説明

抗インフルエンザ抗体及びインフルエンザ検出用デバイス

【課題】本発明は、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を簡便に検出しうる抗体を提供することを課題とする。さらには、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を簡易に検出しうる検査用デバイスを提供することを課題とし、さらには当該H1N1サブタイプ(2009)の検出方法を提供することを課題とする。
【解決手段】インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)であるA/Osaka/168/2009(pdm)株及び/又はA/Suita/1/2009(pdm)株のウイルスを抗原とし、具体的には当該ウイルスの粒子を抗原とし、作製した単クローン抗体による。より具体的には、受領番号FERM AP-21892又はFERM AP-21893で特定されるハイブリドーマから産生される単クローン抗体による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)抗体及びインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を簡易に検出しうる検査用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科に属し、A型、B型及びC型の3属に分類され、各々インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、インフルエンザC型ウイルスという。一般にインフルエンザウイルスは、特にA型及びB型をいう場合が多い。A型、B型及びC型の違いは、ウイルス粒子を構成するタンパク質のうち、M1タンパクとNPタンパクの抗原性の違いに基づく。また、同じA型やB型であっても、エンベロープの表面上の分子である赤血球凝集素(ヘマグルチニン、以下、単に「HA」ともいう。)やノイラミニダーゼ(NA)の抗原性の違いから、それぞれ複数の亜型と株に分類され、例えばインフルエンザA型ウイルスでは、H1N1、H2N2、H3N2などの各サブタイプに分類される。ヒトインフルエンザA型ウイルスは、周期的にHAやNAを変異させるために、変異型のウイルスに対しては、その抗原性をターゲットとした抗体を用いた従来の簡易検査キットの反応性が低下したり、従前のサブタイプに対応するワクチン接種を受けてもその効果が期待できないことなどが生ずる。
【0003】
インフルエンザA型ウイルスのHAは、球状部領域(head region) と幹領域(stem region) という構造の異なる領域で構成され、球状部領域はウイルスが標的細胞に結合するための受容体結合部位を含み、HAの血球凝集活性に関与し、幹領域はウイルスのエンベロープと細胞のエンドソーム膜間の膜融合に必要な融合ペプチドを含み、融合活性に関与している(非特許文献1)。インフルエンザA型ウイルスのH1N1、H3N2各サブタイプを認識する抗HA抗体は、HAの球状部領域を認識するものが殆どである。しかし、この領域は最も抗原変異が起こり易い部位であり、これらの抗体はヒトインフルエンザA型ウイルスのサブタイプに共通して反応するものではなく、ウイルスのHAの抗原変化に伴い、認識性を消失する場合が多い。
【0004】
インフルエンザA型ウイルスの各サブタイプは、RNAゲノムの変異性が高いため、新しい株が頻繁に生じている。2009年4月にメキシコでの流行が認知された後、世界的に流行したとされるインフルエンザは、A型H1N1亜型インフルエンザ、新型インフルエンザ、ブタインフルエンザ、パンデミックインフルエンザA(H1N1)、swine flu、H1N1 flu、A/H1N1 pdmなどとよばれている。ブタのあいだで流行していたウイルスが、農場などでブタからヒトに直接感染し、それからヒトの間で広まったといわれている。以下、本明細書において、上記新型インフルエンザウイルスを、「インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)」と称し、単に「H1N1サブタイプ(2009)」という場合もある。H1N1サブタイプ(2009)は、従前より存在していた季節性のAソ連型インフルエンザ(インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ)や、A香港型インフルエンザ(インフルエンザA型ウイルスH3N2サブタイプ)とは、区別して用いられる。
【0005】
