説明

指針照明装置

【課題】回転時の指針先端部の輝度変化を低減して視認性、照明品位の向上を図った指針照明装置を提供する。
【解決手段】輝度制御部14が、光源3の中心軸P1から出射される光が後端反射面M2において指針先端部6の中心軸P3と重なる位置で反射されるとき輝度が最小となり、光源3の中心軸P1から出射される光の後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から離れるに従って輝度が大きくなるように、指針部材2の回転に応じて光源の輝度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針照明装置に係り、特に、指標を指示する棒状の指針先端部、及び、入射面から入射された光を前記指針先端部側に反射する反射面が設けられた前記指針先端部よりも幅広の指針後端部、から構成された指針部材と、前記指針部材の回転軸を囲むように配置されていて前記指針部材の入射面に入射する光を出射する光源と、を有する指針照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車用メータの指針は、夜間照明機能付きメータ、自発光メータ共に夜間及び通常使用時の視認性確保の為、照明機能を有している。このような照明機能を有している指針照明装置1としては、例えば、図10に示されたようなものが提案されている。同図に示すように、指針照明装置1は、指針部材2と、光源3と、を有している。上記指針部材2は、指針先端部6、及び、指針後端部7、から構成されている。
【0003】
図10(A)に示すように、指針先端部6は、文字板などに設けられた指標を指示するように棒状に形成されている。指針後端部7には、後端入射面M3及び後端反射面M2が設けられている。後端入射面M3は、指針後端部7の背面に設けられていて、光源3からの光が入射される。後端反射面M2は、指針後端部7の正面に設けられている。後端反射面M2は、指針先端部6に近づくに従って正面側に近づくテーパ状に設けられていて、後端入射面M3から入射された光Lを指針先端部6側に向けて反射する。指針後端部7は、図10(B)に示すように、指針先端部6よりも幅広に設けられている。図10(B)に示すように、光源3は、指針部材2の回転軸を囲むように配置されていて指針部材2の後端入射面M3に入射する光Lを出射する。
【0004】
上述した指針照明装置1によれば、光源3から出射された光Lは、指針部材2の後端入射面M3に入射される。指針部材2の後端入射面M3に入射された光Lは、後端反射面M2で指針先端部6の先端側に向けて反射される。後端反射面M2で反射された光は、指針先端部6に設けたホットスタンプ、微細プリズムなどによる射出層8で反射されて指針先端部6の正面に出射される。これにより、指針先端部6の正面が光輝する。また、光源3から出射された光Lを指針部材2の後端入射面M3に導く導光部材をさらに有するものも知られている(例えば特許文献1、2)。
【0005】
ところで、一般的に、光源3は、所定の出射強度分布を有している。白色LEDなどの出射強度分布がランバンシアンに近い光源3は、中心軸P1上の出射強度が一番高く、出射角度が中心軸P1から離れるに従って出射強度が低くなるような、出射強度分布をもっている。また、複数の光源3が指針部材2の回転軸を囲むように配置されているため、指針部材2の後端入射面M3に入射される光Lは、回転軸を中心とした円周方向上に輝度ムラが生じている。
【0006】
また、上述した指針照明装置1においては、デザイン上の要求(できるだけ指針先端部6を細くしたい)、指針重量の制限(指針回転駆動用モータの駆動対象の重量制限)により、図10(B)に示すように、指針後端部7の幅を指針先端部6よりも幅広に設けている。このため、後端反射面M2での反射位置により光源3からの光Lを指針先端部6に伝播する際に、ロス(伝播中に指針部材2外部に漏れる光)なく導くことができるエリアと、大きなロスが生じてしまうエリアとに分かれてしまう。
【0007】
即ち、図10(B)中、後端反射面M2の点線で囲まれた指針部材2から見て真後ろの領域Aで反射した光Lは、図11(A)に示すように、ロスなく指針先端部6に導くことができる。しかしながら、図10(B)中、領域Aの両側面である一点鎖線で囲まれた領域Bで反射した光は、図11(B)に示すように、指針先端部6の側面の全反射を利用して指針先端部6の先端側に導かれるため、反射回数が多い分、大きなロスが生じる。
【0008】
上述したように光源3から指針部材2の後端入射面M3に入射される光Lは、上述したように強度ムラを持っている。このため、指針部材2の回転時にはロスの少ない領域Aに入射する光の量が変化するので、すべての光源3を同じ明るさで制御した場合、結果的に指針回転時に輝度が変化してしまう、という問題があった。
【特許文献1】特開2004−153746号公報
