説明

拡大用アタッチメント

【課題】カメラに対して後付けする拡大用アタッチメントを、画像のない部分を含まずに高倍率の画像を得られるようにする。
【解決手段】拡大用アタッチメントは、拡大を行う対物レンズ21A、対物レンズ21Aを通過した光を平行光にするフィールドレンズ21B、及びその平行光をカメラのレンズ42に集束させる集束レンズ21Cを持つ。集束レンズ21Cを通過した光は、カメラが備えるカメラレンズ42の瞳42Xに、カメラレンズ42の視野角を超える立体角で、カメラレンズ42の瞳に集束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに取付けて用いられる拡大用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話の普及には目を見張るものがある。その要因の一つとなっているのが、カメラ付き携帯電話の流行である。
【0003】
カメラ付き携帯電話は、文字通りカメラを備えた携帯電話である。かかるカメラ付き携帯電話のカメラは、一般的な携帯電話のケースに、通常であればCCD(charge coupled device)によって形成される撮像手段を内蔵させるとともに、上記ケースの所定の位置にケースから露出するような状態で上記撮像手段に像光を導くカメラレンズを設けた構成とされている。
カメラ付き携帯電話は、このような構成によって、写真撮影を行えるようになっている。
【0004】
カメラ付き携帯電話は、持ち歩かれる場合の多い携帯電話による手軽な写真の撮影を可能とする、という機能を備えている。カメラ付き携帯電話は、また、カメラ付き携帯電話で撮像した写真を、携帯電話が備えている電子メール機能によって実現される電子メールに添付して他者の携帯電話等に他の機器の力を借りずにそのまま送信できる、という一般のカメラにはない機能を備えている場合が多い。これらの特徴的な機能は、一般的なカメラが持たない新たな楽しさを提供するものである。
このような特徴的な機能を持つことで、カメラ付き携帯電話は、ユーザの遊び心を刺激することに成功し、写真を撮る機会の多い、特に若年層に広く普及するに至っている。
【0005】
このような現状を見れば、カメラ付き携帯電話の更なる普及を図ろうとするには、ユーザの遊び心を更に刺激する何かがあればいいということを理解できる。
このような点を考慮し、カメラ付き携帯電話に、ユーザの遊び心を更に刺激する機能を与えるための研究が行われている。
例えば、カメラ付き携帯電話で撮像できる画像は、以前は静止画だけだったが、現在では動画やコマ送りの画像も撮像できるようになってきている。また、カメラ付き携帯電話に内蔵したメモリに所定の画像を記憶させておき、これとカメラ付き携帯電話で撮像した画像を合成するという機能が、最近のカメラ付き携帯電話には与えられている。
【0006】
ユーザの遊び心を刺激するための一つの方策に、カメラ付き携帯電話で撮像できる画像を変化させるというものがある。その最も簡単なものは撮像できる画像の倍率を上げることである。
望遠鏡や、顕微鏡と呼べる程度の倍率の画像を撮像できるようになれば、カメラ付き携帯電話は持ち運びが簡易な望遠鏡、或いは顕微鏡になり、その用途は従来にはないものとなると予想される。
しかしながら、高倍率の画像をカメラ付き携帯電話で撮像できるようにするのは、それほど簡単ではない。
【0007】
一般に、カメラ付き携帯電話に設けられているカメラは、主な用途である人物や景色の撮像を無難に行えるよう、カメラの備えるレンズの中でも比較的広角と呼べる視野角(一般には、60°〜70°である。)を持ったレンズを備えている。
その広角な視野角を持つレンズに、他の一般的には拡大レンズである対物レンズを介して像光を入れると、カメラ付き携帯電話のカメラのレンズの視野角の一部に、像光の導かれない領域ができてしまう。この部分は、像光が導かれないので、最終的な画像では黒く表示されるから、最終的な画像は黒い縁を有するものとなってしまう。つまり、カメラ付き携帯電話のカメラのレンズの前方に対物レンズをただ配するのみでは適切な撮像を行えない。
また、顕微鏡一般にいえることなのであるが、カメラ付き携帯電話のカメラを顕微鏡として使用する場合にも、焦点を撮像対象物に合わせやすくするために焦点深度を深くしてやる必要が生じる。この場合には、絞りを用いて撮像対象物からの像光を細く絞ることが必要となる。この場合、対物レンズを経てカメラ付き携帯電話のカメラのレンズに入る光の立体角は小さくなるので、カメラ付き携帯電話のカメラを顕微鏡として使用する場合には特に、上述した最終的な画像の中に黒い領域が生じるという問題が発生し易くなる。
他方、カメラ付き携帯電話以外の固定のレンズを備えたカメラに対物レンズを追加して画像を撮像したとしても、その一部に黒い部分を持った画像しか撮像できないという上述の現象は十分に起こりうる。
つまり、既存のカメラが備えるレンズの前に他の対物レンズを追加して一般には倍率を上げた画像を撮像する場合に、対物レンズを通した像光をカメラが本来的に備えていたレンズに単に導くだけでは、その一部に黒い部分を持つ(一般的には、黒い縁取りを持った)画像しか撮像できない、という上述の問題は、カメラ付き携帯電話に限らず、カメラ一般のものであるといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、カメラ付き携帯電話をはじめとするカメラで、そのカメラが本来撮像することのできる倍率よりも高い倍率で撮像を行えるようにするための拡大用アタッチメントであって、画像のない黒い部分を含まないような画像を得られるようなものを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、カメラ付き携帯電話をはじめとするカメラで、そのカメラが本来撮像することのできる倍率よりも高い倍率で撮像を行えるようにするための拡大用アタッチメントについて研究を行い、画像のない黒い部分を含まない画像を得られる以下のような拡大用アタッチメントを想到するに至った。
【0010】
本発明による拡大用アタッチメントは、カメラ付き携帯電話その他のカメラに取付けて用いられるものであり、そのカメラで撮像する画像を拡大するための拡大用アタッチメントである。
この拡大用アタッチメントは、前記カメラに対して着脱自在に固定される本体と、前記本体に取付けられた対物レンズと、集束レンズと、を備えている。
前記対物レンズ、及び前記集束レンズは、前記本体が前記カメラに取付けられたときに、前記対物レンズは、撮像を行う対象となる撮像対象物からの像光を通過させることで、前記像光を拡大するように、前記集束レンズは、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を、カメラのレンズの視野角と略同じかそれ以上の立体角で前記レンズの瞳に集束させるように、それぞれ構成されている。
この拡大用アタッチメントは、拡大画像を撮像するための対物レンズを備えており、また、上述の如き集束レンズを備えている。この集束レンズは、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を、カメラのレンズの視野角と略同じかそれ以上の立体角で前記レンズの瞳に集束させるものであるから、カメラのレンズの外周部分に像光のない部分を実質的に作らない。したがって、この拡大用アタッチメントを用いれば、既存のカメラを用いて、高倍率の画像を、画像のない黒い部分を含まない状態で撮像できるようになる。
