説明

指針式計器

【課題】指針が蛇行する形状であっても指針の動作特性に対する影響を最小限に抑えることが可能な指針式計器を提供する。
【解決手段】
表示器1と、指標部211,221を有し表示器1を視認可能に配置される表示板21,22と、表示器1の背後に配置され指針軸61が表示器1側に突出する駆動装置6と、指針軸61を回転中心軸RCとして旋回することにより指標部211,221を指示する指針7とを備え、指針7が迂回部71と、指標部211,221を指示する指示部72とを備えてなる指針式計器において、迂回部71の回転中心軸RCから最も遠い箇所P1を指示部72の先端P2よりも回転中心軸RCに近づけてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車、自動二輪車、建設機械、小型船舶に搭載される指針式計器に関し、特に液晶等の表示器の外周にて、目盛板の指標部と当該指標部を指示する指針とを用いて指針式表示を行う指針式計器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の指針式計器として例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この指針式計器は、液晶表示器からなる表示器と、目盛や文字等の指標部を有し表示器の周囲を取り巻くと共に該表示器を視認な窓部が形成された表示板と、表示器の背後に配置され指針軸が表示器側に突出する駆動装置と、指針軸に連結されて表示器と表示板の双方を迂回するように略「S」字状に屈曲して延び駆動装置により指針軸を回転中心として旋回駆動されることにより指標部を指示する指針とを備えている。
【0003】
指針は、表示器の背面側を反回転中心方向に延びる第1の指針部と、この第1の指針部に連続し表示器の側方を表示器の厚み方向に延びる第2の指針部と、この第2の指針部に連続し表示器よりも前方側であって表示器と表示板との間を回転中心方向に延びる第3の指針部と、この第3の指針部に連続し表示板の窓部の内周を表示板の厚み方向に延びる第4の指針部と、この第4の指針部に連続し表示板の前方側を反回転中心方向に延び指標部を指示する第5の指針部とを備えている。このように略「S」字状屈曲する指針が表示器と表示板との間から表示板の窓部の内周を越えて表示板の前面側に至る構成とすることにより、表示板のスリットを廃止し、見栄え品質を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1記載の指針式計器は、指針が表示器と表示板の双方を迂回して表示板の前方に至るように、指針を表示器と表示板に応じて複数回蛇行させる必要があるため、指針の大型化、重量増を避けることができず、指針の応答性や始動特性が低下しやすいという問題があった。
【0006】
本発明は前述の課題に着目し、指針が蛇行する形状であっても指針の動作特性に対する影響を最小限に抑えることが可能な指針式計器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するため、表示器と、指標部を有し前記表示器の周囲を取り巻くと共に前記表示器を視認可能に配置される表示板と、前記表示器の背後に配置され指針軸が前記表示器側に突出する駆動装置と、前記指針軸に連結され当該指針軸を回転中心として旋回することにより前記指標部を指示する指針とを備え、前記指針が前記表示器の背面側を通って前記回転中心方向に向かう迂回部と、前記表示板の前方側を反回転中心方向に延び指標部を指示する指示部とを備えてなる指針式計器において、前記迂回部の前記回転中心から最も遠い箇所を前記指示部の先端よりも前記回転中心に近づけてなることを特徴とする。このように構成することにより、迂回部の側方への張り出しを抑えることができるため、小型化と慣性モーメントの軽減を達成でき、指針が複数回蛇行する形状であっても指針の動作特性に対する影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0008】
また本発明は、前記表示板が第1の表示板と、この第1の表示板よりも前記観察者側に配置される第2の表示板とを有し、前記迂回部の前記回転中心方向に延びる箇所が前記第1の表示板と前記第2の表示板との間を前記回転中心に向けて延長し、前記指示部に連なることを特徴とする。このように構成することにより、迂回部から指示部へと連なる経路を短縮して小型化を図ることができ、更なる小型化と慣性モーメントの軽減を達成できる。