免疫クロマトグラフィーによるインフルエンザA型ウイルス抗原又はB型ウイルス抗原を簡易に検出するキットは、既に市販されており、汎用されている(例えば、ベクトン・ディッキンソン製)。しかしながら、上述のH1N1サブタイプ(2009)を検出する方法としては、PCRのような遺伝子増幅法による方法が確立しているのみであり、免疫クロマトグラフィーのような免疫学的簡易検出キットは実用化されていない。そのため、当該H1N1サブタイプ(2009)の検出には、上記簡易検査方法で、インフルエンザA型ウイルス抗原が陽性であると判断された場合に、さらに二次検査として上記遺伝子増幅法による検査を行なっているのが実情であり、検査が煩雑であり、時間を要していた。そこで、当該H1N1サブタイプ(2009)を簡易に検出しうる、簡易検査方法の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Rev.Biochem., 56, 365-394 (1987)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を簡便に検出しうる抗体を提供することを課題とする。さらには、当該H1N1サブタイプ(2009)を簡易に検出しうる検査用デバイスを提供することを課題とし、さらには当該H1N1サブタイプ(2009)の検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)であるA/Osaka/168/2009(pdm)株又はA/Suita/1/2009(pdm)株のウイルスを抗原とし、具体的には当該ウイルスの粒子を抗原とし、作製した単クローン抗体による。
【0009】
即ち本発明は、以下よりなる。
1.インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を抗原とする抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)特異的単クローン抗体。
2.受領番号FERM AP-21892で特定されるハイブリドーマから産生される前項1に記載の単クローン抗体。
3.受領番号FERM AP-21893で特定されるハイブリドーマから産生される前項1に記載の単クローン抗体。
4.インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)のヘマグルチニン領域又はヌクレオプロテインに対して抗原抗体反応しうることを特徴とする前項1〜3のいずれか1に記載の抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体。
5.受領番号FERM AP-21892で特定される単クローン抗体産生用ハイブリドーマ。
6.受領番号FERM AP-21893で特定される単クローン抗体産生用ハイブリドーマ。
7.前項1〜4のいずれか1に記載の単クローン抗体を少なくとも1種含む、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイス。
8.前項7に記載のデバイスが、免疫クロマトグラフィー用担体である、前項7に記載のインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイス。
9.前項7又は8に記載のインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイスを含む、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用キット。
10.以下の工程を含むインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)の検出方法:
1)被験者より採取した検体と、前項1〜4のいずれか1に記載の単クローン抗体の少なくとも1種を接触させる工程;
2)上記検体中の抗原と抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体を抗原抗体反応させる工程;
3)抗原抗体反応物を検出する工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)に特異的に反応する単クローン抗体により、当該H1N1サブタイプ(2009)を簡便に検出しうる。従来では、当該H1N1サブタイプ(2009)の検出は、当該H1N1サブタイプ(2009)に特異的な遺伝子を増幅することによるPCR等の核酸増幅方法によらなければならなかったのに対し、本発明の抗体を用いることで、免疫学的検査を簡便に行うことができる。また、測定系に、他の型、例えば季節性インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプやインフルエンザA型ウイルスH3N2サブタイプに特異的な抗体を含ませることで、一の測定系で他の型のウイルスと区別して検出することができる。
【0011】
例えば、既存の季節性インフルエンザと、2009年に流行したいわゆる新型インフルエンザを区別して、容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】単クローン抗体(N-SW2-6、N-SW4-6、NC1-10、NC1-12)について、各種インフルエンザウイルス株に対するIF(蛍光抗体法)試験の結果を示す写真図である。
【図2】単クローン抗体(N-SW1-1、N-SW4-5、N-SW5-1、N-SW5-6)について、各種インフルエンザウイルス株に対するIF(蛍光抗体法)試験の結果を示す写真図である。
