説明

抽斗付きキャビネットとこれを有する洗面台

【課題】 中仕切り壁がなくてもガイドレールの取り付けとボックス本体の補強が可能な内部構造を採用し、ボックス本体の製作コストを低減する。
【解決手段】 本発明は、前後方向に手前に出し入れ自在な抽斗10,11を有する抽斗付きキャビネット2に関する。このキャビネット2は、下端部が底板22の前縁部に連結されかつ上端部が横梁部材(幕板)27に連結された状態で、ボックス本体8の前方開口部に配置された支柱29と、前端部が支柱29に連結されかつ後端部が後板25の内面に連結された状態で、ボックス本体8の内部に前後方向に延びて架設された、抽斗10,11の幅方向一方側を前後方向に移動自在に支持するガイドレール31Rとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、洗面台の構成要素として好適に使用可能である抽斗付きキャビネットと、このキャビネットを有する洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションや戸建て住宅の浴室に隣接する脱衣場等において、洗面台が使用されている。
この洗面台として、洗面カウンターを上部に有するボックス状の下部キャビネットと、洗面カウンターの後部に立設された横長のバックパネルと、このバックパネルの上面に取り付けられたミラーキャビネットとから主構成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記洗面台の構成要素となる下部キャビネットとして、ボックス本体の前方開口部の一部を開き扉で開閉自在に閉塞するとともに、その前方開口部の残りの部分に1つ又は複数の抽斗を前後方向に出し入れ自在に設けた、抽斗付きキャビネットがある。
かかる抽斗付きキャビネットでは、ボックス本体の内部に立設した中仕切り壁により、開き扉で閉塞される第1収納部と、抽斗を収納する第2収納部とにボックス本体の内部空間を幅方向で区画した内部構造になっている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−55113号公報(図1)
【特許文献2】実開昭60−13042号公報(第3図及び第4図)
【特許文献3】実開平5−60380号公報(図1〜図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の抽斗付きキャビネットにおいて、第1収納部と第2収納部とを区画する中仕切り壁は、その前端部が支柱に連結されかつ後端部がボックス本体の後板に連結されており、ボックス本体の強度を向上させる補強機能を有している。
従って、従来の抽斗付きキャビネットでは、上記中仕切り板に、抽斗の幅方向一方側を前後方向に移動自在に支持するガイドレールを取り付けており、当該中仕切り壁はガイドレールの取付機能も担っている。
【0006】
一方、この種の抽斗付きキャビネットにおいて、第1収納部と第2収納部とを区画する中仕切り壁を省くことができれば、ボックス本体の製作コストを低減することができる。
しかし、上述の通り、従来の抽斗付きキャビネットでは、中仕切り壁がボックス本体の補強機能とガイドレールの取付機能を併有しており、中仕切り壁を省略できない内部構造になっているので、中仕切り壁の省略によってボックス本体の製作コストを低減することができなかった。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、中仕切り壁がなくてもガイドレールの取り付けとボックス本体の補強が可能な内部構造を採用することにより、ボックス本体の製作コストを低減できる抽斗付きキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明は、前後方向に出し入れ自在な抽斗を有する抽斗付きキャビネットであって、次の(a)〜(d)の各部材を備えていることを特徴とする。
(a) 底板と、この底板の幅方向両端部から立設された左右一対の側板と、前記底板の後端部から立設されかつ前記両側板の後端部同士を繋ぐ後板とを有するボックス本体
(b) 前記側板の前端上部同士を繋ぐ横梁部材
