説明

投映レンズユニット

【課題】小型プロジェクタの厚さ方向の寸法がレンズ鏡筒保持のために大きくなることのないようにした投映レンズユニットを提案する。
【解決手段】投映レンズユニット12は、入射した画像光を集束させる第1の光学系26と第1の光学系によって集束した画像光を拡大してスクリーンに投映する第2の光学系27とからなる投映レンズ21と、投映レンズ21を収容するとともに第1の光学系と第2の光学系の接合部が最も細く形成された小径部22aを有する鏡筒部材22と、小径部22aが載置される第1の保持面23aを有する保持部材23と、小径部22aを第1の保持面23aとの間で挟持する第2の保持面24aを有する押さえ部材24と、を備える。保持部材23は、投映レンズユニット12が搭載される機器の筐体に固定され、押さえ部材24は、小径部22aのデッドスペース内に配置され鏡筒部材22より上方にはみ出すことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用超小型プロジェクタに搭載され画像形成装置に形成された画像をスクリーン等に投映する投映レンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯用電話器あるいはデジタルカメラ等の携帯用電子機器に、ライトプロジェクタが組込まれ、本来の機能の他に投映機能が付加された携帯用電子機器が普及している。また、投映機能のみを搭載した携帯用超小型プロジェクタも市販されている。このような携帯機器に設けられるライトプロジェクタは、より小型化が求められ、特に薄型化は最重要課題である。一般に、画像をスクリーン等に投映表示する投映レンズの保持部分は、筐体への取付を考えると、レンズ鏡筒部より更に大きくなることが避けられず、この部分が機器全体の大きさや厚さに大きく影響してしまうことがある。例えば、図6に示すように、投映レンズ鏡筒50の入射側の外周部にレンズ光軸51と垂直な取付面52を備えたフランジ部53を設け、投映レンズ鏡筒50のレンズ光軸51が機器の取付面に対して高精度で垂直が維持されるように構成されている。
【0003】
このような投映レンズ鏡筒は、複数のレンズを組込むためレンズの組込み後に焦点調節を行う必要があり、また、搬送中の振動によるレンズのガタなどでも焦点位置がズレてしまう。このような場合に備えて、簡単に再調節をすることができる構造が下記特許文献1及び2に示されている。
【特許文献1】特開2007−025579号公報
【特許文献2】特開2007−041157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6に示す従来のレンズ鏡筒保持構造では、フランジ部が鏡筒部分より必ず大きくなり、その分、レンズ鏡筒が収容される機器の大きさが大きくなってしまう。これは、携帯することを前提とした小型プロジェクタでは商品価値を下げてしまい大きな問題となる。
【0005】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、レンズ鏡筒に保持のためにフランジ部を設けることなく投映レンズを保持する構成を提案して、小型プロジェクタの厚さ方向の寸法がレンズ鏡筒保持のために大きくなることのないようにした投映レンズユニットを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による投映レンズユニットは、入射した画像光を集束させた後に拡大してスクリーンに投映する投映レンズと、前記投映レンズを収容するとともに、前記集束させた位置に対応する外形部分が最も細く形成された鏡筒部材と、前記鏡筒部材の前記最も細く形成された外形部分が載置される第1の保持面を有する保持部材と、前記最も細く形成された外形部分を、前記第1の保持面との間で挟持して前記鏡筒部材を保持する第2の保持面を有する押さえ部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記投映レンズは、入射した画像光を集束させる第1の光学系と、前記第1の光学系によって集束した前記画像光を拡大してスクリーンに投映する第2の光学系とからなり、前記第1の光学系と前記第2の光学系の間に前記画像光が集束する瞳位置が存在するとともに、前記鏡筒部材の前記最も細く形成された外形部分は前記瞳位置を含み、前記瞳位置の移動が少なく投映距離と投映画像寸法との比が一定な固定焦点レンズであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明による投映レンズユニットは、レンズ鏡筒の最も細い部分を固定するため、光軸位置を高精度に確保しつつ簡単にレンズ鏡筒を保持することができ、保持のためのフランジ部がないので小型プロジェクタの厚さ方向の寸法がレンズ鏡筒保持のために大きくなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による投映レンズユニットを搭載した携帯用小型プロジェクタの斜視外観図である。