【図3】単クローン抗体(N-SW5-7、N-SW5-8)について、各種インフルエンザウイルス株に対するIF(蛍光抗体法)試験の結果を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)特異的単クローン抗体は、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を抗原として作製される単クローン抗体であり、単に「抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体」ともいう。本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体は、哺乳動物由来であり、例えばマウス型、ラット型、ハムスター型、ウサギ型、ヤギ型、又はウマ型のものが例示される。抗体はIgGに限定されるものではなく、IgMなどでもよい。
【0014】
本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体の製造方法は、自体公知の方法、又は今後開発されるあらゆる方法を採用することができる。モノクローナル抗体及び該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、免疫した動物由来の脾細胞と各種骨髄腫細胞とを融合することにより、具体的には以下に記載する方法で作製することができる。
【0015】
本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体を作製するための抗原としては、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)由来の抗原であればよく、特に限定されない。特に好ましくは、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)である、A/Osaka/168/2009(pdm)株及び/又はA/Suita/1/2009(pdm)株のウイルスを抗原とすることができる。ウイルス抗原は、例えばウイルスそのものを自体公知の方法で不活化したものを用いることができるし、例えばインフルエンザウイルスワクチン株を孵化鶏卵に接種し、自体公知の方法でインフルエンザHA抗原を作製したものを用いることができる。前記抗原を、好ましくはアジュバントと共に投与することにより、哺乳動物に免疫誘導を起こさせる。
【0016】
本発明の単クローン抗体産生において、前記抗原を、例えばリン酸緩衝液(PBS)などの適当な緩衝液中に溶解あるいは懸濁したものを抗原液として使用することができる。抗原液は、通常抗原物質を50〜500μg/mL程度含む濃度に調製すればよい。当該抗原で免疫感作する動物は、マウス、ラット、ハムスター、ウマ、ヤギ、又はウサギなどが例示される。
【0017】
このとき、被免疫動物の抗原への応答性を高めるため、当該抗原溶液をアジュバントと混合して投与することができる。ここで使用可能なアジュバントは、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、Ribi(MPL)、Ribi(TDM)、Ribi(MPL+TDM)、百日咳ワクチン(Boredetella pertussis vaccine)、ムラミルジペプチド(MDP)、アルミニウムアジュバント(ALUM)、及びこれらの組合せが例示されるが、初回免疫時にFCA、追加免疫時にFIAやRibiアジュバントを使用する組合せが特に好ましい。
【0018】
免疫方法は、使用する抗原の種類やアジュバント混合の有無などにより、注射部位、スケジュールなどを適宜変化させることができるが、例えば、被免疫動物としてマウスを用いる場合は、アジュバント混合抗原液0.05〜1 mL(抗原物質10〜200μg)を腹腔内、皮下、筋肉内又は(尾)静脈内に注射し、初回免疫から約4〜21日毎に1〜4回追加免疫を行い、さらに約1〜4週間後に最終免疫を行う。抗原量を多くして腹腔内注射することで、アジュバントを使用せずに当該抗原溶液を投与することもできる。抗体価は追加免疫の約5〜10日後に採血して調べる。抗体価の測定は、後述の抗体価アッセイに準じ、通常行われる方法で行うことができる。最終免疫より約3〜5日後、該免疫動物から脾細胞を分離して抗体産生細胞を得る。
【0019】
本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体は、例えばケーラーとミルシュタインの方法(Kohler and Milstein, Nature 256, 495-497, 1975)にしたがって作製することができる。骨髄腫細胞として、マウス、ラット、ヒトなど由来のものが使用され、例えばマウスミエローマP3X63-Ag8、P3X63-Ag8-U1、P3NS1-Ag4、SP2/O-Ag14、P3X63-Ag8・653、PAIなどの株化骨髄腫細胞が例示される。骨髄腫細胞には免疫グロブリン軽鎖を産生しているものがあり、これを融合対象として用いると、抗体産生細胞が産生する免疫グロブリン重鎖とこの軽鎖とがランダムに結合することがあるので、特に免疫グロブリン軽鎖を産生しない骨髄腫細胞、例えばP3X63-Ag8・653やSP2/O-Ag14、PAIなどを用いることが好ましい。抗体産生細胞と骨髄腫細胞とは、同種動物、特に同系統の動物由来であることが好ましい。骨髄腫細胞の保存方法は自体公知の手法に従って行えばよく、例えば牛胎児血清(FCS)を添加した一般的な培地で継代培養したものについて凍結により保存される。また細胞融合には対数増殖期の細胞を用いるのが好ましい。