(c) 下端部が前記底板の前縁部に連結されかつ上端部が前記横梁部材に連結された状態で、前記ボックス本体の前方開口部に配置された支柱
(d) 前端部が前記支柱に連結されかつ後端部が前記後板の内面に連結された状態で、前記ボックス本体の内部に前後方向に延びて架設された、前記抽斗の幅方向一方側を前後方向に移動自在に支持するガイドレール
【0009】
本発明によれば、抽斗の幅方向一方側を前後方向に移動自在に支持する上記ガイドレールが、その前端部が支柱に連結されかつ後端部が後板の内面に連結された状態で、ボックス本体の内部に前後方向に延びて架設されているので、当該ガイドレール自体がボックス本体の内部の補強梁として機能する。
このため、従来の抽斗付きキャビネットで採用されていた中仕切り壁がなくても、ガイドレールの取り付けとボックス本体の補強が可能な内部構造が得られる。
【0010】
(2) また、本発明において、前記抽斗が上下方向に複数段設けられている場合には、前記ガイドレールは、複数段の前記各抽斗に対応してそれぞれ設けられていることが好ましい。
この場合、複数段の各抽斗に対応してそれぞれ設けられたガイドレールにより、ボックス本体が複数の高さ位置で補強されることになるので、当該ガイドレールが1つしかない場合に比べて、ボックス本体の補強をより確実に行うことができる。
【0011】
(3) 更に、本発明において、前記ガイドレールは、前記ボックス本体の上下方向ほぼ中央部に対応する高さ位置に配置されていることが好ましい。
この場合、ガイドレールがボックス本体の上下方向ほぼ中央部を補強するので、ガイドレールによってボックス本体の上端部や下端部に偏った部分だけを補強する場合に比べて、ボックス本体の補強をより確実に行うことができる。
【0012】
(4) 本発明において、前記側板が、屈曲形成された補強枠部を前端部に有する薄板状パネルよりなる場合には、前端部が前記補強枠部に連結されかつ後端部が前記後板の内面に連結された状態で、前記側板の近傍で前後方向に延びて架設された、前記抽斗の幅方向他方側を前後方向に移動自在に支持する第2のガイドレールを、更に備えていることが好ましい。
【0013】
この場合、抽斗の幅方向他方側を前後方向に移動自在に支持する上記第2のガイドレールが、その前端部が補強枠部に連結されかつ後端部が後板の内面に連結された状態で、側板の近傍で前後方向に延びて架設されているので、当該第2のガイドレール自体がボックス本体の側板の補強梁として機能することになる。
このため、第2のガイドレールがない場合に比べて、ボックス本体の側板の曲げ剛性を増大せることができ、ボックス本体の補強をより確実に行うことができる。
【0014】
(5) また、本発明において、前記ボックス本体の前方開口部における前記抽斗以外の部分を開閉自在に閉塞する開き扉を更に備えている場合には、前記支柱は、前記開き扉の戸当たり部或いは当該開き扉を回動自在に支持する枢着部材の取付部となっていることが好ましい。
その理由は、上記支柱にはガイドレールの前端が連結され、これによって当該支柱の捩り剛性も増大しているから、かかる支柱を開き扉の戸当たり部や枢着部材の取付部として選定しても、開き扉の開閉時に生じる衝撃や、曲げモーメント及び捩れモーメントに十分に耐えうる耐久性を達成できると考えられるからである。
【0015】
(6) 本発明の抽斗付きキャビネットは、洗面台の構成要素として好適に使用することができ、この場合の洗面台は、上部に洗面カウンターを有する本発明の抽斗付きキャビネットと、このキャビネットの上方に設けられたミラーキャビネットとを備えている。
【発明の効果】
【0016】
以上の通り、本発明によれば、中仕切り壁がなくてもガイドレールの取り付けとボックス本体の補強が可能な内部構造となっているので、抽斗付きキャビネットのボックス本体の製作コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る洗面台を示し、(a)は同洗面台の正面図、(b)は同洗面台の側面図である。
【図2】上記洗面台の構成要素である抽斗付きキャビネットを示し、(a)は同キャビネットの平面図、(b)は同キャビネットの正面図である。
【図3】上記抽斗付きキャビネットから洗面カウンターを取り外した状態のボックス本体の斜視図である。