【特許文献2】特開2004−294344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、回転時の指針先端部の輝度変化を低減して視認性、照明品位の向上を図った指針照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、指標を指示する棒状の指針先端部、及び、入射面から入射された光を前記指針先端部側に反射する反射面が設けられた前記指針先端部よりも幅広の指針後端部、から構成された指針部材と、前記指針部材の回転軸を囲むように配置されていて前記指針部材の入射面に入射する光を出射する光源と、を有する指針照明装置において、前記光源の中心軸から出射される光が前記反射面において前記指針先端部の中心軸と重なる位置で反射されるとき輝度が最小となり、前記光源の中心軸から出射される光の前記反射面での反射位置が前記指針先端部の中心軸と重なる位置から離れるに従って輝度が大きくなるように、前記指針部材の回転に応じて前記光源の輝度を制御する輝度制御手段を有することを特徴とする指針照明装置に存する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、輝度制御手段が、光源の中心軸から出射される光が反射面において指針先端部の中心軸と重なる位置で反射されるとき輝度が最小となり、光源の中心軸から出射される光の反射面での反射位置が指針先端部の中心軸と重なる位置から離れるに従って輝度が大きくなるように、指針部材の回転に応じて光源の輝度を制御する。これにより、指針が回転しても反射面の指針先端部に伝播する際にロスが少ない部分に入射される光源からの光量を一定にすることができ、回転時の指針先端部の輝度変化を低減して視認性、照明品位の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1などに示すように、指針照明装置1は、指針部材2と、光源3と、導光部材4と、制御部5(図4)と、を備えている。上記指針部材2は、光透過性の樹脂(例えば透明ポリメチルメタクリレート(PMMA)、透明ポリカーボネート(PC)など)から形成される。指針部材2は、指針先端部6及び指針後端部7から構成されている。
【0013】
指針先端部6は、文字板などに設けられた指標を指示するように棒状に形成されている。指針先端部6には、その正面に先端反射面M1が設けられ、その背面に射出層8が設けられている。先端反射面M1は、先端に向かうに従って背面に近づくテーパ状に設けられている。射出層8は、反射率の高い白色系のホットスタンプ層、又は、微細プリズム加工が施された層である。
【0014】
指針後端部7は、その正面側に反射面としての後端反射面M2が設けられ、その背面に入射面としての後端入射面M3及び軸受け9が設けられている。後端反射面M2は、先端に向かうに従って正面に近づくテーパ状の曲面に設けられている。後端入射面M3は、後端反射面M2と後述する駆動軸11の軸芯P2方向に対向するように設けられている。後端入射面M3は、軸芯P2と直交する平面に設けられている。
【0015】
指針後端部7は、図5〜図8に示すように、その後端側が指針先端部6よりも幅広に設けられていて、指針先端部6に近づくに従って幅が指針先端部6の幅と同じになるまで徐々に狭くなるように設けられている。このため、後端反射面M2の点線で囲まれた指針部材2から見て真後ろの領域Aが、光源3からの光Lをロスなく指針先端部6に導くことができる領域となる。また、後端反射面M2の一点鎖線で囲まれた領域Bが、光源3からの光Lを指針先端部6に導く際に大きなロスが生じてしまう領域となる。
【0016】
軸受け9は、図1に示すように、後端入射面M3の中央から背面に向かって突出して設けられている。この軸受け9にモータ10の駆動軸11が取り付けられる。よって、指針部材2は、軸受け9の軸回りに回転する。上記モータ10は、メータ基板12の背面側に設けられている。モータ10の駆動軸11は、メータ基板12の正面側に突出して設けられている。
【0017】
上記光源3は、メータ基板12上の駆動軸11、即ち指針部材2の回転軸を囲むように複数配置されている。本実施形態では、光源3は、駆動軸11を中心とした円上に3つ配置されている。3つの光源3は、互いに成す角度が120°の等間隔で配置されている。光源3は、中心軸P1が駆動軸11の軸芯P2と平行になるようにメータ基板12上に配置されている。光源3は、中心軸P1と光源出射面M4との交点を中心とした放射線状に光Lを発生する。光源3は、中心軸P1に出射される光Lの出射強度が一番高く、光Lの出射角度が中心軸P1から離れるに従って出射強度が低くなるような、出射強度分布を持っている。
【0018】