【0020】
抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを作製する方法は、ポリエチレングリコール(PEG)を用いる方法、センダイウイルスを用いる方法、電気融合装置を用いる方法などが例示される。例えばPEG法の場合、約30〜60 %のPEG(平均分子量1,000〜6,000)を含む適当な培地又は緩衝液中に脾細胞と骨髄腫細胞を1〜10:1、好ましくは5〜10:1の混合比で懸濁し、温度約25〜37℃、pH 6〜8の条件下で、約30秒〜3分間程度反応させればよい。反応終了後、細胞を洗浄し、PEG溶液を除いて培地に再懸濁し、マイクロタイタープレート中に播種して培養を続ける。
【0021】
融合操作後の細胞は選択培地で培養して、ハイブリドーマの選択を行う。選択培地は、親細胞株を死滅させ、融合細胞のみが増殖しえる培地であり、通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)培地が使用される。ハイブリドーマの選択は、通常融合操作の1〜7日後に、培地の一部、好ましくは約半量を選択培地と交換し、さらに2、3日毎に同様の培地交換を繰り返しながら培養することにより行う。顕微鏡観察によりハイブリドーマのコロニーが生育しているウェルを確認する。
【0022】
本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体は、より具体的には以下の方法により作製することができる。インフルエンザウイルス抗原を、4週齢のBALB/cマウスへ2〜3回腹腔内投与を行い、最終免疫後3〜4日経過後に脾臓を摘出し抗体産生細胞を得る。当該抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞であるPAI細胞とを、PEG法により細胞融合をすることによって簡便かつ効率的にハイブリドーマを作製することができる。
【0023】
生育しているハイブリドーマが所望の抗体を産生しているかどうかを知るには、培養上清を採取して抗体価アッセイを自体公知の方法により行えばよい。具体的には、インフルエンザ感染細胞を抗原とし、IC(免疫細胞化学)、IF(免疫蛍光法)やIHC(免疫組織化学) 染色法等により、インフルエンザウイルス由来タンパクに結合活性を有する抗体産生細胞を選別することができる。
【0024】
さらに限界希釈法、軟寒天法、蛍光励起セルソーターを用いた方法などにより本発明の単クローン抗体を産生する単一クローンを分離することができる。例えば限界希釈法の場合、ハイブリドーマのコロニーを1細胞/ウェル前後となるように培地で段階希釈して培養することにより、目的とする抗体を産生するハイブリドーマクローンを単離することができる。得られた抗体産生ハイブリドーマクローンは、約10 % ジメチルスルホキシド(DMSO)又はグリセリン、あるいは市販のセルバンカーTMなどの凍結保護剤の共存下に凍結させて、−70〜−196℃で保存すると、約半年〜半永久的に保存可能である。細胞は用時37℃前後の恒温槽中で急速に融解して使用する。凍結保護剤の細胞毒性が残存しないようによく洗浄してから使用するのが望ましい。
【0025】
ハイブリドーマからの単クローン抗体の取得方法は、必要量やハイブリドーマの性状などによって適宜選択することができる。例えば、当該ハイブリドーマを移植したマウス腹水から取得する方法、細胞培養により培養上清から取得する方法などが例示される。マウス腹腔内で増殖可能なハイブリドーマであれば、腹水から数mg/mLの高濃度の単クローン抗体を得ることができる。インビボで増殖できないハイブリドーマは細胞培養の培養上清から取得することができる。細胞培養による単クローン抗体の取得は、抗体産生量はインビボから取得する場合より低いが、マウス腹腔内に含まれる免疫グロブリンや他の夾雑物質の混入が少なく、精製が容易であるという利点がある。
【0026】
ハイブリドーマを移植したマウス腹腔内から単クローン抗体を取得する場合、例えば、予めプリスタン(2, 6, 10, 14-テトラメチルペンタデカン)などの免疫抑制作用を有する物質を投与したBALB/cマウスの腹腔内へハイブリドーマ(約106個以上)を移植し、約1〜3週間後に貯留した腹水を採取する。異種ハイブリドーマ(例えばマウスとラット)の場合には、ヌードマウス、放射線処理マウスを使用することが好ましい。
【0027】