【図4】上記抽斗付きキャビネットの側面断面図である。
【図5】右側レールの取付部分の平面断面図である。
【図6】左側レールの取付部分の平面断面図(図3のA−A線断面図)である。
【図7】支柱を開き扉の支持部材として機能させる場合の、右側レールの取付部分の平面断面図である。
【図8】レール後端部の取付構造の変形例を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。なお、本実施形態では、本発明のキャビネットを洗面台の構成要素として適用した場合を想定している。
【0019】
〔洗面台の構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る洗面台1を示しており、(a)はその洗面台1の正面図、(b)はその洗面台1の側面図である。
本実施形態の洗面台1は、マンションや戸建て住宅の浴室に隣接する脱衣場に設置されるものであり、図1に示すように、上部に洗面カウンター3を有するボックス状の下部キャビネット2と、洗面カウンター3の後部に立設された横長のバックパネル4と、このバックパネル4の上側に設けられたミラーキャビネット5とから主構成されている。
【0020】
上記下部キャビネット2は、浴室で使用する洗剤や洗面具その他の備品を収納するためのものであり、床面の所要箇所に設置される。
本実施形態の下部キャビネット2は、抽斗10,11付きのキャビネットであり、ボックス本体8の前方開口部の一部を開き扉9で開閉自在に閉塞するとともに、その前方開口部の残りの部分に、複数(図例では2つ)の抽斗10,11が前後方向に出し入れ自在に設けられている。なお、このキャビネット2の具体的構造については後で詳述する。
【0021】
洗面カウンター3には、洗面ボウル12が一体成形されており、この洗面ボウル12は洗面カウンター3の幅方向両端部に渡るワイド設計になっている。
また、洗面カウンター3の後部に設置されたバックパネル4には、流量や水温を調節可能な水栓13と、この水栓13で調節された水を吐出させるシャワーヘッド14が設けられている。水栓13には、給水管と給湯管(図示せず)が繋げられており、シャワーヘッド14から吐出された湯水が洗面ボウル12で受けられて、ボックス本体8内の排水管15で排出されるようになっている。
【0022】
ミラーキャビネット5の前面には、中央とその左右両側とで幅サイズの異なる3枚の縦長の鏡16が設けられている。また、ミラーキャビネット5の内部には、各鏡16が扉となっている複数の収納ラックが設けられている。
この収納ラックにより、鏡16の裏側に化粧品や歯ブラシ等を置いておくことができ、利便性が高いものとなっている。また、鏡16の上側には、左右両側部に渡る横長の照明器具17が設けられている。この照明器具17は、鏡16の下方にあるスイッチ18を操作することによって点灯し、鏡16と正対する使用者を正面から照らすようになっている。
【0023】
〔抽斗付きキャビネットの構成〕
図2は、上記抽斗付きキャビネット2を示し、(a)は同キャビネット2の平面図、(b)は同キャビネット2の正面図である。また、図3は、抽斗付きキャビネット2から洗面カウンター3を取り外した状態のボックス本体8の斜視図である。
なお、以下において、ボックス本体8の内空部(収納部)のうち、正面から見て支柱29の右側の開き扉9に対応する部分を第1収納部20(図3参照)といい、それ以外の部分を第2収納部21(図3参照)という。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の抽斗付きキャビネット2(以下、単に「キャビネット2」ということがある。)は、前方が開口したボックス本体8と、このボックス本体8の上部に設けられた洗面カウンター3と、ホックス本体8の下部に設けられた設置台6とを備えている。
洗面カウンター3は、前記洗面ボウル12の後部側(図2(a)の上側)に配置された幅方向に長い接続部19を有しており、この接続部19にバックパネル4の下端部が接続される。
【0025】
