説明

折畳み履物

【解決手段】 靴底を有する折畳み靴は、靴の前方つま先部からインステップ部まで延在する前方靴底部分と、靴の最後部からインステップまで延在する後方靴底部分とを包含し、ユーザが靴を履く時には、前方靴底部分と後方靴底部分とが協働して実質的に連続した靴底を形成し、靴底が折畳み状態である時には前方靴底部分と後方靴底部分とが相互に分離可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関連する。
【背景技術】
【0002】
靴を収容するための例えばビーチバッグ、ハンドバッグ、衣類ポケットなどにコンパクトに収納するためかかととつま先とが相互に隣接するように折り畳むことができるが、履物を履く時には普通の靴またはサンダルの形状に延出される比較的軽量の折畳み靴を提供することは知られている。
【0003】
特許文献1には、包装または収容のため比較的小型に折り畳まれる靴底を有するサンダルが開示されている。このサンダルは一対のヒンジ軸を有する長形の靴底を有し、各軸は靴底の縦軸に対して直角に延在して、インステップと母指球と足のかかととに対応する3個の靴底部を有する。サンダルは、靴底に形成されたスロットを通る複数のストラップにより履く人の足に装着される。靴底材料は、合成樹脂プラスチック、木、プラスチック材料、皮革、ゴム、合成ゴム組成物、金属または金属合金、例えばアルミニウムのいずれかでよい。
【0004】
特許文献2には、折畳み靴底と着脱可能な上部とを有するサンダルが開示され、靴底は剛性材料で製作され、靴底のインステップ部分に固定ヒンジを有して、靴底のかかと部分がつま先範囲および母指球に対応する靴底の前方部分に隣接してこれと当接するように靴底を折り返すことができる。靴底の主な縦軸に対してほぼ直角に設けられた単一のヒンジが設けられ、ヒンジ部分は、足のインステップの前方部に対応する靴底部分に設けられている。
【0005】
特許文献3には、収納スペースが小さくなるように折り畳まれる可撓性の高い靴が開示されている。靴底は、剛性または半剛性の材料で製作された独立部品を有する。第1剛性靴底部分はつま先エリアおよび母指球の下に設けられるのに対して、第2剛性靴底エリアは足のかかとの下に設けられる。前方および後方の剛性靴底部分は常に相互に離間した位置にあり、靴の前方先端から靴の後方範囲まで延在して前方/壁靴底部分と後方かかと部分の両方と重複する比較的可撓性の高い接続上方靴底部分により接続されている。主としてインステップ部分に発生する屈曲部により靴底が折り返されるように、靴は折畳み可能であり、屈曲部は可撓性接続靴底部分の可撓性によって設けられる。
【0006】
靴は先端またはかかとから丸めることができ、先端およびかかとが内側に折られ、続いて靴が中央で折り畳まれる。
【0007】
特許文献4には、インステップ部分により相互に離間するより丈夫な耐久性つま先およびかかと部分を備える、インステップで折り返される可撓性靴底部分を有するサンダルである非常用履物が開示されている。母指球も被覆するつま先部分とかかと部分とは相互に離間しているため、靴底部分のつま先/母指球とかかと部分とは靴底の総面積のおよそ三分の一を占め、靴底の別の三分の一は、可撓性であって耐久性材料で下側が被覆されていないインステップ部分を有する。つま先の直後で足のブリッジにわたって延在するつま先ストラップと、インステップの下から延出する別のストラップと、かかとの周囲にフィットするかかとストラップとにより、サンダルは足に装着される。しかし、連続した上方部分は無いため、履いている人が水たまりに踏み入れた場合または雨が降っている場合には、履いている人の足が濡れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許第GB 598,513号明細書
【特許文献2】独国特許発明第DE 42 44 293号明細書
【特許文献3】国際特許出願第WO 2004/098335号パンフレット
【特許文献4】英国特許第GB 2,425,454 A号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明による特定実施例は、小さなスペースに容易に折り畳むことができるため婦人用ハンドバックまたは小型のキャリングバッグに収容することのできる臨時の靴を提供することを目的とする。靴は、ハイヒールまたはドレスシューズなど履き心地の良くない靴の代用品として持ち運ぶことができるため、特に女性による使用に適している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