【0009】
また本発明は、前記表示板が第1の深部から観察者側に向けて拡径する第1の円錐部と、この第1の円錐部側となる第2の深部から前記観察者側に向けて拡径する第2の円錐部とを有し、前記迂回部の前記回転中心方向に延びる箇所が前記第1の円錐部と前記第2の円錐部との間を前記回転中心に向けて延長し、前記指示部に連なることを特徴とする。このように構成することにより、迂回部から指示部へと連なる経路を短縮して小型化を図ることができ、更なる小型化と慣性モーメントの軽減を達成できる。
【0010】
また本発明は、前記表示板が深部から観察者側に向けて拡径する円錐部を有し、前記迂回部の前記回転中心方向に延びる箇所が前記円錐部の中程を前記回転中心に向けて貫通し、前記指示部に連なることを特徴とする。このように構成することにより、迂回部から指示部へと連なる経路を短縮して小型化を図ることができ、更なる小型化と慣性モーメントの軽減を達成できる。
【0011】
また本発明は、前記窓部に沿って前記表示器の表示エリアを取り巻く縁部材を設けたことを特徴とする。このように構成することにより、前記表示器の表示エリアを表示板から区画することができ、目的とする情報に視線移動を短時間で行うことができ、視認性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初期の目的を達成することができ、指針が蛇行する形状であっても指針の動作特性に対する影響を最小限に抑えることが可能な指針式計器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態による指針式計器の正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態による指針式計器の断面図。
【図4】本発明の第3の実施形態による指針式計器の断面図。
【図5】本発明の第4の実施形態による指針式計器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0015】
図1及び図2において、本発明の第1の実施形態による指針式計器は、例えば自動車のダッシュボードに搭載されるコンビネーションメータに組み込まれるもので、表示器1と、表示板2と、縁部材3と、導光体4と、回路基板5と、駆動装置6と、指針7と、光源8,9とを備えている。なお図2ではハッチングは省略されている。
【0016】
表示器1は、例えば液晶パネルからなり、表示板2の後述する第1の窓部の形状に対応した円形の外形形状を有し、回路基板5を通じて電気的に駆動されることにより走行距離、外気温、燃費等の任意の車両情報を表示する。
【0017】
表示板2は、表示器1側に配置される第1の表示板21と、この第1の表示板21よりも観察者に近い側に配置される第2の表示板22とに2分割形成されている。これら表示板21,22は例えば透光性の基板の表面に周知なスクリーン印刷やデジタル印刷技術を用いて後述する指標部とこの指標部の背景となる背景部とを印刷してなる。なお本実施形態では表示板2を第1,第2の表示板21,22に分割したが、一枚の表示板とすることもできるし、2枚以上に分割することもできる。
【0018】
第1の表示板21は、例えば円形の平板として形成され、前記印刷技術を用いて、例えば透光性を有する数字(文字)からなる第1の指標部211(本実施形態では白色)と、遮光性を有する第1の背景部212(本実施形態では黒色)とが形成されている。
【0019】
この第1の表示板21は、表示器1の外形端部及び表示器1の情報表示を行わない周囲領域を取り巻いて覆うように表示器1の前方側(図示しない観察者に対面する側)に配置されると共に表示器1の情報表示エリアを視認可能とする第1の窓部213が形成されている。この第1の窓部213は、表示器1の情報表示エリアを露出する円形の開口部として形成されているが、表示器1の情報表示エリアを覆う透明部な透視部として形成することもできる。
【0020】