また、洗面ボウル12の中央底部には排水口12Aが形成されており、この排水口12Aには封水トラップを有する前記排水管15が接続されている。この排水管15は、ボックス本体8内の第1収納部20に収納されている。
図2(b)に示すように、本実施形態のキャビネット2では、ボックス本体8の正面領域のうち、ほぼ右半分の領域(図3の第1収納部20)が開き扉9で開閉自在に閉塞され、残りのほぼ左半分の領域(図3の第1収納部21)に各抽斗10,11が手前に出し入れ自在に設けられている。
【0026】
図3に示すように、ボックス本体8は、底板22と、この底板22の幅方向両端部から立設された左右一対の側板23,24と、底板22の後端部から立設されかつ両側板23,24の後端部同士を繋ぐ後板25とを有している。
これらの板部材22〜25はいずれも薄板状の金属製パネルよりなり、このうち、側板23,24の前端縁部を含む外周縁部には、金属製パネルを断面ほぼコの字状の補強枠部26が屈曲形成されている。
【0027】
側板23,24の前端上部同士は、横梁部材として機能する幕板27で繋がっており、洗面ボウル12の張り出し部分を下方から支持する支持部材28が、当該幕板27に連結されている。
また、ボックス本体8の前方開口部には支柱29が配置されている。この支柱29は、断面が四角形、コの字状或いはC字状等に成形された金属製の中空棒状体よりなり、その下端部が底板22の前縁部に連結され、かつ、その上端部が幕板27の下端縁に連結されている。この支柱22は、開き扉9の戸当たり部として機能しており、開き扉9は、ばね付き蝶番等の枢着部材30(図2(b)参照)によって右側の側板23に回動自在に取り付けられている。
【0028】
〔ボックス本体の補強構造〕
ボックス本体8の第2収納部21には、上下2段の抽斗10,11をそれぞれ前後方向に移動自在に支持する、合計4本のガイドレール31L,31Rがボックス本体8の内部に前後方向に延びて架設されている。
この4本のガイドレール31L,31Rのうち、各抽斗10,11の幅方向右側を支持する2本の右側レール31Rは、その前端部が支柱29に連結され、かつ、その後端部が後板25の内面に連結されている。
【0029】
図4は、上記右側レール31Rの取付状態をより具体的に示すための抽斗付きキャビネット2の側面断面図である。また、図5は、右側レール31Rの取付部分の平面断面図である。
図4及び図5に示すように、各右側レール31Rの前端部は、具体的には、前ブラケット32を介して支柱29の中途部にビス止めによって連結されており、各右側レール31Rの後端部は、後ブラケット33を介して後板25の内面にビス止めによって連結されている。
【0030】
また、上下一対の右側レール31Rのうち、上側の右側レール31Rは、ボックス本体8の上下方向ほぼ中央部に対応する高さ位置に配置されている。なお、各右側レール31Rの前端部については、前ブラケット32を使用せずに、当該前端部を支柱29に直結することにしてもよい。
一方、各抽斗10,11の幅方向左側を支持する2本の左側レール31Lは、その前端部が側板23の補強枠部26に連結され、かつ、その後端部が後板25の内面に連結されている。
【0031】
図6は、左側レール31Lの取付部分の平面断面図、すなわち、上記左側レール31Lの取付状態をより具体的に示すための側板23の平面断面図(図3のA−A線断面図)である。
図6に示すように、各左側レール31Lの前端部は、前ブラケット32を介して、側板23の前縁を構成する補強枠部26にビス止めによって連結されており、各左側レール31Lの後端部は、後ブラケット33を介して後板25の内面にビス止めによって連結されている。なお、左右の各レール31L,31Rを取り付ける前ブラケット32と後ブラケット33は、上下反転することで左右両側に兼用できるようになっている。
【0032】
〔本実施形態の効果〕
上記構成に係る本実施形態の抽斗付きキャビネット2によれば、抽斗10,11の幅方向一方側(図例では右側)を支持するガイドレール31Rの前端部を支柱29に連結しかつ後端部を後板25の内面に連結することにより、ガイドレール31Rがボックス本体8の内部に前後方向に延びて架設されているので、当該ガイドレール31R自体がボックス本体8の内部の補強梁として機能する。
【0033】