例えば、4cm以上のヒールのある比較的ヒールの高い靴での装いが普通である、ナイトクラブ、パブ、劇場、ディナー、その他社交的な会合のため夜に外出する女性にとっては、このような靴は、長時間履いた後には履き心地が悪くなり、中距離、例えばタクシー乗り場までの数百メートルを歩いたり、丸石や砂利など凹凸面を歩いたりするのには非実用的である。そのためこの履物は、非常用の靴、つまりよりフォーマルでファッショナブルなハイヒールの履き心地が悪くなった時のための予備の靴としてパーティへ持参する靴としての使用に、特に適しているようである。
【0011】
第一面によれば、
靴の前方つま先部からインステップ部まで延在する前方靴底部分と、
靴の最後部からインステップまで延在する後方靴底部分と、
を包含し、
ユーザが靴を履いた時に、前方靴底部分と後方靴底部分とが協働してほぼ連続した靴底を形成し、
靴底が折畳み状態にある時に、前方靴底部分と後方靴底部分とが相互に分離可能である、
靴底を有する折畳み靴が設けられる。
【0012】
前方靴底部分は、インステップ部に位置する後方エッジを包含し、
後方靴底部分は、後方靴底部分のインステップ部に位置する前方エッジを有し、
靴がユーザの足に履かれる延出位置にある時には、後方靴底部分の前方エッジと前方靴底部分の後方エッジとが相互に当接する。
【0013】
前方靴底部分と後方靴底部分とは、可撓性接続部材により接続されることが好ましい。
【0014】
可撓性接続部材は、前方靴底部分と後方靴底部分とを相互に分離させて靴底に折畳み状態を取らせることが好ましい。必ずしも相互に接触する必要はないが、前方および後方靴底は、接続部材への相互接続によって相互に接続されたままである。
【0015】
後方靴底部分は、後方靴底の前方部分に位置する前方面を包含することが好ましい。
【0016】
前方靴底部分は、前方靴底の後方部分に位置する後方面を包含することが好ましい。
【0017】
好ましくは、靴が延出位置にある時に、後方靴底部分の前方面と前方靴底部分の後方面とが相互に当接し、
靴が延出していない折畳みまたは部分的折畳み状態にある時には、後方靴底部分の前方面と前方靴底部分の後方面とが相互に分離する。
【0018】
好ましくは、前方靴底部分と後方靴底部分とが可撓性接続部材により接続され、可撓性接続部材は、後方靴底部分の前方エッジから2〜9mmの範囲の長さだけ後方靴底部分の周縁より内側に位置する後方靴底部分の位置に接続され、靴底が延出状態にある時に、接続部材が重複するがこれに接合されない後方靴底部分の範囲が存在し、
可撓性接続部材は、前方靴底部分の後部付近だが2〜9mmの範囲の距離だけ前方靴底の周縁より内側にある位置で前方靴底部分に接合され、靴底が延出状態にある時に接続部材と重複するがこれに接合されない前方靴底部分の範囲が存在する。
【0019】
前方靴底部分と後方靴底部分とは可撓性上部によって相互に接続され、前方靴底部分が後方靴底部分と重複して可撓性上部が間に挟まれるように靴底が折り返されるのに充分な可撓性を可撓性上部が持ち、
後方靴底部分の前方範囲の上と前方靴底部分の後方範囲の上とに延在する接続部材は、前方および後方靴底部分と可撓性上部とを接続する。
【0020】
前方靴底部分が後方靴底部分と重複する折畳み状態を靴が取る時に、靴底が延出または部分的折畳み状態に戻るのを防止する拘束手段を必要とせずに靴底が自然に折畳み状態を維持するのに充分な可撓性を持つ可撓性接続部材によって、前方靴底部分は後方靴底部分に接続される。
【0021】
靴の靴底および/または上部は、様々な魅力的なパターンで模様形成、着色、エンボス加工され、上部材料には可撓性および非弾性という条件が必要とされるが、上部のファブリックまたは他の材料は広範囲の周知の靴材料のいずれかから製造される。
【0022】
ある実施例では、前方または後方靴底部分の各々は、前方または後方靴底部分の他方の対応湾曲面と対応する湾曲面を備える。
【0023】
他の実施例では、前方または後方靴底部分の各々は、前方または後方靴底部分の他方の対応の鋸歯状面と係合するための鋸歯状面を備える。
【0024】
また別の実施例では、前方または後方靴底部分の各々は、前方または後方靴底部分の他方の対応の凹部と嵌合するための一つまたは複数の凸部を備えるため、前方および後方靴底部分が一緒に固定された延出形態にある時には靴底は剛性の単体靴底として作用するが、靴が折り返されると分離可能である。