【0011】
本発明の拡大用アタッチメントは、前記本体に取付けられるフィールドレンズを備えていてもよい。
このフィールドレンズは、前記本体が前記カメラに取付けられたときに、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光が、前記集束レンズの全体に入るように調節するようなものとされる。このとき、前記集束レンズは、前記フィールドレンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を、前記レンズの視野角と略同じかそれ以上の立体角で前記レンズの瞳に集束させる。
フィールドレンズは、対物レンズを通過した光を効率よく、或いは無駄なく集束レンズへ導けるように機能する。つまり、フィールドレンズがない場合、対物レンズを通過した像光は、集束レンズを通過する際におけるその径が集束レンズの径よりもずっと大きくなっていることがある。このような場合には、集束レンズを通過してカメラのレンズに集められる像光は、対物レンズを通過した像光の一部だけとなってしまうので、最終的にカメラで得られる画像の明るさが不足してしまう。フィールドレンズを持つ拡大用アタッチメントであれば、最終的に得られる画像を明るくできるようになる。
本発明の拡大用アタッチメントの前記本体には絞りが取付けられていてもよい。この絞りは、前記本体が前記カメラに取付けられたときに、前記像光を絞って焦点深度を深くするように構成される。かかる絞りは、この拡大用アタッチメントを取付けたカメラを顕微鏡として使用しようとする場合には、実際上必要となる場合が多い。本発明の拡大用アタッチメントにおける絞りは、拡大用アタッチメントが使用される状態のときに、フィールドレンズよりもレンズ寄りに配されることはない。もっとも、対物レンズよりカメラ寄りに配されること、対物レンズよりも撮像対象物寄りに配されることは、いずれもありうる。
この拡大用アタッチメントにおける集束レンズは、フィールドレンズを通過した像光をカメラが備えるレンズに、当該レンズの視野角と同じかそれ以上の立体角をもって集束させるようになっている。つまり、拡大用アタッチメントを用いて高倍率の画像を撮像する場合には、カメラのレンズの視野角の中に像光の導かれない部分が存在しなくなる。これにより、この拡大用アタッチメントで撮像される高倍率の画像は、黒い縁取りのような、画像のない黒い部分を含まないものとなる。
【0012】
集束レンズは、上述のようなものであればその具体的な構成を問わない。
集束レンズは、例えば、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光が、前記カメラが備える前記レンズの瞳の範囲内に、当該レンズの視野角と略同じ立体角をもって集束するように構成されていてもよい。このような集束レンズを持つ拡大用アタッチメントであれば、それを用いることで、無駄になる像光を減らせるので、明るい画像を得るのが比較的容易になる。
【0013】
フィールドレンズは、上述のようなものであればその具体的な構成を問わない。
フィールドレンズは、例えば、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を平行光とするようなものとすることができる。
なお、本発明の拡大用アタッチメントを取付けたカメラが望遠鏡として使用されるのであれば、このフィールドレンズは不必要な場合が多い。本発明の拡大用アタッチメントを取付けたカメラが顕微鏡として使用される場合には、対物レンズを通過した光はその径が大きくなっていくが、本発明の拡大用アタッチメントを取付けたカメラが望遠鏡として使用される場合には、対物レンズを通過した光は径がそのままか小さくなっていく場合がほとんどなので、フィールドレンズを用いずとも、像光が無駄になることが少ないからである。
【0014】
なお、本発明における対物レンズ、フィールドレンズ、集束レンズはともに、単一のレンズにより構成されていてもよいし、複数のレンズにより構成されていてもよい。単一のレンズと等価、又は略等価の複数のレンズを用いることは、広く行われているので、そのような周知技術を応用して単一のレンズを複数のレンズに置き換えればよい。対物レンズ、又はフィールドレンズが複数のレンズにより構成されている場合、絞りは、対物レンズを構成する複数のレンズの間、或いはフィールドレンズを構成する複数のレンズの間に設けられる場合がある。
【0015】
本発明の拡大用アタッチメントにおける本体は、カメラに対して着脱自在に固定できる必要がある。この場合、この本体自体にカメラに着脱自在に固定可能な手段を設けることも可能である。また、本体を、前記カメラに着脱自在に固定可能な固定具に対して着脱自在に固定可能にしておき、前記固定具を介して前記カメラに固定されるようにすることも可能である。
カメラには非常に多くの種類がある。カメラ付き携帯電話は特にそうである。また、カメラ付き携帯電話は買い換えが頻繁に行われがちである。
このような事情を考えると、拡大用アタッチメントにおけるカメラとの固定をなすための手段に何らかの工夫をしておかないと、拡大用アタッチメントを取付けるべきカメラ(或いはカメラ付き携帯電話)が別の物に代わったときに、拡大用アタッチメントのカメラへの固定を行えなくなるおそれがある。様々なカメラに拡大用アタッチメントを取付けるには、カメラに対する着脱自在な固定を行うための別個の手段をカメラ毎に準備しておく必要があるが、この手段が本体に固定されていると、別個のカメラに拡大用アタッチメントを取付けるには、拡大用アタッチメント全体の買い替えが必要になってしまう。上述の如き固定具を用い、これを介して拡大用アタッチメントがカメラに固定される上述の後者の構成を採用しておけば、拡大用アタッチメントと固定具との固定をなすための構造が同一である限り、固定具の買い替えだけで、別個のカメラに拡大用アタッチメントを取付けられるようになるから、ユーザの経済的負担を抑えられるようになる。
【0016】
前記対物レンズは、前記本体から着脱自在に構成してもよい。
或いは、本発明の拡大用アタッチメントの本体を、2つの部分に分離して設け、そして、本体の2つの部分は互いに着脱自在にし、且つ前記本体の2つの部分の一方に前記対物レンズを、前記本体の2つの部分の他方には前記集束レンズをそれぞれ固定するような構成にしてもよい。
拡大用アタッチメントを用いて撮像する場合において、撮像する画像の倍率を変えたい場合には、対物レンズを変更する必要がある。しかしながら、そのような場合であっても、集束レンズは変更の必要がない。上述のように、本体を分離可能としておけば、上述した本体の他方の部分を共通にするとともに、上述した本体の一方の部分を複数のものとする(異なる対物レンズを有する複数のものとする)ことができる。このようにすれば、拡大用アタッチメントを用いて様々な画像を撮像するときに必要なコストを下げることができるようになる。なお、この場合、絞りがあるのであれば、それは、上述した本体の一方の部分に取付けられる。
また、前記対物レンズ及び前記フィールドレンズは、前記本体から着脱自在に構成されていてもよい。この場合、前記対物レンズ及び前記フィールドレンズは一体とされていてもよい。