第2の表示板22は、第1の表示板1側となる深部から前記観察者側に向けて徐々にラッパ形に拡径(径が広がる)すると共に第1の表示板21よりも大きな円錐部220とその外周部とを有し、前記印刷技術を用いて、例えば透光性を有する目盛からなる第2の指標部221(本実施形態では第1の指標部211と同色)と、遮光性を有する第2の背景部222(本実施形態では第1の背景部212と同色)とが形成されていると共に、周知な絞り加工技術を用いて円錐部220等の立体造形部が形成されている。
【0021】
この第2の表示板22は、第1の表示板21の外形端部及びその周囲領域を取り巻いて覆うように第1の表示板21の前方側に配置されると共に第1の表示板21の第1の指標部211を視認可能とする円形の第2の窓部223が形成されている
【0022】
これら第1,第2の表示板21,22は、第1,第2の窓部213,223が後述する回転中心に対して同心関係になるように、空間部23を介して前記観察者の視線方向に積層され、この空間部23を指針7の後述する迂回部の一部が位置する構成となっている。
【0023】
縁部材3は、例えば断面形状が略三角形で正面視形状が円形の合成樹脂材の表面に金属調(シルバー)のメッキあるいは塗装を施した装飾部材からなり、第1の窓部213の内縁に沿うように表示器1の前面側に配置されることにより、表示器1の表示エリアを縁取るものである。なお縁部材3は、図示しない光源または光源8,9からの光を受けて所定色に発光する透光部材として設けることもできる。
【0024】
導光体4は、例えば透光性合成樹脂からなり、表示器1及び第1の表示板21の背面(前記観察者とは反対側を向く面)に沿って配置され、光源8の光を受けて表示器1及び第1,第2の表示板21,22(第1,第2の指標部211,221)を背後側(前記観察者とは反対側)からバックライト照明する。
【0025】
回路基板5は、周知な硬質回路基板からなり、導光体4の背後側に配置され、駆動装置6と光源8,9とを搭載している。
【0026】
駆動装置6は、例えばステッピングモータからなり、表示器1及び導光体4の背後に配置され、指針軸61が表示器1側に突出している。この場合、駆動装置6は、その本体部が回路基板5の背面側に位置し、指針軸61は、回路基板5を貫通して表示器1側に突出する構成である。また指針軸61は、この場合、その回転により回転中心軸(回転中心となる仮想軸)RCを形成するよう前方側に延びている。
【0027】
指針7は、例えば透光性合成樹脂からなり、表示器1の背面側から側面側を通り表示器1よりも前方側(前記観察者側)を回転中心RC方向に折れ曲がる迂回部71と、第2の表示板22の前方側を反回転中心RC方向(回転中心RCとは反対方向)に延び第1,第2の指標部211,221を指示する指示部72と、これら迂回部71と指示部72とを繋ぐ接続部73とを備えている。
【0028】
迂回部71は、表示器1の背面側を表示器1に沿って回転中心軸RCを横切るように回転平面に沿って外側に延び、指針軸61に連結される第1の指針部711と、この第1の指針部711の端部から所定角度(この場合略90度)折れ曲がり、表示器1の側面側を前方に向けて(回転中心軸RCと平行に)延びる第2の指針部712と、この第2の指針部712の端部から所定角度(この場合略90度)折れ曲がり、表示器1及び第1の表示板21の前面側と第2の表示板22の背面側との間にて規定される空間部23内を回転中心軸RCに向けて延びる第3の指針部713とから略「コ」字状に形成され、これら第1〜第3の指針部711〜713の角部(折れ曲がり部)には、内部に導入した光源9からの光を先端(指示部72)方向へ反射する反射面が形成されている。
【0029】
指示部72は、迂回部71とは別の透光性合成樹脂からなり、接続部73を介して迂回部71に連結され、第2の表示板22の前面に沿って反回転中心軸RC方向に直線状に延び、駆動装置6の作動に伴って指針軸61が回転すると、第2の表示板22上を旋回し、第1,第2の指標部211,221を指示する。
【0030】
指示部72の先端部とは反対側となる後端部(回転中心軸RC側)は、接続部73を越えて回転中心軸RC側に延びていると共に、指示部72は少なくともその接続部73に対応する部分の幅が接続部73の幅よりも大きく形成され、これにより前記観察者が正面視した際、接続部73が指示部72によって隠れて見えづらくなるため、指示部72が浮遊するように視認される。