上記導光部材4は、光透過性の樹脂(例えば透明PMMA、透明PCなど)から形成されている。導光部材4は、光源3からの光Lを指針部材2の後端入射面M3に導く部材である。図1〜図3に示すように、導光部材4は、光源3に向かうに従って径が大きくなるような略円筒状に設けられている。導光部材4は、導光入射面M5、駆動軸11側に設けられた第1の導光反射面M6、駆動軸11から離れた側に設けられた第2の導光反射面M7及び導光出射面M8を有している。
【0019】
導光入射面M5は、光源3に対向して配置され、光源3の中心軸P1と垂直になるような平面に設けられている。上記第2の導光反射面M7は、導光部材4の外側面に設けられ、そして、光源3からの光Lを反射して集光させつつ第1の導光反射面M6に導くような曲面に設けられている。第1の導光反射面M6は、導光部材4の内周面のうち上記後端入射面M3と軸芯P2方向に対向する部分に設けられている。第1の導光反射面M6は、第2の導光反射面M7からの光Lを反射して略平行光線Lp(図3)に変換するような曲面に設けられている。
【0020】
また、上記導光出射面M8は、軸芯P2方向と垂直になるような平面に設けられている。導光出射面M8は、リング状に設けられている。上述した導光出射面M8からは、光源3の中心軸P1からの光である中心光Lcを中心とした楕円状に強度の強い光Lが出射され、図5の斜線で示す高強度領域Cから離れるほど強度の弱い光Lが出射される。
【0021】
図4に示すように、制御部5は、例えば、中央演算処理装置(CPU)などから構成されている。制御部5は、指針位置検出部13と、輝度制御手段としての輝度制御部14と、を有している。指針位置検出部13は、図示しない車速センサから出力される車速に応じた車速パルス信号や、図示しないモータ制御部から出力される指針駆動用モータ制御信号に基づいて、指針部材2の回転位置を検出する。
【0022】
輝度制御部14は、上記光源3に供給されるパルス電源のデューティ比を制御することにより、光源3の輝度を制御する。輝度制御部14は、光源3の中心軸P1から出射される光Lが指針先端部6の中心軸P3上にある後端反射面M2で反射されるとき輝度が最小となり、光源3の中心軸P1から出射される光Lの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3上にある後端反射面M2から離れるに従って輝度が大きくなるように、指針位置検出部13が検出した指針部材2の回転位置に基づいて光源3の輝度を制御する。
【0023】
次に、上述した構成の指針照明装置1の光源3から出射された光Lの進み方について説明する。図3に示すように、光源3は、中心軸P1と光源出射面M4との光源3を中心とした放射状に光Lを出射する。放射状に出射された光Lは、導光入射面M5から導光部材4内に入射される。
【0024】
導光部材4に入射された光Lは、第2の導光反射面M7に反射されて集光されつつ第1の導光反射面M6に導かれる。第1の導光反射面M6に導かれた光Lは、第1の導光反射面M6で反射されて駆動軸11の軸芯P2方向に沿った略平行光線Lpに変換される。
【0025】
その後、略平行光線Lpは、導光出射面M8からリング状に出射されて、指針部材2の後端入射面M3に入射される。図1に示すように、後端入射面M3に入射された光Lは、導光部材4内を導光して後端反射面M2に導かれる。後端反射面M2に入射された光は、後端反射面M2で指針先端に向かって反射される。指針先端に向かって反射された光Lは、先端反射面M1で反射され、射出層8に向けて反射される。そして、射出層8で反射した光Lが先端反射面M1を通過して運転者視点に到達して、指針先端部6の正面が光輝しているように視認される。
【0026】
次に、上述した構成の指針照明装置1の動作について図9を参照して以下説明する。まず、制御部5は、例えば車両のイグニッションスイッチのオンに応じて動作を開始する。最初に、制御部5内の指針位置検出部13が、図示しない車速センサから出力される車速に応じた車速パルス信号や、図示しないモータ制御部から出力される指針駆動用モータ制御信号に基づいて指針部材2の回転位置を検出する位置検出処理を行う(ステップS1)。
【0027】
次に、制御部5内の輝度制御部14が、位置検出処理により検出した指針部材2の回転位置に応じた輝度パターンに従って光源3に供給するパルス電源のデューティを制御して光源3の輝度を制御して(ステップS2)、再びステップS1に戻る。制御部5は、イグニッションスイッチがオフされるまで上記ステップS1、S2の動作を繰り返し行う。
【0028】
上記輝度パターンは、図示しない記憶手段に予め記憶されている。この輝度パターンについて図5〜図8を参照して以下説明する。まず、図面上側の光源3の輝度パターンについて説明する。図5は、図面上側の光源3の中心光Lcが、後端反射面M2において指針先端部6の中心軸P3と重なる位置で反射される状態を示す。このとき、図面上側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの少ない領域A内に入る。そこで、指針部材2の回転位置が図5に示す状態になったときに、図面上側の光源3の輝度が最も小さくなるような輝度パターンが、記憶されている。