一方、細胞培養上清から抗体を取得する場合、例えば、細胞維持に用いられる静置培養法の他に、高密度培養方法あるいはスピンナーフラスコ培養方法などの培養法を用い、当該ハイブリドーマを培養し抗体を含有する培養上清を得る。培養液に含まれる血清は、他の抗体やアルブミンなどの夾雑物が含まれ、抗体精製が煩雑になることが多いので、培養液への添加は少なくすることが望ましい。さらに好ましくは、ハイブリドーマを常法により無血清培地に馴化させ、無血清培地を用いて培養することである。無血清培地で培養することにより、抗体精製が容易になる。
【0028】
腹水や培養上清からの単クローン抗体の精製は、自体公知の方法により行うことができる。例えば、免疫グロブリンの精製法として従来既知の硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを用いた塩析による分画法、ポリエチレングリコール(PEG)分画法、エタノール分画法、DEAEイオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾過法などを応用することで、容易に達成される。さらに、単クローン抗体が、IgGである場合には、プロテインAもしくはプロテインG結合担体を用いたアフィニティークロマトグラフィー法により精製することが可能であり、簡便である。
【0029】
本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体は、具体的には、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)である、A/Osaka/168/2009(pdm)株及び/又はA/Suita/1/2009(pdm)株のウイルスを抗原として作製することができる。このような単クローン抗体は、例えばハイブリドーマ(Mouse-Mouse hybridoma N-SW2-6)から産生される単クローン抗体(N-SW2-6)又はハイブリドーマ(Mouse-Mouse hybridoma N-SW4-6)から産生される単クローン抗体(N-SW4-6)が挙げられる。上述のハイブリドーマは、各々独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 茨城県つくば市東1-1-1つくばセンター中央第6)に寄託申請され、Mouse-Mouse hybridoma N-SW2-6については、受領番号FERM AP-21892、及びMouse-Mouse hybridoma N-SW4-6については、受領番号FERM AP-21893として平成22年1月15日に受領されている。上述の単クローン抗体のほか、上述の方法で作製されたハイブリドーマから産生される単クローン抗体、例えばN-SW1-1、N-SW4-5、N-SW5-1、N-SW5-6、N-SW5-7、N-SW5-8を取得することができる。
【0030】
本発明は、受領番号FERM AP-21892及び受領番号FERM AP-21893で特定されるハイブリドーマから産生される各抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)特異的単クローン抗体に及び、これらの単クローン抗体産生用ハイブリドーマにも及ぶ。
【0031】
本発明は、さらには上記単クローン抗体を含むインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイスにも及ぶ。このようなデバイスとして、少なくとも上記いずれかの単クローン抗体を含む免疫検査用デバイスが挙げられ、例えば免疫クロマトグラフィー用担体、免疫拡散測定用担体、ELISA用担体などが挙げられる。好ましくは、例えば免疫クロマトグラフィー用担体、又は免疫拡散測定用担体である。当該免疫測定用デバイスには、本発明の抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体を少なくとも含み、さらに季節性抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ特異的抗体や抗インフルエンザA型ウイルスH3N2サブタイプ特異的抗体も含めることができる。これらの抗体との反応性を比較することで、一度の検査で、被験者の検体中に混入可能性のあるインフルエンザウイルスのタイプを判別することができる。さらに、本発明は、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイスを含む、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用キットにも及ぶ。
【0032】
本発明は、以下の工程を含むインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)の検出方法にも及ぶ。
1)被験者より採取した検体と本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体を接触させる工程;
2)上記検体中の抗原と上述の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体を抗原抗体反応させる工程;
3)抗原抗体反応物を検出する工程。
【0033】