或いは、本発明の拡大用アタッチメントの本体を、2つの部分に分離して設け、そして、本体の2つの部分は互いに着脱自在にし、且つ前記本体の2つの部分の一方に前記対物レンズ及びフィールドレンズを、前記本体の2つの部分の他方には前記集束レンズをそれぞれ固定するような構成にしてもよい。こうすれば、上述の場合と同様に、拡大用アタッチメントを用いて様々な画像を撮像するときに必要なコストを下げることができるようになる。
【0017】
本発明の拡大用アタッチメントは、撮像を行うときに、撮像対象物に照明光を照射できる照明を備えていてもよい。
高倍率の撮像を行うには照明が不可欠である。このような照明を備える拡大用アタッチメントであれば、他の照明器具を用いずに手軽に高倍率の画像の撮像を行えるようなものとなる。これは、常に同じ条件下での撮像が必要とされる場面で有効である。
また、高倍率の画像を撮像する場合には、倍率の大小に応じて照明を変えることが必要になる。拡大用アタッチメントに、上述の如き照明が備えられていれば、その照明をその拡大用アタッチメントで撮像する際に用いるに相応しいものとしておくことにより、その自前の照明によって適切な撮像を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1(a)】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントに取付けられるカメラ付き携帯電話のケースの開いた状態を示す斜視図。
【図1(b)】図1(a)に示したカメラ付き携帯電話のケースの2つの部分をユニバーサルジョイントの部分で捻った状態を示す図。
【図1(c)】図1(a)に示したカメラ付き携帯電話のケースの閉じた状態を示す図。
【図1(d)】図1(a)に示したカメラ付き携帯電話のケースが閉じ、且つ撮像を行うために蓋の開いた状態を示す図。
【図2】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントの各部を示す図。
【図3】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントのベースの一例を示す図。
【図4】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントの拡大部を示す図。
【図5】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントの顕微鏡としての使用状態を示す図。
【図6】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントの手持ちタイプの顕微鏡としての使用状態を示す図。
【図7】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントを使用して撮像を行う場合の像光の振舞いを示す図。
【図8】本発明の実施形態によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントを使用して撮像を行う場合の像光の振舞いを示す図。
【図9】本発明の変形例1によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントを使用して撮像を行う場合の像光の振舞いを示す図。
【図10】本発明の変形例2によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントを使用して撮像を行う場合の像光の振舞いを示す図。
【図11】本発明の変形例3によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントにおける鏡筒を示す透視斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい一実施形態を説明する。
本実施形態における拡大用アタッチメントは、以下のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の一部をなす。拡大用アタッチメントは、カメラに対して取付けた状態で用いるものであるが、この実施形態における拡大用アタッチメントが取付けられるカメラは、カメラ付き携帯電話40(図1(a)参照のこと。)となっている。
【0020】
カメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、カメラ付き携帯電話40と組み合わせて用いられる。
この実施形態におけるカメラ付き携帯電話40は、図1(a)に示したように、ケースを備えている。ケースは、カメラの設けられた部分40Aと、設けられていない部分40Bとに分けられており、両者をユニバーサルジョイントにより接続してなる。このケースは、ユニバーサルジョイントの部分で二つ折りにできるようにされ、必要に応じて開閉できるようになっている。また、このケースは、ユニバーサルジョイントを軸として2つの部分の一方を他方に対して捻ることができるようにされている。
このカメラ付き携帯電話40は、この実施形態では、マイクロフォンとスピーカとそれらを制御する回路によって実現されるごく一般的な電話機能に加えて、電子メールを送受信するためのメール機能を少なくとも備えている。これらの機能を実現するため、このカメラ付き携帯電話40は、ディスプレイ41及び図示しないアンテナを備え、CPU、ROM、RAM、インタフェイスなどのハードウエアを内蔵しているが、これらはこの種のカメラ付き携帯電話に限らず、携帯電話に一般的なものなので、その説明を省略する。
なお、ディスプレイ41は、カメラ付き携帯電話40を構成する他方のケース40Bの前面側(カメラ付き携帯電話40を閉じた際の外側)に設けられている。一方のケース40Aと他方のケース40Bは、図1(b)に示すように、他方のケース40Bが、一方のケース40Aと接続された一端側を中心として回転できるように接続されており、カメラ付き携帯電話40を閉じた状態においても、ケースの一方40Aを他方40Bに対して180°捻っておくことで、ディスプレイ41を外部から視認できるようになっている。
カメラ付き携帯電話40は、また、カメラを備えている。カメラは、図示しない撮像素子と、カメラレンズ42とを備えている。
撮像素子は、カメラレンズ42を介して撮像対象物から導かれた像光による撮像を行うものであり、この実施形態では、CCDにより構成されている。カメラレンズ42は、複数のレンズの組み合わせによって構成されていても構わないが、この実施形態では、一つのレンズにより構成されている。このカメラ付き携帯電話40のカメラの撮像素子で撮像される画像は、カメラ付き携帯電話40単独で撮像が行われる場合には、縮小的画像となるようにされている。なお、ここでいう縮小的画像とは、撮像素子よりも大きなものを縮小して撮像素子へと写りこませるものをいう。
カメラレンズ42は、図1(d)に示すように、カメラ付き携帯電話40を構成する一方のケース40Aの背面側(カメラ付き携帯電話40を閉じた際の外側)に設けられている。このカメラレンズ42は、常に露出しているのではなく必要に応じて露出するようになっている。この実施形態におけるカメラ付き携帯電話40には、カメラレンズ蓋43が取付けられており、図1(c)に示すように、カメラを使用しないときには、このカメラレンズ蓋43がカメラレンズ42を覆い隠すようになっている。このカメラレンズ蓋43は、ケース40Aに対してスライド可能とされており、カメラを使用するときには、これをカメラ付き携帯電話40の長さ方向にスライドさせることにより、カメラレンズ42を露出させることができるようになっている。
