説明

折畳みシート

【課題】 多機能を有する折畳みシートにおいて、シートクッション、シートバックの折畳み状態などを良好にすることである。
【手段】 ベースフレームにアーム10の基端を下部リクライニング装置1によって取付け、アーム10の先端にシートクッションSCを中間リクライニング装置2によって連結し、シートクッションSCのクッションフレーム20の突出部20Aに、上部リクライニング装置3を介してシートバックSBを取付けてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み自動車用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートクッション又はシートバックのいずれか一方を他方に重ねるようにして折畳むシートには、特開2000−189266号公報に開示されているように、多関節を使用したものがある。
【0003】
これは三角形のプレート状フレームの各頂点に、シートバックの傾動用、シートクッションの傾動用及びシートバックとシートクッションの傾動用の各々のリクライニング装置を取付けてシートクッション、シートバックの傾動角度を調節すると共にシートクッションをシートバック側に折畳み得るようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−189266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の多関節によりシートクッション、シートバックのいずれか一方を他方側に折畳むものは、一枚のプレート状フレームに、各リクライニング装置の回動中心を設けているため、各回動中心間の距離が常に一定である。
そして、各リクライニング装置をプレート状のフレームに取付けるため、フレームの大きさが大きくなる。
【0006】
従って、例えば、シートクッション、シートバックの厚みが薄いものにおいては、隙間なく折り畳むことができない…など、シートクッション、シートバックの回動変位を的確に行うことができない不具合があった。
【0007】
そこで、本発明は斯様な多関節からなる折畳みシートの不具合を除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するための本発明に係る折畳みシートは、スライドレールのアッパーレールに一体に設けたベースフレームに、下部リクライニング装置を介してアームの基端を連結し、このアームの先端に中間リクライニング装置を介してシートクッションのクッションフレームを連結し、このクッションフレームと一体の突出部に、上部リクライニング機構を介してシートバックのバックフレームを連結して、シートバック、シートクッション、アームを各々前後方向に傾動自在に連結してなることを特徴とする構成である。
【0009】
そして、前記各リクライニング装置は電動リクライニング装置であって、各々独立し、且つ折畳時に上部リクライニング装置と中間リクライニング装置とが連動して作動するようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートクッション、シートバックとが各々所望の角度に調節できることは勿論、シートクッションとシートバックとが隙間なく重ね合わせて折畳むことができる。加えて、シートクッション、シートバックの各リクライニング装置による回動変位を的確に行うことができる。
【0011】
そして、シートクッションにシートバックを前倒させて折り畳むことにより、このシートバックを後席のオットマンとして利用できる。
【0012】
加えて、シートクッションにシートバックを折畳み状態でアームを前倒させることにより、折り畳み状態の高さが低くなるため、これを後方にスライドさせると、後席のシートクッション下方に格納できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る折畳みシートの一実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図示する折畳みシートは自動車の車内に前後方向に三列配設するシートにおける二列目に設置するシートで、その後方には三列目のリャシートクッションRSC、リャシートバックRSBからなるリャシートが設置されている。
【0015】
そして、折畳みシートはスライドレール4によって、前後方向にスライド可能に取付けられており、このスライドレール4のロアレール42はリャシートクッションRSCの下方まで延設されている。
【0016】
従って、以上のリャシートのリャシートクッションRSC下方には、図4に示すように、折畳みシートが折り畳まれた状態で格納できるスペースが設けてある。
【0017】
折畳みシートはシートクッションSC、シートバックSB、スライドレール4のアッパーレールと一体のベースフレーム41、ベースフレーム41とシートクッションSCを連結するアーム10などより構成され、シートクッションSC、シートバックSBはその厚みが薄く形成されている。
【0018】
以上のベースフレーム41の後部に、前記アーム10の基端を下部リクライニング装置1で連結し、この下部リクライニング装置1によってアーム10が前後方向に傾動可能に取付けられている。
【0019】
このアーム10の先端とシートクッションSCのクッションフレーム20とは中間リクライニング装置2によって連結され、この中間リクライニング装置2によってシートクッションSCの前部が上下方向に傾動するように構成されている。
【0020】
また、クッションフレーム20の後部より上方に突出部20Aが延設され、この突出部20Aに上部リクライニング装置3を介してシートバックSBのバックフレーム30が連結され、シートバックSBを上部リクライニング装置3によって前後方向に傾動するように取付けている。
【0021】
なお、以上の各リクライニング装置1、2、3はいずれも、従来周知の構造の電動リクライニング装置を使用し、各リクライニング装置1、2、3が別個に作動し、図1のシートクッションSC、シートバックSBが着座状態から図5、図6、図3の状態に順次又は逆の順に回動するようにプログラムされている。
【0022】
次に、以上のシートバックSB、シートクッションSCの動作を説明すると、図1は着座状態で、この状態で上部リクライニング装置3によってシートバックSBの傾斜角度を、また、中間リクライニング装置2によってシートクッションのチルト角度を、更に、下部リクライニング装置1によってアーム10を起伏することにより、シートクッションSC、シートバックSBの高さを各々調節が可能となる。
【0023】
図2はリャシートのオットマンとして使用する場合を示し、シートクッションSCを前下がり状に傾斜させ、このシートクッションSCにシートバックSBを重ねることにより、折畳みシートがオットマンとして利用可能となる。
【0024】
図3はシートバックSB、シートクッションSCを折畳みアーム10を前倒した状態で、この状態はスライドレール4の最前位置のみに行い得るように構成され、この状態が格納前、後の状態である。
【0025】
図4は図3の状態から折畳シートを後方にスライドさせてリャシートクッションRSCの下方に格納した状態を示す。
【0026】
図5はシートクッションSCとシートバックSBを図6に示すように、各々重ね合わせる状態を示し、同時に、シートクッションSCとシートバックSBを中間リクライニング装置2、上部リクライニング装置3を作動させて図5の状態から図6の状態にする。
【0027】
この図6の状態より、図2又は図3の状態にアーム10を下部リクライニング装置1によって回動する。
図中Hはヘッドレストを示す。
【0028】
なお、折畳みシートの後方にリャシートを設置しない場合には、シートバックSB、シートクッションSC、アーム10を各々後方に倒してシートバックSB上にシートクッションSCを重ね合わせるように折り畳むことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】側面図である。
【図2】オットマンとして使用する場合の側面図である。
【図3】格納前、後の状態を示す側面図である。
【図4】格納状態の側面図である。
【図5】折畳みの前、後状態の側面図である。
【図6】折畳み状態の側面図である。
【符号の説明】
【0030】
SC…シートクッション、SB…シートバック、1…下部リクライニング装置、2…中間リクライニング装置、3…上部リクライニング装置、10…アーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドレールのアッパーレールに一体に設けたベースフレームに、下部リクライニング装置を介してアームの基端を連結し、
このアームの先端に、中間リクライニング装置を介してシートクッションのクッションフレームを連結し、
このクッションフレームと一体の突出部に、上部リクライニング機構を介してシートバックのバックフレームを連結して、
シートバック、シートクッション、アームを各々前後方向に傾動自在に連結してなることを特徴とする折畳みシート。
【請求項2】
前記各リクライニング装置は電動リクライニング装置であって、各々独立し、且つ折畳
時に上部リクライニング装置と中間リクライニング装置とが連動して作動する請求項1記載の折畳みシート。
















【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−96237(P2009−96237A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267278(P2007−267278)
【出願日】平成19年10月13日(2007.10.13)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】