【0029】
次に、指針部材2が時計回りに回転すると、図6及び図7に示すように、回転に応じて図面上側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が、指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から徐々に離れる。これに応じて反射ロスの少ない領域A内に入る図面上側の光源3の高強度領域Cが少なくなり、反射ロスの多い領域B内に入る図面上側の光源3の高強度領域Cが多くなる。そこで、図6及び図7に示すように、回転に応じて図面上側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から離れるに従って、図面上側の光源3の輝度を図5に示す状態での輝度から徐々に増加していくような輝度パターンが記憶されている。
【0030】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、最終的に図面上側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入る。このように、図面上側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入っている間、図面上側の光源3の輝度が最も大きくなるような輝度パターンが、記憶されている。
【0031】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、回転に応じて図面上側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が、指針先端部6の中心軸P3と重なる位置に徐々に近づく。これに応じて反射ロスの多い領域B内に入る図面上側の光源3の高強度領域Cが少なくなり、反射ロスの少ない領域A内に入る図面上側の光源3の高強度領域Cが多くなる。そこで、回転に応じて図面上側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置に近づくに従って、図面上側の光源3の輝度を図7及び図8に示す状態での輝度から徐々に減少していくような輝度パターンが記憶されている。
【0032】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、再び、図面上側の光源3の中心光Lcが、後端反射面M2において指針先端部6の中心軸P3と重なる位置で反射される状態となる。そこで、このとき再び図面上側の光源3の輝度が最も小さくなるような輝度パターンが、記憶されている。その後は、指針部材2の回転に応じて上記輝度パターンが繰り返される。
【0033】
次に、図面左下側の光源3の輝度パターンについて説明する。図5に示す状態のとき、図面左下側の光源3の高強度領域Cは、そのほとんどが反射ロスの多い領域Bに入る。そこで、指針部材2の回転位置が、図5に示す状態のときは、図面左下側の光源3の輝度は図面上側の光源3の輝度よりも高くなるような輝度パターンが記憶されている。
【0034】
次に、指針部材2が時計回りに回転すると、図6及び図7に示すように、回転に応じて図面左下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が、指針先端部6の中心軸P3と重なる位置に近づく。これに応じて反射ロスの多い領域B内に入る図面左下側の光源3の高強度領域Cが少なくなり、反射ロスの少ない領域A内に入る図面左下側の光源3の高強度領域Cが多くなる。そこで、図6及び図7に示すように、回転に応じて図面左下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置に近づく従って、図面左下側の光源3の輝度を図5に示す状態での輝度から徐々に減少していくような輝度パターンが記憶されている。
【0035】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、図7に示すように、図面左下側の光源3の中心光Lcが、後端反射面M2において指針先端部6の中心軸P3と重なる位置で反射される状態となる。このとき、図面左下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの少ない領域A内に入る。そこで、指針部材2の回転位置が図7に示す状態になったときに、図面左下側の光源3の輝度が最も小さくなるような輝度パターンが、記憶されている。