【図2】本発明による投映レンズユニットの斜視外観図である。
【図3】投映レンズユニットの分解図である。
【図4】投映レンズ鏡筒を示す断面図である。
【図5】投映レンズユニットを側面から見た図である。
【図6】従来の投映レンズユニットの斜視外観図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、携帯用小型プロジェクタ10は、略直方体をした筐体11に、本発明による投映レンズユニット12、光源としてのLED13、照明光学系14、全反射プリズム15、反射型LCD(以下、単にLCDと言う。)16が収容され、前記投映レンズユニット12の光学系を構成するレンズの一部を動かしてスクリーンに投映された画像のピントを調節するピント調節用ダイヤル17と、電源スイッチ18とが、前記筐体11から操作部が露呈するように設けられている。LED13から放射された光がフィルタやインテグレータなどから構成された照明光学系14を透過して全反射プリズム15に入射し、LCD16によって表示された画像を含んだ画像光となって前記投映レンズユニット12からスクリーン等に投映される。前記LCD16の代わりに、透過型LCDやDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を用いても良く、どのような形式のライトバルブを用いても良い。また、前記投映レンズユニット12以外の部材については周知技術であるから詳しい説明は省略する。
【0011】
図2及び図3に示すように、前記投映レンズユニット12は、画像光を拡大してスクリーンに投映する投映レンズ21を収容した鏡筒部材22と、鏡筒部材22が載置され保持される第1の保持面23aを有する保持部材23と、前記鏡筒部材22を前記第1の保持面23aとの間で挟持する第2の保持面24aを有する押さえ部材24と、を備える。前記押さえ部材24は、前記保持部材23に形成されたネジ穴23bと螺合するネジ25によって前記保持部材23に固定される。前記保持部材23は、前記筐体11に図示しないネジ等によって取り付けられ、前記保持部材23の下面は前記筐体11の底板11a(図5参照。)に略密着して載置される。
【0012】
図4に示すように、前記投映レンズ21は、前記LCD16から射出された画像光が入射し、入射した該画像光を集束させる第1の光学系26と、第1の光学系26によって集束された画像光を拡大してスクリーン28に投映する第2の光学系27とから構成される。前記第1,第2の光学系26,27は、前記第1の光学系26の入射面26aから入射した画像光が射出面26bから射出され、一旦集束した後に前記第2の光学系27の入射面27aに入射し拡大されて射出面27bから前記スクリーン28に向けて射出されるように構成され、前記第1,第2の光学系26,27の接合部分である前記射出面26bと前記入射面27aの間に前記画像光が最も集束される瞳部29が形成される。前記第1,第2の光学系26,27は、レンズの焦点距離が変倍しない固定焦点光学系であり、そのため前記瞳部29は移動しないので、光束が最も細くなる位置が固定される。前記鏡筒部材22は、前記第1,第2の光学系26,27を構成する複数のレンズを収容するとともに、前記瞳部29を含む前後の部分について小径にすることができ、それによって前記鏡筒部材22の略中央に小径部22aを形成することができる。
【0013】