上記インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)の検出方法における抗原抗体反応物の検出は、抗原抗体反応を検出しうる方法であればよく、特に限定されないが、例えばIC(免疫細胞化学)、IF(免疫蛍光法)やIHC(免疫組織化学) などの染色法のほか、免疫クロマトグラフィー法、免疫拡散測定法、ELISA法などが挙げられる。
【実施例】
【0034】
本発明の理解を助けるために、以下に実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0035】
(実施例1)抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体の作製
本実施例では、受領番号FERM AP-21892及び受領番号FERM AP-21893で特定されるハイブリドーマを用いて、単クローン抗体を作製したものについて、説明する。
【0036】
1)ウイルス抗原
インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)として、大阪府立公衆衛生研究所から分与されたA/Osaka/168/2009(pdm)株、又は国立大学法人大阪大学にて分離されたA/Suita/1/2009(pdm)株を用い、各々MDCK細胞(イヌ腎上皮細胞株)に感染させ、トリプシン存在下37℃で2〜3日間培養後、培養上清を採取した。上記各インフルエンザウイルス培養上清を回転数25,000rpmにて超遠心法により濃縮し、ホルマリンで不活化したウイルス粒子をウイルス抗原として使用した。
【0037】
2)ウイルス抗原を用いた免疫法
4週齢のBALB/cマウスへ上述の方法で作製したウイルス抗原を3回腹腔内投与し免疫を行なう。具体的には、50〜500mg /匹のウイルス抗原を、初回はフロイント完全アジュバト(FCA)と混和し、2回目はフロイント不完全アジュバント(FIA)混和し、3回目はアジュバント無しで腹腔内投与を行った。2回目以降の免疫は初回免疫から約2週間毎に行い、3回目の免疫から約3〜4日後に脾臓の摘出を行い、ハイブリドーマの作製に使用した。
【0038】
3)ハイブリドーマの作製
免疫マウス由来の脾臓を粉砕し、細胞融合前に血清無添加DMEMで洗浄し、ハイブリドーマ作製用細胞としての脾細胞を得た。ハイブリドーマ作製のパートナー細胞として、IL-6非依存性マウスミエローマ細胞であるPAI細胞を用いた。PAI細胞を10 %牛胎児血清(FCS)添加DMEM培地で継代後2日間培養したものを、細胞融合前に血清無添加DMEMで洗浄した。
【0039】
次に、上記にて得た脾細胞とPAI細胞を細胞数1:5〜1:10の割合で混合し、遠心分離して上清を除去した。沈殿した細胞塊を充分ほぐした後、撹拌しながら、50 % PEG1500-PBS溶液0.6 mLを1分間かけてゆっくりと添加した後、血清無添加DMEM 10 mLを2分間かけてゆっくり加えた。さらに15 % FCS添加DMEM 10 mLを添加し、細胞融合を完了させた。次に、遠心分離後上清を除き、血清無添加DMEM 20 mLで洗浄した。最後に、ゆるやかに細胞をほぐし、HAT培地{15 % FCS添加DMEMにHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)及びBM condimed H1TM(Roche社製)などのマウスハイブリドーマ用培地添加剤を加えたもの}を100 mL加え、メスピペットを用いてゆるやかに細胞を懸濁した。
【0040】
4)ハイブリドーマのクローニング
上記3)の細胞懸濁液を培養用96ウェルマイクロプレート5枚に分注し、5 % CO2を含む培養器中で、37℃で7〜10日間培養する。この間、3〜4日の間隔でHAT培地の半量交換を行った。続いて培養上清の一部を採り、ハイブリドーマのスクリーニングを行った。
【0041】
スクリーニングにはIF(免疫蛍光抗体)法を使用した。培養用96ウェルマイクロプレートにMDCK細胞を播き、5% CO2を含む培養器中37℃で一晩培養を行なった。PBS(-)にて細胞を洗浄した後、血清無添加MEMで適宜希釈をした各種インフルエンザウイルス希釈液を加え、37℃で6〜10時間培養を行った。4 %ホルマリン添加PBS溶液を添加することにより、細胞の固定及びインフルエンザウイルスの不活化を行い、1 % Triton-X(polyoxyethylene-p -isooctylphenol)添加PBSにて感染細胞の透過処理を行うことにより、IF(免疫蛍光法)用のプレートを作製した。IF用プレートをPBS(-)にて洗浄した後、ハイブリドーマ培養上清原液50μLを各ウェルに添加し、室温で30分〜1時間反応させた。PBS(-)にて洗浄後、FITC標識抗マウス抗体40μLを各ウェルに添加し、室温にて30分〜1時間反応させることにより、FITC標識免疫複合体を作製した。PBS(-)にて洗浄後、蛍光顕微鏡にて培養上清中の抗インフルエンザ・マウス型抗体の検出を行った。
【0042】