【0025】
他の実施例では、靴を履くための延出状態に靴底部分がある時に、後方靴底の前方部分が前方靴底の後方部分と嵌合して前方および後方靴底部分の間にほぼ剛性のジョイントが設けられるように、前方および後方靴底が相互に嵌合するのに適している。
【0026】
他の様々な面は、請求項に記載される。
【0027】
本発明のより良い理解のためと、その実行方法を示すために、添付図面を参照して本発明による特定実施例、方法、プロセスを単なる例としてこれから説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の特定実施例による折畳み靴を片側からの図で概略的に示す。
【図2】靴の主な縦方向長さで二等分された図1の靴を破断図で概略的に示す。
【図3】靴が履かれた延出形状における折畳み靴を下側から概略的に示す。
【図4】靴の後方またはヒール部分を被覆するように靴の4個の足部分が後方へ折り畳まれた部分的折畳み形状の折畳み靴を概略的に示す。
【図5】部分的折畳み状態の折畳み靴を下側からの図で概略的に示す。
【図6】靴のインステップから見た完全折畳み状態の折畳み靴を概略的に示す。
【図7】かかとおよびつま先から見た折畳み状態の折畳み靴を概略的に示す。
【図8】湾曲ジョイントにより相互に接するのに適した前方および後方靴底部分を有する第二実施例折畳み靴を概略的に示す。
【図9】各靴底部分に複数の直立面を有するぎざぎざの鋸歯形状である前方および後方靴底部分の間のジョイントを有する第三実施例折畳み靴を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明者により考案された特定の態様を例としてこれから説明する。以下の説明では、充分に理解されるように多数の特定詳細を提示する。しかし、これらの特定詳細に限定することなく本発明を実施してもよいことは、当前記技術の熟練者には明らかであろう。他の例では、説明を不必要に不明瞭にすることのないように、周知の方法および構造については詳細に説明していない。
【0030】
本明細書では、靴、スリッパ、プリムソル、パンプス、ブーツ、サンダルなどを含む多様なタイプの履物を包括的に含むのに、「靴」の語が使用される。
【0031】
図1を参照すると、本発明の特定実施例による折畳み靴が片側からの斜視図で概略的に図示されている。
【0032】
折畳み靴は、履いている人のつま先エリアおよび母指球の下と足のインステップの前部の下とに位置する前方靴底部分100と、足のかかとエリアおよびインステップの後部の下に位置する後方靴底部分101と、前方および後方靴底部分100,101にそれぞれ接合された上方部分102と、前方および後方靴底部分を接続する可撓性接続靴底部分と、前方靴底部分および後方部分の上で靴の内側に置かれるとともに前方および後方靴底部分と上方部分102とに接合された靴ライナとを包含する。
【0033】
靴底がほぼ平坦状態である延出位置に靴がある時には、後方靴底の前方面と前方靴底の後方面とが相互に当接してほぼ連続した靴底を形成する。
【0034】
図2を参照すると、前方および後方靴底部分の各々が相互にほぼ同じ面に位置している延出形状での図1の折畳み靴が、片側からの破断図で概略的に示されている。接続部分200は、後方靴底部分101の前方部と前方靴底部分100の後方部とに接合され、靴が延出形態にある時にはほぼ平坦に位置する。内側ライナ201は、前方および後方靴底部分の上と、後方靴底部分101と前方部分100の各々の周縁範囲の上にも位置する上部102のエッジの上とに位置し、また可撓性接続部分200の上に位置する。
【0035】
可撓性接続部材は、インステップにおいて靴の幅にわたって延在し、前方および後方靴底部分と上部とを接続する。
【0036】
上部102は、可撓性ファブリック材料から形成されることが好ましい。軟質可撓性の皮革、布、可撓性プラスチック材料を含む多様なファブリック材料が使用できる。
【0037】
石、小石などといった地面の突出物から履いている人の足を保護するとともに、このような障害物および不規則な地面による圧力を分散するのに充分な剛性および耐久性を持つが、履いている人の足の形状に合っているという点で履いている人にある程度の履き心地を与えるのに充分な可撓性も備える、耐久性があり比較的剛性のプラスチック材料から、前方および後方靴底部分が形成されることが好ましい。