また、カメラレンズ42の傍には、カメラによる撮像が行われるときに撮像対象物に照明光を照射することのできるカメラ照明44が設けられている。
このようなカメラ付き携帯電話40としては、例えば、株式会社NTTドコモにより販売されている携帯電話である”ムーバSO505i”(商標)を用いることができる。
【0021】
このようなカメラ付き携帯電話40に取付けて用いるカメラ付き携帯電話用アタッチメント1を、図2ないし図5に示す。
カメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、これをカメラ付き携帯電話40と組み合わせた状態で、カメラ付き携帯電話40のカメラが備える撮像素子にて撮像される画像を拡大画像とするものである。この実施形態では、カメラ付き携帯電話40は、顕微鏡として使用されることになる。
【0022】
このカメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、図2の斜視図に示すように、カメラ付き携帯電話40を着脱自在に固定するベース10と、撮像対象物を拡大する拡大部20と、ベース10を支持するスタンド30と、を備えている。
ベース10と、拡大部20と、スタンド30は、一体にされていても構わないが、この実施形態では、ベース10と拡大部20、およびベース10とスタンド30は、着脱自在に構成されている。
なお、拡大部20が本発明における拡大用アタッチメントに当たる。
【0023】
図2(a)は、上述のカメラ付き携帯電話40を着脱することができるベース10を示している。
ベース10は、閉じた状態のカメラ付き携帯電話40と固定可能なものであり、本発明における固定具の一例に相当するものである。
このベース10は、断面略L字状となるように曲折された板状体の幅方向の両端部にリブを設けた形状となっている。
ベース10の幅は、カメラ付き携帯電話40の幅よりも若干広い程度となっている。
ベース10のうち最も面積が広い部分である底面板10Aには、ベース10にカメラ付き携帯電話40を取付けた際に、カメラレンズ42が対応する位置にカメラ孔11が、カメラ照明44と対応する位置にライト孔12が、それぞれ設けられている。
これらカメラ孔11及びライト孔12はカメラ付き携帯電話40をベース10に取付けた際に、カメラレンズ42とカメラ照明44を底面板10Aから露出させるためのものである。本実施形態では、カメラ孔11に、後述する拡大部20の突出部28を嵌め込むことによって、拡大部20のベース10に対する着脱自在な取付けが実現されるようになっている。
この実施形態におけるカメラ孔11は、略円形とされている孔11aに、切り欠き部11bが等間隔をあけて三箇所に設けられた歯車のような形状になっている。各切り欠き部11b間の略中央には、直方体形状の係止片16が孔11aに接するようにして設けられている。
また、ライト孔12は、円形とされている。
【0024】
カメラ孔11の径はカメラレンズ42の視野を確保するに充分なものとされているが、カメラレンズ42の視野を確保でき、且つカメラ照明44からの光の蹴られが生じないのであれば、カメラ孔11はその大きさ、形状を自由に変更することができる。また、ライト孔12は円形とされているが、カメラ照明44からの光の蹴られを生じないのであれば、ライト孔12の大きさ、形状は自由に選択することができる。
更にいえば、カメラ孔11とライト孔12は、一連の孔であっても構わない。
【0025】
ベース10の底面板10Aと連なる矩形の板状の部分である背面10Bの外側には、直方体形状の部材13が設けられており、そしてこの直方体部材13には、底面板10Aの長さ方向に沿う向きでカメラネジナット14が穿設されている。直方体部材13は、背面10Bの厚さを増してカメラネジナット14を設けることができるだけの厚みを作り出すためのものである。
なお、本願明細書において「カメラネジナット」の語は、一般的にカメラネジと呼ばれているボルト、ナットのうちのナットを意味し、「カメラネジボルト」の語は、一般的にカメラネジと呼ばれているボルト、ナットのうちのボルトを意味するものとする。カメラネジは、一般的には、1/4インチネジ(1/4 20UNCの規格)である。
【0026】
ベース10の底面板10Aの両側方には、カメラ付き携帯電話40を着脱可能に固定するための2本の弾性片15が設けられている。弾性片15は、底面板10Aの幅方向の両側方に、底面板10Aの長さ方向での位置が一致するようにして設けられている。これには限られないが、弾性片15は、弾性を有する樹脂によって形成された細い板状体であり、底面板10Aから垂直な方向に延設され、且つその先端を相手側の弾性片15の方向に向けて曲折された形状となっている。
なお、この弾性片15は、ベース10の底面板10Aの周縁上に少なくとも一つ設けられていればよい。係止力を上げるためには、複数設けることもできる。
弾性片15の曲折された部分と底面板10Aとの間に、カメラ付き携帯電話40を、カメラレンズ42が設けられている面を底面板10Aに向けて嵌め込むことによって、ディスプレイ41を、底面板10Aの反対側に露出させ、かつカメラレンズ42を底面板10Aのカメラ孔11から露出させた状態で、ベース10にカメラ付き携帯電話40を取付けることができる。この状態を、図5に示す。かかる取付けは、着脱自在なものである。
なお、ベース10は、上述のものに限られない。カメラが使えるような状態でカメラ付き携帯電話40との固定を行え、且つ拡大部20との着脱自在な固定を行えるようになっていればどのようなものでも構わない。また、ベース10は、例えば磁力により、カメラ付き携帯電話40に固定できるようなものであってもよい。
【0027】
なお、本実施形態のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、異なる形状のベース10を複数有している。これは、異なるカメラ付き携帯電話40へのベース10の固定を可能にするためである。
図3は、二つ折りタイプではないカメラ付き携帯電話60に対応するベースの一例を示したものである。このベース70は、基本的構成において上記に説明したベース10と変わらないが、底面板及び弾性片75の形状や、カメラ孔及びライト孔の位置、形状などが、カメラ付き携帯電話60に適合するように構成されている。
本実施形態のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、このような異なる形状のベースを複数有しているので、使用するカメラ付き携帯電話に合わせて対応するベースに付け替えることができ、複数のカメラ付き携帯電話に対応することができる。
【0028】
図2(b)は、本実施形態におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の拡大部20を示しており、図4は、その一部透視図を示している。
この拡大部20は、鏡筒22を有するレンズケース23、撮像対象物へ所定の照明光を照射する照明24、照明電源25、これらを内包するケーシング26、および当接部27を有している。
【0029】
ケーシング26は、上述のように、レンズケース23、照明24、および照明電源25を内包するものであり、本実施形態では、樹脂製である。
このケーシング26は、その一端側が開口しており、略直方体とされた筒状体である。
