説明

指示計器

【課題】導光体とケース体の係合外れやガタツキを防止することが可能な指示計器を提供する。
【解決手段】
駆動装置2と、表示板4と、指針5と、ケース体3と、複数の光源Lと、これら光源Lの光を指針5へと導いて発光させる導光体6と、を備え、導光体6に設けた突起部(第1の係合部)66をケース体3に設けた係止部(第1の係合部)37に係合してなる指示計器において、導光体6の外周部63に突起部66を設け、ケース体3に外周部63に対向する対向壁33を設け、この対向壁33に係止部37を設け、対向壁33の周囲に対向壁3が反導光体側に変形するのを抑制する取付部材7を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車やオートバイに搭載される指示計器に関し、特に指針の回転軌道内中央部に表示部材を備えるタイプの指示計器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の指示計器として例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。この指示計器は、指針軸を突設してなる駆動装置と、この駆動装置の前方に配置され指標部を有する表示板と、指針軸に連結される回転基部と指標部を指示する指示部とを有する透光性材料からなる指針と、表示板を背後から支持すると共に回転基部に対応した空間部を有するケース体と、空間部内に回転基部に対応するように配置される複数の光源と、これら光源と回転基部との間に指針軸を取り巻くように配置され光源の光を回転基部へと導いて指示部を発光させる筒形の導光体とを備えている。導光体の内壁部には、指針軸側に突出する突起部(第1の係合部)が形成される一方、ケース体には導光体の内壁部に沿って回転基部側へと延びる筒状部が形成され、この筒状部に突起部と係合する係止部(第2の係合部)を設け、導光体の突起部をケース体の係合部に係合することにより導光体をケース体に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−311633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の指示計器では、導光体の突起部をケース体の係止部に係合することにより導光体をケース体に取り付けているため、部品の寸法誤差や熱影響等に起因して導光体の突起部とケース体の係合部との係合が外れたり、ガタツキが発生することが懸念される。
【0005】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、導光体とケース体の係合外れやガタツキを防止することが可能な指示計器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、指針軸を突設してなる駆動装置と、この駆動装置の前方に配置され指標部を有する表示板と、前記指針軸に連結される回転基部と前記指標部を指示する指示部とを有する透光性材料からなる指針と、前記表示板を背後から支持すると共に前記回転基部に対応した空間部を有するケース体と、前記空間部内に前記回転基部に対応するように配置される光源と、この光源と前記回転基部との間に前記指針軸を取り巻くように配置され前記光源の光を前記回転基部へと導いて前記指示部を発光させる導光体と、を備え、前記導光体に設けた第1の係合部を前記ケース体に設けた第2の係合部に係合することにより前記導光体を前記ケース体に取り付けてなる指示計器において、前記導光体の外周部に前記第1の係合部を設け、前記ケース体に前記外周部に対向する対向壁を設け、この対向壁に前記第2の係合部を設け、前記対向壁の周囲に前記対向壁の反導光体側への変形を抑える取付部材を設けてなることを特徴とする。
このように構成することにより、取付部材にて前記対向壁が反導光体側に変形するのを抑えることができるため、導光体の第1の係合部とケース体の第2の係合部との係合外れやガタツキを防止することができる。
【0007】
また本発明は、前記取付部材が前記表示板の前記ケース体からの浮き上がりを防止する抑え部を有することを特徴とする。
このように構成することにより、前記表示板の浮き上がりを防止する専用部品を設ける必要がないため、コストダウンを達成することができる。
【0008】
また本発明は、前記取付部材が弾性フックを有し、前記ケース体には前記弾性フックが係合することで前記取付部材を前記ケース体に装着する受部を設けたことを特徴とする。
このように構成することにより、取付部材の取り付けを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導光体とケース体の係合外れやガタツキを防止することが可能な指示計器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による指示計器の正面図。
【図2】図1の断面図(ハッチング省略)。
【図3】図2の要部拡大図(ハッチング省略)。
【図4】同実施形態における取付部材単体を示す斜視図。
【図5】同実施形態において表示板と取付部材を取り外した際の要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態による指示計器は、例えば車両の速度計であり、回路基板1と、駆動装置2と、ケース体3と、表示板4と、指針5と、導光体6と、取付部材7とを備えている。