【0038】
快適で実用的なローヒール靴というこの靴の目的に従って、上部の材料は軟質で履き心地が良いが、雨、小石などに対する保護を与えるものであることが好ましい。靴底の材料は、屋外での使用に充分な耐久性を持って、凹凸面から足を保護するのに充分な剛性を与えるが、軽量でもあるべきである。
【0039】
図3を参照すると、図1および2の折畳み靴の下側からの図が示されている。靴底の全長のほぼ中央の位置で、前方靴底部分100は後方部分101と当接し、ここで靴底は前方靴底部分と後方靴底部分とを包含するため、前方および後方靴底の間の接触点は、履いている人の足のインステップの下に位置し、母指球およびつま先エリアから離間するとともに、ユーザのかかとが後方靴底部分へ最大圧力をかけるエリアから離れている。
【0040】
靴底は、接地部に模様または文字が成形されており、これは靴底の形状の一部として成形されるか、靴底の製造に使用されるプラスチック材料の着色に含まれる。
【0041】
靴底は、三次元の模様を有してもよく、図の例で前方靴底部分は、靴底の前方部分のエッジのすぐ内側に、靴底のエッジから約3〜5mmの間隔で延在する周溝300を有する。同様に、後方靴底部分も、模様および/またはくぼみを備えてもよい。図の例では、後方靴底部分のエッジから2〜5mmの位置で靴底の接地部の内側に延在する凹溝が設けられている。他の実施例では、靴底部材の製造プロセス中に、従来方法による他の靴底模様が靴底に形成されてもよい。
【0042】
図4を参照すると、部分的に折り畳まれた形態での図1から3の折畳み靴が片側からの概略図で図示されている。折畳み形態では、可撓性接続部分200および上方部分102による以外には後方靴底部分101に接続されていない靴底100の前方部は、後方靴底部分から離間するように折り畳まれて、前方靴底部分の後方エッジは後方靴底部分の前方エッジから離間する。後方靴底の前方部は、靴底のエッジから約2〜9mmの長さにわたって接続部材に接続されておらず、靴が折り畳まれると靴底部は分離する。同様に、前方靴底の後方部は、後方靴底の前方エッジから約2〜9mmの長さにわたって可撓性接続部材に接合されておらず、接続部材を引っ張ることなく靴を折り畳むことができる。
【0043】
図5を参照すると、部分的折畳み状態の靴の靴底が下側からの図で概略的に示されており、前方靴底部分の後方面が後方かかと靴底部分の前方面と当接せず、可撓性上部102と、前方および後方靴底部分の間の緩いヒンジとして作用する可撓性接続靴底部材200とにより、前方および後方靴底部分が相互に接続されるように、前方靴底部分100が後方靴底部分101から離れている。
【0044】
図6を参照すると、完全折畳み状態の靴が靴の正面からの図で概略的に図示されており、前方靴底部分100は後方靴底部分101とほぼ平行に並んで位置している。詳細に示されているのは、相互に適合して、延出形状では靴底の断面を横断する前方靴底部分の後方面600と後方靴底部分の前方面601とである。
【0045】
可撓性接続靴底部分200は、接着剤により後方靴底部分および前方靴底部分に接合されるか、製造中にプラスチック靴底材料に熱硬化される。可撓性接続靴底部分200は、靴底部分の後部の最前範囲には完全に接合されず、可撓性接続靴底部分200が後方靴底部分の前方部に未接合状態である約3〜8mmの間隙が存在する。同様に、前方靴底の最後部分は可撓性接続靴底部分200から約3〜8mmの長さだけ未接合状態にあるため、靴底が完全折畳み状態にある時には、可撓性接続部材200は完全に折り畳まれた靴の高さいっぱいに延在し、靴は引っ張られて延出位置へ戻ることがないため、容易にコンパクトに折り畳まれる。
【0046】
靴底の主な縦軸と平行な方向に見た時、前方靴底の最後面の輪郭形状は後方靴底の前方面の輪郭形状と適合するため、靴が延出位置にある時には、後方靴底の前方面と前方靴底の後方面とが相互に当接する極細ラインを除いて、靴底は連続した靴底部材に見える。
【0047】
図7を参照すると、完全折畳み状態の靴が靴の主な縦軸に沿った図で概略的に図示されている。靴のつま先部分とかかと部分の両方が端面図で描かれ、上部102の可撓性材料は緩く圧縮されて、靴はコンパクト形状に閉じられ、可撓性の上部はかかと靴底部分101と前部靴底部分100との間に挟まれている。弾性なしで容易に小型化され、折畳み状態の時に靴が開いてしまわないのに充分な柔軟性および可撓性を上部102の可撓性材料が持つことが理想的である。