【0031】
接続部73は、回転中心軸RCに沿って伸び迂回部71と指示部72とを接続している。
【0032】
このように構成される指針7は、光源9の光を迂回部71を通じて指示部72に導くことで、指示部72が発光するようになっている
【0033】
ここで、迂回部71と、指示部72との位置関係に注目すると、迂回部71の回転中心軸RCから最も遠い箇所P1は、所定距離Dぶん、指示部71の先端P2よりも回転中心軸RCに近い位置に設けられている。
【0034】
光源8,9は、表示板21,22と指針7のそれぞれを照明する例えば発光ダイオードからなり、回路基板5に搭載されている。
【0035】
以上のように、本実施形態では、表示器1と、指標部211,221を有し表示器1の周囲を取り巻くと共に表示器1を視認可能に配置される表示板21,22と、表示器1の背後に配置され指針軸61が表示器1側に突出する駆動装置6と、指針軸61に連結され指針軸61を回転中心軸RCとして旋回することにより指標部211,221を指示する指針7とを備え、指針7が表示器1の背面側から側面側を通って表示器1よりも前方側を回転中心軸RC方向に向かって折れ曲がる迂回部71と、表示板21,22の前方側を反回転中心軸RC方向に延び指標部211,221を指示する指示部72とを備えてなる指針式計器において、迂回部71の回転中心軸RCから最も遠い箇所P1を指示部72の先端P2よりも回転中心軸RCに近づけてなることにより、迂回部71の側方への張り出しを抑えることができるため、小型化と慣性モーメントの軽減を達成でき、指針7が蛇行する形状であっても指針7の動作特性に対する影響を最小限に抑えることができる。
【0036】
また本実施形態では、表示板21,22が表示器1側に配置される第1の表示板21と、この第1の表示板21よりも前記観察者側に配置される2の表示板22とを有し、迂回部71の表示器1よりも前方側を回転中心軸RC方向に延びる箇所である第3の指針部713が第1の表示板21と第2の表示板22との間に形成された空間部23を回転中心軸RCに向けて延長し、指示部72に連なることにより、迂回部71から指示部72へと連なる経路を短縮して小型化を図ることができ、更なる小型化と慣性モーメントの軽減を達成できる。すなわち、図示しないが、第3の指針部713が第1の表示板21と表示器1との間を回転中心軸RC側に延び、第1の窓部213を通して接続部73及び指示部72と接続する経路よりも第3の指針部713が空間部23を回転中心軸RC側に延び、第2の窓部223を通して接続部73及び指示部72と接続する経路の方が、迂回部71から指示部72へと連なる経路を短縮することができる。
【0037】
また本実施形態では、第1の窓部213に沿って表示器1の表示エリアを取り巻く縁部材3を設けたことにより、表示器1の表示エリアを表示板21,22から区画することができ、目的とする情報に視線移動を短時間で行うことができ、視認性を向上させることができる。
【0038】
なお本実施形態では、第2の表示板22を円錐形状としたが、第1の表示板21と同じ平板に形成し、第1の表示板21と平行に配置してもよい。
【0039】
また本実施形態では、第1,第2の表示板21,22の双方に第1,第2の指標部211,221をそれぞれ設けたが、何れか一方の表示板21,22にのみに全ての指標部211,221を形成し、他方の表示板21,22は背景部212,222のみを有した背景板として使用することもできる。
【0040】
さらに指標部211,221は文字や目盛の他、各種マーク、図形であってもよい。
【0041】
次に図3に基づいて本発明の第2の実施形態を説明する。なお図3ではハッチングは省略されている。
【0042】
本実施形態による指針式計器は、表示板2が表示器1側に配置され第1の深部から前記観察者側に向けてラッパ形に徐々に拡径する第1の円錐部214からなる第1の表示板21と、この第1の円錐部214の前方に配置され第1の円錐部214側となる第2の深部から前記観察者側に向けてラッパ形に徐々に拡径する第2の円錐部224を有する第2の表示板22とを有している。
【0043】