【0036】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、回転に応じて図面左下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が、指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から離れる。これに応じて反射ロスの少ない領域A内に入る図面左下側の光源3の高強度領域Cが少なくなり、反射ロスの多い領域B内に入る図面左下側の光源3の高強度領域Cが多くなる。そこで、回転に応じて図面左下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から徐々に離れるに従って、図面左下側の光源3の輝度を図7に示す状態での輝度から徐々に増加していくような輝度パターンが記憶されている。
【0037】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、再び、図面左下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入る。このように、図面左下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入っている間、図面左下側の光源3の輝度が最も大きくなるような輝度パターンが、記憶されている。その後は、指針部材2の回転に応じて上記輝度パターンが繰り返される。
【0038】
次に、図面右下側の光源3の輝度パターンについて説明する。図5に示す状態のとき、図面右下側の光源3の高強度領域Cは、そのほとんどが反射ロスの多い領域Bに入る。そこで、指針部材2の回転位置が、図5に示す状態のときは、図面右下側の光源3の輝度は図面上側の光源3の輝度よりも高くなるような輝度パターンが記憶されている。
【0039】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、図6に示すように、図面右下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入る。このように、図面右下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入っている間、図面右下側の光源3の輝度が最も大きくなるような輝度パターンが、記憶されている。
【0040】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、図7及び図8に示すように、回転に応じて図面右下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が、指針先端部6の中心軸P3と重なる位置に徐々に近づく。これにより、回転に応じて反射ロスの多い領域B内に入る図面右下側の光源3の高強度領域Cが少なくなり、反射ロスの少ない領域A内に入る図面右下側の光源3の高強度領域Cが多くなる。そこで、回転に応じて図面右下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から近づくに従って、図面上側の光源3の輝度を図6に示す状態での輝度から徐々に減少していくような輝度パターンが記憶されている。
【0041】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、図8に示すように、図面右下側の光源3の中心光Lcが、後端反射面M2において指針先端部6の中心軸P3と重なる位置で反射される状態となる。このとき、図面右下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの少ない領域A内に入る。そこで、指針部材2の回転位置が図8に示す状態になったときに、図面右下側の光源3の輝度が最も小さくなるような輝度パターンが、記憶されている。
【0042】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、回転に応じて図面右下側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が、指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から離れる。これに応じて反射ロスの少ない領域A内に入る図面右下側の光源3の高強度領域Cが少なくなり、反射ロスの多い領域B内に入る図面右下側の光源3の高強度領域Cが多くなる。そこで、回転に応じて図面右側の光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3と重なる位置から離れるに従って、図面右下側の光源3の輝度を図8に示す状態での輝度から徐々に増加していくような輝度パターンが記憶されている。
【0043】
また、指針部材2が時計回りにさらに回転すると、再び、図面右下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入る。このように、図面右下側の光源3の高強度領域Cの全部が反射ロスの多い領域B内に入っている間、図面右下側の光源3の輝度が最も大きくなるような輝度パターンが、記憶されている。その後は、指針部材2の回転に応じて上記輝度パターンが繰り返される。