次に、当該抗体産生が確認された細胞が増殖している培養用マイクロプレートの各ウェル中に含まれる細胞を取り出し、限界希釈法を3回行い、上記同手法により目的の細胞をクローニングした。なお、クローニングされたハイブリドーマ株のうち、Mouse-Mouse hybridoma N-SW2-6は、A/Osaka/168/2009(pdm)株由来の抗原をマウスに3回免疫して得られたものであり、Mouse-Mouse hybridoma N-SW4-6は、3回の免疫のうち、1回目の免疫をA/Osaka/168/2009(pdm)株由来の抗原を用い、2回目及び3回目の免疫を、A/Suita/1/2009(pdm)株由来の抗原を用いて免疫して得られたものである。
【0043】
5)抗体の精製
各ハイブリドーマ株は、培養液中の FCS含有量を10 %から2 %に減少させ、最終的に無血清の培養液中で培養した。無血清培養液で3〜7日間培養した各ハイブリドーマの培養上清100 mLを2,000rpm、10分遠心処理し、得られた上清を0.45μmフィルターで濾過して固形成分を除去し、Protein Gを固定化した6 %アガロースゲル(HiTrap Protein G HPTM、GE Healthcare社製)1 mLにより精製した。ハイブリドーマ株Mouse-Mouse hybridoma N-SW2-6が産生する単クローン抗体を、N-SW2-6とし、ハイブリドーマ株Mouse-Mouse hybridoma N-SW4-6が産生する単クローン抗体をN-SW4-6とした。これらのハイブリドーマは、各々独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 茨城県つくば市東1-1-1つくばセンター中央第6)に寄託申請され、Mouse-Mouse hybridoma N-SW2-6については、受領番号FERM AP-21892、及びMouse-Mouse hybridoma N-SW4-6については、受領番号FERM AP-21893として平成22年1月15日に受領されている。
【0044】
上記のほか、上述の方法で作製し、クローニングして得られたクローンとして、N-SW1-1、N-SW4-5、N-SW5-1、N-SW5-6、N-SW5-7及びN-SW4-7が挙げられる。ここで、N-SW1-1は、A/Osaka/168/2009(pdm)株由来の抗原をマウスに2回免疫して得られたものであり、N-SW4-5、N-SW5-1、N-SW5-6、N-SW5-7及びN-SW4-7は、3回の免疫のうち、1回目の免疫をA/Osaka/168/2009(pdm)株由来の抗原を用い、2回目及び3回目の免疫を、A/Suita/1/2009(pdm)株由来の抗原を用いて免疫して得られたものである。
【0045】
(比較例1)抗H1N1サブタイプ(季節性インフルエンザウイルス)単クローン抗体の作製
H1N1サブタイプ(季節性インフルエンザウイルス)として、A/New Caledonia/20/1999ワクチン株を抗原とし、単クローン抗体産生ハイブリドーマを作製した。インフルエンザ抗原は、以下の方法で作製した。上記インフルエンザウイルスワクチン株を孵化鶏卵に接種し、33〜35℃で2日間培養後、4℃で1晩放置し、感染尿膜腔液を採取した。次いで、限外ろ過法などで濃縮し、ショ糖密度勾配遠心法でウイルス粒子を精製した。すなわち、0〜60 %のショ糖密度勾配中で回転数35,000 rpmで超遠心し、ショ糖密度40 %前後の画分を採取した。この濃縮ウイルス画分をエーテル処理した後、ホルマリンを添加し、ショ糖密度勾配遠心法でさらに精製してインフルエンザHA抗原を得た。
【0046】
上述の方法で作製したインフルエンザHA抗原を、実施例1と同手法によりマウスに3回免疫し、ハイブリドーマを作製し、2種のハイブリドーマをクローニングし、NC1-10及びNC1-12を取得した。
【0047】
(実験例1)各ハイブリドーマの培養上清の性状
実施例1及び比較例2において作製した各ハイブリドーマの培養上清の、各種インフルエンザウイルスに対する抗原抗体反応性は、ハイブリドーマクローニングの際のスクリーニングに使用したIF法に準じて行なった。すなわち、培養用96ウェルマイクロプレートにMDCK細胞を播き、5% CO2を含む培養器中37℃で一晩培養を行い、PBS(-)にて培養細胞の洗浄を行った後、血清無添加MEMで適宜希釈を行った表1の備考に示す各種インフルエンザウイルス希釈液を加え、37℃で6〜10時間培養を行った。4 %ホルマリン添加PBS溶液を添加することにより、細胞の固定及びインフルエンザウイルスの不活化を行い、1 % Triton-X添加PBSにて感染細胞の透過処理を行うことによりIF用プレートを作製した。IF用プレートをPBS(-)にて洗浄した後、ハイブリドーマ培養上清原液50μLを各ウェルに添加し、室温で30分〜1時間反応させた。PBS(-)にて洗浄後、FITC標識抗マウス抗体40μLを各ウェルに添加し、室温にて30分〜1時間反応させることにより、FITC標識免疫複合体を作製した。PBS(-)にて洗浄後、蛍光顕微鏡にて抗原抗体反応の有無を調べた。
【0048】