指針7の迂回部71は、第3の指針部713が第1の円錐部214と第2の円錐部224との間に形成される空間部23を回転中心軸RCに向けて延長し、接続部73を通じて指示部72に連なる構成としている。
【0044】
このように構成することにより、前記第1の実施形態と同様、小型化と慣性モーメントの軽減を達成でき、迂回部71から指示部72へと連なる経路を短縮して小型化を図ることができ、更なる小型化と慣性モーメントの軽減を達成できる。
【0045】
また本実施形態では、指示部72に図示しない光源を搭載しており、この光源に可撓性回路基板FPCを通じて給電するようになっている。さらに本実施形態では、縁部材3の断面形状を円弧形状に変更している。
【0046】
次に図4に基づいて本発明の第3の実施形態を説明する。なお図4ではハッチングは省略されている。
【0047】
本実施形態による指針式計器は、表示板2が深部から前記観察者側に向けて徐々に拡径する円錐部24を有し、指針7の迂回部71は、表示板2を隔てて表示器1の背面側及び側面側を迂回しており、第3の指針部713は、円錐部24の中程に形成されたスリット241を回転中心軸RC側に貫通し、指示部72に連なる構成である。
【0048】
このように構成することにより、前記第1の実施形態と同様、小型化と慣性モーメントの軽減を達成でき、迂回部71から指示部72へと連なる経路を短縮して小型化を図ることができ、更なる小型化と慣性モーメントの軽減を達成できる。なお本実施形態では迂回部71の一部を構成する第2の指針部712が折れ曲がっているが、迂回部71の形状は、表示器1の背面側を通って回転中心軸RC方向に向かう形状であれば任意に設定できる。
【0049】
次に図5に基づいて本発明の第4の実施形態を説明する。なお図5ではハッチングは省略されている。
【0050】
本実施形態による指針式計器は、第1,第2の表示板21,22の双方が円錐部214,224を有する点他で前記第2の実施形態と同様であるが、表示器1及び第1の表示板21の照明構成、指針7の細部構成、及び第2の表示板22及びその照明構成が前述実施形態とは相違している。
【0051】
すなわち、表示器1は、表示素子として液晶パネル11と、液晶パネル11の背面に沿って複数配置される導光板12,13と、液晶パネル11及び第1の表示板21を支持する支持体14と、導光板12,13を通じて液晶パネル11を照明する例えば発光色の異なる発光ダイオードからなる光源15,16と、これら光源15,16を搭載する光源基板17とを備えており、液晶パネル11は複数の導光体12,13及び複数の光源15,16を通じてそのエリア毎にカラーチェンジ可能に構成されている。
【0052】
支持体14は、液晶パネル11を保持する第1の保持部141と、第1の表示板21を保持する第2の保持部142とを備えると共に第1の表示板21に対応する箇所には、光源8,9の光を第1の表示板21側に透過させて第1の指標部211を透過照明するための開口部143が形成されている。この開口部143は、第1の指標部211の配列形状に沿って複数個形成され、第1の指標部211の配列形状に沿って隣接する各開口部143間には、回転中心軸RCを基準として放射状に延びる筋部が形成されている。このように単一の支持体14にて液晶パネル11と第1の表示板21の双方を支持することにより両者の位置関係を正確に定めることができる他、別々の支持体を設ける必要がないため、コストダウンが可能となる。また開口部14を通じて第1の表示板21を照明できるので、専用の光源や導光体を不要にでき、コストダウンが可能である。
【0053】
透光性合成樹脂からなる指針7は、第2の指針部712、第3の指針部713及び接続部73の全周または所要部が例えば黒色の遮光性合成樹脂からなる筒状部材74によって覆われており、指針7から周囲へ漏れる光をブロックし、照明品質を維持する構成である。なお筒状部材74に替えて遮光膜を設けてもよい。
【0054】
また本実施形態では迂回部71のうち、第3の迂回部713が2つに分割され、また第3の迂回部713と接続部73も分割されて別部品となっており、筒状部材74を通じて連結されている。また指示部72の前面または背面には、例えばホットスタンプ層からなる着色層74が形成され、光源8,9の点灯時には着色層74の色にて指示部72が視認されるようになっている。
【0055】