このケーシング26の側面には、照明電源25の電源スイッチ29が設けられており、この電源スイッチ29をユーザが切り換えることによって、照明電源25の点灯状態を制御できるようになっている。
【0030】
レンズケース23は、上述のように、鏡筒22を有する。
鏡筒22の内部には、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、及び集束レンズ21Cが収納されている。
これら対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、及び集束レンズ21Cはそれぞれ、この実施形態では1枚のレンズにより構成されているが、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、及び集束レンズ21Cの少なくとも一つが、複数のレンズを組合わせて構成されたものとなっていても構わない。対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、又は集束レンズ21Cが複数のレンズで構成されるとき、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、又は集束レンズ21を構成する複数枚のレンズは、密着していても、隙間を空けて配列されていても構わない。
対物レンズ21Aは、撮像対象物からの像光を通過させることで、像光を拡大するものである。これにより、カメラは、拡大した画像の撮像を行えるようになる。この実施形態では、対物レンズ21Aは100倍の対物レンズとされている。
フィールドレンズ21Bは、対物レンズ21Aを通過した像光を通過させることで、それを通過した像光が、集束レンズ21Cの全体に入るように調節するような機能を持つ。この実施形態におけるフィールドレンズ21Bは、集束レンズ21Cと同じ径にされており、それを通過した像光の集束レンズ21Cに至ったときの径が、集束レンズ21Cの径に等しくなるようにされている。なお、この実施形態では、集束レンズ21Cは、フィールドレンズ21Bと同径とされているので、フィールドレンズ21Bを通過した像光の集束レンズ21Cに至ったときの径が、集束レンズ21Cの径に等しくなるようにされているということは、フィールドレンズ21Bは、それを通過させた対物レンズ21Aからの像光を平行光にする機能を有することを意味する。
集束レンズ21Cは、フィールドレンズ21Bを通過した像光を通過させることで、それを通過した像光を、カメラレンズ42の瞳に、当該カメラレンズ42の視野角以上の立体角をもって集束させるものである。なお、この実施形態では、集束レンズ21Cは、フィールドレンズ21Bと同径とされている。この実施形態では、集束レンズ21Cは、それを通過した像光を、カメラレンズ42の瞳に、当該カメラレンズ42の視野角と略同一の立体角をもって集束させるものとなっている。なお、集束レンズ21Cは、それを通過した像光がカメラレンズ42の瞳の範囲内に集束させられるようになっていてもよい。
鏡筒22の内部には、また、絞り21Dが配されている。絞り21Dは、像光の径を絞るものであり、カメラで撮像が行われる際における焦点深度を深くする機能を有している。図4における絞り21Dは、対物レンズ21Aよりも撮像対象物側に位置するように描かれているが、対物レンズ21Aとフィールドレンズ21Bの間に位置する場合もある。また、対物レンズ21A又はフィールドレンズ21Bが複数枚のレンズにより構成されている場合には、絞り21Dは、対物レンズ21A又はフィールドレンズ21Bを構成する複数枚のレンズの間に位置する場合がある。
【0031】
レンズケース23は、ケーシング26内に固定されている。レンズケース23は、ケーシング26をベース10に後述するような方法で取付けた際に、ベース10から露出しているカメラレンズ42の光軸と、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、及び集束レンズ21Cの光軸とが一致するように、且つその一端側をケーシング26の他端側に突出させるようにされている。
レンズケース23のうちケーシング26から突出している部分を突出部28と呼ぶことにするが、この突出部28の先端部分の周縁には、一定間隔をあけた三箇所に突起23aが設けられている。突出部28は、平面視で外歯車のような形状になっている。突起23aの厚みは、係止片16の高さと略等しくされている。
この突出部28の先端部分の輪郭形状は、カメラ孔11の輪郭形状と略同一となっており、その大きさはカメラ孔11よりも僅かに小さくされている。それ故、この突出部28の先端部分は、カメラ孔11に挿入できるようになっている。
なお、突出部28の、突起23aの図4における下面までの長さは、ベース10の底面板10Aの厚みよりも少し長くなっている。
【0032】
拡大部20のベース10への取付けは、この突出部28の先端部分をレンズ孔11に挿入させた状態で、突起23aが係止片16に触れるまで図2のA方向に拡大部20を回転させて行う。
【0033】
照明24は、撮像対象物に対して所定の照明光を照射するものであり、この実施形態では、LEDによって構成されている。この照明24は、ケーシング26内に固定されている。
なお、この照明24は、照明電源25の電源スイッチ29によって点灯が制御されるようになっている。
照明電源25は、照明24の電源となるものであり、この実施形態では、乾電池が使用されている。この照明電源25は、本実施形態では、レンズケース23と隣り合うようにして、ケーシング26内に固定されている。
【0034】
当接部27は、本実施形態では、断面陸上トラック型の筒形状になっており、その外周の径がケーシング26の開口部分の内周の径と略等しくされることで、ケーシング26の内周との間に略隙間のない状態で、ケーシング26の内側に光軸方向にスライド可能に嵌められている。
この当接部27を、光軸方向と平行に、カメラ付き携帯電話40から遠ざかる方向に移動させて、ケーシング26から露出させ、その一部(この実施形態ではその先端)を撮像対象物(或いはその周囲)に当接させると、撮像対象物から対物レンズ21Aまでの光学距離を位置決めできる。当接部27は、上述の位置決めをさせた状態で、撮像対象物に、カメラレンズ42と、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cとを組み合わせた場合によるピント位置が合うように構成されている。
よって、当接部27をケーシング26から露出させた状態で当接部27を撮像対象物に当接させれば、ピントの合った状態で撮像対象物の撮像を行えるようになる。
【0035】
本実施形態のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1により、カメラ付き携帯電話40を手持ちタイプの顕微鏡として使用する際には、後述するように、この当接部27の先端を撮像対象物に当接させる。
また、カメラ付き携帯電話40を一般的なスタンド固定タイプの顕微鏡として使用する際には、当接部27を、光軸方向と平行に上に移動させてケーシング26内部に収納することにより、当接部27が撮像の邪魔にならないようにすることができる。
【0036】
この実施形態のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、複数の拡大部20を有している。これら拡大部20はそれぞれレンズケース23と、照明24を備えているが、レンズケース23のそれぞれに含まれる対物レンズ21Aの倍率と、照明の種類は、それぞれ異なるものとなっている。