【0012】
回路基板1は、紙フェノールやガラスエポキシ等の絶縁部材に図示しない回路パターンを印刷してなる硬質の配線基板からなり、駆動装置2が固定支持される他、例えば発光ダイオードからなり、表示板4と指針5を照明する複数の光源Lや図示しない各種回路素子が実装されている。なおこの場合、指針5を照明する光源Lは駆動装置2の後述する指針軸21の周囲を取り巻くように適宜間隔を空けて複数配置されている。
【0013】
駆動装置2は、例えばステッピングモータからなり、回路基板1の背面側に固定配置されると共に回路基板1を貫通する指針軸21を備えている。
【0014】
ケース体3は、例えば乳白色の合成樹脂からなり、回路基板1の前方側に配置され、表示板4を背後から支持する。またケース体3は、光源Lの光を表示板4と指針6に導く反射部材としての機能も有している。さらにケース体3には、筒部31と、受壁32と、対向壁33とを有し、これら筒部31と、受壁32と、対向壁33とにより、断面「H」形の箇所を形成している。
【0015】
筒部31は、指針5の後述する回転基部に対応して指針軸21の方向に沿って延びる円筒形に形成されている。
【0016】
受壁32は、筒部31の内周壁の中程から指針軸21の方向に向けて回路基板1と平行に延びており、取付部材7の後述する弾性フックが貫通する貫通孔34が形成され、この貫通孔34の背後周縁に弾性フックが係合する受部35が形成されている。
【0017】
対向壁33は、ケース体3内に指針5の後述する回転基部に対応し光源Lや導光体6を配置するための空間部を規定するもので、全体が指針軸21に沿って前記回転基部側に延びる筒形を呈している。この対向壁33には、図5に示すように複数のスリット36が形成され、これらスリット36を通じて導光体6の後述する複数のフランジ部のうち一つが位置決めされると共に他のフランジ部が受壁32上に搭載される。またスリット36は、対向壁33を撓みやすくする。
【0018】
またスリット36にて分断された対向壁33のうち、導光体6の後述する突起部に対応する対向壁33には、指針軸21側に突出する係止部(第2の係合部)37が形成されている。
【0019】
表示板4は、例えば合成樹種からなる透明基板にスクリーン印刷を行うことにより指針5の指示対象となる目盛や文字等の指標部41とその背景を設けた周知な印刷パネルからなり、指針5の前記回転基部に対応する開口部42が形成されている。
【0020】
指針5は、例えば透光性合成樹脂からなり、指針軸21に連結される回転基部51と指標部41を指示する指示部52とを有すると共に、回転基部61の周囲を覆う遮光カバー53を有している。この遮光カバー53は、回転基部51の背面を覆わないように構成されている。また回転基部51には、光源Lからの光を受光して指示部52側へと反射する図示しない反射部が形成されている。
【0021】
導光体6は、例えば透光性合成樹脂からなり、光源Lと回転基部51との間に配置されている。
この導光体6は、指針軸21を取り巻く筒形(円環形)であり、その背面は光源L対向している。回転基部51と対向する導光体6箇所は、複数の凸レンズ部61を有し、これら凸レンズ61は一つの光源Lに対し一つが対応している。
【0022】
導光体6は、前記のように指針軸21を取り巻く筒形であるため、指針軸21が通る円筒面を形成する内周部62と、この内周部62のラジアル方向外側に位置し対向壁33と対面する円筒面を形成する外周部63とを有し、この外周部63には、複数のフランジ部64,65と、突起部(第1の係合部)66とがそれぞれ形成されている(図5参照)。
【0023】
フランジ部64,65は、ラジアル方向外側に突出する突片として複数形成され、受壁32の前面に当接し導光体6を指針軸21の軸方向に位置決めする。このうちフランジ部64は、軸方向の位置決めだけでなく、スリット36に嵌まることにより導光体6を円周方向に位置決めする。
【0024】
突起部66は、指針軸21側とは反対側となる対向壁33側に突出し、ケース体3の係合部37と係合する。
【0025】
取付部材7は、例えば遮光性合成樹脂からなり、筒部31の内壁に沿う円筒形状の外側周壁部71と、受壁32に沿う円板形状の底壁部72と、対向壁33の外壁に沿う円筒形状の内側周壁部(規制部)73とを備えている。
【0026】
外側周壁部71の端部には、外周壁部71から屈曲して表示板4の前面に沿って延びる円環フランジ形状の抑え部74が形成されている。この抑え部74は、取付部材7をケース体3に取り付けた際、表示板4のケース体3からの浮き上がりを防止する。
【0027】
底壁部72の背面であって貫通孔34に対応する箇所には、先端に係り部を有する弾性フック75が背後に向けて突出形成され、この弾性フック75が受部35に係合することにより、取付部材7がケース体3に取り付け固定される。
【0028】
内側周壁部73は、取付部材7の取り付け状態において対向壁33を導光体6(指針軸21)側に押圧するか、または対向壁33が導光体6から離間する外側方向(反導光体側)に変形するのを抑える。
【0029】
次に導光体6と取付部材7の取り付けを説明する。