このため、図3に示すように、従来必要とされていた中仕切り壁がない内部構造にすることができ、当該中仕切り壁がなくても、ガイドレール31Rの取り付けとボックス本体8の補強が可能な内部構造が得られる。
また、本実施形態の抽斗付きキャビネット2によれば、複数段(図例では2段)の各抽斗10,11に対応して複数設けられたガイドール31Rにより、ボックス本体8が複数の高さ位置で補強されているので(図4参照)、当該ガイドレール31Rが1つしかない場合に比べて、ボックス本体8の補強をより確実に行うことができる。
【0034】
また、上下2段のガイドール31Rのうち、上側のガイドレール31Rが、ボックス本体8の上下方向ほぼ中央部に対応する高さ位置に配置されているので、最も撓みが発生し易いボックス本体8の上下方向中央部を効果的に補強することができる。
このため、ガイドレール31Rによってボックス本体8の上端部や下端部に偏った部分だけを補強する場合に比べて、ボックス本体8の補強をより確実に行うことができる。
【0035】
更に、本実施形態の抽斗付きキャビネット2によれば、抽斗10,11の幅方向他方側(図例では左側)を支持するガイドレール31Lの前端部を補強枠部26に連結しかつ後端部を後板25の内面に連結することにより、ガイドレール31Lが側板24の近傍で前後方向に延びて架設されているので、当該ガイドレール31L自体がボックス本体8の側板23の補強梁として機能する。
このため、ガイドレール31Lがない場合に比べて、ボックス本体8の側板23の曲げ剛性を増大せることができ、ボックス本体8の補強をより確実に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態の抽斗付きキャビネット2によれば、ガイドレール31Rの前端部が支柱29に連結されており、これによって当該支柱29の曲げ及び捩り剛性も増大している。このため、支柱29を開き扉9の戸当たり部として選定しても、開き扉9の開閉時に生じる衝撃に十分に耐えうる耐久性を達成できるという利点もある。
【0037】
〔その他の変形例〕
今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、第2収納部21に上下2段の抽斗10,11を設けているが、この段数に特に制限はなく、3段以上であってもよい。この場合、抽斗の段数が増えるごとに、ガイドレール31Rによるボックス本体8の補強効果が増大する。
【0038】
もっとも、抽斗は少なくとも1つあればよく、第2収納部21に抽斗10を1つしか設けない場合には、その抽斗に対応するガイドレール31Rを、補強効果が最も顕著に得られるボックス本体8の上下方向ほぼ中央部に配置することが好ましい。
また、第2収納部21に、抽斗用ではない別の収納空間を形成し、この収納空間を小さめの開き扉(図示せず)で開閉自在に閉塞することにしてもよい。
【0039】
上記実施形態では、支柱29が開き扉9の戸当たり部になっているが、逆に、この支柱29に、枢着部材30を介して開き扉9を回動自在に取り付けてもよい。
図7は、支柱29を開き扉9の支持部材として機能させる場合の、右側レール31Rの取付部分の平面断面図である。この場合、支柱29が開き扉9の戸当たりとして機能する場合(図5の場合)よりも高い強度が要求されるので、支柱29の前後方向の断面高さが図5の場合よりも大きい寸法になっている。
【0040】
もっとも、本発明では、ガイドレール31Rの前端部が支柱29に連結されることで当該支柱29の曲げ及び捩り剛性が増大しているので、支柱29の断面寸法をそれほど大きく設定する必要はなく、支柱29を開き扉9の枢着部材30の取付部として選定しても、開き扉9の開閉時に生じる曲げモーメントや捩れモーメントに十分に耐えうる耐久性を達成できる。
【0041】
上記実施形態では、各レール31L、31Rの前端部を、前ブラケット32を介して支柱29や補強枠部26に取り付けているが、前ブラケット32を使用せずに、各レール31L,31Rの前端部を直接支柱29や補強枠部26に取り付けることにしてもよい。
また、例えば図8に示すように、右側レール31R(左側レール31Lの場合も同様)の後端部を直角に折り曲げることにより、後壁25に直接ビス止め可能な取付片34を右側レール31Rに一体に形成することにしてもよい。この場合、後ブラケット33が不要となるので、部品点数を低減することができる。