FITC免疫染色の結果を図1−3に示した。下記表1の備考に示す各ウイルス株を含む細胞に対する各ハイブリドーマの培養上清の染色パターンを観察した結果、N-SW2-6は、HAと反応し、N-SW4-6、N-SW1-1、N-SW4-5、N-SW5-1、N-SW5-6、N-SW5-7及びN-SW4-7はNPと反応していることが考えられた。また、比較例のNC1-10及びNC1-12は、HAと反応していることが考えられた。上記IF法での反応性を表1に示した。その結果、比較例のNC1-10及びNC1-12は、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプの季節性各種インフルエンザに反応するものの、H1N1サブタイプ(2009)の2種のウイルスに対しては、反応しなかった。一方、N-SW2-6、N-SW4-6、N-SW1-1、N-SW4-5、N-SW5-1、N-SW5-6、N-SW5-7及びN-SW4-7は、H1N1サブタイプの季節性各種インフルエンザには、反応しないか、又は弱い反応を示したのに対し、H1N1サブタイプ(2009)の2種のウイルスに対しては、反応した。
【0049】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0050】
以上詳述したように、本発明の抗H1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体により、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を簡便に検出しうる。従来では、当該インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)の検出は、当該H1N1サブタイプ(2009)に特異的な遺伝子を増幅することによるPCR等の核酸増幅方法によらなければならなかったのに対し、本発明の抗体を用いることで、簡便に免疫学的検査を行うことができる。また、検査系に、他の型、例えば季節性インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプやインフルエンザA型ウイルスH3N2サブタイプに特異的な抗体を含ませることで、一の検査系で他の型のウイルスと区別して検出することができる。
【0051】
例えば、既存の季節性インフルエンザと、2009年に流行した、いわゆる新型インフルエンザとを区別して、容易に検出することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)を抗原とする抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)特異的単クローン抗体。
【請求項2】
受領番号FERM AP-21892で特定されるハイブリドーマから産生される請求項1に記載の単クローン抗体。
【請求項3】
受領番号FERM AP-21893で特定されるハイブリドーマから産生される請求項1に記載の単クローン抗体。
【請求項4】
インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)のヘマグルチニン領域又はヌクレオプロテインに対して抗原抗体反応しうることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体。
【請求項5】
受領番号FERM AP-21892で特定される単クローン抗体産生用ハイブリドーマ。
【請求項6】
受領番号FERM AP-21893で特定される単クローン抗体産生用ハイブリドーマ。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1に記載の単クローン抗体を少なくとも1種含む、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスが、免疫クロマトグラフィー用担体である、請求項7に記載のインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイス。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用デバイスを含む、インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)検出用キット。
【請求項10】
以下の工程を含むインフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)の検出方法:
1)被験者より採取した検体と、請求項1〜4のいずれか1に記載の単クローン抗体の少なくとも1種を接触させる工程;
2)上記検体中の抗原と抗インフルエンザA型ウイルスH1N1サブタイプ(2009)単クローン抗体を抗原抗体反応させる工程;
3)抗原抗体反応物を検出する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−60367(P2013−60367A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7435(P2010−7435)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】