導光体6の取り付けは、指針5を指針軸21に取り付ける前に行われ、前方側から導光体6の中空部を指針軸21に通しながら対向壁33内に導光体6を挿入し、フランジ部64,65が受壁32の前面に当接し、且つフランジ部64がスリット36に嵌まった状態で突起部66が係合部37に係合することにより取り付けが完了する。この際、突起部66と係合部37には、それぞれ傾斜面が形成されているため、円滑が挿入が可能である。
【0030】
取付部材7の取り付けは、導光体6の取り付け後に行われ、前方側から筒部31内に取付部材7を挿入し、抑え部74が表示板4の開口部42周縁に当接した状態で弾性フック75が受部35に係合することにより、取付部材7がケース体3に取り付け固定される。これにより内側周壁部73が対向壁33を指針軸21側に押圧し、係合外れやガタツキを防止する。
【0031】
以上のように本実施形態では、指針軸21を突設してなる駆動装置2と、この駆動装置2の前方に配置され指標部41を有する表示板4と、指針軸21に連結される回転基部51と指標部41を指示する指示部52とを有する透光性材料からなる指針5と、表示板4を背後から支持すると共に回転基部51に対応した空間部を有するケース体3と、前記空間部内に回転基部51に対応するように配置される複数の光源Lと、これら光源Lと回転基部51との間に指針軸21を取り巻くように配置され光源Lの光を回転基部51へと導いて指示部52を発光させる導光体6と、を備え、導光体6に設けた突起部(第1の係合部)66をケース体3に設けた係止部(第2の係合部)37に係合することにより導光体6をケース体3に取り付けてなる指示計器において、導光体6の外周部63に指針軸21側とは反対側に突出する突起部66を設け、ケース体3に外周部63に対向する対向壁33を設け、この対向壁33に指針軸21側に突出する係止部37を設け、対向壁33の周囲に対向壁3が反導光体側に変形するのを抑制する取付部材7を設けてなることにより、取付部材にて対向壁33が反導光体側に変形するのを抑え、導光体とケース体との係合外れやガタツキを防止することができる。
【0032】
また本実施形態では、取付部材7が表示板4のケース体3からの浮き上がりを防止する抑え部74を有することにより、表示板4の浮き上がりを防止する専用部品を設ける必要がないため、コストダウンを達成することができる。
【0033】
また本実施形態では、取付部材7が弾性フック75を有し、ケース体3には弾性フック75が係合することで取付部材7をケース体3に装着する受部35を設けたことにより、取付部材7の取り付けを容易にすることができる。
【0034】
なお本実施形態では、突起部(第1の係合部)66を指針軸21側とは反対側となる対向壁33側に突出形成し、係止部(第2の係合部)37を指針軸21側に突出形成したが、各係合部の形状は任意であり、例えば何れか一方を段部としてもよい。
【0035】
さらに本実施形態では、内側周壁部73を対向壁33の反導光体側への変形を抑える規制部としたが、規制部の形状も任意である。
【符号の説明】
【0036】
1 回路基板
2 駆動装置
3 ケース体
4 表示板
5 指針
6 導光体
7 取付部材
21 指針軸
31 筒部
32 受壁
33 対向壁
34 貫通孔
35 受部
36 スリット
37 係止部(第2の係合部)
41 指標部
42 開口部
51 回転基部
52 指示部
53 遮光カバー
61 凸レンズ部
62 内周部
63 外周部
64,65 フランジ部
66 突起部(第1の係合部)
71 外側周壁部
72 底壁部
73 内側周壁部(規制部)
74 抑え部
75 弾性フック
L 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針軸を突設してなる駆動装置と、この駆動装置の前方に配置され指標部を有する表示板と、前記指針軸に連結される回転基部と前記指標部を指示する指示部とを有する透光性材料からなる指針と、前記表示板を背後から支持すると共に前記回転基部に対応した空間部を有するケース体と、前記空間部内に前記回転基部に対応するように配置される光源と、この光源と前記回転基部との間に前記指針軸を取り巻くように配置され前記光源の光を前記回転基部へと導いて前記指示部を発光させる導光体と、を備え、前記導光体に設けた第1の係合部を前記ケース体に設けた第2の係合部に係合することにより前記導光体を前記ケース体に取り付けてなる指示計器において、前記導光体の外周部に前記第1の係合部を設け、前記ケース体に前記外周部に対向する対向壁を設け、この対向壁に前記第2の係合部を設け、前記対向壁の周囲に前記対向壁の反導光体側への変形を抑える取付部材を設けてなることを特徴とする指示計器。
【請求項2】
前記取付部材が前記表示板の前記ケース体からの浮き上がりを防止する抑え部を有することを特徴とする請求項1記載の指示計器。
【請求項3】
前記取付部材が弾性フックを有し、前記ケース体には前記弾性フックが係合することで前記取付部材を前記ケース体に装着する受部を設けたことを特徴とする請求項1記載の指示計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−80903(P2011−80903A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234380(P2009−234380)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】