【0048】
全般的に見て、ここで説明した一対の靴は、平均的な婦人用ハンドバッグまたはクラッチバッグにぴったりと収まるように折畳み式で小型であるべきであるため、夜の外出時にさりげなく持っていくことができ、クラッチバッグに収めるのに十分な軽量であるべきである。
【0049】
図8を参照すると、折畳み状態で正面から見た図に描かれた第二実施例では、前方および後方靴底部分800,801の間の境界がそれぞれ直線のラインまたはエッジである必要はないことを除いて、特徴はここに説明した他の実施例と同じである。別の実施例では、前方靴底部分の後方部分と後方靴底部分の前方部分との間の境界は、湾曲ラインであり、相互に当接または接触する一対の適合した波状または湾曲した輪郭面802,803が前方および後方靴底部分に設けられる。表面の形状のため使用時に前方および後方靴底部分が連結するように、湾曲面は延出状態では相互に連結するが、同時に靴の折畳みが容易である構造を持つ。
【0050】
図9を参照すると、第三実施例では、靴を履くため前方および後方靴底部分が延出状態にある時には、後方靴底の前方部分が前方靴底の後方部分と嵌合して前方および後方靴底部分の間にかなり剛性のジョイントが設けられるように、靴底部分は相互に嵌合するのに適している。前方靴底の後方エッジと後方靴底の前方エッジとの間の接触部で連結するように、前方および後方靴底の各々には、ぎざぎざのダイヤモンド形状のエッジが設けられている。ユーザが履く際の通常延出形態に靴がある時には、後方靴底の前部の周縁は直立方向に複数の面を包含し、これらの面は相互に角度を成している。同様に、延出した通常靴使用形態で前方および後方靴底が接触する時に前方靴底のものと接触する対応する一連の連結面を、前方靴底の後部の周縁を有する。後方靴底の前部は鋸歯構成に似ており、同様に、前方靴底部分の後部は、後方靴底の鋸歯と連結する適合鋸歯を有する。二つの二分割靴底の連結は靴底に剛性を加え、延出形態では、折畳みモードでは分離可能であるが延出連結モードでは単体成形靴底のように機能する二分割靴底が得られる。
【0051】
他の実施例では、前方靴底の後部および後方靴底の前部の面は、正弦曲線の波状面、靴の幅を横切る方向の溝付面、前方または後方靴底の一面の凸部が前方または後方靴底の他方の対応凹部と連結する凸部と凹部との組合せを含む、多様な連結または適合形状で設けられてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100 前方靴底部分
101 後方靴底部分
102 上方部分
200 接続部分
201 内側ライナ
300 周溝
600 後方面
601 前方面
800 前方靴底部分
801 後方靴底部分
802,803 輪郭面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の前つま先部からインステップ部まで延在する前方靴底部分と、
前記靴の最後部から前記インステップまで延在する後方靴底部分と、
を包含し、
前記靴がユーザにより履かれている時に、前記前方靴底部分と前記後方靴底部分とが協働してほぼ連続した靴底を形成し、
前記靴底が折畳み状態にある時に、前記前方靴底部分と前記後方靴底部分とが相互に分離可能である、
靴底を有する折畳み靴。
【請求項2】
前記インステップ部に位置する後方エッジを前記前方靴底部分が有し、
前記後方靴底部分の前記インステップ部に位置する前方エッジを前記後方靴底部分が有し、
前記靴がユーザの足に履かれる際の延出位置にある時に、前記後方靴底部分の前記前方エッジと前記前方靴底部分の前記後方エッジとが相互に当接する、
請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記前方靴底部分と前記後方靴底部分とが可撓性接続部材により接続される、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項4】
前記可撓性接続部材により前記前方靴底部分と前記後方靴底部分とが相互に分離して前記靴底が折畳み状態を取る、請求項3に記載の靴。
【請求項5】
前記後方靴底の前方部分に位置する前方面を前記後方靴底部分が有する、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項6】
