナット、26…基端部、27…縦部、27N…孔、28…本体部、28A…固定部、28B…可動部、28K…貫通孔、28b…挿入部、28c…先端部、29…コイルスプリング、30…突出片、31…係止部材、31A…係止爪、32…バネ、33…ピン、34…ガイド部材、34A,34B…上下板部、34C…縦板部、34D…補助案内部、35…調整ボルト、36…外嵌部、36a,36b…両端部、36c,36d…片部、36e,36f…貫通孔、37…カム機構、38…頭付ピン、38A…頭部、39…揺動操作具、40,41…軸受け部、42…ギヤ、G…外形ライン、X…上下軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を有する本体と、該本体内に設けられる動力源としてのモータと、前記本体の前部に設けられ、前記モータの出力軸に対して直交する方向に延びる回転軸と、該回転軸に前記モータからの動力を伝達すべく該回転軸に設けられる傘歯車と、前記回転軸に一体回転自在に設けられる駆動プーリと、前記本体の前部に設けられた支持部に取り付けられ、前方側へ延びるように設けられるアームと、該アームの先端側に取り付けられることで、駆動プーリよりも前方に位置する従動プーリとを備え、前記駆動プーリ及び従動プーリに亘って無端状のサンダベルトが巻回される手持ち式ベルトサンダであって、
前記回転軸は、前記出力軸に対して交差するように軸方向の一方側と他方側の両方が延びており、前記駆動プーリは、前記回転軸の一方側に配置され、前記支持部は、前記回転軸の他方側における前記本体の前部に配置されていることを特徴とする手持ち式ベルトサンダ。
【請求項2】
前記傘歯車は、前記駆動プーリとは反対側となる回転軸の他方側から前記出力軸に噛合うように該回転軸の他方側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式ベルトサンダ。
【請求項3】
前記回転軸を回転自在に支持する軸受けが設けられ、該軸受けは、前記回転軸の他方側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式ベルトサンダ。
【請求項4】
前記軸受けは、前記支持部の内側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手持ち式ベルトサンダ。
【請求項5】
前記出力軸は、前記本体のほぼ中心に配置され、前記駆動プーリは、前記本体の外形ラインよりも内側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の手持ち式ベルトサンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−218110(P2012−218110A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86430(P2011−86430)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】