なお本実施形態では、第2の表示板22の第2の指標部221の照明色は白色、光源8,9の発光色も共に白色でなり、この白色光源8,9からの光を着色層74で着色することで指示部72が第2の指標部221とは異なる色で視認される。このように指示部72に着色層74を施し、指針用光源9と表示板用光源8の発光色を白色としたことにより、指示部72の発光色と第2の指標部221の発光色が異なる場合でも、光源8,9の各発光色が混じり合わないように表示器1の背後と回路基板5との間に形成される照明空間を遮光壁等により区画する必要がないため、コストダウンが可能である。
【0056】
第2の表示板22の背後には導光部材225が配置され、この導光部材225と光源8との間には他の導光部材226が配置され、この他の導光部材226を通じて導光部材225内に導いた光によって第2の表示板22に設けた第2の指標部221を発光させる構成である。
【符号の説明】
【0057】
1 表示器
2 表示板
3 縁部材
4 導光体
5 回路基板
6 駆動装置
7 指針
8,9,15,16 光源
11 液晶パネル
12,13 導光板
14 支持体
17 光源基板
21 第1の表示板
22 第2の表示板
23 空間部
24 円錐部
61 指針軸
71 迂回部
72 指示部
73 接続部
74 着色層
75 筒状部材
141 第1の保持部
142 第2の保持部
143 開口部
211 第1の指標部
212 第1の背景部
213 第1の窓部
214 第1の円錐部
220 円錐部
221 第2の指標部
222 第2の背景部
223 第2の窓部
224 第2の円錐部
225 導光部材
226 他の導光部材
241 スリット
711 第1の指針部
712 第2の指針部
713 第3の指針部
D 所定距離
FPC 可撓性回路基板
P1 箇所
P2 先端
RC 回転中心軸(回転中心となる仮想軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、指標部を有し前記表示器の周囲を取り巻くと共に前記表示器を視認可能に配置される表示板と、前記表示器の背後に配置され指針軸が前記表示器側に突出する駆動装置と、前記指針軸に連結され当該指針軸を回転中心として旋回することにより前記指標部を指示する指針とを備え、前記指針が少なくとも前記表示器の背面側を通って前記回転中心方向に折れ曲がる迂回部と、前記表示板の前方側を反回転中心方向に延び指標部を指示する指示部とを備えてなる指針式計器において、前記迂回部の前記回転中心から最も遠い箇所を前記指示部の先端よりも前記回転中心に近づけてなることを特徴とする指針式計器。
【請求項2】
前記表示板が第1の表示板と、この第1の表示板よりも前記観察者側に配置される第2の表示板とを有し、前記迂回部の前記回転中心方向に延びる箇所が前記第1の表示板と前記第2の表示板との間を前記回転中心に向けて延長し、前記指示部に連なることを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
【請求項3】
前記表示板が第1の深部から観察者側に向けて拡径する第1の円錐部と、この第1の円錐部側となる第2の深部から前記観察者側に向けて拡径する第2の円錐部とを有し、前記迂回部の前記回転中心方向に延びる箇所が前記第1の円錐部と前記第2の円錐部との間を前記回転中心に向けて延長し、前記指示部に連なることを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
【請求項4】
前記表示板が深部から観察者側に向けて拡径する円錐部を有し、前記迂回部の前記回転中心方向に延びる箇所が前記円錐部の中程を前記回転中心に向けて貫通し、前記指示部に連なることを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
【請求項5】
前記窓部に沿って前記表示器の表示エリアを取り巻く縁部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の指針式計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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