これら複数の拡大部20には、それぞれ所定の倍率を備えた対物レンズ21Aと、この対物レンズ21Aを用いて行う拡大撮像の際に適切な照明を行える照明24とが内包されている。
このように、この実施形態のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1における拡大部20は、対物レンズ21Aと、それを用いて撮像を行うに適切な照明24とを一体にした状態とされ、且つ複数準備されているので、適当な拡大部20をベース10に対して取付けるだけで適当な倍率での拡大撮像を行えるのみならず、その倍率を与える対物レンズ21Aに最適な組合わせの照明24が自動的に選択される。
【0037】
なお、拡大部20を複数用意するのではなく、拡大部20からレンズケース23を取り外せるようにして、他の異なる倍率を備えた対物レンズ21Aを有するレンズケース23に付け替えることができるように拡大部20を構成してもよい。すなわち、異なる倍率を備えた対物レンズ21Aを内部に有する複数のレンズケース23を準備するようにしてもよい。これにより、適当なレンズケース23をケーシング26に対して取付けるだけで適当な倍率での拡大撮像を行えるようになる。
この場合には、異なる複数の照明24を準備しておき、レンズケース23を付けかえる度に、そのレンズケース23に含まれる対物レンズ21Aに合った照明24に照明24を交換するようにしてもよい。或いは、そのレンズケース23に含まれる対物レンズ21Aで撮像を行うに適した照明24をレンズケース23に対して固定しておくこともできる。このようにすれば、適当なレンズケース23をケーシング26に対して取付けるだけで、適当な倍率での拡大撮像を行えるのみならず、その倍率を与える対物レンズ21Aに最適な照明24の組合わせを得られることになる。
【0038】
図2(c)は、本実施形態におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメント1のスタンド30を示している。これは、主に、カメラ付き携帯電話40を顕微鏡として用いる場合に使用されるものである。他方、カメラ付き携帯電話40を望遠鏡として用いる場合には、このスタンド30は使用されない。
スタンド30は、ベース10を支持するものであり、伸縮アーム31と、脚台32と、カメラネジボルト33と、を有している。
脚台32は、地面等に当接させてカメラ付き携帯電話用アタッチメント1全体を支えるものであり、本実施形態では、板状形状をしている。
伸縮アーム31は、薄板形状の内筒31Aと、内筒31Aを内包する薄板形状の外筒31Bと、アームネジ31Cと、を有し、これらはラック方式により、アームネジ31Cを回すことでスライド自在に上下に連結されている。
以上のような構成により、アームネジ31Cを一方向に回すと、伸縮アーム31が伸び、逆方向に回すと、伸縮アーム31が縮むようになっている。
この伸縮アーム31は、脚台32に対して略垂直になるように、内筒31Aの端部が脚台32の所定の位置に固定されている。脚台32と反対側に位置する、外筒31Bの端部には、図示しないカメラネジナットが穿設されている。
【0039】
スタンド30とベース10は、図5に示すように、カメラネジナット14に、カメラネジボルト33を螺合することにより固定され、アームネジ31Cを回すことで、ベース10が上下方向、すなわち光軸方向と平行に移動できるようになっている。
【0040】
次に、このカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の使用方法について説明する。
【0041】
まず、第1の使用方法では、図5に示すように、カメラ付き携帯電話40をカメラ付き携帯電話用アタッチメント1に取付けて使用する。この場合、カメラ付き携帯電話40は顕微鏡として用いられる。
この場合、ベース10と、拡大部20(撮像対象物に適した倍率の対物レンズ21Aを含む拡大部20)と、スタンド30を、上述した方法で、図2、及び図5に示した状態に組上げておき、そのベース10にカメラ付き携帯電話40を固定するとよい。
その状態で、カメラ付き携帯電話40が備えるカメラレンズ42を利用すると共に、ディスプレイ41に撮像対象物を拡大して表示し、カメラ付き携帯電話40を顕微鏡として利用する。
具体的には、スタンド30の脚台32の上に撮像対象物を置いた状態で、アームネジ31Cを回すことにより、拡大部20と撮像対象物との間の距離を調節し、ピントを合わせる。また、拡大部20の電源スイッチ29を操作して、照明24を点灯させ、照明24によって対物レンズ21Aに適切な照明を与える。
このようにすることで、ディスプレイ41には、対物レンズ21Aの存在により、撮像素子で撮像される画像が拡大画像となって表示される。
なお、カメラ付き携帯電話40を顕微鏡として使用する上述の如き場合には、当接部27を、光軸方向と平行に上に移動させてケーシング26内部に収納することにより、撮像の妨げにならないようにする。
【0042】
このようにして、カメラ付き携帯電話40を顕微鏡として利用することができる。撮像自体は、カメラ付き携帯電話40のカメラが本来持っている機能で行うことができる。
撮像により得られた画像についてのデータは、使用するカメラ付き携帯電話40の機能にもよるが、カメラ付き携帯電話40が備える内部メモリに記録したり、カメラ付き携帯電話40から外部へ出力したり、或いはカメラ付き携帯電話40が備える電子メール機能を用いて送信したりすることによって利用することができる。
カメラ付き携帯電話40を顕微鏡として利用する必要がなくなったら、カメラ付き携帯電話用アタッチメント1からカメラ付き携帯電話40を取り外す。
【0043】
次に、このカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の第2の使用方法について説明する。
このカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の第2の使用方法は、図6に示すように、カメラ付き携帯電話40および拡大部20を取付けた状態のベース10を、手で把持して使用する場合である。こうすれば、カメラ付き携帯電話40を、手持ちタイプの顕微鏡として使用することができる。なお、この場合には、スタンド30は使用されない。
この場合には、ベース10に、カメラ付き携帯電話40を、図6に示したように嵌め込む。このとき、カメラ付き携帯電話40の長さ方向の一端を、背面10Bに当接させるようにする。この状態で、カメラ付き携帯電話40のカメラレンズ42は、カメラ孔11を通して底面板10Aから露出することになる。
次いで、ベース10に、拡大部20を、図6に示したように取付ける。
そして、当接部27を拡大部20から引出し、引出した当接部27の先端を撮像対象物に当接させて撮像を行う。
このようにして行われる撮像は、当接部27の先端を撮像対象物に当接した状態で行われるので、手振れの問題が生じにくい。また、上述したように、拡大部20から出された当接部27の先端の位置は、ピント位置に合致するようになっているので、当接部27先端の孔の周囲を撮像対象物に当接させれば、その孔の中に位置する撮像対象物に対してピントを自動的に合わせることができる。
【0044】
上述の如きカメラ付き携帯電話用アタッチメント1を用いて、拡大した画像の撮像を行うときの像光の振舞いについて図7と図8を用いて説明を行う。