前記前方靴底の後方部分に位置する後方面を前記前方靴底部分が有する、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項7】
前記前方靴底部分が後方面を包含し、
前記後方靴底部分が前方面を包含し、
前記靴が延出位置にある時に、前記後方靴底部分の前記前方面と前記前方靴底部分の前記後方面とが相互に当接し、
前記靴が延出していない折畳みまたは部分的折畳み状態にある時に、前記後方靴底部分の前記前方面と前記前方靴底部分の前記後方面とが相互に分離する、
前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項8】
前記前方靴底部分と前記後方靴底部分とが可撓性接続部材により接続され、前記可撓性接続部材が、前記後方靴底部分の前方エッジから2〜9mmの範囲の長さだけ前記後方靴底部分の周縁より内側に位置する前記後方靴底部分の位置に接合され、前記靴底が延出状態にある時に、前記接続部材と重複するが前記接続部材に接合されない前記後方靴底部分の範囲が存在し、
前記可撓性接続部材が、前記前方靴底部分の後部の付近だが2〜9mmの範囲の距離だけ前記前方靴底の周縁から内側に位置する位置で前記前方靴底部分に接合され、前記靴底が延出状態にある時に前記接続部材と重複しているが前記接続部材に接合されていない前記前方靴底部分の範囲が存在する、
前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項9】
前記前方靴底部分と前記後方靴底部分とが可撓性上部により相互に接続され、前記前方靴底部分が前記後方靴底部分と重複して前記可撓性上部が間に挟まれるように、前記靴が折り返されるのに充分な可撓性を前記可撓性上部が有し、
前記後方靴底部分の前方範囲の上と前記前方靴底部分の後方範囲の上とに延在する接続部材が、前記前方および後方靴底部分と前記可撓性上部とを接続する、
前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項10】
前記前方靴底部分が前記後方靴底部分と重複する折畳み状態を前記靴が取る時に、延出または部分的折畳み状態へ前記靴底が戻るのを防止する何らかの拘束手段を必要とせずに前記靴底が自然に折畳み状態に維持されるのに充分な可撓性を持つ可撓性接続部材により、前記前方靴底部分が前記後方靴底部分に接続される、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項11】
前記前方または後方靴底部分の各々が、前記前方または後方靴底部分の他方の対応の湾曲面と係合するための湾曲面を備える、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項12】
前記前方または後方靴底部分の各々が、前記前方または後方靴底部分の他方の対応の鋸歯状面と係合するための鋸歯状面を備える、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項13】
前記前方または後方靴底部分の各々が、前記前方または後方靴底部分の他方の対応の凹部と嵌合するための一つまたは複数の凸部を備える、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項14】
前記靴を履くための延出状態に前記靴底部分がある時に、前記後方靴底の前方部分が前記前方靴底の後方部分と嵌合して前記前方および後方靴底部分の間にほぼ剛性のジョイントが設けられるように、前記前方および後方靴底部分が相互に嵌合するのに適している、前出請求項のいずれか一つに記載の靴。
【請求項15】
実質的には添付図面を参照して説明された靴。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−516366(P2010−516366A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546802(P2009−546802)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003991
【国際公開番号】WO2008/093035
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509206567)ザ バックアップ シュー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】