【0044】
なお、上記指針部材2の回転に応じた中心光Lcと領域A、Bとの位置関係は、導光部材4や後端反射面M2の形状によって変化する。このため、各光源3の明るさと制御幅/変化量は全て同じとは限らないし、複数の光源3のうち特定の光源3のみの輝度を変えるようにしてもよい。
【0045】
上述した指針照明装置1によれば、制御部5が、光源3の中心光Lcが後端反射面M2において指針先端部6の中心軸P3に重なる位置で反射されるとき輝度が最小となり、光源3の中心光Lcの後端反射面M2での反射位置が指針先端部6の中心軸P3に重なる位置から離れるに従って輝度が大きくなるように、指針部材2の回転に応じて光源3の輝度を制御する。これにより、指針部材2が回転しても後端反射面M2の反射ロスが少ない領域Aに入射される光源3からの光量を一定にすることができ、回転時の指針先端部6の輝度変化を低減して視認性、照明品位の向上を図ることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態によれば、指針部材2の形状を光源3に近づくに従って円周が大きくなる略筒状としていたが、本発明はこれに限ったものではない。指針部材2として、光源3からの光を指針部材2の後端入射面M3に導くことができるものであればよく、例えば単なる円筒状であってもよい。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、光源3と指針部材2との間に導光部材4を設けていたが本発明はこれに限ったものではない。光源3から直接指針部材2に入射するようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、光源3に供給するパルス電源のデューティ比を制御することにより、光源3の輝度を制御していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、光源3に供給される電流値を制御して光源3の輝度を制御するようにしてもよい。
【0049】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の指針照明装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】(A)〜(C)はそれぞれ、図1に示す指針照明装置を構成する導光部材の斜視図、正面図及び背面図である。
【図3】図2(B)のA−A線断面図である。
【図4】本発明の指針照明装置の電気構成図である。
【図5】図4に示す制御部の制御を説明するための説明図である。
【図6】図4に示す制御部の制御を説明するための説明図である。
【図7】図4に示す制御部の制御を説明するための説明図である。
【図8】図4に示す制御部の制御を説明するための説明図である。
【図9】図4に示す制御部の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】従来の指針照明装置の一例を示す説明図である。
【図11】図10に示す従来の指針照明装置の問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 指針照明装置
2 指針部材
3 光源
6 指針先端部
7 指針後端部
14 輝度制御部(輝度制御手段)
M2 後端反射面(反射面)
M3 後端入射面(入射面)
P1 光源の中心軸
P3 指針先端部の中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指標を指示する棒状の指針先端部、及び、入射面から入射された光を前記指針先端部側に反射する反射面が設けられた前記指針先端部よりも幅広の指針後端部、から構成された指針部材と、前記指針部材の回転軸を囲むように配置されていて前記指針部材の入射面に入射する光を出射する光源と、を有する指針照明装置において、
前記光源の中心軸から出射される光が前記反射面において前記指針先端部の中心軸と重なる位置で反射されるとき輝度が最小となり、前記光源の中心軸から出射される光の前記反射面での反射位置が前記指針先端部の中心軸と重なる位置から離れるに従って輝度が大きくなるように、前記指針部材の回転に応じて前記光源の輝度を制御する輝度制御手段を有することを特徴とする指針照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−145098(P2009−145098A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320549(P2007−320549)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】