図7、及び図8は、上述したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1を用いて拡大した画像の撮像を行う場合における拡大部20を側面から見た透視図である。
図7は倍率50倍の拡大画像をカメラ付き携帯電話40のカメラに撮らせる場合を、図8は倍率200倍の拡大画像をカメラ付き携帯電話40のカメラに撮らせる場合を示している。
図7で示した場合も、図8で示した場合も、カメラ付き携帯電話40の本体40Xに開けられたカメラレンズ42を露出させるための孔の側から、集束レンズ21C、フィールドレンズ21B、及び対物レンズ21Aが、これらの光軸がカメラレンズ42の光軸と一致した状態で、一直線に配列される。また、図7の場合では、対物レンズ21Aよりもカメラレンズ42から遠い位置に、中心に孔の開いたドーナツ形状の絞り21Dが、図8の場合では、対物レンズ21Aとフィールドレンズ21Bの間に、絞り21Dが配される。
この状態で撮像を行うと、撮像対象面Sからの光が、カメラレンズ42の瞳42Xに集束することになる。なお、図7、図8では、撮像対象面S上の異なる点からの像光をそれぞれ、点線、破線、一点鎖線の3種の線で示している。また、図7、及び図8では、瞳42Xに向かう光の半分(図7、及び図8の上半分)のみを図示している。
図7で示した場合、撮像対象面Sからの像光は、絞り21Dを通って細く絞られてから、対物レンズ21Aへと向かう。この像光は、対物レンズ21Aを通過して拡大され、フィールドレンズ21Bへと向かい、平行光となって集束レンズ21Cへと向かう。そして、像光は、集束レンズ21Cを通過することで集束され、カメラレンズ42の瞳42Xに集束する。集束レンズ21Cを通過した像光が瞳42Xの範囲内に入る場合における瞳42Xを頂点とした立体角は、カメラレンズ42の視野角と略同一となっている。
図8で示した場合、撮像対象面Sからの像光は、対物レンズ21Aへと向かう。この像光は、対物レンズ21Aを通過して拡大され、絞り21Dを通って細く絞られてから、フィールドレンズ21Bへと向かい、平行光となって集束レンズ21Cへと向かう。この像光は、集束レンズ21Cを通過することで集束され、カメラレンズ42の瞳42Xに集束する。集束レンズ21Cを通過した像光が瞳42Xに入る場合における瞳42Xを頂点とした立体角は、カメラレンズ42の視野角と略同一となっている。
このようにして、カメラ付き携帯電話40のカメラで、画像のない黒い部分を含まないような高倍率の画像を得られることになる。
【0045】
≪変形例1≫
以上説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の変形例1を、図9を用いて説明する。
この変形例1におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントは、基本的に、これまでに説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1と同様に構成されている。
変形例1におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントが、これまでに説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1と異なるのは、これまでに説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1における対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cのそれぞれが一枚のレンズで構成されていたのに対して、この変形例1におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントでは、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cがそれぞれ、複数枚のレンズによって構成されているという点にある。もっとも、複数枚のレンズを組合わせて構成された上記対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cは、1枚のレンズで構成された上述の対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cと同等の機能を持つものとなっているので、このカメラ付き携帯電話用アタッチメントを用いて画像の撮像を行うときの像光の振舞いは、図9に示したように、上述のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1を用いて、拡大した画像の撮像を行ったときの像光の振舞いと変わりない。
図9には、対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cが複数枚のレンズで構成された場合における像光の振舞いが示されている。なお、図9では、撮像対象面S上の異なる点からの像光をそれぞれ異なる6種類の、点線、破線などで示している。また、図9では、瞳42Xに向かう光の半分(図9の上半分)のみを図示している。
図9(a)で示しているのは、拡大倍率が25倍のとき、同(b)で示しているのは、拡大倍率が100倍のとき、同(c)で示しているのは、拡大倍率が200倍のときである。
なお、図9(c)の場合には、絞りが設けられていない。
【0046】
≪変形例2≫
次に、以上説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の変形例2を、図10を用いて説明する。
変形例2によるカメラ付き携帯電話用アタッチメントは、基本的に、上述のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1と同様に構成されている。
変形例2におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントが、これまでに説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1と異なるのは、これまでに説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1における対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、集束レンズ21Cのうち、フィールドレンズ21Bが存在しない点、及びそれぞれが一枚のレンズで構成されていた対物レンズ21A及び集束レンズ21Cが変形例1の場合と同様に複数枚のレンズによって構成されているという点にある。変形例2におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントにおける対物レンズ21Aは、これを用いることで、カメラ付き携帯電話のカメラにより10倍望遠での撮像を行えるようなものとされている。
なお、この場合、カメラ付き携帯電話用アタッチメント1のスタンド30は使用されない。
このカメラ付き携帯電話用アタッチメントを用いて画像の撮像を行うときの像光の振舞いは、図10に示したようになる。この場合の像光の振舞いは、基本的には、上述のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1を用いて拡大した画像の撮像を行ったときの像光の振舞いと変わりない。対物レンズ21Aを通過した光は、そのまま、集束レンズ21Cに到達し、カメラレンズ42の瞳42Xに集束する。