前記投映レンズユニット12は以下のように筐体11に組込まれる。前記保持部材23は、照明光学系14や全反射プリズム15、LCD16などとともに前記筐体11に組込まれ筐体11の底板11a(図5参照)に略密着するように固定される。図3に示すように、底板11aに固定された保持部材23の第1の保持面23aに前記鏡筒部材22の小径部22aを載置する。前記小径部22aは下半分が前記第1の保持面23aによって支持される。押さえ部材24は小径部22aを挟むように保持部材23の上に載置され、固定溝24bに挿通されたネジ25によって前記保持部材23に固定される。押さえ部材24に形成された第2の保持面24aが前記小径部22aの上半分の大部分を支持して、前記第1の保持面23aとの間で前記小径部22aを挟持し固定する。こうして投映レンズユニット12が前記筐体11の中に組込まれる。組込まれた前記鏡筒部材22の最大外形部22bは前記筐体11の上板11b(図5参照)との間に僅かな隙間を残した状態で収容される。ここで前記押さえ部材24は、図3に示すように、前記第2の保持面24aの中央部分の厚さ寸法Aが、前記鏡筒部材22の小径部22aと最大外形部22bとの段差寸法Bより小さく形成されており、前記押さえ部材24の上面24cは前記最大外形部22bより上方にはみ出すことがなく、前記筐体11の上板11bに当接しない。このように鏡筒部材22の小径部22aを保持部材23と押さえ部材24によって挟持し筐体11に固定する方法は、筐体11を大きくすることなしに実現できる。
【0014】
前記投映レンズユニット12は次に示す手順で筐体11に組込まれるようにしても良い。まず始めに図2に示す投映レンズユニット12を前述の手順と同様の方法で組立てる。鏡筒部材22の小径部22aを保持部材23と押さえ部材24によって挟持し、鏡筒部材22と保持部材23と押さえ部材24を一体化させる。その後に、投映レンズユニット12を照明光学系14や全反射プリズム15、LCD16などとともに前記筐体11に組込む。この場合も前記保持部材23を前記筐体11の底板11aにネジ等によって略密着するように固定すると良い。
【0015】
前記投映レンズ21は、固定焦点レンズであることが好ましいが、前記瞳部29の位置が大きく移動しない光学系であれば、焦点距離を変更できる変倍レンズであっても良い。
【0016】
前記実施形態は、携帯用小型プロジェクタ10を挙げて説明したが、本発明による投映レンズユニットは投映専用のプロジェクタに限るものではなく、どのような携帯型電子機器であっても採用することができ、例えば、投映表示機能付きデジタルカメラや携帯電話器に採用することもできる。
【符号の説明】
【0017】
10 携帯用小型プロジェクタ
11 筐体
11a 底板
11b 上板
12 投映レンズユニット
21 投映レンズ
22 鏡筒部材
22a 小径部
22b 最大外形部
23 保持部材
23a 第1の保持面
24 押さえ部材
24a 第2の保持面
24b 固定溝
24c 上面
26 第1の光学系
26a,27a 入射面
26b,27b 射出面
27 第2の光学系
28 スクリーン
29 瞳部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した画像光を集束させた後に拡大してスクリーンに投映する投映レンズと、
前記投映レンズを収容するとともに、前記集束させた位置に対応する外形部分が最も細く形成された鏡筒部材と、
前記鏡筒部材の前記最も細く形成された外形部分が載置される第1の保持面を有する保持部材と、
前記最も細く形成された外形部分を、前記第1の保持面との間で挟持して前記鏡筒部材を保持する第2の保持面を有する押さえ部材と、
を備えたことを特徴とする投映レンズユニット。
【請求項2】
前記投映レンズは、入射した画像光を集束させる第1の光学系と、前記第1の光学系によって集束した前記画像光を拡大してスクリーンに投映する第2の光学系とからなり、前記第1の光学系と前記第2の光学系の間に前記画像光が集束する瞳位置が存在するとともに、前記鏡筒部材の前記最も細く形成された外形部分は前記瞳位置を含むことを特徴とする請求項1記載の投映レンズユニット。
【請求項3】
前記投映レンズは、投映距離と投映画像寸法との比が一定な固定焦点レンズであることを特徴とする請求項1又は2記載の投映レンズユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164684(P2010−164684A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5567(P2009−5567)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】