【0042】
上記実施形態では、支柱29の上端部を幕板27に取り付けているが、幕板27がないタイプのキャビネット2の場合には、その幕板27に代替する別の横梁部材に支柱29の上端部を取り付けるようにすればよい。
また、上記実施形態では、ボックス本体8の構成部材(底板22、側板23,24及び後板25)がすべて金属製パネルで構成されているが、その構成部材は木製パネルであってもよい。
【0043】
更に、上記実施形態では、抽斗付きキャビネット2を洗面台1に使用しているが、当該キャビネット2をキッチンユニットの下部キャビネットとして使用することもできる。もっとも、この場合には、洗面カウンター3の代わりに流し台がボックス本体8の上部に設けられる。
【符号の説明】
【0044】
1 洗面台
2 抽斗付きキャビネット
3 洗面カウンター
8 ボックス本体
9 開き扉
10 抽斗(上側)
11 抽斗(下側)
12 洗面ボウル
20 第1収納部
21 第2収納部
22 底板
23 側板(左側)
24 側板(右側)
25 後板
26 補強枠部
27 幕板(横梁部材)
29 支柱
31L 左側レール(第2のガイドレール)
31R 右側レール(第1のガイドレール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に手前に出し入れ自在な抽斗を有する抽斗付きキャビネットであって、
底板と、この底板の幅方向両端部から立設された左右一対の側板と、前記底板の後端部から立設されかつ前記両側板の後端部同士を繋ぐ後板とを有するボックス本体と、
前記側板の前端上部同士を繋ぐ横梁部材と、
下端部が前記底板の前縁部に連結されかつ上端部が前記横梁部材に連結された状態で、前記ボックス本体の前方開口部に配置された支柱と、
前端部が前記支柱に連結されかつ後端部が前記後板の内面に連結された状態で、前記ボックス本体の内部に前後方向に延びて架設された、前記抽斗の幅方向一方側を前後方向に移動自在に支持するガイドレールと、
を備えていることを特徴とする抽斗付きキャビネット。
【請求項2】
前記抽斗が上下方向に複数段設けられており、前記ガイドレールは、複数段の前記各抽斗に対応してそれぞれ設けられている請求項1に記載の抽斗付きキャビネット。
【請求項3】
前記ガイドレールは、前記ボックス本体の上下方向ほぼ中央部に対応する高さ位置に配置されている請求項1又は2に記載の抽斗付きキャビネット。
【請求項4】
前記側板は、屈曲形成された補強枠部を前端縁部に有する薄板状パネルよりなり、
前端部が前記補強枠部に連結されかつ後端部が前記後板の内面に連結された状態で、前記側板の近傍で前後方向に延びて架設された、前記抽斗の幅方向他方側を前後方向に移動自在に支持する第2のガイドレールを、更に備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の抽斗付きキャビネット。
【請求項5】
前記ボックス本体の前方開口部における前記抽斗以外の部分を開閉自在に閉塞する開き扉を更に備えており、
前記支柱は、前記開き扉の戸当たり部或いは当該開き扉を回動自在に支持する枢着部材の取付部となっている請求項1〜4のいずれか1項に記載の抽斗付きキャビネット。
【請求項6】
上部に洗面カウンターを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の抽斗付きキャビネットと、このキャビネットの上方に設けられたミラーキャビネットとを備えていることを特徴とする洗面台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−92590(P2011−92590A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251387(P2009−251387)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000108661)タカラスタンダード株式会社 (51)
【Fターム(参考)】