図10は、対物レンズ21A、集束レンズ21Cが複数枚のレンズで構成された場合における像光の振舞いを示す図である。なお、図10では、撮像対象面S上の異なる点からの像光をそれぞれ異なる6種類の、点線、破線などで示している。また、図10では、瞳42Xに向かう光の半分(図10の上半分)のみを図示している。
【0047】
≪変形例3≫
次に、以上説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1の変形例3を、図11を用いて説明する。
変形例3によるカメラ付き携帯電話用アタッチメント1は、基本的に、上述のカメラ付き携帯電話用アタッチメント1と同様に構成されている。
変形例3におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントが、これまでに説明したカメラ付き携帯電話用アタッチメント1と異なるのは、変形例3のカメラ付き携帯電話用アタッチメントでは、その鏡筒22ないしレンズケース23が、2つの部分に分離するようになっている点にある。
図11は、変形例3におけるカメラ付き携帯電話用アタッチメントにおける鏡筒22を示す図である。このカメラ付き携帯電話用アタッチメントにおける鏡筒22は、図11に示したように、2つの部分22A、22Bに分離されている。これら2つの部分22A、22Bは、また、着脱自在にされている。この実施形態では、2つの部分22A、22Bの対向する部分の一方側の外周と、他方側の内周にそれぞれネジ切りがされており、2つの部分22A、22Bを互いに螺合させられるようにすることで、2つの部分22A、22Bを着脱自在にしている。
これら2つの部分22A、22Bのうちの一方の部分である部品22Aには集束レンズ21Cが、他方の部分である部品22Bには対物レンズ21A、フィールドレンズ21B、及び絞り21Dがそれぞれ配されている。
この実施形態では、適当な対物レンズ21Aと、フィールドレンズ21Bと、絞り21Dとを内蔵させた部品22Bが複数用意されている。ユーザは、撮像倍率などに関する所望する撮像条件に基づいて、その部品22Bを交換することができる。フィールドレンズ21Bからの光が平行光となっている限り、部品22Bを交換しても、集束レンズ21Cを通過した像光は、カメラレンズ42の瞳42Xに導かれる。
【符号の説明】
【0048】
1 カメラ付き携帯電話用アタッチメント
10、70 ベース
10A 底面板
10B 背面
11 カメラ孔
11a 孔
11b 切り欠き部
12 ライト孔
13 直方体部材
14 カメラネジナット
15、75 弾性片
16 係止片
20 拡大部
22 鏡筒
23 レンズケース
23a 突起
24 照明
25 照明電源
26 ケーシング
27 当接部
28 突出部
29 電源スイッチ
30 スタンド
31 伸縮アーム
32 脚台
33 カメラネジボルト
40、60 カメラ付き携帯電話
41 ディスプレイ
42 カメラレンズ
43 カメラレンズ蓋
44 カメラ照明

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを備えたカメラに取付けて用いるものであり、そのカメラで撮像する画像を拡大するための拡大用アタッチメントであって、
前記カメラに対して着脱自在に固定される本体と、
前記本体に取付けられる対物レンズと、集束レンズと、
を備えているとともに、
前記対物レンズ、及び前記集束レンズは、前記本体が前記カメラに取付けられたときに、
前記対物レンズは、撮像を行う対象となる撮像対象物からの像光を通過させることで、前記像光を拡大するように、
前記集束レンズは、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を、カメラのレンズの視野角と略同じかそれ以上の立体角で前記レンズの瞳に集束させるように、
それぞれ構成されている、拡大用アタッチメント。
【請求項2】
前記本体に取付けられるフィールドレンズを備えているとともに、
前記フィールドレンズ、及び前記集束レンズはそれぞれ、前記本体が前記カメラに取付けられたときに、
前記フィールドレンズは、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光が、前記集束レンズの全体に入るように調節するように、
前記集束レンズは、前記フィールドレンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を、前記レンズの視野角と略同じかそれ以上の立体角で前記レンズの瞳に集束させるように、
それぞれ構成されている、請求項1記載の拡大用アタッチメント。
【請求項3】
前記本体は、絞りが取付けられているとともに、
前記絞りは、前記本体が前記カメラに取付けられたときに、前記像光を絞って焦点深度を深くするように、構成されている、
請求項1又は2記載の拡大用アタッチメント。
【請求項4】
前記集束レンズは、前記対物レンズを通過した前記像光を通過させることで、それを通過した像光を、前記カメラが備える前記レンズの瞳の範囲内に、当該レンズの視野角と略同じ立体角をもって集束させるように構成されている、
請求項1又は2記載の拡大用アタッチメント。
【請求項5】
前記フィールドレンズは、それを通過した像光を平行光とするようになっている、
請求項2記載の拡大用アタッチメント。
【請求項6】
前記本体は、前記カメラに着脱自在に固定可能な固定具に対して着脱自在に固定可能にされており、前記固定具を介して前記カメラに固定されるようになっている、
請求項1ないし5のいずれかに記載の拡大用アタッチメント。
【請求項7】
撮像を行うときに、撮像対象物に照明光を照射できる照明を備えている、
請求項1ないし6のいずれかに記載の拡大用アタッチメント。
【請求項8】
前記カメラは、カメラ付き携帯電話に取付けられたカメラである、
請求項1ないし7のいずれかに記載の拡大用アタッチメント。
【請求項9】
前記対物レンズは、前記本体から着脱自在に構成されている、
請求項1ないし8のいずれかに記載の拡大用アタッチメント。
【請求項10】
前記対物レンズ及び前記フィールドレンズは、前記本体から着脱自在に構成されている、
請求項2ないし9のいずれかに記載の拡大用アタッチメント。
【請求項11】
前記対物レンズ及び前記フィールドレンズは一体とされている、
請求項2ないし10のいずれかに記載の拡大用アタッチメント。

【図1(a)】
image rotate

【図1(b)】
image rotate

【図1(c)】
image rotate

【図1(d)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−18411(P2012−18411A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186635(P2011−186635)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2005−64858(P2005−64858)の分割
【原出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】